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知的障害児の進路指導をめぐる課題(Ⅲ)ー現場実習の意義と役割の分析ー

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知的障害児の進路指導をめぐる課題(Ⅲ)

―現場実習の意義と役割の分析―

Difficulties in Career guidance Activity of Mentally Retarded Students

(Ⅲ)

佐久間宏・大根田充男

SAKUMA Hiroshi・OHNEDA Mitsuo

はじめに

本論は、5年・10年前の現場実習の実施状況と比較しながら、栃木県の現場実習の現状を分析する とともに、知的障害児の進路選択の過程及び中学校特殊学級、養護学校中学部・高等部の今後の進路 指導の方向性を見出そうとするものである。なお、学校教育法の一部改正によって、従来の特殊教育 の対象に加えて、通常の学級に約6.3%在籍していると考えられる LD(学習障害)、ADHD(注意欠 陥/多動性障害)、高機能自閉症等の幼児・児童・生徒に対して、一人ひとりの教育的ニーズに応じ た指導や必要な支援を行うために、今年度から特別支援教育が本格的に実施されることになった。そ れを受けて特殊学級は特別支援学級へ、養護学校は特別支援学校へと名称変更されたわけであるが、 本論では従来の名称で表記する。また、学習指導要領に示される「産業現場等における実習」は「現 場実習」と表記することとする。 本論に入る前に、課題に関係するいくつかの点について確認しておきたい。 第一は、平成18年3月卒業の全国の中学校特殊学級、知的障害養護学校中学部、同高等部の進路状 況である。特殊学級の卒業者(10,136人)では、「進学者」(9,155人、90.3%、高等部進学者6,569人、 64.8%)、「教育訓練機関等」(322人、3.2%)、「就職」(195人、1.9%)、「施設・医療機関・その他」 (464人、4.6%)である。養護学校中学部の卒業者(4,933人)では、「進学者」(4,799人、97.3%)、 「教育訓練機関等」(11人、0.2%)、「就職者」(6人、0.1%)、「施設・医療機関」(74人、1.5%)、「そ の他」(43人、0.9%)である。また高等部(10,615人)では、「進学者」(77人、0.7%)、「教育訓練機 関等」(327人、3.1%)、「就職者」(2,688人、25.3%)、「施設・医療機関」(86,227人、58.7%)、「その 他」(1,296人、12.2%)である。 5年前の調査では、中学校特殊学級からの進学者は養護学校高等部への進学を含め83.3%、養護学 校中学部では93.5%であったので、両者からの高等部への進学が更に進んでいることが窺える。また、 特殊学級からの就職者(4.6%)は減少傾向に歯止めがかかっていないことが明らかになった。これ * 宇都宮大学名誉教授

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に対して、高等部からの就職者の割合は、5年・10年前と比べてもそれほど変化していない。 第二は、障害児の現場実習と進路指導に関する課題は、基本的には障害者をめぐる国際的な流れで あるノーマリゼーションの理念に照らして考えることが必要であり、重要である。 1960年代に始まったノーマリゼーションの理念の具体化に向けた取り組みは教育、福祉、労働、医 療の各分野で求められている。その理念と言えば、障害を伴う人が同じ社会の一員としてごく当たり 前に生活する権利があること、障害を伴う人をノーマライズするのではなく彼らを取り巻く社会環境 をノーマライズすること、この2つの点を基調にしている 。端的には、障害者の職業的自立と社会 参加の様相と可能性とが有力な指標とされる。 第三は、現場実習の教育課程における位置づけとその意味を明らかにし、進路指導との関連を確認 することである。 養護学校学習指導要領(平成11年3月)によれば、中学部の教科「職業・家庭」の内容(5)では、 「産業現場等における実習を通して、いろいろな職業や職業生活、進路に関心をもつ。」と示されてい る。また、高等部の「教科・職業」の1・2段階(5)では、「産業現場等における実習を通して、実 際的な職業生活を経験する。職業生活に必要な事柄を理解する。」とされている。 解説によれば、①従前、現場実習を「作業や実習」に含めていたが、職業教育や進路指導の充実を 図るため具体的に示した。②ここでいう「産業現場等」とは、実際に産業にかかわっている企業や商 店、農場などを、「等」は作業所などの福祉施設、市役所などの公的機関を指している。 内容面では以上のようであるが、機能的には中学部の「職業・家庭」及び高等部の「教科・職業」 に示される産業現場等における実習は、作業学習として位置づけられている。他の領域や教科と合わ せて実施する場合、産業現場等における実習については、現実的な条件下で生徒の職業適性等を明ら かにし、職業生活ないし社会生活への適応性を養うことを意図して実施する、とされている。また、 産業現場等における実習を計画するに当たっては、「あらかじめ教育課程に位置づけることが大切で ある。」とされ、さらに実習前後の実習先や関係機関との関係等についてもいくつかの留意点注1) 挙げられている。 このように、現場実習には校内での教育の成果の応用・実践という側面と将来の進路選択の基本の 育成という側面があるが、これまでは前者に重点が置かれてきたので、今後は後者についても重視の 方向が打ち出されたことになる。 第四に、現場実習をすすめる上での課題を確認することとする。前回の調査から次のような悩みや 不安に直面していることがわかる。 ○実習先の確保が難しい中で、実習に出す予定があっても出られないことがある。また、進路先とし て企業側は採用が極端に減少しているので、進路先の確保も難しい。 ○事業所での実習を受け入れてもらえない状況が出てきている。福祉サイドの実習についても、近年

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定員の問題が出てきている。 ○実習を希望する生徒にとっては受け入れ事業所が少ないため、選択の幅が狭い。また、保護者が本 人の進路適性を十分理解できなかったり、実習への協力が難しい場合がある。一方で、中学、高校、 障害者職業センターでそれぞれ実習を行っており、実習受け入れ側の負担も大きい。 ○生徒一人一人の特性を考慮して実習先を決定してはいるが、本人の希望と保護者の希望と噛み合わ ない場合も出てきている。 ○知的障害者は自己アピールが苦手で、時間をかけて理解してもらうことが必要である。また、人間 関係をつくりあげていくのが下手ということを考えると、就労後の定着化には仕事に関する支援だ けでなく、生活全般にわたる支援ができるような体制づくりが必要であろう。 ○現在、各機関においてそれぞれの目的、計画に沿った取り組みを行っているが、どこがイニシアテ ィブをとるかという問題がある。取り組みが有機的に関連づくようなシステムが必要な時期に来て いる。そのために重要な視点になるのは移行サービスではないか。産業現場等における実習を活用 するのが理想と思われる。 先に述べたように本論は、障害児の現場実習の現状分析を通して、障害児の進路選択の過程を明ら かにし、中学校特殊学級、養護学校中学部及び高等部の進路指導の方向を見出そうとするものである。 具体的には、次の7つが課題である。 1.障害児の学校卒業後の進路状況 2.障害児の現場実習の実施状況(対象者、場所、時期、期間、作業内容) 3.現場実習の教育課程上の位置づけ 4.実習前及び実習中の学校側のかかわり 5.現場実習の受けとめ方(実習生、保護者、事業所・作業所、公共職業安定所職員等) 6.関係者への要望事項 7.学校関係者の指導上の課題

Ⅰ 調査の概要

1.調査目的 栃木県における中学校特殊学級及び知的障害養護学校の現場実習の現状と課題を明らかにし、小学 校から高等学校までの今後の進路指導の実践及び研究の基礎的知見を得ることにある。 2.調査方法 1)調査対象者 栃木県のすべての中学校特殊学級(知的障害児教育、100校)及び知的障害養護学校中学部(9校)、 同高等部(8校)の担当教員を調査対象にした。

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2)調査方法 対象校に対して、「障害児の産業現場等における実習に関するアンケート調査票」を送付し、回答 を求める郵送法により行った。 3)調査事項 調査事項は①対象者及び対象校の基本属性、②現場実習の実施状況、③現場実習の教育課程への位 置づけ、④現場実習に対する関係者の考え方、⑤現場実習をすすめる上での今後の課題など、である。 4)調査期間 調査は2007年7月2日付けで調査票を発送し、同17日を返送期限として実施した。 5)有効回収率 回収数は、中学校特殊学級が64票で回収率は64%であり、知的障害養護学校中学部及び高等部につ いては100%の回収であった。

Ⅱ 調査結果及び考察

A

中学校特殊学級

1.対象者及び対象校の基本属性 (1)対象者の校務分掌 本調査に回答した対象者の校務分掌は「特別支援教育」、あるいは「障害児教育」が最も多い。(約 80%)また、「特別支援教育コーディネーター」とした者が6人おり、今年度からの特別支援教育の 本格実施により、前回調査までにはなかった新たな校務分掌が挙げられていることが特徴的である。 (2)対象校の在籍者 表1のように、平成19年5月1日現在、調査対象校に在籍した生徒数は397人である。性別では、 男子が254人、女子が143人であり、男子は女子の約1.8倍である。1校あたりの生徒数は最小1人、 最大35人で、平均6.2人となっている。生徒数が1∼3人の学級が23校あり、全体の36%を占めてい る。前回と前々回の調査では生徒数は、それぞれ310人、274人であったので、ここ10年間で急増して いることになる。

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(3)卒業生の進路状況 表2に、平成19年3月の卒業生の進路を示す。 平成19年3月に卒業した生徒98人の進路は、進学者86人(87.7%)、就職者5人(5.1%)、その他7 人(7.1%)であった。進学先のほとんどが養護学校高等部である。 前回、前々回調査では、進学者がそれぞれ88人、52人、就職者はそれぞれ17人、46人であったこと から、10年間で養護学校高等部への進学者が急増し、就職者が激減していることがわかる。 とくに、就職者は全国の特殊学級でも1.9%にとどまり、中学校特殊学級から就職する者がほとん どいなくなっている状況が窺える。 2.現場実習の実施状況 (1)現場実習の実施状況 平成18年度に現場実習を実施した学校は、64校中わずか6校(9.4%)であった。未実施校は58校 に上る。前回調査では15校(24.5%)が実施していたので、極端に少なくなっている。 表3に、現場実習の実施状況を示す。 平成18年度に現場実習を実施した6校の実施件数(総数26)をみると、1年次3件、2年次16件、 3年次7件である。事業所と作業所の内訳は、事業所16件に対して、作業所10件であった。前回の調 査では事業所14件に対して、作業所19件であったので、中学校の特殊学級の実習先が今回の調査では、 逆転して事業所の方が作業所よりも多くなっている。 実習時期では「夏休み」10件が最も多く、次に「二学期」7件、「一学期」6件の順になっている。 このように、実習の約4割が「夏休み」に行われている。 次に、実習を行う学年と時期を組み合わせてみると、それぞれがまちまちであることがわかる。

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また、実習期間と実習時間をみると、「2週間」2校、「1週間」2校、「1∼3日」2校であり、 1日当たりの実習時間は3∼8時間と学校によりかなり幅がある。 (2)実習前の事業所・作業所への対応 実習に入る前に学校側では事業所・作業所に対して、「実習の狙いを説明する」、「職場環境につい て見たり聞いたりする」などを行っている。また、「個人別に評価を依頼する」は少ない。この傾向 は、前回の調査も同じような結果である。 (3)巡回指導の実施状況 現場実習を行った6校いずれもが巡回指導を実施している。前回調査でも、巡回指導をしていない のは15校中1校のみであった。 具体的には次の通りである。 ○特別支援学級担任が2日に一度事業所・作業所を訪問し、担当者の方に本人の仕事の様子について 話を聞く。問題があったときは、その場で本人を指導する。 ○特別支援学級担任2名が事業所を回り、作業の様子を見たり、挨拶や服装等についてはその場で指 導する。障害によっては1日付き添って実習する生徒もいる。 ○担任が仕事の様子を見たり、一緒に作業をしてくる。 ○担任が朝は朝礼時、放課後は終業時に事業所で巡回指導している。 ○担任は、個に応じて初日に1∼2時間一緒に作業をし、一人で実習可能であれば職場に戻り勤務す る。終了30分∼1時間前にもう一度訪問して、作業状況を確認し、本人の反省、明日の目標、日程 等を確認する。事業所の担当者より、本日の作業状況や感想・評価を聞く。 (4)現場実習先への採用実績 表4に示したように、平成16年度から18年までの現場実習先への採用実績をみると、3年間で5人 であり、全員が事業所への採用であった。前回調査では事業所7人、作業所2人であったので、更に

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減少したことになる。また、作業所への採用は一人もいなかった点が特徴的である。 3.現場実習の教育課程上の位置づけと狙い (1)現場実習の教育課程上の位置づけ 平成18年度に、現場実習を実施したのは6校であった。この6校のすべてが教育課程に位置づけら れている。その内訳は「進路指導」4校、「進路指導と作業学習」2校であった。 (2)現場実習を行わなかった学校での位置づけ 平成18年度に現場実習を行わなかった学校は58校であった。このうち、現場実習を教育課程に位置 づけている学校は9校のみであり、あとの49校は位置づけられていない。先の現場実習を行った学校 の場合と合わせると、教育課程に位置づけられている学校は15校となり、全体の23.4%にとどまる。 この割合は、前回調査とほぼ同様の結果となった。なお、現場実習未実施校で教育課程に位置づけら れているとした9校のうち7校は、「総合的学習」に位置づけられており、その内容は学校行事とし ての「マイチャレンジ」などの職場体験であった。また、同じく未実施校で教育課程にも位置づけら れていない42校のうち7校は、先の「マイチャレンジ」と同じく、「宮っ子チャレンジ」、「わくわく チャレンジ」などの職場体験を実施している。 前回調査では4校であったものが14校に上るなど、教育課程に位置づいているいないに拘わらず、 「マイチャレンジ」などの全校で行う職場体験が急増していることがわかる。 (3)現場実習の作業内容 実習先での作業内容は次の通りである。前回調査と比べると実施校が少なくなり、事業所、作業所 ともに作業内容の種類が減っている。 <事業所>①つくる作業(食品)、②はがす作業(ペットボトルのラベル)、③分別作業(新聞広告) ④その他(雑務) <作業所>①つくる作業(和紙、ベビーバンド)、②組立作業(箱)、③詰める作業(破紙)、④ク リーニング (4)現場実習の狙いとその達成度 現場実習の狙いは、1年生では「ひとりひとりの能力や適性をみきわめるため」、2年生では「現

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場に触れ働くことを理解させるため」、3年生では「就職に結びつけるため」が最も多かった。学年 が上がり卒業学年が近くなるにつれて、就職をより意識した狙いになっている。 現場実習の狙いを「だいたい狙いどうり達成されている」とする学校は5校であり、1校は「あま り達成されていない」であった。「達成されていない」とする学校の当面の課題としては、「挨拶がで きるようになる」、「働くことが理解できる」、「先生や仲間のいうことを素直に受け入れられる」を挙 げている。「希望があっても中卒で雇ってもらえる事業所はない。」といった記述もあった。 4.現場実習の受けとめ方と要望 (1)現場実習の受けとめ方 ここでは、現場実習が実習生、保護者、事業所・作業所にどのように受けとめられているか、そし て学校として最も必要とされる点について主なものを取り上げる。 1)実習生の受けとめ方 第一は、学習の場(時間)としてである。 ○将来仕事に就くための練習。 ○将来仕事に就くために経験しておいた方がよい。 第二は、楽しみや喜びの源としての受けとめ方である。 ○楽しみにしている。(気分転換) ○簡単な作業で皆がよくしてくれるので楽しい。 第三は、意欲的・積極的な受けとめ方である。 ○一生懸命頑張ろうとする意欲は満々。 第四は、学習に伴う不安、困難の場としての受けとめ方である。 ○就職しようがしまいが関係なく緊張いっぱい。パニックを起こす寸前の状態の生徒もいる。 ○実習すると理想と現実の差が大きく落ち込む。 実習生は、事業所での実習では「将来の就職のための学習の場」として、作業所の方は「楽しみや 喜びを得る場」と受けとめている。 2)保護者の受けとめ方 保護者は好意的で積極的な受けとめ方が多いが、課題があるとした受けとめもある。 <好意的受けとめ> ○学校や家庭では甘えがある。また、仕事の厳しさが理解できないなど、本人は実際に体験すること で理解できることも多いので、大変よい機会である。 ○職場に受け入れてもらえるかどうか、本人が務まるかなど適性を見極めるために必要である。 ○就職がスムーズにできるとよい。

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○働く意識が高くなり集中力が高まるので、とても喜んでいる。 ○保護者が考える生徒の将来像によっても異なるが、授業の一環と考えたり、将来の進路選択のひと つと考えている。 <課題があるとした受けとめ> ○あまり歓迎されていない。(におい、疲れる) ○15歳で就職に結びつけるには早すぎるのではないか。 ○実習で事業所よりよくやっている頑張っているという話を聞いただけで、就職内定と勘違いをして しまい、実際に就職を断られるとショックが大きい。 3)事業所・作業所の受けとめ方 事業所・作業所は、現場実習を好意的で積極的に受けとめているが、一方で課題があるとする受け とめもある。 <好意的受けとめ> ○社会を知るための機会。 ○意欲があるなら能力を見極めたい。(事業所) ○同じ仲間として助けになれば。(作業所) ○地域の職業訓練の場、就労支援のひとつとして受け入れてくれている。(地域活動支援センター) ○生徒の進路選択の一助になること。 <課題があるとした受けとめ> ○仕方がない。協力するが、ちょっと迷惑。てきぱき出来ないとちょっと邪魔。ことばで指示しても 動けない程度では来てもらっても困る。 ○普段の勤務中にかかわらず、受け入れなくてならないので負担に感じている。 ○実習生の適性能力(作業能力)によっては、仕事上の支障が大きい。もう少し社会性を身につけさ せてほしい。 全体的にみると、作業所に比べて事業所の方が「負担を感じる」などの否定的な受けとめ方をして いる。 (2)学校として必要なこと 第一は、実習先の確保、維持に関する事柄である。 ○現場実習職場の拡大。 ○実習受け入れ先の開拓。 ○実習できる事業所・作業所を探すこと。 第二は、事業所・作業所や公共職業安定所の理解・協力に関する事柄である。 ○障害の程度を理解し受け入れて欲しい。

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○公共職業安定所との連携を密にする。 第三は、実習生の指導に関する事柄である。 ○外へ出たときに何が大切か(挨拶、集中など)を学校の教師以外の方から伝えてほしい。 ○自信を持つ場になってほしい。お世話になっている気持ちを常に持つ。 ○生徒の就労意欲を高める。 ○挨拶や報告がきちんとできるようにすること。指示を聞くこと。作業が続けられること。 ○職場に関してのマナー、作業に対する忍耐力、コミュニケーション能力。 第四は、保護者との関係に関する事柄である。 ○働くことを将来のこととして保護者にも考えてほしい。 ○保護者との協調。 ○家庭では子どもの障害の程度の理解が難しいので、簡単に受け入れてくれると考えている。 前回調査で挙げられていた「校内の体制づくりに関する事項」は、今回の調査ではひとつもなかっ た。他は、前回調査と同様の内容であった。 (5)学校が実習関係者に要望すること 1)保護者への要望 第一は、進路に関する要望である。 ○実際の厳しい現実の理解。 ○進路に関心を持ってほしい。 ○近い将来の問題として受けとめてほしい。 ○もっと就職や仕事に対して本人に話すべき。 ○社会状況をきちんと受けとめてほしい。 ○就労に対しての意欲を高める。 第二は、実習に当たっての要望である。 ○本人が実習しやすいように環境を整える。 ○生徒の適応能力(適性)を理解してほしい。 ○通勤距離に対してあまり心配しない。 ○就職か進学かの意志決定を早めに。 第三は、家庭の指導に関する要望である。 ○家庭内での基本的生活習慣の習得。家庭での実践。 ○いつまでも小学生(子ども)扱いをしない。 ○家庭での家事の手伝い。清潔、身だしなみ。 第四は、学校への協力・理解に関する要望である。

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○協力・理解。(学校に対して) ○学校や事業所にお世話になっているという姿勢がほしい。 ○学校での指導の限界。 2)事業所・作業所への要望 第一は、就労の場の拡大に関する要望である。 ○多くの障害者の就労の拡大。 ○少しでもいいから、就労の機会を与えてほしい。 ○いろいろ可能な範囲で作業を体験させてほしい。 ○長期間受け入れとまずは試行させるという寛容さ。 ○作業所には就職への橋渡し。働ける環境づくり。 第二は、指導方法に関する要望である。 ○個々に対する的確なアドバイス。 ○生徒に適した仕事内容、作業手順。 ○職業人としてのあるべき姿を教えてほしい。 ○採用の見込みがないときには、実習を受け入れられないということをはっきりと伝えてほしい。 その他、「作業所の利用費の負担を少なくしてほしい」といった要望もあった。 3)公共職業安定所への要望 第一は、雇用の場の拡大と情報提供への要望である。 ○就職できる事業所の拡大。生徒に適した事業所さがし。 ○県内の雇用実績のある企業をどんどん紹介してほしい。 ○より多くの雇用情報の提供。就職先の情報提供。 第二は、学校との連携に関する要望である。 ○学校とより連携し、目的達成が図られるようにしてほしい。 ○なかなか学校を出られる時間が少なく、打合せが大変。 第三は、卒業後のアフターケアーと保護者への働きかけに関する要望である。 ○就職後のアフタケアー。就職後のケアー。 ○的確な保護者への働きかけ。 4)その他の関係機関(社会福祉協議会など)への要望 第一は、情報提供に関する要望である。 ○学校と事業所・作業所と連携し、情報を共有できる機能づくり。 ○より多くの情報提供。 ○作業所などの紹介。事業所の開拓。

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第二は、就労後のアフターケアーに関する要望である。 ○就職後のアフターケアー。 5.現場実習を推進するための課題 最後に、実習をすすめる上での問題点や悩み、あるべき姿をみると、関係者の受けとめ方や要望と 重なる点が多い。以下のようである。 第一は、実習先の確保についてである。 ○実習する場の不足。職種を増やす。 ○なかなか受け入れてくれる事業所は少ないのが現状である。また、通える範囲を考えると更に少な くなる。その中から、本人に適した仕事をさがしていかなければならず、大変である。 第二は、社会変化によっている課題である。 ○中学校特殊学級から養護学校高等部にほとんどの生徒が進学するようになった今、中学校でこれ以 上現場実習を長く実施することは相手方にとって負担が大きい。 第三は、事業所への要望と保護者への配慮についてである。 ○随時、就職を希望する生徒に対してし、公共職業安定所と連携を図り実習させている。1∼2週間 の実習の成績や評価は高いものであった。保護者は、毎日事業所に送迎し、終了時に高い評価を受け たため内定したと鵜呑みにしていまい、実際に断られショックが大きかった。2カ所、3カ所と実習 を重ねるたびに不安にかられ、意欲をなくしてしまった。よくないところ、注意してほしいところが あったら、はっきりと伝えてほしい。障害者や理解の低い保護者に対し、誤解を生じたりしないよう に考慮してほしい。 中学校からほとんどの生徒が養護学校の高等部へ進学するようになった現在、中学校特殊学級にお ける現場実習のあり方をもう一度問い直す時期が来ている、と言えよう。

B

養護学校中学部

1.対象者及び対象校の基本属性 (1)対象者の校務分掌 本調査の対象になった中学部は9校であった。調査対象者の校務分掌は「進路指導主事」が7人、 「中学部主事」は2人であり、そのほとんどが「進路指導主事」であった。 (2)対象校の在籍者 表5のように、平成19年5月1日現在、調査対象校に在籍した中学部の生徒数は382人である。

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性別では、男子が249人(65%)、女子が133人(35%)である。最も在籍者の多い学校は74人、最 も少ない学校は15人であった。前々回の調査では在籍生徒数が261人であったので、ここ10年間で121 人の増加を示している。 (3)卒業生の進路状況 表6に、平成19年3月の卒業生の進路を示す。 平成19年3月に卒業した生徒131人の進路は、進学者128人(97.8%)、作業所通所者2人(1.5%)、 施設入所者1人(0.08%)であり、就職者及びその他の者はひとりもいなかった。 前々回の調査では進学者81人(78.6%)、施設入所者13人(12.6%)、就職者2人(1.9%)、作業所 通所者2人(1.9%)であったので、この10年間で養護学校高等部への進学者が急増し、作業所通所 者及び就職者が激減していることがわかる。とくに、全国の知的障害養護学校中学部においても就職 者は6人(0.1%)にとどまり、中学部から就職する者はごく少数となっている。 2.現場実習の実施状況 (1)現場実習の実施状況 平成18年度に現場実習を実施した学校は、9校中5校(55.5%)であった。10年前の調査では実施 校が6校であったので、1校減ったことになる。

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以下に、各学校ごとの実施状況を示す。なお、校名は10年前と同じアルファベットを使用した。 A校:生徒の進路決定のために、希望のある生徒は保護者の責任で行うようにしている。実習先の 決定については担任や進路指導係が相談にのっている。 D校:第3学年2学期、事業所(1人、2日、6時間)、作業所(6人、2日、7時間)。 F校:居住地近隣の作業所・施設等を利用し、2∼3日間の体験を主に行っている。生徒の実態・ 特性を考慮し、体験先を学校から保護者に提案している。保護者及び作業所等の都合のない 時期に合わせて体験を行う。学校は特に指導にあたらない。 G校:第3学年2学期、作業所(4人、2週、6時間)。 H校:3学年2学期、事業所(1人、1週、6時間)及び保護者の責任の下で、夏休みに作業所 (2人、1週、4時間)を行っている。夏休みの実習の概要は次の通りである。「中学部3年 生の生徒が保護者の責任のもと福祉作業所で2∼3日実習している。実習先との連絡は進路 指導主事が行い、依頼は保護者が行う。この実習中は教員の進路研修も兼ねて担任などは生 徒の近くで研修をし、生徒の作業の様子を把握している。」 以上の点を要約すると、生徒のほとんどが高等部へ進学することと関係して、養護学校中学部にお いて現場実習は必ずしも行われていない。実施されている場合は、中学部3年の2学期に事業所や作 業所で2日∼2週間、1日当たり4∼7時間行っている。また、保護者の責任の下で夏休みに、作業 所や施設で2∼3日の実習を行っている学校もある。 (2)実習前の事業所・作業所への対応 実習に入る前に学校側では事業所・作業所に対して、「個人の必要と思われる情報を提供する」、 「作業の日程や内容の打合せをする」は、回答を寄せたすべての学校が行っている。 (3)巡回指導の実施状況 現場実習を行った5校のうち3校が巡回指導を実施している。 具体的には次ような方法である。 D校:担任または学部主事が基本的に期間中(2日間)付き添って実習先に適応できるよう支援す る。実習先から教員の付き添いは不要との提言があれば、短期間の訪問とし、実習先に適応 できるよう配慮してもらいたい個人情報を実習先に伝えている。 G校:通所の方法、状況の確認(保護者・実習先担当者)。作業所での状況の確認(実習先担当者 と面接及び実習の様子見学)。巡回指導の回数は2週間(10日)の実習で4回程度を基本と するが、必要に応じて回数を増やす場合もある。 H校:担任−仕事の指導、実習生の健康管理の把握、出欠の確認、評価の確認。進路指導主事−職 安や実習先との連絡、仕事の指導、評価の確認。 以上のように巡回指導においては、学級担任、進路指導主事、学部主事が生徒の様子を見る、作業

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や適応状況を確認する、実習先担当者及び保護者への対応をする、などをしている。 (4)現場実習先への採用実績 表7に示したように、平成16年度から18年までの現場実習先への採用実績をみると、3年間で7人 であり、全員が作業所への採用であった。10年前の調査では事業所2人、作業所21人であったので、 作業所採用が激減したことと事業所への採用が一人もいなくなったことが特徴的である。 3.現場実習の教育課程上の位置づけと狙い (1)現場実習の教育課程上の位置づけ 9校のうち5校は「教育課程に位置づけられている」であり、4校は「位置づけられていない」で あった。位置づけられている学校では、そのほとんどが「進路指導」か「作業学習」であった。 先に述べたように、長期休業中にも現場実習が行われている。この場合は正式には教育課程上に位 置づけられず、保護者の責任の下で行われている。 (2)現場実習の作業内容 実習先での作業内容は次の通りである。前々回の調査と比べると実施校が少なくなり、事業所、作 業所ともに作業内容の種類が減っている。 <事業所>①つくる作業(菓子)、②包装(食品) <作業所>①組立作業(コンセント)、②折る作業(箱)、③検査(製品) (3)現場実習の狙いとその達成度 回答を寄せた学校すべては、現場実習が「だいたい狙いどうり達成されている」としている。その 狙いとしては、第3学年についての回答であったが、「現場に触れ働くことを理解させるため」を1 位とする学校が多かった。 4.現場実習の受けとめ方と要望 (1)現場実習の受けとめ方 ここでは、現場実習が実習生、保護者、事業所・作業所にどのように受けとめられているか、そし

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て学校として最も必要とされる点について、各学校ごとに示す。 1)実習生の受けとめ方 D校:将来の社会生活を体験する機会として認識されている。 G校:生徒の発達段階を考えると、就労に関する理解が十分でないと考える。 H校:休業中の実習は通常の学級の学習の一環として受けとめて実習している。 2)保護者の受けとめ方 D校:将来の社会生活について知り、将来の進路先として考えていた実習先についての情報を得る 機会として理解している。 G校:実習に関する主旨等については説明を行っている。子どもが在学中に施設の雰囲気に慣れる こと、卒業後の生活を考える一助になることなどを考えると、肯定的に受けとめている。 H校:将来作業所に入所した場合、適応していくことができるものかなど検討して進路を模索して いる。 3)事業所・作業所の受けとめ方 D校:早期からの進路指導の機会として理解している。中学部生の実習についてはほとんどの実習 先で教員の付き添いを希望していることから、短期間であっても負担に感じている。 G校:肯定的に受けとめている。 H校:実習している生徒が入所した場合、問題点さらには適応の有無など見極めている。 (2)現場実習をすすめる際に学校として最も必要とされること D校:実習生の実態と配慮事項を実習先にわかりやすく伝えること。実習の狙いや目的を本人、保 護者、実習先にわかりやすく伝えること。実習生が積極的に活動に参加できたり、周囲から 関わってもらえるような支援を教員が行うこと。 G校:生徒の実態把握。情報収集(進路先)。保護者との連携。 H校:職業ガイダンス。関係機関との連携。 「最も必要とされること」として、実習生の実態把握、進路先の情報収集、保護者との連携などを 挙げている。 (3)学校が保護者、事業所・作業所、公共職業安定所などに望んでいること 1)保護者への要望 D校:実習生の健康管理や送迎の支援。実習日誌の記入など実習先との情報交換。必要に応じた担 任との連絡。 G校:実習先への挨拶、実習の様子の見学、実習への協力体制。施設等の情報収集。 H校:生徒の実態の理解。学校との連携。 2)事業所・作業所への要望

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D校:実習の狙いや目的の理解。実習先についての理解。問題や課題が生じた時の率直な情報交換。 G校:実習の受け入れ。 H校:仕事の指導。実習生の責任者の配置。 3)公共職業安定所への要望 H校:実習先の紹介。実習先への訪問。実習生の面接。 4)その他の関係機関(社会福祉協議会など)への要望 D校:実習状況の把握。実習先に関する情報交換。実習生や家庭に関する情報交換。 5.現場実習を推進するための課題 最後に、実習をすすめる上での問題点や悩み、あるべき姿について各校ごとの意見を示す。 C校:中学部段階で現場実習を行うことは必要なことだ。全員同じ形、同じ場所というのでなく生 徒の障害、ニーズに応じて柔軟に実施できればと思う。実施に向けて、今までの学習の積み 重ね状況の確認、事前指導等さらに教師の指導が必要になっているが、生徒には是非体験さ せたい。 D校:施設での実習が検討課題となっているが、早期からの進路指導をめざしていく上で、中学部 生や障害の重い生徒も施設等での体験活動が存続されることを望む。 G校:中学部段階での現場実習のケースは数的には少ないが、進路決定のために重要なものと考え られる。作業所で現場実習を実施しているが、保護者の実習に望む姿勢、協力体制の重要性 を感ずる。 H校:中学部生が企業等で実習する場合は、体力的にも能力的にも厳しい面が見られた。しかし、 実習を体験することは将来の進路を考えるということで大切なものと考える。実習の期日や 内容を検討して、中学部生の実習を前向きに考えられたらよい。

C

養護学校高等部

1.対象者及び対象校の基本属性 (1)対象者の校務分掌 本調査の対象になった高等部は8校であった。調査対象者の校務分掌はすべて、「進路指導(主事 を含む)」であった。 (2)対象校の在籍者 表8のように、平成19年5月1日現在、調査対象校に在籍した高等部の生徒数は725人である。性別 では、男子が471人(65.9%)、女子が244人(34.1%)である。最も在籍者の多い学校は122人、最も 少ない学校は29人であった。前回の調査では対象校は8校で、在籍生徒数が479人であったので、こ

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こ5年間で236人の大きな増加となっている。また、すべての養護学校において増加している。これ は先に述べた、中学校特殊学級及び養護学校中学部から高等部への進学が急速にすすんでいる影響に よる、と考えられる。 (3)卒業生の進路状況 表9に、平成19年3月の卒業生の進路を示す。 平成19年3月に卒業した生徒232人の進路は、作業所通所者113人(48.7%)と最も多く、次いで 就職者74人(31.9%)、施設入所者24人(10.3%)、その他21人(9.1%)の順になっている。進学者は ひとりもいなかった。 5年前の調査では作業所通所者62人、就職者34人、施設入所者18人、その他29人であったので、こ の5年間で就職者と作業所通所者の人数がほぼ倍増している。進学者は前回の調査でもいなかった。 なお、「その他」の中には「職場適応委託訓練中」、「デイサービス利用」、「在宅」などが含まれる。 2.現場実習の実施状況 (1)現場実習の実施状況 調査対象になった8校すべてが、平成18年度に現場実習を実施している。 表10に、各学校ごとの実施状況を示す。なお、校名は10年前と同じアルファベットを使用した。

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これによれば、全体として次の傾向がみられる。

①現場実習は主に第2学年の2学期及び3学期、第3学年の各学期に行われている。

②実習先は事業所と作業所がほぼ対になっている。長期休業中の実習では数は少ないが、事業所ある いは作業所の実習となっている。

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③実習期間は事業所、作業所とも2∼3週間が標準である。 ④1日当たりの実習時間は事業所が7∼8時間、作業所が若干少なく6時間が標準的である。 ⑤1回当たりの実習人数は実習先、学校規模、時期によってさまざまである。最も多いのは事業所で 21人、作業所で26人であり、最も少ないのは事業所、作業所とも1人である。全体的にみると、作 業所で実習を行う生徒の方がやや多い。 ⑥長期休業中に現場実習を実施している学校は8校中2校であり、少数にとどまっている。 ここで各学校の現場実習の特徴を挙げると、以下のようになる。 A校:5年前の調査に比べて、長期休業中の実習を全学年で行うようになったのが特徴的である。 B校:標準的な形で、第2学年及び第3学年で実施している。第2学年の1∼3学期の事業所のみ の実習は5年前と変わっていない。 C校:第1学年から実習を行うようになり、またA校と同様、第3学年の夏休みに事業所実習を実 施している点が特徴的である。 D校:第2学年の1学期の未実施を除けば、実習学年、時期は標準的な形をとっている。5年前は 第2学年1学期に事業所で実習を行っていた。 E校:5年前は第3学年の毎学期に実習していたが、2学期のみに変わった点が特徴的である。ま た、第2学年の夏休みに行われていた実習は今回は行われていない。 F校:実施していなかった第1学年の2学期に事業所実習を行っている。 G校:以前とほとんど変わらないが、第2学年の2∼3学期の実習先が事業所だけでなく、作業所 も加わった形になっている。 (2)実習前の事業所・作業所への対応 実習に入る前に、学校側では事業所・作業所に対して、「個人の必要と思われる情報を提供する」 (7校)及び「作業の日程や内容の打合せをする」(6校)を行っている。 (3)巡回指導の実施状況 8校の養護学校のすべてが巡回指導を行っている。この場合、各学校独自の方式によっている。 具体的には以下の通りである。 A校:巡回指導担当者−学級担任、副担任、高等部主事、進路指導主事。指導内容−①実習中の基 本的生活習慣・態度(服装、身だしなみ、挨拶、返事、通勤状況、対人関係など)、②実習 先での作業状況の確認と指導(作業内容、手順、理解の様子、態度、技能など)、③実習先 からの連絡事項等の確認。 B校:①実習状況の確認、②評価表に示した「実習目的」「評価項目」にそって、実習先現場実習 担当者の評価を聞き取る、③実習生が行う作業を巡回教員が実際に体験する、④実習生に対 し、課題解決の指導をしたり、作業のやり方やこつのアドバイスをしたりする、⑤実習生に

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対し、作業内容や本人への配慮点を伝える。 F校:①終日指導(生徒の実習状況によって実施する)−事業所の要望や生徒の実態により、単独 では一任できない場合、②半日指導−初めて現場での実習を経験したり、特に配慮を要する 生徒の場合、③巡回指導−単独で実習可能と判断される生徒の場合。 (4)現場実習先への採用実績 表11に示したように、平成16年度から18年までの現場実習先への採用実績をみると、事業所にはそ れぞれ40人、60人、70人と年ごとに増加し、平成18年度は16年度の約2倍に増えている。同様に、作 業所へもそれぞれ100人、111人、126人と採用数が増えている。5年前の調査では、事業所(23人、 35人、36人)、作業所(76人、70人、72人)であったので、両方の採用者が大きく増えていることが わかる。とくに、作業所への採用人数は約3割の増加となっている。 3.現場実習の教育課程上の位置づけと作業内容 (1)現場実習の教育課程上の位置づけ 8校すべては、「教育課程に位置づけられている」としている。そのほとんどは「作業学習」に位 置づけており、「教科・職業」と併せて位置づけている学校が3校あった。 また、教育課程上位置づけていないが、夏休みなどの長期休業中に保護者の責任の下で、現場実習 が行われている。具体的な例としては、以下の通りである。 A校:保護者が直接事業所等に連絡を取り、日時等の打合せをして、学校の方に短期実習届を出す。 必要に応じて、学級担任等が事業所と打合せを行う。実習時間は8時間を超えないことを原 則とする。費用等については保護者が負担し、報酬は一切受けない。 C校:長期休業中の実習については、事業所のみで保護者の責任で行っている。高等部2年、3年 の学校の実習を行ってきた中で、保護者と相談の上、休業中にさらに経験を積ませたいとの 希望がある場合に実施する。福祉施設は自立支援法により、施設の負担や利用費の問題もあ り実施していない。 I校:依頼等は保護者が行い、学校からの文書は出さない。したがって、日数、時間なども保護者 と実習先との話し合いで決められ様々である。

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なおC校の場合、長期休業中の福祉施設での実習が、利用者一割負担を原則とする「障害者自立支 援法」注2)の施行により困難になっている点が注目される。 (2)現場実習の作業内容 実習先での作業内容を事業所、作業所別にみると次のようになる。 <事業所> ①クリーニング(カーテン、リネン)、②食品製造加工(食肉、ハンバーガー、パン)、 ③製造(自動車部品、紙、コンクリート、プラスチック、浄化槽、テレビ部品、段ボール)、④金属 加工(非鉄金属、配線コード)、⑤塗装(塗装補助)、⑥選別・仕分け(野菜、シーツ)、⑦詰める (箱)、⑧組立(自動車部品)、⑨梱包(住宅部品)、⑩プレス成型(ゴム製品)、⑪調理(ハンバーガ ー)、⑫清掃・回収(工場、ゴミ、環境整備)、⑬サービス(高齢者介護、ヘルパー補助、喫茶店の接 客)、⑭バックヤード(スーパーの野菜)、⑮検査(電子デバイス) <作業所> ①組立(自動車部品、ワイパー、ボールペン)、②折る(菓子箱)、③貼る・マーキン グ(シール、ラベル)、④入れる(シュレッター)、⑤加工・製造(パン、クッキー)、⑥はがしとる (自動車部品バリ)、⑦つぶす(空缶)、⑧やすりがけ(木材)、⑨ひも通し(紙袋)、⑩農作業、⑪清 掃、⑫リサイクル、⑬余暇活動 以上のように、事業所と作業所で作業内容が重複しているところもあるが、事業所は高齢者介護や ヘルパー、喫茶店の接客などサービス業が目立ち、作業所の方は折る、貼る、剥がすといった簡易作 業や余暇活動が多くなっている。最近は、ヘルパー2級の資格を活かした老人ホームなどでの実習が 増え、実習先として新たな職域が開拓されてきている。また、スーパーの野菜関連のバックヤードに 従事するケースも増えている。 (4)現場実習の狙いとその達成度 回答を寄せた9校の学校すべては、現場実習が「だいたい狙いどうり達成されている」としている。 その狙いとしては、第3学年については「就職に結びつけるため」を1位に、「職場での生活習慣を 身につけるため」を2位に挙げる学校が多い。第2学年では「現場に触れ働くことを理解させるため」 が1位である。第1学年については、1校のみの回答で1位は「ひとりひとりの能力や適性をみきわ めるため」であった。当然のことながら、卒業学年にあっては就職を意識した狙いになっている。な お、現場実習における当面の課題として次の記述があった。 D校:「保護者が実習日誌をきちんと書いたり、家庭で実習のことを話題にしたり、実習先に挨拶 に行くなど、家庭での支援を課題として挙げる実習先もある。」 4.現場実習の受けとめ方と要望 (1)実習生の受けとめ方 第一に、卒業後の進路先として受けとめている。

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○卒業後の進路を決める大切な機会である。 ○自分の進路を決めていく上で大切な学習として理解している。 ○将来就職するための職場実習。 第二に、学年や自己理解の程度によって受けとめ方が異なる。 ○3年生にとっては、卒業後の進路を具体的に意識する機会である。2年生にとっては、一人で事業 所の仕事をし、働くことを実体験する機会である。 ○(自己理解ができる生徒)不安・緊張→自信・意欲→自覚→自己改革 (自己理解の難しい生徒)不安・緊張→過大な自信→決まらないことへの不安・あせり 第三に、体験学習の場としての受けとめ方である。 ○いろいろな仕事を体験してみて、自分にあった仕事を見つけたい。 ○働くための経験や職場体験。 2)保護者の受けとめ方 第一は、卒業後の進路先のひとつと考えている。 ○卒業後に子どもを雇用してくれるための職場体験。 ○進路を決めていく上で重要であり、実習先に理解してもらえないと、進路先として結びつかないと 理解している。 ○進路の大まかな方向づけや具体的な進路先を決定したり、決定した進路先での継続的な実習により 適応状況が明確になることから、将来の生活がイメージできる。 第二は、生徒の適性や課題を把握する機会として受けとめている。 ○子どもの適性や課題を確認する機会。 ○生徒にいろいろな経験をさせ、生徒に合ったものを見つける実習として、学校以外のところで2週 間働けるかどうかを試してみる。 ○事業所、福祉施設いずれの進路にも経験する、慣れるという意味では大切なものである。 第三は、保護者が負担に感ずるといった受け止め方である。 ○期間が長く、弁当、送迎、必要経費など負担に感じている保護者も少なくない。 3)事業所・作業所の受けとめ方 第一は、現場実習が有意義であるとする受けとめ方である。 ○現場実習により、実習先の事業所や作業所に勤務、通所等が予想される場合、継続実習の実施によ り、本人理解や支援の方針等が決められるため有効である。 ○事業所、福祉施設いずれも、生徒のことをよく理解するという意味では必要なものであるし、受け 入れ側にとっても有意義なものである。 第二は、事業所の受けとめ方である。

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○事業所では実習を通し、障害のある子どもたちが働くことを理解する場、さらには就労をする上で 仕事を覚え学ぶ機会。 ○卒業後、実際に実習生が会社で働くことを考え、受け入れてくれている。障害者を雇用する予定が あるため。 ○事業所では仕事上助かった、実習生の態度を見て改めて勉強になったという感想がある。一方で、 支援を多く必要としたり、期間も長いことから負担に感じているところもある。 第三は、福祉施設・作業所の受けとめ方である。 ○作業所では卒業後、受け入れるかもしれない生徒の実態が把握できるととらえている。一方で、利 用者だけでなく実習生への支援が加わり負担に感じている。 ○作業所では、卒業後施設を利用する上で、生徒の様子など実習から知ることができる。 ○作業所は将来の利用者ととらえている。 (2)現場実習をすすめる際に学校として最も必要とされること 第一は、保護者及び実習先や関係機関への連絡や連携の充実についてである。 ○保護者との連携。(保護者の協力) ○実習生の実態と配慮事項を実習先にわかりやすく伝える。 ○実習先や関係機関との連携。(情報提供、作業内容の話し合い) ○卒業後も関わってくれるという安心感・信頼感を実習先との間に築く。 第二は、現場実習の指導についてである。 ○個人に関する実態を把握する。実習の狙いの明確化。 第三は、職場開拓についてである。 ○新規事業所の開拓。 ○生徒の実態に合った実習先の選定。生徒の興味・関心に応じたジョブマッチング。 (3)学校が保護者、事業所・作業所、公共職業安定所などに望んでいること 1)保護者への要望 生活支援(体力、健康管理など基本的生活習慣)、実習先への挨拶回り、社会人としての自覚を持 たせる、実習先・学校との共通理解と情報交換などの多くの要望が挙げられている。 ○体力を身につける。あわせて、一人で通学する力を身につける。 ○実習先への挨拶など実習に対する協力。 ○社会人、大人としての対応を心がける。子どもに社会人としての自覚を持たせるための指導。 ○実習日誌の記入など実習先との情報交換。必要に応じた学校(担任)との連絡。 2)事業所・作業所への要望 受け入れの推進や担当者配置、適した仕事の提供、学校や保護者への情報提供などを挙げている。

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○実習受け入れの推進。 ○実習生を直接指導してもらえる担当者をお願いしたい。 ○生徒に合った仕事(作業)の提供。 ○問題や課題が生じたときの学校や家庭への率直な情報提供。 ○学校についての理解を示してほしい。(事業所)実習への理解。 3)公共職業安定所への要望 職場・実習先の開拓や情報提供、卒業後の職場適応指導や離職者への支援、事業所への啓発などを 挙げている。 ○職場の開拓や情報提供。新規開拓の努力及び情報提供。実習先の紹介。手続き等の案内・周知・相 談。採用依頼や面接への同行。実習先の職場の特徴などの説明。 ○卒業後の職場適応。離職者への支援・援助。 ○地域社会(事業所など)への啓発。 4)その他の関係機関(社会福祉協議会など)への要望 進路先などの情報提供、卒業後の就労・余暇活動支援のネットワークづくり、相談機能の充実など 多く挙げられている。 ○実習先に関する情報提供。実習生や家庭に関する情報提供。福祉関係事業者、施設などの情報提供。 ○障害者の就労に関するネットワークづくり。何らかの形で、学校を中心としたネットワークに参加 してほしい。卒業後の余暇活動への支援。(青年学級など) ○相談機能の充実。卒業後の相談支援体制の強化。 5.現場実習を推進するための課題 最後に、実習をすすめる上での問題点や悩み、あるべき姿についてまとめると、次のようになる。 第一は、実習先の確保に関わる課題についてである。 ○一般事業所での実習を希望する生徒の実習先の確保が充分ではない。また、希望する職種での実習 が難しい。学校としては、実習を希望する生徒は全員希望する職種での実習をできるのが理想。学 校の通学圏が広いため、希望の実習先が見つかっても通えなく、実習につながらない場合もあり、 公共交通機関の問題もある。 ○障害者自立支援法が施行され、就労に対する支援・サービスをする事業所が増加し、施設において も一般企業への就労が積極的になってきている。同じ地域の中で実習先が重なってしまうことや実 習先の開拓なども難しくなっている。また、施設での実習では、費用負担の問題もでてきている。 費用負担となると、いくらぐらいになるのか不安もある。費用があまりかかるようになると、実習 のあり方や期間などを見直さなければならない。

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○福祉的就労として、作業所に実習生を受け入れてもらう際、特別支援学校同士で実習期間が重なる ことで、時期を変更しなければならなかったり、希望の実習先で受け入れていただけなかったりと いうことが目立っている。(受け入れ人数の制限もあることから)学校行事等の都合により、実習 期間を変更することは難しい現状が悩みです。 第二に、指導上の配慮・課題についてである。 ○事業所での実習では、事業所の評価に一喜一憂するのではなく、教員が積極的に生徒の特色を伝え たり、職務内容を協議したり、生徒への配慮や関わり方を知らせていく。 ○学校から企業に向けて、養護学校にも働ける生徒がいることなどの啓発をしていく必要がある。教 員側が就労についての理解を深めていく必要がある。 第三に、保護者や事業所との連携についてである。 ○日々の家庭生活が実習先での仕事に影響するので、保護者との連携や啓発が大切。 ○「実習先や就職先は学校が決めてくれるのでしょう」という保護者。実習=就職という考えをもっ てしまい、事業所側から実習は受け入れたが、就職にはつながらない旨の評価があっても理解でき ない保護者。 第四に、地域社会の理解や就労後の支援体制についてである。 ○現状では出口指導としての実習の意味合いが強い。本来の実習の狙いである勤労観や職業観の育成、 能力や技能の伸長、進路選択のための資料や機会などさらに取り組めるよう、地域社会の理解や法 的整備がすすむとよい。 ○実習は就労する上で、最も大切な学習の一つであると考えるが、就労後の支援体制づくりをしてい くことも重要。

Ⅲ 調査結果の要約と今後の課題

以上の中学校特殊学級、養護学校中学部及び高等部の調査結果を要約し、進路指導の観点から今後 の課題を考えることにする。

A

中学校特殊学級

1.対象者 今回の調査対象者(校)は64校であり、回収率は64%である。5年前とほぼ同数の回答が得られ、 調査結果を比較するに十分な回答数である。 調査対象者の校務分掌は、「特別支援教育」あるいは「障害児教育」であり、前回調査では見られ なかった「特別支援教育コーディネーター」が加わったことが特徴的である。

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2.在籍生徒数 在籍する生徒数は397人であり、前回、前々回調査に比べ急増している。男女比は変わっていない。 3.卒業生の進路 平成18年3月の卒業生の進路は「進学」(87.8%)、「就職」(5.1%)である。ここ10年間で進学者の 増加、就職者の減少傾向が続いている。このことは、平成16∼18年までの実習先への採用実績でも同 様のことが言える。 4.現場実習の実施状況 平成18年度に現場実習を実施した学校は64校中わずか6校(9.4%)であった。前回調査では15校 (24.5%)であったので、極端に少なくなっている。実習先は前回調査では作業所が中心であったが、 今回は事業所の方が多くなっている。学年でみると、第2学年、第3学年、第1学年の順に多い。 「夏休みに実習を行っている」とする学校が約4割を占める。期間や1日当たりの時間は学校によっ てさまざまである。 5.現場実習の教育課程上の位置づけ 現場実習を行った6校すべてが、進路指導や作業学習として教育課程に位置づけている。未実施校 で位置づけている学校は9校であり、実施した学校と合わせても全体の23.4%と少ない。また、未実 施校で教育課程にも位置づけていない学校では、「マイチャレンジ」などの全校的に職場体験を実施 している場合が多い。前回の調査に比べても、職場体験を実施する学校は増えている。 6.実習前後の対応 実習に入る前に、「狙いの説明」、「職場環境について見たり聞いたり」している。巡回指導は、学 校が独自の方法ですべて行っている。現場実習の狙いとしては、卒業学年に近づくほど就職を意識し たものになっている。また、「狙いはほぼ達成された」としている。 7.作業内容 前回に比べると実施校が少なくなり、事業所、作業所とも作業の種類が減っている。 8.現場実習の受けとめ方 実習生は、事業所では「将来の就職のための学習の場」、作業所の方は「楽しみや喜びを得る場」 として受けとめている。保護者は好意的な受けとめ方が多いが、「歓迎されていない」といった否定 的な受けとめ方もある。事業所、作業所の多くは好意的に受けとめているが、「負担に感じる」とい った課題を指摘する事業所もある。 9.学校として必要なこと 実習先の確保と維持、関係者(とくに保護者)の理解・協力、実習生の指導などの事柄が挙げられ ている。

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10.関係者への要望 保護者へは家庭での指導、進路への関心、学校への協力などの要望がある。事業所・作業所へは就 労の場の拡大、指導方法などに関する要望がある。公共職業安定所や社会福祉協議会には、就労の場 の拡大と情報提供、学校との連携、就職後のケアーなどの要望があった。 11.今後の実習をすすめるための課題 実習先の確保、保護者への配慮などの課題が山積している。ほとんどの生徒が養護学校高等部へ進 学する現在、中学校特殊学級における現場実習のあり方を抜本的に捉え直す時期にきている。

B

養護学校中学部

1.対象者 調査対象校は9校であったが、その校務分掌はほとんどが「進路指導主事」であった。 2.在籍生徒数 在籍する生徒数は382人であり、前々回の調査では261人であったので、ここ10年間で121人増えて いる。 3.卒業生の進路 平成18年3月の卒業生の進路は「進学」(97.7%)、「作業所・施設」(2.3%)である。ここ10年間で 養護学校高等部への進学者が約98%と急増し、就職する者がひとりもいなくなっている。 4.現場実習の実施状況 平成18年度に、現場実習を実施した学校は9校中5校(55.5%)であった。生徒のほとんどが養護 学校高等部へ進学することと関係して、中学部では必ずしも現場実習は行われていない。実施されて いる場合は、中学部第3学年の2学期に事業所や作業所で2日∼2週間、1日当たり4∼7時間実習 している。また、保護者の責任の下で夏休みに、作業所や施設で2∼3日実習を行っている。 5.現場実習の教育課程上の位置づけ 現場実習を行った5校すべてが、「進路指導」や「作業学習」として教育課程に位置づけている。 6.実習前後の対応 実習に入る前に、「個人情報の提供」、「作業日程や内容の打合せ」をしている。巡回指導は3校が 独自の方法で行っている。現場実習の狙いは「ほぼ達成された」としている。 7.作業内容 前回に比べると実施校が少なくなり、事業所、作業所とも作業の種類が減っている。 8.現場実習の受けとめ方 実習生は、「将来の社会生活の体験学習の場」として受けとめている。保護者は、「卒業後の進路先」、 「子どもの能力・適性理解の場」と肯定的に受けとめている。事業所、作業所は好意的に受けとめて

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いるが、「負担に感じる」など否定的な受けとめ方もある。 9.学校として必要なこと 生徒の実態把握、進路先の情報収集、保護者との連携などが挙げられている。 10.関係者への要望 保護者へは子どもの健康管理、実習先への挨拶、学校との連携などの要望がある。事業所・作業所 へは実習の受け入れ、情報交換、実習生の責任者の配置などに関する要望がある。公共職業安定所や 社会福祉協議会には、実習先の紹介などの情報提供の要望があった。 11.今後の実習をすすめるための課題 養護学校中学部における現場実習は進路指導上重要であるとしながらも、実習先の確保や個々の生 徒の発達段階への配慮など課題も山積している。生徒全員同じ形、同じ場所でということでなく、生 徒の実態やニーズに応じた柔軟な現場実習のあり方の検討が必要である。

C

養護学校高等部

1.対象者 調査対象校は8校であったが、その校務分掌はほとんどが「進路指導(主事を含む)」であった。 2.在籍生徒数 在籍する生徒数は725人であり、前回の調査では対象校が同じく8校で479人であったので、ここ5 年間で236人の大きな増加になっている。また、すべての養護学校で増加傾向を示している。これは、 中学校特殊学級及び養護学校中学部から高等部への進学率が伸びた影響による。 3.卒業生の進路 平成18年3月の卒業生の進路は「作業所通所者」(48.7%)、「就職者」(31.9%)、「施設入所者」 (10.3%)、「その他」(9.1%)である。全体に対する割合は変わらないものの、ここ5年間で就職者と 作業所通所者の人数はほぼ倍増している。これは卒業生の人数が大きく増えたことによる。 4.現場実習の実施状況 平成18年度は、調査対象校の8校すべてが現場実習を実施している。各校とも第3学年の各学期、 第2学年の2学期と3学期に実施している。実習先は事業所と作業所とがほぼ対になっている。期間 は2∼3週間である。1日当たりの時間は7∼8時間であり、作業所の場合は6時間と短い。長期休 業中に、保護者の責任で現場実習を行っている学校も数は少ないがみられる。 5.現場実習の教育課程上の位置づけ 8校のほとんどは、「作業学習」として教育課程に位置づけている。また、「教科・職業」と併せて 位置づけている学校もある。

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6.実習前後の対応 実習に入る前に、ほとんどの学校は「個人情報の提供」、「作業日程や内容の打合せ」をしている。 巡回指導は生徒へのアドバイスなど、すべての学校で行っている。現場実習の狙いは、「ほぼ達成さ れた」としている。 7.作業内容 事業所と作業所で作業内容が重複しているところもあるが、事業所はサービス業が目立ち、作業所 の方は簡易作業や余暇活動が多くなっている。最近は、ヘルパー2級の資格を活かした老人ホームで の実習など新たな職域が開拓されてきており、また、バックヤード関連の仕事に従事するケースも増 えている。 8.現場実習の受けとめ方 学年や自己理解の程度によって異なるが、実習生は卒業後の進路先や体験学習の場として受けとめ ている。保護者は、卒業後の進路先、能力・適性の理解の場と肯定的に受けとめている反面、弁当、 送迎、必要経費など負担に感ずる場合もある。事業所、作業所は全体として好意的に受けとめている が、期間が長いなど負担になっている面がある。 9.学校として必要なこと 保護者や実習先との連携・協力や実習中の指導の充実が必要だと考えている。 10.関係者への要望 保護者へは実習先への挨拶、学校との連携、子どもの社会人としての自覚などの要望がある。事業 所・作業所へは実習の受け入れ、担当者配置、情報提供など多くの要望がある。公共職業安定所や社 会福祉協議会には、職場開拓や卒業後の適応支援、就労支援ネットワークづくりなどの要望があった。 11.今後の実習をすすめるための課題 実習先の確保、実習中の指導上の課題、保護者や事業所との連携、就労後の支援体制づくりなど多 くの課題がある。とくに、昨年施行された「障害者自立支援法」との関係で、施設利用者の一割負担 の問題が実習先を確保する上で大きな障害になっている。 以上の結果から中学校特殊学級、養護学校中学部及び高等部の現場実習のあり方について、進路指 導の視点から総合的に考察する。 第一に、中学校特殊学級における現場実習の実施状況についてである。先にみてきたように、中学 校特殊学級の卒業生の進路は87.8%が養護学校高等部へと進学し、就職者はわずか5人である。こう した状況の中で、中学校段階での現場実習実施の意義が薄れてきている現状がある。このことは、平 成18年度に現場実習を実施した学校は6校にとどまり、調査対象校のわずか9.4%であったことから もわかる。今後は中学校の現場実習のあり方を見直し、その意義をもう一度問い直していかねばなら

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