〈書評〉近藤文男著『日本企業の国際マーケティング--民生用電子機器産業にみる対米輸出戦略』
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(2) 第52巻. 1は. 第1号. じ. め. に. 本 書 は,日 本 の家 電 メ ー カ ー の 対 米 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ に焦 点 を 当 て,そ の 実 態 を 明 ら か に す る と と もに,従 来 の 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ論 に お け る輸 出 マ ー ケ テ ィ ング の 理 論 的 把 握 の再 検 討 を試 み た 労 作 で あ る。 本 書 で は,各 家 電 メ ー カ ー の 社 史 や 社 内 資 料,さ HorneFurnishingDailyや て,企 業 の 経 営 者,マ. らには. 『電 波 新 聞 』 とい った 日米 の 業 界 紙 な どの 膨 大 な 文 献 資 料 に加 え ネ ジ ャー,日 米 の業 界 紙 の編 集 長 や 記 者,バ. イ イ ン グ ・グ ル ー プ や. 業 界 団 体 の 関 係 者 な ど に対 す る数 多 くの イ ンタ ビ ュ ー に 基 づ き,歴 史 的 事 実 を 踏 ま え た リ ア ル な 分 析 が 展 開 さ れ て い る。 評 者 は 必 ず し も国 際 マ ー ケ テ ィ ング の 専 門 的 研 究 者 で は な い が,学 部 学 生,大 学 院 生 の 頃 よ り今 日ま で 教 授 の 薫 陶 を 受 け,比 較 的 近 い距 離 で 教 授 の 研 究 に触 れ る こ とが 出来 た 。 そ こで,門 下 生 の 一・ 人 と して,本 書 の 内 容 を簡 単 に紹 介 す る と と も に,不 十 分 な が ら も若 干 の コ メ ン トを 提 示 す る こ と と した い 。 まず,あ. らか じめ 本 書 の 構 成 を 以 下 に示 す。. は しが き 序章. 本 書 の 課 題 と対 象. 第1章. 戦 後 ア メ リカ の 家 電 流 通 シ ス テ ム. 第2章. 三 洋電機 の輸 出マ ーケテ ィ ング. 第3章. 東 芝の輸 出マ ーケテ ィング. 第4章. シ ャー プ の輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ. 第5章. 日立 の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ. 第6章. 松下 電器産業 の輸 出マ ーケ テ ィング. 第7章. 三 菱 電 機 の輸 出 マ ー ケ テ ィ ング. 第8章. ソニーの輸 出マ ーケテ ィング. 結章. 輸 出 マ ー ケ テ ィ ング の現 代 的 意 義 と課 題. 2本. 書 の 研 究 課 題 と分 析 対 象. 近 藤 教 授 も 自 ら述 べ られ る と お り,本 書 の特 徴 は,「 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グが 国 際 マ ー ケ.
(3) 〔書 評 〕 近 藤 文 男 著 『日本 企 業 の 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ』(大 内) テ ィ ン グ の 一 形 態 で あ る と と も に,国. 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の 完 成 形 態 で あ る グ ロー バ ル ・. マ ー ケ テ ィ ン グ の 重 要 な モ メ ン トω を 形 成 し て い る こ と を 主 張 して い る 点 に あ る 」(2ペ ジ。 以 下,ペ ー ジ数 はす べ て 同 書 の もの)。 こ れ は,そ は,輸. ー. れ ま で の 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ論 に お い て. 出 マ ー ケ テ ィ ン グ が 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の 単 な る 前 史 と 捉 え ら れ,あ. るい は輸 出. マ ー ケ テ ィ ン グ の 理 論 的 位 置 づ け が 正 当 に 行 わ れ ず,「 輸 出 を 無 視 し た 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 研 究 が 横 行 し て い る 」(は しが き2ペ ー ジ)こ. と に 対 す る 批 判 を 意 図 し て い る 。 「輸 出 マ ー. ケ テ ィ ン グ は グ ロ ー バ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ の 支 配 的 な 今 日 に お い て も な お 依 然 と し て 重 要 な 役 割 を 果 た して い る ば か り か,輸. 出 マ ー ケ テ ィ ン グ に光 を 当 て る こ と に よ って こ れ ま で. 解 明 さ れ て こ な か っ た 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ に 関 す る 基 本 的 性 格 の い くつ か の 点 が 明 ら か に な る 」(2-3ペ ー ジ)と の 解 明,②. い う 問 題 意 識 を 出 発 点 と し て,教. 授 は,①. 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の実 態. 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ と 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 関 係 の 理 論 的 把 握,の2点. を,本. 書 の 研 究 課 題 と し て 設 定 して い る 。' こ れ ら の う ち 前 者 の 課 題 に 接 近 す る た め,教. 授 は,分. 析 対 象 と して,ラ. テ ー プ レ コ ー ダ ー な ど 民 生 用 電 子 機 器 産 業 を 取 り 上 げ,ま. た ア メ リカ市 場 に対 す る輸 出. マ ー ケ テ ィ ン グ を 中 心 的 な 研 究 対 象 と して い る。 こ れ は,民 密 機 器,複. ジ オ ・テ レ ビ ・. 生用電 子機器 が. 「自 動 車 や 精. 写 機 な ど と 並 ん で 日本 の 代 表 的 な 輸 出 製 品 で あ る 」こ と と,日 本 の 代 表 的 な メ ー. カ ー の 主 要 な 輸 出 先 が ア メ リ カ で あ り,「 ア メ リ カ 市 場 を 制 す る こ と は 世 界 市 場 を 制 す る に 等 し」 く,「 多 く の 産 業 で 企 業 の 地 球 規 模 へ の 発 展 は,ア. メ リカ市 場 へ 接 近 で き る か ど. う か で 決 ま っ て い た 」 こ と よ り,「 ア メ リ カ に 焦 点 を 当 て る こ と に よ っ て,輸 ン グ の 基 本 的 性 格 を 十 分 説 明 で き る 」(以 上,4-5ペ に,本. ー ジ)と. 書 で は 単 な る 一 企 業 の 事 例 研 究 に と ど ま らず,三. 松 下 電 器 産 業 ・三 菱 電 機 ・ソ ニ ー の7社 い 製 品,設. 出マー ケテ ィ. 教 授 が考 え た こ と に よ る。 さ ら. 洋 電 機 ・東 芝 ・シ ャ ー プ ・ 日 立 ・. の 事 例 研 究 が 展 開 さ れ る 。 こ れ は,「 規 模 や 取 扱. 立 時 期 の 異 な る 複 数 企 業 を 分 析 対 象 とす る こ と に よ っ て,日. 本 の 民 生 用 電 子機. 器 メ ー カ ー の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 共 通 性 と 多 様 性 を 浮 き 彫 り に す る こ と を ね ら っ た 」(6 ペ ー ジ)も. の で あ る。. 次 に 後 者 の 課 題 に 関 して,教. 授 は,W.J.キ. ー ガ ン2,P.R.カ. トー ラ(3),竹 田 史 朗(4),F.. (1)「 要 素 」 と 「モ メ ン ト」 との違 い を,教 授 は 以 下 の よ うな 比 喩 を用 い て説 明 して い る。 「要 素 は 砂 粒 の よ うな もの で,砂 浜 の 砂 粒 が1つ や2つ な くて も砂 浜 は立 派 に 存 続 す る。 と こ ろ が モ メ ン トと は,人 間 に と って心 臓 が な くて は 人 間 その もの の 存 立 が 不 可 能 で あ る よ うに そ れ な く して そ の も の 自体 が 存 立 で き な い,と い う意 味 を 持 つ 概 念 で あ る」(2ペ ー ジ)。 (2)WarrenJ.Keegan(19$4),Multinational:tivrketingManagement,3rded.,PrenticeHall;Warren J.Keegan(1989),αoわoJル 勉rセ"〃8↓fα πα98鷹π'.nthed.,PrenticeHall. (3)PhillipR.CateoraandJohnL_Graham(2002),1'nternationalMarketing,11thed, McGraw-Hill. -143(143)一.
(4) 第52巻 R,ル. 第1号. ー ト(5),高 井 真(6)ら に よ る 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 論 の 先 行 研 究 を レ ビ ュ ー し,輸. ケ テ ィ ング を 見 る 見 解,③. ① 国 内 マ ー ケ テ ィ ン グ の 延 長 と 見 る 見 解,②. 出マ ー. 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の 一 形 態 と 見 る 見 解,と. 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の前 史 と い っ た よ う に,輸. 出マ ーケテ ィ. ン グ の 理 論 的 把 握 に 関 し て 先 行 研 究 に は 見 解 の 相 違 が 見 ら れ る こ と を 指 摘 す る(7)。こ れ ら の う ち,教. 授 の 見 解 は ③ に 最 も近 い と思 わ れ る が,教. え る 問 題 点 と し て,国. れ ら先 行 研 究 が 共 通 して 抱. 際 マ ー ケ テ ィ ン グ ー 般 の 定 義 が 示 さ れ ず,輸. ル チ ナ シ ョ ナ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ,グ 列 記 す る に と ど ま り,こ. ロ ー バ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ と い っ た 諸 段 階 の 定 義 を. 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の 理 解 に混 乱 を も た らす だ け で な. く そ の 認 識 を 深 あ る 際 に 妨 げ と な る 」(8ペ. 3国. 出 マ ー ケ テ ィ ン グ,マ. れ ら諸 概 念 の 関 係 が 明 確 に 論 じ ら れ て こ な か っ た 点 を 指 摘 す る 。. そ の 上 で,「 概 念 の 不 正 確 な 使 用 は,国. で は,国. 授 は,こ. ー ジ)と 批 判 す る 。. 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の 理 論 的 フ レー ム ワ ー ク. 際 マ ー ケ テ ィ ン グ,輸. 出 マ ー ケ テ ィ ン グ,マ. ル チ ナ シ ョ ナ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ,. グ ロ ー バ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ と い っ た 諸 概 念 は ど の よ う に 定 義 さ れ,整 授 は,ま. ず 国 内 マ ー ケ テ ィ ン グ と 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ を,マ. 場 に よ っ て 区 別 し,国. 理 され るのか。教. ー ケ テ ィ ン グが 働 き か け る市. 際 マ ー ケ テ ィ ン グ を 「国 境 を 越 え て 複 数 の 国 で,市. 特 異 性 に 注 目 し4P(product,price,promotion,place)活. 場 での類似 性 と. 動 を 中 心 と し て そ れ らの 活. 動 を 統 合 的 に 行 う マ ー ケ テ ィ ン グ 」(439ペ ー ジ)で あ る と定 義 す る 。 さ ら に,一 る と こ ろ の 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ は,実 マ ー ケ テ ィ ン グ,グ (12ペ ー ジ)と. 際 に は 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ,マ. ロ ー バ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ の3つ. す る 。 教 授 に よ れ ば,国. 般概念 で あ. ル チ ナ シ ョナ ル ・. の 「特 殊 な 形 態 を 採 っ て 現 象 す る」. 際 マ ー ケ テ ィ ン グ は 一 般 に は 「輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ. か ら マ ル チ ナ シ ョナ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ の 段 階 を 経 て,グ 階 へ と 発 展 す る 」(同 上)。 ま た,「 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ は,輸 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ を 主 要 な モ メ ン トと し,マ. ロ ー バ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ の 段 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 段 階 で は,. ル チ ナ シ ョ ナ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ を 次 要 な. モ メ ン トと す る 。 マ ル チ ナ シ ョナ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ の 段 階 で は,国. 際 マーケテ ィングは. (4)竹 田史 朗(1996)「 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の特 性 」 角 松 正 雄 ・大 石 芳 裕 編 著 『国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ体 系 』 ミネ ル ヴ ァ書 房 。 (5)FranklinR.Root(1971),"TowardsanEnterpriseTheoryofInternationalMarketing,"in: GeorgeFisked.,NewEssaysinMarketingTheory,AllynandBacon. (6)高 井 真(1972)r輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ計 画(改 訂 版)』 法 律 文 化 社 。 (7)教 授 の 分 類 に従 え ば,キ ー ガ ンや カ トー ラ は① に,竹 田 は② に,ル ー トや 高 井 は③ に,属 す る 論 者 で あ る。 144(144).
(5) 〔書 評 〕 近 藤 文 男 著r日. 本 企 業 の 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ』(大 内). マ ル チ ナ シ ョナ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ を 主 要 な モ メ ン ト と し,輸. 出 マ ー ケ テ ィ ング を 次 要 な. モ メ ン ト と す る よ う に な る 」(同 上)。 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ が さ ら に 発 展 して グ ロ ー バ ル ・ マ ー ケ テ ィ ン グ の 段 階 に 至 る と,「 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ と マ ル チ ナ シ ョ ナ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ は,相. 互 に 統 合 し 展 開 さ れ 」(同 上)る. よ う に な り,両. 者 は 「癒 着 ・融 合 し て グ ロ ー バ. ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ の 不 可 避 の モ メ ン トと して 機 能 す る」(440ペ ー ジ)。 し た が っ て,モ ン トと し て の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ は,マ. メ. ル チ ナ シ ョ ナ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ や グ ロ ー バ ル ・. マ ー ケ テ ィ ン グ の 段 階 に お い て 消 滅 す る の で は な く,む. し ろ包 摂 さ れ 機 能 す る こ と と な. る 。 な お,こ. こ で い う輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ が 対 象 と す る 商 品 は,「 本 国 で 生 産 さ れ た 製 品 の. み な らず,第. 三 国 に お け る 子 会 社 で 生 産 さ れ た 製 品 」(17ペ ー ジ)も 含 ま れ る 。 実 際,グ. バ ル な 競 争 が 展 開 さ れ る 今 日 に お い て ,本 す 役 割 が 大 き く な っ て お り,こ な お,輸. ロー. の 事 実 は,グ. 国 を 経 由 し な い い わ ゆ る 「第 三 国 輸 出 」 の 果 た ロ ー バ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ の 段 階 に お い て も. 出 マ ー ケ テ ィ ン グ が モ メ ン トと し て 機 能 して い る こ と を 端 的 に 示 し て い る,と. 教. 授 は論 じて い る。 評 者 の 感 想 を 率 直 に 述 べ る な ら ば,モ ナ シ ョ ナ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ 」 と,国. メ ン トと し て の 「輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ」 ・「マ ル チ 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の 具 体 的 形 態,す. な わ ち発 展 段 階. と し て の 「輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ 」 ・「マ ル チ ナ シ ョ ナ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ 」 と い う,明 区 別 さ れ る べ き 概 念 に 対 し て,同. 一 の 命 辞 が 使 用 さ れ て い る こ と が,提. 示 された理論 的 フ. レー ム ワ ー ク の 理 解 を 困 難 に し て い る よ う に 思 わ れ る 。 し か し な が ら,上 整 理 は,社. 確 に. 記 の よ う な概 念. 会 事 象 は 前 段 階 を 内 包 す る 形 で 発 展 す る と い う教 授 の 発 展 史 観 を 強 く反 映 した. も の と な っ て お り,諸. 概 念 の 定 義 と関 係 性 を 明確 に示 さ な い ま ま 国 際 マ ー ケ テ ィ ング諸 活. 動 の 標 準 化 一 適 応 化 や 配 置 一 調 整 と い う戦 略 的 ・実 務 的 課 題 の み に 着 目 して 論 じ ら れ る こ と の 多 か っ た 理 論 動 向 に 対 して,教. 4輸. 次 に,モ. 授 の 貢 献 は き わ め て 大 き い もの で あ ろ う。. 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 概 念 と形 態. メ ン トと して の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ が い か な る 概 念 で あ る か,さ. らに い か な る. 形 態 を と っ て あ ら わ れ る か と い う 課 題 へ の 接 近 が 試 み ら れ る 。 前 者 に 関 し て,教. 授 は,. マ ー ケ テ ィ ン グ の 実 体 が 「販 売 を 中 心 と す る 販 売 に か か わ る 諸 活 動 」 で あ る の と 同 様 に, ,輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 実 体 は 「輸 出 販 売 を 中 心 と した そ れ に か か わ る 諸 活 動 の 統 合 的 過 程 」 (い ず れ も14ペ ー ジ)で. あ る,と. が 販 売 で あ る 」(同 上)と. 主 張 す る 、 一輸 出 販 売 と 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 共 通 し た 実 体. す れ ば,両. 者 の 差 異 は何 に 見 出 され る の で あ ろ うか 。 教 授 は この 一145(145)一.
(6) 第52巻. 第1号. 点 に 着 目 し,輸 出マ ー ケ テ ィ ング の 概 念 を 以 下 の よ うに整 理 して い る。 ①. 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ は,「 輸 出 販 売 に と ど ま らず 輸 出 販 売 に 関 わ る諸 活 動 を 含 む 」 (16-17ペ ー ジ)。. ②. 輸 出 販 売 が 「輸 出 国 の生 産 者 ま た は商 社 か ら輸 入 国 の 輸 入 者 に至 る販 売 過 程 を 対 象 と す る」 の に対 し,輸 出 マ ー ケ テ ィ ング は 「輸 出 国 の生 産 者 か ら輸 入 国 の最 終 消 費 者(需 要 者)に 至 る販 売 過 程 ま で を 対 象 とす る」(17ペ ー ジ)。. ③. 輸 出販売 で は 「 相 手 国 で の 販 売 は現 地 の流 通 業 者 が 行 」 い,販 売 形 態 が 「短 期 的 で, ス ポ ッ ト販 売 で あ る」 の に対 し,輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ は 「本 国 の 親 会 社 と輸 出 先 の 自社 販 売 子 会 社 の 協 力,共. ④. 同 に よ って 行 わ れ 」,「販 売 形 態 は 長 期 継 続 的 で あ る」(同 上)。. 輸 出販 売 が 対 象 と す る製 品 は,「 本 国 で 生 産 さ れ た 製 品」 で あ り,輸 出相 手 国 の ニ ー ズ は 基 本 的 に考 慮 さ れ な い⑧ の に対 し,輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グが 対 象 とす る製 品 は,「輸 出 国 の 消 費 者 の ニ ー ズ に基 づ い て 」 生 産 され,「 本 国 で 生 産 され た 製 品 の み な らず,第 三 国 に お け る子 会 社 で 生 産 さ れ た 製 品 」 も含 ま れ る(同 上)。. ⑤. 輸 出販 売 を行 う組 織 が 「ハ メ コ ミ式 輸 出部 門 」(Built-InExportDepartment)で. あ. るの に対 し,輸 出 マ ー ケ テ ィ ング を 行 う組 織 は 「本 社 の 貿 易部 な い し独 立 輸 出部 と現 地 販 売 会 社 」 で あ る(同 上)。 さ らに,輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グが い か な る形 態 を と って あ らわ れ るか とい う後 者 の 課 題 に 関 して は,OEM供. 給 やPB商. 品 の供 給 の よ う に,輸 出 国 の相 手 先 ブ ラ ン ドを付 与 して 自. 社 商 品 を 供 給 す る形 態 と,自 社 ブ ラ ン ドを 付 与 して 供 給 す る形 態 とが あ る と し,そ れ ぞ れ 「OEM供. 給 に よ る輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ」,「自社 ブ ラ ン ドに よ る輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ」 と呼. ん で い る。 教 授 は,競 争 戦 略 の側 面 か ら見 る と,前 者 は コス ト優 位 戦 略,後 者 は差 別 化 戦 略 で あ る と整 理 して い る。 第2章 か ら第8章 ま で の 各 章 に お い て分 析 され る各 メ ー カー の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ活 動 の 展 開 は,こ の 二 者 を 両 極 とす る スペ ク トラ ム上 に配 置 さ れ る。. 三洋. 東芝. シ ヤー プ. 日立. OEM供 給 によ る輸 出マーケ テ ィング中心. 松下. 三菱. ソニ ー. 自社 ブラ ン ドによる輸 出マ ーケ テ ィ ング中心. (注)図 は評者 が作 成 した もの。 (8)「 輸出販売 が輸 出相手 国の消費者 のニー ズを無視 した商 品を,(中 略)ス ポ ッ ト販売 す るの に対 し」390ペ ー ジ。 -146(146)一.
(7) 〔 書 評 〕 近 藤 文 男 著 『日本 企 業 の 国 際 マ ー ケ テ ィ ング』(大 内) 教 授 は,前. 著(9>を 発 表 さ れ て 以 来 こ れ ま で 一 貫 し て,マ. 心 と し て 販 売 に 関 わ る 諸 活 動 で あ る こ と を 主 張 し⑩,マ. ー ケ テ ィ ング の 実 体 が 販 売 を 中. て,①. ー ケ テ ィ ング と販 売 と の 差 異 と し. 顧 客 の ニ ー ズ と ウ ォ ン ツ の 実 現,②pre-selling,selling,after-sellingと. 連 の 計 画 的 ・組 織 的 活 動,と. い う一. い う二 点 を 指 摘 さ れ て き たau。 こ の 教 授 の 考 え が,輸. ケ テ ィ ン グ の 理 論 的 把 握 の べ 一 ス と な っ て い る こ と は 明 ら か で あ ろ う。 た だ し,こ を 踏 ま え る と,輸. の こと. 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 二 形 態 に 関 して は 若 干 疑 問 の 余 地 が 残 る よ う に 思 わ. れ る 。 こ れ に 関 して は 本 稿 第6節. に述 べ る こ と とす る。. 5事. 本 書 で は,第1章. 出マ ー. に お い て1950年. 例 研 究 の 紹 介. 代 後 半 か ら1970年. テ ム の 動 態 的 変 化 を 明 ら か に し た 上 で,第2章 日本 の 民 生 用 電 子 機 器 メ ー カ ー7社 る 。 さ ら に 結 章 に お い て,こ. 代 に か け て の ア メ リカ 家 電 流 通 シ ス. か ら第8章. ま で の 各 章 に お い て,代. 表的 な. の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 実 態 が 詳 細 に叙 述 さ れ て い. れ ら の 事 例 研 究 の 比 較 分 析 を 通 じて,日. 本 の メー カ ー の 輸 出. マ ー ケ テ ィ ン グ の 共 通 性 と 差 異 性 が 析 出 さ れ て い る.そ. の 上 で,輸. の 現 代 的 意 義 と 課 題 に 関 す る 教 授 の 主 張 が 展 開 さ れ,本. 書 が 結 ば れ て い る。 事 実 の 詳 細 は. 本 書 の 内 容 に 譲 り,こ い て,5-2に. こ で は,以 下,5-1に. 出マ ー ケ テ ィ ン グ研 究. お い て ア メ リカ の 家 電 流 通 シス テ ム の実 態 に つ. お い て 日本 の 家 電 メ ー カ ー の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 共 通 性 に つ い て,5-3に. い て 各 メ ー カ ー の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 特 徴 に つ い て,最 テ ィ ン グ 研 究 の 現 代 的 意 義 と課 題 に つ い て,教. 後 に5-4に. お. お いて輸 出 マ ーケ. 授 の 分 析 ・主 張 を 簡 単 に 要 約 す る に と ど め. たい。. 5-1戦. 後 ア メ リカ の 家 電 流 通 シ ス テ ム. 1950年 代 か ら1960年 代 後 半 ま で の ア メ リ カ の 家 電 市 場 は,メ. ー カ ー→ 卸 売 商 → 小 売 商 →. 消 費 者 と い う 「伝 統 的 シ ス テ ム 」 と 呼 ば れ る 「ツ ー ・ス テ ッ プ の 流 通 シ ス テ ム が 支 配 的 で あ っ た 」(い ず れ も82ペ ー ジ)。 チ ャ ネ ル に お い て はRCAや. ゼ ニ ス,GEな. どの 大 メ ー カ ー. (9)近 藤 文 男(1988)『 成 立 期 マ ー ケ テ ィ ン グの 研 究 」 中 央 経 済 社 。 ⑩ 「著 者 は拙 著r成 立 期 マ ー ケ テ ィ ング の 研 究」(中 央 経 済 社,1988年)に お い て,マ ー ケ テ ィ ン グ の実 体 は 販 売 で あ る こ と を明 らか に した 。 販 売 を 無 視 した マ ー ケ テ ィ ング論 研 究 が 横 行 して い るが,販 売 を 抜 き に した マ ー ケ テ ィ ン グ は存 在 しな い.(は しが き,2ペ ー ジ)。 GD「 マ ー ケ テ ィ ング と は資 本 主 義 の 寡 占段 階 に お い て,顧 客 の ニ ー ズ と ウ ォ ン ツ を競 争 を 媒 介 と して,pre-selling,selling,after-sellingと い う一 連 の 計 画 的,組 織 的 活 動 を通 して 実 現 す る活 動 で あ る」。 近 藤 文 男(1992)「 日本 の 民 生 用 電 子 産 業 の 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ」(柏 尾 昌 哉 ほ か監 修 『国 際 流 通 と マ ー ケ テ ィ ング』 同 文 舘.99-116ペ ー ジ に所 収)。 -147{147)一.
(8) 第52巻 が 主 導 的 な 役 割 を 果 た し,フ. 第1号. ラ ン チ ャイ ズ契 約 な どを 通 じて 資 本 的 に独 立 の 卸 売 商 の行 動. を コ ン トロ ー ル し た 。 取 扱 商 品 の 制 限 や テ リ ト リ ー の 制 限 な ど,反 項 目 が 契 約 内 容 に 含 ま れ る こ と は な か っ た が,大 の 解 除 を ち ら つ か せ る こ と に よ り,実 た 。 加 え て,公. トラ ス ト法 に 抵 触 す る. メ ー カ ー の 多 く は,フ. ラ ンチ ャイ ズ契 約. 質 的 に は排 他 的 で 閉 ざ され た チ ャネ ル を構 築 して い. 正 取 引 法 に よ り メ ー カ ー に よ る再 販 売 価 格 維 持 が 認 め ら れ て い た こ と が,. こ の 伝 統 的 流 通 シ ス テ ム を 一層 安 定 的 な も の と し た 。 ま た,ア を 特 徴 づ け る も の と して,レ. メ リカ の家 電 流 通 シ ス テ ム. ッ プ と 呼 ば れ る 販 売 代 理 商 の 存 在 が あ っ た 。 ア メ リカ の セ ン. サ ス で は レ ッ プ は 卸 売 商 に 分 類 さ れ る が,実. 際 は 特 定 の メ ー カ ー との 結 び つ きが 強 くメ ー. カ ー の 営 業 部 隊 と し て の 機 能 を 果 た し て い た と して,教. 授 は,レ. ワ ン ・ス テ ッ プ と 評 して い る 。 特 に 中 小 メ ー カ ー は,大. メ ー カ ー に よ って 有 力 な 卸 売 商 が. 抑 え ら れ て い た た あ,レ の 多 く も,ア. ッ プ を 介 した チ ャ ネ ル を. ッ プ を 活 用 す る も の が 多 か っ た 。 ソ ニ ー を 除 い た 日本 の メ ー カ ー. メ リカ市 場 へ の 参 入 当 初 は レ ップ を 積 極 的 に活 用 した。. こ の 流 通 シ ス テ ム は,「60年. 代 末 か ら70年 代 初 頭 を 画 期 と し て 大 き く変 化 した 」(同 上)。. そ の 変 化 と は,「 ツ ー ・ス テ ッ プ の 流 通 シ ス テ ム 」 が 崩 壊 し,「 ワ ン、・ス テ ッ プ の 流 通 シ ス テ ム」 が 支 配 的 に な っ た こ と で あ る。 こ の 要 因 の 最 大 の もの は 小 売 構 造 の 変 化 で あ る。 GMS,デ. ィ ス カ ウ ン ト ・ス トア,通. 売 商 が 成 長 す る一 方 で,従. 信 販 売 業 者,カ. タ ロ グ ・シ ョ ー ル ー ム な ど の 大 規 模 小. 来 の 小 規 模 な家 電 専 門店 の シ ェ ア は低 下 した 。 シア ー ズ や モ ン. ゴ メ リ ー ・ウ ォ ー ドな ど に 代 表 さ れ るGMSは,独. 自 の 企 画 に 基 づ い た 商 品 を ワ ン ・ス. テ ッ プ の チ ャ ネ ル を 通 じて メ ー カ ー か ら直 接 調 達 し,自 て 販 売 し た 。 こ れ ら の 商 品 の 多 く は,日. ー カ ー 側 も,販. 観 点 か ら こ れ ら の 業 者 の 要 求 を 無 視 で き な くな っ て い た 。 さ ら に,中 イ イ ン グ ・グ ル ー プ と 呼 ば れ る 共 同 仕 入 組 織 を 形 成 し,メ. 仕 入 れ る も の が 現 れ た 。 こ れ らの 変 化 は,伝 を 弱 体 化 さ せ た 。 こ の こ と に 加 え,日. ー カ ー か ら直 接 商 品 を. 統 的流 通 シス テ ム に お け る卸 売 商 の 存 立 基 盤. 本 メ ー カ ー の ア メ リ カ 市 場 へ の 参 入 と,公. る 文 字 通 り 喉 笛 を 切 る よ う な 競 争 の 世 界 を 作 り 出 し た 」(同 上)と. 第2章. 売 シェアの. 小 の 家 電 専 門店 の 中. の 形 骸 化 ・廃 止 が,「 ツ ー ・ス テ ッ プ の 流 通 シ ス テ ム の 崩 壊 を 加 速 化 さ せ,価. 5-2日. 品. ィ ス カ ウ ン ト ・ス トア や 通 信 販 売 業 者 な ど. ー カ ー に 対 して 卸 売 商 を 介 さ な い 直 接 取 引 を 要 求 し,メ. に も,バ. 品とし. 本 や 台 湾 な ど の メ ー カ ー か ら 調 達 さ れ,NB商. に 対 し て 価 格 競 争 力 を 有 し て い た 。 ま た,デ は,メ. ら ブ ラ ン ドを 付 し てPB商. 正取 引法. 格 を 中心 とす. 教 授 は 分 析 して い る。. 本 の家 電 メ ー カ ー の 輸 出 マ ー ケ テ ィン グ の 一 般 的 特 徴 か ら第8章. に お い て 展 開 さ れ て い る,各 148C148)一. 日本 メ ー カ ー の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グの 事.
(9) 〔 書 評 〕 近 藤 文 男 著 『日本 企 業 の 国 際 マ ー ケ テ ィ ング』(大 内) 例 研 究 に 基 づ き,教. 授 は,各. 社 に 共 通 す る 「日本 の 民 生 用 電 子 機 器 産 業 の 対 米 輸 出 マ ー ケ. テ ィ ン グ の 一 般 的 特 徴 」(402ペ ー ジ)と. して,以. 下 の三 点 を挙 げて い る。. 第 一 は,「 国 内 市 場 の み な ら ず 海 外 市 場 に 大 き く依 存 す る こ と に よ っ て 各 社 と も マ ス ・ マ ー ケ テ ィ ン グ を 実 現 して い る 」(同 上)こ. と で あ る⑫。 こ の こ と は,各. 社 の輸 出販 売 高 の. 販 売 高 に 占 め る割 合 に 示 さ れ る。 国 内 で は 後 発 の メ ー カ ー で あ っ た ソニ ー に お い て こ の傾 向 が 最 も 強 く,1960年 50%を. の 時 点 で す で に 輸 出 比 が30%を. 越 え,「64年. 超 え る 高 さ で あ る」(331ペ ー ジ)。 そ の 他 の 各 社 も,1970年. 比 が い ず れ も10%を. 上 回 り,そ. の 後 も1980年. 以 降72,73年. を 除 き毎 年. ま で の 時 期 に お いて 輸 出. に至 るま で ほ ぼ 順 調 に 輸 出 の 割 合 を 増 加 させ. て い る。. 表1各. 第 二 は,輸. 社 の 売 上 に 占 め る 輸 出販 売 高 の 比 率 の 推 移(単 位:%). 出 先 に つ い て 「対 米 輸 出 割 合 が 極 度 に 高 く,ア. こ と で あ る 。 こ の 特 徴 は,カ. ラ ー テ レ ビ の 輸 出 に 関 し て も っ と も 顕 著 に 見 ら れ,「 総 輸 出 額. の う ち ア メ リ カ へ の 輸 出 は,65年 に は93.22%と90%を. メ リ カ に 偏 重 して い る 」(同 上). に は95.24%,67年. に は95.01%,68年. に は95.45%,69年. 超 え 異 常 と も い え る 高 さ で あ る 」(403ペ ー ジ)。 ア メ リ カ 市 場 は,「 規. 模 も 内 容 も他 国 を 圧 す る 巨 大 市 場 で あ っ た 。 こ の 市 場 で 競 争 優 位 を 実 現 す る こ と は,世. 界. 市 場 で の 競 争 優 位 を 実 現 す る に 等 し か っ た 」(同 上)。 こ こ で い う 「内 容 」 が い か な る こ と を 指 す も の で あ る か に つ い て,本 で は,①. 書 の 中 で は 必 ず し も明 示 的 で は な い も の の,評. 機 能 と デ ザ イ ン の 両 面 に お い て 優 れ た 製 品 を 生 産 で き,か. つ 堅 固 な ッ ー ・ス テ ッ. プ の 販 売 チ ャ ネ ル を す で に 確 立 し て い た ア メ リ カ の 大 メ ー カ ー の 存 在,と,②. ⑫. 者 の理 解. 洗 練 され た. な お,教 授 は別 稿 に お い て,ア メ リカ 企 業 の場 合,ま ず 国 内 マ ー ケ テ ィ ングが20世 紀 始 め に マ ス ・マ ー ケ テ ィ ン グ と して 成 立 し,戦 後 輸 出 マー ケ テ ィ ン グが 本 格 化 した の に対 し,日 本 の家 電 産 業 に お い て マ ス ・マ ー ケ テ ィ ン グ が 成 立 した の は 戦 後1955年 ご ろ で あ り,な お か つ こ の 時 期 に,国 内 マ ー ケ テ ィ ン グ と輸 出 マ ー ケ テ ィ ングが ほ ぼ 同 時 に開 始 さ れ た と主 張 さ れ て い る。 近 藤 文 男(1995)「 家 電 産 業 の 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ」(角 松 正 雄 編 『日本 企 業 の マ ー ケ テ ィ ン グ』 大 月 書 店,112-136ペ ー ジ に所 収)。 こ の 見 解 を 踏 ま え る と,後 発 国 で あ った 日本 が短 期 間 の うち に先 進 国 に キ ャ ッチ ア ップ す るた め に,日 本 企 業 が マ ス ・マ ー ケ テ ィ ン グ を実 現 す るた め の マ ス ・マ ー ケ ッ トを 国 内 市 場 の み な らず 海 外 市 場 に求 め た こ とは,歴 史 的 必 然 性 を 有 す る と考 え られ る。 -149(149)一.
(10) 第52巻. 第1号. ニ ー ズ と 高 い 製 品 判 断 力 を 持 つ 消 費 者 の 存 在 ,を. 指 す もの と思 わ れ る。 参 入 が 極 め て 困難. な ア メ リ カ 市 場 に お い て 成 功 を 収 め る た め に,日. 本 メ ー カ ー は製 品 の 企 画 か らチ ャネ ル の. 設 計 ・管 理,ア. フ タ ー ・サ ー ビ ス の 重 要 性 に 至 る ま で あ ら ゆ る こ と を 参 入 の 過 程 に お い て. 学 習 し た 。 こ の こ と が,後. に 世 界 的 な 競 争 優 位 を 確 立 す る 礎 に な っ た,と. 教 授 は評 価 して. い る と思 わ れ る。 第 三 は,「 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 期 間 が 長 い 」(同 上)こ 出 マ ー ケ テ ィ ン グ 」 は,国. と で あ る 。 も ち ろ ん こ こ で の 「輸. 際 マ ー ケ テ ィ ン グ を 構 成 す る モ メ ン トと し て の そ れ で は な く,. 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の 発 展 段 階 と して の そ れ を 指 す 。 日 本 企 業 の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ 段 階 は,1950年. 代 末 か ら1970年. 上)。 日 本 企 業 は,相. 代 末 ま で の 「約20年. 対 的 に 労 働 コ ス トが 低 い 日本 に お い て 生 産 を 行 う こ と で,コ. を 実 現 し た 。 こ の こ と は,ア め,輸. 間 と い う 長 期 間 に わ た る も の で あ る 」(同 ス ト優 位. メ リ カ企 業 が 海 外 に生 産 拠 点 を 移 転 し多 国 籍 企 業 化 した た. 出 マ ー ケ テ ィ ン グ 段 階 の 期 間 が 比 較 的 短 期 で あ っ た の と は 対 照 的 で あ る,と. 論 じら. れ て い る。. 5-3メ. ー カー別の輸 出 マーケ テ ィングの特徴. [三 洋 電 機] 三 洋 電 機 の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 特 徴 は,OEM供. 給 に よ る輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 比 重. が 高 い こ と で あ る 。 こ れ は,規 模 の 経 済 を 実 現 し,「 実 利 主 義 に 立 脚 し た マ ス ・マ ー ケ テ ィ ン グ 」(412ペ ー ジ)を 展 開 す る 上 で,「 ア メ リカ 市 場 に 迅 速 に 参 入 す る 有 効 な 手 段 で あ っ た 」 (同上)。1958年. に チ ャ ネ ル ・マ ス タ ー 社 に 対 して トラ ン ジ ス タ ラ ジ オ のOEM供. し た の を 皮 切 り に,三 へ のOEM供. 給 と,シ. 洋 電 機 は マ グ ナ ボ ッ ク ス,RCA,GEな ア ー ズ やKマ. ず,製. ど ア メ リカ の 一 流 メ ー カ ー. ー トな ど大 規 模 小 売 業 者 に 対 す るPB商. 積 極 的 に 行 っ た 。 こ の こ と に よ っ て 三 洋 電 機 は,短. れ を と っ た 。 こ の 要 因 と し て は,①OEM供. 品 の供 給 を,. 期 間 で輸 出 量 を 増 大 させ た の み な ら. 品 開 発 技 術 や ア メ リ カ の 顧 客 の ニ ー ズ を 学 習 し た 。_....方で,自. 出 マ ー ケ テ ィ ン グ が 開 始 さ れ た の は1970年. 給 を開始. の こ と で あ り,他. 社 ブ ラ ン ドに よ る 輸. の 日 本 の メ ー カ ー に 対 して 遅. 給 に よ っ て 販 売 さ れ る 商 品 と サ ン ヨ ー ・ブ ラ. ン ドの 商 品 は 競 合 関 係 に お か れ る た め,「 取 引 先 と の 信 頼 関 係 及 び 実 利 を 最 重 要 視 す る 本 社 の 基 本 戦 略 」(415ペ ー ジ)に の 面 に お い て,サ あ っ た こ と,の. よ りOEM供. 給 の 継 続 が 優 先 さ れ た こ と と,②. 資 金 ・人 員. ン ヨ ー ・ブ ラ ン ド を 定 着 さ せ る こ と は 当 時 の 三 洋 電 機 に と っ て 困 難 で. 二 点 が 挙 げ ら れ て い る。 自 社 ブ ラ ン ドの 浸 透 が 遅 れ た こ と に よ り,三. 洋電. 機 は,「 『高 小 売 マ ー ジ ン ・低 価 格 』 と い っ た 低 収 益 構 造 を 余 儀 な く さ れ た 」(417ペ ー ジ)。 150(150).
(11) 〔 書 評 〕 近 藤 文 男 著 『日本 企 業 の 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ』(大 内) しか し な が ら,OEM供. 給 に よ る 徹 底 し た マ ス ・マ ー ケ テ ィ ン グ の 追 求 は,今. バ ル 競 争 に お い て も 重 要 な 手 段 と な っ て い る,と. 日の グロー. 教 授 は 評 価 され て い る。. [東 芝] 東 芝 の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 特 徴 と し て は,三. 洋 電 機 と 同 様 にOEM供. 給 に よ る輸 出. マ ー ケ テ ィ ン グ の 比 重 が 高 い こ と が 挙 げ られ る 。 東 芝 の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ は,1960年 に テ レ ビ を 中 心 と した シ ア ー ズ に 対 す るPB商. 品 の 供 給 に 始 ま り,1989年. 代. に 中止 さ れ る ま. でG3),ほ ぼ30年 間 と い う 長 期 に わ た る も の で あ っ た 。 特 に シ ア ー ズ と の 取 引 は 東 芝 に と っ て 大 き な 意 味 を 持 っ た 。 当 時 シ ア ー ズ は,「 ア メ リ カ 小 売 業 に お い て 最 大 の 売 上 げ を 誇 り, ア メ リ カ の 消 費 者 の 間 で 高 い 評 価 を 得 て い た 」(161-162ペ. ー ジ)こ. の 性 能 の 試 験,デ. と に 加 え,「 ア メ リ カ の. 消 費 者 に つ い て の 情 報,商. 品 企 画 の ノ ウ ハ ウ,そ. ゆ る 情 報 を 持 っ て お り,東. 芝 に と っ て シ ア ー ズ と の 取 引 は ア メ リ カ ・マ ー ケ テ ィ ン グ の ノ. ウ ハ ウ を 学 ぶ 絶 好 の 機 会 で も あ っ た 」(418ペ ー ジ)。 東 芝 は,一 な るOEM供. 給 ・PB商. 品 の 供 給 を 通 じ て,ス. 性 を 実 現 し た 。 一・ 方,1965年 マ ー ケ テ ィ ン グ と 平 行 し て,自. ザイ ンな どあ りとあ ら. 度 に 大 量 の 引 合 い が可 能 と. ケ ー ル ・ メ リ ッ トに よ る コ ス ト面 で の 優 位. の 東 芝 ア メ リ カ の 設 立 以 降,東. 芝 は,OEM供. 給 に よ る輸 出. 社 ブ ラ ン ドに よ る 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ を 展 開 し た 。 東 芝 は. 自 社 ブ ラ ン ドを 軽 視 し た わ け で は な か っ た が,OEM供. 給 の 多 さ と は 対 照 的 に,ア. メ リカ. 市 場 に お け る 東 芝 ブ ラ ン ドの シ ェ ア は 低 か っ た 。 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ 期 に お け る 東 芝 の 最 大 の 課 題 は,「 東 芝 ブ ラ ン ドの 浸 透 と マ ー ケ テ ィ ン グ,と ペ ー ジ)で. あ り,東. りわ け 販 売 チ ャネ ル の 構 築 」(162. 芝 の 販 売 チ ャ ネ ル は,「 東 芝 の 有 す る 製 品 水 準 の 高 さ に 相 応 し い も の で. あ る か ど う か と い う観 点 か らみ た と き,多. くの 解 決 す べ き 問 題 を 残 し た 」(163ペ ー ジ,420. ペ ー ジ)と 評 価 さ れ て い る 。 [シ ヤ ー プ] シ ャ ー プ も三 洋 電 機 と 同 様OEM輸. 出 の 比 率 が 高 く,OEMに. に よ っ て マ ス ・マ ー ケ テ ィ ン グ を 実 現 し た 。1950年 を 媒 介 と し たOEM輸. 出 に 始 ま り,そ. の 後RCAな. よ る輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ. 代 末 の 東 洋 棉 花 や 日棉 実 業 な どの 商 社 ど の ア メ リ カ 企 業 に 対 して 直 接OEM. 輸 出 を 展 開 し た 。 当 初 は 相 手 方 の 企 業 か ら提 示 さ れ る 仕 様 書 に し た が っ て 製 品 が 生 産 さ れ た が,し. だ い に 製 品 企 画 の 段 階 か ら シ ャ ー プ が タ ー ゲ ッ ト,コ. 基 本 を 提 案 し,相. ⑬. ン セ プ ト,デ. ザ イ ンな ど の. 互 の 協 力 に よ っ て 最 終 的 な 使 用 が 決 定 され る と い う形 へ と変 化 した。. 東 芝 が シ ア ー ズ へ のPB商 品 の 供 給 を 中 止 した 時 期 に 関 して,本 書 の 中 で は 「シ ア ー ズ へ の PB商 品 の供 給 を 中止 した89年 に は.(161べ 一 ジ),「OEM供 給 か ら撤 退 した の は89年 で あ っ た。 シア ー ズ へ の販 売 を停 止 した の は87年 で,Philip(NEG)の89年 が 最 後 で あ った 」(418ペ ー ジ) と記 さ れ て お り,記 述 に 若 干 の 矛 盾が 見 られ る。 -151(151).
(12) 第52巻 1962年. 第1号. に 現 地 販 売 会 社 シ ャ ー プ ・エ レ ク トロ ニ ク ス ・コ ー ポ レ ー シ ョ ン(SEC)が. れ て 以 降,シ. ャ ー プ は 自社 ブ ラ ン ドに よ る 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ を 行 う よ う に な っ た が,自. 社 ブ ラ ン ド輸 出 比 率 がOEM輸. 出 比 率 を 初 め て 上 回 る の は1970年. に な っての ことで あ っ. た 。 シ ャ ー プ の 自 社 ブ ラ ン ドに よ る 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 特 徴 は,製 見 出 さ れ る 。 製 品 に 関 し て,シ. ャ ー プ は 他 社 と は 異 な り,電. の 比 率 が 高 い こ と が 特 徴 的 で あ る 。1966年 降,シ. 設立さ. に電 卓. 品 とチ ャネ ル の面 に. 卓 を は じめ と す る 事 務 機 器. 「コ ン ペ ッ ト」 が 初 め て 輸 出 さ れ て 以. ャ ー プ 製 電 卓 は 「ア メ リカ で 高 い シ ェ ア と安 定 した 市 場 を 持 ち 」(205ペ ー ジ),後. 複 写 機 な ど の ヒ ッ トの 地 盤 と な っ た 。 チ ャ ネ ル に 関 し て は,シ. の. ャ ー プ は 「日本 メ ー カ ー の. 中 で 最 も積 極 的 に レ ッ プ を 活 用 し,ア メ リ カ の ダ イ ナ ミ ッ ク な 流 通 に 挑 戦 し た 」(同上)。 他 の 多 く の 日 本 メ ー カ ー が レ ッ プ と の 取 引 を 中 止 す る 中,シ を 活 用 し た 販 売 網 を 構 築 して お り,こ 見 ら れ る 。 な お,ニ に,シ. ャー プ は現 在 に お い て も レ ップ. こ に シ ャー プ の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の大 き な特 徴 が. ク ソ ン シ ョ ッ ク の 後,他. 社 が 現 地 へ の生 産 投 資 を行 っ た の と は対 照 的. ャ ー プ の 海 外 戦 略 は 「資 本 は 投 下 せ ず,ロ. イ ヤ ル テ ィ(技. 術 指 導 料)と. 部 品供給 か. ら収 入 を 得 る 技 術 援 助 方 式 」(205ペ ー ジ,422ペ ー ジ)を 中 心 と す る も の で あ っ た 。 こ の 点 も, シ ャ ー プ の 特 色 と し て 注 目 す べ き こ と で あ ろ う⑭。 [日 立] 日立 の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ は,当 はOEM供. 初 の トラ ン ジ ス タ ラ ジ オ や テ ー プ レ コ ー ダ ー に 関 して. 給 に よ る も の の 比 率 が 高 か っ た 。 日 立 の 主 た る 取 引 先 はRCAで. 品 の 仕 様 を 相 手 方 に 積 極 的 に 提 案 し てOEMの. あ り,自. ら製. 顧 客 を探 す とい った形 の セ ール スが 多. か っ た 。 日 立 は 伝 統 的 に 工 場 を プ ロ フ ィ ッ ト ・セ ン タ ー と す る 企 業 で あ り,「 注 文 が 多 け れ ば 多 い ほ ど工 場 の 稼 働 率 を 高 め る こ と が で き る と と も に,コ の で,工. 場 に と っ て は 一 度 に 大 量 の 注 文 の あ るOEM供. (424ペ ー ジ)。1964年 は,自. 給 は,魅. の 米 国 日 立 販 売 会 社 の 設 立 を 契 機 と し て,日. 力 の あ る取 引 で あ っ た」 立 の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ング. 社 ブ ラ ン ドに よ る も の へ と 転 換 し て い っ た 。 特 に テ レ ビ に 関 し て は,高. 背 景 と し て,高. い技術 力 を. 価 格 ・高 付 加 価 値 の 商 品 を セ レ ク テ ィ ブ な チ ャ ネ ル に お い て 販 売 す る こ と. を 図 っ た 。 し か し,シ は,日. ス トが 下 が り 利 益 が あ が る. ェ ア よ り も収 益 を 重 視 す る こ の 戦 略 の 結 果,ア. メ リカ市 場 に お い て. 立 の テ レ ビの ブ ラ ン ドシ ェ ア は 他 の 日本 メ ー カ ー と比 べ 相 対 的 に低 か った 。. [松 下 電 器 産 業] 松 下 電 器 が ア メ リ カ 市 場 に お い て 本 格 的 に マ ー ケ テ ィ ン グ を 開 始 し た の は,1959年. ⑭. に. た だ し,こ の 点 は,シ ャー プ の 「輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ」 段 階 の 特 徴 と い う よ り も,そ の 後 の 「マ ル チ ナ シ ョナ ル ・マ ー ケ テ ィ ング」 段 階 に お け る他 メ ー カ ー と の差 異 で あ る と評 者 は考 え る。 -152(152)一.
(13) 〔書 評 〕 近 藤 文 男 著 『日本 企 業 の 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ』(大 内) 販売会 社. 「ア メ リ カ 松 下 電 器 」(MECA)を. を 設 立 し た の は,日. 設 立 した 時 で あ る。 ア メ リ カ市 場 に販 売 会 社. 本 の 家 電 メ ー カ ー の 中 で 松 下 電 器 が 最 初 で あ っ た 。 「松 下 電 器 の 輸 出. マ ー ケ テ ィ ン グ は 自 社 ブ ラ ン ドを 基 本 と し て お り,OEM輸 も の で あ っ た 」(426ペ ー ジ)。J.C.ペ. ニ ー に 対 す る カ ラ ー テ レ ビ のPB商. コ に 対 す る 白 黒 テ レ ビ のOEM供. 給,RCAとGEに. 給 ⑮ な ど の 事 例 は あ る もの の,例. 出 マ ー ケ テ ィ ン グ は補 完 的 な 品 の 供 給,フ. 対 す るVHSビ. ィル. デ オ のOEM供. え ば テ レ ビ に 関 して 自 社 ブ ラ ン ド とOEM輸. 出の割合 は. ほ ぼ7対3で. あ り,自. 社 ブ ラ ン ドに よ る 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 方 が 圧 倒 的 に 多 か っ た 。 松. 下 電 器 は,参. 入 当 初 か ら 自 社 ブ ラ ン ド 「パ ナ ソ ニ ッ ク 」 の 浸 透 と そ の た め の 販 売 チ ャ ネ ル. の 構 築 を 重 視 し た 。 販 売 チ ャ ネ ル に 関 し て,独. 占 禁 止 法 の 厳 し い ア メ リ カ で は 日本 国 内 に. お い て 展 開 さ れ た よ う な 専 売 店 制 度 は 採 用 で き な か っ た た め,MECAの す る デ ィ ー ラ ー と フ ラ ン チ ャ イ ズ 契 約 を 結 ぶ と い う 契 約 型VMSを MECAの. 販 売方 針 に賛 同 採 用 した 。 こ の 時 の. チ ャ ネ ル 戦 略 は,「 デ ィ ー ラ ー に 高 マ ー ジ ン を 保 証 す る プ ッ シ ュ 戦 略 を 基 本 と し. た 」(429ペ ー ジ)。 ま た,参 占 さ れ て い た た め,レ の 方 策 は,急. 入 当 初,す. で に 有 力 な 卸 売 商 はRCAや. ゼ ニ ス な ど に よ って 独. ッ プ を 活 用 し た ワ ン ・ス テ ッ プ の 販 売 チ ャ ネ ル の 構 築 を 図 っ た 。 こ. 速 な デ ィ ー ラ ー 網 の 拡 大 に 大 き く貢 献 し た 。 しか し な が ら,販. 製 品 ラ イ ン の 拡 大 に と も な い,レ. ッ プ に 支 払 わ れ る 手 数 料 の 負 担 が 大 き く な り,ま. プ が 製 品 ラ イ ン の す べ て を 取 り扱 う こ と が 困 難 に な っ た た め,1976年 国 的 に 停 止 し,自. た レッ. に レ ップ の 活 用 を 全. 社 セ ー ル ス フ ォ ー ス へ と切 り替 え た 。 松 下 電 器 は,モ. を 買 収 し た こ と や,マ. 売 量 の増 加 や. トロ ー ラ の 卸 売 商. ス ・マ ー チ ャ ン トを 重 視 し た 販 売 政 策 を 採 っ た こ と に 典 型 的 に 現 れ. る よ う に,「 マ ス ・マ ー ケ テ ィ ン グ の 実 現 の た め に オ ー プ ン な 販 売 チ ャ ネ ル 戦 略 を 重 視 し た 」(429-430ぺ 三 ジ)。 こ れ は,自. 社 ブ ラ ン ドを 重 視 し な が ら セ レ ク テ ィ ブ な 販 売 チ ャ ネ ル を. 構 築 した ソニ ー とは 対 照 的 で あ っ た。 [三 菱 電 機] 三 菱 電 機 は,基. 本 的 に は 自社 ブ ラ ン ドを 重 視 し た 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ を 展 開 した 。1960. 年 代 の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 初 期 に お い て,OEMに こ と も あ っ た が,「 三 菱 電 機 のOEM供. 給 は,三. ジ)場 合 に 限 定 して 行 わ れ る に 過 ぎ ず,「OEM供 は,成. ⑮. よ る輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グが 行 わ れ る 菱 ブ ラ ン ド商 品 の 販 売 が 困 難 な 」(430ペ ー 給 自体 に消 極 的 で あ った三 菱 電 機 の場 合. 功 し な か っ た ケ ー ス が 多 か っ た 」(431ペ ー ジ)。1914年. に 現 地 販 売 会 社 米 国MELCO. な お,VHSビ デ オ のOEM供 給 は,規 格 競 争 を め ぐ って ソニ ー の ベ ー タ方 式 に対 抗 す る た め に 行 わ れ た もの で あ り,市 場 参 入 に際 して 「パ ナ ソニ ッ ク ・ブ ラ ン ドの認 知 度 が 低 か った た め 止 む を 得 ず 採 った」(246ペ ー ジ)初 期 のOEM供 給 とは性 格 を 異 にす る,と 教 授 は 評 して い る。 -153(153)一.
(14) 第52巻 の 設 立 以 降,三 の 戦 略 は,端. 第1号. 菱 電 機 は 自 社 ブ ラ ン ドに よ る 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ を 本 格 的 に 展 開 し た 。 そ 的 に 言 え ば 高 所 得 者 層 を 夕 一 ゲ ッ ト と す る ニ ッ チ ・マ ー ケ テ ィ ン グ で あ っ. た 。 製 品 に 関 し て は,大. 型 テ レ ビ や プ ロ ジ ェ ク シ ョ ン ・テ レ ビ な ど 「高 品 質 高 価 格 商 品 に. 限 定 し た 」(432ペ ー ジ)。 こ の こ と は,日. 本 の 他 の 家 電 メ ー カ ー の 多 くが マ ス ・マ ー ケ テ ィ. ン グ の 実 現 を 目 指 し た の と は 対 照 的 で あ る 。 チ ャ ネ ル に 関 し て は,「 シ ア ー ズ や モ ン ゴ メ リ ー ・ウ ォ ー ドの よ う な 安 売 り店 は 対 象 外 と し 」(同上),セ. レ ク テ ィ ブ な チ ャネ ル の 構 築 を. 図 った。 [ソ ニ ー] 国 内 に お い て は 後 発 メ ー カ ー で あ り,販. 売 網 な ど の 点 で 劣 っ て い た ソ ニ ー は,ア. メ リカ. 市 場 で の 販 売 を 通 じ て の マ ス ・マ ー ケ テ ィ ン グ の 実 現 を 図 っ た 。 「ソ ニ ー の マ ス ・マ ー ケ テ ィ ン グ は,国. 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の 展 開 に お い て 初 め て 開 花 し た 」(378ペ ー ジ)。 ソ ニ ー の. 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 最 大 の 特 徴 は,OEM供. 給 を 一 切 行 わ ず,一. 貫 し て 自 社 ブ ラ ン ドに. よ る 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ を 追 求 し た こ と で あ る 。 ソ ニ ー は テ ー プ レ コ ー ダ ー,ト タ ラ ジ オ,ト. ラ ン ジ ス タ テ レ ビ な ど,独. ランジス. 創 的 ・革 新 的 な 新 製 品 を 次 々 に 開 発 し,こ. れ らの. 製 品 を セ レ ク テ ィ ブな チ ャネ ル に お い て 高 価 格 で販 売 した 。 ソ ニ ー の基 本 方 針 は高 品 質 と 強 力 な ブ ラ ン ドに 基 づ い た,高. 価 格 ・低 マ ー ジ ン の プ ル 戦 略 で あ っ た 。 当 初 ソ ニ ー は ア グ. ロ ッ ドや デ ル モ ニ コ と い っ た ア メ リ カ の 卸 売 業 者 を 輸 入 代 理 商 に 指 定 して 自社 ブ ラ ン ド商 品 を 販 売 し た が,1960年. に 現 地 法 人 ソ ニ ー ア メ リ カ を 設 立 し て 以 降,販. 売 網 を 自 ら構築 す. る こ と に 取 り掛 か っ た 。 当 初 の ソ ニ ー の 販 売 チ ャ ネ ル は 当 初 は ツ ー ・ス テ ッ プ で あ っ た 。 当 時 の 有 力 な 卸 売 商 は す で にRCAや. ゼ ニ ス な ど の ア メ リ カ 有 力 メ ー カ ー の 傘 下 に あ り,. ソ ニ ー が 組 織 化 で き た 卸 売 商 は 「二 流 あ る い は 三 流 の,し う な と こ ろ 」(345ペ ー ジ)が ギ ー を 費 や し」(同 上)育 持 を 重 視 し,デ. か も家 電 製 品 を 扱 っ て い な い よ. 多 か っ た 。 ソ ニ ー は こ れ ら の 卸 売 商 を 「多 大 な 時 間 と エ ネ ル. 成 し た 。 デ ィ ー ラ ー の 選 別 に 関 し て は,ブ. ィ ス カ ウ ン ト店 と は 取 引 を 行 わ な か っ た 。1980年. 変 化 へ の 対 応 か ら,ソ. ラ ン ド ・イ メ ー ジ の 維 代 以 降,家. 電流通 機構 の. ニ ー は デ ィ ス カ ウ ン ト店 と も取 引 を 行 う よ う に な り,開. 放 的 チ ャネ. ル 戦 略 に転 換 した。. 5-4輸. 出 マ ー ケ テ ィ ン グ 研 究 の 現 代 的 意 義 と課 題. 本 書 は 最 後 に 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 現 代 的 意 義 と 課 題 に つ い て 以 下 の3点 び と し て い る 。 第1は,「 あ る 。 上 記 の よ う に,本. 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の2つ. の 形 態 に 関 す る 問 題 」(436ペ ー ジ)で. 書 に お い て は,「 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ に は,OEM供 一154(154). を 提 示 し,結. 給 に よ る輸 出.
(15) 〔 書 評 〕 近 藤 文 男 著 『日本 企 業 の 国 際 マ ー ケ テ ィ ング』(大 内) マ ー ケ テ ィ ン グ と,自. 社 ブ ラ ン ドの 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の2つ. が 明 ら か に さ れ た 。OEM供. 給 に 関 し て は,現. の 形 態 が あ る こ と 」(同 上). 代 に お い て も三 洋 電 機 を は じ め 多 く の メ ー. カ ー が これ を活 用 して い る。 輸 出 マ ー ケ テ ィ ング段 階 に お い て は こ の戦 略 を採 用 しな か っ た ソ ニ ー で す ら,「 近 年(中 注)を 設 立 し,同. 略)EMSC(ElectronicsManufacturingServiceCompany,評. 社 に 製 品 の 生 産 業 務 を 委 託 す る 組 織 改 革 を 行 っ て い る 」(同 上)。 自社 ブ ラ. ン ドに よ る 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ に 関 して は,今 経 て,グ. 者. 日,多. くの メ ー カ ー が 「多 く の 試 行 過 程 を. ロ ー バ ル ・ブ ラ ン ドの 構 築 に 到 達 して 」(437-438ペ. 一 さ れ て い る 各 社 の グ ロ ー バ ル ・ブ ラ ン ドの 基 礎 は ,す. ー ジ)お. り,な. おかつ. 「現 在 統. で に この 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の段. 階 に 形 成 さ れ て い る 」(438ペ ー ジ)。 「輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ 段 階 に 形 成 さ れ た 各 社 の 自社 ブ ラ ン ドが,そ. の 後 の グ ロ ー バ ル ・ブ ラ ン ドの 形 成 に ど の よ う な 影 響 を 及 ぼ し」(同 上)た. と い う観 点 か ら,グ. ロ ー バ ル ・ブ ラ ン ドの 形 成 過 程 を 解 明 す る こ と は,今. 的 課 題 で あ る 。 ま た,OEM供 マ ー ケ テ ィ ン グ と い う,こ. のか. 後 の重要 な理論. 給 に よ る 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ と 自 社 ブ ラ ン ドに よ る 輸 出 れ ら2つ. の 戦 略 が,今. 階 に お い て も な お 有 効 で あ る か ど う か,有. 日 の 「グ ロ ー バ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ の 段. 効 で あ る と す る な ら ば,ど. の よ う な 産 業 で,い. か な る 条 件 の 場 合 有 効 で あ る か 具 体 的 な 検 討 が 必 要 で あ る 」(436ペ ー ジ)と 論 じ られ て い る 。 第2は,「 ペ ー ジ)で. 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の 一 形 態 と して の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ に 関 す る 問 題 」(439 あ る 。 本 稿 で も 第3-4節. に お い て 述 べ た よ う に,本. 書 は,輸. 出 マ ー ケ テ ィ ング. に 関 す る 検 討 を 踏 ま え な い ま ま グ ロ ー バ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ を 論 ず る 傾 向 が 大 き い 今 日 の 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 研 究 の 動 向 に 対 す る 問 題 提 起 と し て 理 解 さ れ る 。 「今 日,支. 配 的な グ. ロ ー バ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ の 下 で は 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ は ど の よ う な 役 割 と 働 き を す る の か 」(439ペ ー ジ)と. い う 観 点 か ら,輸. ン グ の 実 態 を 明 ら か に す る こ と が,今 第3は,「. 出 マ ー ケ テ ィ ン グ を 包 摂 し た グ ロ ー バ ル ・マ ー ケ テ ィ 後 の 理 論 的 課 題 で あ る,と. 貿 易 摩 擦 に 関 す る 問 題 」(441ペ ー ジ)で. え て 行 わ れ る マ ー ケ テ ィ ン グ で あ り,貿 点 が,国. 主 張 され て い る。. あ る。 国 際 マ ー ケ テ ィ ング は 国境 を 越. 易 摩 擦 や 投 資 摩 擦 が 不 可 避 の 問 題 と して 発 生 す る. 内 マ ー ケ テ ィ ン グ に は な い 独 自 の 問 題 と し て 挙 げ ら れ よ う。 「輸 出 マ ー ケ テ ィ ン. グ や 海 外 投 資 に よ る個 別 企 業 レ ベ ル の 一 時 的 な 問 題 解 決 だ け で な く,国 た 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 論 の 研 究 が 必 要 で あ る 」(同 上)と 点 に 関 し て は,本. 家 間の調和 を含 め. 述 べ られ て い る 。 た だ し,こ. の論. 書 の 中 で 具 体 的 な 検 討 を 踏 ま え て 抽 出 さ れ た 論 点 と い う よ り も む し ろ,. 分 析 枠 組 み の 提 示 も含 め て 今 後 の 研 究 に 要 求 さ れ る 理 論 的 課 題 と し て 提 示 さ れ た も の で あ る,と. 理 解 す べ き で あ ろ う。. -155(155)一.
(16) 第52巻. 6結. 以 上,本. 第1号. び に 代 え て 一 若 干 の コ メ ン ト. 書 の 内 容 を 簡 単 に 要 約 し て 紹 介 し た 。 本 節 で は,本. 書 に対 す る若 干 の 疑 問 点 を. 提 示 す る こ と で結 び に代 え た い。 疑 問 点 の 第 一 は,OEM供. 給 に よ る輸 出 を 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の一 形 態 と捉 え る こ と に. 関 し て で あ る 。 前 節 に お い て 確 認 し た よ う に,本 テ ィ ン グ は,「OEM供. ,こ. メ ン トと して の 輸 出 マ ー ケ. 給 に よ る 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ 」 と 「自 社 ブ ラ ン ドに よ る輸 出 マ ー ケ. テ ィ ン グ 」 の 二 形 態 を と る こ と が,事 一方 で. 書 で は,モ. 例 研 究 を 通 じ て 明 ら か に さ れ た,と. の 二 者 は い ず れ も マ ー ケ テ ィ ン グ で あ る 点 で は 共 通 し て お り,し. な が ら,両. に お い て 確 認 した. 授 に よ れ ば マ ー ケ テ ィ ン グ の 実 体 は 「販 売 を 中 心 と し て 販 売 に か か わ る 諸 活 動 」. で あ り,「 販 売 を 抜 き に し た マ ー ケ テ ィ ン グ は 存 在 し な い 」(は しが き2ペ ら,OEM供. 給 やPB商. 品 の 供 給 に お い て は,基. と の 契 約 の 成 立 を も っ て 完 結 し,消 の た め,現. た が って 当然. 者 の 活 動 と も マ ー ケ テ ィ ン グ と し て の 要 件 を 満 た す か ら こ そ 「単 な る 輸 出 」 で. は な く 「輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ 」 と 理 解 さ れ る は ず で あ る 。 さ て,第4節 よ う に,教. 論 じ られ て い る。. ー ジ)。 しか しな が. 本 的 に メ ー カ ー の 販 売 活 動 は相 手 先 企 業. 費 財 で あ り な が ら も 「相 手 企 業 の ブ ラ ン ドに よ る 販 売. 地 で の セ ー ル ス に は 一 切 タ ッ チ す る 必 要 が な か っ た 」(114ペ ー ジ)と 考 え ら れ る 。. も ち ろ ん,ア. フ タ ー サ ー ビ ス 網 の 整 備 や,OEM供. 給 やPB商. 品 の 供 給 を 通 じた 現 地 ニ ー. ズ の 学 習 な ど と い っ た,「 販 売 に か か わ る 諸 活 動 」 の 重 要 性 が 高 い と い う点 で,OEM供 に よ る 輸 出 が そ れ ま で の 「単 な る 輸 出 」 と は 異 な る こ と は 否 定 し得 な い 。 し か し,マ. 給 ーケ. テ ィ ン グ の 要 件 と して 最 も 重 要 で あ る と こ ろ の 販 売 活 動 が 相 手 先 企 業 に 完 全 に 委 ね ら れ る こ と を 鑑 み れ ば,OEM供 る こ と は,論 第 二 は,モ. 給 に よ る 輸 出 を 「輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ 」 の 一 形 態 と し て 理 解 す. 理 的 に困 難 で あ る よ う に思 わ れ る。 メ ン ト と して の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ と マ ル チ ナ シ ョ ナ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ の. 異 同 に 関 して で あ る 。 本 書 に お い て,モ グ の 具 体 的 内 容,あ. メ ン トと し て の マ ル チ ナ シ ョ ナ ル ・マ ー ケ テ ィ ン. る い は 形 態 に 関 す る 分 析 は み ら れ ず,マ. ン グ の 定 義 も示 さ れ て い な い 。 本 書 の 記 述 ⑯ か ら は,現. ⑯. ル チ ナ シ ョナ ル ・マ ー ケ テ ィ. 地 生 産 一 現 地 販 売,す. なわ ち アメ. 例 え ば,以 下 の 記 述 を参 照 の こ と。 「メー カ ー側 と販 売 会 社 の 間 の 葛 藤 は,国 内 の 場 合 で も常 に 避 け る こ と の で き な い もの で あ るが,日 本 国 内 の場 合 に 比 べ て,海 外 と 日本 との 間 で の交 渉 は は る か に 調 整 が 困難 と な る。 この 葛 藤 を緩 和 す る た め に は,需 要 の あ る近 くに工 場 を 設 立 す る こ と が き わ め て 重 要 と な る」(320-321ペ ー ジ)。 ま た,第8章 「ソニ ー の輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ」 に お い て は,「 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の帰 結 」 と して,「 貿 易 問題 や 円 高 に よ る為 替 問題 の解 決 」 と して, 各 メ ー カ ー が 輸 出 か ら現 地 生 産 へ 戦 略 を転 換 した こ とが 記 さ れ て い る。382ペ ー ジ。 -156(156)一. ニ.
(17) 〔 書 評 〕 近 藤 文 男 著r日 リ カ 国 内 に 工 場 を 設 立 し,そ も っ て,マ. 本 企 業 の 国 際 マ ー ケ テ ィ ング』(大 内). の 工 場 で 生 産 され た 商 品 を ア メ リカ 市 場 で 販 売 す る こ と を. ル チ ナ シ ョナ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ と み な す と 定 義 し て い る と 思 わ れ る 。 も し そ. う で あ る な ら ば,現. 地 生 産 が 開 始 され る こ と に よ って マ ー ケ テ ィ ング の 形 態 が ど の よ うに. 変 化 す る か に 関 す る よ り詳 細 な 分 析 が 必 要 と な ろ う 。 こ の 点 と 関 連 し て,第. 三 に,輸. 出 マ ー ケ テ ィ ン グ段 階 に お け る国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の具. 体 的 形 態 に 関 して 若 干 の 疑 問 点 を 提 示 し た い 。 教 授 の 整 理 に よ れ ば,国 は,輸. 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 段 階 で は,輸. 際 マー ケテ ィング. 出 マ ー ケ テ ィ ン グ を 主 要 な モ メ ン ト と し,マ. ルチ. ナ シ ョナ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ を 次 要 な モ メ ン ト と す る と さ れ て い る 。 し た が っ て,次. 要で. は あ る も の の,輸. 出 マ ー ケ テ ィ ン グ 段 階 か らす で に,モ. メ ン トして の マ ル チ ナ シ ョナ ル ・. マ ー ケ テ ィ ン グ が 萌 芽 的 に 現 れ る は ず で あ る 。 し か し な が ら,各 は,モ. 章 に お け る事 例 研 究 で. メ ン トと し て の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 諸 活 動 の 分 析 に 限 定 さ れ て お り,そ. 述 か ら は,輸. 出 マ ー ケ テ ィ ン グ 段 階 に お い て ほ,各. メ ー カ ー は 一 般 的 に,基. れ らの 記. 本 的 に は 自国. 内 の 生 産 拠 点 か ら ア メ リ カ 市 場 へ 向 け て 商 品 を 輸 出 して い た よ う に 思 わ れ る 。 果 た し て 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ 段 階 に お い て モ メ ン ト し て の マ ル チ ナ シ ョ ナ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ が 現 象 す る の か,現. 象 す る な ら ば ど の よ う に 現 象 す る か に 関 す る事 実 の 叙 述 や 理 論 的 考 察 は 不 十. 分 で あ る と言 わ ざ る を得 な い。 本 稿 第3節. に お い て も 少 し触 れ た よ う に,本. 書 で は 「輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ 」 な る 用 語 が,. 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の 発 展 段 階 と し て の そ れ を 指 す 場 合 と,国 トと し て の そ れ を 指 す 場 合 と が あ り,二. 際 マーケテ ィングのモ メ ン. 義 的 性 格 を 有 し て い る と 思 わ れ る 。 した が っ て,. 本 書 が 接 近 し よ う と し た 課 題 の 一 つ で あ る 「輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 実 態 の 解 明 」 と い っ た 場 合 に も,そ. れ が,①. か に す る,と. い う こ と な の か,②. す る,と. 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ段 階 に お け る国 際 マ ー ケ テ ィ ング の 実 態 を 明 ら. い う こ と な の か,あ. モ メ ン トと し て の 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 実 態 を 明 らか に. る い は,③. 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ 段 階 に 限 定 し て,モ. して 輸 出 マ ー ケ テ ィ ン グ の 実 態 を 明 ら か に す る,と. い う こ と で あ る の か,少. に は 十 分 に 理 解 す る こ と が で き な か っ た 。 そ の た め,評 て い る と い う 危 険 を 認 め つ つ,敢 な が ら,こ. え て 上 記 第 二,第. れ ら の 疑 問 点 に もか か わ ら ず.本. メ ン トと. な く と も評 者. 者 自身 が 本 書 の 研 究課 題 を 誤 解 し. 書 は,現. 三 の よ うな 疑 問 点 を提 示 した。 しか し 代 に お け る 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ,あ. る い は グ ロ ー バ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ と い う 現 代 的 社 会 事 象 を 問 題 意 識 と し つ つ,そ. の解 明. の た め に は 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の 歴 史 研 究 が 不 可 欠 で あ る こ と を 示 し た と い う 点 で,国 マ ー ケ テ ィ ン グ 論,さ. ら に は マ ー ケ テ ィ ン グ論 一 般 に 対 す る 貢 献 は 大 き く,こ. を 発 展 さ せ る 上 で の 礎 石 と な る で あ ろ う こ と に 疑 い の 余 地 は な い 。 今 後,本 一157(157)一. 際. の後の研究. 研 究 を基盤 と.
(18) 第52巻. 第1号. して 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ論 が さ らに 発 展 す る こ とを 期 待 した い。. (著 書A5版,17+475ペ. ー ジ,有. 斐 閣,2005年6月. 158{158)一. 刊).
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