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家族介護者の実態調査・研究報告(3)-高齢者虐待への態度と介護負担との関連について-: 沖縄地域学リポジトリ

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(1)

Title

家族介護者の実態調査・研究報告(3)−高齢者虐待への態

度と介護負担との関連について−

Author(s)

大城, トモ子; 國吉, 和子

Citation

地域研究 = Regional Studies(6): 27-36

Issue Date

2009-10-01

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/5608

(2)

家族介護者の実態調査 ・研究報告 (

3)

高齢 者虐待 へ の態 度 と介護 負担 との 関連 につ い て

-大城

トモ子 *・国吉

和子 **

AnExpl

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高齢者虐待 に関する研究の一つのアプローチ として、高齢者虐待への態度 をとりあげ、家族介護者の介護負担 との関 連 を検討す る事 を目的 とした。沖縄県内の介護者 を対象にアンケー ト調査 を行 った。分析の結果、認知症の介護 におい て虐待への共感的態度がみ られ,「物盗 られ妄想」 は、最 も虐待への共感的態度 と関連 した。介護内容では、身体的に負 担 となる介護ではな く、概 して介護者にとって精神的なス トレスになる要介護者の行動が虐待への態度 と関連 した。認 知症介護の悩みが多いほど、介護生活で不満や不安の多いほど、 また、燃 えついているほ ど虐待へ共感的態度 を示 した。 ・・方、要介護者の生活行動能力、介護室、介護者の健康度 と虐待への態度 とは関連が認め られず、介護 についての認知 的評価の介在が今後の研究課題 とされた。 キーワー ド :高齢者虐待、介護負担、家族介護者、認知症、燃 えつ き i. 目的 「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者 に対する支援 などに関する法律」 (「高齢者虐待防止法」 と称す)が、 2006年4月か ら施行 された。 しか し、その4ケ月後には、 神奈川県で35歳の息子が、認知症の父親 をロープで首 を絞め、ナイフで首 を刺 して殺害 したと報道 された(毎 日新聞8月5日)02003年の読売新聞社調べでは、1年間 に介護者による傷害致死及 び殺人による死者が

4

6

人で 重傷者は6人 との警察の公式発表であった(小林,2004)0 虐待 は、主に身体的虐待 ・心理的虐待 ・経済的虐待 ・ 介護放棄 と分類 されるが、事件 として表 ざたになる虐 待は氷山の一角 と思われる。法律が虐待へ抑止効果 を 持つかは今後の動向を窺 うことになるが、高齢者虐待 の誘発要因の研究は、虐待防止 に重要な示唆 をもた ら す ものと考える。そこで、従来の研究 を踏 まえ、虐待 というデ リケー トな研究テーマにおけるアプローチに ついてその問題点 を指摘 し、新たなアプローチか ら高 齢者虐待の誘発要因を検討することは意義があろう。 高齢者虐待の誘発要因について、家族 による虐待 と 施設における虐待 について研究がなされてきているが、 施設 における虐待の認識 については、複数の目があ り 比較的透明性が高いと考 えられた (井上,2005)。一方、 家族介護者 による虐待行動 については、医師 (金子 ら, 2(X氾)、看護 ・保健師、介護専門職のス タッフ (鵜沼 ・ 関根,2007;上田 ら,2007)とい う第三者の判断によ る回答、介護者による回答 (上田,2000;小野 ・小西, 2003;桐野 ら,2005)、そ して、被虐待者か らの回答 (金子,2005)を得ているが、虐待行動の調査 にはそれ ぞれ問題がある。 た とえば、筒井 と東野 (2002)は、 保険医療福祉専 門職 らによる間接的な質問紙調査法で は、虐待 の有無の判断が個 々の看護職や社会福祉専門 職に任 されてお り、高齢者虐待 とい う行為 を判断する ための共通 した認識が共有 されてないと指摘 している。 また、家庭 とい う 「密室」で起 こっている虐待の事実 *沖縄大学地域研究所特別研究員 903-0116西原町幸地370-5-306 事*沖縄大学人文学部福祉文化科 902-8521沖縄県那覇市国場555番地, kkunj(垂okjJlaWa-u.aC.jp

(3)

「地域研 究

」6号

2009

年6月

(垂 亘 ≒亘 やその原因 を第三者 によって判断す るのは難 しく、彼 らの判断能力や認知的バ イアスの影響 を受けるだろう。 次 に、被虐待者 を調査対象 とす る場合の問題点 は、高 齢者が虐待 を我慢 し虐待 に耐 えている とい う事例 (岡 山県保健福祉部,2003)があ り、介護 して もらってい る とい う立場 で家族の虐待 をあぱ くことへの戸惑 いか ら、回答へ の蒔蹄や回答 を歪める とい う可能性が考 え られる。そ して、直接、家族介護者-虐待 の事実 を尋 ねる とき、回答者の虐待 についての正 しい認識が前提 となるが、実際、虐待 を虐待 として認識 してない場合 がある (岡山県保健福祉部,2003)。 また、在宅介護で の高齢者虐待が認め られて も、虐待当事者か らの積極 的な相談が少 ない (赤司,2000) とい う事 か ら、介護 者 に とって虐待 は不本意 なことであ り認めることは容 易ではない と思われる。従 って家族介護者へ虐待 の事 実 を直接問 うことは回答-の抵抗 を招 きかねず、 また、 多 くの犠牲 を払 って介護 をやってあげている心情か ら、 虐待行動の認識が甘 くなる可能性 もあるだろ う。 この ように、虐待行動の実態 を正確 に把握す ることは難 し い ものである。 そ こで、本研究では、一つのアプローチ として虐待 -の態度 をとりあげたい。「態度 とは、観察可能な外的 刺激 と観察可能 な個人の行動 との間の関係 を説明す る ための構成概念であ り、一定の仕方で反応 させ る内的 傾向である」 (社会心理学用語辞典1987:230)。態度 は 行動-の傾性 であ り、虐待行動 を肯定す る態度が虐待 行為 と直接結 びつ くとは必ず しも言 えない とい う誹 り は充分予期 で きる ものであるが、虐待-の態度か ら虐 待行動の有無 を断定す る とい うことではな く、虐待行 動の遂行 を規定す る一つの要因 として捉 える。そ こで、 虐待行動 に賛同及 び共感す ることを虐待行動への共感 的態度 と定義する。「虐待」 とい うデ リケー トな問題 を 研究す るにあたって虐待へ の態度 を問 うことは、虐待 行動 を直接 問 うことよ りも回答への抵抗 を和 らげ、回 答者 のホ ンネが出やすい もの と期待 され る。そ して、 家族介護者の虐待への態度が介護者の置かれた状況 に よって変 わるな らば、高齢者虐待 の誘発要因の理解 に 役立つ もの と思われる。 さて、虐待 についての初めての全国調査で、虐待の 誘発要因 として介護負担が指摘 された (医療経済研究, 2004)。介護負担は、介護生活に伴 う色々な負担 によっ て構成 されるが、その一つ に要介護者の心身の状態 に 結 びついた介護その ものの負担がある。要介護者の身 体状態では、「寝 た きり」 と虐待の関連が指摘 され (金 千, 1987;高崎, 1998)、要介護者の身体的 自立度の低 さは虐待 の誘発 要 因 と考 え られ た (医療経 済研 究 , 2004)が、生活行動能力 (ADL)が高い者 も虐待 され てお り (高崎,1998;小野 ら,2003)、要介護者の身体 状態 と虐待 との関係で結果 に不 一・致がみ られた。 これ らの調査 では、介護負担の測度 として要介護度や要介 護者のADLが用い られてお り、要介護者の心身の状態 か ら介護者の負担 を間接的 に測 っている。そ こで本調 査 では、介護内容 によって介護者が感 じる介護の困難 さや負担 を直接反映する測度 を加えることに した。 要介護者の認知症状 と虐待 との関連 については、認知 症介護者の介護負担が重 くなると虐待 も起 こ りやす く な り (リーLeeら,2005)、特 に 「排掴、異食、不潔行 為」 (鈴木 ・安梅, 1998;多々良,2001)、「失禁」 (金 千,1987;鈴木 ・安梅, 1998)、「言語の混乱」 (高崎, 1998;青森県健康福祉政策課,2003;福 島県保健福祉 那,2004)が虐待 を誘発す る症状 として考察 された。 し か し、認知症の重症度 とい うよ りも、在宅介護 を困難 と認識す る介護家族か ら虐待が生 じやすい とい う指摘 もある (三宅,2006)。そこで、認知症状のみならず認 知症高齢者の介護 に伴 う苦悩 も測度 として加 えること に した。 また、介護期 間が長いほ ど負担感 も増 し (杉原 ら, 1998;浅川 ら,1999)、虐待 との関連で も、被虐待者 と の接触時間が長い者 (青森県健康福祉政策課,2003)、 あるいは、同居 している者 (医療経済研究,2004)に虐 待者が多かったことか ら、介護 に費やす時間 も介護負 担の量的な測度 として とりあげたい。 ところで、介護生活 は介護その ものの負担のみなら ず、介護者 にさまざまな犠牲 を強いる (木之下 ・朝田,

(4)

1999)。介護生活に伴 う不満や不安 など苦悩 は、介護者 の置かれている状況 によって異 なる。 た とえば、要介 護者が同 じ心身の状態で も、家族の介護力や主介護者 の介護以外の役割、また、周 りの人間 との関係 などで、 介護者の感 じる負担や不満は異 なる。 この ような介護 者の苦悩 も要介護者-苛立ちを向けやす くす る と思わ れるが、いわゆる 「介護負担感」 と虐待 との関連 を扱 った研究 は少ない LL田,2000;桐野 ら,2005;上田 ら, 2007)。 また、介護の負担感 を自覚す る介護者 に は不安や抑 うつ気分があった (神 田 ら,1994;一宮 ら,

2

00 1) ことや、介護者の 「燃 えつ き感」 (宗像 川 Ⅰ野, 1994;服部 ら,2000 ;亀山 ら,200 1;服部 ら,2001)早 介護者の健康状態 (緒方 ら,2(X氾 ;谷垣 ら,2004)は、 介護者の適応状態 を示す測度であ り、虐待への態度 と 関連 しているだろう。 以上 、本研究では介護負担 を構成す る要 因 と して、 要介護者の心身の状態、介護者が直接感 じる介護 の困 難 さ、介護量 、そ して介護者の適応状態 について取 り あげ、高齢者虐待への態度 との関連 を検討す ることを 目的 とした。 Ⅰ.方法 1.調査対象及び調査手続 き 本研究で分析 に用いたデー タは、沖縄県内の七つの 市町村の家族介護者 を対象に1997年 に行 った 「老人介 護者の生活実態調査」 とい うア ンケー ト調査 の一部か ら得 られたものである。 アンケー ト用紙 は、社会福祉協議会、介護者の家族 の会、在宅介護支援 セ ンターや老健施設の協力 を得 て 家族介護者へ手渡 され、自宅で回答 された後各機 関で 回収 された。調査は無記名回答 で124人の回答 を得 た。

2.

調査票の構成 虐待への態度 についての項 目、虐待へ の態度 を規定 する要因 として、要介護者の心身の状態、介護 に伴 う 困難 さ、認知症介護の大変 さ、介護の量的測度 、介護 者の適応測度 によって構成 された。 尚、ADLや介護の 困難 さとの関連 について、先 に報告 されているが (天 城 ・国書,2008)、虐待への態度 を中心 とした考察のた めにここで もとりあげた。

1

)虐待への態度 についての項 目 (12項 目) 虐待 は,身体的虐待 (4項 目),心理的虐待 (3項 目), 経済的虐待 (1項 目),介護放棄 (4項 目)の4種類で それぞれ介護者の声 をもとに作成 された (例 .介護 に疲れて くると老人を手荒 に扱 って しまう)。高齢者 虐待の仮想状況で、「虐待者 にどの程度共感 (気持 ち が わかる,賛同で きる)で きるか」 を、「とて も共感 で きる」4点か ら 「全 く共感で きない」 1点の4件法で 問 うた。 ここでは、実際の虐待 を扱 ってない ことか ら、虐 待者ではな く 「介護者」、被虐待者ではな く 「要介護 者」 とする。 2)虐待への態度 を規定する要因 として (∋要介護者の心身の状態に関す る項 目 ・認知症の症状 について(18項 目) 宗像 ら (1994)が使用 した リス トを用 い症状 の有無 を問 うた。 ・ADL (9項 目) 九つの生活行動能力 (食事 、入浴 、歩行 、聴力、視 力、話の理解、排継、着脱、意思の伝達)について、 4件法(例 .一人で不 自由な く食べ られ る-全 て介助 して もらわない と食べ られない)で行 った。 ②介護 に伴 う困難 さについて(12項 目) 認知症状や身体機能の低下 によって生 じて くる介護 内容 について、介護の困難 さ(例.排相や入浴の世話 について どの程度困っているのか)を4件法で訊ねた。 (参認知症介護の困難 さについて (7項 目) 認知症高齢者の介護 に伴 う困難 さとして、世話の大 変 さ、周 りへの蓋恥心、周 りか らの理解や支援 な ど について

4

件法で問 うた。 ④ 介護 に関わった時 間の測度 :同居年数、介護年数、 29

(5)

「地域研 究」6

2009年6

(垂 亘 ) 介護時間 ⑤ 介護者の適応測度 ・介護生活の快適 さについて (16項 目) 早川 (1982)の 「介護者の声」 を参考 に作成 された。 介護 を始めて抱 えた介護者の健康への不安 、経済的 負担、諦めたこと等 について4件法で回答 を求めた。 ・介護者の健康状態 について 「体調が よい」、「病気でないが不調」、「病気がある」 の選択肢である。 ・燃 えつ き度 について

(

1

5

項 目)

宗像 ・川野 (1994)が用 いたpinesの "theBurnOut Measure''を邦訳 した21項 目か ら他 と重複 しない項 E] を選出 した。「疲れ きった感 じ」、「気がめいる」

「イ ライラす る」、「うん ざ りす る」等 の度合い を4件法

(

「いつ もある

-

「全 くない

)

で評定 して もらった。

Ⅱ.

結果 1.虐待への態度 について 虐待-の共感的態度の平均値 は20.02点 (12点か ら48 点の範閲)で標準偏差 は4.72であったO虐待への態度 で共感の高かった上位3項 目は 「介護 に疲 れる と手荒 になる」(平均値 :2.60,標準偏差 :0.90)、「世話 をす る人の心身の疲労が積 もる と、異常 な行動 (例 えば無 理心中) を しない とも限 らない」 (平均値 :2.13,標準 偏差 :0.96)、「痴呆老人 をバ カにする」 (平均値 :1.70, 標準偏差 :0.76)であった。 表 1.4種類の虐待 身体的虐待 心理的虐待 経済的虐待 介護放棄 平均値 L93 1,47 1.55 I.63 標準偏差 2.06 1.48 0.74 2.04 表 2.虐待種類間の相関 心理的虐待 経済的虐待 介護放棄 身体的虐待 .54*** .24* .40*** *p

<

.05 ***p

001 虐待 の種類 によって虐待への共感的態度 に有意差 は なかった(表1)。 また、身体的虐待への共感が高い人 は心理的虐待への共感 も高い とい うように、4種類の虐 待へ の共感的態度はすべ ての組み合わせで有意な正の 相関を示 した (表2)0

2.

要介護者の心身の状態 と虐待への態度 との関係 1)ADLと虐待への態度 との関係 従来 よ く用い られているADLは、要介護度の基本的 測度であ り、ADLが低 い と介護負担が大 きくな り、虐 待-の態度 に影響す る と仮定 された。 しか し、本調査 では、ADLと虐待への態度 に有意 な相関関係 はみ られ なかった。

2

)認知症の症状 と虐待への態度 との関係 認知症の症状が多いほ ど、虐待-の共感 は高 くなっ た (∫-.39,p

く0

01)。認知症の各症状の有無 による 虐待へ の態度の差の検定結果

、6

つの認知症で虐待へ の態度 に有意差が見 られた (表

3

)。主に記憶障害、妄 想、 ウツ的症状 に分類 される。特 に、「物 を盗 まれた と さわ ぐ」の有無で虐待-の共感 に大 きな差がみ られた。 また、夜 間せ ん妄がある と、介護者が虐待へ共感的態 度 を示す傾 向があった。 しか しなが ら、認知症の症状 の中で も、失禁、異食、時間や季節がわか らない、火 の不始末、身体麻痔、床ずれなどでは、虐待への態度 に有意差がみ られなかった。不潔行為 については、虐 待-共感的態度が予想 されたが、ケースが1件 しかな かったため分析がで きなかった。

3.

介護の困難 さと虐待への態度 との関係 1)介護の困難 さと虐待への態度 との関係 介護 内容 について、介護者が感 じる困難の程度 を問 うことで、直接 的に介護者の負担 を測定 した。その結 果 、介護 を困難 と感 じるほ ど虐待への共感が高 くなっ た (r-.38,p<.001)。特 に、「身体の些細 な不調 を重 大 な病気ではないか と繰 り返 し訴 えること」 (r-.45, pく Ol)、「介護者のい うことを聞かず 自分のや り方 を

(6)

通そ うとす る

」(

r-.40,p<.01)、「興奮 して騒 ぐこと

(r-,35,p<.01)、「攻撃 を した り暴力 をふ る うこ と

(r-.32,p<.01)、「同 じことを何度 も訊かれた り、同 じ話 を聞か された りす る」 (r-.28,pく 01)は、虐待 への共感 を高めた。 しか し、俳梱 、用便の世話、移動 ・ 歩行の世話、入浴の世話 、食事の世話、着替 えの世話、 意思疎通の困難 さについては、虐待へ の態度 と関連 は 表3.認知症状の有無による虐待への態度 認知症症状 N 平均

SD

t値 ぼんやりして周 りのでき 無 59 19.32 4.01 ごとに興味を示さない 有 39 20.69 5.59 -1.41 物を置き忘れたりしまい 無 61 18.90 3.85 忘れたりする 有 37 21.46 5.58 -2.68** 親しい人がわからなくな 無 62 19.42 3.64 る 有 36 20.64 6.14 -1.09 家庭器具の使用を間違つ 無 83 19.55 4.73 たり火の不始末がある 有 15 21.60 4.42 -1.56 寝ぼけたように騒いで落 無 80 19.48 4.43 ち着かない 有 18 2l.61 5.67 -1.75+ 実際にない物が見えたり 無 83 19.06 3.86 声が聞こえたりする 有 15 24.40 6.41 -3.13** 事実でないことを事実と 無 80 19.20 4.00 思い込む E l8 22.83 6.43 -2.30* ふさぎこんだり悲 しがつ 無 83 19.18 3.89 たりする 有 15 23.67 6.91 -2.44* 自分の話 したことを忘れ 無 73 19.00 4.05 る 有 25 22.40 5.66 -3.26** 作 り話をする 虹 85 19.59 4.68 有 13 21.69 4.77 -1.51 食事の異常がある 無 87 19.67 4.28 右 目 21.45 7.45 -0.78 場所の見当がつかない 無 81 19.37 4.12 有 17 22.24 6.58 -1.73 物を盗まれたとさわぐ 無 89 19.12 3.88 有 9 27.22 6.14 -5.62*** 時間や季節がわからない 無 70 19.67 4.67 有 28 20.36 4.91 -0.65 失禁がある 無 62 19.89 4.82 有 36 19.83 4.61 0.06 不潔行為がある # 97 19.85 4.74 有 1 22.00 床ずれがある 無 86 19.72 4.33 有 12 20.92 7.12 -.82 身体がマヒしたり自由に 無 59 19.98 4.52 +.05< p<.1 *p<.05 **p<.01 ***p<.001 み られなかった。 2)認知症介護 と虐待への態度 との関係 認知症介護 に伴 う不満や困難 さと虐待へ の態度 との 関係 をみる と、「ボケ老人の世話 の大変 さは周 りの人に はわか らない

」(

r-.29,p<.05)、「ボケ老人の世話 を す る と自分 の頭がおか し くなって しまいそ うな気がす る

」(

r-.39,p<.01)、「身内がぼけた ことについて今 で も信 じられない

」(

r-.33,p<.05)、「ボケ老人の家 族 や介護 に対 して支援機 関の理解 や援助 が足 りない」 (r-.37,pく01) とい う苦悩が強 まる と虐待への共感 が高 まる とい う結果が得 られた。

4.

介護時間 と虐待へ の態度 との関係 介護期 間が20年未満 (30%)と20年以上 (70%)で は 、 後 者 が 虐 待 - の 共 感 を 示 す 傾 向 (t

ニー

1.72,.05<p<.1) にあ った。 しか し、同居 と別居 では 虐待へ の態度 に有意 な差 はみ られず

、 1

日の介護時間 や、夜 中に介護 のため に起 きる回数 と虐待へ の態度 に 関連 はみ られなかった。

5.

介護生活-の適応状態 と虐待への態度 との関係 1)介護生活の快適 さと虐待へ の態度 との関係 介護生活 を快適 に過 ご してい るか どうか と虐待へ の 態度 に関係 があ り、介護生活 において不安 や不満 を感 じ困難 になる と、虐待へ の共感 は高 くなった (表4)0 特 に、「世話 の仕方がわか らず老人-の対応 に困ってい る」、「老 人以外 の家族 の世話がで きない」、「解放 され たい気持 ち」、「自殺 や心 中 を考 えた」、「この生活 の継 続へ の不安」 とい った問題 や悩 み を抱 えてい るほ ど虐 待へ の共感が高 まった。

2

)介護者の燃 えつ き度 と虐待への態度 との関係 介護者 に燃 えつ き感が ある時、虐待へ の共感 が高 くな っ て い た (r- .37, p < .001

)0

「気 が め い る 」 (r - .38, p< .001)、 「ぬ け が ら に な っ た 感 じ」 (r-.34,p< .001)、 「絶望感

」(

r-.33,p< .001)、 31

(7)

「地域研究

」6

号 2009年

6

(

重要 三二

表4. 介護生活の快適さと虐待への態度 との相関 介護生活の問題 相関係数 世話の仕方がわからない -.32** 休養がとれず睡眠不足である -.17 介護者が健康に不安を感 じる -.17+ 世話のために自分の時間がもてない -.14 世話が大変である -.03 世話を始めて経済的に困った -.10 世話のためや りたいことを諦めた -.20+ 世話には気力が必要だ -.07 他の家族の世話ができない -.30** 世話を巡って人間関係がこじれた -.13 世話の仕方を批判され嫌な思いをした - .0 1 悩みを聞いたり励ます人が必要だ -.07 今の生活から早 く逃げ出したい -.27** この生活の継続への不安 -.22* 自殺や心中を考えた事がある -.26* 自分だけが世話をする事への不満 -.17+ +.05<p<.1 *pく05 **pく01***く001 「うん ざ りす る」 (r-.32,p<.01)、「こんなはず じゃ なか った とい う感 じ」(r-.30,p<.01)、「悩 んでいる」 (r-.27,p<.01)、 「いい一 日だ と思 う」(逆転項 目) (r-.24,p<.05)、 「楽 観 的 な気 分 」 (逆 転 項 目) (r-.24,p<.05)、「人間に対 して愛想が尽 きて無性 に 腹 が 立 つ」 (r-.23,p<.05)、 「お も しろ くない

(r-.22,pく 05)と、燃 えつ き測度15項 日中10項 目で 虐待への共感的態度 と関連がみ られた。

3

)介護者の健康状態 と虐待へ の態度 との関係 介護者 の健康状態 (体調 が良い ・病気 ではないが不 調 ・病気)で、虐待- の態度 に有意差 はみ られ なか っ た。

6.

虐待 の種類 とその関係要因について ・身体的虐待への態度 に関係す る要因 身 体 的 虐 待 - の 共 感 は 、 介 護 生 活 が 快 適 で な く (rニー.35,p<.001)、 認 知 症 介 護 で 苦 悩 が あ り (r-.55,p<.001)、そ して、認知症 の症状 (r-.31, p<.01)や実際 の介護上 の困難 さ (r-.37,p<.001) が多い とき高 くなっていた。 また、介護者 の燃 えつ き とも関係 し (r-.46,p<.001)、消耗状態が ひ どい と き身体的虐待へ の共感 も高 くなっていた。 ・心理的虐待へ の態度 に関係する要因 心 理 的虐 待 へ の 共 感 は 、 介 護 生 活 が快 適 で な く (rニー.22,P<.05)、認知症の症状 (r-.29,p<.01) が多 く、実際の介護上の困難 さ (r-.29,p<.01)が 多い とき高 まった。 また、心 身の消耗状態 (r-.34, p<.ool)が ひ ど くなる と心理的虐待への共感 も高 くな った。 ・介護放棄への態度 に関係する要因 認知症の症状 (r-.32,p<.001)や実際の介護上の 困難 さ (r-.28,p<.05)が多い とき、そ して介護者 の燃 えつ き (r-.28,p<.Ol)に伴 って、介護放棄-共感的な態度 を示 した。 ・経済的虐待への態度 に関係す る要因 「老人の収 入、年金、貯金 な どを勝手 に使 う」 とい う経 済 的虐待 - の態 度 は、要介護 者 の認 知症 の症状 (r-.21,pく 05)と関係 し、症状が多 くなる と経済的 な虐待へ共感的な態度 を示 した。

7.

重回帰分析 による介護負担 に関す る諸要因 と虐待 - の態度 との関係 介護負担 に関す る要因が、 どの程度虐待へ の態度 に 影響す るか を確認す るため に重 回帰分析 を行 った。説 明変数 として、虐待- の態度 と有意 な相関がみ られた 変数 をとりあげた。結果、「燃 えつ き度」の偏 回帰係数 は0.34(両側検定 :t-2.19,p<.05)で虐待へ の態度 に 及ぼす燃 えつ き度 の結果 は有意 であった。 この時の回 帰式全体 の説明率 は

R

2-.18であ り、有意であった

(

F

(4,68)=4.99, p-.001)。尚、回答者の人数 において 満足す る もので はない ことと、認知症介護 についての 悩 みへ の回答数が少 ないため、説明変数 として組み込 まれてない ことをお断 りしたい。

Ⅳ.

考察 1.虐待 の種類 による分析

(8)

これ までの研究では、虐待の種類 によって虐待行動 の生起率が異 なるとい う結果 (上 田 ら, 1998,2000

;

鈴木 ・安梅, 1998;筒井 ・東野,2002;大国 ら,2005) と複数の虐待行動が同 じように発生 していた とい う結 莱 (アンメAnmeら,2005)があ り、結果に一致が見 ら れなかった。本研究結果では、虐待-の共感的態度 は、 虐待の種類 に関係 な く一様 に見 られた。 また、言語的 虐待 、いわゆる、心理的虐待 と認知症 との関連がみ ら れ た 研 究 (ヴ ァ ン デ イ ウ イ ア - ド ・パ ヴ ェ ザ

vandeWeerd・Paveza,2005)があることか ら、虐待の 種類 によって関連す る要因が異 なるか をみた。その結 果、認知症 は全ての虐待への態度 と開通 し、特 に、経 済的虐待への態度 に関連 した唯一の要因であった。記 憶障害がある時、「老人の収入、年金、貯金などを勝手 に使 う」 とい う経済的虐待 に共感 的になるのは、記憶 が定かでない ものにお金の管理 はで きない し相談 を し て も無駄 という事で、「勝手 に使 う」 ことに抵抗がな く なるか らだろう。

2.

要介護者の心身の状態 と虐待への態度 との関係 本研究では、何 ら (2000)の調査結果 と同様、虐待 への態度 とADLとの間に有意 な相 関関係 はなか った。 先の研究 (大城 ・国吉

,2

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0

5

)

で、介護者が困難 と感 じる介護 について多 くの回答者は、「介護者 と要介護者 の コミュニケー シ ョンの問題」や 「移動 ・歩行 の世話 をすること」 をあげた。 この介護 の困難 さについての 評定は、介護負担 を直接問 うていることか ら、虐待-の態度 との関連が検討 された。その結果、介護者 にと って身体的な負担 となる 「移動 ・歩行の世話」、「入浴 の世話」、「用便の世話」 には関連がなかった。 しか し、 要介護者の反復行動 (不調の訴えや同 じ話の繰 り返 し)、 介護者への不従順 さ (言 うことを聞かない)、介護者-の攻撃性 (興奮や暴力)が虐待への共感的態度 と関連 した。 これは、「要介護者か らの怒 りや文句、また、介 護者の言 う事 を理解 しない時、憎 しみの感情が起 こる」 とい う結果 (上 田,2000) と一致 している。要介護者 の非協力的な態度 は、介護 を困難 に し、介護者 にとっ てス トレスになるであろ う。 ま して、攻撃的な態度 は 許 しがたい思いにか られるだろう。 これ らの ことか ら、 高齢者虐待へ の態度 は介護者 の身体的な負担 よ りも心 理的ス トレスと関連 していると考察 される。 一方、認知症 は虐待への態度 と関連があ り、電話相 談の中で最 も多い問題行動 として「もの忘れ」が挙げ ら れている (高林 ら,2002) ように、記憶 障害 による要 介護者の行動が介護者 にス トレスをもた らしているよ うだ。 自分の話 した ことを忘 れ、同 じ話 を繰 り返 され ることは介護者 にとって苦痛 だろ う。 また、物 を置 き 忘れた りしまい忘 れ、時 に、物 を盗 られた と騒がれる のは、虐待への共感的態度 と最 も関連の強い症状 であ ることか ら、最 も強いス トレスになっている と考 え ら れる。易怒性 ・猫疑心 は認知症のなかで も対応 に困 り介 護者の介護負担感 と関連がある (大西 ら,2003) と考 察 されているが、その嫌疑が介護者 に向け られるな ら ば、介護者 を苛立 たせ、時 には怒 りを感 じさせ るだろ う。従 って、この ような症状のある者は、虐待 される 危険が最 も高い と予測 される。 また、実際 にない物が 聞 こえた り、見えた りす ることや、事実でない ことを 事実 と思い こむことは、介護者 に とって理解 しがた く 対応 に困るだろう。そ して、要介護者の 「不幸 な様子

は介護負担の有意 な予測値 と指摘 されている (大西 ら, 2003)ように、 ウツ的な症状 も介護者 に虐待への共感 的態度 をもた らす ものであった。献身的 な介護が報 わ れず介護者の気分 まで落 ち込 ませ るためであろ う。 し か し、従来の調査結果で挙げ られた4非掴、異食、失禁、 そ して言語 の混乱 については、虐待への態度 と関連が み られなかった。 また、認知症介護の苦労が多いほど虐待へ共感的で あ った。認知症介護 は経験 した ものでなければわか ら ない困難があるが、それが周 りに理解 されてない。周 囲の無理解 は、介護批判や介護への非協力 をもた らす。 つ ま り、認知症介護 は、介護その ものの大変 さだけで はな く、介護の苦労が認め られない悔 しさや助 けて も らえない辛 さも加 わ り、ス トレス を増 している。 さら に、認知症 を受容す ることも困難 な課題であ り、特 に

33

(9)

「地域研 究」6号 2009年6月

(

垂 亘亘 )

要介護者が身内になる と難 しい。 この ような孤軍奮闘 の介護の中で、公的機関か らの援助 について も不満 を 強めていた。従 って、周囲の無理解や非協力が認知症 介護の負担 を増加 させ、間接 的に介護者 を虐待者-追 い込む とい う可能性 も否定で きないだろう。

3.

介護時間 と虐待への態度 との関係 本研究結果か ら、介護時間は虐待へ の態度 の規定要 因 とはいえない ようだ。介護負担感 との関係 を検討 し た先行研究 において も、介護時間や期 間が長 くなるほ ど介護負 担 感 が高 まる とい う報 告 が あ る (杉 原 ら, 1998;大西 ら,2003;浅川 ら,1999)一方、有意 な関 連が認め られない (谷垣 ら,2004)とい う結果 もあっ た。 この ような結果の不一致 は、介護 に対す る認知的 な評価が関与 している と説明 された (広瀬 ら,2007)。 従 って、介護負担 を客観的な量で とらえるのではな く、 介護者の認知的評価 を介在 させ て考 える必要があるの か もしれない。

4.

介護生活への適応状態 と虐待への態度 との関係 本調査では、介護生活への適応指標 として 「快適 さ」、 「燃 え尽 き度」、「健康度」 を用いた。概 して介護生活 に 不適応 な状態 を示 している時 に、虐待へ の共感 は高 く なっていた。介護生活 における現実の問題 として、介 護知識や技術不足 は介護 を困難 にす るため、虐待へ共 感 的 になるだろ う。 また、介護 以外 に も役 割 が あ る (多重負荷)場合、一人の介護者への負担が大 きくなる ため虐待が起 こ りやす くなる と予想 され る。 そ して、 介護か ら早 く開放 されたい気持 ちや介護がいつ まで続 くのかわか らない とい う不安、 自殺や無理心 中を考 え ること、 さらに、燃 えつ き感 は、虐待 を肯定す る態度 に傾 いている兆候 と考 え られる。言い換 えるな ら、 こ れ らの兆候 は、介護者支援 の必要度 を示唆す る もので あろう。周囲の者 はこの シグナルを見逃 さず迅速 な対 応 をとることで、虐待 を未然 に防止す ることが可能 と なるだろ う。従 って、介護者の心情や燃 えつ き項 目を 要介護認定の審査項 目に加 えることは、一考 に値す る もの と思われる。 ところで、鈴木 と安梅 (1998)は、虐待者 に健康障 害があって も、高齢者の状況への理解があれば虐待の リスクが軽減 されると考察 していた。本調査結果で も介 護者の健康度 と虐待への態度 との関連 はみ られなかっ たことか ら、介護者の認知的側面 を今後の研究で とり あげたい。 まとめ 本研究は、虐待行動 についての研究のひ とつのアプ ローチ として、虐待への態度 を問い、それが どの よう な要因 と関連があるか を検討 した。高齢者虐待への態 度 は、認知症の症状、介護場面での困難 さ、介護 を引 き受 ける事で生 じたコス ト、燃 えつ き感 と関連があっ た。 しか し、重 回帰分析 の結果 を鑑みて、虐待への態 度 を説明す る要因については更 なる研究が必要 となろ

う。

<付記> ・ア ンケー ト調査 にご回答 いただいた介護者の皆様 と デー タ収集 にご協力 くださった皆様 に感謝いた しま す。 ・統計処理 において多大 な協力 をいただいた琉球大学 の田中寛二氏 に感謝いた します。 引用文献 浅川典子 ・高崎絹子 ・旭使 臣 ・吉 山容正, 1999

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