日本 の金融機関の海外 資産運用 の現状,課 題,対 応
対米投資 を中心 とした一考察
中 村
敏
夫
Capital
Investment
of Japanese
Financial
Institutions
in the
U.S. market
Toshio
NAKAMURA
This paper examines the historical trend and scope of capital investment by Japanese Financial Institutions (JFI) in the U.S. market.
The emphasis is mainy given to the focus on management strategies of the life insurance companies, so called, "the Seiho", during the process of a recent Yen appreciation period (1985-1988). The coverage of activities of JFI includes loan, investment in equities and securities, forward contract and tax heaven facilities. This research, also, is conducted in the field of fact-finding on Japanese capital investment as well as way of solution to avoid risks caused by currency and other economic factors.
は じめに 本 稿 は世 界 一 の債 権 国 日本 の金 融 機 関 の 海 外 資 産運 用 の現 状,課 題,対 応 に 関す る研 究 論 文 で あ る 。 と りわ け,最 大 の機 関投 資家 で あ る 生 命 保 険業 界 の対 米 投 融 資 分 野 に焦 点 を当 て て い る。 ま た,1985年9月 の 「プ ラザ 合 意 」 以 来 の 為 替 並 び に証 券 市 場 リス ク に金 融 機 関 が どの よ う な対 応 を行 な って きた か も研 究 対 象 と し てい る。 な お,本 論 文 は昭和62年 度 の学 部研 究 費 の 補 助 を う け てい る。 1.金 融 機 関 の海 外 資 産 運 用 (1)金 融 機 関全 般 の活 動 1987年 末 時 点 で の金 融 機 関全 体 の資 産 総 規 模 は993兆1763億 円 に達 す る。 そ の うち 生 命 保 険 業 界 の ジ ェ ア は7.4%で あ る。 な お,金 融 機 関全 体 の総 資金 量 に 占め る生 保 の シ ェ ア は1975年 末 が8.4%で あ っ た が,1982年 末 に は9.2%に 上 昇 した 。 生 保 の対 外 証 券 投 資 の 対 資 産 比 率 は7.8%に 伸 び た 。全 金 融 機 関 の 外 国 証 券 投 資 残 高 に 占 め る 生 保 の シ ェ ア は 1982年 に銀 行 グル ー プ を上 回 り,1982/83年 は33%ま で も占有 す る に至 って い る。 以 降,生 保 の シ ェ ア は もはや 最 大 の外 国証
券 投 資 主 体 で は な くな った 。 そ の か わ り,事 業 会 社 な ど非 金 融 機 関の 外 国 証 券投 資 は1985 年 全 体 の2分 の1を 占め た 。 なお,市 場 規 模 36兆7711億 円 の外 国有 価 証 券 に 占め る各 金 融 機 関 の シ ェ ア(1987年12月 時 点)は,生 保 が 28.1%,信 託銀 行26.6%,都 市 銀 行10.6%と 続 く。 1986年12月 の生 保23社 の外 国 証 券 に よ る証 券投 資 は7兆3065億 円 に達 し,年 間53.1%増 で 資 産全 体 に対 す る比率 は11.7%で あ る。 そ れ が1989年3月 期 に は外 国証 券 投 資 は さ らに 伸 びて,年 度 末 残 高 は13兆5956億 円 とな り, 総 資 産 占率 は14%と な った 。 生 保24社 の海外 投 資残 高 は1986年 度 末 が7 兆5252億 円で あ り,こ の額 は 日本 の対 外 証 券 投 資 の約2割 にあ た る。1987年 度 末 の残 高 は 約10兆 円で,増 加 資 産3兆5000億 円 の61.2% 増 を記 録 した。 対 総 資 産 シ ェ アで見 る と,規 制 枠 ギ リギ リの11.5%に 達 す る。1987年11月 時 点 の 生 保24社 の 外 国 有 価 証 券 残 高 は10兆 1200億 円弱 で,総 資 産 枠 の13.7%を 占 め る。 加 え て,外 貨 預 金 な ど外 貨 建 て 資 産 が4兆 円 あ る 。1987年 度 の海 外 投 融 資 の 増 加 額 は3兆 846億 円 で 増 加 資 産 占 率 は22.1%に 及 ぶ 。2 年 連 続3兆 円 台 を記 録 した。 こ の結 果,1989 年3月 期 の 残 高 は7兆8844億 円で,総 資 産 占 率 は18.42%に 達 してい る。 証 券 種 類 別 で 見 る と,債 権 投 資 が 中心 で あ るが,円 高 進 行 に よ って短 期 売 買 が 増 加 して い る。 一 方,1986年 以 降各 国 が協 調 利 下 げ に 踏 み 切 り,債 権 利 回 りが低 下 して海 外 株 式 市 場 の株 高 時 代 を1987年10月 の ブ ラ ック ・マ ン デ ー時 まで 迎 え た。 したが って,収 益 率 の高 い株 式 運 用 熱 が高 ま り,株 式 投 資 比 率 は1986 年 の7.1%か ら1987年 は18.6%へ 大 幅 増 を記 録 して い る 。投 資 先 の 国別 シ ェ アで は 米 国 向 け が半 分 近 い 比率 を保 っ て い る。1 1987年 の対 外 証 券 投 資 は,内 外 金 利 差 の存 在 や 日本 の 豊 富 な運 用 資 金 な ど に支 え られ て 高 水準 な投 資 が行 わ れ た もの の為 替 相 場,債 権 相 場 に影 響 され て 前 年 度 を下 回 って い る 。 (2)銀 行 の 海 外 投 融 資 活 動 銀行 は ドル=ド ル投 資 が 可 能 だ か ら,ド ル 圏 で は ノ ン ・リス ク に近 い 投 資 が で き る。 生 保 と基 本 的 に違 う点 で あ る。 つ ま り,一 早 く グ ロ ー バ リゼ ー シ ョ ンが 進 ん だ 為 替 銀 行 は 厂外 ・外 」 型 の投 資 家 で あ り,外 貨借入 によ る外 債投 資 が可 能 で あ るか ら,「 ドル ・ドル」 型 投 資 に重 点 が置 け る。 一 方,生 保,損 保, 銀 行 勘 定 を除 く信 託 銀 行,投 資 信 託 な どの機 関投 資 家 は円 資金 を原 資 と して外 貨 証 券 を購 入 す る投 資 で 「円投 」 型 と集 約 さ れ る。1986 年 に機 関 投 資 家 の対 外 証 券 投 資 に対 す る規 制 が 大 幅 に緩 和 して シ ェア が拡 大 され た 。 しか しなが ら,ド ル安 円 高 が進 行 して 「円投 」 型 投 資 は慎 重 か つ 鈍 化 に向 か った の で,ド ル ・ ドル型 投 資 は急 増 した 。 い ず れ に して も国際 業 務利 益1千 億 円,国 際 部 門 人員1500人 体 制 が 間 近 な銀 行 の 国 際 業 務 の 進展 は 目覚 ま し く,そ の 事 は表1の5大 銀 行 の 国 際 活動 内容 か ら も察 せ られ る。 地 銀,旧 相 銀,信 用 金 庫 な どの 金 融 機 関 も "バ ス に乗 り遅 れ る な"と 言 わ ん ば か りに海 外 資 産 運 用 に活 路 を見 出 した。 生 保 が 一一時 米 国 債 な ど に消 極 的 で あ った時 期 に"救 世 主" と して 活 躍 した の が これ ら中小 金 融 機 関 で あ る。 ユ ー ロ ・ドル を引 い て米 国債 購 入 に 当 て て た わ けで あ る(ド ル=ド ル投 資)。 「円投 」 型 年 金 そ の 他 の信 託 資 産 原 資 を含 む信 託 銀 行 は 国際 業 務 を拡 充 して い る。 た と え ば,資 金 の外 為 取 引 や 有 価 証 券 売 買 に加 え て,米 国債 や米 国 株 な どの 投 資 顧 問 業 務 も行 って い る 。 と くに,海 外 現 地 法 人 を通 じて の 投 資顧 問業 務 は活 発 で あ る。1985年 頃 に各 社 が 競 って現 地法 人 を米 国 に設 立 した。 また, 合 弁投 資顧 問会 社 は欧 州 各 国 の債 券,株 式 投 資 も熱 心 に行 って い る 。現 地 法 人 は投 資 家 が 購 入 した 米 国 債 や株 式 管 理,日 本 の事 業 会 社 の現 地 法 人 か らの 年 金 受託,あ るい は 日系 企 業 発 行 のユ ー ロ債 な どの受 託 業 務 も行 って い 一66一
る 。 さ らに,一 歩 進 ん で米 国企 業 年 金 へ の ア プ ロ ーチ も積 極 的 にな って い る。 そ れ は米 国 の投 資 顧 問 業 者 との 提 携並 び に合 弁 会社 設 立 な どの手 段 に よ る。 企 業年 金 市 場 の 参 入 は債 券 や株 式 で 運 用 制 限 が な い だ け に魅 力 的 で あ る。 信 託 も他 銀 行 と同様,ド ル資 金 を使 って, ドル建 て 米 国 債 券 投 資 が多 い のが 特徴 。1986 年 度 の国 際 部 門の 収益 は上 位4行 で1645億 円, 前 年 比52%増 で あ った 。 ま た,1987年1月 末 時 点 の 外 国 証 券 残 高 は6兆5030億 円 に上 り, 1年 間 に倍 増 した こ とに な る。 そ の90%は 米 国 債 や ユ ー ロ ドル 債 な どの ドル建 て債 券 で 占 め られ る。 残 り10%は 株 式 で あ る。 そ の後 分 散 投 資 の 一 環 と して株 式,マ ル ク な ど非 ドル 建 て 債 も少 しなが ら増 加 して い る。2 信 託 銀 行 の 対 米 進 出状 況 は,三 菱信 託 が ニ ュ ー ヨ ー ク州 に1986年3.月 現 地 法 人 を開設 さ せ た の に続 い て,三 井 信 託 が1987年10月 同州 に現 地 法 人 をオ ー プ ン させ,1988年3月 に は ス カ ダー ・ス テ ィー ブ ンス ・ア ン ド ・ク ラー ク社 と業 務 提 携 を結 ん で い る 。住 友 信 託 は 1987年9月 ニ ュー ヨー ク州 に現 地 法 人 を開設 し,翌,月 に カ リ フ ォル ニ ア 州 の セ キ ュ リ テ ィー ・パ シ フ ィ ック ・バ ン ク との合 弁 会 社 を デ ラ ウ ェア 州 に設立 した。 安 田信 託 は1987年 ニ ュー ヨー ク州 に現 地 法 人 を設 立 し,東 洋信 託 も1988年9月 に同州 に進 出す る とい った具 合 に 活発 な事 業展 開基 地 作 りに励 ん で い る。 (3)損 保 の 海外 投 融 資 活 動 損 害保 険 会社 は生 保 に遅 れ を と りな が ら も 海外 資 産運 用 に本腰 を入 れ始 め た 。 まず,最 大 手 の東 京 海 上 は1976年11月 す で に100%出 資 の 損 保 代 理 業 を米 国 で 展 開 し始 め た が, 1979年3月 に も う1店 作 り,同 年6月 と1982 年1月 に は損 保 業 を実 施 して い る。 さ らに, 1986年12月 資 本 金100万 ドル の現 地 法 人 を ニ ュー ヨー ク に設 立 し,不 動 産 投 資 業 に乗 り出 した 。1987年1月 に は資 本 金20万 ドル で損 金 処 理 会社 を創 設 して い る。 同様 に,大 正 海 上 は1985年 春 に ユ ーロ債 運 用 向 けの ル クセ ンブ ル グ子 会 社 を設 立 した 。 同 国 は 法制,税 制 面 の優 遇 措 置 並 び に為 替 管 理 が 自由で あ る。 同 社 は運 用 の 多 様化 を計 り,今 後2,3年 は年 間増 加 資 産(約3000億 円)の5-10%を 海 外 向 け投 融 資 に当 て る方針 で,年 間投 融 資 総 額 は500-600億 円 に の ぼ る と思 わ れ る。 なお, 1987年6月 に は中 国銀 行 向 け に30億 円,1988 年7月 に は世 界銀 行 グ ル ー プ のIFCに50億 円強 の 円 建 て 融 資 を実施 した 。 円建 て だ と為 替 変 動 リス ク はな い 。 なお,同 様 に,安 田火 災 は,バ ハ マ に投 資 子 会 社 を作 り,住 友 海上 はバ ミュ ー ダの 現 地 法 人 を増 資 させ た 。 同和 火 災 は1985年 春 にル クセ ンブ ル グ に子 会 社 を設 立 し,大 東 京 火 災 は1986年12月 デ ラウ ェ ア州 に米 国内 不 動 産投 資 子 会社 を開 設 して い る。 損 害保 険 会社 は従 来 比 較 的短 期 運 用 型 で あ っ たが,積 立 型保 険 が拡 大 さ れ る に至 って 長 期 運 用 も盛 ん に な っ て い る。 主 要損 保 会 社 の海 外 投 資 会 社 の 設 立状 況 は 表2の 通 りで あ る 。 1985年 度 の損 保 業 界 全 体 の 外 国 証 券 取得 の 海 外 資 産 運 用 額 は1兆125億 円 で あ っ た が, 1986年 度 は1兆4678億 円 に急 増 して い る 。 円 高 ドル安 が進 んで い るが,前 年 比45%増 を記 録 した 。長 期 債 利 回 りの 日米 差 が3-4%も 開 い て お り,米 国債 投 資 を中 心 に積 極 的 な運 用 を展 開 して い る。 最 近 欧 州 通 貨へ の投 資 も 始 め て い る 。3 (4)簡 易 保 険 の 海 外 投 融 資 活 動 郵 政省 も海 外 資 金 運 用 に本 腰 を入 れ て い る 。 1987年 度 の資 産 運 用 利 回 りは 日 日平 銭 方 式 で 6.62%(前 年 度7.03%)。 ま た,ハ ー デ イ方 式 は6.79%(前 年 度7.22%)で あ る 。 国 内債 の利 回 りが4%台 な の に比 べ,外 債 は8%以 上 が期 待 で き運 用 の柱 とな って い る 。30年 物 米 国債 は1984年 第2・ 四半 期 の 場合,日 本 の 金 利 が7.7%な の に 比 して米 国 金 利 が13.9% と倍 近 い利 回 りを提 供 で きた 。1987年6月30 日段 階 で の 郵 貯 自主 運 用 残 高 は110兆 円 に の
ぼ る 。 外 国債 運 用 は1983年 に本 格 的 にス タ ー トし, 運用 残 高 は 同 年 度 末2608億 円,1984年6348億 円,1985年9896億 円へ 急 増 して きた 。1986年 末 の外 債 投 資 残 高 は1兆6186億 円 で 総資 産 比 で5%を 占 め る。 また,増 加 資 産 で は17.6% を 占 め る 。 ち な み に,1985年 度 総 資 産 比 は 3.4%で あ っ た 。1987年 度 末 の 簡 保 ・郵 貯 の 資 産 運用 状 況 は表3の 通 りで あ る。外 国債 は す で に2兆 円 を超 え,全 体 の5.4%に 達 す る こ とが わ か る。 ち な み に,日 本 の 生保 全 体 の 外資 資 産 は1兆3488億 円 で あ る。 郵 政省 は 海 外 資 産運 用 の拠 点 と して,外 郭 団 体 の 通 信 事 業 教 育 振 興 会 事 務 所 を ニ ュー ヨー クに1984年1月 に 開設 して 現 地 業務 を実 施 して い る 。 な お,1988年4月 以 降 に運 用 制 限 は緩 和 さ れ た 。 そ の 内 容 は: (1)外 国 債 の 運 用 範 囲 に資 本 金60億 円以 上 の 会社 の債 券 を追 加, (2)社 債 の 運 用 に資 本 金60億 円以 上 の上 場 会社 の公 募 債 を追 加, (3)外 国 債,社 債 に つ い て,積 立 金 の そ れ ぞ れ10%枠 を20%に 拡 大,で あ る。4 外 債 の種 類 で は,利 回 りの 良 い カナ ダ ・ド ル5082億 円(全 体 の31.3%),米 ドル4330億 円(26.8%)の 両 方 で外 貨 建 て分 の6割 を占 め る。 通 貨 別構 成 で も,ECU建 て債 権 の 比 重 も 増 加 して い る 。1986年9月 で0.8%に す ぎな か っ た が,1987年3月 の段 階 で9.2%に 急 増 した 。ECU建 て 債 権 はEC加 盟 国通 貨 の 重 要 度 が 加 算 され た 加 重 平均 ドル だか ら,円 通 貨 へ の為 替 相 場 変 動 幅 は小 さ くて済 む。EC U建 て 通 貨 の 債 権 は欧 州投 資銀 行 や世 界 銀 行 が 発 行 す る。 そ の 点,外 貨 建 て 外 債 は為 替 変 動 の影 響 を モ ロ に受 け る わ けだ が,1986年 度 末 は以 前 の 取 得 時 価 総 額1兆2480億 円 が9488億 円 で あ っ たの で,2992億 円 の 評 価 損 を出 した。 一 方, キ ャ ピ タル ・ゲ イ ンは 同年 度 末2500億 円 と推 定 され る 。 (5)特 金 の 海 外 活 動 特 金,フ ァ ン ド ・ トラ ス トで の 外 債 運 用 は 1979年 秋 に認 可 さ れ て株 式 投 資 が 本 格 化 した。 公 共債 を 除 い た株 式 や外 国証 券 を対 象 と して い る。特 金 は キ ャピ タ ル ・ゲ イ ン を金 銭 信 託 収益 金 と して イ ンカ ム ・ゲ イ ン化 を可 能 に し た 。即 ち,生 保 の株 式 キ ャピ タル ・ゲ イ ン化 は 「86準備 金 」 と して扱 わ れ るが,特 金 で は 利 配 収 入 が可 能 で あ る。 以 前 は総 資 産 の3% 以 内 の運 用 に 限 られ て い たが,1988年 に5% に引 上 げ られ て運 用 利 回 りを押 し上 げて い る。 特 金 に よ って,イ ンカ ム ・ゲ イ ン化 と共 に, (1)決 算 期 末 の評 価 が 取 得 後,原 価 方 の採 用 評価 損 を強制 され な い, (2)信 託 名義 ゆ え に生 保 が表 に 出 な くて も 済 む, (3)売 買 型 投 資 へ の 転 換 が 可 能 に な っ た 。5 大 手 生 保5社 に お け る1985年3月 末 の分 離 運 用 勘 定 と して の特 金 は,1985年3月 末 の総 残 高 が1270億 円,翌1986年3月 末 が5880億 円 (推 定)で あ る。 信 託 銀 行 の 別 勘 定 残 高 は 5019億 円 で あ った 。 非 為 替 銀 行 の 中 小 金 融機 関 は ドル債 を 中心 とす る高 クー ポ ン債 券投 資 を外 債 運 用 型 特 金 で行 え るが,為 替 銀行 は禁 止 され て い る 。 2.外 貨 建 て 差 損 と リス ク管 理 (1)外 貨 建 て 差 損 の 実 態 1985年9月 のG5"プ ラザ 合 意"以 来,急 激 な 円高 ドル安 現 象 に見 舞 わ れ,生 保 の 対 外 資 産 価 値 は 目減 り し続 けて い る。 単 純 に計 算 す れ ば,純 資 産 額 は1ド ル=200円 時 に2400 億 ドル で あ っ た ドル 建 て 資 産 は,1ド ル= 100円 に な れ ば1200億 ドル に 半 減 し,逆 資 産 効 果,資 産 デ フ レ効 果 を引 き起 こす 訳 で あ る。 そ こで,外 貨 建 て の 差 損 は大 別 す る と,次 の4種 類 が 挙 げ られ る: ・s
(1)為 替差 損 一 期 間1年 末 満 に償 還 を迎 え る外 貨 預 金 な ど経 営 費 用 項 目 (2)財 産売 却損 一 海 外 の財 産処 分 の損 失 (3)財 産評 価 損 一 米 国 債 な ど手 持 ち の外 貨建 て損 (4)外 貨 建 て 長 期 債 権 換 算 損 一 「15% ル ー ル」 評 価 損 と も呼 ばれ る もの で,前 年 度 期 末 の為 替 レー トよ り3月 の 決算 日中 の平 均 為 替 レー ト換 算 の 円建 て額 が 帳簿 価 格 を円 高 で15%超 え て下 回 っ た時 の損 失 額 。 対 応 と し て は ドル建 て の非 上 場債 券 の為 替 差 損 は決 算 で 償 却,国 内 株 の売 却益 な どで穴 埋 め す る。 大 蔵 省 通 達 に よれ ば,3年 以 内 に償 却 す れ ば よ い(法 人 税 法 基 本 通達9∼1-16の2, 2-1-6の2)。6 従 って,生 保 の外 貨 建 て債 権 に係 わ る為 替 差損 な どの処 理 方法 につ い て は以 下 の処 理 方 法 を行 う こ と に して い る:外 貨 建 て債 権 な ど を通貨 ご とに 区分 し,計 画 的 に為 替差 損 な ど に係 わ る税 法 の定 め る基 準 を適 用 して い く。 つ ま り,3年 間 をメ ドに,各 社 の経 営 判 断 に よ り通 貨 の選 択 を行 い,計 画 的 に為 替 差 損 な どに係 わ る税 法 の定 め る基 準 を実施 し,当 局 に計 画 書 を提 出す る。 この特 別措 置 に関 して, 生 保 業 界 はお お むね3年 間 をメ ドに本 措 置 を 終 了 す る こ とに したが,実 際 は2年 で対 応 し た。 そ もそ も,外 貨 建 て 差損 は,売 却 損 よ りも 評 価 損 の 方 が 大 き く,後 者 自体 は ほぼ心 配 な い し,総 合 利 回 りに影響 な い。 また,決 算 対 策 上 は大 量 の 株 の 含 み益 とい う株 式 売却 益 で 相 殺 され て い る。 ウ ォー ル ・ス トリー ト ・ジ ャー ナ ル 紙 も 「生保 の為 替 差 損 分 の85%は 配 当 金 で相 殺 して い る」 と批 評 して い る。7 具体 的 に外 貨建 て差 損 額 を調 べ て み る と, 下記 の通 りで あ る。1985年 度 の 外債 投 資 総 額 は 約4兆8000億 ドル で,非 上 場 債 は 生 保 上 位 5社 で1兆 円 に の ぼ る。 大 手7社 の差 損 額 と し て は6300億 円 が 計 上 さ れ た 。1986年 度 (1987年3月 期)の 場 合,生 保24社 の外 貨 建 て の差 損 の総 額 は前 年 比137%増 の2兆2383 億 円(25社2兆5000億 円)に 達 し,大 手7社 合 計 だ け で1兆7063億 円で あ っ た。 表4に ま とめ ま した が 大手7社 の各 金 額 は 日生 が5111 億 円,第 一生 命 が3658億 円,住 生3044億 円, 明 治1743億 円,朝 日1785億 円,三 井893億 円, 安 田830億 円 で あ った 。 また,「15%ル ー ル」 評価 損 は 日生2137億 円,第 一1731億 円,住 生 1501億 円,朝 日858億 円,明 治618億 円 な どで, 7社 合 計 は7116億 円 にの ぼ る。厳 密 な為 替 差 損 分 だ け で は 大 手7社 合 計 で395億 円 に過 ぎ な い。 さ ら に,財 産 売 却損 が4129億 円,財 産 評 価 損 は5422億 円 を記録 した 。 なお,同 年 度 末 の生 保24社 合 計 の外 国証 券 保 有 残 高 は7兆 5252億 円 に の ぼ り,総 資 産 に 占 め る 比 率 が 11.5%に 上 昇 した 。 ち なみ に,同 年 度 の 日生5111億 円 の 差損 の 内 訳 は,前 年 度 の米 ドル債 評 価 損 な どの積 み 残 し分 を含 め ドル債 な ど財 産 売 却損802億 円, 財 産 評価 損1966億 円,外 貨 預 金 評価 損2343億 円 で あ った。 な お,1985年 度 の 評価 損 が1000 億 円 で あ る。 1987年 度 は23社 合 計 で1兆4000億 円,第 一 2000億 円,住 生 は特 別損 失3597億 円(為 替 差 損,評 価 損3044億 円),明 治,朝 日が各800億 円で 大 手5社 だ けで9100億 円 とな り,前 年 度 よ り も4割 減 とな って い る 。 そ もそ も,外 国 証 券投 資 は 「金 利 差(国 内 外 の収 益 率 格 差)」 並 び に 「為 替 変 動 」 の相 関関 係 で左 右 され る こ とは先 に述 べ た 通 りで あ る。 だ か ら調査 期 間 で の 日本 国 内 の低 金 利 状 況 で は外 債 投 資 誘 因 とな って い る。 そ の他, 石 油価 格 な ど市 況 商 品 も軽 視 で きな い要 素 で あ り,価 格 が 上昇 す れ ば イ ン フ レ懸念 が金 利 上 昇,債 券 相 場 下 落 を導 くので あ る。 そ の点, 米 国債30年 物 は利 回 りが10.5-11%ま で上 昇 す れ ば買 い で あ ろ う。 為 替 リス ク は外 債 投 資 を長 期 で運 用 す れ ば, リス ク は平 準 化 で きる。 また,金 利 格 差 を前 提 とす れ ば,総 合 利 回 りで メ リ ッ トが あ る。
つ ま り,10年 間 の 長 期 保 有 の ケ ー ス で は,日 米 金 利 差 が5%あ れ ば,130円 レ ー トが90円 の 円 高 に 上 昇 し て も採 算 は 合 う 。 そ の 当 た り は 表5「 金 利 低 下 に よ る 為 替 リ ス ク の カ バ ー 」,表6「 内 外 金 利 差 と投 資 採 算 レ ー ト」 の2つ の 表 か ら も 読 み 取 れ る 。8な お,最 近 の 傾 向 と し て は,短 期 売 買 に よ る デ ィ ー リ ン グ取 引 も 目 立 っ て い る 。1985年9月 以 来,急 激 な 円 高 傾 向 に あ り,長 期 保 有 に よ る 為 替 リ ス ク は 心 配 で あ る 。 短 期 売 買 の ケ ー ス で は 1975年 以 来 の 年 間 変 動 率 は1985年37.4%が 最 大 で あ る よ う に為 替 レ ー トの 変 動 幅 を生 か し た デ ィ ー リ ン グ が 可 能 な の で あ る 。 ま た,為 替 差 損 を 避 け る た め に リ ス ク ヘ ッジ と し て ド ル 売 り→ 円 高 シ ナ リ オ と い う 生 保 円 高 犯 人 説 も 一 部 マ ス コ ミに 書 か れ た 経 緯 も あ る 。 米 国 債 な ど 外 貨 資 産 投 資 は 元 来 円 安 要 因 で あ る が, 逆 に 売 却 行 為 が 円 高 要 因 と な る 。 従 っ て,日 米 間 利 回 りが 最 低3%以 上 あ れ ば,た と え 円 高 で も利 回 り確 保 が 可 能 で あ る 。 具 体 的 に は,1985年 時1ド ル=250円 の レ ー トで あ っ て も,10年 後 の 償 還 時 レ ー トが200 円 で あ れ ば 年 利 回 り8%が 確 保 で き る シ ナ リ オ で あ っ た 。 残 念 な が ら 円 高 予 測 は で き ず じ ま い で あ っ た 。 ち な み に,1984年 時 点 で の 主 要 経 済 シ ン ク タ ン ク の 為 替 レ ー ト予 測 を検 証 す る と,日 本 経 済 研 究 セ ン タ ー(1984年3 月)が1987年200円,88年195円 で あ り,国 民 経 済 研 究 協 会(1984年10.月)が1987年210円, 88年190円,1989/90年180円,そ して 野 村 総 合 研 究 所(1984年8月)な ど も大 幅 に は ず れ て い た こ と が わ か る 。 現 時 点 に お い て は1ド ル=140円 の 水 準 で 5%の 金 利 差 が あ れ ば10年 間 保 有 して い れ ば だ が,1ド ル=88円 レ ー トに 円 高 に な っ て も 国 内 債 購 入 と 同 じ効 果 が 期 待 で き る(130円 レ ー トで あ れ ば85円 で もOK)。 つ ま り,海 外 債 券 投 資 の 為 替 差 損 の 分 岐 点 の レ ー トは: 10年 後 260円 レ ー ト →198.1円 250 240 140 130 120 (4/ 〃 〃 〃 〃 〃 → → 一一 → → 190.5 182.9 106.7 99.0 91.4 金 利 差 ケ ース) とな る。g 主要 各 国 の公 定 歩 合 の比 較表7を 載 せ て あ ります が,日 米 あ るい は他 主要 国 との 金利 差 が 理解 で き,日 米 間 は1980年 代 に3-4%開 い て い る 。 (2)リ ス ク管 理 生保 運 用 自体 の リス ク に対 して,内 外 分 散 が 展 開 され て い る。 国 内で の 不 安(地 震,石 油 シ ョ ック,株 暴 落)に 対 応 す る に外 債 投 資 は必 要 。 そ の点,外 債 投 資 の使 命 は利 息 配 当 収 入 の極 大化 並 び に単 年 度 利 回 りの 向 上 で あ り,課 題 は 高金 利 を享 受 しつ つ,通 貨 の減 価 に ど う対 処 す る か で あ る。 い ず れ に して も,海 外 資 産 運 用 に は次 の5 つ の 投 資 リス ク が た え ず 問題 に な って きた。 そ れ ら は: (1)為 替 リス ク 。 (2)"ハ イ ・リス ク ・ハ イ ・リ ター ン"の 信 用 リス ク。 ク レジ ッ ト(信 用)リ ス ク に よ る格 差付 け に基 づ い て リス ク度 を表 示 す る 。 (3)コ ール ・リス ク 。償 還 条 項 付 証 券 の リ ス ク。 (4)市 場 が 逼 迫 した ケ ー ス に お け る 短期 資 金 の調 達 リス クで切 替 え時 の流 動 性 リス ク。 (5)金 利 変 動 の 金 利 価格 リス ク。10 総 合 的 に は,投 資 リス ク は市場,金 利,景 気,イ ンフ レ,流 動 性,市 場性,予 想 外 出 来 事 な ど も起 因条 件 に な りう る。 そ こで,リ ス ク管 理 の 基 本構 図 は下 記 の2 つ の対 応 に あ る。 第1が,長 期 投 資 運 用 に よ る リス ク の平 準 化 で あ り,ド ル 平 均 法 に よ る コス トの引 下 げで あ る。 生 保 の 場 合,10年 程 度 の長 期 運 用 を前 提 に投 資 す るの が 基 本 姿 勢 で あ る。つ ま り,一 時 に為 替 が 減 価 して も, 一70一
いず れ修 復 す るチ ャ ンス が 高 い 。後 者 で は平 均 取 得 価 格 の割 安 が 見 られ る 。 第2が,厂 為 替 」 と 「金 利 」 の トレ ー ド ・ オ フ 関係 で あ る。 両 者 は補 完 関係 に あ るが, 為 替 レー トが 金 利 動 向 に よ って 決定 さ れ る こ とで あ る。 内外 金 利 差 縮 小 に よる ドル安 要 因 で もあ る。 従 っ て,内 外 金 利 差 と為 替 変 動 の 予 想 並 び に分 析 が 重 要 な対 策 に な ろ う。 リス ク管 理 に は色 々 な シス テ ム が 開発 され て い る 。1987年10月19日 の 「ブ ラ ック ・マ ン デ ー」 以 降生 保 各 社 は海 外 運 用 に慎 重 な対 応 に な って い る 。具 体 的対 応 は: (1)各 運 用 部 門 の運 用 ル ール の徹 底 強化 。 (2)為 替 リス ク ・ヘ ッジ方 法 の 開発 と ノウ ハ ウの 吸収 。 (3)資 産 ・負 債 の 総 合 管 理 体 制,ト ー タ ル ・リス ク管 理 体 制 作 り。 (4)組 織 体 制作 り,と くに特 金 運 用並 び に 変 額保 険事 業 が大 事 。 (3)は 全 資 産 に発 生 して い る リス ク を リ アル ・タイ ム で チ ェ ックす るわ けだ が,日 生 は 「ア セ ッ ト ・マ ネ ジ メ ン ト ・シ ス テ ム」, 住 生 は 「新 有価 証 券 シ ス テ ム」 を採 用 して い る。 ま た,ポ ー トフ ガ リ オ は 「安 全 性」 「収 益 性 」 「流 動 性 」 「高利 回 り」 を前 提 に多様 な運 用 を外 国 証 券,不 動 産,貸 付,株 式,公 社 債 を ミ ック ス し て 実 施 す る。 「ポ ー トフ ォ リ オ ・イ ン シ ュ ア ラ ンス 」 も普 及 して い る。 運 用 の 主 体 で あ る証 券 と価 格 リス クの ない 安全 な資 金 で あ る コー ル ・ロ ー ンの ポ ー トフ ォ リ オ を作 る もの で あ る。 厂アセ ッ ト ・ミ ック ス」 は従 来 の 直 利 志 向 の偏 重 を見 直 して デ ィ ー リ ング益 を求 め て 特 金 な どの短 期 売 買 に よ って キ ャピ タル ・ゲ イ ン確 保 も行 わ れ てい る。 い ず れ に して も,リ ス ク管 理 は 内外 金 利 差 と為 替 変 動 の予 想 を分 析 す る こ とが 伝 統 的 に 実 施 され て きた: (イ)為 替 リス ク に対 して は非 ドル通 貨 に通 貨 分 散 した り,国 債 か ら他投 資 物 件 に切 替 え る。 (ロ)償 還 時 期 の分 散 化,均 等 化 。 (ハ)短 期 の キ ャ ピタ ル ・ゲ イ ン化 。 (二)中 短 期 債 購 入 。 (ホ)非 上 場 債 の ポ ー トフ ォ リオ組 入 れ で, 決 算期 日末 の評 価 換 え不 要 (へ)デ ィー プ ・デ ィス カ ウ ン ト債 の償 還益 部 分 非 評価 性 (ト)海 外 現 地法 人 の活 用 現 地 法 人株 式 が非 上 場 で あ るた め,決 算 期 末 ご との 評価 換 え は強 制 さ れ な く,評 価 損 は 必 要 な く,為 替 変 動 リス ク を回 避 で き る。 こ れ ら は ノ ーカ バ ー ・ノーヘ ッジで あ るが,近 年 は直 接 ヘ ッジの, (1)円 建 て 資 産 ス ワ ップ(円 に完 全 ス ワ ッ プ,円 建 て投 資 と して確 定),並 び に (2)為 替 の 先物 予 約 に よるヘ ッジ も行 われ て い る。 ヘ ッジの 実施 は投 資 対 象 の 収益 機 会 を制 限す るマ イナ ス面 もあ る。 例 え ば,為 替 先 物 で フル ヘ ッジ す れ ば 直先 ス プ レ ッ ドは年 率2.97%(1987年 平均)の コス トが か か る。 (3)運 用 通 貨 と イ ンパ ク ト ・ロ ー ンな ど調 達 通 貨 を 同 じ額 で 用 意 す る ケ ー ス,さ ら に (4)ECU(10ヵ 国通 貨 の総 体 と して 一 定 範 囲 内25%)の 個 別通 貨 の為 替 変 動 に は左 右 され な い。11 な お,日 銀 は リス ク管理 の チ ェ ック ・リス トを212項 目作 成 して 信 用 リス ク,金 利 リス ク,流 動 性 リ ス ク を ま とめ て い る 。住 友 生 命 は 「バ ー ラ ・モ デ ル」 を 活 用 す る。 フ ァ ン ド ・マ ネ ジ メ ン ト会 社 の 開発 が盛 ん で,こ の 分 野 の人 材 ス カ ウ ト合 戦 も行 わ れ て い る。 モ デ ル利 用 は資 産 ポ ー トフ ォ リオ の省 力 や ノ ウ ハ ウ 目的が 中心 で あ る。 現在 は株 式 市 場 で 資 産運 用 の組 入 れ比 率 や リス クヘ ッジ を コ ン ピ ュー ターが 自動 的 に計 算 管 理 を行 い,前 提 条 件 を入 れ て市 場 イ ン デ ックス を構 成 す る 。将 来 は債 券 に も導 入 し,組 入 れ な どの サ ポ ー ト ・シ ス テ ム に活 用 す る と思 われ る。 国 際 金融 に 強 い住 友 銀 行 は米 国 子会 社 住 友
銀 行 キ ャ ピ タ ル ・マ ーケ ッ ト社 とIBMと で 金 融 リス ク汎 用 シ ステ ム を共 同 開発 して販 売 す る。 リス ク管 理 の 対 象 金 融 商 品 は米 国 及 び ユ ー ロ市 場 で 発 行 す る株式 以外 の債 券 ,先 物 オ プ シ ョン な ど。 金利 変動 リス ク を 同一 基準 で 評価 し,投 資 家 が統 一 的 に リス ク を管 理運 営 で きる の が 狙 い 。 証 券 業界 も リス ク管 理 分 析 体 制 の 強化 が 叫 ば れ て い る 。 1988年 に 入 って リス ク管 理 を フル に活 用 し た対 米 国債 投 資 も発 売 され 始 め た 。 い わ ゆ る 為 替 オ プ シ ョ ン付 の債 券 投 資 で,選 択 権 付 為 替 予 約 を活 用 す る。 為 替 相 場 が予 想 と反 対 方 向 に振 れ た場 合 で もオ プ シ ョン料 とい う形 で 為 替 差 損 を前 もって確 定 で きる。 ま た,為 替 が 予 想 通 りの ケ ース で は,選 択 権 を行 使 して 為 替差 益 を確 保 で き る とい う もの。 (3)分 散 投 資 他 通 貨 へ の 分 散投 資 分 散 投 資 は 「米 ドル 」 「米 国債 」 の2大 対 象 投 資 先 の リス ク を削 減 す る ため に,他 通貨 並 び に他 投 資 商 品 に分 散 す る行 動で あ る 。分 散 投 資 は リス ク分 散 の手 段 で あ るが,リ ス ク 減 少 が リ ター ン減 少 に連 な る可 能性 も十 分 あ りえ る。 米 国以 外 に投 資 す るメ リ ッ トは各 国 間の 景 気 や 株 式 市 場 の 好 不 況 の タイ ム ラ グ を 活 用 で きる か ら,国 別 産 業 構 造 の対 応 並 び に 国 別 成 長 格 差 の ス ピ ー ドや対 応 の違 いが 根 底 に存 在 す る。 多 数 通 貨 分 散 は生 保 の 国 際化 に伴 っ て活 発 化 して い る。1977年 か ら87年 に か け て 円 は米 ドル に対 して45%も 切 り上 が っ た の を皮 切 り に,英 ポ ン ド50%,カ ナ ダ ・ドル55%,オ ー ス トラ リア ・ドル65%,ド イ ツ ・マ ル ク30% も切 り上 が って い る。 つ ま り,ド ル下 落 に誘 因 され て非 ドル建 債 券 購 入 に多 少 ウエ イ トが 移 っ て い る こ と も事 実 で あ る。 具 体 的 に は, ドル債 投 資 抑 制 で ユ ー ロ 円債,ス ワ ップ債, カ ナ ダ ・ ドル債 や対 円 レー トが 比 較 的安 定 し て い る欧 州 通 貨 に シ フ トしてお り,国 別 で は ドイ ツ 向 け(マ ル ク)や オ ー ス トラ リ ア の シ ェ ア が 上 昇 して い る 。 マ ル ク の シ ェ ア は1985 年10月 一12月 期1.9%に す ぎ な か っ た 。 そ の シ ェ ア は,1987年 ・ 期 に は12.1%に 増 加 して い る 。 ユ ー ロ 円 債 の ユ ー ロ 債 で の シ ェ ア は1985年 後 半 に5.9%で あ っ た 。NIES諸 国 の 政 府 機 関 へ の 為 替 リ ス ク の 少 な い 円 建 て 貸 付 も 増 加 し て い る 。 分 散 投 資 は 通 貨 オ プ シ ョ ン の 課 題 で あ る が, 1985年 度 末 の 生 保 全 体 の 外 債 通 貨 別 残 高 は 米 ドル48.9%,カ ナ ダ ・ ドル28.5%,オ ー ス ト ラ リ ア ・ ドル10.6%,円(サ ム ラ イ ・ボ ン ド, ユ ー ロ 円 債)5.5%,英 ポ ン ド3 .5%と い う 比 率 で あ っ た 。 そ れ か ら2年 後 の1987年 末 の 通 貨 構 成 比 の 場 合(一 般 勘 定)は 表8の 通 りで, 外 国 有 価 証 券 の 公 債 が 米 ドル41.5%,カ ナ ダ ・ ドル19.8%,英 ポ ン ド8.6%の 順 位 で あ る 。 株 式 部 門 で は,米 ドル が 圧 倒 的 で あ り 90.3%を 占 め,2位 は 英 ポ ン ドの2.9%に す ぎ な い 。 外 貨 建 て 国 内 優 位 部 門 は 米 ド ル 79.9%,カ ナ ダ ・ ドル10.4%,ECU5.8%, の 順 に な っ て い る 。 非 居 住 者 貸 付 部 門 は 円 が 89.3%で,次 の 米 ドル10.6%を 大 き く引 き離 して い る 。 外 貨 預 金 部 門 で は 米 ドル52.5%, 円18.7%,カ ナ ダ ・ ドル11%と3通 貨 で8割 を 占 め る 。 通 貨 別 投 融 残 高 の 合 計 で は,米 ド ル の 比 重 が9兆7880億 円,比 率 で52.5%に 低 下 し て い る が,そ の 反 面,円18.7%,カ ナ ダ ・ ド ル11%,英 ポ ン ド4.5%,オ ー ス ト ラ リ ア ・ ドル4.3%,マ ル ク2.2%な ど が 浮 上 し て い る 。 各 生 保 がECに 対 す る 分 散 投 資 を積 極 化 さ せ て い る 訳 だ が,具 体 的 に は,第 一 生 命 の 場 合,ロ ベ コ 社(本 部 オ ラ ン ダ,欧 州 の 最 大 投 資 信 託 グ ル ー プ)と 合 弁 事 業 を 展 開 し て い る 。 つ ま り,英 仏 海 峡 に あ る タ ッ ク ス ・ヘ ブ ン (租 税 回 避 地)の ジ ャ ー ジ ー 島 に 投 資 顧 問 会 社 を 設 立 し,活 動 中 で あ る 。 ま た,各 社 と も 米 ドル 債 の 割 合 を 低 下 させ る 方 向 に あ る 。 た と え ば,日 本 生 命 は 超 長 期 一72一
保 有 を 抑 え,米 ドル 債 の 短 期 運 用 を 主 体 的 に 行 う と して,1987年 度 は60%前 後 を 占 め た 対 米 債 券 投 資 を1988年 度 は50%前 後 に ダ ウ ン さ せ る 方 針 で あ っ た 。 安 田 生 命 は1528億 円 の 残 高 を467億 円 に 減 ら す 方 針 で,シ ェ ア も 43.6%か ら22.6%へ 低 下 す る 。 ま た,同 社 は 23ヵ 国 ヘ リ ス ク 分 散 投 資 を 行 い,1987年 度 は 681億 円 の 為 替 差 損 で 抑 え ら れ た 。 他 社 に は 3割 台 の 差 損 を 被 っ た 会 社 も存 在 す る 。 住 友 生 命 は リ ス ク 分 散 投 資 の 一 環 と し て 欧 州 投 資 を 主 眼 と し た 「ECプ ロ ジ ェ ク ト」 を 発 表 し て い る 。 そ れ に よ る と,現 在 既 に ヨ ー ロ ッパ 内 に は ロ ン ド ン,ル ク セ ン ブ ル グ,フ ラ ン ク フ ル ト,パ リ に 現 地 法 人 を有 し,ミ ラ ノ,マ ド リ ー ド進 出 を 検 討 中 で あ る 。 ま た, 現 地 金 融 機 関 と の 提 携,投 資 は す で に,イ ギ リ ス の 投 資 顧 問 会 社 ア イ ボ リ ー ・ア ン ド ・サ イ ム 社(14%出 資),ク ラ イ ン ・オ ー ト ・ベ ン ソ ン ・ロ ン ス デ ー ル(3%),に 参 加 し, フ ラ ン ス の パ リバ 銀 行 や ド イ ツ のBHFに も 提 携 を 結 ん で い る 。 今 後 は オ ー ス ト リ ア の ク レ デ イ タ ン ・シ ュ タ ル ト社 の 政 府 株 放 出 分3 -4%に 引 受 出 資 を 行 う と 共 に オ ラ ン ダ の バ ン ク ・ ミ ー ゴ ・ア ン ド ・ホ ー プ に も 出 資 計 画 が あ る 。 ち な み に,米 国 に は1972年 に ニ ュ ー ヨ ー ク ・オ フ ィ ス を 設 立 し て い る 。 他 通 貨 へ の 分 散 投 資 と い っ て も,米 ドル 以 外 の 通 貨 建 て 債 券 は 市 場 規 模 が 小 さ く,一 度 に 大 量 売 買 し に く い 面 が あ る 。 つ ま り,米 ド ル 債 は 世 界 債 券 市 場 残 高 の 約5割 を 占 め て い る 。 従 っ て,1986年 は 米 ドル 建 て 債 が 中 心 で あ っ た が,1987年 は 他 通 貨 以 上 に 米 国 債 券 か ら米 国 株 式 に 分 散 シ フ ト した 経 緯 が 見 ら れ る 。 債 券 自 体 も30年 物 か ら 期 間 の 短 い 変 動 利 付 け 債(FRN)に シ フ ト し て い る の も特 徴 と い え よ う 。12 な お,日 本 の 投 資 家 全 体 で は,高 利 回 りの 通 貨 へ の 重 点 配 分 の 結 果,米 ドル50%,カ ナ ダ ・ ドル30%,オ ー ス トラ リ ア ・ ドル10%, と3通 貨 分 で 全 体 の90%を 占 め る が,米 ドル と リ ン ク す る カ ナ ダ ・ ドル の シ ェ ア が 高 い の も特 徴 と い え る 。 生 保 の み な ら ず 全 体 で も ポ ー トフ ォ リ オ に マ ル ク,ECUな どEC通 貨 を 組 み 込 む 傾 向 に あ る 。 し か し,ユ ー ロ ・ カ レ ン シ ー に お い て も 米 ドル が2兆2000億 ド ル と3分 の2以 上 を 占 め,流 動 性 の 面 で 圧 倒 的 有 利 さ を 立 証 し て い る 。 ま とめ (1)生 命 保 険業 界 の海 外 資 産 運 用 の特 徴 生 命 保 険 は 「グ ロ ーバ リゼ ー シ ョン(国 際 化)」 「コ ン ピ ュ ー タ リゼ ー シ ョ ン」 「セ キ ュ リタナ イ ゼ ー シ ョ ン(証 券 化)」 「フ ァイ ナ ン シ ャル ・イ ノベ シ ョン(金 融 革 新)」 の4大 課 題 に直面 して い る。 投 資 対 象 の 多様 化,新 金 融 手 法 の 開発 な ど時 代 の変 化 に適応 す る必 要性 に も迫 られ て い る。 と くに,生 保 の 共通 課 題 は為 替 差 損 を株 式 売 買 益 で 埋 め な が ら金 利差 を求 め て海 外 投 資 を拡 大 して い る現 在, 海外 投 資 力 の強 化 が 最 優 先 され る こ とで あ る 。 そ の 点,海 外 投 資 リス ク対 策 の確 保 が急 務 で あ り,為 替 リス ク,価 格 リス ク,ク レジ ッ ト ・リス ク,コ ー ル ・リス ク(償 還条 項 付 証 券)な どの リス ク に ど う対 応 して い くか が, 海外 資 産 運 用 の カギ を握 る。 な に しろ,生 保 全 体 の 総 資 産 に 占 め る 海 外 投 資 の 割 合 は 12.15%に 達 して い る 。 そ こで,わ が 国 の 生 保 業 界 の 海外 資 産 運 用 の特 徴 を下 記 の8項 目 に分 類 してみ た: (1)「 円投 」 型 投 資 で あ る た め,ド ル の先 物売 り予 約 な ど為 替 リス ク ・ヘ ッジ が必 要 で あ る 。 こ の点 が 「ドル=ド ル 」 型投 資 の銀 行 との大 きな相 違 で あ る。 (2)ド ル 高 円 安 期 に は 長 期 保 有 に よ る利 子 ・配 当収 入(イ ン カ ム ・ゲ イ ン)を 追 求 し て きたが,1985年 末 か らの ドル安 円高 期 に は 為 替 リス クが 表 面 化 して,長 期 収益 が 読 み に く くな り,売 買 の 幅 や 短 期 化 に よ る売 買 益 (キ ャピ タ ル ・ゲ イ ン)追 求 とい う短 期 運 用 型 も表 面 に 出て きた 。
(3)急 増 す る 現 地 法 人 設 立 ラ ッシ ュ は (イ)投 資 顧 問(ロ)タ ックス ・ヘ ブ ンで の ペ ーパ ー ・カ ンパ ニ ー,(ハ)不 動 産 投 資 業 務,な ど に大 別 で きる。 しか も,現 地 法 人 に よ る証 券 投 資 の活 発 化 が 顕 著 とな っ て い る。 本 社 か らの 出資,増 資,貸 付 な どの手 段 で 運 用 資 金 の 海 外 現 地 法 人 へ の 移転 が推 進 され て い る。 なお,出 資 比 率10%以 上 の海 外 現 地 法 人 は対 外 直 接 投 資 に計 上 され,貸 付 は証 券 投 資 で は な く直 接 投 資 に分 類 され る。 運 用 益 の 回収 が 投 資 収 益 の受 取 りとな る 。 (4)貸 付(融 資)中 心 の 海外 資 産運 用 か ら 証 券 投 資 に比 重 が 移 って きた 。 両者 の投 資 比 率 は1986年 に逆 転 して い る。 金融 の 国 際化 に 伴 っ て,対 外 証 券 投 資 は さ らに拡 大 して い く と思 わ れ る。 な お,株 式 投 資,不 動 産投 資 も 今 後 拡 大 さ れ,日 本 の 米 国 株 式 買越 し総 計 額 は1990年 時 に ニ ュー ヨー ク証 券取 引所 時価 総 額 の5-7%シ ェ ア に達 す る もの と予 測 さ れ る 。13 (5)リ ス ク管 理 体 制 の 整 備 が 近 年 著 し く進 ん で い る。 と くに,通 貨 ヘ ッジ能力 が 向上 し て い る。 た とえ ば,外 貨 建 て 債 券 と債 務 の マ ッチ ング を為 替 先 物 予 約 並 び に イ ンパ ク ト ・ ロ ー ンな どの リス ク ・ヘ ッジの 適 用 で効 率 の 高 い もの に して い る。 (6)非 米 ドル通 貨 へ の分 散 投 資 もカ ナ ダ ・ ドル,EC通 貨,オ ー ス トラ リア債 な どに対 して 活発 化 して い る。 将 来 も世 界 最 大 の 米 国 市 場 をバ ッ ク とす る米 ドル取 引 が 中 心 で あ る こ と は変 わ りない 。他 通 貨 は安 全 性,流 通 度 に関 して 米 ドル と に開 きが あ るか ら だ。 国 際 分 散投 資 は,(イ)各 種 リス クの分 散,(ロ) 投 資 収 益 の 極 大 化,の2点 が 主 眼 と な る。 (ロ)の 場 合,「 トー タ ル ・リ タ ー ン(総 合 投 資 収益)」 「キ ャ ピ タ ル ・ゲ イ ン」 「イ ン カ ム ・ゲ イ ン」 「外 国 為 替 」 の4大 要 素 の 適 正 プ ロ グ ラ ム化 が 必 要 と な ろ う。 (7)欧 州 勢 の 対 米 投 資 に はM&A方 式 が 顕 著 で あ るの に対 し,日 本 勢 は米 国債 投 資 プ ラ ス不 動 産 投 資 が 中 心 パ ター ンに な っ て い る。 そ れ も1980年 代 中 頃 まで は米 国債 中心 の 間接 投 資 が 主 流 で あ った が,円 高進 展 に伴 い不 動 産 購 入 な ど直 接投 資 分 野へ 拡 大 して い っ た。 (2)生 命保 険 業界 の対 応 策 次 に,わ が 国 の 生保 業界 が 海外 資 産 運 用 政 策 で 対 応 す べ き と思 わ れ る項 目 を以 下 に ま と め て み た: (a)国 際 業 務 に精 通 した 人材 の養 成 を充実 させ,マ ーケ ッ ト専 門 家,フ ァ ン ド ・マ ネ ー ジ ャー,ポ ー トフ ォ リオ ・マ ネ ー ジ ャー とい った専 門職 ご との 育 成 が 必 要 で あ る 。 通 貨 の 専 門家 も非 ドル通 貨 の 専 門 家 の 数 が不 足 して い る。 そ の 点 日本 生 命 は提 携 先 の シ ェ ア ソ ン ・リーマ ン ・ハ ッ トン社 に毎 年 約20名 の 海 外 研 修 生 を派 遣 して い る。 こ う した研 修 制 度 (OJT)は 有 効 で あ る。 (b)現 地 法 人 の 保 険 業 務 を発 展 させ,為 替 リス クの な い 「ドル ニ ドル」 型 投 資 を拡 大 し て い く必 要 が あ る。 今 後 は国 際 保 険 活 動 を整 備 し なが ら投 資 活 動 の ドル=ド ル決 済 化 が 望 まれ る。 (c)国 際 投 資 の シ ス テ マ テ ィ ッ ク ・ア プ ロ ーチ の 充 実 が急 務 で あ る。 わが 国 は 国際 投 資 面 の プ ロ グ ラム が未 発 達 で あ っ た。 そ の 点,欧 米 ノ ウハ ウ の吸 収 は好 ま しい。 グ ロ ーバ リゼ ーシ ョンは投 資 の現 地 化 と投 資 の総 合 化 の 両 輪 を無駄 な く進 行 させ る こ とが 前 提 条 件 で あ る。 (d)リ ス ク 管 理 に 関 して,ク ロ ス ・ボ ー ダ ー の多 国 間,と りわ け米 国 と欧州 を同 時 に 組 み入 れ る国 際 分 散投 資 モ デ ル の 開発 が 必 要 とな ろ う。 (e)最 適 ポ ー トフ ォリ オの 組 立並 び に収益 管 理,リ ス ク管 理 を トー タ ル ・シス テ ムで構 築 す る こ とが 好 ま しい。 ま た,ア セ ッ ト ・ア ロ ケ ー シ ョ ン(資 産 配 分)の 効 率化 に よ って 瞬 間 的 に組 入 れ比 率 を変 更 して 利益 の 極 大 化 を計 る 方法 も有 効 とな ろ う。 (f)「 前 川 レポ ー ト」 に求 め られ た ご と く, 一74一
内需 拡 大 の進 展 に よ って 国 内資 金 需 要 が 旺盛 に な れ ば,「 円 投 」 型 の対 外 証 券 投 資 フ ロー の増 加 テ ンポ は鈍 化 して い く もの と思 わ れ る 。 (g)米 ドル を補 完 す る準 国 際通 貨 へ の 成 長 を期 待 さ れ る 日本 円の 「円建 て外 債 」 の 発展 に は よ り一 層 の規 制 緩 和,市 場 整 備 が 必 要 で あ る 。 (h)海 外 現 地 法 人 の数 は増加 の一 途 を た ど って い る が,投 資 顧 問 業 務 を主 目的 と した現 地 法 人 で は,将 来 国 内外 の 一般 顧 客 に対 す る 投 資顧 問 サ ー ビス提 供 事 業 も普 及 して い く。 米 国 の企 業 年金 基 金 市 場 参 入 も将来 の課 題 で あ る。 (i)欧 米 の金 融 機 関 との提 携 あ るい は買 収 が 進 み,国 際 的 ネ ッ トワ ー クが確 立 して い る 。 た と え ば,日 本 生 命 は シ ェ ア ソ ン ・リー マ ン ・ハ ッ トン社 と1987年3月 に業 務 提 携 して グ ロ ーバ リゼ ー シ ョンの 口火 を切 った 。安 田 生 命 もペ イ ン ・ウ ェーバ ー証 券 に 出資 した 。 提 携 条 件 は優 先株 に議 決権,社 外 重役 派遣, 研 修 生 受 入 れ,で あ る 。14 (j)現 地 の 生情 報 の不 足 は国 際 分 散投 資 の ネ ック と な って い る 。現 地 法 人 の 充 実 に よ っ て,キ メの 細 か い調 査,情 報 収 集 が 要 求 され る 「株 式 投 資 」 の 比重 も増 加 して い く。長 期 保 有 の 視 点 で不 動 産 投 資 も増 加 し続 け る で あ ろ う。 後 者 に 関 して は"オ ーバ ー ・プ レゼ ン ス"を 考 慮 した控 え 目の活 動 も要 求 され る。 (k)1992年 のEC市 場 統 合 に向 け て,ヨ ー ロ ッパ 通 貨 へ の 国 際分 散 投 資 と共 にEC投 資 表15大 銀行の国際活動比較 (62年3月 期) 国際業 国際部 国際部 国際部 国際部 国際部 務利益 順 門の営 順 順 海外 店 順 門預貸 順 門の総 順 門の営 順 門の人 (粗利 業純益 の人員 金利ザ 資金利 業鈍益 員 益) 位 位 位 位 ヤ 位 ザヤ 位 率 位 (億 円) (億 円) (人) (人) (/〉 (/) (/)
三 菱 銀 行 634 0 381 ④ 1201 0 167 0 XO.05 0 XO.22 ④ o.07 0
第一勧業銀行 669 ④ 369 0 1413 0 202 OO XO.07 0 o.of Q 0.22 0
富 士 銀 行 884 0 583 0 1946 0 172 ④ ・o.02 0 XO.21 ③ o.to ④
住 友 銀 行 832 0 519 0 1338 ④ 205 0 XO.05 0 XO.22 ④ 0.17 0 三 和 銀 行 823 0 558 0 1359 0 177 0 0.04 0 XO.11 0 0.27 0 (出 所)金 融 ビ ジネ ス 表2海 外投資会社の主 な設立状 況 会社名 所 在 地 業 務 設立年月 東 京 海 上 米 国 不動産投資 61年12月 安 田 火 災 香 港 有価証券投資 60年4月 ル クセ ン ブル ク 〃 61年4月 ノ{ハ マ 〃 61年9月 大 正 海 上 ル クセ ン ブル ク 有価証券投資 60年3月 住 友 海 上 バ ミ ュ ー ダ 有価証券投資 61年4月 ル ク セ ン ブル ク 〃 62年5月 大東京火災 ル ク セ ン ブル ク 有価証券投資 61年4月 米 国 不動産投 資 61年12月 日 本 火 災 ル ク セ ン ブル ク 有価証券投資 60年4月 ノミハ マ 〃 62年3月 米 国 不動産投資 62年10月 (出所)大 蔵省銀行局 表3簡 易 生命 保 険 お よび 郵 便 年 金 の 資 金 運用 状 況 1987年度 末(単 位:億 円,%) 運 用 種 目 運 用 額 構 成 比 積 立 金 325,876 88.4 財 政 投 融 資 国 ・政 府 関係 機 関 等
{
地 方 公 共 団 体 社 債 等 地 方 債 外 国 債 《 そ の 他 債 券 銀 行 預 金 ・CD 地方公共団体短期 貸付 契 約 者 貸 付 資 金 運 用 部 預 託 金 213,664 138,223 75,441 厂 96,234 34,845 20,093 34,400 .:・. 863 15,115 一 58.0 37.5 20.5 26.1 9.5 5.4 9.3 1.9 0.2 4.1 一 余 裕 金 42,595 11.6 資 金 総 計 368,471 100.0 (出所)郵 政省情 報 の質 量 共 の拡 充 の ため に,米 国市 場 に 匹 敵 す る だ け に,各 保 険 会 社 のEC内 拠 点 作 り が 活 発 化 して い く。 (1)為 替 対 金 利 の為 替 差 損 リス ク ・マ トリ ック ス は,ド ル安 円高 傾 向 の基 調 とい って も 一 本 調 子 の 上 昇 で はな く ,年 間20%前 後 の為 替 変 動 が起 きて い る現 在,実 務 面 で はあ ま り 意 味 はな く,今 後 は長期 債 の短 期 売 買 が 中心 に な ろ う。 1 2 3 4 参考文献 大 蔵省 国 金 局 年 報 大 蔵省 銀 行 局 金 融 年報 日経 フ ァ イナ ン シ ャル'88 「新 マ ネ ー ・ウ ォー ズ 」斉 藤 精 一郎 ,PHP 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 「ジ ャ パ ン ・マ ネ ー の 奔 流 」 中 西 亨,ダ イ ヤ モ ン ド 「TokyoMone」 朝 日新 聞 経 済 部 TheEmergingPowerofJapanesemoney AronViner,DowJones 「新 国 際 金 融 事 情 」 近 藤 健 彦 ,財 経 詳 報 社 「ドル 円 双 軸 時 代 」 鈴 木 正 俊 ,日 経 新 聞 「国 際 分 散 証 券 投 資 」 大 和 正 典,有 斐 閣 「世 界 金 融 革 命 」 荒 木 信 義 ,時 事 通 信 「YEN」DanielBurstein ,simon 「ア メ リ カ の 株 式 市 場 」 太 田 発 茂 久 デ 日 経 FinancialRevolutionsAdrianHamiltor, PenginBooks 表4大 手7社 の外貨建 て資産損失の内訳 合 計 日本生命 第一生命 住友生命 明治生命 朝 日生命 三井生命 安 田生命 1987年 度 決 算 外貨 建資産損 失 ・為 替 差 損益 ▲543 ▲467 193 3 ▲185 ▲12 ▲52 ▲23 ・財 産 売 却益 ▲3257 ▲479 ▲674 ▲251 ▲333 ▲1030 ▲237 ▲253 ・財 産 評 価損 ▲7161 ▲2066 ▲1406 ▲1470 ▲635 ▲6296 ▲635 ▲320 ・(外 貨建 長期 金銭 債 権債務換算損▲1714 ▲609 ▲109 ▲283 ▲106 ▲129 ▲393 ▲85 合 計 ▲12680 ▲3623 ▲1997 ▲2001 ▲1261 ▲1800 ▲1317 ▲681 1986年 度 決算 合 計 ▲17045 ▲5111 ▲3657 ▲3044 ▲1725 ▲1785 ▲893 e830 繰 込 分5583 1348 1208 945 245 841 713 283 (出所)大 蔵省銀行局 表5金 利 低 下(債 券 価 格 上 昇)に よる 為替 リス ク の カバ ー 利 回 り低 下 幅 .5 %0 1.0 1.5 2.0 2.5 債券価格上昇率 .. % 8.02 12.44 17.16 22.20 カバ ー可 能 な為 替 リス ク .59 円8 17.08 25.45 33.69 41.78 (前 提)米 国債 ク ー ポ ン12%,価 格100,20年 債, (出 所)日 経 フ ァイ ナ ンシ ャル ドル レ ー ト:230円 表6内 外 金 利 差 と投 資 採 算 レー ト 内 外 金 利 差 1 2 3 4 5 米 国 債 の 金 利 6.5 7.5 8.5 9.5 10.5 国 内 債 の 金 利 5.5 5.5 5.5 5.5 5.5 10年 後 の 投 資 採 算 レ ー ト (投 資 時 の為 替:180円/ド ル) 164円 150円 136円 125円 114円 10年 後 の 投 資 採 算 レ ー ト (投 資 時 の 為 替:220円/ド ル) 200円 182円 166円 151円 138円 (出所)三 菱総研 一76一
表7金 利 1988年2月 末 公 定歩合 国名 年月 1980 1981 1982 1983 ・;, 1985 1986 1987 19867 8 9 10 11 12 19871 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 ・:: 2 3 日 本 ア メ リカ イ ギ リス 西 ドイ ツ フ ラ ンス イ タ リア カ ナ ダ ベ ル ギ ー オ ラ ンダ ス イ ス 1
1
1 1 7.25 5.50 5.50 5.00 5.00 5.00 3.00 2.50 3.00 (11.1) 2.50 (2.23) 1 ↓i
1 13:00 14.00 12.0014.375 8.50 8.50 8.00 10.00 9.00 9.375 7.5011.3125 5.5010.8125 6.00 6.0 (7.11) 5.5 (8.zi) 8.375 1 10.8125 (10/15) 1 7.50[10.75)16.50 (15.125)19.00 5.00(12.75)18.00 4.00(12.00)17.00 4.50(10.75)16.50 4.00(8.75)15.00 3.50(7.25)12.00 2.50[7.75)12.00 1 〔7.25〕 11(12/17) 10.31253.00(8.0) (3/9)(1/23)(1/2) 9.8125〔7.75〕 (3/18)(3/9) 9.3125 (4/zs) :: (5/8) 1 9.875 (s/s> 6.09.375 (9/4).(10/23) 11 :: (11/4) 8.375 (12/3) i1 :: (2/1) 6.58.375 (3/17) ↓ 1 2.50 (12/4) 1 (7.50) (6/30) 1 (8.25) (11/5) Cs.oo) (11/24) (7.75) (12/4) (7.50) (i/s> [7.25) (i/2s) i 1 1 11.50 (3/14) 1 12.00 (s/zs) 17.26 14.66 10.26 10.04 10.09 9.49 .. 8.66 8.51 8.58 8.60 8.55 ,. 8.49 7.49 7.53 7.05 8.33 8.44 8.54 9.22 9.24 9.57 8.09 8.56 :.. 8.62 8.57 8.54 (3/3) 12.00 15.00 11.50 10.00 11.00 9.75 8.00 7.00 1 8.50 (1/8) i 1 8.00 (3/12) i 1 7.75 (5/21) 7.50 (6/25) 7.25 (7/23) 1 7.00 (12/4) 6.75 (i/as) i 1 6.50 (3/3) 1 !1 '11 5.00 5.00 5.00 5.00 4.50 3.75 1 3.00 6.00 4.50 4.00 4.00 4.00 4.00 2.50 3.50 (1.23) 4.25 (11/4)1 4.003.00 (11/25)(11/5) i 1 3.75 2.50 (12/4)(12/4) 3.50 (i/s> 3.25 (i/22)1 (注)1.年 の計 数 は各 年 末 の計 数 。()内 は変 更 実 施 月 日。 2.イ ギ リス は 昭和47年10月13日 公 定 歩 合 を 廃 止 し,最 低 貸 出 歩 合 を導 入 。 さ らに56年8月20日 よ り最低 貸 出歩 合 の公 示 を停 止(60年1月14日 には 一 時 的 に12.00%を 公示)。 同 日以 降 は市 場 介 入 金 利 。 3.フ ラ ンス は,52年 以 降 コ ール 市 場 介 入 金 利(〔 〕 内)の 操 作 に よ って お り,公 定 歩 合(9.50%)は 事 実 上 機 能 を停 止 。 4。 カ ナ ダ の公 定 歩 合 は55年3月13日 以 降3ヵ 月 物TB入 札 金利 に対 す る運 動 方 式 に 移 行 。55年3月 以 降の 計 数 は 当該 月 末 の レー ト。 (資料)各 国資料 (出所)三 菱銀行i 蕊 1 表8 生保 業界通貨別投融資残高 1987年 度 <一 般 勘 定 分〉 (単 位:百 万 円,%) 外 国 有 価 証 券 外 貨 建 外 貨 預 金 A計 公 社 債 株 式 そ の 他 国 内 債 非居住者貸付 口 金 額 構成比 金 額 構成比 金 額 構成比 金 額 構成比 金 額 構成比 金 額 構成比 金 額 構成比 米 ド ル 3,261,842 41.5 1,570,965 90.3 77,593 98.4 542,212 79.9 350,672 10.6 3,984,809 79.8 9,788,094 52.5 カ ナ ダ ド ル 1,555,569 19.8 12,071 0.7 0 o.o 70,637 10.4 2,251 0.1 411,804 8.2 2,052,331 11.0 オ ー ス ト ラ リ ア ド 丿レ 640,731 8.2 6,560 0.4 104 0.1 6,205 0.9 0 0.0 148,641 3.0 802,241 4.3 ニ ユ ー ジ ー ラ ン ド ド丿レ 259,010 3.3 102 o.o 0 o.o 875 o.i 0 o.o 236,750 4.7 496,737 2.7 ポ ン ド 672,929 8.6 50,575 2.9 0 o.o 10,615 1.6 0 o.o 106,388 2.1 840,508 4.5
マ ル ク 322,571 4.1 26,117 1.5 49 o.i 1,514 o.2 0 o.o 51,159 1.0 401,408 2.2
フ レ ン チ ・ フ ラ ン 102,810 1.3 30,260 1.7 0 o.o 967 0.1 0 o.o 3 o.o 133,987 0.7
ス イ ス ・ フ ラ ン 120 o.o 6,974 0.4 0 o.o 2,355 0.3 0 o.o 587 o.o 10,036 0:1
ダ ッ チ ・ ギ ル ダ ー 59,942 o.8 5,070 0.3 0 o.o 0 o.o 0 o.o 19,395 0.4 84,408 0.5
、
デ ン マ ー ク ・ ク ロ ー 不 19,638 0.2 91 o.o 0 o.o 0 o.o 0 o.o 0 o.o 19,729 o.i ノ ル ウ ェ ー ・ ク ロ ー ネ 9,129 o.i 92 o.o 0 o.o 0 o.o 0 o.o 12,614 0.3 21,835 0.1
、
ス ウ ェ ー デ ン ・ク ロ ー 不 689 o.o 456 o.o 0 o.o 0 0.0 0 o.o 3,235 0.1 4,380 o.o
ECU 352,468 4.5 4,225 0.2 1,121 1.4 39,457 5.8 0 o.o 19,043 0.4 416,315 2.2
円 520,701 6.6 8,753 0.5 0 o.o 4,103 0.6 2,947,260 89.3 0 o.o 3,480,817 18.?
新 台 湾 ド ル 0 0.0 252 o.o 0 o.o 0 o.o 0 o.o 1 o.o 253 o.o
香 港 ド ル 1,800 o.o 3,047 0.2 0 o.o 0 o.o 0 o.o 0 o.o 4,847 0.0
ウ オ ン 0 o.o 115 o.o 0 o.o 0 o.o 0 o.o 0 0.0 115 0:0
そ シ ン ガポ ール ドル 0 o.o 3,164 o.2 0 0.0 0 o.o 0 o.o 20 0.0 3,184 0.0
マ レ ー シ ア ド ル 0 o.o 0 o.o 0 o.o 0 o.o 0 0.0 0 0.0 0 o.o
タ イ ・ バ ー ツ 0 0.0 1,544 0.1 0 o.o 0 0.0 0 o.o 0 o.o 1,544 o.o
の ブラジル クルザー ド 0 o.o 5,511 0.3 0 o.o 0 o.o 0 o.o 0 o.o 5,511 0.0
ア イ リ ッ シ ュ プ ン ト 12,760 0.2 0 o.o 0 0.0 0 o.o 0 o.o 0 o.o 12,760 o.i
ブ イ ン ラ ン ドマ ル カ 26,038 0.3 523 o.o 0 o.o 0 0.0 0 o.o 313 0.0 26,874 0.1
他 ス ペ イ ン ペ セ タ 10,334 o.i 935 o.i 0 o.o 0 o.o 0 o.o 0 o.o 11,269 o.i
イ タ リ ア ・ リ ラ 19,020 0.2 728 o.o 0 o.o 0 o.o 0 o.o 0 o.o 19,748 o.i オー ス トリア・シ リング 7,928 o.i 1,522 o.i 0 o.o 0 o.o 0 0.0 0 o.o 9,450 o.i べ 丿レギ ー ・フ ラ ン 0 0.0 31 0.0 0 o.o 0 o.o 0 o.o 0 o.o 31 o.o
合 計 7,856,028 100.0 1,739,629 100.0 :.: 100.0 678,941 100.0 3,300,183 100.0 4,994,765 100.0 18,648,410 100.0