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日本語教員にとっての「異文化理解」とは何か : フランスにおける移民への教育を参考に

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Academic year: 2021

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【論 文 】

日本 語 教 員 に とって の 「異 文 化 理 解 」 とは何 か

一 フ ラ ンス にお け る移 民 へ の教 育 を参 考 に一

野 口

恵子

Quesignifie《lacompr6hensioninterculturelle》 pourlesprofesseursdejaponaislangue6trang6reP KeikoNoguchi 外 国語 ・第 二 言 語 と し て の 日本 語 お よび 日本 事 情 を教 え る教 員 は、 学習 者 に 言語 学 的知 識 を伝 達 す るだ けで な く、 彼 らの異 文 化 理 解 を助 け るべ く努 め ね ば な ら ない 。 当然 、教 員側 も異 文 化 を理 解 し、異 文 化 に適 応 し、 異文 化 間 コ ミュニ ケー シ ョン能 力 を有 して い る こ とが 要 求 され るが 、 マー ク シー ト方 式 の検定 試 験 で こ うした 資 質 ・能 力 を測 る の は困難 だ。 教 員側 の 異文 化 理解 の重 要性 、養 成段 階 で の アプ ロ ーチ 等 を、 フ ラ ンス にお ける移 民 へ の教育 の現 状 、 文 化 的 障壁 克服 のた めの提 言 を参 考 に して考 察 す る。 移 民 子弟 の学校 教 育 のた め の養 成 ・情 報 セ ンタ ー(CEFISEM)で は、 教 員 の 心 得 と して、 学 習者 に同 化 を求 めな い こ とと出身 文化 を尊 重 す る こと を 掲 げて い る。 教 員 と学 習 者 の 間 に は 文化 的対 立 等 の 溝 が 存 在 す る が 、 しば しば教 員 はそ れ に気 が つ いて い ない 。指 導 者 で あ る 自分 自 身 に とって未 知 の 事柄 が いか に多 いか を自覚 し、知 る こ とに努 め、 想像 力 を働 かせ る こ とが 肝 要 で あ る。 キ ー ワー ド:異 文 化 理解 能 力 、 異文 化 問媒 介 者 、異 文 化 問 コ ミュニ ケー シ ョン、 教 員 と学 習 者 の問 の溝 、 知 る こ と と想 像 す る こ と 1.は じ め に 文 学 部 の 一 年 生 を対 象 と した 日本 語 教 育 概 論 の授 業 で は、 日本 語 教 育 に

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「文 学部 紀 要」文 教大 学文 学部第12-2号 野 口恵 子 つ い て 曖昧 な 、 しか も往 々 に し て誤 っ た イ メ ー ジ を抱 い て い る受 講 生 に多 少 な り と も現場 の 雰 囲気 を味 わ っ て も ら うた め、 日本 語 教 室 を写 した ビ デ オ を視 聴 す る機 会 を設 け て い る。 担 当 す る二 つ の ク ラ ス で 最 初 に見 た もの は、 日本 語 学 習 の 経 験 の 全 くな い者 に50時 間 で 「サ バ イ バ ル 日本 語 」 を 習 得 させ る とい う コー ス の 、 第 一 時 間 目 の授 業 風 景 で あ っ た1。 学 習 者 は 少 人 数 な が ら、 そ の 出身 地 は ヨー ロ ッパ 、 オ セ アニ ア 、 南 ア メ リカ 、 東 ア ジ ア、 南 ア ジア とバ ラ エ テ ィ に富 ん で お り、 指 導 者 の 笑 顔 と雰 囲気 づ く り の 巧 み さ、 原則 とし て 日本 語 の み を使 用 して(し か もナ チ ュ ラ ル ・ス ピー ド)、 ハ イ テ ン ポ で進 め られ る授 業 、 工 夫 を凝 ら した 小 道 具 の 数 々 、外 国 人 学 習 者 の理 解 の 速 さ な ど、 初 め て 日本 語 教 室 風 景 を か い ま見 た 学 生 た ち に は驚 きの連 続 で あ っ た よ うだ 。 視 聴 後 の感 想 文 は、 素 直 な 感 動 を綴 っ た もの が 多 数:を占 め た が 、建 設 的 な 批 判 、 自 らの外 国 語 学 習 へ の 反 省 を含 め 、 的 確 な観 察 力 に裏 づ け され た もの が 大 半 で あ った 。 そ の 中 に、 ビデ オ に登 場 す る民 族 衣 装 姿 の南 ア ジァ 系 学 習 者 に 向 け られ た もの と思 わ れ る、 「タ ーバ ン とれ 、 ヒゲ じ い!」 と い う一 文 が あ っ た 。 これ を書 い た 学 生 に対 し、 「ば か な こ とを 書 く もの で は な い」 と一 喝 す る の はた や す い が 、 再 考 を促 す 意 味 で 、 「この 学 習 者 が な ぜ タ ー バ ン を巻 い て い る の か 、 なぜ ひ げ を蓄 えて い るの か 、 考 え て み て くだ さ い」 とだ け 書 き添 え て返 却 し た。 と こ ろ が 後 日同 じ学 生 が 、 「日本 に来 た ら 日本 人 の よ う にす る の が 当 然 。 タ ーバ ン は取 り、 ヒゲ は剃 る 。 日 本 語 はス パ ル タ式 で教 え る。 そ れ ら に耐 え られ な い 者 は とっ と と国 に帰 れ ば よい 」 な ど と書 い て きた の で あ る。 これ は、 本 人 が 気 づ い て い る か 否 か は別 と して 、 明 らか に 人 種 主 義 者 の 視 点 で あ る。 つ ま り、 「違 い 」 を一 切 拒 否 す る。 まず は容 易 に 目 に つ く違 い た と え ば服 装 を、 「我 々 と同 じ」 よ う に す べ きだ とい う常 套 句 を用 い る。 しか し、 そ の 人 が た と え 厂我 々 と同 じ」 服 装 を した と こ ろ で 、 対 等 に受 け入 れ る気 な ど毛 頭 な く、 次 の 差 異 を探 し、 指 摘 す るの で あ る。 この 学 生 に 、 厂そ の よ うな 考 え方 で は 日本 語 教 師 に なれ な い」 と告 げ れ

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日本 語教 員 に とって の 「異 文化理 解」 とは何 か ぼ、 「も と も とな る つ も りな どな い 」 と答 え る だ ろ う。 確 か に 、 日本 語 教 育 概 論 は 日本 語 教 員 志 望 の学 生 の み に 開 か れ た 講 座 で はな い。 だ が 、 専 攻 が 何 で あ れ 、 ま た将 来 の進 路 が い か な る方 面 で あ れ 、 「国 際 人 へ の パ ス ポ ー ト」 を手 に した い とい う者 に とっ て、 日本 語 と日本 語 教 育 に つ い て 学 ぶ こ と は非 常 に重 要 な 意 味 を持 つ 。 なぜ な らば 、① 日本 語 を客 観 的 に見 る、 ② 無 意 識 に使 っ て きた 自分 自 身 の 日本 語 を反 省 す る、 ③ さ ま ざ まな母 語 、 多 様 な 文 化 を有 す る外 国 人 学 習 者 に 日本 語 を教 え る とは どの よ うな こ とな の か を学 ぶ 、 ④ 近 隣諸 国 に お い て か つ て 日本 語 が どの よ うに 教 え られ て い た か を知 る、 とい っ た こ とは、 世 界 の 中 の一 言 語 と し て の 日本 語 、 日本 と い う国 、 日本 文 化 、 ひ い て は そ の 日本 語 を母 語 とす る 自 己 を相 対 化 し、 複 眼 的 、 多 角 的 に思 考 を め ぐ らす 絶 好 の 機 会 だ か らだ 。 日本 語 の 教 室 は、 学 習 者 に とっ て は言 う まで もな い が 、 教 師 に と っ て も ま さ に 「異 文 化 の 世 界 」 で あ る。 日本 語教 員 と して この 世 界 に足 を踏 み 入 れ る に は、 日本 語 の し くみ や 教 授 法 な ど と と もに、 異 文 化 問 コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン の能 力 を身 につ け て お く こ とが必 要 とな る。 しか し、 この能 力 は一一 朝 一 夕 に身 に つ く もの で は な い う え、 「異 文 化 の 世 界 」 に入 っ て か ら も 日々 新 し い 問題 に ぶ つ か る こ と を覚 悟 しな けれ ば な らな い 。 日本 語 教 員 を め ざ す 者 の場 合 は 、 どの よ うな 事 態 に も対 応 で き る コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン能 力 を身 につ け る こ と を最 終 目標 と し つ つ 年 月 をか け て も達 成 で きな い 可 能 性 も あ る 、 まず は異 文 化 理 解 の た め の ア ン テ ナ を張 りめ ぐ らす こ とか ら始 め るべ き で あ ろ う。 本 稿 は 、 日本 語 教 員 に とっ て の 異文 化 理 解 とは い か な る もの な のか 、 養 成 の段 階 で は どの よ うな ア プ ロ ー チ を と り うる か とい っ た こ と を、 外 国人 受 け入 れ の 「先 進 国 」 フ ラ ン ス に お け る移 民 へ の教 育 の 現 状 、文 化 的 障 壁 克服 の た め の 提 言 な どを参 考 に しな が ら考 察 す る もの で あ る。

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「文 学部紀 要」 文教 大学 文学部 第12-2号 野[]恵 子 2.日 本 語 教 育 能 力検 定 試 験 で測 られ な い もの 一 異 文 化 理 解 ・異 文 化 間 コ ミ ュ ニケ ー シ ョ ンの 能 力 日本 語 教 育 ・日本 語 教 授 法 の テ キ ス ト、 参 考 書 の 中 で 、 教 員 側 の異 文 化 理 解 の 必 要 性 を強 調 し、 具 体 的 に説 く もの は実 は あ ま り多 くな い 。 一 方 外 国人 学 習 者 に とっ て は、 日本 語 を学 ん で い く過 程 そ の もの が 異 文 化 理 解 へ の道 と重 な り合 うた め、 学 習 者 の 異 文 化 理 解 を助 け、 学 習 者 の 困 惑 を軽 減 す る とい う目 的 で 、 異 文 化 間媒 介 者 と して の教 員 が 心 得 て お くべ き こ とに 言 及 し て い る テ キ ス トは あ る2。 もち ろん 、 こ う した テ キ ス トを熟 読 す れ ば 、 想 像 力 お よび 創 造 力 の あ る読 者 は、 教 員 側 の 異 文 化 理 解 の 大 切 さ を再 認 識 す る に ち が い な い。 そ もそ も、 異 文 化 理 解 とい う大 きな 枠 内 で は 、 学 習 者 の それ と教 員 の それ との 間 に、 は っ き り と した 境 界 線 が 引 か れ て い る わ けで は な い の だ 。 そ の た め で あ ろ うか 、 諸 参 考 書 の 中 で 、 あ え て教 員 自 身 の 異 文 化 へ の ア プ ロ ー チ 、教 員 側 の異 文 化 適 応 等 を取 り上 げ、 か つ詳 述 して い る もの は少 な い3。 た だ し この こ と は、 テ キ ス トの 執 筆 者 た ち が 日本 語 教 員 に とっ て の 異文 化 理 解 の 必 要 性 を軽 視 して い る こ とを意 味 す る もの で は な い 。 多 くの テ キ ス トに 記 述 さ れ て い る、 ① 学 習 者 の 身 に な っ て彼 ら の異 文 化 理 解 を助 け る べ く努 め る、 ② 学 習 心 理 学 を は じ め とす る広 範 な 学 問 分 野 の 知 見 を取 り入 れ て 、 あ るべ き 日本 語 教 師 像 を描 く、 ③ 日本 の覇 権 主 義 の 一 翼 を担 っ て 強 制 的 に 行 わ れ た こ と も あ る 日本 語 教 育 の過 去 を知 る、 とい った 内容 は 、 異 文 化 理 解 軽 視 と は対 極 に位 置 す る立 場 を表 明 す る も の で あ る。 外 国人 学 習 者 に 向 か っ て安 易 に、 「郷 に入 れ ば郷 に した が え」 と吐 く19歳 の 日本 の 若 者 の無 知 と奢 り を、 暗 に た しな めて い る と言 え よ う。 と こ ろで 、 日本 語 教 員 に求 め られ る資 質 や 能 力 に関 し、 日本 語 教 育 学 会 は以 下 の よ うな見 解 を発 表 して い る。 日本 語 教:師が 職 務 に必 要 な諸 能 力 とは何 か、 社 会 的 状 況 を考 慮 しつ つ 、 広 く知 識 に通 じ、 時 代 の推 移 に 目 を向 け、 日本 以 外 の文 化 や 思 想 を受 け入

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日本 語教 員 に とって の 「異 文化 理解 」 とは何 か れ \ と きに は 自 らの思 考 を再 検 討 す る 柔 軟 性 を持 ち、 新 しい も の と接 触 を 保 つ よ うな 日本 語 教 師 の 育 成 を考 え る必 要 が あ る と言 え ます4。 こ こで 問 わ れ て い るの は、 日本 語 の構 造 や 言 語 学 、 教 授 法 、 日本 事 情 な どに 通 じて い る の み な らず 、 幅 広 い教 養 と柔 軟 な感 性 、 教 員 の人 間性 そ の もの と言 え る。 要 求 され る もの の あ ま りの膨 大 さ に、 一 日本 語 教 員 と して 身 の す くむ 思 い す らす る。 一 方、 日本 語 教 員 の 「適 性 」 とは、 「日本 語 を 教 え る人 に だ け 要 求 さ れ る、 特 殊 な才 能 で は な く、 お よ そ教 師 とい わ れ る職 につ く人 に共 通 に求 め られ る資 質5」 で もあ ろ う。 「日本 語 教 育 の場 で 、 外 国人 の 多 様 な価 値 観 に さ らさ れ て 、 自分 の規 範 意識 や 価 値 観 を揺 さ ぶ られ た 感 性 が 『適 性 』 と捉 え て い る もの は、 教 育 の 原 点 で 、 あ ら ゆ る教 師 に要 求 さ れ る基 本 的 な 資 質 以 外 の何 もの で もな い6」 の で あ る。 本 来 、 日本 語 教 員 に は教 育 職 員 免 許 状 も特 別 の 資 格 も必 要 とさ れ な い が 、 昭 和62年 度 よ り、 文 部 省 認 定 の 日本 語 教 育 能 力 検 定 試 験 が 実 施 さ れ る よ う に な っ た。 昨 今 で は、 未 経 験 者 の 場 合 この 試 験 に 合 格 して い な い と、 常 勤 非 常 勤 を問 わ ず 、 日本 語 教 育 機 関 へ の就 職 ぽ事 実 上 望 め な くな っ て い る。 で は 、 こ の試 験 で上 記 の 資 質 、 す なわ ち 異 文 化 問 コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ンの 能 力 は問 わ れ て い るの で あ ろ うか 。 そ もそ も、 この 資 質 の 有 無 を ペ ー パ ー テ ス トで 測 る こ とが 果 た し て可 能 な の だ ろ うか 。 前 回平 成9年 度 の試 験 問 題 を見 て み る と、 そ れ ら し き もの が 一 つ だ け あ る。 とい う よ り、 「異 文 化 問 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン」 とい う語 そ の もの が 一 か 所 だ け 出 て くる と言 うべ き で あ ろ う。 それ は、 「子 供 に対 す る 日本 事 情 教 育 」 に 関 す る問 題 で 、 「大 人 に対 す る 日本 事 情 教 育 の一 般 的 な考 え 方 の 中 に含 まれ る、 子 供 た ち の現 状 に対 す る教 育 現 場 の対 応 力 を培 うい くつ か の貴 重 な ヒ ン ト」 の 例 と して 「最 も不 適 当 な 考 え方 」 を選 ばせ る とい う も の で あ る。 選 択 肢 の 中 に次 の よ う な文 章 が あ る。 日本 事 情 を担 当 す る教 員 に は、 日本 文 学 や 日本 史 な ど に つ い て の 知 識 よ り もむ し ろ 日本 語 教 育 や異 文 化 間 コ ミ ュニ ケ ー シ ョン な どに つ い て の経 験

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「文 学部紀 要」 文教 大学 文学 部第12「2号 野 口恵 子 や 素 養 が 必 要 だ と言 わ れ る こ とが あ る。 子 供 た ち に対 す る 日本 事 情 教 育 を 考 え る とす れ ぼ、 そ れ ら に加 え て 、 教 科 教 育 や 子 供 の 親 や 家 庭 環 境 へ の 目 配 りな ど も必 要 で あ る7。 これ は当 然 厂不 適 当 な 考 え方 」 で はな い ゆ え、 解 答 欄 の この 問 題 文 の番 号 に は マ ー ク を しな け れ ば よ い わ け だ が 、 この 設 問 で 異 文 化 問 コ ミュニ ケ ー シ ョ ン能 力 を問 う こ とは不 可 能 だ 。 出題 者 も それ を 問 うて は い まい 。 こ の 資質 ・能 力 が 教 員 に と っ て き わ め て 重 要 で あ る こ と はだ れ もが認 め る に もか か わ らず 、 検 定 試 験 と りわ け 、 マ ー ク シ ー ト方 式 のペ ーパ ー テ ス ト で測 る こ とが 困 難 な もの で あ る とい う こ と は確 か で あ る。 と こ ろで 、 日本 語 教 員 は一 般 に 、 日本 語 や 日本 事 情 とい っ た外 国 語 ・第 二 言 語 と して の 日本 語 を教 え る う えで 最 低 限 必 要 な知 識 を有 す る以 外 に そ れ ぞ れ の専 門 分 野 を持 っ て い る。 しか し仮 に、 韓 国 語 に堪 能 で 、かつ音 声 学 を修 め た 日本 語 教 員 が い た と して も、 韓 国人 学 習 者 の 発 音 指 導 の み を 担 当 す るわ け に は い か ず8、 当 然 の こ と なが ら、 タ イ 入 の 発 音 も直 せ ば ド イ ツ人 の 作 文 添 削 もす る。 ま た 、 どう して も必 要 とあ らぼ 、 ビザ の 更 新 を す る学 習 者 に付 き添 っ て 入 国 管 理 局 に足 を運 び、 アパ ー ト探 しの 手 伝 い を し、 外 国人 に部 屋 を貸 し しぶ る家 主 と交 渉 もす る。 つ ま り、 日本 語 指 導 の 面 に お い て は 専 門 性 と と も に総 合 的 な 言 語 教 育 能 力 が 必 要 とさ れ 、 同 時 に 外 国 人 学 習 者 に接 す る際 に必 須 の異 文 化 理 解 能 力 に加 えて 、 外 国人 と 日本 人 の 間 に立 っ た場 合 の、 ま さ に異 文 化 間媒 介 者 とし て の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン能 力 が 必 要 と され る の で あ る。 か つ て二 年 間 の 日本 語 教 師 養 成 講 座(理 論 課 程 お よ び実 習 課 程)を 受 け た と き に、 教 員 側 の 異 文 化 間 コ ミ齟ユニ ケ ー シ ョ ン能 力 に 関 す る講義 が あ っ た か ど うか 、 実 は よ く覚 えて い な い 。 記 憶 力 の悪 さ も あ ろ うが 、 そ の よ う な講 義 は な か った か 、 も し くは記 憶 に残 る ほ ど に は強 い イ ンパ ク トが な か った もの と思 わ れ る。 とな れ ば、 日本 語 教 員 志 望 者 は この 能 力 を 自力 で身 にっ け、 さ らに教 員 に な っ て か ら も、 自 らの 創 意 工 夫 で 磨 きつ づ け る ほ か な い の だ ろ う か。

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日本語 教員 に とって の 「異文 化理 解」 とは何か で は、 具 体 的 に は どの よ う に し た ら よ い か 、 そ の手 が か りを得 るべ く、 こ こで視 点 を移 し、 フ ラ ンス の外 国人 問 題 、 と りわ け定 住 外 国 人 に対 す る 教 育 の 問題 を見 て み た い 。 3.フ ラ ンス に お け る定 住 外 国 人 に対 す る教 育 の 場 での 「文 化 の 障 壁 」 (1)移 民 の 出 身 国 の 推 移 フ ラ ン ス は 、13世 紀 以 来 、 移 民 受 け 入 れ 国 で あ る と 言 わ れ て い る9。 フ ラ ン ス に お け る移 民(immigr6)と は 、 フ ラ ン ス 国 外 で 外 国 人 と し て 生 ま れ 、 現 在 フ ラ ン ス に 定 住 し て い る 者 を 指 す が 、 国 籍 取 得 い か ん に よ り、 当 然 フ ラ ン ス 人 も い れ ば 外 国 人(6tranger)も い る10。 1990年 に 実 施 さ れ た 国 勢 調 査 に よ る と 、3,569,602人 の 外 国 人 が フ ラ ン ス で 生 活 を 営 ん で お り 、 総 人 口(フ ラ ン ス 人 十 外 国 人=約5,663万 人)に 占 め る 割 合 は 、 海 外 県 ・海 外 領 土 を 除 く フ ラ ン ス 本 土 に お い て 、6.3%と な っ て い る11。 国 籍 は150余 り を 数 え る が 、 以 下 の7か 国 、 ポ ル トガ ル 、 ア ル ジ ェ リ ア 、 モ ロ ッ コ 、 イ タ リ ア 、 ス ペ イ ン 、 チ ュ ニ ジ ア 、 トル コ の 国 籍 を 有 す る 者 が 外 国 人 人 口 の3/4を 占 め る12。 移 民 の 数 は お よ そ420万 人 と 見 積 も ら れ る が13、1954年 と1990年 の 移 齟 民 の 出 身 国 を 比 較 す る と、 ヨ ー ロ ッ パ 出 身 者 は84%か ら41%に 、 ア ジ ア ・ア フ リ カ 出 身 者 は16%か ら56%へ と大 き く変 化 し て い る14。 移 民 受 け 入 れ の 歴 史 は 長 い が 、 い わ ゆ る 移 民 問 題 自 体 ほ と ん ど 語 ら れ る こ と も な か っ た 。 社 会 問 題 と し て の 移 民 が マ ス コ ミ に 頻 繁 に 取 り上 げ ら れ る よ う に な る の は 、1980年 代 の こ と で あ り 、 そ の 要 因 は 、 非 ヨ ー ロ ッ パ 系 労 働 者 と そ の 家 族 の 増 加 、 お よ び 、 イ ス ラ ー ム の 「可 視 化 」 に あ る と さ れ る 。 フ ラ ン ス に い る イ ス ラ ー ム 教 徒 の 数 は 、 フ ラ ン ス 国 籍 者 、 外 国 籍 者 を 合 わ せ る と400万 人 に の ぼ る と見 ら れ て い る15。 イ ス ラ ー ム が 、 カ ト リ ッ ク に 次 ぐ フ ラ ン ス 第 二 の 宗 教 と 言 わ れ る ゆ え ん だ 。 た だ し 一 口 に 在 仏 ム ス リ ム と 言 っ て も、 そ の 国 籍 は60に お よ び16、 人 種 、 民 族 、 言 語 、 文 化

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「文学部 紀 要」文 教大 学文 学部 第12-2号 野 口恵子 的 背 景 も多 岐 にわ た っ て い る う え、 イ ス ラ ー ム 信 仰 の 形 態 も一 様 で は な い 。 しか し、 宗 教 や 文 化 的 規 範 の 大 き く異 な る人 々 との 接 触 が 日常 的 とな っ た こ とで それ は し ば しぼ 、 直 接 的接 触 で は な く、 メ デ ィ ア を介 し て、 な い し は フ ィ ク シ ョン に よっ て で あ る。 ニ ュー ス だ け で な くフ ィ ク シ ョン も知 識 の 形成 に寄 与 す るが 、情 報 の受 け手 に恐怖 が 隣 閥 しか 抱 か せ な い よ う な作 為 的 な 単 純 化 が 行 わ れ る こ と もあ る 、 フ ラ ンス 人 の一 部 に危 機 感 が め ば え、 移 民 排 斥 を とな え る極 右 政 党 が支 持 率 を の ば す 事 態 に もな っ て い る17。 (2)移 民 へ の教 育 日常 的 に文 字 どお り移 民 に接 す る フ ラ ン ス人 と して 、 移 民 へ の 教 育 に携 わ る人 々 が い る。 彼 らは成 人 に対 して は、 外 国 語 ・第 二 言 語 と して の フ ラ ンス 語 教 育 を行 う。 また 、 口 頭 に よ る コ ミュニ ケ ー シ ョ ン はす で に で き る とい う者 に は 、 文 字 教 育 や職 業 訓 練 を ほ ど こす 。 子 供 を対 象 と した もの に は 、 小 ・中学 校 に設 け られ る 、 フ ラ ン ス に来 た ば か りの 外 国 人 子 弟 の た め の フ ラ ンス 語 集 中 特 別 ク ラ ス が あ る18。た だ し、一 定 数 に 満 た な け れ ば ク ラ ス は開 か れ な い た め、 や む を え ず 、 到 着 早 々普 通 学 級 に入 れ られ る子 供 もい る。 そ の場 合 、 普 通 学 級 の 担 当者 、 す な わ ち外 国 語 ・第 二 言 語 と して の フ ラ ン ス語 教 育 を必 ず し も修 め て い な い 一 般 の教 師 が、 外 国人 生 徒 の相 手 をす る こ とに な る。 この よ う に フ ラ ンス の 教 育 現 場 にお い て は、 地 域 に よ る格 差 は あ る もの の、 外 国人 生 徒 の存 在 は珍 し くな く、 彼 ら の指 導 に 当 た る の も、 外 国人 へ の フ ラ ン ス語 教 育 を専 門 に す る者 とは か ぎ らな い 。1970年 代 に 入 っ て外 国人 の 子 供 の入 国 者 数 が 増 え19、 と りわ け大 都 市 お よ び そ の周 辺 で 外 国 人 若 年 層 の 存 在 が顕 著 に な っ た た め、 移 民 子 女 の 教 育 を め ぐっ て 、 前 述 の フ ラ ンス 語 特 別 学 級 の ほか に も二 つ の措 置 が と られ た 。 そ の 一 つ は、 出 身 地 の 言 語 と文 化 の 教 育(ELCO=Enseignementdes languesetculturesd'origine)で 、 主 た る移 民 送 り出 し国 の 言 語 と文 化 を

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日本語 教員 に とっての 「異文 化理 解」 とは何 か 当該 国 出 身 の生 徒 に学 ばせ る とい う もの で あ る20。 ク ラ ス は、 国 民 教 育 省 が 外 国 籍 の 生 徒 の人 数 や 親 の 意 向 な どを調 査 した う えで 、 開 講 が適 当 と判 断 した 学 校 で 開 か れ る21。 も う 一 つ は 、 移 民 子 弟 の 学 校 教 育 の た め の 養 成 ・情 報 セ ン タ ー (CEFISEM=Centredeformationetd'informationpourlascolarisation desenfantsdemigrants)の 設 立 で あ る。1975年 に最 初 の セ ン タ ー が リ ヨ ン大 学 区 に設 け ら れ て 以 来 、 今 日 まで に28の 大 学 区 の う ち23か 所 に CEFISEMが あ る。 詳 し くは 後 述 す る が 、CEFISEMの 養 成 部 門 に お い て 未 来 の教 員 が 留 意 す べ き こ とは以 下 の 二 点 と され る。 す な わ ち 、 ① 同化 を求 め な い イ ン タ ー ア ク シ ョ ン、 お よび 、 ② 出 身 文 化 へ の 敬 意 で あ る22。 CEFISEMは 移 民 子 弟 の 教 育 に携 わ る者 の 養 成 に加 え、 関 係 者 に さ ま ざ まな情 報 を提 供 す る機 関 で あ るが 、 子 供 だ け で な く成 人 移 民 の 指 導 に 当 た る者 に と っ て も、 この 二 点 が 重 要 で あ る こ と に変 わ りは な か ろ う。 (3)教 員 と移 民 との 間 の 溝 フ ラ ン ス人 の教 員 と移 民 との 間 に存 在 す る、 教 員 が ほ とん ど気 が つ い て い な い対 立 点 と して 、 社 会 学 者 の ジ ル ・ヴ ェ ル バ ン(GillesVerbunt)は 次 の 四 点 を挙 げ て い る23。 まず 第 一 は 、文 化 的 な溝 で あ る。 あ らゆ る文 化 は 固 有 の ル ー ル や 規 範 を 持 つ 。 同 一 の 問 い に対 して 、 それ ぞ れ の社 会 は独 自の 規 範 や 著 し く多 様 な 世 界 観 、 人 間観 に照 ら し、 全 く異 な っ た答 え を 出 す の で あ る。 この 場 合 の 文 化 と は、 言 語 、 言 語 行 動 、 衣 服 、 髪 型 とい っ た 顕 現 す る も の だ け で な く、 時 空 間 の概 念 や 宗 教 行 為 、 教 育 観 な ど を含 む 。 外 国 に行 った 場 合 、 そ の 国 の交 通 法規 に慣 れ るの に さ ほ ど時 間 はか か らな い が 、 あ ま りに 内面 化 され た 、 た と え ば宗 教 、 性 、 教 育 な ど を め ぐる概 念 を相 対 化 す る こ とは き わ め て 困難 だ 。 文 化 とい う もの は個 人 を あ る社 会 に結 び つ け る手 段 で あ る だ け に な お さ ら、 規 範 や 行 動 を変 え る の は難 しい 。 言 葉 、 食 べ 物 、 着 る物 とい っ た表 に顕 れ る 特 徴 も、 この 意 味 で重 要性 を帯 び て くる。 そ れ ら を放 棄 させ る こ とは、 連 帯 関 係 を損 なわ せ る お そ れ が あ るか ら だ。

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「文学部 紀 要」文 教大 学文 学 部第12-2号 野 口恵子 第 二 は 、地 方 出 身 者 と都 市 出 身 者 と い う対 立 で あ る。 移 民 の 多 くは、 田 舎 か ら都 会 へ 、 農 村 地 帯 か ら商 工 業 の 盛 ん な地 域 へ と出 て き て い る。 これ は文 化 の 次 元 で は 、 伝 統 的 社 会 と近 代 的 社 会 との 間 の溝 に当 た る。 第 三 の 溝 は、 労 働 者 階 級 と中産 階 級 との 間 に存 在 す る 。 言 葉 づ か い 、価 値 観 、 人 間 関 係 等 の領 域 に見 られ る庶 民 文 化 の 特 徴 を、 多 くの 場 合 別 の 社 会 階 層 の 出 で あ る教 員側 は、 把 握 し て い な い の で あ る。 そ し て 第 四 は、 第 三 世 界 の 中 で も と りわ け貧 し い 、い わ ゆ る 厂第 四世 界 」 の 出身 で あ っ た り、 劣 悪 な生 活 環 境 に 由来 す る もの で あ る が 、 移 民 の 中 に 自 らの行 動 を規 定 す る指 針 を持 た な い者 が い た場 合 に生 じ る、 大 き な 溝 で あ る。 以 上 が ヴ ェル バ ンの 述 べ る、 フ ラ ン ス人 教 員 と外 国 人 移 民 との 間 に 存 在 す る四 つ の 溝 で あ る。 これ らが す べ て 、 日本 にお け る 日本 語 教 員 と外 国人 学 習 者 の 問 に も存 在 す る と は一 概 に は言 え な い。 と りわ け第 四 番 目 の溝 は 日本 で は 稀 で あ ろ うが 、 か とい っ て 皆 無 で あ る と断 言 す る こ と もで き な い。 した が っ て これ ら四 つ の対 立 点 は 、程度 に差 はあれ 日本 におい て も生 じ うる対 立 点 と して 、 日本 語 教 員 が 心 得 て お くべ き もの で あ ろ う。 ヴ ェル バ ン に よれ ぼ・ こうした溝 の存在 を・教員側 よ り学習者 の方が は るか に強 く意 識 して い る とい う。 も し彼 らの こ の意 識 が 、 社 会 的 、 経 済 的 、 さらに は 文 化 的 に も劣 勢 で あ る と い う 自 己 否 定 に 結 び つ け ば、 学 習 意 欲 は失 わ れ 、 学 習 の効 果 も著 し く損 な わ れ る こ とは 自 明 で あ る。 さ ら に ヴ ェ ルバ ン は、 教 室 内 で 誤 解 や 摩 擦 が生 じ る具 体 例 を二 つ挙 げ て い る。 一 つ は教 員 対 学 習 者 の文 化 的 対 立 で あ り、 もう一 つ は学習者 同士の 文 化 的 差 異 、 も し くは見 解 の相 違 の 例 で あ る24。 た とえ ば、 遅 刻 を繰 り返 す 学 習 者 が い た場 合 に 、 教 員 は しば しば 、「彼 に は 時 間 の観 念 が 全 くな い 」 と嘆 く。 しか し、 ヴェルバ ンに言 わせれ ぼ、 厂時 間 の 観 念 」 が な い の で は な くて 、 現 時 点 で は 「我 々 の 時 間 の 観 念 」 を 持 ち合 わ せ て い な い に す ぎ な い 。 人 と待 ち合 わ せ る際 に 、 厂午 後2時 に」 と具 体 的 な数 字 を 出 す か わ りに、 厂昼 食 の 後 で 」 と言 う の が 普 通 で あ る国

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日本語 教 員 に とって の 「異文 化 理解 」 とは何 か か ら来 て い る か も しれ な い の だ 。 また 、授 業 中 に ア フ リカ系 の学 習者 は、 教 師 が 説 明 して い る最 中 に そ の 話 を堂 々 とさ え ぎ って 発 言 す る。 これ は、 教 師 の話 は た と え退 屈 で も最 後 まで 聞 くの が 礼 儀 だ とす るア ジア 系 の 学 習 者 に とっ て は 、驚 愕 に値 す る こ とで あ り、 こ う した こ と に よ って 学 習 者 同 士 の対 立 が 生 じな い と もか ぎ らな い 。 これ ら も また 、 全 く同 じ形 で は な い に して も、 日本 の教 室 で も起 こ り う る現 象 だ 。 「時 間 の観 念 」 に関 して 言 え ば、 「我 々 の」 国 で の 生 活 が 長 くな る に つ れ て 、 学 習 者 はい や お う な く 「我 々 の 時 聞 の観 念 」 を身 に つ け て い くだ ろ う。 それ は、 宗 教 観 な ど に比 べ れ ば は るか に変 更 は容 易 で あ る に ち が い な い。 4.フ ラ ンス ・CEFISEM(移 民 子 弟 の 学 校 教 育 の た め の 養 成 ・情 報 セ ン タ ー)の 活 動 1975年 の設 立 以 来 、CEFISEMは 、 国 民 教 育 省 内 部 に お い て も そ の 存 在 自体 あ ま りよ く知 られ て い な い な どの批 判 は あ る25も の の 、 す で に述 べ た よ う に23の 大 学 区 に設 け ら れ 、移 民 の子 供 の教 育 の た め の教 員 養 成 、 出 版 物 等 に よ る情 報 提 供 活 動 を二 本 の 柱 と し、 そ れ 以 外 に も、研 究 、助 言 、評 価 とい っ た査 定 業 務 を行 っ て い る26。 CEFISEMの 養 成 部 門 は、 新 人 教 員 の 養 成 時 に専 門 的 研 修 を 受 け さ せ る ほ か 、 そ の後 の 断 続 的研 修 、 さ らに そ の対 象 者 と して は、 教 育 現 場 の 管 理 職 な らび に、 教 育 職 員 以 外 で 移 民 の子 供 の 教 育 に 携 わ る者 も含 まれ る と して い る。 しか しな が ら、 実 際 にCEFISEMで の 研 修 が 義 務 化 さ れ た の は1986年 以 降 で 、 そ れ も、 小 学 校 教 員 養 成 課・程 に お け る 全1800時 間 中 27時 間 の専 門教 育 の み で あ る27。 1990年 の 国 民 教 育 省 通 達 で は、CEFISEMと い う名 称 は そ の ま ま に、 つ ま り移 民 子 弟 の 学 校 教 育 の た め と うた い な が ら、 サ ー ビス を提供 す る相 手 として 、 地 方 自治 体 の 選 出議 員 お よび 職 員 、 ソー シ ャル ・ワー カ ー、 成 人 外 国 人 へ の教 育 担 当 者 、 各 種 関 連 団 体 で活 動 す る者 に まで そ の枠 を広 げ

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「文 学部 紀 要」文 教大 学文 学 部第12-2号 野 口恵子 て い る28。 各CEFISEMの 職 員 の 数 は、 そ の 大 学 区 の 外 国人 人 口 を反 映 す る た め、 一 様 で は な い 。1996年 現 在 、 全CEFISEMの 職 員 は、 常 勤 非 常 勤 を 合 わ せ て97名 で あ る29。職 員 の 学 歴 は 、 一 般 の教 員 の 平 均 よ り高 い 。 パ リ大 学 区 のCEFISEMに は10人 の 職 員 が お り、 そ の うち5人 の 学 歴 は、 ① 社 会 学 学 士 号 、 教 育 学 修 士 号 、 言 語 教 育 のDEA(=Dipl6med' 6tudesapprofondies博 士 論 文 提 出資 格 証:博 士 課 程1年 目 に取 得) 、外 国 語 とし て の フ ラ ン ス語 教 育 修 得 、 ② 小 学 校 教 員 免 許 、 臨 床 心 理 学 免 状 、 言 語 学(外 国 語 と して の フ ラ ンス 語 教 育)修 士 号 、 ③ 現 代 文 学 お よ び経 済 学 修 士 号 、 社 会 学 のDEA、 .ア メ リカ合 衆 国 に お い て2年 間 の外 国 語 と して の フ ラ ン ス語 教 育 経 験 、 ④ 文 学 ・演 劇 学 学 士 号 、 言 語 学(外 国語 として の フ ラ ン ス語 教 育)修 士 号 、 ⑤ 数 学 お よ び 哲 学 学 士 号 、 数 学 修 士 号 、 社 会 学 のDEA、 言 語 心 理 学 博 士 号 、.と い っ た 具 合 で あ る30。 これ を見 る と、 比 較 的 学 歴 が 高 い とい う だ け で な く、 修 め た 学 問領 域 の 幅 の広 さ に気 づ く。 外 国語 とし て の フ ラ ン ス語 教 育 を軸 とす る言 語 学 、 言 語 教 育 学 は無 論 の こ と、社 会 学 、 心 理 学 な どを専 門 的 に学 ん で い る 。 一 人 ひ と りの研 究 分 野 の 多 彩 さ も さ る こ とな が ら、 職 員 集 団 とな る とそ の専 門 性 が さ ら に 広 い 領 域 に お よ ぶ 。CEFISEMで は 、 こ う し た メ ン バ ー が 中 心 と な っ て 、 外 国人 生 徒 に接 す る教 員 や そ の 他 関係 者 を養 成 し、 情 報 を提 供 し、 研 究 活 動 な ど を行 っ て い るの で あ る。 パ リ南 郊 の ク レ テ イ ユ(Cr6teil)大 学 区 のCEFISEMの 研 究 活 動 報 告31に よ る と、 こ こで は言 語 的 に も文 化 的 に も さ ま ざ まな 背 景 を持 っ た生 徒 た ち が在 籍 す る複 数 の職 業 高 校 の 実 態 、 と りわ け フ ラ ン ス語 特 別 ク ラ ス の様 子 を詳 細 に調 査 し、 また 、 学 校 運 営 担 当者 と教 員 か ら も詳 し く話 を聞 い た 。 そ し て 、 得 ら れ た 成 果 を、CEFISEMが 実 施 す る 現 職 教 員 の 短 期

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日本語 教員 に とって の 「異 文化 理解 」 とは何か 研 修 に即 座 に採 り入 れ て い るb 職 業 高 校 の 生 徒 た ち は、 お お む ね 次 の 三 つ の カ テ ゴ リー に分 け られ る 。 す なわ ち 、① フ ラ ン ス に来 て 日 の浅 い 外 国人 生 徒 、② 移 民 第 二 世 代 、 そ し て 、 ③ 「生 粋 の フ ラ ンス 人 」 で は あ るが 、 社 会 的 ・職 業 的 に移 民 出 身 生 徒 と ほ ぼ 同 等 の 階 層 に 属 し、 フ ラ ン ス人 で あ りな が ら言 語 ・文 化 両 面 に お い て ハ ン デ ィ を負 っ て い る。 職 業 高 校 と い う性 格 上 、 大 学 進 学 を め ざ す普 通 高 校 とは異 な る生 徒 た ち が 入 学 して くる の は 必 至 だ が 、 フ ラ ン ス語 の補 習 を必 要 とす る子 供 が必 ず し も外 国人 生 徒 だ け で は な い とい う こ とに な る。 これ は現 在 フ ラ ン ス で 子 供 た ち の読 み 書 き能 力 の 著 しい低 下 が 問 題 とな って い る現 実32に も呼 応 し よ う。 緻 密 な 調 査 の 結 果 、 ク レテ イ ユ のCEFISEMは 教 員 短 期 研 修 で 、 生 徒 の 個 人 差 を考 慮 した 教 育 理 論 の提 示 、 そ れ に ふ さわ しい教 材 、 教 授 法 の 紹 介 、 ロ ー ル プ レ イ に よ る 口頭 表 現 練 習 な ど を行 っ て い る。 この ロ ー ル プ レ イ に よ る 口頭 表 現 練 習 とは、 参 加 者 が 生 徒 の 役 も して教 室 で の や り と りな どを演 じな が ら学 ぶ 、-一種 の ゲ ー ム の よ うな も ので あ る。 フ ラ ン ス 語 の よ くで きな い 生 徒 の 立 場 に立 っ て み る こ と と、 教 師 の役 割 を客 観 的 に 見 る こ とが で き る とい う点 で 有 益 と言 え よ う。 一 方、 パ リ大 学 区 のCEFISEMは パ リ第13大 学 と協 力 して 調 査 ・研 究 を行 っ て い る が 、 そ の報 告 書33で は フ ラ ンス 語 の で き な い 生 徒 に接 す る教 員 の 役 割 を 、① 一 つ の専 門 に と らわ れ な い 「一 般 医 」 の よ う な もの 、 そ し て 、② 生 徒 と、 社 会 や家 庭 との 問 の 「調 停 者 」 で あ る と し て い る。 語 学 教 師 で あ れ ば、 正 しい 言 語 知 識 を学 習 者 に伝 達 す る の は 当然 だ が 一 一 そ れ は い わ ぼ 「専 門 医 」 の 仕 事 で あ る 、 同 時 た、 外 国人 学 習 者 の使 用 す る い わ ゆ る 「中 間 言 語 」、 も し くは 若 者 特 有 の言 葉 で 生 徒 た ち が 打 ち 明 け る問 題 に も耳 を傾 け、 それ を理 解 し、 と も に心 配 す る こ と も必 要 だ と い う の で あ る。 「調 停 者 」 とし て の 教 員 は、 学 習 者 と知 の 領 域 との 問 に立 つ と同時 に、 学 習 者 と彼 らを取 り巻 く社 会 環 境 との 間 に立 つ者 で あ る とい

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「文学 部紀 要」 文教大 学 文学 部第12-2号 野 口恵子 う こ と だ 。 5.む す び に か え て・ ンの 重 要 性 日本 語 教 員 に と っ ての 異 文 化 間 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ 3(3)で そ の 議 論 の 一 部 を紹 介 し た ヴ ェ ル バ ン は 、 指 導 者 に 必 要 な こ と は 、 まず 、 学 習 者 との 問 に厳 然 と し て存 在 す る溝 を認 識 し、 彼 我 の差 異 を 知 り、 そ して 、 指 導 者 で あ る 自分 自身 に と って 未 知 の事 柄 が い か に 多 い か を思 い知 る こ とで あ る と述 べ て い る。 確 か に、 あ る事 柄 に つ い て 自 分 は無 知 な の だ 、 と気 が つ い た と き に 、 「知 る」 た め の一 歩 を踏 み だ した と言 う こ とが で き る。 「知 らな い 」 とい う 事 実 を認 識 しな けれ ば、 「知 ろ う」 とい う意 志 も起 こ り よ うが な い か らだ 。 身 近 な例 を挙 げ れ ぼ、 日本 人 学 生 は、 外 国 人 留 学 生 を 「知 ら な い 」。 担 当 す る二 つ の ク ラ ス の う ち の 一 方 に 留 学 生 が い た の で 、 授 業 中 に、 「日本 語 と私 」 とい う題 で短 い ス ピ ー チ を し て も らっ た 。 留 学 生 は、 「日本 語 に は美 し い表 現 が た くさ ん あ る の に、 若 い人 た ち の 語 彙 は少 な く、 言 葉 づ か い も あ ま りよ くな い」 と苦 言 を呈 し、 「私 た ち の手 本 と な る よ うな きれ い な 日本 語 を話 して くだ さ い」 と結 ん だ。 す る と 日本 人 の学 生 た ち か ら、 厂留 学 生 が 話 す の を初 め て 聞 い た」、 「私 た ち よP日 本 語 が 上 手 だ 」 厂な る ほ ど と思 っ て、 反 省 した 」、 厂もっ と留 学 生 の 話 を聞 き た い 」 な ど の 反 響 が あ った 。 ク ラ ス に、 ま た は 学 内 に、 外 国 人 留 学 生 が い る に もか か わ らず 、 日本 人 学 生 で彼 ら と接 触 が あ るの は ほ ん の 一 握 りで あ り、大多 数の 者 は留 学 生 と話 を した こ と も な く、 あ る い は そ の存 在 す ら知 らず に 日々 を 送 って い る の で あ ろ う。 か ね て 留 学 生 別 科 の 学 生 た ち か ら聞 か され て い た 、 日本 人 学 生 の 食 堂 で の マ ナ ー に つ い て 話 を した と き も、 学 生 た ち は興 味 深 げ に聞 い て い た 。内 容 は 、混 雑 した 食 堂 内 で 平 然 と隣 の 椅 子 に荷 物 を置 い て食 事 を して い た り、 食 べ 終 わ っ て い る の にい つ まで もお しゃ べ りを して い た りで 、 トレイ を持 っ て右 往 左 往 して い る留 学 生 た ち に、 一 向 に 席 を譲 っ て くれ な い とい

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日本 語教 員 に とって の 「異文 化理 解」 とは何 か う もの で あ る。 日本 人 学 生 た ち に お そ ら く悪 気 は な い もの と思 わ れ る。 た だ 、 気 が つ い て い な い だ け な の だ 。 しか し こ の場 合 、見 えて い な い 、 気 が つ か な い 、 無 知 で あ る とい う こ とは、 一 種 の 罪 悪 で あ る。 と こ ろで 、 前 述 の ヴ ェ ル バ ン は、 「知 る」 こ と は大 切 で あ る が 、 「知 った つ も り」 に な る こ とに は警 告 を発 して い る。 北 ア フ リカ 出 身 の イ ス ラー ム 教 徒 の研 修 生 とカ フ ェ テ リア に行 っ た と き の こ とで あ る。 メ イ ンデ ィ ッ シ ュ は豚 肉料 理 で あ っ た が 、 イ ス ラ ー ム教 徒 は豚 を食 べ な い とい う こ と を 厂知 っ て い る」 給 仕 が 気 を きか せ て 、 卵 料 理 を差 し 出 した 。 す る と、 研 修 生 は給 仕 に 向 か って 礼 を 言 う ど ころ か 、 む っ と した顔 を した とい うの で あ る。 彼 は豚 肉 を食 べ る つ も りだ っ た の だ 。 敬 虔 な ム ス リム で は な い の か も しれ な い が 、 少 な く と も 自 国 で は け っ し て 口 に す る こ との な い(で き な い)豚 肉 を、 フ ラ ン ス に来 た の だ か ら一 度 く らい食 べ て み た い と思 って い た とい うの で あ る。 給 仕 に この よ うな行 動 を と らせ た もの を、 ヴ ェ ル バ ン は、 「洗 練 さ れ た ス テ レオ タ イ プ」 と名 づ け る。 そ して 、 洗 練 さ れ て い よ う が い まい が ス テ レオ タ イ プ に変 わ り はな く、 した が って 、 避 け るべ きで あ る とす る。 給 仕 は 研 修 生 に、 何 を食 べ た い か た ず ね る べ き だ っ た の だ34。 異 文 化 を 「知 った 」 だ け で は、 異 文 化 問 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン能 力 が つ い た と は言 え な い 。 こ とは そ れ ほ ど単 純 で は な い 。 しか も、 摩 擦 が常 に文 化 の相 違 か ら起 こ っ て い る と はか ぎ らな い 。 あ る と き、 留 学 生 が 「日本 の女 の人 は、 外 国人 か らお ば ち ゃ ん と呼 ばれ る の を嫌 が るの で す か 」 と聞 い て きた 。 外 国人 か らだ ろ うが 日本 人 か らだ ろ うが 、 そ う呼 ば れ る の を喜 ば な い人 は い る と答 えた 。 す る と学 生 は納 得 の い か な い顔 つ き で 、 次 の よ うな話 を し た。 彼 は毎 晩 銭 湯 に通 っ て お り、 番 台 の 中 年 女性 と も顔 見 知 りに な っ て 、 言 葉 を 交 わ す よ うに な っ た 。 ほ か の 日本 人 の客 た ち は親 し げ に、 「お ぼ ち ゃ ん 、 こ ん ば ん は」 な ど と話 し か け 、 番 台 の 女 性 も笑 顔 で 答 え て い る。 留 学 生 は 、 自分 も 「お ば ち ゃ ん」 と 言 って み た くな り、 あ る とき意 を決 し て呼 び か けて み た 。 と こ ろが 笑 顔 が

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「文 学部紀 要」 文教 大学 文学部 第12-2号 野 口恵子 返 っ て くる ど こ ろ か 、 こ わ い顔 で に ら まれ た の だ とい う。 日本 人 客 に は 厂お ば ち ゃ ん」 と呼 ば せ る の に 、外 国 人 の 自分 が 呼 ぶ と嫌 な顔 をす る。 「こ れ は外 国人 差 別 だ 」。 本 当 に差 別 な の だ ろ うか。 何 か 別 の誤 解 が あ った の で は な い だ ろ うか 、 と思 い つ つ 、 この 学 生 の 「お ぼ ち ゃ ん」 の ア ク セ ン トが 気 に な っ た 。彼 は 明 らか に、 初 め の 「お 」 を低 く、 次 の 「ぼ」 を 高 く、 そ して 「ち ゃ ん 」 を 再 び低 く発 音 して い た 。 いわ ゆ る共 通 語 に お け る 厂お ば ち ゃ ん 」 の ア ク セ ン トは平 板 型 で、 「お 」 は低 く、 「ば」 で 上 が っ て そ の ま ま同 じ高 さ で終 わ る。 留 学 生 の よ うに発 音 す る と、 「ぼ」 の母 音 を長 くの ば さ な くて も、 「お ば あ ち ゃ ん 」 と聞 こ え る の で あ る。 番 台 の お ば さ ん が こわ い 顔 を した の は、 「お ば あ ち ゃ ん」 と呼 ば れ た と思 っ た か ら だ っ た 。 日本 人 、 外 国 人 と い った 異 文 化 の 介 入 す る摩 擦 で は な か っ た の だ 。 初 級 の教 室 で は、 長 母 音 の 有 無 で 意 味 が 異 な り、 あ らぬ 誤 解 も生 じ る、 と学 生 た ち に 注 意 を促 し、 「お じ さん 」 と 「お じ い さ ん」、 「お ば さ ん 」 と 「お ぼ あ さ ん 」 の 違 い な どは何 度 も練 習 して い る。 しか し、 た だ や み く も に の ば せ ば よ い と考 えて い る学 習 者 もあ り、 高 低 ア クセ ン トの 大 切 さ に ま で 意 識 が お よ ば な い。 日本 人 の 中 に も長 母 音 を、 そ れ と識 別 で き な い ほ ど 短 く発 音 す る者 が 実 は少 な くな い か つ て の私 もそ め 一 人 で 、 実 習 講 座 を受 け た と き に指 摘 さ れ て初 め て気 が つ い た が 、 ア ク セ ン トの 高 低 は 守 られ て い るた め、 誤 解 を生 む こ とは ほ とん どな い の で あ る。 教 室 の 内外 に お け る外 国人 学 習 者 と 日本 人 との 問 の誤 解 や 摩 擦 が 、 純 粋 に 日本 語 の理 解 運 用 能 力 に起 因 す る もの で あ るの か 、 双 方 の 異 文 化 間 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン能 力 の 欠 如 か ら生 じ る もの で あ るの か 、冷静 に見 きわめ る 必 要 が あ る。 よ っ て 日本 語 教 員 は、 一 言 語 と して の 日本 語 の し くみや 特 性 を知 る こ と と、 異 な る文 化 を有 す る者 同 士 の接 触 の 際 の さ ま ざ ま な問 題 を 考 察 す る こ との いず れ もお ろ そ か に で き な い。 と りわ け後 者 、 す な わ ち 異 文 化 問 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン の能 力 を磨 くに は 、 想 像 力 を働 か せ 、 感 受 性 を鋭 敏 に して 他 者 に 向 か い 、 また 、 自己 に向

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日本語 教 員 に とっての 「異文化 理 解」 とは何 か き合 う こ とが 大 切 だ 。 だが 、 想 像 力 を働 か せ る とい っ て も、 材 料 とな る あ る程 度 の 知 識 が な い こ とに は想 像 す る こ と もで き な い ゆ え、 まず は知 る こ と に努 め、 そ して 自分 の頭 で考 え る。 これ を繰 り返 して い くこ とが 肝 要 で あ ろ う。 日本 語 教 員 志 望 者 に こ う した 自己 開 発 能 力 を期 待 す る こ とは言 う まで も な い が 、 常 に意 識 に の ぼ らせ 、想 像 力 を刺 激 す る こ とは 養成 担 当 者 の 役 目 で もあ る。 折 りに 触 れ て さ ま ざ ま な 具 体 例 を示 す こ と に よ り材 料 を提 供 し、 それ らを十 分 に咀 嚼 して 自分 で 考 え て も ら う。 さ らに 、 頭 の 中 で 考 え るだ け に と ど ま らず 、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンの 経 験 も積 ん で も らわ な けれ ば な ら な い。 異 文 化 間 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン は 、 他 の どの学 問 に も増 して 、 机 上 の 論 で 終 わ らせ るわ け に は い か な い の だ 。 教 員 に とっ て の 異 文 化 理 解 能 力 、 異 文 化 間 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン能 力 の 重 要性 を、 一 日本 語 教 員 と して の 大 い な る 自戒 を込 め て 、 こ こ に強 調 す る も の で あ る。 注 1.以 下 の ビ デ オ 教 材 か ら、 実 際 の 授 業 風 景 部 分 を視 聴 し た 。 清 ル ミ編 著 『VIDEO日 本 語 の 教 え 方 実 践 シ リー ズ[1]教 え 方 の コ ツ 授 業 の す べ て 』 ア ル ク 、1997年 。 2.た と え ば 、 文 化 庁 文 化 部 国 語 課 編 『異 文 化 理 解 の た め の 日本 語 教 育Q& A』 大 蔵 省 印刷 局 、1994年 。 3.教 員 側 の 異 文 化 理 解 に 関 し て は、 全 く触 れ な い か 、 触 れ て も数 行 な い し せ いぜ い1ペ ー ジ程 度 で あ る もの が 多 い 中 、 日本 事 情 と と も に で は あ るが 独 立 した 章 を設 け 、 数 ペ ー ジ に わ た っ て 論 じて い る次 の よ う な概 説 書 も あ る。 山 下 暁 美 ・桜 井 隆 「異 文 化 理 解 と 日本 事 情 」 遠 藤 織 枝 編 『概 説 日 本 語 教 育 』 三 修 社 、1995年 、133-159頁 。 4.日 本 語 教 育 学 会 『日本 語 教 育 の概 観 』1995年 、70頁 。 5.高 柳 和 子 「大 学 、 日本 語 学 校 等 に お け る教 師 養 成 の あ り方 」 『日本 語 学 』 第15巻 第2号 、1996年2月 号 、49頁 。 6.同 上 7.日 本 国 際 教 育'協会 編 『平 成9年 度 日 本 語 教 育 能 力 検 定 試 験 試 験 問 題 』 桐

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「文学部紀要j文教大学文学部第12-2号 野 口 恵 子 原ユニ、 1998年、 81頁。

8

.ただし、韓国の日本語教育機関に、発音矯正の専門家として招かれた場 合はこのかぎりではないが、そのようなケースはきわめて稀と言わざるを えない。 9 . Weil, Patrick, LαFrance et ses etrangers : L 'aventure d'uneρolitique de l'immigration 1938-1991, Calmann-Levy, 1991, p.23. 10.

1

移民Jの定義は、 INSEE,Les Etrangers en France, coll. Contours et caractere, 1994, p. 14,ならびにINSEE,Lαρ

ρulationde la France, 1995, p.27より。ただし、「移民

J

と「外国人

J

とが定義どおりに正しく使い分 けられているとはかぎらない。詳しくは拙稿 (1在仏北アフリカ系移民の 言語と文化

J

r

富士論叢』第43巻第1号、 1998年5月、 73-92頁)を参照 されたい。 11. INSEE, 1995, op. cit., p. 26 12. Ibid.およびHautConseila l'integration, Liens culturels et integra -tion: Rajゆ01すαuPremier ministre, La Documentation Francaise, 1995, p.14. 13. INSEE, 1994, ~ρ. cit., pp.14-15.

14.国立統計経済研究所 (INSEE)の発表を、 Mermet,Gerard, Franco -scopie 1993, Larousse, 1992, p. 210より引用。 15.Haut Conseila l'integration, ~ρ. cit., p.31. 16.Rude-Antoine, Edwige, Le mariage maghrebin en France, Karthala, 1990, p. 154. 17.極右は、非ヨーロッパ系、イスラーム系を「統合不能

J

と見なすが、過 去においてヨーロツパ人で、カトリックである人々も困難と無縁で、はなかっ た。イタリア人、スペイン人、ポルトガル人が差別を免れたわげでも、ス ムーズにフランス社会に適応したわけでもない。今日れっきとしたフラン ス市民であると自他ともに認めるポーランドからのカトリック系移民にい たっては、フランス社会に受け入れられるまでに、肉体的にも精神的にも 過酷な生活を強いられた。詳細は、以下を参照されたい。 Weil0ρ. citお よびRozeAnne, La France arc-en-ciel: Les Francais venus d' ailleurs, Julliard, 1995. 18.初等教育課程においては最長1年の在籍を許される入門学級 (classes ぜinitiation)、中等教育課程においては最長2年の受け入れ学級 (classes d'accueil)で、前者は1970年、後者は1973年に開設された。いずれも、 普通学級への早期編入を目的としたもので、公立、私立を問わず設置され うる。ただし、私立学校に在籍する生徒はフランス人で全体の15%、外

(19)

日本語教員にとっての「異文化理解」とは何か 国人では3%に過ぎず(INSEE,1994, op. cit.,pp. 46-49)、したがって私 立は公立に比して、フランス語集中授業を受ける生徒の絶対数も少ない。 19.フランス政府は1974年に欧州以外からの新規移民の導入を禁止したが、 すでにフランスに滞在している正規の移民が家族を呼び寄せることは「人 道的見地から j許可した。そのため、単身で来ていた男性たちに妻子が合 流した。実際の移民の数は、新規移民停止措置がとられたあとに漸増する ことになるのである。 20. ELCOはフランスの学校内で行われるものであるが、教員の派遣なら びに報酬の支払いは、移民送り出し国側の負担となる。以下の

8

か国が、 1973年から1981年の聞にフランス政府と二国間協定を結び、自国出身の 生徒に教育を実施している。ポルトガル、イタリア、チュニジア、スペイ ン、モロッコ、ユーゴスラピア、トルコ、アルジエリア。ただし1994年 の時点で、旧ユーゴスラビアのセルボ・クロアチア語のクラスに参加する 生徒はほとんど存在していない。 ELCOは、外国人労働者とその家族の 将来の帰国を前提として始められた。子供たちが本国社会に速やかに同化 できるようにとの配慮からである。しかじ、家族全員での定住が長くなれ ばなるほど、移民たちの帰国願望は失せてくるというパラドクサルな状況 になっている。 21.ELCOの問題点等、前掲拙稿で論じている。 22. IGEN, {Les CEFISEM vingt ans apr色s},Migrants-Formatio肌 n0 106, septembre 1996, pp.167-195.なお、 IGENは、 InspectionGen邑ralede l' Education N ationale(国民教育省総監督局)の略。

23. Verbunt, Gilles, {Le formateur confronte aux differences cultur -elles}, Hommes & Migrations, n0 l177, juin 1994, pp. 7-8. 24. Ibid., p. 7, p. 9,およびVerbunt,Gilles, {Franchir les obstacles cultur -els}, Migrants-Formαtio肌 n0 100,mars 1995, p. 42. 25. Seksig, Alain, {Que peut l'ecole contre le racisme?}, in Taguieff, Pierre-Andre (sous la direction de),

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i

αce au racisme 1 : Les moyens d' agir, La Decouverte, 1991, p. 90. 26. IGEN, 0.ρ. cit., p. 185.

27. Boyzon-Fradet, Danielle, {Le syst色mescolaire francais: aide ou

obstaclea l'integration?}, in Taguieff, Pierre-Andre (sous la direction de),

F

i

αceαu racisme2 : A仰 lyses,hypotheses,

ρuψ

ectives, La Decouver

-te, 1992, pp. 253-254. 28. IGEN,ojう.cit., p.174.

(20)

「文学部紀要」文教大学文学部第12-2号 野 口 恵 子 30. Ibid., p. 180.

31. Meirone, Marie-Ange, {Le suivi des classes d'accueil dans les lycees professionnels. L'action du CEFISEM de Creteil},Migrants-Formation, n0

95, d邑cembre1993, pp. 181-185.

32. Bentolila, Alain, {Nous fabriquons des illettres}, Le Nouvel Obser -vateur, 10-16 octobre 1996, pp. 44-45. 33. Biarn色s,Jean, {Scolarisation des jeunes non francophones peu ou pas scolarises anterieurement. Analyse d'une innovation pedagogique}, Migrants-Formatioη, n0 108, mars 1997, pp. 86-108. 34. Verbunt, Gi1les, 1995, '0ρ.

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.

, p.44.

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