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アコヤ貝骨形成因子2(BMP-2)の研究:脊椎動物多能性細胞に対する分化誘導能と機能部位の同定

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Academic year: 2021

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(1)平成25年度. 博士学位論文 内容の要旨 および. 審査結果の要旨. 近畿大学大学院 生物理工学研究科.

(2) 生物理工学研究科. 平成 25年度. (課程修了による). 高. 見. 日. 日日. 子.

(3) 学位論文審査結果の報告書 氏. 高見晶子. 名. 生年月日. 趣豆1の・平成. 本籍(国籍). 大阪府. 博. 学位記番号 学位授与の条件. 26日. 士(エ. 生第. 学号. 学位の種類. 57年5月. 35. 学位規程第5条該当. (博士の学位). 論. 文題目. アコヤ貝骨形成因子2 佃MP-2)の研究. 脊椎動物多能性細胞に対する分化誘導能と機能部位の同定. 授. 鵠繍. 審査委員 (主査). 宮下知幸. (副主査). 細井美彦. 教授. (副主査). 森本康. 教授ぜア.". (副査). ⑳. (副査). ⑳. - 1 -.

(4) 文内. ク、. の. ^. 無機一有機の複合材料である硬組織は幅広い生物種で見られ、内骨格である脊椎 動物の骨や歯,無脊椎動物の外骨格などがあり、生体の構造維持や生体防御に重要 な役割を果たしている。多様性に富む無脊椎動物の硬組織の代表的なものとして、 真珠あるいは貝殻における真珠層と陵柱層がある。骨と無脊椎動物の外骨格硬組織 がどのように出現、進化してきたのかは不明なことが多いが、内骨格と外骨格の硬 組織に存在するタンパク質の情報は両者が別々に進化してきたことを示唆する。 方、両者には共通の祖先として、骨格を持たない左右相称動物がある。この祖先か らカンブリア紀中期に外骨格を代表する二枚貝貝殻が出現し、その後、内骨格であ る脊椎動物の骨が出現したとされている。これらの骨格形成には、無骨格左右相称 動物において、形態形成を制御する因子として機能し、進化の過程で、骨や外骨格 の形成をも制御するようになったと考えられる共通の有機分子の存在を示唆する事 象が知られている。その事象とは、真珠貝真珠層の有機質分画はヒト幹細胞を骨芽 細胞ヘと分化誘導させ、さらに、真珠層有機質分画を骨折部に移植すると、免疫学 的拒絶反応が生じることなく早期に骨折が治癒することである。以上の結果は内骨 格である骨と外骨格真珠層形成の初期過程には共通の因子を介する情報伝達経路が 存在することを示唆し、真珠層には拡散性の骨形成因子様有機物質が含まれること を示す。真珠層有機質分画に存在する骨形成誘導物質は、世界の幾つかの研究室に よる執勘な探索にも関わらず、現在においても特定はされていない。真珠層中の拡 散性骨形成因子の有力な候補に、骨形成は勿論、動物における形態形成因子でもあ. る骨形成因子2(BN佃・2)がある。また、共通の有機分子が関与する経路の存在に関し ては、アコヤ貝外套膜上皮細胞において、発現が顕著であるCalcine砥inの阻害実験 が示唆を与える。この実験で、削除された真珠貝貝殻の再生において、 calcineurin 阻害剤であるサイクロスポリンAの投与で、 BMP、2の転写レベルが激減すると共に 貝殻の再生が異常になることが示されている。サイクロスポリンA処理によるBMP、 2の転写レベルの低下は脊椎動物においても得られている。これらの結果はBN伊、2 の転写はCalC血eU血を介し、転写因子NFATにより誘導されることを示し、この BN伊・2発現経路はアコヤ貝と脊椎動物の硬組織形成に共通に存在することを示唆す る。以上のことから、内骨格の骨と外骨格真珠層の形成の初期過程で機能し、且 つ、真珠層に存在する拡散性の骨形成因子様有機物質がBMP・2あるいは機能領域を 含むその断片であるとすれば、アコヤ貝BN伊、2は脊椎動物多能性細胞を骨細胞に分 化誘導する機能を有することを実証する必要がある。. - 2 -.

(5) 本研究では、アコヤ貝BW-2と他種のBMP-2およびそのホモログとの構造的相同性 について解析し、組換え体アコヤ貝BMP-2および合成ポリペプチドを用いてマウス 多能性幹細胞C3HIOTV2に対する骨芽細胞ヘの分化誘導能を実証した。分化誘導能 については、骨細胞特異的転写調節因子と骨細胞特異的分化マーカー遺伝子の発現 を転写レベルとタンパク質レベルで解析すると共に、形態学的観察およびカルシウ ムの蓄積という観点からも検討した。 まず、アコヤ貝BW-2とショウジョウバエのホモログおよび脊椎動物のBMP-2間 で、アミノ酸酉己万Uの相同'性をDot matriX角羣析とmultiple-sequence alig1醐entを 行った。アコヤ貝BMP-2はヒトBMP-2と同様にショウジョウバエのホモログである D即や脊索動物ナメクジウオを含め他の種の相同タンパク質のアミノ酸配列全体と 相同性があり、特にC末端成熟領域の相同性は極めて高く、N末端側ではほとんど相 同性がないショウジョウバエのホモログである60Aにおいても、アコヤ貝BMP-2と高 い相同性を示した。C末端成熟領域では、成熟タンパク質の産生に必要なプロセッ シングサイトArg-X-X一紅g配列がナメクジウオと巻貝を除いて比較したすべての夕 ンパク質のアミノ酸配列に存在し、 wsteineknot形成に関与する7つのシステイン 残基も相対的に同じ位置に存在した。このことは、C末端成熟領域のアミノ酸配列 は昆虫から脊椎動物まで非常に高く保存されていることを示す。 次に、アコヤ貝BMP-2の骨分化形成誘導能を調ベるために、マウス間葉系細胞の C3HIOTI/2細胞を使用した。ヒトBMP-2の機能領域のknuckle 即北Opeである残基68 一釘 NSVNSKIP酷CCVPTELSA1の部分的置換型で、残基73-92に相当する合成ペプチド KIP蹴SSVPTELSAISTWL(hBMP-2)を骨形成誘導のポジティブコントロールとして用い た。 vonKossa染色法は一般的に骨芽細胞の存在を示すことに使われる。この組織 的な手法を使用して、 C3田OTν2糸剛包の骨芽細胞ヘの分化についてアコヤ貝BMP-2の 組換え体成熟フラグメントの影響を調ベた。V伽 Kossa染色法でカルシウムの蓄積 を調ベると、組換え体アコヤ貝BW-2あるいはhBMP-2合成ポリペプチド.で処理する と、蓄積が観察されたが、未処理の糸剛包では観察されなかった。さらに、光学顕微 鏡では未分化のC3HIOTν2細胞は繊維芽細胞様の紡錘形を示したのに対し、BMP-2処 理した細胞は円形あるいは楕円形の形態を示し、部分的に多層を形成していた。 そして、アコヤ貝骨形成因子2の成熟領域の約20残基のアミノ酸配列ほヒトBMP-2 の機能領域に高い相同性があり、この領域が機能ドメインであることを実証した。 この20残基のポリペプチドPGSVPKPCCVPT肌SSLSLL (P錫MP-2)を合成し、 C3HIOTI/2 細胞に対する分化誘導能を検討した。pf獣佃一2合成ポリペプチドと対照である耶MP2合成ポリペプチドでC3HIOTν2細胞を処理し、分化マーカーであるAlkaHne 仙Osphatase(ALP)の発現の経時的変化を観察すると、どちらにおいても肌Pの発現. - 3 -.

(6) が増加し、未処理と比較して3倍程高い発現が観察された。さらに、 ALPを組織染 色すると、未処理の細胞では染色されなかったが、両ポリペプチド処理した細胞で は赤く染色された部分が観察された。カルシウムの蓄積VonKossa染色とAliZ釘inred 染色で確認すると、両ポリペプチド処理した細胞では蓄積が見られたが、未処理の 細胞では観察されなかった。この結果は合成した20残基からなる領域がアコヤ貝骨 形成因子2の機能領域であることを示す。 さらに、合成ポリペプチド処理したC3HIOTν2細胞における骨細胞特異的転写因 子であるCbfa1爪.U1Ⅸ2およびOsteriX遺伝子の発現と骨細胞特異的マーカー遺伝子. (C0Ⅱagen妙Pel、 osteopontin、 osteocalcin)の発現の経時的変化を逆転写PCR (RT、PCR)で角翆析した。 P田MP、2あるいはhBMP・2合成ポリペプチド処理すると、 Cbfa1侭.U遜2とOsteriXのmRNAの発現が顕著に促進した。また、 P田MP・2合成ポリペ. プチド処理で、 C0Ⅱagen加e1とOsteopontinの発現が顕著に誘導され、最初のピーク がそれぞれ約6時間と12時間で出現し、2日後と4日後に再びそれぞれピークに達し. た。 osteocalcinの発現は処理して2日後に発現のピークを観察した。 hBMP・2合成ポ リペプチドによって処理した場合は、発現のピークに多少の時期的差があるものの. 概ねP田MP、2合成ポリペプチドでの処理と同様な結果が得られた。さらに、免疫組 織化学染色で、各タンパク質の存在を確認した。両合成ポリペプチドで処理した. C3HI01ν2細胞において、 C011agenupel、 osteopontin、そしてOsteocalcinの免疫染 色を処理後7日から18日目で行うと、処理した多くの細胞でそれぞれの陽性反応が. 観察されたが、未処理の細胞では殆ど染色されなかった。 以上、今回の研究では、組換え体アコヤ貝骨形成因子2およびその機能ドメイン のP母MP、2合成ポリペプチドは11BMP、2合成ポリペプチド同様、多育旨性細胞 C3HIOTν2に働き、骨芽細胞ヘの分化誘導能を示した。このことは処理した C3HIOTV2細胞における骨細胞特異的転写因子遺伝子の発現や分化マーカー遺伝子. の発現および細胞の形態変化とカルシウムの蓄積により実証された。以上の結果 は、 BMP、2は真珠層に含まれる拡散性の骨形成因子様有機物質の有力候補であると 共に、骨と外骨格真珠層の形成の初期過程における情報伝達経路の共通の因子の候 補でもあることの傍証を与えると共にBMP、2は無脊椎動物から脊椎動物における、 構造的且つ機能的に高度に保存された遺伝子であることが示された。. 4.

(7) ^. 文. 査. イ. の. ^. 無機一有機の複合材料である硬組織は幅広い生物種で見られ,内骨格である脊椎 動物の骨や無脊椎動物の外骨格など生体の構造維持や生体防御に重要な役割を果た している。無脊椎動物の硬組織の代表的なものとして、真珠あるいは貝殻における 真珠層がある。内骨格の骨と無脊椎動物の外骨格硬組織の進化については不明なこ とが多く、各硬組織に存在するタンパク質の情報解析からは別々に進化してきたこ とを示唆する。一方、両者には、共通の祖先として骨格を持たない左右相称動物が あり、カンブリア紀(糸勺5億年前)中期に二枚貝が、その後に内骨格である骨を持 つ脊椎動物が出現したとされる。そして、これら骨格形成には、無骨格左右相称動 物において、形態形成を制御する因子として機能し、進化の過程で、骨や外骨格の 形成をも制御するようになったと考えられる共通の有機分子の存在を示唆する事象 が知られている。その事象とは、真珠貝真珠層の有機質分画にはヒト幹細胞を骨芽 細胞ヘと分化誘導させ、さらに、真珠層有機質分画を骨折部に移植すると、免疫学 的拒絶反応が生じることなく早期に骨折が治癒することである。これらの結果は骨 と外骨格真珠層の形成の初期過程には共通の因子を介する情報伝達経路が存在する ことを示唆し、真珠層には拡散性の骨形成因子様有機物質が含まれることを示す。 との骨形成誘導物質は、執勤な探索にも関わらず、現在においても特定はされてい ない。しかし、この骨形成因子様有機物質の有力な候補に、骨形成は勿論、動物に. おける形態形成因子でもある骨形成因子2(BMP・2)がある。また、共通の有機分子が 関与する経路の存在に関しては、アコヤ貝外套膜上皮細胞において、発現が顕著で あるCalcineⅢinの阻害実験が示唆を与える。この実験で、削除された真珠貝貝殻の 再生において、 calcineudn阻害剤であるサイクロスポリンAの投与で、 BMP・2の転写 レベルが激減すると共に貝殻の再生が異常になることが示されている。サイクロス ポリンA処理によるBMP、2の転写レベルの低下は脊椎動物においても得られてい る。これらの結果はB入伊、2の転写はCalC血eurinを介し、転写因子NFATにより誘導さ れることを示し、このBMP、2発現経路はアコヤ貝ど脊椎動物の硬組織形成に共通に 存在することを示唆する。 以上のことから、真珠層に含まれる拡散性の骨形成因子様有機物質がBMP・2ある いは機能領域を含むその断片であることが予想され、これを裏付けるためには、ア コヤ貝BMP、2には脊椎動物多能性細胞を骨芽細胞に分化誘導する機能を有すること を実証する必要がある。そのため、組換え体アコヤ貝BMP・2および合成ポリペプチ ドを用いてマウス多能性幹細胞C3HIOTV2に対する分化誘導能を検討し、骨細胞特 異的な転写調節因子の発現を解析するとともに分化マーカー遺伝子の発現誘導を転 写レベルとタンパク質レベルで解析した。さらに、形態学的観察およびカルシウム の蓄積という観点からも分化誘導能を検討した。 最初に、アコヤ貝BN佃、2と他の種の相同タンパク質およびホモログとのアミノ酸. 配列の相同性をDotmatdX角早析およびMultiple・sequenceali部血entで角早析した。その結 果、アコヤ貝BMP、2はヒトや脊椎の原型である脊索を持つナメクジウオの相同タン. パク質および昆虫ショウジョバエのホモログであるDPPを含めて他の種の相同タン パク質のアミノ酸配列と全体的に相同性があり、特にC末端側成熟領域の保存性は 極めて高かった。 次に、分化誘導能をマウス多能性細胞C3HIOTV2を用いて、様々な視点から検討 した。 C3HIOTν2において、骨芽細胞ヘの分化の指標のーつであるカルシウムの蓄 積をVonKossa染色で確認すると、蓄積は組換え体アコヤ貝骨形成因子2および対照. であるヒト機能領域BMP、2合成ポリペプチド(hBN佃・2)を働かせた細胞では見られ. 5.

(8) たが、未処理の細胞では観祭されなかった。細胞の形態学的変化を観察すると、組換え体 アコヤ貝骨形成因子2およひ加MP、2合成ポリペプチドで分化誘導した細胞は明確に変化 し、楕円形の形態で部分的に多層構造であり、一方、未処理の細胞は繊維芽細胞様の形 態であった。. そして、アコヤ貝骨形成因子2の成熟領域の約20残基のアミノ酸配列はヒトBMP・2の機能. 領域に高い相同陛があり、この領域が機能ドメインであることを実証した。この20残基の合. 成ポリペプチド(P田MP、2)を合成し、C3HI01ν2細胞に対する分化誘導能を検討した。 P田MP、2ポリペプチドと対照である11BMP、2合成ポリペプチドでC3HIOTν2細胞を処理し、. 分化マーカーであるAlkaHnephosphatase(ALP)の発現の経時的変化を観察すると、どちら においても紅Pの発現が増加し、未処理の細胞と比較して3倍程高い発現が観察された。 さらに、紅Pを組織染色すると、未処理の細胞では染色されなかったが、両ポリペプチド処 理した細胞では赤く染色された部分が観察された。カルシウムの蓄積をVonKossa染色と Nizadnred染色で確認すると、両ポリペプチド処理した細胞では蓄積が見られたが、未処 理の細胞では観察されなかった。この結果は合成した20残基からなる領域がアコヤ貝骨 形成因子2の機能領域であることを示す。. 最後に、合成ポリペプチド処理したC3HI0IV2細胞における骨細胞特異的転写因子遺 伝子と分化マーカー遺伝子のmRNAの転写量の経時的変化をRI・PCRで解析した。その 結果、P佃MP、2合成ポリペプチドは、hBMP、2合成ボリペプチド同様、顕著に骨細胞特異 的転写因子RunX2/cbfa1とOsteriX遺伝子のm郎Aの転写を誘導した。また、P佃MP・2合成. ポリペプチド処理で、 C0Ⅱagen加e1とOsteopontinおよびOsteocalcinの発現が顕著に誘導 された。耶MP、2合成ポリペプチドによって処理した場合は、発現のビークに多少の時期的 差があるものの概ねP田MP、2合成ポリペプチドでの処理と同様な結果が得られた。以上の. 結果は、P田MP、2合成ポリペプチドは骨分化マーカー遺伝子の転写を顕著に誘導した事 を示してぃる。骨分化マーカー遺伝子の発現をタンパク質のレベルで抗体を用いた免疫. 糸且織染色により観察した。 C011agen加el、 osteopontin、そしてOsteocalC血に文寸する免疫組 織染色を行なった結果、処理した多能性細胞の多くにおいて、それぞれのマーカー遺伝 子のタンパク質が陽性に染色された。一方、未処理の多能性細胞C3HIOTν2では殆ど染 色されなかった。. 以上の結果はアコヤ貝BMP、2はマウス多能性幹細胞C3HI01ν2に対し、強力な分化誘. 導能を有し、骨芽細胞ヘと分化を誘導したことを示す。この事実は、BN佃・2が真珠層に含 まれる拡散性の骨形成因子様有機物質の有力候補であると共に、骨と外骨格真珠層の形 成の初期過程における情報伝達経路の共通の因子の候補でもあることを示している。さら に、無脊椎動物のホモログで唯一骨形成能力靖正明されているのは硬組織を形成しないシヨ. ウジョウバエのD即と60Aのみであり、硬組織を形成する無脊椎動物のBMPで脊椎動物の 幹細胞に対する骨芽細胞ヘの分化誘導能が実証されたのは初めてである。今回の軟体動 物の硬組織を有するアコヤ貝BN佃、2における脊椎動物多能性細胞における分化誘導能 の実証から、B入W、2は無脊椎動物から脊椎動物において構造的且つ機能的に高度に保 存された遺伝子であることが示され、博士(工学)論文として価値あるものと認める。. 6.

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