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「失われた時を求めて」における象徴としての眼鏡 ; 2 : 2つのmonocle描写をめぐって

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Academic year: 2021

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(1)『失われ た時 を求 めて』 にお ける象徴 としての眼鏡. (2). ―一 二つ の monocle描 写 を め ぐっ て一―. 田. 前. 美. 樹. つ けることがで きる。 このことか らみても,作 中にお は. じ. め. ける眼鏡描写があ る一定 の存在感 をもってい るであろ. に. うことが確認 されるだろう。 この ように,プ ルース ト 『失 われた時 を求 めて』 にはさまざまな光学器械が. が登場人物 たちを眼鏡 とともに描写す るときに,そ こ. 登場 し,眼 鏡 ,と りわ け mOnocleDの 象徴 的側面 につ いては,2003年 に発表 した論考れこお いてす でに述べ. に何 らかの意図を込 めた とい うことはほぼ間違 い ない だろ う。. サ ン=ト ゥー ヴェル ト夫人 の夜会場面 におい てス ワ ン. それでは,こ れらの指摘 をふまえたうえで,『 失わ れた時を求めて』の「スワンの恋」または「花咲く乙 女たちのかげに」において,ス ワン,サ ン=ル ー とい. が行 った社交界 の友人 たちの monocle分 析 をきっか. つた 登場 人物 と mOnOcleを め ぐる描 写 を比 較 す る こ. けにして見えて くる,あ る美学 の存在 を明 らかに した. とに よって ,こ れ らの道 具 が作 中 で どの よ うに機 能 し. い。 プルース トは,こ の夜会場面 において,芸 術愛好. て い るのか とい う こ とを考察 した い。. た。本論考 ではそれ を発展 させ たかたちで,『 失 われ た時 を求 めて』 にお け る,「 ス ワ ンの恋」 に描 かれる. 家 として独 自の芸術観 を表明 してい るスワ ンに重要な 役割 を与 えてい る。 また,「 花咲 く乙女たちのかげに」 の第二部 ,バ ルベ ックにお けるサ ン=ル ーの最初 の登 場場面 にも注 目し,mOnOcleを 伴 う人物描写が結 ぶス ワ ンと語 り手 の関係性 について も考察 したい。 プルース トが 『失 われた時 を求めて』 の登場人物 を. I.サ ン=ト ゥー ヴ ェル ト夫人 の 夜会場面 にお け る「mOnOcle描 写」 シャルル・ス ワ ンは monocleを 伴 って描 かれ る最. 描写す るとき,彼 は しば しば眼鏡 を用 いてきたことは. 初 の人物である。ス ワ ンとい う人物が最 も特徴的にあ らわされてい るのは芸術 へ の造詣 の深 さである。「イ. 先 の論考 で も既 に述べ たのだが,『 失 われた時 を求 め. タリアに行 くたびに私へ の土産 に傑作 の写真 を持 って. て』 を読 めば,と りわけその人物描写 において,我 々. きて くれ る」 とい うス ワ ンは,語 り手 にジ ヨッ トの複. はそ こにさまざまな眼鏡 の存在 を見つ けることがで き. 製画 を贈 り,ま た教会について,フ ェルメール につい. る。. て語 る。 しか し一方で,骨 董品 と絵画に熱 をあげ,コ. ダヴ イッ ド・ メ ンデル ソ ンは著書 ι r″ グ αんsJ'zん ブ ごιソ. Lι. r″ ι ソ ι ′ル∫θb―. ι だ j“ αgjん αjrι. レクシ ョン趣味 のあるスワンは単 なるデイレッタン ト にす ぎない とされ,フ ェルメール に関す る研究 も一向. 滅7 Mα κθ J P″ ∫ ′ “ い ス にお て ,ガ ラ とガラス 製 品 は 19世 紀 か ら 20世 紀. にまとめることがで きない。そ んな彼 の癖 は,「 生 き. にか け ての 文 学 の なか に しば しば現 れ た と述 べ て お. た人間 と美術館 の 肖像画 の類似 を求 め る」 ことで あ. り,眼 鏡 もそ こに含 まれて い る。 その著書 にお い て メ. る。彼 は女性 に対する好 みにも,同 じ趣味 を求める。 オデ ッ ト・ ド・ クレシー との恋 において,当 初オデ ッ. `な. jソ. 3). ンデルソンが「monoclcは 確 かに この時代 の特性 を示 の してい る。 」 とい うふ うに指摘 してい ることは大変興. トは彼 の好みの女 ではなかったが,ス ワ ンは彼女 にボ. 味深 く,mOnocleが 単 なるアクセサ リーや流行品,ま. ッテイチェリの 『エ テロの娘』 との類似 をみ とめ,彼. た実用的な光学機器 の一つである とい うだけでな く. 女 の と りこになる。そんなス ワ ンの 目を覆 っている眼. 当時 の時代 の特性 を反映 しうるとい う側面 を持 ち合わ. 鏡 とは,「 ス ワ ンは少 し近眼だったので,家 で仕事 を. せているとい うこの指摘 は大変興味深 い ものである。. 6)と ぃぅ する ときは眼鏡 をかけなければならなかった」. グ Pα Rθ bθ ″"の 〈monocle〉 の 項 を調 べ “ る と,プ ル ース トの 作 品 か ら引 か れ た引用 をそ こ に見. よ う に,近 眼 で あ る が ゆ え に,monocleな い し. ,. DJε ′ Jθ ん んαJrθ. J″. ,. lorgnonつ. をかける必 要があ った。そ して社交界 や夜会.

(2) 甲南女子 大学大学 院論 集 第 5号. 言語 0文 学研 究編 (2007年 3月. ). に出 向 く と きに は,お 洒 落 な mOnoclcを 掛 け た。 ま. が社交生活か ら解 き放たれた今 になつて,社 交生. た社交界 にお い て ,monOclcを 掛 け た ス ワ ンの 姿 は. 活全体が まるで連作 の絵画 の ような印象 をかれに リ 与 えたのである。. ,. オデ ッ トや社 交 人 た ち の 目に 〈chた 〉に映 ってい た。 こ の よ う に,な に よ り も ま ず ,ス ワ ン の monocle は,彼 の社交 人 と して の ダ ンデ ィズムの 象徴 となる。. この ように,オ デ ッ トとの恋 のために次第に社交界. また,ス ワ ン に は「monocleを は ず して レ ンズ を拭 紳 う」 とい う父親 ゆず りの癖 が あ ったの だが ,そ の 癖. か ら遠 ざか っていたスワンが,長 く続 いたオデ ッ トと. はス ワ ンの神経 質 な側面 を表 して い る。 当初 ス ワ ンに. て彼 が 目に したのは,「 連作 の絵画」 の陳列室 と化 し. 熱 をあげて い た よ うに思 われたオデ ッ トだったが ,恋. た社交生活その ものであ った。 スワンは「生 きた人間. の天 秤 はやが て逆転 し,今 度 はス ワ ンが オデ ッ トを熱 愛す る よ うになる。 しか しそ の恋 は ,ス ワ ンに とって. と美術館 の 肖像画 の類似 を求める」 とい うこの癖 を そ の頃専 らオデ ッ トをボ ッテ ィチ ェ リの『エ テ ロの. やが て苦 しみ以外 の なに もので もな くな ってゆ く。彼. 娘』 に喩 える ことに働 かせていたのだが,今 度 はスワ. は恋 か ら生 まれ る激 しい苦 しみ を感 じた時 ,反 射 的 に. ン特有 のその癖 を,社 交生活全体 に向ける。そ こでス. monocleを はず し,そ の レンズ を拭 い ,レ ンズ に付 着. ワンは社交界 に対 して,一 種 の客観的で冷ややかな視. した何 か を拭 い去 ろ う とす る。 そ の行動 はまるで ,オ. 点 を手 に入れる。後 に「スワンの恋」 のラス トで「サ. デ ッ トとの 日々 を ともに 「見 て」 いた ,ま た二 人 の 恋. ン=ト ゥー ヴェル ト夫人の夜会 に行 くことを決心 した. の模様 を「写 しだ して い た」 レンズその ものか ら,記 憶 を消 し去 ろ う とせ んばか りであ る。 ス ワンは愛 の イ. とい うこの事実 の なかに,な にか奇跡的 な ことを見出 ЮIと す とは思 つて もい なか った」 振 り返 るよ うに, こ. メ ー ジ,そ して オデ ツ トの イメ ー ジ を,「 レンズ を拭. のサ ン=ト ゥー ヴェル ト夫人の夜会 の場面 は,ス ワ ン. う」 とい う行為 に よつて消 し去 ろ う とす る。 しか し. に恋か ら覚めるきっかけを与 えた ことで も,こ の章 に. 何 も消 し去 る ことはで きな い。そ れは恋愛 にお ける ま. おいて重要な意味 を持 つ。つ まり,恋 の盲 目的病 に罹. が い物 の死 であ る。 この行為 は苦悩 ゆ えの ぐらつ き. っていたスワンが ようや く恋 の呪縛か ら解かれるきっ. 揺 らめ きであ るが ,ス ワ ンは オデ ッ トの恋が終 わる ま. かけを彼 に与 えるのが,こ のサ ン=ト ゥー ヴ ェル ト夫. で ,そ の行為 を続 ける こ とになる。. 人の夜会なのである。. ,. ,. の恋 の終焉 を予感 し,久 々に出向いたこの夜会 におい. ,. の 面 で切 って も切 れ な い 関係 であ った し,一 流 の社交. そ の 重 要 な夜 会場 面 の 導 入部 に,ス ワ ン に よる 「monocL分 析場面」日)が ぁる。 ここでス ワ ンは,社 交. 人 と しての ス ワンの外見 を飾 る ダ ンデ イズムの 象徴 で. 界 に訪 れて い る人物 た ちにつ い て,彼 らの monocle. もあ ったが それだけで はない。彼 の 眼鏡 はス ワ ンが オ. か ら様 々な印象 を引 き出 しなが ら,そ の姿 を皮肉 まじ. デ ッ トとの恋 で 発 生 した苦 しみ を消 し去 ろ う とす る. りに分析 してみせ る。サ ン=ト ゥー ヴェル ト夫人 の演. 「 レンズ を拭 う」 とい う行 為 に象徴 され る よ う に,彼. 奏室 に入つた とき, もはや彼 にとつてはそ こに訪 れて. の 「恋 の受難者」 と して の一 面 を象徴 す る重 要 な道具. い る古 くか らの友人さえも,絵 画の中の人物 に しか見. で もあ ったの だ。. えな くなる。 スワンにとつて それ までは彼 らの mon―. この よ うに,ス ワ ンに とつての 眼鏡 は,ま ず実用性. この よ うに,眼 鏡 に まつ わる特徴 的 な側面 を多 く持. Ode lま. 「相手が誰 であるかを見分けるための実用的な. ,美 的関係. つス ワ ンは,「 ス ワ ンの恋」 にお け るサ ン=ト ゥー ヴ ェ. しる し」 で あ ったが,今 で は mOnOcleは. ル ト夫 人 の夜 会場面 にお い て は,今 度 は 自身 の mon― Ocleの レンズ を通 して ,社 交界 の他 の社交 人たちを. のみで調整 され,顔 の線がほかのすべ て と切 り離 され て一人歩 きをは じめる。 また「スワンを取 り囲 んでい. そ の monocleに よって分 析 す る に至 る。そ の 場 面 で. るこの人 々の場合 は,多 くの者 の掛 けてい る mOnocle. は,プ ルース トが社交 人 を描写す る ときに用 い た,新. までが. たな象徴 と しての monocleの 存在 が浮 か び上が る。. てい るなと言 わせた ぐらいであ ったであろうが)今 で. ,. ス ワ ンはサ ン=ト ゥー ヴ ェル ト夫 人 の夜 会 に出 向 い た とき,社 交界 の 人 々の新 たな一面 を発見す る。. (以. 前 な らせ いぜ いス ワ ンに monocleを 掛 け. は,み なに共通する習慣 を意味す るものではな くなっ て,そ れぞれが一種 の個性 を備 えてい るようにみえる のだった。 」 とい う よ うに,彼 ら顔 は,mOnOcleと と. 生 きた人 間 と美術館 の 肖像 画 の類似 を探 し求め る. もに,一 種 の個性 を備 えてい る何 か特別なものに見 え. とい うそ の独 自の傾 向 は今 もなお , しか しよ り絶. て くる。 フロベル ヴ イル将軍 の monocleは ,「 卑 しい. え間 な く,よ り広範 囲 に働 い て い た。 つ ま り,彼. 顔 ,傷 のある,勝 ち誇 った顔 の瞼のあいだにはい りこ.

(3) 前田 美樹 :『 失われた時を求めて』における象徴 としての眼鏡. (2). んだ砲弾 の破 片」,ブ レオ ー テ氏 の monocleは ,「 祝 宴 の しる し」 であ り氏 のおひとよ しさを示す もの,小. 鼻立ちのはっきりした風貌 には,た しかに ド・パ ラ ン. 説家 の monoclcは ,「 心理探究 と容赦 の ない分析 の唯. とい えな くもない。老人の背後 には,住 まい とおぼ し. 一の道具」,フ ォレステル侯爵 の monocleは 侯爵 の顔. い古 い城館があ って,そ のまわ りに木 の枝が,に ょき. に「哀調 を帯 びた繊細 さ」 を与 え,婦 人たちか ら「深. にょき生えてい る。 」nと ぃ う解釈 を示 してい る。 この. い恋 の悩 みに苦 しむこともある人」 だと思わせ ,サ ン. ように,ブ レッソンの解釈 では「厳格 な目」 と,吉 川. ンデ氏 の monocleは 「人工的な魅力 と洗練 された. 氏 の解釈 では「 目鼻立 ちのはっ きりした風貌」 とい う. =カ. シー氏 の「鯉 のような大 きな顔」 を想わせ る面がある. 官 能 を夢 見 させ る もの」,パ ラ ンシーの monocleは. ふ うに,ど ちらも目について言及 してい るのだが,こ. 「水族館 のガラスの断片」,に 喩 えられる。つ まりmOn_. の二 人 の解釈 をみて も,「 不正」 の図 の人物 の顔 に何. Ocleは ここで,「 一連 の絵画」 の一 つ のモチ ー フとな. らかの「眼鏡」が掛 けられてい るとい う記述 はない。. った社交人 たちに,個 性 を与えるもの として,象 徴的. 実際に「不正」 の図の複製 をみて も,プ ルース トが ど. に描写 される。. んな意図 を持 って,パ ラ ンシー氏 の monocleを 喩 え. こ う して monOcleは 訪 問客 に対す るス ワ ンの態度. るためにこの絵 を用 いたのか とい うのは,あ ま りぴん. を明確化す るため に,社 交人 たちの「容貌」,つ ま り. と来 な い。私 の 解釈 で は,「 不 正」 の 図 の 人物 の 目. 彼 らの名刺 の働 きをする「外見」に従 って選 びだされ. は,見 開いてい るようにも閉 じてい るようにもみえる. そ して社交人 たちに「個性」 を与 えてい るのである。. が,は っ きりとした目元 の状態 は確認 で きないのが実. これ らの喩 えは社交人たちに個性 を与 えるだけではな く,monocleと い う道具 のその他の特′ えば レン 性. 際 である。 となれば,こ の monocleを 用 い た社交 人 分析 の最後 に「不 正」 プル ース トが ジ ョッ トの「不. ズの「裏 と表」 とい う レンズの持 つ 「両義性」 で あ. 正」 の図 を持 って きたとい うこと自体が注 目すべ き点. り,社 交界 での必需品である「装飾品」 としての側面. である とい うことが言 える。プルース トがジ ョッ トの. であ り,「 見 る,見 られる」 の関係性 で あ った り,ま. 「寓意像」 と出会 ったのは,ラ スキ ンの影響 か らであ. た心理探究 のための「分析 の道具」 であるとい う,さ. ったことは,す でに周知 の事実 であるが,プ ルース ト. まざまな機能 をも同時 に持 つ もの として提示 される。. が パ ラ ンシー氏 の mOnOcleを 描写す る ときに,ジ ョ. そ して このス ワ ンによる mOnOcle分 析 にお い て最. ッ トの「不正」 の図 を比喩 に用 いたのには,ス ワ ンの. も注 目したいのは,パ ラ ンシー氏 の,水 族館 のガラス. 美学 の裏側 に,ラ スキンの影があることを示す ためで. 全体 を想像 させ るとい うそ の monocleの 断片が,「 パ ドヴアのジ ョッ トの『悪徳』 と『美徳』 の崇拝者 であ. あ ったのではないか と考 える。恋 に破れた ことで,客 観的な視点 を手 に入れたかに思われたス ワンは,サ ン. ,. ,例. るスワンに,あ の「不正」 の図を思 い起 こさせた」 と. =ト. い う一節 である。. 人物描写で,ス ワ ンの美学 の 中に,一 つの到達点 を見. で はなぜ ,こ のパ ラ ンシー氏 の monocle描 写 が 興 味深 いのか。 この「不正」が どの ような絵 であるか. 出 したかの ように思 えるのだが,そ こに同時に,ラ ス. ,. その解釈 Pα. jれ. 12)を. 探 してみ る と,B。 ブ レッソ ンは αJjα ん た∬ げ ′ んιRθ 4α jssα んε ι国で「 「不正」 は男盛 りのが I′. ゥー ヴェル ト夫人 の夜会 における monocleに よる. キ ンの美学が持 ち出されることによって,ス ワ ンの美 学 の限界 ,つ まり「偶像崇拝」 の罪 をも,そ こに見出 す のである。真 の芸術家 にはなれないス ワ ンの美学 の. っ しりとした男 で,裁 判官 の服装 をし,左 手 に刀の柄. 限界 は,こ の場面 にお い て も,明 らか になるのであ. を握 りしめ,爪 の伸 びた右手 で二重の鋲 のついた槍 を. る。 このように,偶 像崇拝 の罪 を犯 しなが ら社交人た. 掴 んでいる。冷酷 な目で厳格 に警戒 してい るその態度. ちをご く表面的 な印象 を語 るとい うことのみに終始す. は,巨 人の ような力 で もって餌食 に飛 びかかろ うと. るスワンの美学 を象徴す るため に,「 不 正」 の 図が用. 抜け目な く身構 えた姿 である彼 は,上 の玉座 に座 って. い られてい るとすれ ば,こ れには,ま だ表面的 な印象. いて,風 に揺れる高 い木 々の上 にそびえ立 っている。. か ら物事 か ら受け取 ることがで きないでい るとい うス. 下 の方では彼 の下役 たちが,一 人の旅人の衣 をはぎ取. ワンの美学その ものを,皮 肉 っているとい うふ うに し. してい る。 」 とい う解釈 を示 して い る。 この. か思えない。先 に挙げた著作 で,吉 川一義氏 は「芸術. 解釈 は,「 不正」 の図の見 たままをその まま言葉 に し. と現実 とを混同 して しまう態度 を,プ ルース トは芸術. てい るとい える。 また,吉 川一義氏 は著書 『プルース. 上の 「偶像崇拝」 と呼 んで繰 りかえ し批判 していた。. ト美術館』 において,「 画面 の中央 には,『 不正』 をあ. 『失 われた時 を求 めて』 にあっては,恋 愛 のほんの一. らわす老人が座 っていて,そ の意志 の塊 のような,日. 場面 にも,そ うした挿話 の成 り立 つ芸術上の根拠 まで. ,. って,殺.

(4) 文学研究編 (2007年 3月. ). い )と が封 じこまれているので あ る。 」 述べ てい る。つ ま り,こ の「monocleに よる社交人の分析」 とい うほん. 高 く,や せ て い て ,ひ よろ長 い首筋 に頭 を誇 ら し. の一場面 において も,ス ワンの態度 の 中に,ラ スキン の美学 を下敷 きとする,芸 術上 の根拠がふ くまれてい. しまった よ うに,皮 膚 をブ ロ ン ドに,髪 を金色 に 輝 かせ なが ら,鋭 く突 き刺 す よ うな 目を した一 人. る とい える。そ して さらに,プ ルース トが,「 見 る」. の青年 が通 るの を私 は見 た。 まるで男 の着 る もの. ことにおいて,結 局 は生 きた人間 と美術館 の 肖像画の. とは私 には思 えない ような しなやかで白い生地の. 類似 を求めることに終始 してい るスワ ンを用 いて批判. その薄 さが,食 堂 の涼 しさと同時に外 の暑 さと天. しているのが,ま さにこの「偶像崇拝」 の罪なのだ。. 気 のよさを感 じさせる,そ んな服 を着 て,彼 は足. くもたげ ,ま るで太陽 の す べ ての光線 を吸収 して. 早 に歩 い て い た。片方 の 目か ら mOnOcleが た え ロ ず はずれ落 ちるそ の 目は,海 の色 を して い た。. Ⅱ.『 花咲 く乙女 たちのかげに』 における サ ン=ル ー の最初 の登場場面. この よ う に,サ ン=ル ー の最 初 の 登場場 面 は バ ル ベ ッ 形 の な い 「水」,「 光」,「 空 気」 三 つ の 物 質 は,19. クの 景 色 と溶 け込 む よ うに,〈 海 〉や 〈青 〉や 〈ブ ロ. 世紀後半 に,絵 のモチ ー フ と して出現 した とい うの は. ン ド〉や 〈金色 〉とい うもの を含 み なが ら描写 され. 周知 の事実 であ る。 バ ルベ ックの導 入部分 で は,電 車. グ ルマ ン ト家 の若 い く貴公子 〉と してふ さわ しい ,と. で バ ルベ ックに向 か う語 り手が様 々 な ガラスにつ いて. て も輝 か しい もので あ る。 この最初 のおめみ えです で. 夢想す る。 このバ ルベ ックの導 入部分で徐 々 にわれわ. に,彼 はグルマ ン ト家 の貴公子 と して の しなやかで気. れは 「ス ワ ンの恋」 の悪夢 か ら覚 め ,電 車 とともに. 品 の あ る強烈 な印 象 をわれわれ に与 えるのであ る。サ. ,. 次 第 にバ カ ンス地 で あ るバ ルベ ックヘ と導 かれてゆ く ので あ る。 ここ に繰 り広 げ られ る ガ ラ ス の 描 写 は. ,. ン=ル ー の描写 は この よ うに続 く。. ,. 「水」 や 「光」 や 「空気」 を象徴 と した印象派 を思 い. 彼 はす ばや くホテルの前 を建 物 に沿 って横 切 つた. 起 こ さず に は い られ な い。 も しも「 コ ンブ レ ー」 や. が ,ま るで蝶 の ように彼 の前 を飛 び 回 る monocle. 「ス ワ ンの 恋」 を含 み ,そ の 冒頭 は 眠 りの シー ンで 始. を追 い か け て い る よ うだ った。彼 は浜辺 か らや っ. ま り目覚 めの シ ー ンで 終 わ る とい う「ス ワ ン家 の 方」. て きた。 そ して ロ ビーの ガラス 窓 の半分 の高 さま. を 〈影 〉と形容 で きるな ら,わ れわれは,バ カ ンスの. で 満 た して い る海 は,彼 の背景 とな り,彼 の全 身. シー ンや思春期 を含 む 「花咲 く乙女 た ちのか げ に」 を. 像 を浮 き立 たせ ,ま るで現代 生活 の最 も正確 な観. 〈光 〉と形容す る こ とがで きるだろ う。. 察 を どの点 にお いて もご まかす こ とな く, しか も. 「花 咲 く乙女 た ち のか げ に」 の 第 二 部 にお い て ,わ. モデルのため に,ポ ロや ゴル フの芝生 ,競 馬場. ,. れわれは,世 紀末 の 海水浴場 の風景 を見 る ことがで き. ヨ ッ トの桟橋 とい った適切 な環境 を選 んで ,プ リ. る。 そ して また,こ の章 で は,主 要 な登場 人物 の ほ と. ミテ イブ派 が風 景 の前面 に人物 を描 い て い るあの. ん どが描 かれ る。 それ はサ ン=ル ー で あ り,花 咲 く乙. 画面 の現代版 を作成 した のだ と画家 たちが主 張す る,そ んな 肖像画 だった。賂. 女 た ちであ る。彼 らの最初の登場場面 は この章 の特徴 で もあ るが. 1°. ,な かで も,そ の monocleの おか げ で. ). ,. 最 も印象 的 な登場場面 が描 かれ るのがサ ン=ル ー で あ. ここで は,先 に引用 した箇所 と同様 に,サ ン=ル ー 自. る。. 身 は海 と比 較 され る。 サ ン=ル ーの 際立 った外 見 の な. サ ン=ル ー は生 粋 の グ ルマ ン ト家 の一 員 で あ る。語. か で ,語 り手 の 目 を惹 い た ,彼 の monocleは ,〈 蝶 〉. り手 は彼 とバ ル ベ ックの 海 岸 で 出会 う。次 に 示 す の. と形容 され ,「 た えず はず れ 落 ち る」,「 ひ らひ ら して. は ,「 花 咲 く乙女 た ち のか げ に」 の 第 二 部 に描 か れ る. い る」,「 飛 び跳 ねなが ら逃 げ てゆ く」,「 跳 んだ りはね. サ ン=ル ーの最初 の登場場面 であ る。. た りして い る」 とい うそ の躍動 的 な動 きの 中に,若 い フ レッシュ な印象 も含 み ,「 活動 的 な若者 」 とい う印. あ るひ どい暑 さの午後 ,黄 色 くな った カー テ ンを. 象 を我 々 にあたえる。印象的 な動 きを見 せ る これ らの. 閉 めて ,海 の青 さの まばた きをち らち らとその隙. monocle描 写 は,こ の よ うに,そ の最初 の登場場 面 で. 間 か らのぞかせ なが ら,外 の 日差 しをさえ ぎって. す で に,太 陽 の光線 や海 と同 じように,彼 の シ ンボル. うす ぐら くしてあ るホテ ルの 食堂 に私 は い たのだ. となって い た とい う こ とがで きるであろ う。 この よ う. が ,浜 辺 か らホテ ル に通 じる中央 の通路 を,背 が. に して ,monocleは サ ン=ル ー を象徴 す る。 つ ま リサ.

(5) 前田 美樹. :『. 失われた時を求めて』 にお け る象徴 と しての眼鏡. (2). ン=ル ー は この 章 の爽 や か な雰 囲気 を含 んで い るの で. バルベ ックにおいては,「 語 り手」 や 「サ ン=ル ー」 や. あ る。 また ,サ ン=ル ー は 海 を背 景 と して ,ま るで プ. 「ブロック」,あ るいは「花咲 く乙女 たち」,な どが主. リ ミテ イブ派 の絵 画 の よ うだ と語 り手 に は感 じられ る。 そ して また,海 を背景 に し,海 と解 け合 う よ うな. 役 である。「花咲 く乙女 たちのか げに」 にお い て,語 り手 はエ ルスチール と出会 うのだが,今 度 は彼 が,語. サ ン=ル ー描 写 は. り手 にとつての新 しい芸術 の仲介者 となる。 この出会. ,. い は語 り手が独 自の芸術観 を発見 してゆ く上で も重要 い ま彼 (エ ルスチ ー ル)が まわ りに持 ってい る海. な ことであ った。 こうして語 り手 は,ス ワ ンのデイレ. の絵 の 中で最 もよ く用 い られて い る隠喩 は,ま さ. ッタン トな美学 に しば し別れ を告げ るのである。「ス. に,陸 と海 とを比 較 して両者 の境界 を ことご と く. ワ ンの恋」 とは反対 に,「 花咲 く乙女 たちのかげ に」. n 取 り去 って しまうものだった。. においては,新 しい側面があ らわれる。. とい う よ うに,後 に語 り手が エ ルスチールの作 品 を前. 私が通過 しつつ あ った馬鹿げた年齢 の特徴 は一一. に して抱 く印象 に も似 てお り,エ ルステ ー ル 的方法 を 予告 させ る もの と言 えるか もしれ ない 。 この よ うに. 少 しもつ まらない年齢 とい うもではな く,む しろ とて も豊かな年齢 なのだが一―知性 に相談 しない. ここで ,サ ン=ル ー の 人物描 写 が ス ワ ン に よる人 物描. ことであ り,ま た人 間の些細 な特質 もその人格 の. 写 同様 に,二 つ の monocleを め ぐる人物 描 写 の どち. 不可分な一部 を成 してい るように見 える,と い う. らもが ,あ る種 の「絵 画」 に喩 え られ る こ とは,単 な. ことだった。す っか り怪物 と神 々 に取 り囲 まれ. る偶 然 の一 致 で はない だろ う。. て,殆 ど平静 を知る ことが ない。 この頃 にやつた. ,. 「ス ワ ンの 恋」 にお け るス ワ ン に よる monocle描 写. 振 る舞 いのほとんどどれ一つ として,後 になって. と,「 花 咲 く乙女 たちのか げ に」 にお け るサ ン=ル ー の. で きたら取 り消 したい と思わないようなものはな. monocle描 写 との 間 には決定 的 な違 い が 存 在す る。そ. い。 しか し反対 に,人 が名残惜 しく思 うべ きなの. れは,そ の描写が 一 体誰 の視 点 で行 われたのか とい う ことで あ る。 つ ま り,一 方 の描写 はス ワ ンの視 点 に よ. は,か つて 自分 にそのような振 る舞 い をさせた自 発′ 腔をもう持 っていないことだろ う。後 になると. って行 われ , もう一 方 の描写 は,語 り手 の視点 に よっ. 人はより実際的で,社 会 のほかの部分 と完全 に一. て行 われ た とい う こ とで あ る。 わ れ わ れ は す で に. 致 した形で事物 を見 る よ うになるのだが,し か し,青 年期 こそが,何 かを学んだとい う唯一の時. ,. 「ス ワ ンの 恋」 にお け るス ワ ンに よる社 交 人 た ちの描 写 をみ た。 それ らは,〈 芸術 愛好 家 〉と しての 視 点 か. 創 期 なの で あ る 。 ). ら行 われた もので あ った。確 か に,ス ワ ンは語 り手 の 告す る よ うな人物 で あ った。語 り手 を芸術 の世界 に導. 「何 か を学 ぶ 唯 一 の 時期」 で あ る「青 年期」 にお い て,こ のバルベ ックの地で,語 り手 はエルスチール と. い たのは,ス ワ ンだ った。語 り手 は「ス ワ ンが い なけ. い う新 たな芸術 の師 を得 ,こ の出会 い によって,語 り. れば ,私 の両親 は私 をバ ルベ ックに行 かせ よ う とい う 考 え を決 して持 た なか った だ ろ う。 (0・・)も しス ワ ン. 手 は「た とえば人生の美 とい うい わば意 味 の ない言 葉 ,芸 術以前 の段階 にスワンが とどまっていたのを. が私 にバ ルベ ックについ て話 さなければ ,私 はアルベ. 私 は見 た」 とぃ ぅ ょ うに,語 り手 は,ス ワ ンが真 の. ルチ ー ヌ も,ホ テルの食堂 も,グ ルマ ン ト家 の 人 々 も 述 べ て い る よ う に,ス ワ ン. 芸術家 ではな く,「 芸術以前 の段 階」 にとどま り,そ れ以上前 に進 もうとしなか つた とい う,ス ワ ンの芸術. のおか げ で 若 い語 り手 は,バ ルベ ックを発見 し,ア ル. 観 の限界 をはっきりと認識するに至る。 このように青. ベ ルチ ー ヌ との恋 を予 感 し,グ ルマ ン ト家 の 人 々 に出 会 った。 この よ うに して ス ワ ンには語 り手 の先駆者 と. 年期 に達 した語 り手 は,ラ スキンの美学 を下地 とした スワン的「偶像崇拝」 の段階 を乗 り越 え,エ ルスチ ー. しての役 割 を担 ってい るの で あ る。 しか し,「 ス ワ ン. ルを新 たな仲介者 としなが ら,徐 々 に彼 自身の美学 の. の恋」 と「花 咲 く乙女 たちのか げ に」 の世界 は,全 く 違 ってい る。「花 咲 く乙女 た ち の か げ に」 には,ス ワ. 発見 を模索 してゆ くのである。その流れを汲 む事柄 の ひ とつ として,こ のサ ン=ル ーの最初 の登場場面 にお. ンの 姿 は もはや な い。「ス ワ ンの 恋」 で の 主 要 な役 割. い て,あ えてプルース トは語 り手 にサ ン=ル ー描写 に. を演 じた ス ワ ンの 影 は,「 花 咲 く乙女 た ちの か げ に」. monocleを 用 い させなが ら,ま た彼 をある種 の絵画 に. にお いては,そ の存在感 は薄 い 。 ス ワ ンにかわ って. 喩 えさせ なが ら,ス ワ ンがか つ て行 った よ うな方法. 先駆者 であ った と同時 に,語 り手 の そ の後 の経験 を予. 20と. 知 らなか っただ ろ う。 」. ,. ,. 2カ.

(6) 甲南女子 大学大学 院論集 第 5号. 文学研 究編 (2007年 3月. ). で,登 場人物 たちを描写 させてい るのではないだろう. ヴに反論 す る』 か ら意 図 して きた美 的教育 の側面 が隠. か。つ ま り,こ の二 つ の monocle描 写場面 か らは. され て い るので あ る。 そ して そ こ に伴 わ れ るの が. ,. 「ス ワ ンか ら語 り手へ」 とい う,語 り手が ス ワンの美 学 を乗 り越えて行 くとい う,美 的成長 の過程 を示す も. ,. monocleで あ り,lorgnonで あるといった「眼鏡」で. あるのだ。. のの一つ としての側面 を持 っていると言えるのではな 江 ヽ 1. いだろ うか。. )「 monocL」 は 日本語 で片眼鏡 ともい われ る単 一 の レン. ズ か らな る一 種 の 眼 鏡 の こ とで あ る。本 論 考 で はす べ. び. 結. て の 表 記 を フ ラ ンス 語 表 記 mOnOcleと す る。 テ クス ト. 『サ ン ト=ブ ー ヴに反論 す る』 にお さめ られて い る 「シ ャルダンとレンブ ラ ン ト」 とい う美術批評 にお い て,プ ルース トは詳細 にシャルダンの「 自画像」 の分 析 をしてみせた。 この「 自画像」 において,年 老 いた シャルダンは 自身を,鼻 眼鏡 を掛けて描 いた。 このシ. は , Marcel Proust,A′ α″θ ヵ ヵ ′′ ρs ρθ 〃 ,Galli― `κ `グ `“ “. mard,Bibliothё que de la P16iade,4 vol.,1987-1989.を 使. 用 した。 また原文 での ペ ー ジ番号 は作 品名 を R″ ,二 二 〃ノ ,ノ y, と略記 したあ とにペ ー ジ番号 を入れ る。 なお ,. 引用文 中 の 訳 お よび傍 線 に よる強調 はす べ て 筆 者 に よ る ものであ る。. 2)2003年 度 甲南 女 子大 学 研 究 紀 要. ャルダンの「自画像」 は,眼 鏡 の歴史や社会史を扱 っ. 文 学 ・ 文 化 編 ,No。 40.;「『失 わ れ た 時 を 求 め て 』 に お け る 象 徴 と して の 眼. た ものに もたびたび引用 される眼鏡史的にも有名な絵. 鏡 」 を参 照 の こ と。. 画である。そのシャルダンの「 自画像」 をプルース ト がそ こで取 り上げてい るとい うことは興味深 い。そ し て 1920年 のヴォ ドワイエ のアンケー トでお気 に入 り の絵 の選択 を求め られた時 にもプルース トはこの 「 自 画像」 を選んでい る。保苅瑞穂氏 によれば,プ ルー 2神. ス トのシャルダン論 は,「 きわめて啓蒙的な意図 をも った画家論」 であった とい う。 このような背景 も考 え てみれば,『 失 われた時 を求めて』 における眼鏡分析 は,『 サ ン ト 0ブ ー ヴに反論す る』 にお い ての シャル. 3)Davd Mcnddson,L`ソ ′ り,7jlイ だ ルηαgj″ αjr` グ. ルsθ ″. S dυ. グレんs. ソ. `rr``′ `′ `r″ Prθ ′s4 Paris, Jos6 Corti,. `Marc`′. 1968.. 4)の .ε. j′. θr″ .David Mendelson,Lθ ソ. ′ θ s θbJi`′ s. dυ. ソ θrr`. `′. g,7oα jr`グ. グαη∫′ ′ t,ソ '夕. `rs,777α. `Marθ `ι. Prθ 夕 st p.44。. 5)ι ′ Rθ b`r′ ム Robert,Paris,2004. `Pθ 6)RTP,ム p.242.《 Comme la vue de Swann 6tait un peu j′. bassc,il dut se r6signcr a sc scrvir de lunettes pour travailler chez hi》. 7)「 lorgnon」 は鼻眼鏡で,複 眼眼鏡である。. 8)Voir,RT,ム. p.34.《 Il fait aussi moins souvent ce geste. ダンの「 自画像」 に対す る言及が下敷 きになっている. qu'il a tout h fait cornlne son pё re de s'essuyer les yeux et. とい う可能性 も考 えられる。その時の発見をこれ らの. dc sc passcr la main sur lc front.Ⅳ loi jc crois qu'au fond il. 描写 に応用 させて,こ こで取 り上げた二 つの monocle による人物描写場面な どにみ られるように,ス ワン ,. ない し語 り手 の美学やその成長過程 を,彼 らの眼鏡 を. n'aime plus,r6pondit mon grand―. pё re.》. 9)R7P。 , ■, p.317.La disposition particuliё. re qu'il avait. tO呵 Ours euc a chercher des analogies entre les etres vivants. et les portraits des mus6es s'cxcr9ait encore mais d'une. 掛けた 肖像画を比較す ることによって,表 明 しようと. ね9on plus constante ct plus g6n6rale;c'est la vie mondainc. 試 み た の で は な い か。Lた. tout entiё. D夕. れ ε 夕ごグι ε z S″ α刀. re, rnaintenant qu'il en 6tait d6tach6,qui se pr6sen―. ttθ. ′において Luc Fraisseは 「ボ ツテ イチ ェ リと グθPrθ ∫ “ の類似 のためにオデ ッ トを愛す ることは,そ れはプル ース トが ラスキ ンに対 して避難 している偶像崇拝 の罪 を犯 してい るとい うことである。 しか しその比較は美 的な教育 も同様 に含 んで い る。 」 と指摘 してい る。 こ 2‖. tait)lui comme une suite de tableaux.. 10)/bjグ .,. p.375。. il 《. n'6tait pas loin de voir quelque chose de. providentiel dans ce fait qu'il se fOt d6cid6≧. aller a la soir6e. de Mme de S」 nt― Euvcnc》 11)ノ わjグ., pp.320-322.. 12)ル jグ.,p.1234.《 1.Ce personage figure dans l'Aρ θ Jθ gjι. こで注 目したいの は,偶 像崇拝 の罪が同様 に「美的な. ′s de Giotto(voir n.3,p.80)il repr6_ ル sy′ ε θ s′ rル s降 ″ “. 教育」 も含んでい るとい うところである。 プルース ト. teau fo■. が意図的にスワンを語 り手 の先駆者 として美 を語 らせ る ことは もちろん,そ の美学 を考察す る ことは,語 り 手 にとつて,よ き教師,ま たは反面教師 になる。それ と同時 に,読 者 われわれにとって も,こ れ らの描写 を 考察する ことは,美 的な教育になっているのではある まいか。 この比較 には,プ ルース トが 『サ ン ト=ブ ー. sente un gouverner ittuSte,assis devant le portail d'un cha―. au milicu d'une bret(voir R.Peyre,Pα あ ′ ′形 ¨ `θ. ′,肋 ι イ r′ ″ s,coll.Les Villes d'art c616bres)。 》 はプレイ “ ア ッ ドの注 に よる解 説。 この「不 正」 の 解 説 は,「 慈 愛」 とは違 い, しご く簡単なものにす ぎない。 2ι. 13)Bernard Bercnson, T/7ι 5α. ″ε. rr6J′ jα. 4 Pα jれ ただ. `,ThC Phaidon Press,1952,pp.45-46。. ιRι れαjS― げ 刀り 《`IttustiCe'is a. powerfuHy― built man in the vigour of his years, dressed in the costume of a judge,with his left hand clenching the hilt.

(7) 前田. 美樹. :『. 失 われた時 を求 めて』 にお け る象徴 と しての眼鏡. (2). of his sword, and his clawd right hand grasping a double―. leur personnalit6. Tout entour6 de monstres et de dicux, on. hooked lance.IIis cruel eye is sternly on the watch,and his. ne conna↑ t guё re le callneo II n'y a presque pas un des gestes. attitude is one of alert readiness to sprig in an his giant. qu'on a faits alors, qu'on ne voudrait plus tard pouvoir. force upon his prcy.IIe sits cnthroncd on a rock,overtower―. abolir. Mais ce qu'on devrait regrettcr au contraire, c'est de. ing the tall waving trees, and below hiln his underlings are. ne plus poss6der la spontan6it6 qui nous les faisait accom―. stripping and murdering a wayfarer.》. pliro Plus tard on voit les choscs d'unc fa9on plus pratiquc,. 14)吉 川一義,『 プルース ト美術館』,筑 摩書房,1998.p. 52.. cn pleine conformit6 avec le reste de la soci6t6,mais l'ado― lescencc est le seul temps ot l'on ait appris quelquc chosc.》. 15)乃 jグ .,pp。 9-10。 16)し ば しば 指 摘 され る よ う に ,プ ル ー ス トの 人 物 た ち は ,し ば しば 印 象 的 な最 初 の 登 場 場 面 を持 って い る 。Jean Rousset,《 Le statut naratif d'un personnage: Swann。 Cα ttjι だ Marθ. Prθ. s′. Z Etudes proustiennes 2,Paris Galli―. “. `′. 》in. mard,1975,pp.69-83.《 Les premiё re. rencontres》 in Rι θ ん r¨ ι. 22)乃 j″ , p.207.《 Et ainsi la beaut6 de la vie,mot en quelquc sorte d6pourvu de signification, stade situ6 en de9a dc l'art et auquel j'avais vu s'areter swann》. 23)保 苅瑞穂,『 プルース ト・印象 と隠喩』,筑 摩書房. ,. 1982.. 24)Lj″ D"θ 夕ιル εttι てS″ αん4ル P“ ′sち p.77.. ε ん ιグ sち Paris,Seuil,1980,pp.40-54.を 参照。 `P“ “ ,Ⅱ 。 ,p.88.《 Un aprё s_midi de grande chaleur j'6tais. BIBL10GRAPHIE. 17)RTP。. dans la sallc a manger de l'hOtel qu'on avait laiss6c a denli dans l'obscurit6 pour prot6ger du soleil en tirant des rideaux. Sα. qu'H jaumssdt et qd par Lurs htersdces hissdent dttnoter le bleu de la mer,quand dans la trav6e centrale qui allait de. la plage)la routc,jc vis,grand,mincc,le cou d6gag6,la tOte hautc et iё. Bcrcnson(Bcrnard),動 ιttJjα ん. rement port6e,passer un jeune homme aux. yeux p6n6trants et dont la peau 6tait aussi blonde ct les. Pα jれ ただ げ. 動 ιRι καJs―. んει , The Phaidon Press,1952.. Fraissc(Luc), Lj″. 夕どグ′θん D“ θ. `zS″ de Daniel Bergez,Paris,Dunod, 1993.. ακん,sOuS la direction. Marly(PicFe), ιιs′ 夕れι′ ′ ιs, TeXtes dc Paul Bi6rent,Jean― Claude Margolin et Georges Perec,Paris,IIachette, 1980.. Mendelson(David),L`ソ ιr″. Jι. s θbJiι ぉ dン ソ ιrrι あ れsJ'“ んJ―. `′. cheveux aussi dor6s quc s'ils avaient absorb6 tous les rayons. ソ. `だ. du soleil.Vetu d'une 6touffe souplc et blanchatre comme je n'aurais jamais cru qu'un honllnc eOt os6 en porter, ct dont la nlinceur n'6voquait pas moins que le frais de la salle a. sち. “. PariS,JOs6 Corti,1968。. Rousset(Jcan),《 Le statut naratif d'un personnage : θ s ρ s′ れ れ ι s J P“ s′ ZЁ ′グ Swann》 ,in Cahiers Mα κθ “ “ ““ jι. 2, Paris,Gallirnard, 1975,pp.69-85。. Proust.A 《. manger, la chalcur et lc beau temps du dchors, il marchait. 宙teo Ses yeux,de l'un desquels tombait h tout moment un monocle,6taient de la couleur de la mer.》. 18)ル Jグ.,p.89.《 Il. ルηαgj4α jrι グιMarθ ιJ Prθ. la recherchc du temps perdu》. ― ε α″ Jθ ん一Essα Js C′ α ング. s“ r. ルs. s′ rlrε ′r`s. , in Fθ r“. ``′. Sjgん ′¨. θ Jι a ′ Jtt`比 ガrι ∫dc COκκ J′. “ PariS,JOs6 Corti,1986,pp.135-170。. `ム. traversa rapidement l'hOtel dans toute sa. largeur,semblant pour旦 りivre SOn ttΩ 里9Cle qul y911lgeait devant lui comme un papi1lono II venait de la plage,ct la. Tadi6(Jean― Yves),Mα κ. sち. `JP″ “. mard, 1996.. Bjθ gr9ρ. 力jι ,Paris,Galli―. Vitols(Astrid),Djε ′ Jθ κ んαJ″ ル sJ“ κ たs― 題 sゎ rj9“ ιι′ツ ¨ “. `′. mer qui remplissait jusqu'a mi…. hauteur le vitrage du ha11 lui. hisait un fond sur lequel il se d6tachait en pied,comme. わθJj9"θ グ れθttcr ε ′r`J,Paris,Editions Bonneton,1994. “ '“. A4α ″S`S 浅 ″ノθχJθ んss“ r Pκtts′. dans certains portraits ot des peintres pr6tendent, sans. S ι 4ノ ι (ル ノι "パ. tricher en rien sur l'observation la plus exacte de la vie ac―. ing,Ellipses, 1993.. tuelle,Inais cn choisissant pour leur modё. J′. J′. 一 A J'θ. わ″. “. グιsノ ι れ “ `S. ραr′ j`),Paris,Ё ditiOns market―. タ χj2“ ι. le un cadre appro―. pri6, pelouse dc polo, de golf, champ de courses, pont de. ARTICLES. yacht, donner un 6quivalent moderne de ces toiles o) les. Lacretelle(Jacques dc),《 Les cleR de l'ocuvre dc Proust》. prilnitifs faisaient appara↑. plan d'un paysage。. tre la figurc humaine au prenlier. Lα. “ “ 1923,pp. 198-203.. 》. 19)乃 j″ ,p.192.《 Une. ιJJ`Rι ソ ιFrα んfα jSι ,Tome Nθ ソ. ,加 Nθ ソιJJι “ れfα jsι ,TOme XX,Paris,Gallilmard,1923,pp.66. Soupault(Philippe),《 Marcel Proust a Cabourg》. de ses m6taphores les plus fr6quentes. dans les marines qu'il avait prё. ,. XX,Paris,Gallinlard,. s de lui en ce moment 6tait. justement celle qui comparant la teⅡ c a la mer,supprimait. Rι ソ タιFrα. -68。. 》 20)RT。 , ry, pp.494-495。 《Sans Swann, mes parents. 饗 庭 孝 男 著 ,『 芸 術 の 祝 祭 』一モ ネ か ら プ ル ー ス トヘ ,小. n'cussent jamais eu l'id6e de m'envoyer)Balbec..。. 保苅瑞穂 ,『 プルース ト・印象 と隠喩』,筑 摩書房,1982. 吉川 一 義著 ,『 プル ース ト美術館』一『失 われ た 時 を求 め. entre elles tOute d6marcation。. Si. Swann nc lrl'avait pas par16 dc Balbec,je n'aurais pas connu Albertine,la salle a manger de l'hOtel,les Guermantes。. 21)R″ 。 Mais ,I,pp.89-90。 《 ridicule quc je traversais一. 》. la caract6ristique de l'age. age nullement ingrat,trё. s tcond. 一 est qu'on n'y consulte pas l'intelligence et que les moin― dres attributs des etres semblent faire partie indivisible de. 沢 書 店 ,1991.. て』 の画家 たち,筑 摩書房 ,1998。 吉 田城編 ,『 テクス トか らイメー ジヘ』文学 と視覚芸術 の あいだ,京 都大学学術出版会,2002. リチ ャ ー ド・コー ソ ン著 ,梅 田晴夫訳 『メ ガ ネの文 化 史』,八 坂書房 ,1999。.

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