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スマートフォンの照度センサを用いた知的照明システムの基本的検証

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Academic year: 2021

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第140回 月例発表会(2012年12月) 知的システムデザイン研究室

スマートフォンの照度センサを用いた知的照明システムの基本的検証

東 陽平

Yohei AZUMA

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はじめに

我々はオフィス環境において知的生産性と消エネル ギー性の向上を目的とした知的照明システムの研究を行 なっている1).知的照明システムでは,各オフィスワー カが要求する明るさ(照度)を実現するために照度セン サを用いている.知的照明システムで用いている照度セ ンサは有線式や無線式のものなど様々な形式が存在する. 一方,近年では高機能な携帯電話としてスマートフォ ンが普及している.スマートフォンには様々なセンサが 搭載されており,照度センサも内蔵されている.そこで, 知的照明システムの照度センサとしてスマートフォンを 用いることを考える.これにより,スマートフォンに内 蔵された様々なセンサを用いた新たな制御方式の提案, 容易な機能追加,また照度センサの導入台数削減による コストの低下が可能となる.本研究では,知的照明シス テムにおいてスマートフォンに内蔵されている照度セン サを用いた照度制御が可能であるか基本的な検証を行う.

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知的照明システム

知的照明システムは,照明,照明制御装置,照度センサお よび電力センサから構成されており,これらのハードウェ アをネットワークで接続している.ネットワーク化によ り,照度センサおよび電力センサからの情報を取得する ことができる.制御アルゴリズムには山登り法を基盤と した適応的近傍アルゴリズム(Adaptive Neighborhood Algorithm with Regression Coefficient:ANA/RC)を 用いている2, 3)

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スマートフォンを用いた知的照明システム

現在,知的照明システムでは専用の照度センサを用い て制御を行なっている.これらの照度センサには有線式 のほかZigBee無線通信規格を用いた無線式のものがあ る.一方,近年では様々なセンサが内蔵されているスマー トフォンが普及している.スマートフォンには照度セン サも内蔵されており,知的照明システムの制御に用いる 照度センサの選択肢の一つと考えられる.照度センサと してスマートフォンを用いることで,無線式照度センサ と同様にケーブルレスな環境を実現できる.内蔵されて いるその他のセンサを用いた付加的制御や容易なソフト ウェアの改修・機能追加など機能性・保守性にも優れる. また,照度センサの導入台数削減に伴う導入コストの低 下などの利点が挙げられる.そこで,本研究ではスマー トフォンを照度センサとして用いる知的照明システムを 構築し,その性能検証を行った.なお,システム構築に は複数台の調達の容易性からタブレットを用いた.

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検証実験

4.1 照度収束実験 構築システムにおいて,各タブレットに目標の照度 を設定し照度が収束するか実験を行った.実験では,

Panasonic社製LED 9灯およびAndroidタブレットの

XOOM(MOTOROLA社製)を用いた.実験環境およ び実験器具の配置をFig. 1に示す.3パターンの目標照 度を与え照度収束実験を行った.なお,各照明の初期点 灯光度は100%に設定し,各タブレットに対する影響度 を既に学習しているものとする.各パターンにおける目 標照度の設定値および照度収束後のタブレットでの計測 照度をTable 1に示す.また,照度収束後,タブレット で計測された照度に正確性があるか検証するため照度計 を用いてタブレット設置点の照度を計測した.計測に用 いた照度計は東京光電製のANA-F11(一般型A級照度 計:JIS C 1609-2に準ずる)である.照度計で計測した 照度についてもTable 1に示す. A B C 照明器具 Android タブレット 0.6m 0.6m 6.0 m 6.0 m 1 2 3 4 5 6 7 8 9 (A C) (1 9) Fig.1 実験環境(平面図) Table1 目標照度の設定と照度収束後の計測照度 A [lx] B [lx] C [lx] 試行 1 目標照度 300 500 700 XOOM 計測値 315 504 704 ANA-F11 計測値 248 502 420 試行 2 目標照度 500 700 300 XOOM 計測値 504 504 315 ANA-F11 計測値 291 491 226 試行 3 目標照度 700 300 500 XOOM 計測値 704 315 504 ANA-F11 計測値 323 321 308 Table 1より,試行2のタブレットBを除いて,計測 された照度が目標照度を満たしていることが確認できた. 試行2のタブレットBの照度が目標照度を満たさなかっ 1

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た要因として,タブレットBとタブレットCに設定され た目標照度に大きな差があること,影響度の観点からタ ブレットCの目標照度を優先的に満たそうと動作する照 明が多いということが考えられる. Table 1の試行1に関して,各タブレットの照度履歴を Fig. 2に示す.なお,Fig. 2における縦軸は照度[lx],横 軸は経過ステップ数を示しており,1ステップがおよそ 2秒に該当する.Fig. 2より,制御開始からおよそ50ス テップ後に各タブレットの計測照度が目標照度の±50 lx 以内に収まっていることが確認でき,各タブレットに関 して目標照度が満たされていると考えられる.また,目 標照度収束後も目標照度から±50 lx以内で安定してい ることが確認できた. 0 50 100 150 200 250 300 Number of Steps 200 400 600 800 1000 1200 Illuminanc e [l x ] A B C Fig.2 各タブレットの取得照度の履歴

次に,Table 1の各試行においてXOOMおよび ANA-F11で計測された照度に大きな差があることも確認でき た.つまり,タブレットを用いて制御を行った際,目標 照度へ収束した場合でも適切な照度を実現できていない ことを示している. 4.2 照明点灯パターンの再現性に関する検証 前述のとおり,タブレットの計測照度に正確性がない ことが確認できた.しかしながら,オフィスワーカが段 階的に目標照度を変更することで計測地点の照度が変化 する.その結果として,実際の照度は確認できないがオ フィスワーカの要求する照度を実現できる.したがって, タブレットを用いた場合の照明点灯パターンを既存の照 度センサを用いた際でも再現可能であれば,従来と同様に 任意の照度を実現できると考えられる.そこでタブレッ トを用いた場合の点灯パターンを再現できるか検証する ため,照度計を用いた照度収束実験を行った. 実験では,照度計としてANA-F11を用い,Table 1に 示したANA-F11の計測照度を目標照度とした.各試行 における照度収束後の照明点灯パターンをFig. 3,4およ び5に示す.各図の(a)はTable 1で観測された点灯パ ターンであり,(b)は本実験で観測された点灯パターンで ある.なお,各照明の光度を円の大きさを用いて表して おり,最大点灯光度を100%としたときの点灯光度を表 示している.また,各点灯パターンにおける消費電力量 をTable 2に示す. Fig. 3,4および5より,照明点灯パターンが酷似して いること,またTable 2より,消費電力量に大きな差が無 A A B B 20% 19% 20% 20% 19% 19% 88% 64% 90% 97% 82% 60% 93% 40% 33% 80% 50% 41%

(a) XOOMを用いた制御 (b) ANA-F11を用いた制御 C C Fig.3 試行1における点灯パターン B 19% 19% 97% 97%

(a) XOOMを用いた制御 (b) ANA-F11を用いた制御 C 29% 25% 21% 29% A 41% A 40% 19% 19% 97% 31% 23% B 93% 26% 27% C Fig.4 試行2における点灯パターン 19% 19%

(a) XOOMを用いた制御 (b) ANA-F11を用いた制御 C 31% A 55% 20% 19% C 44% 46% 46% 50% B 55% A 65% 43% 47% 44% C 33% 45% B 65% Fig.5 試行3における点灯パターン Table2 各照明点灯パターンにおける消費電力量 XOOM による制御 [W] ANA-F11 による制御 [W] 試行 1 178.9 178.3 試行 2 145.9 145.6 試行 3 136.4 142.8 いことが確認できた.以上により,タブレットを用いた 際の照明点灯パターンを照度計を用いた際でも再現可能 であるといえる.これまでの知的照明システムでは目標 照度を数値で指定していたが,スマートフォンあるいは タブレットを用いる際は目標照度を不可視にする,つま り現在より低照度かあるいは高照度かといった選択のみ に制限することで,任意の照度を実現することができる.

参考文献

1) 三木光範,知的照明システムと知的オフィス環境コンソーシアム, 人工知能学会誌,Vol.22,No.3,pp.399-410,2007.

2) S.Tanaka, M.Miki, T.Hiroyasu, M.Yoshikata, An Evolutional Optimization Algorithm to Provide Individual Illuminance in Workplaces, Proc IEEE Int Conf Syst Man Cybern, Vol.2, pp.941-947, 2009.

3) 小野景子,三木光範,米澤基,知的照明システムのための自律分散最 適化アルゴリズム,電気学会論文誌,Vol.130,No.5,pp.750-757, 2010.

参照

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