講演要旨 食物アレルギーとは、「食物によって引き起こされるアレルゲン特異的な免疫学的機序を 介して生体にとって不利益な症状が起こされる現象」と定義される。 食物アレルギーの頻度は、乳児で5~10%、幼児期で約 5%、学童期以降では 1.5~3%ほ どと言われており、近年、増加傾向である。わが国での食物アレルギーの3 大原因食物は、 鶏卵、牛乳、小麦である。20 歳以上では、甲殻類、小麦、果物類の順に多い。鶏卵、牛乳、 小麦、大豆のアレルギーでは、自然に食べられるようになる(耐性獲得)ことが多いが、 甲殻類、果物類、魚類、ピーナッツ、ソバは治りにくいと言われている。 食物アレルギーの多くは、原因食物を食べて 2 時間以内に、じんま疹、皮膚のかゆみ、 咳、腹痛、嘔吐などの症状が出現する即時型アレルギー反応である。診断には、原因食物 に対する特異的 IgE 抗体の測定、皮膚試験、食物経口負荷試験がある。血液検査にて陽性 であっても食べて症状が出ない場合もあるので、全てを除去する必要はなく、食物経口負 荷試験などで確認する。 食物アレルギーの治療は、原因食物に対しての食事療法と、誤食時の症状に対する対症 療法からなる。食事療法としては、正しい診断に基づく必要最小限の除去食が基本で、① 症状が出る食物だけを除去することと、②原因食物であっても食べられる範囲までは食べ てもよいということが重要である。そのために担当医と相談し、負荷試験などで食べられ る範囲(加熱製品、加工品など)を決めることが大切である。対症療法とて、アドレナリ ンの自己注射器、抗ヒスタミン薬、ステロイド薬、気管支拡張薬などを準備する。 今までは原因食物を除去し、自然に治るのを待つことが主流であったが、現在、研究段 階の治療ではあるが、‘食べて治す’経口免疫療法が専門施設で行われている。入院して短 期間に目標量まで増やす急速法と、ゆっくり時間をかけて目標量まで増やす緩徐法がある。 毎日食べる必要があり、治療中にアレルギー症状を誘発する危険があること、目標量(例 えば卵 1 個)に到達しても、それを維持する必要があること、食べられるようになったこ とと治ったのとは違うことなど課題も多い。
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