シミュレーション状況下の急変対応時における看護学生の生理的・心理的な生体反応に関する研究
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(2) 日本救急看護学会雑誌:23. の徴候をアセスメントする能力が必要である。 しかし、. ろ向き研究が多く、急変対応時に生じる生理的・心理. その一方で看護師は急変が生じた場合に、不安などの. 的な反応がどのようにパフォーマンスに影響している. 心理的ストレスを感じており(臼井,庄子,鈴木,. かは明らかにされていない。. 2014) 、 冷静に対応することができるように訓練するこ. このような背景から、本研究において、生理的な生. とが重要であると報告されている(山谷,佐賀,瀬戸. 体反応の指標として有用とされている自律神経活動 (Task Force of The European Society of Cardiology. ら,2011) 。 入院患者が急変する頻度が多いクリティカルケア領. and The North American Society of Pacing and. 域に勤務する看護師には、患者の状態をアセスメント. Electrophysiology, 1996)、脳活動(森,大友,2001;. することや救命技術などがとくに必要である。 しかし、. 林,2010)および客観的ストレスの評価に有用な唾液. クリティカルケア領域に配属された看護師において、. アミラーゼ活性値(萩野谷,佐伯,2012)を活用する. これらの専門的な技術を習得するには、他の領域より. ことで、対象者の生体反応を明らかにできると考えた。. も多くの救命技術に関する臨床経験が必要なため、時. しかし、生体の自律神経活動として、交感神経の活性. 間を要することやストレスが多いことなどが報告され. 化は集中力を増し、パフォーマンスを向上させる可能. ている (宇田,森岡,2011;市川,佐藤,大薗,2003)。. 性もある。そこで、生理的な指標に加え、不安などの. このような状況において、入院患者のアセスメントや. 心理的な指標を測定することが重要と考えられる。こ. 救命技術を習得させるために効果的な手法としてシ. のように、個人の特性、生理的・心理的指標をもとに. ミュレーションを用いた教育が積極的に導入されてお. 初学者の急変対応時における生体反応を明らかにする. り、その効果も報告されている(石川,中村,菅原,. ことは、急変対応におけるパフォーマンスを維持する. 2015)。看護基礎教育課程における救命技術の教育で. ための教育に役立つものと推察される。本研究結果は、. は、厚生労働省による“助産師、看護師教育の技術項. ストレッサーが最小限となり、知識や技術の習得によ. 目の卒業時の到達度”に準じ、一次救命処置を中心に. るトレーニング方法など、急変対応時でも効果的にパ. 演習が行われている。しかし、新人看護師や卒業を控. フォーマンスを発揮できるような看護師への教育を行. えた看護学生を対象とした調査では、急変時における. うための基礎資料となる。. 看護技術の習得度は低く(高島,樋之津,小池ら, 2004) 、看護学生は急変時に焦る、パニックになるなど. Ⅱ.研究目的. の困難感を認識しており、リアリティショックなどの 職場適応にも影響することが報告されている(佐居,. 本研究の目的は、急変対応時の初期対応において対. 松谷,平林ら,2007;赤塚,2012;藤原,今井,岡田,. 応者に生じる生理的・心理的な生体反応について、初. 2016) 。これは、新人看護師など急変対応に関する初学. 学者を対象に明らかにすることである。. 者に対し、単に知識や一次救命処置という技術を教授 するだけでは急変時に対応するパフォーマンスを発揮. Ⅲ.研究方法. することが困難であることを示唆している。また、臨 1.研究対象者. 床において、実際の急変時にパフォーマンスを発揮で きないことが心理的ストレスの要因となり、自身のア. 看護基礎教育課程 4 年制大学において、心肺停止に. セスメントや技術が不足していると認識してしまう看. よる急変時の対応を学習する急性期看護学の講義と演. 護師も少なくないことが報告されている (千明,片貝,. 習、すべての領域の看護学実習を履修した看護学生を. 原田ら,2013) 。自分の救命技術が不足している認識な. 対象とし、掲示による募集で同意の得られた13名を研. どの仕事の困難さや重荷と感じる負の感情というスト. 究対象者とした。. レッサーは、パフォーマンスを抑制させることも報告 されている(吉田,三木,2018;山中,吉田,2014)。. 2.データ収集方法. つまり、急変対応には救命技術だけではなく、心理的. 1)データ収集期間;2018 年 4〜12 月. な要因がパフォーマンスに影響している。しかし、急 2)実験方法. 変時における心理的な要因に関する多くの研究は、後. 31.
(3) シミュレーション状況下の急変対応時における看護学生の生理的・心理的な生体反応に関する研究. オス商事製の簡易型脳波計ブレインモニター“EMS-. (1)実験環境 医療法施行規則による病床面積 6.4m /床以上の一般. 100”を使用して(森,大友,2001)、前頭葉部位の左. 病床を設定し、A施設シミュレーションルームにて病. 右の前頭前野部分(FP1-FP2)間を双極導出した。測. 室を室温 25〜27℃と一定条件で再現した。. 定は実験中の全過程で実施した。14〜30Hz帯域フィル. 2. タによるβ波成分を抽出し、3 秒間ごとに数値化し定. (2)状況設定 実験は「心電図を装着している患者の対応(バイタ. 量化された値(積分値 /3 秒)をデータとした。α波は. ルサイン測定)時に急変(心肺停止)する」という状. リラックスした覚醒状態で出現し、開眼など精神活動. 況を設定した。. 時には減衰する特徴があるため(大熊,松岡,上埜ら, 2016)、本研究ではデータとして使用しなかった。前頭. (3)実験手順 実験以外による影響を最小限にするため、研究対象. 葉部分は、すべての感覚器からの情報を統合し判断を. 者には前日の飲酒を控える、睡眠は最低でも6〜7時間. する部分であるため情報処理状況の把握には前頭葉の. は確保する、実験開始 3 時間前までに食事をすませる. 活動状況を評価することが肝要であり、脳活動状態の. ことを統一した。実験開始前における身体的な負荷を. 指標としてのβ波をデータとした。 (3)唾液アミラーゼ. 除くため、研究対象者は20分間の安静とした。患者対 応における急変時の生体反応に影響を及ぼさないよう. ニプロ株式会社製“唾液アミラーゼモニター”を使. に、入室後、患者がどのような経緯で急変するのかを. 用し、実験前後に測定した。検査採取紙を口腔に挿入. 告げずに「ドアをノックして入室し、バイタルサイン. し、30 秒間かけて舌下部から直接唾液を採取した。唾. を測定をしてください」 と教示し、病室に入室させた。. 液に含まれるアミラーゼ活性値を検出した。唾液アミ. 入室後は、 バイタルサインの測定の順番は自由とした。. ラーゼ活性値は交感神経活動を反映しており、客観的. 入室後、バイタルサインを測定し始めたと同時にモデ. にストレスを評価するための指標として有効であるた. ル人形(レールダルメディカルジャパン株式会社製の. め(萩野谷 , 佐伯 , 2012)、その値をデータとした。 (4)バイタルサイン. レサシアンシミュレータ)で心肺停止状態(心室細動). 生命徴候であるバイタルサインは、基本的な生体指. を再現した。研究対象者が患者(モデル人形)に話し. 標として体温、血圧を実験前後に測定した。. かけたときは、研究者がマジックミラーで隔てられた. (5)STAI(状態-特性不安検査). 操作室からマイクで返答した。実験は、急変対応時の. 心理的ストレスの指標として、肥田野、福原、岩脇. 初期対応である応援要請を行った時点で終了とした。. ら(2000)による STAI(状態-特性不安検査)日本語 3)データ. 版を用いた。状態不安は自律神経の興奮などを伴う一 時的・状況的な不安状態を示し、特性不安は比較的安. (1)自律神経活動. 定した個人内特性を示すものである。状態不安は実験. 自律神経活動を測定するために活用されているユニ. 前後、特性不安は実験前に測定した。. オンツール株式会社製のウェアラブル心拍センサ. (6)インタビュー. “WHS-1 myBeat”を用い(篠崎,松井,2018) 、心拍. 実験直後にインタビューを実施した。その内容は、. 周期数(R-R Interval)間隔から心拍数(以下、HR) および心拍変動を算出した。測定は実験中の全過程で. 「急変対応の一連の流れを体験してどうだったか」 とい. 実施した。低周波成分(以下、LF)の周波数を 0.04〜. う半構造化インタビューを行い、自由に語られた内容. 0.15Hz、高周波成分(以下、HF)の周波数を 0.15〜. を IC レコーダーに記録した。. 0.40Hz と 定 義 し た(Task Force of The European 3.分析方法. Society of Cardiology and The North American Society of Pacing and Electrophysiology, 1996)。交感. 本研究では急変対応のプロセスを、状況設定ごとに. 神経活動の指標としてLF/HF、副交感神経活動の指標. 3 期に分類した。実験開始時の安静期間を Rest期(以. としては HF をデータとした。. 下、R期)とした。また、急変対応において、急変し たことに気づくことで生体反応が強く表れることが想. (2)脳波. 定されるため、実験開始から急変に気づくまでの実践. 脳活動を測定するために活用されている株式会社イ. 32.
(4) 日本救急看護学会雑誌:23. 期間を Practice期(以下;P期) 、急変に気づいてから. で説明し、同意を得た。さらに、研究対象者が看護学. 初期対応までの期間を Notice-Response期(以下、NR. 生であることから、本研究の参加に強制力が働かない. 期)に分類した。P期の終了は、研究対象者が急変と. ように掲示による案内で参加意思を表明してくれた看. いう状態変化に気づいたと考えられる“モニターを注. 護学生を対象に研究の主旨について説明した。そして、. 視した瞬間”とした。. 研究協力しないことによる不利益について、その後の 学業、成績などには一切影響がないこと、同意後実験. 心拍変動と脳波は経時的に測定した。心拍変動は、 WHS-1 myBeat によって得られたデータをユニオン. 中であっても参加を中止できることを文章で保証し、. ツール株式会社製心拍変動解析ソフト“RRI Analyzer. 十分に説明をしたうえで同意を得た。また、本研究は. 2”を用いて解析した。解析時には RRI Analyzer 2 の. 研究対象者の実践力を測定するものではないこと、実. 心拍変動フィルタを用いて、心拍変動最大値および最. 験結果がその後の学業成績などには一切影響しないこ. 小値の範囲を超えるものをノイズなどの異常値として. とについても口頭、文書で説明し、同意を得て実施し. 削除した。LF および HF は、定義した周波数内で得ら. た。また、本研究で使用した機器は、異常脳波などの. れた数値を積分した値がデータとして算出される。心. 病的所見を検出する機能はないが、実験中に何らかの. 拍変動は LF成分の周期から自律神経活動が反映され. 偶発的所見および精神面も含めた体調不良などを生じ. る時間を考慮し、解析時間を20秒に設定した。さらに、. た場合には、救急医療の経験をもつ研究者が待機し、. 本研究では急変対応の過程を細かく分析するため、解. すぐに対応できる実験体制を整えた。. 析周期は 5 秒に設定した。急変対応は R期・P期・NR 期における過程での変化を分析した。R期は 6 分間の. Ⅳ.結果. データのうち開始2分から4分後の間2分を安静期間と 1.研究対象者. してのデータとした。P期および NR期は、解析周期 5 秒で解析時間が 20 秒であることから、5 秒ごとの解析. 研究対象者は看護学生 13 名であり、平均年齢 21.5 ±. 結果には15秒間の重複があるため、解析数値は20秒ご. 0.5 歳であった。STAI(特性不安)は 47.92 ± 9.99 点で. との値を分析対象とした。この20秒ごとの解析数値を. あった。. P期およびNR期内で各々平均値を算出した。これら各. 急変対応に要した時間は、実験開始の訪室から初期. 期の値は、Friedmanの検定を用いて比較検討した。有. 対応するまで平均 211 ± 61 秒であった。P期、NR期の. 意差が認められた場合には Steel-Dwass法による多重. 平均時間はそれぞれ 76 ± 46 秒、135 ± 72 秒であった。. 比較を行った。体温・血圧・STAI(状態不安) ・唾液 2.生理学的指標. アミラーゼは実験前後に測定し、Wilcoxon符号付順位 検定を実施した。統計解析は、SAS Institute Japan株. 結果は「中央値(四分位範囲)」で記述した。心拍変. 式会社製のJMP Pro Ver.13.0を用いた。有意水準は5%. 動では、HF に関して、R期は 720.89(242.49-949.00). 未満とした。インタビューの内容は、文脈単位で意味. ms2、P期は 191.66(163.35-546.15)ms2、NR期は 144.57 (109.88-228.06)ms2 であり、有意差が認められた( p<. 内容を確認し、急変対応の体験について分析した。. 0.01)。さらに多重比較検定を行い、R期−NR期で有意 4.倫理的配慮. 差が認められた( p< 0.01)(図 1)。LF/HF比の結果. 本研究の実施にあたり、A大学倫理委員会の承認を. は、R期では 0.95(0.53-1.59)、P期は 1.66(1.20-4.42) 、. 得た(承認番号 第 314 号) 。研究対象者には、本研究. NR期は 3.40(2.57-6.52)であり、有意差が認められた. は急変時対応で生じる生体反応を測定することが目的. ( p< 0.01)。さらに多重比較検定を行い、R期− NR期. であり、事前にどのような状況下で急変する実験なの. で、有意差が認められた( p< 0.01) (図 2) 。HR の結. かという情報は結果に影響するため、どのような状況. 果は、R期は 77(71-82)、P期は 106(96-117)、NR期は. を再現するシミュレーション内容なのかという情報は. 100(86-110)であり、有意差が認められた( p< 0.01) 。. 秘匿であることも説明した。このような研究目的と意. さらに多重比較検定を行い、R期− P期、R期− NR期. 義、研究参加への自由意思と拒否権の保証、個人情報. で、それぞれ有意差が認められた( p< 0.01)(図 3)。. の保護および実験に関する安全面について口頭、文書. 脳波によるβ波の出現では、対象 13 名中 4 名におい. 33.
(5) シミュレーション状況下の急変対応時における看護学生の生理的・心理的な生体反応に関する研究. て測定不具合が発生したため、残り 9 名で分析を行っ. 69mmHg、実験後71mmHgであり、有意差は認められ. た。R期は 9.20(8.38-11.80) (積分値 /3 秒) 、P期は 21.85. なかった( p= 0.24)。. (11.70-35.37) (積分値/3秒) 、NR期は21.10 (13.45-34.85) 3.心理学的指標. (積分値/3秒) であり、有意差が認められた ( p<0.01)。. STAI(状態不安)の平均点は、実験前 44.30 ± 6.5、. さらに、多重比較検定を行い、R期− P期、R期− NR 期で、それぞれ有意差が認められた ( p< 0.01) (図 4) 。. 実験後 53.23 ± 4.5 であり、有意差が認められた( p< 0.01)。. 唾液アミラーゼの平均値は、実験前 17.30KU/L、実 験後 9.33KU/L であり、有意差は認められなかった( p. 急変対応の一連の流れを体験したことについてのイ. = 0.18) 。また、バイタルサインの体温の平均値は、実. ンタビューでは、主に体験した際の自身について[感. 験前 36.8℃、実験後 37.0℃であり、有意差は認められ. 情]と[行動]について発言がみられた。急変対応を. なかった( p= 0.23) 。収縮期血圧の平均値は、実験前. 体験した際の[感情]は、 「緊張した」2 名、 「動転し. 107mmHg、実験後110mmHgであり、有意差は認めら. た」2 名、「驚いた」1 名であった。急変対応を体験し. れなかった( p= 0.57) 。また拡張期血圧は、実験前. た際の自身の[行動]についてでは、「何かしなければ. (ms2) 2,000. 10. 1,800 1,600. 8. 1,400. 7. 1,200. 6. 1,000. 5. 800. 4. 600. 3. 400. 2. 200. 1. 0. R期. P期. p<0.01. 9. p<0.01. NR 期. 0. n=13. 図 1 各期の高周波成分(HF)の Box Plot. R期. P期. NR 期. n=13. 図 2 各期の LF/HF の Box Plot. (bpm). (積分値/3秒). 140. 60. p<0.01. p<0.01. p<0.01. 130. p<0.01 50. 120 110. 40. 100 30. 90 80. 20. 70 10. 60 50. R期. P期. NR 期. 0. n=13. 図 3 各期の心拍数(HR)の Box Plot. R期. P期. NR 期. 図 4 各期の脳波の Box Plot. 34. n=9.
(6) 日本救急看護学会雑誌:23. ならないことはわかっていたが、何をしたらいいかわ. る経験は少ないが、実習を経験することで不安な思い. からなかった」5 名、 「何をすればいいかわからなかっ. は軽減されることが報告されている(飯出,三木,澁. たのでナースコールを押した」2 名、 「誰かを呼ぼうか. 谷,2005)。本研究では、実験前に安静期間も設けてお. 迷った」1 名であった。. り、実験を開始して対象者が急変に気づくまでは心理 的な影響は少なかったものと考えられる。実験前後で の STAI の変化は、バイタルサイン測定という患者対. Ⅴ.考察. 応ではなく、急変に気づいたことが要因と考えられる。. 1.生理的反応. 看護学生にとって、急変時の技術習得は難しく、対応. 心拍変動から交感神経活動を表すデータである LF/. に困難感があることが報告されている(高島ら,2004;. HF比は安静期間に比べ、急変に気づいてから初期対応. 藤原ら,2016)。実験後のインタビュー結果でも、緊張. までの期間で有意に上昇した。急変対応のプロセスに. や動転という思いを抱いていた。つまり、対象者は急. おいて、急変に気づいてからの交感神経活動が急激に. 変対応のプロセスにおいて、緊張や不安、動揺といっ. 活発化した。副交感神経活動の指標である HF は、安. た感情が出現したため、心理的な負担を感じて実験前. 静期間に比べ、 初期対応までの期間で有意に低下した。. に比べて不安感が増強したと考えられる。. 急変したことを認識したことで副交感神経活動は急激 に低下していた。また、HR も安静期間に比べ、急変. Ⅵ.研究の限界と今後の課題. に気づくまでの実践期間と初期対応までの期間で、そ れぞれ有意に上昇していた。HR は、交感神経と副交. 本研究は、研究対象者は 13 名であり、看護学生を対. 感神経の活性度合いを反映するとされている(井川,. 象とした研究である。急変を経験したことのない初学. 志和,中西ら,2010) 。これらのことから、急変対応の. 者の生体反応を検証したものであり、臨床看護師が同. プロセスにおいて、患者の急変を認識することが交感. 様に生体反応を示すかは検証できていない。さらに、. 神経活動の活性化、副交感神経活動の低下という反応. 対照群を設けていないこと、対象者が初学者であるこ. を引き起こしていることが示唆された。. とから急変対応だけではなく、バイタルサイン測定と. 脳活動においては、安静期間に比べ、急変に気づく. いう患者への対応そのものが生体反応として影響して. までの実践期間および初期対応までの期間はそれぞれ. いた可能性も否定はできない。本研究結果を踏まえ、. 有意に上昇していた。外的刺激が加わると脳活動が活. 臨床における初学者として新人看護師、中堅看護師、. 発になることが報告されている (林,2010) 。脳波が有. 熟練看護師などさまざまな経験を有する看護師におい. 意に上昇したことは、安静期間に比べて実験開始後は. て、どのような反応の違いがあるかを調査することに. 患者の情報収集をし、急変に気づいて初期対応などの. よって、効果的な教育手法を検討するためにより具体. 行動すべてにおいて、脳活動が活発化していたと考え. 的な基礎資料を得ることができると考え、研究を継続. られる。. していくことが課題である。. その一方で、客観的なストレスの指標である唾液ア ミラーゼは低値であり、 有意な差は認められなかった。. Ⅶ.結論. 唾液アミラーゼによるストレスの測定は、1 分から数 分とレスポンスが早いことが報告されているが (山口,. 本研究における急変対応によって生理的な生体反応. 花輪,吉田,2007) 、本研究の実験時間は研究対象者に. としては、交感神経が活性化していた。脳波は外的刺. よって個人差が大きく、正確な測定ができていない. 激により脳活動が活性化していた。心理的な生体反応. かった可能性が考えられた。. は、急変対応によって不安感が増強した。初学者は急 変対応によって、心理的に負担が生じた状態で交感神. 2.心理的反応. 経が活性化することが示唆された。. 心理的指標として使用した STAI(状態不安)を分. 本研究における急変対応のプロセスにおいて、急変. 析した結果、STAI の実験前から実験後にかけての得. の認識という外的刺激が加わることで、交感神経活性、. 点が有意に上昇していた。看護学生は患者対応に関す. 不安感という生体反応が認められた。. 35.
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