ミツパ テ科 学 (2002)23(2):90
第
24
回 ミツバ チ科学
研究会 に参加 して
人見 吉昭
最初 に吉田教授 による開会の挨拶があり,昨
年先生が研究で訪ね られた中国雲南省 と国境を
接するベ トナム北部 ライチ ャウ省の少数民族の
村での ミツバチの話で始 まった.小生の趣味の
ミツバチも玉川大学のこの研究会の翌 日が 「今
年の出発点」 と毎年決めて,給餌 もこの会 にあ
わせているのが毎年の恒例 となっている.
最初の発表は,赤松え り子 さんの 「ミツパテ
の脱糞行動」で,私 自身が昨年,加害者 となっ
た苦 い経験 もあってとて も注 目した研究発表で
あ った. 日蜂協への苦情 の約50%が糞害 と聞
き,蜂場か ら200m以内が最多の加害エ リアと
の研究発表であった.私の場合 もその通 りで,
また定位非飛行時,特 に雨上が り時の脱糞が相
当の害を与えるなど,室内,外での根気 と非常
に手間の要 した研究 と思われた.市民か らの糞
害に苦労 している私の住んでいる市の環境係の
方 にも資料を見せてあげたい くらいであった.
次に星野夏生 さんの 「腐姐病予防薬の ミツバ
チ生産物への移行 と残留」であったが,現在唯
一 この病気 に対 して認め られているアピテンが
貯蜜, ローヤルゼ リーへの薬剤移行 と残留につ
いての安全性の考察であ った.最終的には, ミ
ロサマイシンの有効性を見出 した吐山先生の安
全性の追認 と思われ,使用説明書通 りに投薬す
れば問題 はないとの事であった.注 目点 はロー
ヤルゼ リー中には休業期間を過 ぎて も微量だが
移行が認め られ, これは働 き蜂を経由 しての移
行 と推測 され休薬期間の延長が不可欠 との発表
であったが,今後の更なる研究の必要を感 じた
のは私だけではないであろう.
午後のE]本照射サー ビス㈱の高橋富男 さんと
㈲畜産生物科学安全研究所の片岡敦子 さんによ
特別講演 中の松 本忠夫教授
る講演 も腐姐病関連の ものであった. こちらは
敬射緑,ガ ンマ線 による消毒で,画期的な効果
が認め られる方法であるが, まだまだ煩雑で,
現段階で素人の我 々の蜂具を消毒,殺菌するに
は時期尚早の段階 と思われた.ただこの厄介な
菌はアメ リカを震掘 させた生物兵器の炭素菌 と
ほぼ同 じ細菌類 と聞 き,侮れない強力な菌であ
ることが再認識 させ られ,将来更に手軽 に利用
できるようになることが望 まれた.
最後 に東大の松本忠夫教授 による 「社会性昆
虫の繁栄の秘密」の講演があった.昨年私の大
事 な二ホ ン ミツバチの巣箱 をポ ロポ ロに した
「悪い奴」の シロア リであるが
,
「このア リはな
にを しているのだろう」 との疑問を持 ちっづけ
ていたため, この 「悪 い奴」を知 ることができ
るとて も良い機会が持っ ことができた. メス,
オスの一対か ら数百万 に増 え,巣 は動物では最
大級 になり巨大な巣 とい うより立派な城のよう
な巣の写真 は圧巻であった.カース ト分化 され
仕事の中心 は地球上の掃除であ り,仲間の死骸
か ら糞まで利用 し尽 くし,固いセルロースも体
内のバ クテ リヤで分解 し,空気中の窒素 まで取
り込み, さらに巣内では ミツバチ同様,冷房機
能まで備えているというか ら驚かされた. また
地球上 には色の黒いシロア リがいるのは初耳で
あり,また地上の昆虫の三分の一がア リで,三
分の一が シロア リで この シロア リの進化 したも
のがア リ・ミツバチとの ことであった.地球環
境が問題 になっている昨今, この知恵を シロア
リか ら学ぶ ことになる時代が訪れるのかと思 う
ほど印象的であった.
(〒183-0002府 中市 多磨町4-628)