付録1 原子炉等利用に関する共同研究報告書
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(2) 付録 l. 原子炉物理・原子炉応用(物理系)に関する研究 研究総括責任者. 大阪大学大学院工学研究科 教授竹田敏. 19年 度 の 原 子 炉 物 理 ・ 原 子 炉 応 用 に 関 す る 研 究 ( 物 理 系 ) 課 題 は 全 部 で 1 1件 であった。 中 性 子 検 出 に 関 す る 研 究 が 6件 あ っ た ( 名 大 ・ 九 大 ・ 広 大 ・ 福 井 高 専 ・ 東 大 、 自 然 科 学 研 究 機 構 ) 。 名 大 の 研 究 は f加 速 器 駆 動 型 来 臨 界 炉 の 中 性 子 ス ベ ク ト ル 測 定 の た め の 、 高 い n-r弁 別 能 を も っ 微 分 型 中 性 子 ス ペ ク ト ル モ ニ タ ー の 開 発 研 究 j で あ り 、 シ ン チ レ ー タ に ZnSを 薄 く 塗 布 し 、 阻 止 能 の 違 い に よ り 、 高 い n-r弁 別 能を示すことが確認されていた。 広 大 は rLET カ ウ ン タ ー を 用 い た マ イ ク ロ ド シ メ ト リ 手 法 に よ る 線 質 の 評 価 を 行 うことを目的とする研究Jを実施し、ガス圧を変化させることで生体組織中に付 与されるエネルギーを模擬的に測定するものである。 東 大 は 『 イ メ ー ジ ン グ プ レ ー ト を 用 い た 中 性 子 線 測 定 に 関 す る 研 究 j を行った。 放 射 線 2次 元 位 置 検 出 器 と し て 着 目 さ れ て い る イ メ ー ジ ン グ プ レ ー ト ( IP) は、 各種放射線に対して高い検出感度を有していることが知られている。中性子ガン. Pに よ る 線 量 測 定 を 実 施 す る た め に 、 金 箔 を 貼 付 し た IPに よ る マ線混合場での I 中性子線の測定手法の確立に重点を置いた研究が行われた。 こ の 他 、 大 阪 府 立 大 学 の 「 高 感 度 中 性 子 ラ ジ オ グ ラ フ ィ の 実 用 化 に 関 す る 研 究 J、 摂 南 大 の fイ ン タ ー ネ ッ ト に よ る 原 子 炉 遠 隔 実 験 お よ び 実 習 の た め の 技 術 開 発 の 研 究 」 、 神 戸 大 の 「 原 子 炉 の 制 御 棒 効 果 と 中 性 子 東 分 布 の 測 定 の 研 究 J、 阪 大 の 『 フ ア イ ン マ ン ー α法 の 研 究 J等 が 実 施 さ れ た 。 阪 大 は 福 井 大 学 ・ 福 井 工 業 大 学 ・ 近 畿 大 学 の 先 生 方 も 一 緒 に な り 、 研 究 を 実 施 し た 。 フ ァ イ ン マ ン ー α法 に 基 づ き 原 子 炉 熱出力を算出し、線形出力計の指示値との比較を行い、本手法の妥当性を検討し た。加えて、遅発中性子の寄与の影響を検討するため、高次階差フィルターを適 用した解析も行った。さらに、大阪産業大学の「宇宙線によるカルシウム化合物 の 熱 蛍 光 特 性 の 研 究 j で は TmF) と 熱 中 性 子 に 対 し て 有 効 で あ る と 考 え ら れ る. GdF , Gd 単 結 品 を 作 成 し 、 昨 年 度 と 同 様 に CaF b, Gd 単 結 2:Tm 2:T 3を 添 加 し た CaF 品及び. CaF b, Sm, Gd 焼 結 体 と の 比 較 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 CaF , Gd 単結 2 :T 2:Tm. 品は X線 照 射 に 対 し て の み TLDと し て 活 用 で き る が 、 原 子 炉 内 放 射 線 お よ び ωCoの. y線 照 射 に 対 し て は 、 残 念 な が ら 感 度 が 殆 ど 無 く 、 GdJ ろを co-dope し た 効 果 は 得 ら れないことが明らかにされた。. 8 0-.
(3) Vol .4 5( 2 0 0 8 ). 近畿大学原子力研究所年報. (1)近畿大学原子炉の炉特性の測定と利用 代表者:瓜谷. 章(名古屋大学大学院工学研究科). 〔要約〕 加速器駆動型未臨界炉等における中性子スベクトル測定への適用を念頭に、高い. n y弁 別 能 で 、 そ の 時 間 変 動 を 観 測 す る 微 分 型 中 性 子 ス ベ ク ト ル モ ニ タ と し て 、 ラ ジ エータ・遮蔽材・薄型シンチレータで構成され、しきいエネルギーを任意に設定可能 な中性子検出器の開発を進めている。ラジエータで反跳された陽子が遮蔽材を通過可 能なエネルギーを持っていないと検出素子であるシンチレータに到達しないため、遮 蔽材の厚さによって、任意にしきいエネルギーを設定できる。本検出器は、. 1つ の 検. 出器要素で中性子エネルギーを測定・評価できるものではないが、幾何学的構造の設 計によりそのしきいエネルギーを変更可能で、複数組み合わせることで、エネルギー スベクトル情報を得ることが可能となる。 本年度は、本検出器の基礎特性評価実験を行った結果、シンチレータにZ n Sを薄く 塗 布 し た も の 採 用 し 、 阻 止 能 の 違 い に よ り 単 純 な 波 高 弁 別 の み で 、 高 I t¥ n y弁 別 性 能 を示すことを確認した。 さらに原子炉特性測定への適用を念頭に近畿大学原子炉を用いた検出器応答評価実 験を行った結果、本検出器は平面積層構造では指向性を持ち、しきいエネルギーを 持って中性子に感じるには、中性子入射方向を正面に限定する必要があることが確認 された。. (2)高感度中性子ラジオグラフィの実用化に関する研究 (X) 代表者:谷口. 良一(大阪府立大学放射線研究センター). 〔要約〕. 高 感 度 放 射 線 画 像 計 測 用 の 冷 却 型 CCD撮 像 素 子 は 、 放 射 線 損 傷 に 弱 い こ と が 問 題 で ある。また、この素子には特徴的な白点ノイズがあり、この現象も実用上大きな障害 となっていた。この白点ノイズは、放射線が存在しないパックグランドでも現われる が、その多くは、閉じ位置に出現する固定パターンノイズ ( F P N ) であった。放射線 照射下では、この白点ノイズ数が著しく増大するが、その多くは、出現位置が変動す るランダムノイズであった。この白点ノイズは、放射線の照射の終了とともに速やか に減少するが、照射前よりも、ノイズは増加している。この増加したノイズは固定パ タ ー ン ノ イ ズ で あ っ た 。 こ れ ら の 事 実 は 、 白 点 ノ イ ズ と CCD素 子 の 放 射 線 照 射 損 傷 に 強い相聞があることを示している。. Ei. 唱. o o.
(4) 付録 l. (3)インターネットによる原子炉遠隔実験および実習のための 技術開発 代表者:山本. 淳治(摂南大学工学部). 〔要約〕 大学の電気系あるいは機械系の学科において、原子力の専門教育コースがなくて も、学生が原子炉のしくみを学ぶために実習できる機会ができれば、エネルギー教育 の実践として魅力的である。しかし、原子炉施設に立ち入るとなると、放射線防護を はじめセキュリティ上の管理が、実習する側とこれを受入れる側の双方に発生して負 担となる。そこで、原子炉を使って行う実習課題のうちで、施設に立ち入ることなく 実施可能な課題を選び、インターネットを使って遠隔で行う実習を計画して、その技 術開発を行っている。 今年度は、原子炉棟の制御室と原子炉棟から隔たった実習室との間で遠隔実習シス テムを構成し、原子力研究所のある近畿大学本部キャンパスと摂南大学寝屋川キャン パスの間で実習の試行を行った。その結果、原子炉の運転状況がインターネットを介 した遠隔地においてもほぼリアルタイムで観測できて、遠隔実習の実施に向けての見 通しが得られた。. (4) 原子炉の制御棒効果と中性子束分布の測定 代表者:北村. 晃(神戸大学大学院海事科学研究科). 〔要約〕 チ ャ レ ン ジ 原 子 力 体 感 プ ロ グ ラ ム ( 経 産 省 ) に お け る 2日 間 の 学 生 実 習 を 含 み 3日 間のデータを基に解析した。 ま ず 、 過 去 10年 程 度 の 実 習 実 験 時 に お け る デ ー タ と 対 照 し て 臨 界 時 制 御 棒 位 置 (SSR, R R ) の 再 現 性 を 調 べ た 。 中 央 ス ト リ ン ガ の 挿 入 状 態 ( 完 全 挿 入 / 1 /2挿 入 / ボ. イド)毎にグループをなすが、 07年 度 の デ ー タ は 04年 度 の デ ー タ と 良 く 一 致 し て い る が、これらは共に平均値からは異常に大きくかけ離れていることが解った。この両年 度の炉心にはかなり大きい吸収体が挿入されていたと推測せざるを得ないが、原因を 特定するには至っていない。 そ し て 、 中 性 子 束 分 布 に つ い て は 、 03年 度 以 降 継 続 測 定 し て き た 、. 4本 の マ ニ ュ. ア ル ス ト リ ン ガ (MS) 位 置 に お け る 放 射 化 反 応 率 分 布 の 対 称 性 を 検 討 し た 。 04、05両 年 度 と も 、 最 大 約 8 %の 南 北 非 対 称 性 と SW-MS位 置 の 上 下 非 対 称 性 (z=+7.6cmに お け る 局所的くぼみ)を示していたが、 07年 度 は 06年 度 と 定 性 的 に 閉 じ 結 果 が 得 ら れ た 。 即 ち 、 南 北 非 対 称 性 は 約 4%で あ っ た が 定 性 的 に は 再 現 性 が あ る も の と 認 め ら れ た 。 し かし、 SW-MS位 置 に お け る 上 下 非 対 称 性 (z=+7.6cmlこ く ぼ み ) は 見 ら れ ず 、 測 定 上 の 問 題か、一時的な吸収体の非意図的存在に帰せられるべきか、今後尚考察の余地が残っ. ワ 白. 。 。. た 。.
(5) Vol .4 5( 2 0 0 8 ). 近畿大学原子力研究所年報. (5) 近大炉・中性子束分布詳細測定 代表者:竹田. 敏一(大阪大学大学院工学研究科). 〔要約〕 本 年 度 は 、 中 性 子 相 閥 解 析 法 で あ る フ ァ イ ン マ ン ーα法 に 基 づ く 原 子 炉 熱 出 力 の 測 定を行った。大阪大学のみならず、福井大学・福井工業大学・近畿大学の先生方も一 緒 に な り 、 研 究 を 実 施 し た 。 今 回 、 フ ァ イ ン マ ン ーα法 に 基 づ き 原 子 炉 熱 出 力 を 算 出 し、線形出力計の指示値との比較を行い、本手法の妥当性を検討した。加えて、遅発 中性子の寄与の影響を検討するため、高次階差フィルターを適用した解析も実施し た 。. (6)原子炉中性子の精密計測システムの開発研究及び原子炉を 用いた実験実習 代表者:池田. 伸夫(九州大学大学院工学研究院). 〔要約〕 九州大学と徳島大学の学生を対象に原子炉運転実習を行なった。平成1 9年 度 は 1 4年 目にあたり、原子炉の起動・運転の実習、放射化法による炉内中性子の絶対測定、漏 線の測定等の内容で実習を行なった。放射化法による炉内中性子絶対測定では、 洩y 熱 中 性 子 に よ る Na-23の 放 射 化 反 応 を 利 用 し て 原 子 炉 内 の 中 性 子 東 分 布 を 調 べ た 。 尚一 23の 試 料 に は 試 薬 炭 酸 ナ ト リ ウ ム. (NaZC03) を 用 い た 。 昨 年 ま で 用 い て い た ガ ン マ. e半導体 線サムピーク法による絶対測定に代わり、今年度はエネルギー内挿法により G 検 出 器 の 検 出 効 率 を 決 定 す る こ と に よ り 、 放 射 化 し て 生 成 し た Na-24の 放 射 能 を 求 め た。絶対測定としての精度は劣ると考えられるが、結果としてばらつきが少なく概ね 昨年度までと同様の中性子東分布が得られた。今後も本実習を通じて学生に原子炉物 理や放射線計測に対する理解を深めてもらえるよう努めていくとともに、中性子東分 布の測定法についても検討していきたいと考えている。. -8 3一.
(6) 付録 l. (7) マイクロドシメトリー手法を用いた UTR-KINKI中性子場の. 線質の評価 代表者:遠藤. 暁(広島大学原爆放射線医科学研究所). 〔要約〕. ETカ ウ ン タ ー を 用 い た マ イ ク ロ ド シ メ ト リ 手 法 に よ る 線 質 の 本研究においては、 L 評価を行うことを目的とする。 L ETカ ウ ン タ ー は 組 織 等 価 な 器 壁 を も っ ガ ス 比 例 計 数 管に組織等価ガスを封じ込めた検出器である。ガス圧を変化させることで生体組織中 に付与されるエネルギーを模擬的に測定する。このマイクロドシメトリで得られる y 分布は、ごく小さい(1-数μ) 生 体 組 織 に 付 与 さ れ る エ ネ ル ギ 一 分 布 を 通 し て 、 生 物. TR-KINKIの 生 物 照 射 場 と し 効 果 比 見 積 も る こ と も 可 能 で あ る 。 本 研 究 を 行 う こ と でU ての特性を明らかにすることができる。組織等価型ガス比例計数管 ( T E P C ) を用いて. U T R K I N K Iの マ イ ク ロ ド シ メ ト リ ス ベ ク ト ル の 測 定 を 行 う こ と が 目 的 で あ る 。 ETカ ウ ン タ ー の 測 定 で は 、 使 用 し た LETカ ウ ン タ ー の 形 状 に よ これまで行ってきたL 0 c m以 上 離 れ た 位 置 で 測 定 し て い た 。 本 年 度 は 、 中 心 か り照射ストリンガー中心より 3 らのからの位置によってどの程度線量が変化するか確認するため、対電離箱を用いて. y 線及び中性子線線量率のストリンガ一位置依存性を測定した。その結果、中心部で は 中 性 子 線 及 びY 線線量共に最大値を取り、共におよそ2 0cGy/hで あ っ た が 、 辺 縁 に 向 か う に 従 い 線 量 は 減 少 す る 。 ま た 、 そ の 減 少 の 割 合 は 中 性 子 線 と 及 びY 線線量では異 なり中性子線の減少の方が速いことを明らかになった。したがって、全線量に対する. Y 線量(または中性子線量)の割合は、照射ストリンガー中の位置によって異なるこ とを明らカ叶こした。. (8)傾斜線式位置読み取り法による中性子位置検出器の開発 代表者:前多. 信博(福井工業高等専門学校電気電子工学科). 〔要約〕. 5年 度 の 「 近 畿 大 学 原 子 炉 等 利 用 共 同 研 究 J で 、 陽 極 芯 線 に 沿 っ て 2本 の 平成1 位置読取線を張った比例計数管が、中性子位置検出器として作動する事がわかり (前多,伊藤.堀口. r 傾 斜 線 式 位 置 読 取 法 に よ る 中 性 子 位 置 検 出 の 可 能 性 J RADIO-. 6年 度 に は 位 置 分 解 能 の 概 略 も 明 ら か に な っ ISOTOPES.Vol.53.611-615 ( 2 0 0 4 ) )、 平 成 1 b i d . た(前多,伊藤,堀口 j 傾 斜 線 式 読 取 法 に よ る 中 性 子 位 置 検 出 の 位 置 分 解 能 J i .5 4 .3 5 9 3 6 3( 2 0 0 5 ) )。 平 成 1 7年 度 -18年 度 は 、 こ の 検 出 器 の 実 用 性 を 調 べ る た め 、 V ol 傾斜線式位置読取法による 熱中性子の空間分布を測定した(前多,伊藤,堀口,芳原.r. b i d . V o l . 5 6 . 4 3 1 4 3 5( 2 0 0 7 ) )。 熱中性子の空間分布測定Ji 平成 1 9年 度 は 有 効 長 27cmの 中 性 子 位 置 検 出 器 を 試 作 し 特 性 を 調 べ た 。 置 検 出 器 と し ての特性は良く、炉内の中性子分布測定にも使える事がわかったので、炉内測定用の プリアンプも 3台 作 り 動 作 確 認 を し た 。 こ れ ま で の 共 同 研 究 で 傾 斜 線 式 位 置 読 取 法 の 特性が実験的に明らかになってきたので、位置読取線上への誘起電荷計算を試みた。 大まかな一次近似で、位置スベクトルの特徴を再現できることがわかった。 84 ~.
(7) Vol .4 5( 2 0 0 8 ). 近畿大学原子力研究所年報. (9) 宇宙線によるカルシウム化合物の熱蛍光特性の研究 代表者:福田. 和悟(大阪産業大学人間環境学部). 〔要約〕 を添 本 研 究 に お い て TbF T b,Gd単結晶、 Tb407、Gd20Jまた Sm203 3とGdFJを 添 加 し た CaF2:. b .Gd焼結体、 CaF2:Tb,Sm,Gd焼 結 体 は 、 原 子 炉 内 放 射 線 ( 中 性 子 +1 線) 加 し た CaF2:T お よ び6 0 C oの y線 照 射 に 対 し て 熱 蛍 光 線 量 計 (TLD) と し て 活 用 で き る こ と 、 ま た. CaF2:Tb,Sm, Gd焼結体は紫外線、 X線 照 射 に 対 し て も TLDと し て 使 用 で き る こ と を 報 告 し て い る ( 平 成 17、 18年度)。今回、 T m F 3と 熱 中 性 子 に 対 し て 有 効 で あ る と 考 え ら れ るGdF3 T m .Gd単 結 晶 を 作 成 し 、 昨 年 度 と 同 様 に CaF2: T b,Gd単 結 品 及 び を 添 加 し た CaF2:. CaF b,Sm, Gd焼 結 体 と の 比 較 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 CaF2: T m,Gd単 結 晶 は X線 照 射 に 対 2:T してのみ T L Dと し て 活 用 で き る が 、 原 子 炉 内 放 射 線 お よ びωCoのY 線照射に対しては、. d 凡を c o d o p eし た 効 果 は 得 ら れ な か っ た 。 ま た 、 予 備 実 残念ながら感度が殆ど無く、 G 験として紫外線、. X 線 照 射 に 対 す る CaF C e .E u単 結 晶 お よ び 焼 結 体 に つ い て 測 定 を 行 っ 2:. た 結 果 、 単 結 品 は 、 紫 外 線 照 射 に 対 し て 強 い 発 光 を 示 し 、 TL強 度 は 非 常 に 弱 く TLDと しては使用できないが、焼結体は十分期待できるものであることが分かったので、焼 結条件などを検討する予定である。. ( 10 ) イメージングプレートを用いた中性子線測定に関する研究 代表者:小佐古敏荘(東京大学大学院工学系研究科) 〔要約〕. 放 射 線 2次 元 位 置 検 出 器 と し て 着 目 さ れ て い る イ メ ー ジ ン グ プ レ ー ト ( IP) は 、 各 種放射線に対して高い検出感度を有していることが知られている。これまでの共同利 用研究により、 I Pを 原 子 炉 内 外 の 放 射 線 場 の 線 量 計 測 に 適 用 す る た め の 基 礎 的 な 情 報 を取得することができた。また、光子エネルギー特性およびフェーディング特性を実 験的に求め、 S nフ ィ ル タ ー 添 付 部 と I P操 部 に お け る PSL値 を 比 較 す る こ と で 、 入 射 光 子の実効エネルギーを評価する手法を確立し、光子線量を評価する手順をまとめた。 本年度は、中性子ガンマ線混合場でのI Pに よ る 線 量 測 定 を 実 施 す る た め に 、 金 箔 を 貼. Pに よ る 中 性 子 線 の 測 定 手 法 の 確 立 に 重 点 を 置 い た 。 I Pへ の 照 射 時 間 及 び 金 箔 付した I の 添 付 時 間 に 対 す る PSL値 の 変 化 を 調 べ 、 測 定 の た め の 条 件 検 討 を 行 っ た 。 さ ら に 、. a Iシ ン チ レ ー シ ョ ン 検 出 電 離 箱 と レ ム カ ウ ン タ に よ り 得 ら れ る 線 量 率 と の 比 較 及 びN 器によるスベクトルの取得を行った。. -8 5.
(8) 付録 l. (11)中性子線量測定器の応答特性試験 代表者:山西. 弘城(自然科学研究機構核融合科学研究所). 〔要約〕 作業環境における中性子線量の測定器を開発中である。設計した減速材・吸収材の 組み合わせについて、広いエネルギ一範囲にわたる応答特性を把握しておく必要が ある。 TLDを 検 出 素 子 と し て 、 減 速 材 と 吸 収 材 を 組 み 合 わ せ て 測 定 系 を 構 成 し た 。 線 源側から、 TLD-l、 ポ リ エ チ レ ン ( P E ) 22mm、TLD-2、 炭 化 ホ ウ 素 ( B . C ) 15"'22.5mm、 TLD-3、 PE50mm、 TLD-4、 PE50mmの l 頓に設置する。この組み合わせによって、熱中性. 子、低速成分、中速成分、速中性子をエネルギ一群別に検出する。原子炉の上蓋上に 開 孔 を 設 け 、 そ の 上 に 測 定 系 を 設 置 し た 。 照 射 は 9月と 1 1月に行った。 9月 の 照 射 結 果 か ら 、 中 性 子 の 中 速 成 分 に 対 す る 検 出 感 度 が 低 い こ と が 判 明 し た 。 そ こ でB Cの直 4 後に PEIOmmを 追 加 し た 。 こ れ に よ っ て B4Cに 吸 収 さ れ て い た 熱 中 性 子 が TLDに到達でき ると考えた。 1 1月 の 照 射 で 、 こ の 改 善 の 正 し さ を 確 認 で き た 。 Cf-252に よ る 照 射 結 果 と比較すると、原子炉からの中性子成分は、広いエネルギ一範囲にわたっていること がわかる。 Cf-252の 照 射 か ら は 得 ら れ な い 低 速 た 。. 8 6~. 中速成分に対する感度の評価ができ.
(9) Vol .4 5( 2 0 0 8 ). 近畿大学原子力研究所年報. 原子炉化学・放射化学に関する研究 研究総括責任者. 大阪大学大学院工学研究科 教授. 山中伸介. 原子炉化学・放射化学に関する研究では、平成 19年 度 は 下 記 の 3件の研究が採択、 実施された。. (1) 食 品 中 の ナ ト リ ウ ム と 塩 素 の 放 射 化 分 析. (2) 環 境 ト リ チ ウ ム の 化 学 形 弁 別 連 続 モ ニ タ リ ン グ に 関 す る 研 究 (3) 古 代 エ ジ プ ト 遺 物 中 微 量 元 素 の 中 性 子 放 射 化 法 に よ る 分 析 研 究 (1) は 過 去 数 年 間 実 施 さ れ て い る 一 連 の 研 究 で あ り 、 極 抵 出 力 原 子 炉 を 用 い て 献 立 お よ び 食 品 中 の Naと塩素. (CD の同時測定を行い、 Naか ら 換 算 し た 食 塩 量 と. Clか ら 換 算 し た 食 塩 量 を 求 め 、 各 種 食 品 中 の 値 に つ い て 比 較 検 討 し て い る 。 本 年 度 は 健康食品として食している、菓子である栄養調整食品に含まれる食塩量について検討 した。全食品ともに Naと CIが 検 出 さ れ た 。 ま た 、 前 回 ま で の 報 告 と 同 様 に 使 用 原 料 の一つに調味料(アミノ酸等)との表示があり、 Na量 か ら 算 定 し た 食 塩 量 の 方 が C l 量から算定した食塩量よりも高い値を得る傾向が認められた。栄養調整食品ー食分と して摂取する食塩量は製品によって差がみられるものの、ほぽ O . l gであった。但し、 一日の摂取量が多くなるとこの限りではない。 研 究 (2) は 、 大 気 環 境 に お け る ト リ チ ウ ム 化 合 物 に よ る 線 量 評 価 を 目 的 と し て 、 化学形態ごとに分別し、迅速補修するシステムの構築を行っている。本研究では、各 種ガス分離セルの分離性能について検討した。その結果、ガス分離セル大型は、約. 250ppmの 水 素 と メ タ ン を 含 む ガ ス を 2Lmin・2で 導 入 し て も 、 水 素 ガ ス は ほ ぼ 全 量 透 過し、非透過側には検出限界以下しか存在せず、水素とメタンの混合ガスから水素を 分離除去するために有用であることが見出された。また、同じガスについてガス分離 セ ル 小 型 に て ガ ス 分 離 を 行 っ た 場 合 、 透 過 側 の 水 素 ガ ス の 濃 縮 率 は 導 入 流 量 2Lmin.) でも約 50倍 、 導 入 流 量 4Lmin-1にすると約 80倍に遣することもわかった。よって、 今回用いたガス分離セルを利用することにより水素ガスを分離除去することが可能で あ り 、 現 在 市 販 さ れ て い る ト リ チ ウ ム ガ ス 検 出 器 の 検 出 限 界 1 .3XI0・3 を 10・5台にま で下げることが期待できる。 研 究 (3) は 、 近 代 炉 の よ う な 低 中 性 子 フ ラ ッ ク ス の 条 件 に お い て 、 古 代 エ ジ プ ト 遺物(ファイアンス)や砂等(主原料)の主元素・微量元素等の構成元素の特定を行 い、含有元素の分布状態からそれらの時代性・地域性の考古学的特徴を示唆できる指 標を見出すことの可能性について見当することを目的としている。今回分析した砂サ ンプルの種類(採取値域)は、エジプト・ナイル川流域の 1.Giza(ギザ)、 1.Thebes (テーベ)、 I I I . Dahshur (ダハシュー/レ)、 I V . Abu Simbel (アプシンベノレ)、. WhiteDesert (白砂漠)、 V I . Saqqara (サッカラ)、. v .. v n . CrystalMt . (クリスタル・. マウンテン)、咽. Black Desert (黒砂漠)の 8種 頼 に つ い て 行 っ た 。 分 析 サ ン プ ル 数がまだまだ少数であるため明確な判定はできないが、ナイルJ 1の 上 ・ 中 、 下 流 に お ウ t. o o.
(10) 付録 l. いて Na/Mn比と Al IMn比 と の 聞 に 3流 域 の 特 徴 を 示 唆 す る 関 係 が 見 ら れ た 。 今 後 サ ンプルを増加しつつ、その傾向の確認を行っていく。 以 上 の よ う に 、 原 子 炉 化 学 ・ 放 射 化 学 に 関 す る 研 究 は 三 件 あ る が 、 研 究 (1) は 放 射 化 分 析 法 の 食 品 科 学 へ の 応 用 と 正 確 な デ ー タ の 蓄 積 と い う 観 点 か ら 、 ま た 研 究 (2) は 3Hによる環境影響を正確に評価するために自然界での動態を把握しようとする点、 研 究 (3)は中性子放射化法による非破壊分析の考古学分野への応用という点から、 すべて重要な研究である。これら三件の今後のさらなる発展を期待する c. ~. 8 8~.
(11) Vol .4 5( 2 0 0 8 ). 近畿大学原子力研究所年報. (1)食品中のナトリウムと趨素の放射化分析 代表者:山本. 忠志(兵庫教育大学大学院学校教育研究科). 〔要約〕 健康に及ぼす食事の影響については量と質の両面から重要視され、過剰のナトリウ ム ( N a ) 摂取は血圧を上昇させる因子のーっとして健康管理上注意が払われている。 そ こ で 、 我 々 は 極 抵 出 力 原 子 炉 を 用 い て 食 品 中 の Naと塩素 ( c1)の同時測定を行い、. N aから換算した食境量と C lか ら 換 算 し た 食 塩 量 を 求 め 、 各 種 食 品 中 の 値 に つ い て 比 較 検討している。今回、菓子の栄養調整食品に含まれる食塩量について検討し、以下の 結果を得た。 1)全食品ともに N aとC lが検出された。 2 ) 前固までの報告と同様に使用原料の一つに添加物(アミノ酸等)との表示があ. り 、 Na量 か ら 算 定 し た 食 塩 量 の 方 が C l量 か ら 算 定 し た 食 塩 量 よ り も 高 い 値 を 得 る 傾向が認められたに 3 ) 菓子の栄養調整食品一食分として摂取する食塩量は製品によって差がみられるも. の の 、 ほ ぽO . l g程度であった。. (2) 環境トリチウムの化学形弁別連続モニタリングに関する研究 代表者:太田. 雅欝(新潟大学工学部). 〔要約〕 トリチウム. ( T ) 化 合 物 は 、 化 学 形 態 に よ り 排 気 の 濃 度 限 度 が 4桁異なっている。. したがって、放射線管理において、安全性および経済性を考慮し、合理的に行うため には、化学形態により分別し、それぞれの放射能濃度を測定する必要があり、 ウムの検出器として大気の共存下で計測可能な電離箱に着目し、. トリチ. トリチウムの化学形. 弁別連続モニタリングの開発を行ってきている。 これまで、ガス状トリチウム化合物を分離膜で分類することを検討し、パイコール ガラス管壁を利用して、大気にH TとH T Oの 共 存 す る ガ ス か ら H T Oを 分 離 除 去 で き る こ と を見出している。そこで、 H TとC H a Tの 分 離 方 法 を 検 討 す る こ と が 課 題 と し て 残 っ て い る。昨年度、中空糸製分離膜を用いたガス分離セルについて、分離性能を検討した が、まだ、両ガスからどちらか一種類のガスを無視できる程度に除去したガスを得る 状況には至っていない。 そこで、本研究では、各種ガス分離セルの分離性能について検討した。 その結果、ガス分離セル大型は、約2 5 0 p p mのH H . ,を含むガスを 2 L m i n寸で導入して 2とC も、民はほぼ全量透過し、非透過側には検出限界以下しか存在せず、 H H4の 混 合 ガ 2とC スから H zを 分 離 除 去 す る た め に 有 用 で あ る こ と が 見 出 さ れ た 。 ま た 、 ガ ス 分 離 セ ル 大 型 の 透 過 ガ ス を ガ ス 分 離 セ ル 小 型 で さ ら に ガ ス 分 離 を 行 う と 、 透 過 側 の H2の 濃 縮 率 は 導入流量 2 L m i n -1でも約 5 0倍 、 導 入 流 量4 L m i n -1にすると約 8 0倍に遣することもわかった。 これらの事実から、今回用いたガス分離セルを利用することにより、 H2を 分 離 除 去 することが可能であり、現在市販されているトリチウムガス検出器の検出限界 1 .3X 1 O-3を 1 0・5台にまで下げることが期待できる。 -8 9-.
(12) 付録 l. (3) 古代エジプト遺物中微量元素の中性子放射化法による分析 代表者:吉田. 茂生(東海大学工学部). {要約〕 本研究は近大炉のような低中性子フラックスの条件において、古代エジプト遺物 (ファイアンス)や砂等(主原料)の主元素・微量元素等の構成元素の特定を行い、 含有元素の分布状態からそれらの時代性・地域性の考古学的特徴を示唆できる指標を 見出すことの可能性について検討することを目的としている。今回分析した砂サンプ ルの種類(採取地域)は、エジプト・ナイル川│流域の 1. G iza (ギザ)、 s. Thebes (テーベ)、皿. Dahshur (ダハシュール)、 I V . Abu Simbel (アプシンベル)、 V. I . Saqqare (サッカラ)、 Whit e Desert (白砂漠)、 V. v n .Crystal Mt.. (クリスタル・マ. ウンテン)、咽. Black Desert (黒砂漠)の 8種 類 に つ い て 行 っ た 。 分 析 サ ン プ ル 数 が まだまだ少数のため明確な判定はできないが、ナイル川の上・中・下流においてN a / Mn比と Al/Mn比 と の 聞 に 3流 域 の 特 徴 を 示 唆 す る 関 係 が 見 ら れ た 。 今 後 サ ン プ ル 数 を. 増加しつつ、その傾向の確認を行っていく。. -9 0.
(13) Vo l .4 5( 2 0 0 8 ). 近畿大学原子力研究所年報. 生物の放射線影響に関する研究 研究総括責任者. 鳴門教育大学学校教育学部 教授米津義彦. 平成 1 9年 度 の 生 物 の 放 射 線 影 響 に 関 す る 研 究 は , 昨 年 度 よ り 1件 増 え て , 計 1 0件の 課題で実施された。生物系の研究課題は次の通りであるり. 3- 1 米 津 義 彦 ほ か 4名. 速中性子による植物の染色体突然変異の研究. 3 - 2 谷 口 研 至 ほ か 3名. 速中性子による植物培養細胞の突然変異研究. 3 - 3 吉 田 茂 生 ほ か 5名. 低線量放射線照射による細胞損傷・修復機構と刺激効 果に関する基礎的研究. 3 - 4 高 井 明 徳 ほ か 3名. 中性子線による魚類細胞における小核誘発に関する 研究. 3 - 5 被 岸 友 恵 ほ か 2名. ショウジョウパエ体細胞の放射線誘発傷害とアポトー シスに関する研究. 3 - 6 河 井 一 明 ほ か 4名. 放射線被曝による生体過酸化物生成とその防御. 3 - 7 野 村 大 成 ほ か 6名. 核分裂放射能によるヒト臓器・組織傷害の発生機構. 3 - 8 松 本 義 久 ほ か 1名. 中性子線による D N A損 傷 と そ の 修 復 の 分 子 機 構. 3 - 9 金 田 安 史 ほ か 3名. 中性子捕捉療法のためのホウ素化合物ドラッグデリパ リーシステムの開発. 3-10 谷 口 善 仁 ほ か 3名. p53欠 損 メ ダ カ に 対 す る 中 性 子 照 射 の 次 世 代 へ の 影 響. これらの生物系の研究課題は,. (1) 放射線の生物作用の解明,. (2) 放 射 線 の 生. 物 モ ニ タ 一 系 の 開 発 , 及 び (3) 放 射 線 医 療 シ ス テ ム の 開 発 に 大 別 さ れ る が , 以 下 に 平成 1 9年 度 の 研 究 成 果 の 概 要 を 示 す. u. (1) 放 射 線 の 生 物 作 用 の 解 明. 谷 口 ら ( 研 究 計 画 3- 2) は , 平 成 1 5年 度 か ら 開 始 し た ア ラ ピ ド プ シ ス ( シ ロ イ ヌ ナズナ)の培養細胞からの温度感受性株の分離のための条件の検討を引き続き行って い る 。 昨 年 度 ま で に , 放 射 線 照 射 後 の 突 然 変 異 濃 縮 の た め の BrdU処 理 の 条 件 の 検 討 が 終 了 し , 本 年 度 は , 温 度 感 受 性 突 然 変 異 体 を 効 率 よ く 選 抜 す る た め の X線照射条件と. Brd仁 処 理 に よ る 突 然 変 異 体 の 濃 縮 条 件 に つ い て 検 討 を 行 っ て い る 。 そ の 結 果 , 二 次 選 肢を行った 50系統のうち, 26系 統 の 温 度 感 受 性 突 然 変 異 体 を 得 て い る ο また. BrdI . : 処 理 に よ る 突 然 変 異 体 の 濃 縮 効 率 は ほ ぼ 50%に 遣 し , 温 度 感 受 性 突 然 変 異 体 の 誘 導 技 術 がほぼ確立された。 吉岡ら (3- 3) は , 低 線 量 の 放 射 線 の 生 物 影 響 , 特 に 「 放 射 線 ホ ル ミ シ ス 効 果 j を検討するために,昨年度に引き続いて,酵母i 萄. S a c c b a r o m y c e sc e r e v i s i a eの 3系. 統 , す な わ ち 野 生 株 の S288Cと , 放 射 線 感 受 性 株 の rad18及 び rad50-} を 用 い て , 酵 母 -9 1.
(14) 付録 l. 菌 の 倍 加 時 間 を 指 標 と し て 実 験 を 行 っ て い る 。 そ の 結 果 . 吸 収 線 量 2Gy以 下 の 線 量 域 では,効果比(非照射酵母菌の倍加時間(分) /照射酵母菌の倍加時間(分) ) は , い ず れ の 系 統 で も ほ ぼ 1で あ り , 昨 年 度 の 結 果 を 追 認 し た 。 し か し. 2 Gyを 越 え る 線 量. 域 で は 昨 年 度 の 結 果 ( 効 果 比 > 1) を 確 認 す る デ ー タ が 得 ら れ な か っ た 。 今 後 , さ ら に継続して実験を繰り返す必要がある。 根岸ら (3- 5) は . シ ョ ウ ジ ョ ウ パ エ の 複 数 の DNA障害修復欠損株を用いて, X線 照射後のアポトーシス誘導と突然変異の誘導について一連の研究を行っている。これ までの研究で,尿酸欠損株. ( y vm a J ) は酸化傷害が細胞障害の要因になっているが.. 他 の 尿 酸 欠 損 株 (fy50o) は 野 生 株 と 違 い が 見 ら れ な か っ た の で . 本 年 度 は 新 た に 別 の 尿 酸 欠 損 株 (ryJ) を 入 手 し て 実 験 を 行 っ て い る 。 そ の 結 果 , fyJ 株は比較的感受性 が高く,その尿酸量も低かったが. I. fy50o株 は , 尿 酸 含 量 も 高 く , 野 生 株 よ り 抵 抗 性. があったので,この株は継代中に野生型に復帰したものと推定している。また,スー ノぐーオキサイドデスムターゼ (50D) 欠 損 株 は , 野 生 株 に 比 べ て 酸 化 障 害 の 感 受 性 が 高 く , ス ー パ ー オ キ サ イ ド ア ニ オ ン が X線 酸 化 障 害 に 関 わ っ て い る 可 能 性 が 支 持 さ れ た c 河井ら (3- 6) は , 放 射 線 の 生 体 影 響 の 一 つ で あ る 酸 化 ス ト レ ス を 低 減 す る た め に,食品のもつ抗酸化作用に注目し,食品の抗酸化作用による放射線障害防除の可能 性 に つ い て 検 討 し て い る 。 生 体 内 酸 化 ス ト レ ス マ ー カ ー と し て .DNA中の 8ーヒドロキシ デ オ キ シ グ ア ノ シ ン (8-0B-dG) が 用 い ら れ て い る が . 測 定 法 に よ っ て 感 度 や 精 度 に 違 い が あ り , 結 果 の 評 価 を 複 雑 に し て い る 。 今 回 DNAサ ン プ ル の 保 存 温 度 を 低 温 に す る I. こ と に よ っ て 測 定 精 度 を 改 善 す る と と も に , 尿 中 に 含 ま れ る 8-0B-dG と そ の 遊 離 塩 基 である 8-ヒ ド ロ キ シ グ ア ニ ン (8-0H-Gua)の全自動分析技術を開発した。これにより, X 線 を 全 身 照 射 し た マ ウ ス の 尿 中 の 8-0H-Guaを精度よく分析することが可能になり,. 新しい生体内酸化マーカーとして使用できることが示された円 野 村 ら (3 ー 7) は , ヒ ト 臓 器 ・ 組 織 に 対 す る 拒 絶 反 応 を な く し た 超 重 度 複 合 免 疫 不全マウス (super-SCIDマ ウ ス ) を 用 い て , 宇 宙 船 あ る い は 宇 宙 基 地 で 浴 び る で あ ろ う宇宙放射線中の微量中性子線のヒト臓器・組織への影響を調べるとともに,宇宙か らの帰還後を想定して,放射線照射を受けた少数の雄と無照射の多数の雌との交配に よる次世代への影響の基礎的評価を行っている。照射雄と無照射雌の F Jで は 線 量 依 存 的にマイクロサテライト突然変異が誘発されるとともに,白血病が有意に増加するこ とを見いだしている。 松本ら (3- 8) は,中性子線による DNA損 傷 の 特 徴 と そ の 修 復 の 分 子 機 構 を 明 ら か にする目的で. I. XRCC4欠損細胞,正常 XRCC4導 入 細 胞 DNA-PKに よ る リ ン 酸 化 部 位 欠 損 XR I. CC4導 入 細 胞 に 原 子 炉 放 射 線 を 照 射 し , コ ロ ニ ー 形 成 法 で そ の 生 存 率 を 調 べ て い る 。 本. 年度は, DNA-PKに 対 す る 限 害 剤 NU7026及 び 類 縁 分 子 ATMの限害剤 Kl '55933, さ ら に 両 者 に対する~1l害剤 wortmannin の効果を検討している。その結果,原子炉中性子線による. DNAの 損 傷 の 修 復 に XRCC4の 調 節 に DNA-PKとATMの両方がそう補的に関わっていること,. 及 び $2,S3が DNA-PKとATMに よ る 主 な 標 的 部 位 で あ る が , さ ら に 別 の 標 的 部 位 も 考 え ら れることなどを明らかにした。 谷口ら (3-10) は , DNA損 傷 の 修 復 過 程 を 解 明 す る た め に . DNA修 復 機 能 が 欠 損 し たメダカを用いて研究を行っている。すなわち,細胞周期停止や細胞死の誘導など, 9 2.
(15) Vo l .4 5( 2 0 0 8 ). 近畿大学原子力研究所年報. 生 体 の 放 射 線 応 答 に 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る p53遺 伝 子 を 欠 出 し た メ ダ カ (p53ノッ. .8Gy又は 1 . 6Gyの 中 性 子 線 を 照 射 し た と こ ろ . 鯨 細 胞 の 小 核 数 クアウトメダカ)に 0. 4時間後では,野生型の1.6 4 " ' " '1 .6 7倍 で あ っ た 。 照 射 4 8時間後では, 2 4時間 は,照射 2 後に比べて,小核数は減少したが, p53ノ ッ ク ア ウ ト メ ダ カ の 方 が 野 生 型 よ り も 多 い と いう傾向は変わらなかった。一方,生殖細胞系列に対する中性子線の影響は,使用し た線量において,雌はほとんど不妊となり,雄も受精率がかなり低下した。わずかに 受精し,発生した個体はそのほとんどで発生異常が観察されたが,詳細な分析には至 っていない。. (2) 放 射 線 の 生 物 モ ニ タ 一 系 の 開 発 米津ら (3- 1) は , ヌ マ ム ラ サ キ ツ ユ ク サ ( ツ ユ ク サ 科 ) の 花 粉 母 細 胞 を 生 物 検 量計として使用するための基礎的研究の一環として.花器の形態異常を効率よく誘発 するために,照射線量と挿し穂の生存率の関係を調べている。照射後の挿し穂を恒温 室で生育させたにもかかわらず,線量に依存した生存率曲線が得られていないごしか , 1 .2Gy程度(中性子線と γ 線の合計線量)と推定している。 し,挿し穂の L 050は 高井ら (3- 4) は , 魚 類 の 種 々 の 臓 器 細 胞 を 用 い た そ ニ タ ー 系 の 開 発 を 試 み て い る。本年度は,メダカの腎臓細胞を用いた小被試験について,小駿頻度の性差や体重 と の 相 関 を 明 ら か に す る た め に . ヒ メ ダ カ 当 年 魚 の 成 熟 個 体 を 用 い , 無 処 理 群 と X線. 4Gyを全身照射後 2 4時 間 目 の 個 体 群 の 腎 臓 細 胞 に お け る 小 核 の 頻 度 に つ い て 検 討 し .5%0,雌 2.9%0で有意な性差は ている。その結果, x線 4Gy照 射 群 の 小 核 頻 度 は , 雄 2 認められなかった。また,無処理群,照射群ともに小核頻度は体重に依存せず,ポア ソン分布から期待される分布とほぼ一致し,メダカの腎臓細胞を用いる小核試験系は, 偲細胞を用いる系と同様,変異原の検出系として信頼できるものとしている。. (3) 放 射 線 医 療 シ ス テ ム の 開 発 金田ら (3- 9) は , 悪 性 脳 腫 揚 , 悪 性 黒 色 腫 な ど の 臨 床 治 療 に 用 い ら れ て い る ホ ウ素中性子捕捉療法 (BNCT)に 有 効 な ホ ウ 素 化 合 物 と そ の 投 与 シ ス テ ム を 開 発 す る た め の基礎的研究を行っている。本年度は, α線による DNA二 重 鎖 切 断 の 損 傷 を 計 測 可 能 か どうかを検討するために,既知濃度の DNAプ ラ ス ミ ド に ホ ウ 素 10濃縮型の Sodium borocaptate (BSH), Boric Acid (BA)を混じ,照射を行った。. 2回 の 実 験 の う ち. 1. 回は BSH存 在 下 で プ ラ ス ミ ド DNAの 形 状 変 化 が 示 唆 さ れ た が , 他 の 実 験 で は 形 状 変 化 が 検出されなかった。これは照射時間を延長した影響と考えられるが, の影響も否定できず.さらに検討を加える必要があるとしている。. 9 3. γ線 や 中 性 子 線.
(16) 付録 l. (1)速中性子による植物の染色体突然変異の研究 代表者:米津義彦(鳴門教育大学学校教育学部) 〔要約〕 平成 1 9年 度 は 、 ツ ユ ク サ 科 T r a d e s c a n t i α、 カ ヤ ツ リ グ サ 科 C αr e xな ど を 用 い て 、 新 しい染色体突然変異を作出する実験や放射線の生物検量計として有効な実験植物の探 索などの研究が行われた。. r a d e s c αn t iαp a l u d o sαの 花 粉 母 細 単子葉植物のツユクサ科ヌマムラサキツユクサ T . 4. . . . 胞を生物検量計として使用するための基礎的データを得るために、挿し穂、に、 0. 2 . 4 G yの 原 子 炉 放 射 線 ( 中 性 子 線 と y線 が 同 線 量 混 合 し た も の ) を 照 射 し 、 5ヶ月文は 4ヶ 月 後 に 挿 し 穂 の 生 存 率 を 調 べ た. t. その結果、線量に依存した生存率曲線(生存率. は対照群の生存率で補正したもの)は得られなかった。今年度は照射後の温度など 栽培条件を一定に制御できる条件下で実験を行っており、その原因は不明である。 た だ 、 挿 し 穂 の LD50は、1.2 G y程 度 ( 原 子 炉 内 の 中 性 子 線 と Y 線の合計線量)と推定さ れ、外部形態、特に花器異常の突然変異体を有効に誘発する線量の目安となるもので ある。. (2) 速中性子による植物培養細胞の突然変異研究 代表者:谷口. 研至(広島大学大学院理学研究科). 〔要約〕 植物の温度感受性突然変異細胞培養系を用いた細胞周期に関する研究について、 我々は独自の研究を進めてきた。現在まで本共同研究によりクレピス属植物の組織培 養苗条原基を用いた突然変異誘導技術の確立を行い、細胞周期に関する温度感受性. 0 0 3 突然変異系統の確立とそれらの特性解析を行ってきた。この技術的基盤をもとに2 年度からは遺伝子の解読が完了しているアラピドプシスの苗条原基を作出し、これか ら温度感受性突然変異体を選抜する研究を開始した。今回は昨年までに確立したアラ ピ ド プ シ ス 首 条 原 基 の 温 度 感 受 性 突 然 変 異 体 選 抜 の た め の X 線 処 理 条 件 と BrdUによる 変異の濃縮操作条件をもとに濃縮苗条原基からの温度感受性突然変異体を選抜する検 討 を 行 っ た 。 二 次 選 抜 を 行 っ た 50系 統 の う ち 26系 統 の 温 度 感 受 性 突 然 変 異 体 が え ら れ た。今回の実験で、 BrdUに よ る 変 異 細 胞 の 濃 縮 が 効 率 は ほ ぼ 50%と 、 非 常 に 高 い 濃 縮 効率が得られたことから、温度感受性突然変異体の誘導技術がほぼ確立できた。. -9 4-.
(17) Vol .4 5( 2 0 0 8 ). 近畿大学原子力研究所年報. (3) 低線量放射線による細胞損傷・修復機構と刺激効果に関する. 基礎研究 代表者:吉田. 茂生(東海大学工学部). 〔要約〕 中性子線は高L E T放 射 線 で あ り 、 低 L E T放 射 線 の X線・ Y 線とは生物への影響も大き く異なることが推定できる。反して放射線影響は有害なものばかりでなく、低線量照 射 の 場 合 は 有 益 な 効 果 も し く は 刺 激 的 な 効 果 を も た ら す と し た f放 射 線 ホ ル ミ シ ス 効 果 Jの 存 在 が 関 わ れ 、 数 多 く の 実 証 研 究 、 発 現 メ カ ニ ズ ム の 解 明 に 関 す る 研 究 が 行 わ れているが、再現性等にて充分な結果を示すことができていない。当研究室において は培養方法等が確立された酵母菌を用い、細胞への中性子による照射効果(損傷・修 復 ・ 刺 激 効 果 ) を 分 析 し て い る 。 今 回 使 用 し た 酵 母 菌 は 野 生 株 の S288C、 高 放 射 線 感 受 性 の rad18、 rad50-1の 3種 類 で あ る 。 今 年 度 は 昨 年 度 行 っ た 同 線 量 ・ 線 量 率 で の 酵 母薗への照射を行い、その後の酵母菌増殖の倍加時間の変化にて比較を行った。結果 として 2Gy以 下 の 線 量 域 で 効 果 比 = 1で あ る こ と の 再 現 性 は 確 認 で き た 。 し か し な が ら、昨年度 2Gyを 超 え る 線 量 域 に て 効 果 比 > 1と な る 傾 向 が 見 ら れ た が 、 今 年 度 の 2 回の実験のいずれからもそれを確認できるデータを得ることができなかった。. (4) 中性子線による魚類細胞における小核誘発に関する研究 代表者:高井. 明徳(大阪信愛女学院短期大学). 〔要約〕 メダカの腎臓細胞を用いた小核試験について、小核頻度の性差や体重との相関を明 らかにするために、ヒメダカ当年魚の成熟個体を用い、無処理と 4 G yの X線 を 全 身 照 射後 24時 間 の 個 体 群 の 腎 臓 細 胞 に お け る 小 核 の 頻 度 に つ い て 検 討 を 行 っ た 。 個 体 数 は 各 実 験 群 30個 体 を 用 い 、 各 個 体 よ り 採 取 し た 腎 臓 は 血 清 中 で 破 砕 し 、 塗 抹 標 本 を 作 成 した。標本は acridine orangeで 染 色 し 、 蛍 光 顕 微 鏡 下 で 細 胞 質 が 赤 く 染 色 さ れ た 細 胞 について、細胞質中に現れる黄色の小球を小核として検出した。小核を有する細胞の 数 の 総 観 察 細 胞 数 に 対 す る 相 対 比 を MNC頻度とした。 無 処 理 個 体 の 鯨 細 胞 に お け る MNC頻 度 は 雄 0.3%0 (5/15000)、 雌 0.5%0 (7/15000) で 雌 雄 聞 に 有 意 な 性 差 は 示 さ れ な か っ た 。 X 線 を 全 身 照 射 後 24時 間 の 個 体 の MNC頻 度 は 、 雄 が 2.5恥. (40/16000)、 雌 が 2.9%0 (41/14000) で 有 意 な 性 差 は 認 め ら れ な か っ. た。また、無処理群、 X 線 処 理 群 の い ず れ に お い て も MNC頻度は、体重に依存せず、 その分布はポアソン分布から期待される分布とほぼ一致した。腎臓細胞と鯨細胞の小 核頻度を比較すると、両組織における小核頻度の間には相関は示されず、両組織にお ける小核出現はランダムに独立して生じていることが示された。ただし、腎臓細胞の 小核頻度は偲細胞に比べ有意に低い値を示した。これらの結果は、メダカの腎臓細胞 を用いる小核試験系は鯨細胞を用いる場合と同様、変異原の検出系として信頼できる ものであることを示す。 同. h 戸 d. nd.
(18) 付録 1. (5) ショウジョウバエ体細胞の放射線誘発傷害とアポトーシスに 関する研究 代表者:根岸. 友悪(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科). 〔要約〕 X線 の 生 物 影 響 に つ い て 、 こ れ ま で 体 細 胞 に 誘 起 さ れ る ア ポ ト ー シ ス と 突 然 変 異 に. 注 目 し て 研 究 を 行 っ て き た 。 昨 年 度 と 一 昨 年 度 、 尿 酸 欠 損 株: yvm a Iが 、 X線 照 射 に 対 して野生株より致死感受性が高いことが確かめられ、細胞傷害には尿酸により消去さ れる活性酸素種の関与が示唆された。しかしながら、他の尿酸欠損株として入手した. ry506 株 は 野 生 株 と 違 い が 見 ら れ な か っ た の で 、 同 じ 遺 伝 子 座 η の 他 の 株 ryJ、 な ら び に 閉 じ く 酸 化 傷 害 に 感 受 性 と 考 え ら れ る ス ー バ ー オ キ サ イ ド デ ス ム タ ー ゼ (SOD) 欠 損株 2種における X線感受性を調べた。 その結果、 r y l株 は 比 較 的 感 受 性 が 高 く 、 そ の 尿 酸 量 も 低 か っ た 。 一 方 従 来 の ゆ506 株 は 原 酸 含 量 も 高 く 、 野 生 株 Oregon-Rよ り も 抵 抗 性 で あ っ た の で 、 こ の 株 は お そ ら く 継 代 中 に 野 生 型 に 復 帰 し た も の と 考 え ら れ る 。 SOD欠 損 株 は 野 生 株 (Oregon-R) に比 べ て 感 受 性 が 高 か っ た の で 、 ス ー パ ー オ キ サ イ ド ア ニ オ ン が X線 酸 化 傷 害 に 関 わ っ て いる可能性が支持された。. (6) 放射線被曝による生体過酸化物質生成とその防除 代表者:河井. 一明(産業医科大学産業生態科学研究所). 〔要約〕 DNA中8ーヒドロキシデオキシグアノシン (8-0H-dG) は 、 生 体 の 酸 化 ス ト レ ス の 指 標. と し て 広 く 用 い ら れ て い る 。 ま た 、 近 年 、 尿 中 の かOH-dGレ ベ ル が 、 生 体 内 酸 化 ス ト レスマーカーとしてヒトの試料に対し数多く測定されるようになった。酸化ストレス は、放射線被曝影響のーっとして重視されており、精度の高い分析方法の確立が被 曝影響の評価・応用に不可欠といえる。本研究では、 DNA中8-0H-dGの 分 析 サ ン プ ル の 保 存 温 度 を 低 温 に す る こ と で 精 度 を 改 善 し 、 低 線 量 X 線 照 射 マ ウ ス の 臓 器 DNA中8-0HdGを 、 照 射 線 量 依 存 的 に 検 出 す る こ と を 可 能 と し た 。 ま た 、 尿 中 の 酸 化 ス ト レ ス マ ー. カ ー と し て 従 来 か ら 測 定 さ れ て い る 8-0H-dGの 分 析 精 度 の 向 上 に 加 え 、 そ の 技 術 を 応 用して新たに 8-ヒドロキシグアニン(遊離塩基) (8-0H-Gua) の 全 自 動 分 析 技 術 を 開 発 した。それにより、 X 線 を 全 身 照 射 し た マ ウ ス の 、 尿 中 に 生 じ る 遊 離 塩 基 8-0H-Guaを 精度良く測定することができた。 8-0H-Guaは 、 尿 中 の み な ら ず 血 清 中 の 分 析 も 可 能 で あり、今後新しい生体内酸化ストレスマーカーとして注目されるや. nhU. Q υ.
(19) Vol .4 5( 2 0 0 8 ). 近畿大学原子力研究所年報. (7) 核分裂放射能によるヒト臓器・組織障害の発生機構 代表者:野村. 大成(大阪大学大学院医学系研究科). 〔要約〕 ヒ ト 臓 器 ・ 組 織 に 対 す る 拒 絶 反 応 を な く し た 超 重 度 複 合 免 疫 不 全 マ ウ ス (superSCIDマ ウ ス ) を 作 成 し 、 ヒ ト 臓 器 ・ 組 織 機 能 を 数 年 に わ た る 継 代 維 持 を 可 能 に し た 究. 極の人体影響評価システムを用い、ヒト甲状腺、ヒト肺、ヒト骨髄への放射線被曝、 特に、宇宙放射線による飛朔体内のとト被曝の主たる放射線である中性子線被場によ るヒト組織の形態、機能、遺伝子変異、遺伝子発現への影響を把握し、軌道上、ある いは宇宙基地利用実験の準備を行った。また、本研究では、長期宇宙生活や宇宙より の帰還後を想定し、放射線照射を受けた少数の雄マウスを多数の雌マウスと交配し、 次世代への影響を、高精度マイクロサテライト遺伝子突然変異検出法を用い調査を 行った。その結果、低線量中性子線の次世代影響(突然変異)を有意に検出すること に初めて成功した。また、白血病も高率に誘発されている。. (8)中性子線による DNA損傷とその修復の分子機構 代表者:松本. 義久(東京工業大学原子炉工学研究所物質工学部門). [要約〕 本研究の目的は、 XRCC4欠 損 細 胞 、 正 常 XRCC4導 入 細 胞 お よ び DNA-PKに よ る リ ン 酸 化 部 位 欠 損 XRCC4導 入 細 胞 を 用 い て 、 中 性 子 線 の DNA損 傷 の 特 徴 と そ の DNA修 復 機 構 を 明 らかにすることである。 1 9年度は、 DNA-PKお よ び 類 縁 分 子 ATMの 阻 害 剤 の 効 果 を 検 討 した。 DNA-PK阻 害 剤 と し て は NU7026、ATM阻 害 剤 と し て は KU55933を そ れ ぞ れ 用 い 、 更 に 、 両 方 に 作 用 す る 阻 害 剤w ortmanninの 効 果 も 併 せ て 検 討 し た 。 薬 剤 添 加 1時 間 後 に 原子炉に挿入し、. l W出 力 下 で 4時 間 の 照 射 を 行 っ た 後 、 細 胞 生 存 率 を コ ロ ニ ー 形. 一CMV細 胞 に お い て は 、 い ず れ の 成法で評価した。その結果、 XRCC4を 欠 損 し て い る MI0 阻 害 剤 も ほ と ん ど 増 感 作 用 を 示 さ な か っ た 。 正 常 な XRCC4を 導 入 し た MIO-XRCC4細 胞 で は 、 間 7026、 KU55933は ほ と ん ど 照 射 後 生 存 率 に 影 響 を 与 え な か っ た が 、 w ortmanninは 明らかな増感作用を示した。 DNA-PKに よ る リ ン 酸 化 部 位 を 欠 損 す る MI0-S2、 3A細 胞 で. ortmanninの み 増 感 作 用 を 示 し も同様に、 NU7026、KU55933はほとんど影響を与えず、 w た が 、 増 感 の 程 度 は MIO-XRCC4' こ 比 べ て 小 さ か っ た 。 こ れ ら を 総 合 す る と 、 (1) こ の 照 射 場 で 生 じ た DNA損 傷 の 修 復 に XRCC4の調節に DNA-PKとATMの 両 方 が 相 補 的 に 関 わ っ て い る こ と 、 (2) S2、S3が DNA-PKとATMに よ る 主 な 標 的 部 位 で あ る が 、 更 に 別 の 標 的 部 位があること、が考えられた。 9 7.
(20) 付録 l. (9)中性子捕捉療法のためのホウ素化合物ドラッグデリパリー. システムの開発 代表者:金田. 安史(大阪大学大学院医学系研究科). 〔要約〕 ホ ウ 素 中 性 子 捕 捉 療 法 (Boron Neutron Capture Therapy:BNCT)の治療効果を高め るためには、腫蕩/血液比の高いホウ素化合物分布を実現する必要がある。我々は従 来遺伝子導入用に大阪大学遺伝子治療学教室で独自に研究開発された粒子をもちいた 新規ホウ素ドラッグデリパリーシステムの検討を行っており、中性子照射によって性 能試験が可能かどうかの、基礎実験を行った。 ア ル フ ァ 線 に よ る DNA二重鎖切断の損傷を計調,j I可 能 か ど う か 検 討 す る た め 、 既 知 濃 度の DNAプ ラ ス ミ ド に B10濃 縮 型 の Sodiumborocaptate ( B S H )、BoricAcid ( B A ) を混じ、 照 射 し た 。 実 験 1によれば、 BSH存 在 下 で は 、 プ ラ ス ミ ド DNAは 2本 の バ ン ド に 分 か れ た 。 リ ン グ 状 の DNAが BSH存 在 下 で 形 態 変 化 を 生 じ て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ る 。 照 射 時 間 と の 関 連 は 明 ら か で な か っ た 。 実 験 2に お い て は 、 照 射 時 間 を 延 長 し た 影 響 か 、 実 験 1 と様相が全く異なり、 DNAは バ ン ド と し て は 検 出 で き な か っ た 。 ガ ン マ 線 や 中 性 子線の影響も否定できなし、。照射した際の温度変化や、環境設定について実験条件を 洗いなおし、検討を加える必要がある。. ( 10 ) p53欠損メダカに対する中性子照射の次世代への影響 代表者:谷口. 善仁(京都大学大学院医学研究科). 〔要約〕 DNA損 傷 の 修 復 過 程 を 研 究 す る 場 合 、 野 生 型 の 細 胞 や 個 体 で は 、 生 じ た DNA損 傷 は 大. 方 修 復 さ れ る た め に 、 そ の 効 果 が 表 出 さ れ る に は 高 線 量 の 曝 露 を 要 す る 。 一 方 、 DNA 修復機能が欠損した細胞もしくは動物を使用すれば、放射線の生物作用をより鋭敏に 検出することができる。我々は、古くから放射線の効果を研究するためのモデル動物 として用いられてきたメダカに着目し、突然変異をベースとした遺伝子破壊系を構築 した。そして、細胞周期停止や細胞死の誘導など、生体の放射線応答に重要ながん抑 制 遺 伝 子 で あ る p53遺 伝 子 を 欠 失 し た メ ダ カ を 作 製 し た 。 こ の p53ノ ッ ク ア ウ ト メ ダ カ を0.8ないし1.6Gyの 中 性 子 に 曝 露 し た と こ ろ 、 体 細 胞 被 爆 の 鋭 敏 な 指 標 で あ る 偲 細 胞 の 小 核 の 数 は 、 照 射2 4時間後に野生型の1.64-1 .6 7倍 上 昇 し た 。 照 射 後 4 8時間では、 両者とも小核の数は減るが、 p53の ほ う が 野 生 型 の 小 核 の 数 よ り 多 い と い う 傾 向 に 変 わりはなかった。一方、生殖細胞系列に対する中性子の影響は、使用した線量におい てメスは殆ど不妊となり、オスも受精率がかなり低下した。わずかに授精したものに 関しては発生異常が顕著であるが、数が少ないために統計的な解析を行うまでに至っ ていない。 9 8.
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