• 検索結果がありません。

JAIST Repository: 日本のナショナル・イノベーション・エコシステムにおける共進化ダイナミズム

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "JAIST Repository: 日本のナショナル・イノベーション・エコシステムにおける共進化ダイナミズム"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

日本のナショナル・イノベーション・エコシステムに

おける共進化ダイナミズム

Author(s)

福田, 佳也乃; 渡辺, 千仭

Citation

年次学術大会講演要旨集, 23: 598-601

Issue Date

2008-10-12

Type

Conference Paper

Text version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/10119/7634

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す

るものです。This material is posted here with

permission of the Japan Society for Science

Policy and Research Management.

(2)

2B13

日本のナショナル・イノベーション・エコシステムにおける

共進化ダイナミズム

○福田佳也乃(科学技術振興機構)

、渡辺千仭(東工大社会理工学)

1. 背 景

1.1 イノベーション政策の現状

今日、イノベーション戦略は世界中、国を挙げての優 先課題になっている。日本でも 3 期にわたる 科学技術 基本計画や産学連携法等、イノベーション・競争力回復 の施策を推進してきた(表 1)。これらの取り組みは、 企業の研究開発離れに歯止めをかけ、再活性化にも貢献 したと評価されている。その反面、研究開発バブルの兆 候や成功・失敗企業間に二極化(図 1)等の陰の面が懸 念されている。 表 1. 日本の主なイノベーション政策(1990 年代、2000 年代) 1990 年代 1995 年 科学技術基本法 1996 年 第 1 期科学技術基本計画(1996-2000) 1997 年 国の研究開発全般に共通する評価の実施 方法の在り方についての大綱的指針 1998 年 大学等技術移転促進法 産業科学技術研究開発制度 1999 年 産業活力再生特別措置法 2000 年代 2000 年 国家産業技術戦略 産業技術強化法 2001 年 中央省庁等改革 第 2 期科学技術基本計画(2001-2005) 2002 年 21 世紀 COE プログラム 2004 年 国立大学法人化 2006 年 第 3 期科学技術基本計画(2006-2010) 2007 年 イノベーション 25 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0 19861987 198819891990 199119921993 19941995 1996199719981999 20002001 200220032004 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0 19861987 198819891990 199119921993 19941995 1996199719981999 20002001 200220032004

Return on Asset (ROA)

Standard deviation of ROA 総資本事業利益率(ROA) 図 1. 日本の総資本事業利益率とその標準偏差推移(1986-2004).

1.2 日本のイノベーション・ダイナミズムの

変遷

かつて日本が、政府の産業技術に対する触媒機能と産 業の旺盛な学習とその発展改良のバランスを軸に精妙 な発展を堅持し、90 年代のロストディケードの中でこ のかけがえのないシステムが失われたと懸念される。そ の一方、2000 年代に入り政府の触媒機能も再活性化し て、本来の強みと学習成果が触発され、両者が融合して 以前よりも強靭なハイブリッド・システムに脱皮したと の評価も現出している。 表 2. 2000 年代の日本の競争力に関する主な指摘

National Intelligence Council(2004)

“Mapping the global future”

The Economist (2005)

“The sun also rises”

The International Herald Tribune (2006)

“Hybrid management strategy fusing east and west”

The Economist (2007)

“Success of hybrid management”

1.3 仮説的見解

以上の認識に基づき、下記の仮説的見解を実証する。 (1) 日本の政府の産業技術支援はハイブリッド技術経 営を触発する機能を内包しており、その機能は(i) 企業の潜在的な学習意欲を活性化、(ii) 触媒的機 能を内包し、学習との相乗効果が発揮されれば、企 業の独自の強みを触発、(iii) 両者がマッチすれば、 企業の独自の強みと学習能力を融合したハイブリ ッド技術経営を誘発、との過程を経て発揮される。 (2) 日本のインスティテューショナル・システムは、効 果的なイノベーションに対する復元力を内包して いる。 (3) 日本企業の技術革新軌道はハイブリッド技術経営 へのマッチングに応じて二極化している。

2. 政府産業研究開発支援のハイブリッ

ド技術経営を触発する機能

2.1 先進 5 カ国の資源配分と投資の重点

先進 5 カ国(日・米・独・仏・英)の資源配分と投資 の重点を図 2 に示す。日本は、国全体としての研究開発

(3)

費が大きい。また、産業研究開発強度が大きく、政府支 援は小さいことが特徴的である。さらに、日本では政府 支援は安定的であるが、他の 4 カ国は総じて減少傾向が 認められる。 日米の政府の産業技術支援による産業の強みの触発 について、回帰分析の結果を表 3 に示す。両国とも政府 の産業技術支援によって産業研究開発を誘発しており、 両国に顕著な差がない。 表 3. 2000 年代の日本の競争力に関する主な指摘 日 本

(

)

) 12 . 4 ( ) 58 . 3 ( ) 84 . 20 ( ln 224 . 0 189 . 0 715 . 4 ln 1 2 − − − ⋅ + − − = i gi i R R D D V R 769 . 0 .R2= adj , DW = 1.16 Di (i = 1, 2): ダミー変数: D1 = 1 in 1985-1997, D2 = 1 in 1998-2004, 他の年 = 0. 米 国

(

)

) 62 . 8 ( ) 96 . 4 ( ) 88 . 2 ( ) 29 . 85 ( ln 206 . 0 173 . 0 081 . 0 498 . 4 ln 0 1 2 − − − − ⋅ + − − − = i gi i R R D D D V R 908 . 0 .R2= adj , DW = 1.53 Di (i = 0- 2): ダミー変数: D0 = 1 in 2003, D1 = 1 in 1985-1996, D2 = 1 in 1997-2004, 他の年 = 0.

2.2 日米の動態学習係数

政府の研究開発投資による学習意欲の活性化を明ら かにするため、日米両国の動態学習係数を推定した。こ こで、学習能力

λ

( )

t

は技術価格PT、国の技術ストック T を用いて次式で表される。 ( )t T AT P = −λ (1) 競争下では技術価格 が技術の限界生産性と等しいこ とに着目すると、次式が成立する。

(

a bt ct dt et

)

T A T V PT ln ln ln ln = + + 2+ 3+ 4 ∂ ∂ = (2) (2)式に基づいて回帰分析を行った結果を図 3 に示す。 日米とも 0~4 次式で回帰し、統計的に最も有意な式を 採用した(表 4)。 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 L ea rni ng c oe ff ic ie n 0.98 0.99 1.00 1.01 1.02 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 L ear ni ng co ef fi ci en US 1997 1990 2 4 2 3.34210 10 096 . 1 297 . 3 − ⋅ ⋅t+ ⋅ ⋅t = − − λ Japan 2000 3 5 2 3 2 2.12510 7.58810 10 745 . 1 152 . 0 − ⋅ ⋅t+ ⋅ ⋅t − ⋅ ⋅t = − − − λ -1.6% +1.5% 図 3. 日米の動態学習係数の推移 (1985-2004)– Index: 1990 = 1. 表 4. 日米の学習係数回帰式の F 値の比較 1 次式 2 次式 3 次式 4 次式 日 本 11.30 17.72 6.21 4.87 米 国 10.71 13.68 13.76 12.03 政府支援による学習の誘発について、回帰分析を行っ た。国の学習能力(外部資源の有効活用能力)Wは産業 研究開発の生産性 X、政府研究開発強度Y、科学技術予 算の産業技術振興策への配分Zに支配されることから、 次式が成立する。

(

X

Y

Z

)

F

W

=

,

,

(3) 両辺をテーラー展開すると、次式が導かれる。

( )

( )

i gi R R t H a t = + ⋅ λ (4)

( )

V R g R V f R R e R R d R V R R c R V b h t H i g gi g g i g gi g gi + + + + ⋅ + + = すなわち、学習能力は政府の産業技術支援 Rgi / Ri (GSIR)と学習誘発関数 H(t) (LIF) の積に支配される。 日米の学習誘発関数の推移を図 4 に、学習誘発関数と政 府の産業技術支援との代替関係を表 5 に示す。学習能力 の向上は学習誘発関数と政府の産業技術支援に依存し、 90 年代半ばを除き一貫して米国を上回る日本の学習誘 発関数は産業技術支援の触媒効果を発現している。 -30 -20 -100 10 20 30 40 50 60 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 誘発関数 H( t) US Japan 図 4. 日米の学習誘発関数H(t)の推移 (1985-2004). 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 US UK France Japan Germany Rg / V Rg/ V 政府研究開発強度 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.4 2.6 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 US UK France Japan Germany Ri / V Ri/ V 産業研究開発強度 1.6 1.8 2.0 2.2 2.4 2.6 2.8 3.0 3.2 3.4 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 US UK France Japan Germany R / V R / V 国全体の研究開発強度 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 US UK France Japan Germany Rgi / Rg Rgi/ Rg 科学技術予算の分配 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 US UK France Japan Germany Rgi / Ri Rgi/ Ri 政府の産業技術支援 図 2. 先進 5 ヶ国の産官研究開発構造 の推移 (1985-2004, %).

(4)

表 5. 日米の「学習誘発関数 (LIF)」と「産業技術支援 (GSIR)」 の代替関係 (1985-2004) + -+ + + -補 完 LSG LSG 補 完 2002-2004 1998-2001 1993-1997 1985-1992 US + -+ + + -補 完 LSG LSG 補 完 2002-2004 1998-2001 1993-1997 1985-1992 US -+ + -+ -+ LSG GSL GSLb LSGa 2002-2004 1998-2001 1993-1997 1985-1992 Japan -+ + -+ -+ LSG GSL GSLb LSGa 2002-2004 1998-2001 1993-1997 1985-1992 Japan H H

(

Rgi Ri

) (

Rgi Ri

)

H H

(

Rgi Ri

) (

Rgi Ri

)

a LSG: 「学習誘発関数 (LIF)」が「産業技術支援 (GSIR)」を代替 b GSL: 「産業技術支援 (GSIR)」が「学習誘発関数 (LIF)」を代替

2.3 学習能力とハイブリッド経営

政府の産業技術支援がハイブリッド技術経営を触発 する機能は図 5 のように示される。学習能力は企業の研 究開発営業利益率を向上し、独自の強みを高めることに よって、共進的に学習能力を高め、両者が融合したハイ ブリッド技術経営を実現している。 学習誘発関数による産業技術支援代替がハイブリッ ド技術経営の持続的誘発のためのマッチング条件であ り、日本はこの代替に卓越し、1990 年代に不調を来た すも今世紀に復元している。 ( ) ( )         ∆ + ∆ ⋅ ⋅ = ∆ i gi i gi i gi R R R R H H R R H λ λ λ λ λ λ ∆ ⋅ = ∆ OIR b OIR OIR ( ) V R V R g g ∆ ( ) i i R V R V ∆ ( ) g gi g gi R R R R ∆ 国の資源 配分政策 政府研究開発 投資戦略 独自の強み MFP MFP ∆ 政府の政策 独自の強みと学習能力との融合 (ハイブリッド技術経営) 学習能力 全要素生産性 成長率 研究開発営業利益率 学習能力 産業技術支援 学習誘発関数 ( ) ( )         ∆ + ∆ ⋅ ⋅ = ∆ i gi i gi i gi R R R R H H R R H λ λ λ λ λ λ ∆ ⋅ = ∆ OIR b OIR OIR ( ) V R V R g g ∆ ( ) i i R V R V ∆ ( ) g gi g gi R R R R ∆ 国の資源 配分政策 政府研究開発 投資戦略 独自の強み MFP MFP ∆ 政府の政策 独自の強みと学習能力との融合 (ハイブリッド技術経営) 学習能力 全要素生産性 成長率 研究開発営業利益率 学習能力 産業技術支援 学習誘発関数 図 5. 政府の産業技術支援のハイブリッド技術経営触発機能.

3. 日本のインスティテューショナル・シ

ステムの効果的なイノベーションに対す

る復元力

3.1 先進 5 カ国の技術革新軌道

先進 5 カ国(日・米・独・仏・英)の全要素生産性の 成長Wは産業研究開発の生産性Xと政府研究開発の産業 研究開発の誘発性Yに依存する。このことから、全要素 生産性で示される技術革新軌道は政府研究開発強度の 3 次関数で表現されることが導かれる。回帰分析から得 られた技術革新軌道を図 6 に示す。他の 4 カ国と対照的 に、日本は過去 20 年にわたり 3 次関数上の安定ポジシ ョンへの復元力を発揮し、90 年代における停滞から効 果的に復元している。 図 6. 先進 5 ヶ国の政府研究開発強度ポジション軌道の変遷 (1985-2004).

3.2 政府の産業技術支援の影響

技術革新軌道上の最適ポジションを維持し、乖離して もすぐに復元するラチェット効果について、5 カ国を比 較した結果を表 6 に示す。政府の産業研究開発に対する 高触媒機能は、企業自身の独自の強みの発揮と、それを 促す産業技術支援及び学習誘発関数の精妙な共進ダイ ナミズムのもとに誘発される学習能力との融合に依拠 している。 表 6. 先進 5 カ国のラチェット効果 3.28 0.140 1.058 0.918 France 5.83 0.249 0.848 0.599 UK 政府研究気開発強度(%) 2.67 0.114 0.944 0.830 Germany 7.07 0.302 1.149 0.847 US 1.00 0.043 0.592 0.549 Japan ラチェット効果比 率(日本= 1) 最大・最小 間隔 最小点 x2 MFP軌道 最大点 x1 3.28 0.140 1.058 0.918 France 5.83 0.249 0.848 0.599 UK 政府研究気開発強度(%) 2.67 0.114 0.944 0.830 Germany 7.07 0.302 1.149 0.847 US 1.00 0.043 0.592 0.549 Japan ラチェット効果比 率(日本= 1) 最大・最小 間隔 最小点 x2 MFP軌道 最大点 x1

4. ハイブリッド技術経営へのマッチン

グに応じた技術革新軌道の二極化

4.1 日本のハイテク企業の二極化

日本の電気機械代表企業 4 社を対象に、収益性と外部 技術資源の活用との関係及び学習係数の推移について 回帰分析を行った。その結果を表 7 に示す。1990 年代 末から政府の産業技術支援が活性化し、企業の独自の強 みを触発すると同時に企業の潜在的学習意欲を活性化 した。両者がマッチした企業群は、企業の独自の強みと 学習能力を融合し、ハイブリッド技術経営を誘発(グル ープ A)とマッチングし損なった企業群(グループ B) との間に二極化が生じた。この二極化は政府の産業技術 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 0.75 0.80 0.85 0.90 0.95 1.00 1.05 1.10 1.15 1.20 1.25 Rg / V ( %) M F P g ro w th ra te (% ) US 1 3 4 2 5 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 0.75 0.80 0.85 0.90 0.95 1.00 1.05 1.10 1.15 1.20 Rg / V ( %) M F P g ro w th ra te (% ) France 1 3 4 2 5 -2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 0.52 0.53 0.54 0.55 0.56 0.57 0.58 0.59 0.60 0.61 0.62 Rg / V ( %) MF P g ro w th ra te (% )= w Japan 1 2 3 4 5 0.5 0.7 0.9 1.1 1.3 1.5 0.75 0.80 0.85 0.90 0.95 1.00 Rg / V ( %) MF P g ro w th ra te (% ) Germany 1 3 4 2 5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 0.50 0.55 0.60 0.65 0.70 0.75 0.80 0.85 0.90 0.95 Rg / V ( %) M F P g ro w th ra te (% ) UK 1 3 4 2 5 1. 1985-1990 2. 1991-1993 3. 1994-1997 4. 1998-2000 5. 2001-2004

(5)

支援による独自の強みの誘発と潜在的学習意欲の活性 化とのマッチした企業群はハイブリッド技術経営を誘 発し、マッチングしそこなった企業群との間に現出して いる。 表 7. 日本の電気機械代表 4 社のハイブリッド技術経営へのマ ッチング. グループB グループA 2000年代 1990年代 1980年代 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ - × ○ ○ △ ○ ○ △ ○ ○ △ ○ ○ △ ○ ③ OIR ② λ ① S/R ③ OIR ② λ ① S/R ③ OIR ② λ ① S/R ③ OIR ② λ ① S/R × 日立 × - ○ キヤノン ○ ○ ○ シャープ ○ ○ - × ○ 松下 グループB グループA 2000年代 1990年代 1980年代 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ - × ○ ○ △ ○ ○ △ ○ ○ △ ○ ○ △ ○ ③ OIR ② λ ① S/R ③ OIR ② λ ① S/R ③ OIR ② λ ① S/R ③ OIR ② λ ① S/R × 日立 × - ○ キヤノン ○ ○ ○ シャープ ○ ○ - × ○ 松下

4.2 ハイブリッド技術経営を誘発するインス

ティテューショナル・システム

日本のハイブリッド経営とインスティテューショナ ル・システムとの関係について主成分分析を行った。そ の結果、日本の政府の産業技術支援の卓越した触媒的役 割には、(1)社会経済の改善意識、(2) 企業の従業員倫 理、(3) 経営者の意思決定、(4) 中小企業の積極的取り 組み、が寄与していることが明らかになった。 以上の 1980 年代、1990 年代、2000 年代の日米をはじ めとする先進国の産官研究開発軌道の比較分析から、ハ イブリッド経営を誘発する代替、共進、学習、啓発の 4 つの兆候が、エコシステムのホメオスタシスに即した共 進的発展のサイクルが復調していることが示唆された。

5. 結 論

5.1 総 括

日本のナショナル・イノベーション・エコシステムの ハイブリッド・システムについて、下記を示した。 (1) 日本の政府の産業技術支援はハイブリッド技術経 営を触発する機能を内包、その機能は(i) 企業の潜 在的な学習意欲を活性化、(ii) 触媒的機能を内包 し、学習との相乗効果が発揮されれば、企業の独自 の強みを触発、(iii) 両者がマッチすれば、企業の 独自の強みと学習能力を融合したハイブリッド技 術経営を誘発 (2) 日本のインスティテューショナル・システムは効果 的なイノベーションに対する復元力を内包 (3) 日本企業の技術革新軌道はハイブリッド技術経営 へのマッチングに応じて二極化

4.2 今後の課題

日本のイノベーションは政府の産業技術に対する触媒機 能と産業の意欲的学習及びその発展改善とのハイブリッ ド・システムの維持涵養が不可欠である。ポスト・オイル 社会に向けて、今後は融合技術が新たなパラダイム・シフ トを牽引すると考えられる。エコシステムの規範に即して、 日本における政府の産業技術に対する触媒機能と産業の旺 盛な学習とその発展改良のバランスを軸とした精妙な発展 について、さらに考察したい。

参考文献

[1] Adams J. Fundamental stocks of knowledge and productivity growth (1990)

[2] Aoki M, Jackson F, Miyajima H. Corporate governance in Japan (2007).

[3] Callon S. Divided Sun: MITI and the breakdown of Japanese high-tech industrial policy, 1975-1993 (1995).

[4] David PA, Hall BH, Toole AA. Is public R&D a complement or substitute for private R&D? A review of the econometric evidence (2000).

[5] Economist. A special report on business in Japan (2007). [6] Freeman C. Technology policy and economic

performance: Lessons from Japan (1987).

[7] Guellec D, van Pottelsberghe de la Potterie B. R&D and productivity growth: panel data analysis of 16 OECD countries (2001).

[8] International Herald Tribune. Made in corporate Japan: New approach to business (2006).

[9] Johnson C. MITI and the Japanese miracle: The growth of industrial policy, 1925-1975 (1982).

[10] Marten GG. Human ecology (2001).

[11] Nadiri I. Innovations and technological spillovers (1993).

[12] Okimoto DI. Between MITI and the market: Japanese industrial policy for high technology (1989).

[13] Primentel D, Westra L, Noss R. Ecological integrity – integrating environment, conservation, and health. [14] Watanabe C. Industrial ecology and Japan's industrial

policy (1994).

[15] Watanabe C. Industrial ecology and technology policy: Japanese experience (2002).

[16] Watanabe C, Matsumoto K, Hur JY. Technological diversification and assimilation of spillover technology: Cannon’s scenario for sustainable growth (2004). [17] Watanabe C, Zhao W. Co-evolutionary dynamism of

innovation and institution. In: Yoda N, Pariser R, Chon MC, editors. Chemical business and economics. Tokyo: The Chemical Society of Japan, 106-21 (2006).

表 5. 日米の「学習誘発関数 (LIF)」と「産業技術支援 (GSIR)」  の代替関係  (1985-2004)  +-+++-LSG 補 完LSG補 完 2002-20041998-20011993-19971985-1992US+-+++-LSG補 完LSG補 完2002-20041998-20011993-19971985-1992US-++-+-+LSGGSLGSLbLSGa2002-20041998-20011993-19971985-1992Japan-++-+-+LSGGSLGSLbLSG

参照

関連したドキュメント

Japanese food has predominantly been gaishoku ( eating out ) for Thai people, which means that people have tended to eat Japanese food outside their homes.. In recent

第五章 研究手法 第一節 初期仮説まとめ 本節では、第四章で導出してきた初期仮説のまとめを行う。

Interactive evolutionary multi-objective optimiza- tion and decision-making using reference direction method. A preference-based interactive evolution- ary algorithm for

始めに山崎庸一郎訳(2005)では中学校で学ぶ常用漢字が149字あり、そのうちの2%しかル

現地法人または支店の設立の手続きとして、下記の図のとおり通常、最初にオーストラリア証

デロイト トーマツ グループは、日本におけるデロイト アジア パシフィック

後援を賜りました内閣府・総務省・外務省・文部科学省・厚生労働省・国土交通省、そし

BSP Logistics Discipline Brunei Shell Petroleum Ak Nor Hazman Vin PHA Hamid Senior Marine Engineer. Brunei Gas Carriers Sendirian Berhad Hubert Yong Sales &