第3学年A組 理科学習指導案 指 導 者 飯髙 浩太郎 展開場所 第 2 理 科 室 1 単元名 化学変化と電池 2 単元について (1)単元観 本単元では,化学変化についての観察,実験を通して,水溶液の電気伝導性や中和反応について理 解させるとともに,これらの事物・現象をイオンのモデルと関連付ける見方や考え方を養うことがね らいである。 これまで生徒は,小学校の第6学年や,中学校で「水溶液の性質」,「身のまわりの物質」,「電 流とその利用」,「化学変化と原子・分子」を学習している。本単元は,水溶液の電気的な性質や電 気分解,化学電池などを取り上げ,水溶液の性質や化学変化を,実験や観察を通して理解できるよう にし,また,実験における化学変化をイオンのモデルと関連付けて考え,イオン式やイオン反応式で 理解できるようにする単元である。これにより,目に見えないイオンという概念をモデル化し,説明 することで科学の基礎的な考え方を養うことができる。また,塩化銅水溶液の電気分解や化学電池の 実験を通して,化学変化を単なる物質の変化と捉えるだけでなく,化学エネルギーから電気エネルギ ーへの変換という化学変化の利用という見方や考え方に広げる。これにより日常生活の中で,化学変 化を利用して生活が支えられていることを実感させたい。 (2)生徒の実態 本学級は,男子11名,女子19名,計30名で構成されている。本学級の生徒は,落ち着いた 態度で授業に取り組むことができ,活動を伴う観察・実験にはたいへん意欲的に取り組むことがで きる。しかし,授業中の発表や話し合い活動においては,積極的な生徒とそうでない生徒との二極 化が顕著に見られる。また,実験・観察の考察を書く際に,結果からわかることをうまく文章で表 現できない生徒もおり,仲間に助言してもらいながら学習している。 生徒の実態を調べるために,以下のような項目で実態調査を実施した。 調査日 平成28年10月5日(男子11名,女子19名,欠席5名,計25名) ①理科の授業は好きですか。 はい:21名 いいえ:4名 ②実験・観察は好きですか。 はい:24名 いいえ:1名 ③実験結果から言えることを自分自身で考えて,言葉で書くこ とができますか。 はい:24名 いいえ:1名 ④授業中,自分からすすんで発表することができますか。 はい:10名 いいえ:15名 ⑤授業中,班での実験や話し合い活動のとき,積極的に作業や 話し合いに参加できていますか。 はい:22名 いいえ:3名 ⑥次のア~エのうち,電流が流れそうなものをすべて選んで○をつけましょう。 ア 精製水(純粋な水) イ 食塩水 ウ 砂糖水 エ レモンの果汁 ア:20名 イ:10名 ウ:8名 エ:19名 (正答はイ,エ) ⑦電池のしくみについて正しく述べた文章を,次のア~ウのうちから1つ選んで○をつけましょ う。 ア 電池には電気が溜められており,導線をつなぐことによって電流が流れるようになる。 イ 電池には化学エネルギーがあり,導線でつなぐことによって化学エネルギーが電気エネルギ ーに変換されて,電流が流れるようになる。 ウ 電池は非常に抵抗の小さい金属でできており,導線でつなぐことによって生じた微弱な静電 気が大きい電流に変わり,電流が流れるようになる。 ア:12名 イ:9名 ウ:4名(正答はイ) 1 【研究主題】仲間と共に伸び伸びと主体的に学習に取り組む生徒の育成 ~言語活動を充実させる学習形態の工夫を通して~ 【教科努力点】・導入の工夫や提示の工夫で、本時の学習課題や目標を明確にすることで生徒の思 考を整理・援助し、課題解決の達成感を実感させる。 ・実験の方法や考察に、言語活動を意図的に取り入れることで学習内容の深まり・ 定着を図る。
⑧「イオン」と聞いて思いつくことや用語を思いつくだけ書いてください。 ●マイナスイオン:10名 ●+と-がある:6名 ●イオン水:4名 ●電気:4名 ●電気分解:4名 ●プラズマイオン:3名 ●ナノイオン:2名 ●エアコンから出る:2名 ●中性子:2名 ●ドライヤーから出る:1名 ●原子核:1名 ●電解質:1名 ●電離:1名 ●原子:1名 ●イオン化:1名 ●電子:1名 ●陽子:1名 ●水素:1名 ●空気中に存在する:1名 ●小さい:1名 ほとんどの生徒が理科の学習及び実験を好きと回答しており,理科の学習に対する意欲が高いこ とがうかがえる。特に,実験・観察への意欲は極めて高く,話し合い活動にも積極的に取り組んで いる。しかし,自分自身の考えに自信がなく,発表では消極的になる生徒も多い。アンケートの項 目③にあるように,考察を自分自身の言葉で書くことができると感じている生徒は多いが,実際に 机間指導をしていると,友人の文章を写してしまい,友人に教えてもらった通りに考察欄に記入す る生徒もいるのが現状である。 項目⑥については,小学校で果物電池の学習をしているからか,エと答えた生徒は多かった。し かし,テレビアニメ等の影響からなのか,アと誤答をする生徒が多かったのも大きな特徴であった。 項目⑦では,電池は電気を溜めるためにあると勘違いしている生徒が多く,直前に学習したエネル ギー変換の考え方が十分に身についていない傾向も見られた。しかし,イオンと聞いて電気的なイ メージを連想するなど,学習が身についている生徒もいた。 (3)指導観 実態調査の結果や学習活動の現状から,本単元では,実験・観察を有効に使い,生徒の興味・関 心を高めたい。また,生徒の持っている知識の不確かさを揺さぶり多くの疑問を抱かせることによ って,自らが課題を持ち,解決し,思考力を高めるとともに,実験結果から導いた考察を,小グル ープや学級全体に自らの言葉で説明できる表現力を育てていきたい。実態調査において,電池のし くみを理解できていない生徒が多いので,化学電池の実験を通して,化学エネルギーが変換されて 電気エネルギーを生み出しているという電池の原理,発見について気づかせたい。また,あらゆる 事象について「なぜだろう」と,さまざまな疑問を持てるような,理科好きの生徒を育てるために, 興味・関心を持たせるような導入や演示実験を行っていきたい。 (4)研究主題との関連 研究主題を受けて,教科としては,教材・教具を利用して,生徒を惹きつけるような導入を行い, 実験をやる前にできるだけ「予想」を取り入れることによって,実験の目的を明確に持たせている。 また,考えを発表する際には,全体の前に班などの小グループで必ず1人1回は自らの意見を発表 させ,全体での共有へと移るように心がけている。そして,考察には机間指導を行い,3段階の評 価がある丸付けをして,意欲を高めるほか,考察が不十分な生徒に関してはアドバイスを行うこと を心がけている。 3 単元の目標 (1)身のまわりの現象についての観察・実験を通して,興味・関心を持って学習に取り組もうと する。 (自然現象への関心・意欲・態度) (2)身のまわりの現象に関する観察・実験を行い,結果を整理し,自分の考えを表現できる。 (科学的な思考・表現) (3)身のまわりの現象に関する観察・実験を行い,器具の操作方法を習得するともに,安全面に 十分配慮して実験を行うことができる。 (観察・実験の技能) (4)身のまわりの現象について理解し,知識を身に付けることができる。 (自然現象についての知識・理解) 2
4 指導計画(5時間) 時配 主な学習内容と活動 評価規準(方法) 2 本時 (1/2) ○ 電池の発見 ・どのような水溶液と金属板の組み合わせ で電流がとり出せるのかを調べる。 ・異種金属と電解質水溶液を組み合わせて行う 電池の実験に興味を示し,化学変化に注目し ながら電気エネルギーをとり出すしくみにつ いて進んで調べようとしている。 (関心・意欲・態度)【観察】 ・どのような水溶液と金属板の組み合わせで電 流が生じるかを調べ,その組み合わせによっ て電流を発生させる条件をまとめ,自らの言 葉で表現している。 (思考・表現)【観察,授業プリント】 ・様々な金属と水溶液で電流を取り出す実験の 計画的な実施,結果の記録や整理の仕方を身 につけている。 (技能)【観察・授業プリント】 ・どのような水溶液と金属を使ったときに電流 が流れるのかを説明している。 ・化学電池の極性は,用いた金属板の組み合わ せにより変わることが説明している。 (知識・理解)【発表・授業プリント】 2 ○ 電極の化学変化 ・電池の金属板で起こっている化学変化に ついて理解する。 ・化学変化と電池に関する事物・現象に進んで 関わり,それらを科学的に探求しようとする とともに,事象を日常生活との関わりでみよ うとしている。 (関心・意欲・態度)【観察】 ・化学変化と電池に関する事物・現象の中に問 題を見いだし,化学変化による電流の取り出 しについて自らの考えを導き,まとめて表現 している。 (思考・表現)【観察,授業プリント】 ・電池に関する実験の基本操作を習得するとと もに,実験の計画的な実施,結果の記録や整 理などの仕方を身につけている。 (技能)【観察,授業プリント】 ・電池の金属板で起こっている現象をイオンの 生成と関連付けて理解し,電池は化学エネル ギーが電気エネルギーに変換されているとい う知識を身につけている。 (知識・理解)【発表,授業プリント】 1 ○ いろいろな電池 ・日常生活でいろいろな電池が使われてい ることに触れ,既習事項と関連付けて理 解する。 ・燃料電池について学習し,新しいエネル ギーの形についても知る。 ・様々な電池のしくみについて,既習事項をも とに考えようとする。 (関心・意欲・態度)【観察】 ・様々な電池の構造やしくみについて,自らの 考えを導いたり,まとめたりして表現してい る。 (思考・表現)【観察,授業プリント】 ・電池は,化学エネルギーが電気エネルギーに 変換されていることについて基本的な概念を 理解し,知識を身につけている。 (知識・理解)【発表,授業プリント】 5 本時の指導 (1)目標 ・どのような水溶液と金属板の組み合わせで電流が生じるかを調べ,その組み合わせによって電 流を発生させる条件をまとめ,自らの言葉で表現することができる。 【思考・表現】 ・様々な金属と水溶液で電流を取り出す実験の計画的な実施,結果の記録や整理の仕方を身につけ ている。 【技能】 3 どんな金属と水溶液の組み合わせで、電池ができるのだろうか。
(2)展開 時配 学習内容と学習活動 指導・支援 ○評価 資料 5分 30分 15分 1 導入を見る。 ・演示実験から,液体と金属板から電流 が取り出せることを知る。 2 本時の学習課題を確認する。 3 予想を立てる。 ・自分自身の率直な予想を授業プリント に記入する。 4 実験方法,諸注意を聞く。 ・実験ごとに金属板を蒸留水で洗う。 ・金属板どうしを触れさせない。 ・廃液は決められた場所に集める。 ・実験をする度に記録をとる。 5 実験を行う。 ・いろいろな水溶液と金属板の組み合わ せを試し,電子メロディーが鳴るかど うか,またその鳴り方についても注意 深く観察する。 6 結果の整理をする。 ・各自が授業プリントに結果を記入す る。 ・結果を全体で共有するために,掲示用 の別紙に記入し,黒板に貼る。 7 実験結果から,どんなときに電流が発 生するかを考察し,各自が自分の言葉 で表現する。 8 考察をグループで共有する。 ・各グループで,必ず全員が考察を発表 し,意見の交換をする。 9 考察を全体で共有する。 ・挙手または指名により,全体に考察を 発表する。 10 次時の学習予定を確認する。 11 授業の自己評価を行う。 ・生徒を集合させ,導入実験に注目させ る。(レモンの果物電池を見せる) ・実験で用いる電子メロディーについて も紹介する。 ・全員が実験器具に触れ,実験操作を行 うように指示する。 ・実験で気づいたことは,些細なことで あっても授業プリントに記入するよ うに指示する。 ・安全に実験に取り組めるように,保護 めがねを必ず着用させ,薬品の取り扱 いにも注意させる。 ○実験器具を安全に取り扱い,実験に取 り組んでいる。 (技能)【観察】 ・机間指導を行い,文章で表現できない 生徒に対して,ヒントを提示する。 ・考察の記入が終わった生徒に挙手をさ せ,不十分なときは,助言する。 ○どの条件で電流が生じるかを,自分の 言葉で表現することができている。 (思考・表現)【観察,授業プリント】 ・各グループ司会者に,必ず全員が考察 を言えるようにさせる。 ・自主的な挙手を促す助言をする。 ・電池の金属板付近での変化について詳 しく学習することを予告する。 レモン 銅板 亜鉛板 電子メロディー 導線 授業プリント 蒸留水 食塩水 砂糖水 エタノール水溶液 うすい塩酸 亜鉛板 銅板 マグネシウム板 プリン容器×4 ビーカー 保護めがね 電子メロディー 授業プリント 結果記入用紙 ヒントカード 授業プリント 授業プリント (3)板書計画 4 学習課題 実験方法 実験結果 予想 考察 図示して説明する いろいろな水溶液と金属板を用いて,電流ができる条件を調べよう。 どんな金属と水溶液の組み合わせで、電池ができるのだろうか。