言語治療を通してみた言語障害児の健康障害
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(2) 96. 小. 村. 欣. 司. た児童の資料に基づき,資料に記載された心身の健康に関与する記事を,就学時までの範 囲に区切って抽出し,集計した。従って,治療方針が決定していてその変更の必要がない もの,軽度の障害であってケース会議に計る必要を認めないものは除外してある. ケース会議の資料ほ毎週1回,担当者が母親との面接治療を行なった際,話の中で得ら れたものをまとめたもので,幼児期から治療を受け面接回数の多いものもあれば,治療開. 始後間もなくの場合もあった。 なお,調査結果に示された件数ほ同一児童が生後6年間に同じ疾病に何度躍ってもそれ ほ1件と数えた。. Ⅱ. 果. 結. 1)新生児期までの異常 ①. 調査対象児ほ21名,男13名,女8名,いずれも小学生でその年齢構成を表1に. 示したo ②. 調査対象児の主訴による症状名別人数ほ表2のように,言語発達遅滞児が17名で. 全体の80.9%. (男11:64.7%,女6:28.6%)を占めている.他はどもり2名:9.5%,. および難聴2名:9.5%であった。 ③. 妊娠中,および出産時より新生児期までに母体と新生児について健康上の異常の有 30%. 無を示したのが表3である。妊娠中異常のあったものほ,不明1を除くと6名, 2,女4)である。新生児期の異常は9名:45%. (男. (男7,女2)であった。妊娠中異常を呈し. 「妊娠中毒症+と「腹部強打+であった。女子4名の異常内容は「子宮手. た男子2名ほ,. 節+ 「骨盤位+,および「流産防止用注射+であった。また出産一新生児期における男子7. 表1対象児の年齢構成 年令 性. 計. 表2. 症状の類型. 症. 状. 歪悪書. 78910111213. 名. 吃. 計. 難. 聴. 男. 1. 0. 5. 1. 4. 0. 2. 13. 男. ll. 2. 0. 13. 女. 0. 1. 3. 1. 1. 1. 1. 8. 女. 6. 0. 2. 8. 計. 1. 1. 8. 2. 5. 1. 3. 17. 2. 2. 表3. 121. 妊娠・出産新生児期の異常数 妊. 異常. 娠 不明. 中 正常. 表4. 出産・新生児期 異常. 不明. 計1. 正常. 男. 2. 1. 10. 7. 1. 5. 女. 4. 0. 4. 2. 0. 6. 計1. 6. 14. 9. ll. 1. 21. 妊娠より新生児期までの異常数. 性(正常 男. 異常. 5. 7. 女. 4. 4. 計. 9. ll. 不可 ̄ ̄盲 1. 13. 0. 8. 21.
(3) 97. 言語治療を通してみた言語障害児の健康障害 表5. 「強度の蓑痘+ 名の異常内容ほ, 「微弱陣痛と吸引分娩+ 「錦江によ. 病. 伝. し. 水 風 堤. 紅. ア. エ. ′レ. へ. 秘 下痢・消化不良 自 家 中 毒 腺 重 横 便. 2人とも妊娠中「子宮手. 術+あるいほ「骨盤位+という異. 位性 堰. 常が認められている。これらの異 常は少しでも認められたものにつ. コ. 中. 耳 桃. 届 難. 妊娠中より新生児期に至る. までの異常の有無を表4に示した。. レ. 6 0 0. 2. 0. 3 2 2. 1. 0. 1. 1 4 1. 0 1 2. 2 1. 0. 1 5 3 2 1 1 1. 0 1 0. 衣 衣. 4. 0. 2. 衣 聴. 2 1. 2 0. 神経疾患. (男5:23.8%,女. てんかん. 4:19%)が新生児期までは一貫. ・6. 呼吸欝系疾患 肺炎. 52.4%の児童には妊娠,出産,. 皮悪疾患琴. あるいは新生児期に異常が認めら れた。. 運動器系疾患 握力微弱. 股間-ル ̄ニア. 2)乳幼児期の身体異常 身体疾患を呼吸器疾患,消化器. 眼 斜. 疾患,伝染病疾患,神経疾患,運. 視. 動器疾患,皮膚疾患,耳鼻咽喉疾. 視 力. 4. 10. 異. 常. 計. 5. 2 1 1. 3 1. 5. 1. 6. 1 1 1. 1 1 0. 2. 1 0. 0 1. 1 1. 53. 24. 77. 忠. 疾. 0. 4 4 2 1. 3 2 0. かぜ ぜんそく. 11名:. 12. 6 3 2. 0 1. ラ. 吐. 耳鼻系疾患 鼻. いて示した。. して正常に発育したが,. 症 疹 熱. 痘. 消化器系疾患. 乳力微弱+,および「飯死と道子+. 9名:42.9%. か. 流行性耳下腺炎. った。出産一新生児期に串ける女 「吐乳と噛 子2名の異常内容は,. ④. 病. 染 は. よび「ABO血液型不適合+であ. であり,. 計. 名. る6カ月の入院・4回の手術+. 「佐死,けいれん,吸引分娩+,お. 身体疾病羅患状況. 2. 1. 忠,限疾患の8項目に分け,それ らの疾病羅患状況をみたのが表5 である。. 身体疾患では,伝染病疾患児数20. :. 95・2%を最高に消化器疾患14. :. 66・6%・耳鼻疾患. ll:52.4%,てんかん10:47・6%,呼吸器疾患9:42・9%,皮膚疾患6:28・6%,運動器 疾患5:23.8%,眼疾患2:9・5%の順となっている。 伝染病疾患ほ,. 「はしか+. 「風疹+ 「水痘症+. 「流行性耳下腺炎+. 「猛紅熱+に男14. :. 潔,女6:75%が曜患しているoこの疾患群では・ほしかの躍患率が最高で12名:57・1 潔 (男6:46・1%,女6:75%),しかも1歳以前の寝息児が男2名・女3名あり,各々生. 後3カ月,. 8カ月,. 躍患している。. 9カ月,. 10カ月に寝息しているoまた,風疹でも生後10カ月の男子が. 107・7.
(4) 98. 小. 消化器疾患は, 「自家中毒+. 「便秘+. 欣. 村 「-ルニア+. 司. 「下痢+. 「腹重積+ 「噂吐+ 「俊性コレラ+. に男10:76・9%,女4:50%が鼠患し,そのうち便秘の羅患数が最高で5名:23.8% 4:30・8%,女1:12.5%)であった。 呼吸器疾患ほ,. (男. 「職息+∨「肺炎+ 「風邪+に男5:38.5%,女4:50%が,そして風邪が5. 名:23・8%で最も多く羅患している。風邪は頻繁に,しかも親がそのために特に苦労した ケースの件数である。. 神経疾患ほ, 「てんか4J+に男6:46・2%,そのうち2名は生後1歳以前の4カ月と6カ 月に発症している。女4名:50%に鼠藍しているが1歳以前の発症はない。 耳鼻科疾患ほ, 「アレルギー性鼻炎+ 「中耳炎+ 「届桃炎+ 「難聴+に男9:. 69.2%,女2. :. 25%が鼠患し,鼻炎および中耳炎の4名:. 30.8%が高頻度であった. 皮膚疾患は, 「湿疹+ 「頭部全面発疹+に男5: 38.5%,女1 : 12.5%が鼠患している。 湿疹4名中2名は生後間もなく,他の1人は生後1カ月より発現し,現在に至るも治癒し ていない。. 運動器疾患ほ,. 「股間-ルニア+. 「斜窺+. 「握力の微弱+に男3:23.1%,女2:25%が. 羅患している。 調査対象全21名,. 77件(男53件,女24件,. 1人平均3.7件の発症)中43件:55.8 %ほ3歳以前に発症している。男子では28件:52.8%,女子では15件:62.5%が3歳 以前の発症であったの. 3)乳幼児期の情緒異常 精神不安定の状態がある期間強く継続すると身体や行動に種々の異常現象が現われる。. どもりヰ言語発達の遅れなど主訴にあげられた症状以外に親が情緒異常として訴えたもの 1. は,全蕗で42件(男28,女14). 1人平均2件であった。男子でほ神経性噂虹便秘など. の心身症1,遺犀,指しゃぶり,異食などの神経性習癖12,多動,かんしゃくなどの行動. 異常15;女子セほ心身症2,神経性習癖6,行動異常6があった. 2琴賓での男子7症例では,夜泣き1,拒食1,多動2,対人恐怖1,トイレ恐怖2,女 子2症痢では,睡眠障害1,寂参表情1があった. 3歳以上の男子21症例でほ,夜尿3,吃り2,尿失禁1,指しゃぶり1,首ふり1,爪か み1,からせき1,目のしばたたき1,目こすり1,奇声1,ぬすみや買い食いの不適応行 動1,多動1,対人恐怖1,腕かみ1,頭部を床に叩きつける1,髪を引蒙る1,内気1,痩 気1があり,女子10症例では,内気2,短気2,夜尿1,おしゃぶり1,爪かみ1,トイレ. 恐怖1,偏食1,頻繁な間食1,パンツのよごれ1,視線回避1があった。 4)異常保育環境 言語障害児に情緒異常が多い理由の1つとして,両親が子供に対してとった抑圧,放任, 拒否などの態度や両親の喧嘩, 養育時の態度,環境等を調べた。. B()居,病気など不適切な保育環境によることがあると考え,.
(5) 99. 言語治療を通してみた言語障害児の健康障害 表6. 「命令+の有無. 男. 女. 計. 8. 4. 12. 1. 1. 2. 4. 3. 7. 有 無 不. 明 ;1. 1. 蓑7. 「指示+. 表8. l計. 男. 女. 有. 8. 5. 13. 無. 1. 1. 2. 4. 2. 6. 13. 8. 不. 明. l. 計. 21. 13. 「拒否+の有無. 表9. 不健全な環境要因. 1. 21. 両親の会話の有無. 6l別居 ̄示稽抜雪祭母型璽止 前高会話I雫警芸嘉供欄 罪. 1. 1. 3. 1. 2. 1. 9. 女. 0. 0. 2. 3. 2. 1. 8. 罪 女. 計12. 有. 無. 1. 9. 1. 1 10. 不明 ,. 3 6. 不明. 小計1有 無 13 8. 1. 9. 2112. 3 6. 1. 1. 小計. 10. 13 1. 8 21. (1)抑圧的養育態度. 母親が子供に過保護,放任,あるいは過少保育をして子供の感情を全面的に無視・抑圧 していることがある。就学前の長期間,母親が育児において厳しい「指示+や「命令+を し続けていたかどうかをみたのが表6である。長期間にわたり母親から厳しい「指示+守 (男8:61・5%,女4:50%)であり'不明の 「命令+を受けていたケースが12名:57.1% 7名を除くと. 85.7%に達した。. また,子供が接触を強く「拒否+されてしやと感じたかどうかをみたのが表7であるo、三 母親から「拒否+されたケースが13名:61.9% 不明の6名を除くと. (男8:61・5%,女5:62・5%)であり・. 86.6%に達した。. (2)不健全な環境要因. 子供の心身の健全な発達に悪影響を及ばす環境要田は,種々あるが資料から両親の長期. 間にわたる喧嘩,別居,育児の放棄や手抜きにつながる態度,ことばかけの無い無口や内 気親の病気などの有無をみたのが表8であるo「拒否+や「指示・命令+を除き,上記の ような不健全な環境要因をもつ子供は17名で,全体の80・95%に達した。子供のJb身の 健全な発達を阻害する親のこのような要因がないと考えられる子供は,不明1を除く3 名: 14.3%にすぎなかった。また,父母が入院し,長期間保育に欠ける状態の続いた子供 が6名:28.6%あった。 (3)両親の会話. 一般的な話題や子供の保育・教育等について両親同志が日頃話しあい,会話が円滑に進 展しているかどうかについて,母親の発言を集計したものが表9である。夫婦による「日 常会話+,および「子供に関する会話+が「無かった+と回答したケースが共に10名: 47.6%あった。不明の9名を除くと83%の両親に会話が交わされていないことになるo.
(6) 100. 小. Ⅳ. 村. 考. 欣. 司. 察. 1)乳児期前正常児の保育状況 新生児期まで正常に発育した9名:42・9%の主訴は,言語発達の遅れ6,どもり2,難 聴1で,いずれも言語障害をもたらすような脳障害,その他の身体疾患は,その後の乳幼 児期を通しても特に発見出来なかったが,次第に言語発達の逼れ,どもり,難聴などの症 状が現われたり,チック,爪かみ,夜尿,常同行動など情緒障害がみられるようになった。 新生児期を過ぎ間もなくアトピー性湿疹,アレルギー性鼻炎など軽度の発症がみられた もの,早期にはしか,自家中毒あるいほ多動のような心身の疾病に鼠患したものもある。. 心身の症状がこのような形で発現しなくても,少し食が細い,便が硬い,よく下痢する, 頻回に風邪をひくとか,泣きく小ずり,人見知り,後追いなどがなく,他の子のようにほ手 がかからなかった程度の異常もあった。こうした例でほ,その当時母親は,厳しい時間制 の授乳,強引な離乳と摂食,泣桝ま母親でなく3歳の姉にあやさせる,早期に添寝を中止 する,遊びの相手をしないで家事に専念する,いたずらにほ厳禁で臨む,排壮訓練ではオ ムツがとれるまで体罰を使用する,次子の出生に伴ない両親とも突き離した接触をするな どの行動がみられた。なかには夜尿やどもりにも厳しく注意し,父の体罰には決して泣か ずの態度で応じた子供もいる。こうした子供はバウムテストにも現われているように異常 に抑圧された精神状態にあった(図1)0. 図1バウムテスト. 注) A4判の大きさの絵を30%に縮小したも のである。.
(7) 101. 言語治療を通してみた言語障害児の健康障害. また,ある場合には,それ以前心身に異常を認めなかったが,長期にわたる母親の病 気・入院で突然の育児拒否にあい,それに呼応して,俊性コレラ,肺炎という重病に躍か. り,母親の退院後は母親が安静を保つため日中保育園にあずけられ,やがて職息や腹性て んかんの発症にみまわれた例もある. 子供の発達に必要な母親との愛着行動が十分に形成されていない乳幼児期の子供は,演 の力を借りずに環境に十分適応することほできない。乳幼児期に子供の望まない環掛こ無 理に適応させられ続けると,それまで健康に育っていてもそれに耐え切れなくなり)b理的 緊衷を開放させようとして諸々の身体疾患や情緒障害が現われる.親がその症状の意味に 気付いて十分に保育の手を尽くさないと,子供の望む環掛こ改善されないまま日が経ち, たとえ,身体疾患ほ治っても精神不安定を示す情緒障害の状態が次第に固定していき,一 方愛着行動が必要なだけ育たず,ことばの発達が遅れてしまったのであろう。. 2)乳児期前異常児の保育状況 乳児期以前に既に異常が認められたものは11名:52・4%. (男7,女4)であるが,主訴. 別でほ言語発達の遅れ10,難聴1である。初期の疾患では,血液型不適合,俊死,道子, 児頭骨盤不適合,座れん発作,呼吸不整などその後の言語発達や心身の健康な発育に影響 を及ぼしかねない脳障害の可能性を疑わせたものもあれば,黄痘,吸引分娩程度の異常で, 乳児期までほ正常に発育した言語障害児同様に,言語障害をもたらす重大な脳障害,その 他身体の障害はなかったと思われるものもある。いずれも言語障害や情緒障害が現われて いる。しかも,ほとんど乳児期に既に風邪,便秘,喝息,湿疹,消化不良などの身体疾患 に躍患しており,ひきつけ,はしかなどの問題があったものもある。. 出生段階で重病を負うたため,初期から子供自身の疾患の治療に精力を注ぎ果たし終え たもの,長期にわたる親の疾病によって結果的にほ育児が拒否されて子供に噂吐,夜尿が 始まり,ついで幼児期にはトイレ恐怖,首振り常同行動,多動などの異常行動が次々と出 現し,一方性格的にほ怒ることを知らない,おとなしい育てやすい子になったもの,腫物 にさわるようにそっと寝かされ,あやされたり声かけをされることもなくひたすら死なな いようにとのみ育てられ,離乳食ほ食べてもらえない時無理にでも口に入れ吐かれるよう 2・3歳頃は子 な接触をしていたものなどがあった。ある母親は育児ノイローゼとなり, 供の妖をどう指導したらよいかわからず,夫からは相談したり,愚痴ることも拒否され, 子供を怒鳴ったり叩いたりの暴力を振るって,ついに病気を怖れ,泣かさず,夙にあてな い方針の祖父母に預けられ,その後,母親を治療することによって,母親自身が湿疹,動 悼,易疲労性,背中の痛みなど体調のくずれを訴え,夫の不満を担当者に話し,夫婦喧嘩 も出来るようになると,子供とも遊ベ,叱らなくなって子供の心身の異常が少しずつ回復 した。. あるものは子供の身体疾患の治療に全精力が注がれ,他を顧みる余裕がなく,あるもの は親自身の安全に精力を注がねばならなかったり,あるいは出生段階で負うた疾病や異常 から正常な発達に必要な環境-の適切な,そして積極的な働きかけが子供自身からみられ.
(8) 1 02. 村. (ト. 欣. 司. なかったり,あっても周囲の暑がわずかな弱いサインむ土気付かなかったり,気付いてもそ. の意味が分からなかったりして,乳幼児期には全体の約81%の親は,子供の情緒に添わ ず親の感情,思想,あるいは生活に合わせようとして,強引に「指示+ 「命令+を出し,母 親の意向に合わないことほ「拒否+し,妖や学習を強行して,かえって神経性習癖,行動 異常,心身症などJ亡)身の疾患が現われたり,言語障害が悪化したりして普通の発達が阻害 されてしまったものが多いと考えられた。. 3)両親の不和 母親が感じた夫婦の会話不足であり,父親に夫婦の会話不足があるとか,. ・その必要があ 「今. ると感じているとほ限らないので,夫婦で感情のすれ違いもあろうが,母親たちは,. の2人は10年前にお見合したときと同じ関係が続いており,夫婦の日常会話がはとんど 「身体の不調を夫に訴えると夫の機嫌が悪 なく,夫に対して気軽に会話できない+とか, くなるのでつい我慢し不安な日々を送った+とか, る』とうるさがられる+とか,. 「母親が夫に話すと『J[♪配ばかりかけ. 「もともと無口のもの+,. 「休日は1人でパチンコ,釣り,な. どに出掛け一日中不在で話をしない+などの苦情を述べている、。. 育児は本来父母が協力して達成されるべきものであり,同時に母親の育児に付随して起 こる不安や悩みなどを父親が精神的に受け入れ,安定感情をもたせることによって,ほじ めて円滑な育児が成立する.しかるに,ここに取扱ったケースの83%は,乳幼児期に円. 滑に育児ができるような会話が無く,その結果,子供の心身の発達に悪影響を及ぼしたと 考えられる√。こうした両親の不和ほ子供の疾患や障害が両親を不仲に導いたのか,■不仲が 子供を障害児-とかりたてたのか,あるいは双方の誤解や価値基準の相違などによるのか どのような原因によるかは,事例により異なるが,今後検討を要する課題である。 今回の調査で乳幼児期にことばに障害があるものは,ことばの障害に留まることなく, 情緒障害が発生し,この情緒障害と言語障害とが密接に絡みあって言語障害がながびいて いる。就学後の心身の異常についての調査ほ行なっていないが,言語障害学童の治療に関 与して情緒に障害がある児童を多数みかける。一般的には言語障害児に情緒障害を伴いや すいことについての認識は少ないようである。今後この方面の調査も行ない,言語障害児 の治療に,直接ことばの治療をするだけでなく,情緒障害の治療を行って障害の回復を早 める治療法を確立したい。 今回の調査資料に善かれた内容は,母親の子供に対する印象の深さ,記憶の確実さ,関 心の強さ,あるいほ担当者自身の治療目的や面接能力,親との信療関係などとも関係し, 必ずしも初期の目的が充分達せられなかった。. 結. 読. 昭和54年度と55年度に言語治療の目的で某言語治療教室に来訪した比較的重度の言 語障害児童を対象にした調査結果から次のことが分かった。.
(9) 103. 言語治療を通してみた言語障害児の健康障害. ①. 9名,. 新生児期まで正常に発達したものと思われる言語障害児ほ,. 異常が認められたものは11名,. 42.9%であり,. 52.4%であった。しかも正常に発達した9名中7名ほ,. 言語発達の遅れを主訴としたものであり,. 2名ほどもりであった。新生児期までに異常の. あった11名ほ言語発達の遅れを主訴にしたもの10,紫聴1であった。 ②. 身体疾患全体の羅息数が77件,. 件55.8%. ③. 1人平均3.7件であり,そのうち3歳以前に43. (男28件:52.8%,女15件:62.5%)が羅患している。. 乳幼児期の身体疾患は,伝染病の羅患数が20件で, 66.6%,耳鼻科疾患が11件で,. で,. が9件で,. 95.2%,消化器疾患が14件. 52.4%,てんかんが10件で,. 42.9%,皮膚疾患が6件で,. 47.6%,呼吸器疾患. 28.6%,運動器疾患が5件で,. 23.8%の暑が羅患. した。. ④. 情緒異常現象は全体で42件(男28件,女14件),. みられ,行動異常が21件で,. 1人平均2件の情緒異常現象が. 100%,神経性習癖が18件で,. %の老にみられた。また2歳までの羅患件数が9件(男7,女2),. 21,女12)で,調査対象全員が精神的不健康な問題をもっていた。 ⑤ 「指示+ 「命令+を強く受けていた児童が12名:57・1% 潔)で,不明の7名を除くと85.7%に達した。. 85・7%,心身症3件で14.3 3歳以上が33件(男. (男8:61・5%,女4:50. 「拒否+された児童ほ13名:61・9%. 8:61.5%,女5:62.5%)で,不明6を除くと86.7%に達した。. ⑥. 別居,夫婦の不和,賊黙,親の病気などによる育児環境の不健全なものが17名,. 81%を占めていた。 ⑦. 夫婦の会話,特に子供に関する会話の無さが,調査不明の者を除くと83.3%の親. に指摘され,しかも育児に対する夫の無理解が,子供の心身の疾患をもたらす一因と考え られた。 ⑧. 新生児期までに心身に異常がなくとも,その後の生育途上での脳障害の発生に留ま. ることなく,情緒障害をもたらす諸々の環境要困によっても,心身症や言語障害になると 考えられたJ。. 稿を終るに当り,快く資料を提供して下さった治療教室の先生方,児童とその保護者の 皆様に心より御礼申し上げます。. (男.
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