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言語障害者の集団心理療法

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言語障害者の集団心理療法

Group Psychotherapy of Speech and

Language Handicapped Persons

言語障害著には、構音障害 ・吃音 ・口蓋裂に よ るもの、脳性麻痔 に よるもの、言語発達遅滞、難 聴によるものなどがあ り、それ らの症状や発生機 序は多彩である。 しか し、 いずれ もコミュニケーシ ョンに障害を もつ者 であ る。彼 らの所属す る社会 の普通の聞 き 手にとって、話の内容に注意を惹かれ るの と同程 度に、あるいはそれ以上 に、話 し方の異常 さの方 に注意を惹かれ る点に共通性がある。 さらに、 こ うした聞 き手の反応を障害者が意識す ることで、 欲求不満や劣等感を生 じた り、障害が重 くな った り、社会生活に不都合を生 じやすい とい う特徴を もつ。つま り言語障害恵 は、話 し方の異常 に とど まらず、不安 .劣等感 ・抑欝 ・無気力な どの傾向 を示 しがちであ り、他人に対 しては、拒否 .反抗 ・軽蔑 ・孤独 ・引込み思案な どの反応や態度を示 しやすいのであ る (笹沼、 1980)0 ところで、言語障害 自体やその障害に対す る他 者の反応へ の意識が、本人のパーソナ リテ ィや対 人行動に及ぼす影響は、中学生頃か ら始 まる青年 期においては と りわけ問題 となろ う。 とい うのは、 児童期か ら青年期 に至 ると、 自我意識が昂揚 し、 自己-の関心や社会的関心がめはえ、他者か らり 疎外や 自己疎外を感 じやす くなるか らである (内 1.本研究は、日本教育心理学会第21回総会 (内藤 ・ 遠藤、 1979 :遠藤 ・内藤、 1979)および日本応 用心理学会第47回大会 (内藤 ・遠藤、1980)におい て発表された概要を、再考察しまとめたものである。 集団心理療法の実施およびデータ分析に関しては、 上記共同発表者である浦和市立教育研究所 遠藤 徹 氏の尽力によるところが多い。記して謝意を表した い。

Tetsuo Naito

藤、 1986)。 内藤 .遠藤(1983)は、問題や障害 を もつ中学生の悩みを検討す るなかで、 コ ミュニ ケーシ ョン障害者 としての聴覚 ・言語障害者 の悩 みの構造について もとりあげてい62.その結果、 聴覚や言語に障害を もつ中学生は、単 なる身体の 悩み にとどまらず、教師 ・友人 ・親 との関わ りに ついて も悩みの強いことが兄い出された。 さらに、 悩み の構造を因子分析に よ り検討 した ところ、学 業 ・友人 .親 ・性格 ・身体 ・将来の6領域 にわた る多数の項 目が、 2つ の因子に高い負荷を もち、 互いに緊密に関連 していることがあ きらかに され た。 これ らの知見は、 とくに青年前期にあ る言語 障害者や聴覚障害者に対 しては、 コミュニケーシ ョンの障害に直接関係す る領域だけでな く、学業 ・身体 ・性格 ・将来などの悩みに も対処で きる、 総合的な観点か らの療育が肝要であることを示唆 す るものである。 言語障害者 の療育に関 しては、上述の よ うな総 合的 アプ ローチのために も、文部省(1973)の見 解に もみ られ るような、個別指導に加えた集団指 導の重要性が指摘 され よう。 集団療法については、吃音者を対象 とした同質 集団に関す るものが一般的である (例 えば、対馬、 1977)。 この ような同質集団に よる集団療法は、 症状の改善や原因の除去にきめ細か く対処 で き、 個人療法を補完 し得 る部分 も多 く有利であ るとい え る。 しか し、中学 ・高校の教育現場で症 状や原 因別に同質集団を構成す ることは、治療対 象者数 2. 聴覚障害者も言語障害者と同じく、コミュニケー シ ョン障害者として、パーソナリティや対人行動に 問題を生 じやすいことが知られている(例えは、住、 1980)。 -

(2)

53-や運営の面か ら実際上困難である。 この ような事 情か ら、多様な症状や発生機序を もつ、異質な言 語障害者か らなる集団療法の必要性が生 じること になるo こ う1た異質集団を対象 とす る場合で も・ 比較的軽度な者に限定 し、パー ソナ リテ ィや対人 行動の改善を主 目的 とす るならば、かな りの治療 効果を期待できるのではないか と思われ る。 そこで本研究では、比較的軽度で、異質な症状 や発生機序を もつ言語障害者で、中学生や高校生 を対象 として集団心理療法の効果を検討 しようと す るものである。 方 法 集団心理療法には数多 くの形態があるが (例え は、岡堂 ・水島、1969参照 )、 本研究では対話法 とレク リェ-シ ョソ活動を中心 とし、合宿方式 と した。 また参加 メソパ ーの構成や学宿の 日程につ いては、佐治 ・石郷岡 .上里 (1977)を参考に し 00 oo 仰 oo oo 00 oo oo oo oo oo oo 的 oo oo 00 ∽ 6 7 00 9 0 1 2 3 ・4 5 6 . 7 c c 19 0 1 2 1 t▲ I -1 tl 1 1 l 一 l 一 1 2 2 2 た。 参加者 参加 メンバ ーは、以下の比較的軽度な言語障害 者6名である。A :槻黙、中学生、 B :脳性麻痔 に よる言語障害、高校生

、C:

椀能的構音障害、 中学生、D :吃音、中学生、 E :言語発達遅滞、 中学生、F :口蓋裂に よる言語障害、高校生。 こ れに、 フ ァシ リテ一夕-2名、 Pal :教育研究 所研究員、 Fa2:大学院生が加わ った。いずれ も男子であ り、参加 メンバ ー同志お よびFa2と の間には面識がほ とんどなか った。 手 続 合宿は夏季休暇を利用 し、施設には群馬県赤城 山の大沼に近い、浦和市立赤城少年 自然の家が選 ばれた。 日程は2泊3日とし、大要 はフ ァシ リテ -クーが、細部は参加者全員の ミーティングで決 定 して、最終的にはTABLElの よ うにな った。 TABLEl 合 宿 の 日 程 表 m l u m 2 El 第 3 日 起 床 .沈 ihi 起 床 .沈i佃 所 内 沼 掃 所 内 沼 掃 朝 の つ ど い 朝 の つ ど い 朝 食 朝 食 地 蔵 岳 山 1- イ キ(山 Giに て 昼 食 )ソ頁へ のグ 自由活動 #

%

第 3回 ミー テ ィン グ LtS 発 往 路 清 掃 退 所 準 摘 退所 の つ ど い 大 沼半 周 (徒歩 ) (昼 食 ) (昼 食 ) 大 沼半 周 (徒 歩 ) ポ ー トあ そ び 入所のつど

荷物の片づけ 復 路 節目 司 ミー テ ィン グ t'川 一括動 約 2回 ミ- テ ィ./グ 夕 べ の つ どい 夕 べ の つ と い 夕 食 夕 食 自由活 動 花 火大 会キヤソプ .フ ァイア 質 問 紙 記 入 反 省 卓球大 会 解 放 入 浴 質 問 紙 記 入 入 浴 質 問 紙 記 入 就 瑳 準 備 就 寝 蒋 備

(3)

合宿では、 ミーテ ィングの回数を多 くす るよ りも、 卓球や-イキ ングな どの レク リェ-シ ョンを主 と し、集団での共通体験をで きるだけ もたせ るよう に した。 また、 メンバ ーの積極性や 自尊感情を高 め ることをね らい、それぞれ係を割 り当てた。 な お、宿泊の際の室割 りは、参加 メ./,i-とフ ァシ リテ-クーを別室 とし、 メンバー同志が親密に う ち とけやすい ようにす るとともに、 フ ァシ リテ一 メ-同志の打合せが容易 となるように した。 効果測定 に関 しては、 3回の ミーテ ィングのテ ープ レコーダーに よる録音、毎夕の質問紙-の回 答によ り分析 された。

結 果 と 考 察

参加動機 参加 メシバーの募集 と合宿計画の説明は、各 メ ンバーと親 しいFalに よってな された。 この理 由によるのであろ うが、 自由記述方式のアンケー トによ り参加動椀を検討 した ところ、Falに よ る勧誘 をあげる者が多 く、 自己変革の機会 と考え ていた者はみ られ なか った。 しか しなが ら合宿後 の反省では、全員が有意義であ った と回答 してい た。 全体的経過 の概要 く第1日日) 参加直後は、 メンバー相互な らびにFa2との コミュニケーシ ョンはほ とんどな く、 Falとの 間に大部分が集中 していた。時間が経過 し、大沼 を徒歩で半周す るころか ら参加者全員がやや うち とけ、 Fa2と簡単な会話をかわす ようにな った。 しか し、 メンバー相互の会話は依然 として少なか った。 この傾向は第1回 日の ミーテ ィングにおい て も継続 してお り、 フ ァシ リチーターとメソ/1-との対話が中心であ った。 しか し、夕食後の卓球 大会が始 まると、競技者 同志だけでな く応援者 と の声 のかけ合いもみ られ るようにな り、 メンバー 間に対話の素地が築かれ始めた。 く第2日日) 地蔵岳山頂への-イキ ングでは、参加者間の体 力差か らかな り遅れ る老 (B:脳性麻痔 に よる言 語障害 )がいたが、本人が独力でついて行 こ うと 努力す るとともに、他の メソ/;一連に助け ようと _す る行動がみ られ、集団の凝集性がかな り高 まっ た ことがあ きらか とな った。 この点は、第2回の ミーテ ィングにおいて、単に参加 メンバーの発言 率が高 くな っただけでな く、 メソバ ー同志 の対話 の比率がかな り上昇 した ことか らもいえる。 さら に、夜の花火大会やキャンプ ・フ ァイアで も、 自 発的 に分担 ・協力す る行動が多 くみ られた。 く第3日日 ) 合宿に も慣れ、 メンバーは活気にあふれていた が、退所準備のためあわただ しか った。第3回 目 (最終回 )の ミーテ ィングでの発言率は、第1回 目よ りは高いが、第2回 日とほぼ同 じであ った。 しか しなが ら、 メンバ ー間の対話は さらに多 くな ってお り、集団凝集性が一層高 まった ことを窺わ せ る。 また この点は、午後のボー ト遊びにおいて、 偶然発生 した波で乗 ってい るポー トが流 された

B

(脳性麻痔 に よる言語障害 )、 E (言語発達遅滞 ) の2人を、他の メンバ ー達が助けに行 った とい う エ ピソー ドか らも支持 され よう。 以上の ように、全体的経過か ら、 メソ/;一間の 対人交流が 日を追 うごとに深 まってい った ことが わか る。 ミーテ ィングでの発言数 ミーテ ィングは、毎 日1回開催 された。第1回 と第2回は45分前後であったが、第3回 日は清掃 と退所準備の都合か ら18分 となった。そ こで10分 あた りの発言数を指標 とし、 ミーテ ィングごとに 各 メンバーの結果をグラフに して示 した ものが、 Fig.1であ る。図に よ り全体的傾向をみ ると、参 加 メンバ ーとフ ァシ リテ-クーのいずれ も、第1 回 目に比べて、第2回 と第3回 目の方が、発言数 は多 くな っている. ここで メンバーそれぞれの変 動に注 目す ると、A :蹴黙、B :脳性麻痔 に よる 言語障害、C :機能的構音障害、D :吃音 の4名 は著 しい増加を示すが、E :言語発達遅滞 とF : 口蓋裂に よる言語障害の2名にはあま り変動がみ られ ないことがわか る。10分あた りの発言数を も とに、セ ッシ ョン (ミーテ ィング)と個体 (メン バー )の2要因を分散分析に よ り検討 した ところ、 TABLE 2に示 されているように、いずれ も

5プ

水準で有意差かあ った。 一 55

(4)

-Fig1. 各グループ・メ./バーの10分あた りの発言数 これ らの結果 は、 ミー テ ィングを重ね ると、参 加者 の発言数は増加す る傾 向にあ るが、 メンバ ー については症状や発 生 機 序等に よ って差 がみ られ るこ とを示唆す るもの で ある。 本研究 の結果か ら は、淑黙や吃音 の よ うな心因性の ケースでは、 ミ ーテ ィングの繰 り返 しが 発言数 の増加 につ なが り やす いが、器質的 な要 素 が関与す るケースでは一 義的 では ない といえそ うであ る。 参加 メンバーの発言率 ここでは、 ミ-テ、ィングにおけ る参加 メンバ ー の発言率 お よび発言方 向 の率について検討す る。 フ ァシ リテ -クーの発 言 も含めた全発言数 のな かに 占め るメンバ ーの発 言率は、 TABLE3の よ うにな った。表 に掲載 されてい る よ うに、各 回の ミーテ ィングにおけ る発 言率の差 をx2検定により 検討す ると、 0.1%水 準 で有意 であ った。 さらに 分析す る と、第1回 目と第2回 目の間 で0.170水 準、第1回 日と第 3回 目では 10%水準 とな り、第 2回 目と第3回 目には差 がみ られ なか った。第3 回は、他 の回の40%程度 の18分 であ り、 ミーテ ィ ング開始直後 には メンバ ーか らの発言は あ ま りみ られ ない ことを考慮す るな らは、 ミーテ ィングを 重ね るこ とで参 加 メ ンバ ーの発言率は増 加す ると いえ よ う。 - 56 -TABLE2 グループ.メンバー (A∼F)の 発言数の分散分析表 変 動 因 平方和 df 平均平方 i( * 潤 . 6 5 5 2 9 9 詔 26 0 5 5 .4 3 3 2 1 1 2 5 10 州 .i 帆 1 6 0 27 67 割 ソ 体 差 ヨ シ a セ 個 残 *P< .05 TABLE3 参加メソ/ミ-の発言率 第ミ-ティング1回 郡 2ミ-テ4-/グ回 耶 3i-i_I-/7回

x

2 * **P< .ool TABLE4 参加メンバーからフアシリテークー -の発言率 考ミーティングl 1回 第ミーティング2回 約 3i-テ一ソグ回

x

2 フTシt)チ -メ-- の発言数 80.5 32ー7 18,6 141.3***17 ***P< .ool

(5)

つ ぎに、参 加 メンバ ーの発言の うち、 フ アシ リ チーターに向け られた ものの率 を検討 した ところ、 TABLE4の よ うにな った。 フ ァシ リテ-クーへ の発言率 は、 ミーテ ィングの繰 り返 しに よ り、一 貫 してか な り低下 してい った ことがわか る。差 の 検定 に用 いたx2の値 も著 しく大 き く

0

.

170よ り もか な り低い水準で有意 とな ってい る。 上述の2つ の結果は, ミーテ ィングを重ね るこ とで、参加 メンバ ーの発言率が増加す るだけでな く、彼 らメンバ ー同志 の対話の比率 も著 し く高 く な ることを示 している。 発言内容 ミーテ ィングでの発言内容を、Bales(1950)の カテ ゴ リーに従 い、参加 メンバ ーとフ アシ リテ一 夕一別 に分析 した ところ、Fig.2-4の よ うにな った。 3回の ミーテ ィングを通 じて、 メンバ ーとフ ァ シ リテ-クーのいずれ に も多 くみ られ るのが、意 見や オ リエ ンテーシ ョンを与 えた り、求めた りす る行動のカテ ゴ リーであ り、 これ に同意を示す行 動が続 いてい る。両群 を相対的 に比較す ると、意 見 を与え るのは メンバ ーの方が、逆 に求め るのは フ アシ 1)チーターの方 に多い。 フ アシ l)チーター を基準に して ミーテ ィング間の変化をみ ると、 オ リ- ソテーシ ョンを求め る行動が第2回 目以降 メ ソバ ー よ りも多 くな ること、当初か らメ1/バ ーよ りも少 なか った意見を与 え る行動が さらに減 少 し てい くことが注 目され る。 これ らは メンバ ーか ら の積極 的発言が、次第 に増加 してい くことを示す ものである。 しか し、全般的にみれば、中立的 な課題領域に 関す る コ ミュニケーシ ョンが中心であ りヾ社会情 緒 的な領域 では、 カテゴ リ- 3の、 同意 した り、 受け身 の受容を示 した り、理解 し、協力 し、従 う な どの発言が い くぶんかみ られたにす ぎない。 そ の他の社会情緒的 な発言 に関 しては、 カテ ゴ リー 10の、不 同意を示す、受け身的な拒絶、援助 の撤 回が第1回 日に、 カテ ゴ リ- 2の、緊張を緩 和 し、 冗談 をいい、笑 い、満足を示す ものが第2回 に、 若干み られた程度 であ る。 以上 の結果か ら、 ミーテ ィングを繰 り返す こと で、 メンバ ーはかな り積極的に治療集団に参加 し てい くようにな った ことが窺 える。 しか しなが ら ミーテ ィング場面 に関す る限 り、社会情緒的側面 での交 流が少 な く、集団のダイナ ミクスは十 分に 機能 していない。 これは、-合宿の 日程が2泊3日 で短 い ことか ら、 フ ァシ リテ-クーが慎重 に対処 した ことの影響が大 きい と思われ る。

o

10 20 30 40(泊

o

10 20 30 40(殉

o

10 20 30 40(殉 Fig2・荒詫 蒜 4,だ ,OL Fig3・荒誤 読,fpJ,1g,? Fig4・荒設 ;-,?pJ,tだ ,ov ネ 1.迎符性を示す 2.緊張緩和を示す 3.同窓す る 4.示唆 を与え る 5.意見を与え る 6.オ リェソテーショソを与え る 7.オリエンテーションを求め る 8.意見を求め る 9.示唆を求め る 10.不同意す る 11.緊張を示す 12・敵対心を示す - 57

(6)

-係活動に関する自己評定 既述の ように、 メンバ ーの摂極性や リーダーシ ップを開発 し、 自尊感情を高め ることを 目的 とし て、係活動を割 り当てた。各 メンバーの係名 と仕 事内容は、以下の通 りであ る。

A :

生活係 (宿泊室内の生活の世話、起床、 消燈な ど) B :研修係 (会場の準備、資料の配布な ど) C :給食係 (食事 の準備、連絡、後かたすけ、 清掃な ど) D :奉仕係 (館内全般 の整理 ・整頓、清掃用 具の整理、広場や山の ゴ ミ拾い の計画な ど) E :レク係 (レク リェ-シ ョソの諸準備、後 始末、朝夕のつ どいの体操など の リー ド) F :保健衛生係 (換気、入浴の連絡、後かた ずけ、病気やけがの世話 ) また、それぞれの係活動への積極的関与度を測 定す るために、次の6尺度が用意 された。 1. 積極的に活動で きた。 2.熱心に最後 までや りとげた∩ 3. 責任 を果そ うと努力 した。 4.みんなへの指示 ・連絡を、 きちん と行な った 。 5. 自信を もって係の仕事をや った。 6.みんなの協力が得 られ るように努力 した。 これ らの尺度に対 して、 「そ う思 う、どちらかと いえはそ う思 う、 どちらともいえない、 どちらか といえはそ うは思わない、そ うは思わない」の5 段階 で評定 させ、 これに+ 2- - 2点を与え、合 計点を算出 した。従 って合計値が正の場合は、全 体 としては積極的であ り、負の場合は消極的であ ったことを示す。 質問紙への回答は、毎 日のスケジ ュール活動が ほぼ終了す る時点で得 られた

(TABI

E

l参照 )0 それ らの結果は、Fig.5の ようにな った.全体 と しては積極的に関与 した ことがあきらかであ るが、 各回 ごとに積極的な評定を した人数 と非積極的に

TABLE5

係活動に関する有意差検定 ≦0 0く ≦0 0< ≦ 0 評定 した人数に閑 し、 2項分布に よる検定 をここ ろみた ところ

、TABLE

5の ような結果が得 られ た。 日を追 うごとに積極的に評定 した者の人数が 増加 しているが、有意差は3日目に始めて認め ら れた ことがまっか る. Fig.5に明瞭に示 されているよ うな メンバ ーの 積極的関与度 の違 いは、割 り当て られ た仕事 内容 の明瞭 さの程度が関係 した とも考 えられ る。 しか し、積極的関与度の著 しい

D

は、心因的な要素が 原著な もの として知 られていることか ら、症状や 発生機序に よる影響 も大 きいのではないか と思わ れ る。いずれに して も、仕事にも慣れてきた3日 日には全員 に摂極的な関与がみ られた ことか ら、 係活動の割 り当てが積極性や リーダーシ ップの開 発、 自尊感情の昂揚に有効であ った といえ よう。 -

(7)

58-対人行動に関する自己評定 対人行動の変化は、集団心理療法の効果測定の ための重要な指標のひ とつである。本研究では、 福井(1977)に よるものを参考に し、以下の11尺 度を用意 した。 1. みんな-の関心が 2.みんなの話を閲 こ うとす る態度が 3. 自分を理解 して もらえた感 じが 4.みんなを前 よ りも理解で きた感 じが 5. 自分の気持ちをみんなに伝えることが 6.みんな と親 しめ る感 じが 7. みんなの気持ちがわか った感 じが 8. 自分がみんなに受け入れ られた感 じが 9. 心の通いあ う感 じが 10. みんなを信頼できる感 じが 11. みんなとの一体感が これ らに対 して、「な くな った、かわ らない、や や増 した、かな り増 した、大 いに増 した」 の5段 階で評定 させ、 - 1∼ + 3点 を与え、合計点を算 出 した。合計点が正の場合は対人交流の増加 した ことを、負の場合は減少 した ことを意味す る。 回答は、係活動に関す る評定に引 き続 いて得 ら れた。各回答時点での メンバ ーの尺度合計点は、 Fig.6の ようにな った。負の値は脳性麻痔に よる 言語障害を も

つB

の第1日目のみにみ られ、他者 との交流がい くぶんか減少 した ことを示 している。 十++++3324213027 一- --- # 3- #2第1日EFl /OkP hA、、、ゝ 描 十+++129630

- 3

- 6 //# で t i k I一J/一 ヾ 5、、

>

フノLレ, A

B

C

D

E F における対人行動の評定尺度値 その他はいずれ も正の値であ り、対人交流が増加 しているが、 とくに吃音の

D

は、 3日間のいずれ も突出 した増加 とな っている。 つ ぎに、対人行動に関す る11尺度が回答時点以 前 と比較 しての増加を意味す ることか ら、 2日日 は第1日目の もの と合計 し、第3日目は3日間の 合計を、それぞれの個人得点 とした。 これ らの得 点 に基づいて、合宿 日数 と個体の2要因に関 して 分散分析 した ところ、 TABLE6に示 されている ように、 ともに0.5%水準の有意差が認め られた。 上述の結果は、 レク リェ-シ ョソ、対話、役割 活動など、合宿期間中の全ての集団活動の総合的 な効果に よるものである。 このためそれ らのいず れが最 も有効であ ったのかを特定す ることはでき ないが、 ミーテ ィングでの発言や、係活動に関す る自己評定、 レク リェ-シ ョソでのエ ピソー ドな どか ら、 いずれ もが相乗的な効果 を もた らした と 考 えられ よう。それ らの対人交流に及ぼす効果に は、脳性麻痔や 口蓋裂に よる言語障害ではそれほ ど強 くな く、吃音では劇的であ った とい う違いが み られ る。 しか し、少な くとも軽度を対象 とす る 限 り、多様な症状や発生機序を もつ異質 な言語障 害集団に対 し、集団心理療法がかな り有効 である ことを示唆す るものである。そ してこの集団心理 療法は、本研究の治療対象者 とされた よ うな、 自 我意識が昂揚 し、 自己や他者-の関心がめはえる 青年前期 にある者に適用す る意義は大 きいであろ う。 TABLE6 グループ・プロセスにおける対人 行動の評価に関する分散分析表 変動因 平方和 df 平均 平方 F 合宿 日数 2298.111 2 1149.056 12.

(

*

*

個 体 5701.611 5- 1140.322 ll.91**

*

*P

< .005

(8)

要 約 言語障害者は,障害 自体だけでな く、障害 に対 す る他者の反応を意識す ることに よ り、障害が重 くな った り、パー ソナ リテ ィや対人行動に問題を 生 じやすい。 こ うした影響は、 自我意識が昂揚 し、 自己や社会-の関心がめはえる青年期においては と くに問題 となる。 この ような特徴を もつ言語障 害者に対 しては集団心理療法が有効であるが、中 学 ・高校の教育現場の実情か ら、症状や発生琉序 別に同質集団を構成す ることは困難 である。 また 異質な集団であ って も、軽度な言語障害の場合か な りの効果が予測で きる。 この ような背景か ら、 本研究では、中学生や高校生で異質な症状や発生 機序を もつ、比較的軽度な言語障害者集団を対象 として、集団心理療法の効果を検討す ることが 目 的 とされた。 治療は2泊3日の合宿方式 とし、対話法、 レク リェ-シ ョソ活動、役割活動などの複数の療法を 採用 した。それ らの効果は、 レク リェ-シ ョソで のエ ピソー ド、 ミーテ ィングでの発言、係活動に 関す る自己評定、対人行動の自己評定 などによ っ て分析 された。治療効果は心因性の障害において 著明であ ったが、軽度な障害者を対象 とした こと に よろ うが、多彩な言語障害のいずれに も有効で あることが確認 された。 引 用 文 献 Bales,R.F.1950 Interaction proces sana-lysis:A method forthestudy ofsmall groups.友田不二男編 手塚郁恵訳 1971 グループ研究の方法 サイ コセラビイシ リーズ 6 岩崎学術出版社 - 60 -遠藤 徹 ・内藤哲雄 1979 言語障害群の グル ープ ・アプ ローチ (Ⅱ) 日本教育心理学会第21回 総会発表論文集、 622-623. 福井康之 1977 グループ ・アプ ローチの実際

(

4

)

佐治守夫 ・石郷岡泰 ・上里一郎編 グルー プ ・アプ ローチ 誠信書房 第6章 P l12-141. 文部省 1973 言語障害教育の手び き 東山書房 内藤哲雄 1986 中学生の疎外感 長野大学紀要、 8、1、 85-93. 内藤哲雄 ・遠藤 徹 1979 言語障害群の グル ープ ・アプローチ (I) 日本教育心理学会第21回 総会発表論文集、 620-621. 内藤哲雄 ・遠藤 徹 1980 言語障害群のグル ープ ・アプローチ

O

u

J 日本応用心理学会第47回 大会発表論文集、 75. 内藤哲雄 ・遠藤 徹 1983 問題や障害を もつ 中学生の悩みの構造 早稲田心理学年報、創立 100周年記念特別号、 19- 27. 岡堂哲雄 ・水島恵一 1969 集団療法の諸形態 水島恵一 ・岡堂哲雄編 集団心理療法 金子書 房 第3章

P

62- 97. 佐治守夫 .石郷岡泰 ・上里一郎編 1977 グル ープ ・アプ ローチ 誠信書房 笹沼澄子 1980 言語障害 藤永 保 ・三宅和 夫 ・山下栄一 ・依 田 明 ・空井健三 ・伊沢秀而 福 障害児心理学 有斐閣 第7章

P

981 109. 住 宏平 1980 聴覚障害 藤永 保 ・三宅和 夫 ・山下栄一 ・依田 明 ・空井健三 ・伊沢秀而 編 障害児心理学 有斐閣 第6章 P82197. 対馬 忠 1977 吃音者のグループ ・アプロー チ 多田治夫 ・上里一郎編 集団心理療法 講 座心理療法6 福村出版 第 5葦 P78- 95.

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