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食変光星観測と質量推定

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Academic year: 2021

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1

食変光星観測と質量推定

11s1-035

齋藤英恵

(2)

2

目次

要旨

1. 変光星の分類

2. 観測対象の食変光星の特性

3. 観測

3.1 使用機器

3.2 観測方法

4. 画像解析

4.1 ダークフレーム

4.2 フラットフレーム

4.3 光度測定

5. 観測結果

6. 質量推定

7. 考察

謝辞

参考文献

(3)

3

要旨

本研究では食変光星 V364Cas の光度曲線から質量を求めることを目的とし、大学構内に ある 40cm リッチー・クレチアン式反射望遠鏡と冷却 CCD カメラを用いて V バンドフィルタ ーでの観測を行った。本論文は、本学にて初めてとなる食変光星観測を行った論文である。 観測の結果 2014 年 12 月 1 日から 2015 年 1 月 17 日までの光度曲線が得られたが、食の 時間帯に観測出来たのは 2 度のみで、このデータから周期を決定することはできなかった。 このため先行研究による周期 1.54 日を仮定して光度曲線を折りたたみ、周期全体にわたる 光度曲線の形を求めた。ここから得られた食による減光や食の持続時間に基づいて質量を 算出したところ、V364Cas を構成する二つの星の質量の上限値はどちらも4.64𝑀(太陽質 量)と求められた。

(4)

4

1. 変光星の分類

~変光星とは~

変光星とは、明るさが時間とともに変わる恒星のことである。星によってその周期は異 なり、明るさも様々である。大抵は若い星や年老いた星のことであり、変光するのには内 的原因の場合と外的原因の場合とがある。種類は、変光星総合カタログ(GCVS)第 4 版に よると、食変光星(食連星)・爆発変光星(爆発星)・脈動変光星(脈動星)・回転変光星(回 転星)・激変変光星(激変星)・変光 X 線型の 6 種類に分類されている。

~食変光星~

連星は重心の周りを 2 つ(以上)の星が公転し、軌道傾斜角が 90 度に近づくと星同士が 食をおこす。食によって見かけの恒星の明るさは減光する。食連星は成分星同士が公転に よって隠しあうことによって減光する現象をいう。食は一回の公転で 2 回起こり、明るい 星が暗い星に隠される主極小と、暗い星が明るい星に隠される副極小がある。明るい星を 暗い星が隠すと減光量(変更範囲)が大きくなる。 また今回はこの食変光星を観測対象とする。 [図 1-1. 食変光星簡易図]

(5)

5

2. 観測対象の食変光星の特性

[名称]V364 Cas [赤経]00h52m43.0s [赤緯]+50°28’10” [変光範囲]10.6-11.2V [変光周期]1.543069 日 [比較星]H1:V 等級 11.477 H2:V 等級 12.471 今回、比較星を 2 点あげているが本来 7 点存在する。しかし今回指定した 2 点の比較星 以外は目標星と距離が離れていることで比較星としては適切ではない為、除外した。また、 その他の比較星は 2 つの天体が重なっている事や表示されている天体が比較星なのか明確 に定まらないなどの理由から除外した。そこで明確になっている比較星を今回 2 点で定め た。それが H1:V 等級 11.477 H2:V 等級 12.471 である。

(6)

6

3. 観測

3.1 使用機器

~望遠鏡~

明星大学 30 号館 R 階の屋上に設置されているリッチークレシアン式の反射望遠鏡 [図 3-1]を使用する。 [口径] 40cm [焦点距離] 2800cm [図 3-1. 反射望遠鏡]

(7)

7

~冷却 CCD カメラ~

本研究は大学所有の冷却 CCD カメラ BN-52E[図 3-2]にて観測対象の撮影を行う。CCD カメ ラはパソコンを使用し操作する為、専用のソフトが必要となる。撮影前に CCD を望遠鏡本 体に取り付け冷却を行う。冷却温度は、観測時の気温-20 度に設定した。 CCD は熱的に発生する電流が生じることで画像にノイズが残り、露出時間が長時間に及ぶ ほどにノイズは蓄積される。しかしながら、冷却することにより電流が減り、長時間露出 が可能とする。 カメラに搭載されているフィルターホルダー内に、ジョンソンフィルター[図 3-3]が装填 されている。今回の撮影では V フィルターを使用した。 [図 3-2. 冷却 CCD カメラ BN-52E] [図 3-3. ジョンソンフィルター]

(8)

8

3.2 観測方法

今回の目標天体は、観測時期・期間・変光周期の短い V364Cas と決定した。 観測を行うにあたり、AAVSO(アメリカ変光星観測者協会)から目標天体の星図[図 3-4]を 入手した。観測日は 2014 年 12 月 1 日から 2015 年 1 月 17 日の中の 10 日間であり、撮影は 一回につき 50 枚撮影を行った[表 3-1]。 [表 3-1]

~観測手順~

1.冷却 CCD を望遠鏡に設置し、1 回に 50 枚の撮影をする。 2.天体画像処理ソフトウェアのステライメージ 7 を使用し画像処理を行い、 光度・カウント値の測定を行う。 3.得られた値とユリウス日をExcelに 50 枚分打ち込む。 これらのデータから 1 日分のグラフを表示する。 日にち 時間 気温(度) 湿度(%)露出時間(秒) 月齢 12月1日 19:49~20:15 14.2 81% 10 8.6 12月3日 00:10~00:37 6.4 37% 10 10.6 12月5日 22:40~23:10 5.8 44% 15 12.6 12月6日 21:01~21:25 5.1 53% 10 13.6 12月8日 20:12~20:35 7.6 48% 10 15.6 12月15日 01:35~02:14 2.5 55% 15 22.6 12月17日 21:50~22:24 3.4 32% 13 24.6 12月26日 20:25~20:59 4.7 39% 15 4.1 12月27日 19:05~19:15 4.8 37% 10 5.1 1月17日 22:10~22:40 2.5 32% 13 5.7

(9)

9 カシオペヤ座 V364 Cas AAVSO 星図チャート [図 3-4. V364 Cas の観測用星図] 名称:V364 Cas 変光範囲:10.6-11.2V 変光周期 :1.543069 比較星の等級 H1:V 等級 11.477 H2:V 等級 12.471

(10)

10

4. 画像解析

4.1 ダークフレーム

ダークフレーム[図 4-1] は、撮影時に生じるノイズを処理する。遮光空間を撮影した画 像を撮影する。

[図 4-1.

ダークフレーム]

(11)

11

4.2 フラットフレーム

望遠鏡に直接光りが当たらぬよう、ドームに光りを当てることにより間接的に光りを 入れ撮影を行う。フラットフレーム[図 4-2]を用いて、望遠鏡のゴミを処理や撮影画像に生 じた周辺減光処理をする。ダーク補正を行い加算平均し、合成したフラットフレームを使 用する。 [図 4-2. フラットフレーム]

(12)

12

4.3 光度測定

変光星の光度を求める為、画像解析においてステライメージ 7[図 4-3]を使用した。その 際、必要となる比較星として、V 等級 11.477(H1)と V 等級 12.471(H2)を使用した。 割り出した値は Excel を使用し、まとめる[図 4-3]。数値入力が完了したところで、ユリ ウス日の値を表示させる。 [図 4-3. 光度測定] [図 4-4. Excel による表]

(13)

13

5. 観測結果

光度測定のデータ(表 5-1・5-2・5-3・5-4)から 1 日分の光度曲線のグラフを作成する (図 5-1・5-2・5-3・5-4)。縦軸は等級であり、横軸は時間となっている。これは、観測日 ごとのデータが存在するので 10 日分×50 枚のデータが存在する。次に、1 日分の光度曲線 を作成したものを折りたたみ 1 周期のグラフに換算し表す(図 5-6)。縦軸は等級であり、 横軸は 1 周期(1.54 日)である。1 周期(1.54 日)と示しているのは先行研究の Chaubey (1984)の論文より引用した値である。 参考の為に、初日観測日である 12 月 1 日による観測データ・グラフを提示した。また、 12 月 5 日の食の観測データ・グラフを基準に、食の始まりである 12 月 14 日による観測デ ータ・グラフから、食の終わりである 12 月 3 日による観測データを表す。比較として、 一度目の食の最大値である 12 月 26 日による観測データ・グラフも示す。

(14)

14 [表 5-1. 初日観測日 12 月 1 日による観測データ] [図 5-1. 初日観測日 12 月 1 日による観測グラフ]

回目

時間

等級

回目

時間

等級

1

19:50:33

10.535

26

19:55:33

10.546

2

19:50:45

10.542

27

19:55:45

10.532

3

19:50:57

10.537

28

19:55:57

10.550

4

19:51:09

10.536

29

19:56:09

10.556

5

19:51:21

10.550

30

19:56:21

10.507

6

19:51:33

10.539

31

19:56:33

10.545

7

19:51:45

10.551

32

19:56:45

10.535

8

19:51:57

10.537

33

19:56:57

10.554

9

19:52:09

10.542

34

19:57:09

10.490

10

19:52:21

10.536

35

19:57:21

10.515

11

19:52:33

10.532

36

19:57:33

10.515

12

19:52:45

10.539

37

19:57:45

10.549

13

19:52:57

10.537

38

19:57:57

10.491

14

19:53:09

10.505

39

19:58:09

10.534

15

19:53:21

10.548

40

19:58:21

10.485

16

19:53:33

10.541

41

19:58:33

10.541

17

19:53:45

10.544

42

19:58:45

10.515

18

19:53:57

10.527

43

19:58:57

10.529

19

19:54:09

10.537

44

19:59:09

10.549

20

19:54:21

10.553

45

19:59:21

10.511

21

19:54:33

10.550

46

19:59:33

10.529

22

19:54:45

10.523

47

19:59:45

10.542

23

19:54:57

10.570

48

19:59:57

10.524

24

19:55:09

10.532

49

20:00:09

10.557

25

19:55:21

10.552

50

20:00:21

10.555

平均

-

10.535

(15)

15 [表 5-2. 2 回目の食の入りの直前12 月 15 日による観測データ] [図 5-2. 2 回目の食の入りの直前12 月 15 日による観測グラフ]

回目

時間

等級

回目

時間

等級

1

1:35:01

10.542

26

1:42:06

10.573

2

1:35:18

10.583

27

1:42:23

10.578

3

1:35:35

10.537

28

1:42:40

10.541

4

1:35:52

10.605

29

1:42:57

10.572

5

1:36:09

10.569

30

1:43:14

10.597

6

1:36:26

10.581

31

1:43:31

10.559

7

1:36:43

10.555

32

1:43:48

10.563

8

1:37:00

10.564

33

1:44:05

10.565

9

1:37:17

10.557

34

1:44:22

10.552

10

1:37:34

10.588

35

1:44:39

10.530

11

1:37:51

10.535

36

1:44:56

10.563

12

1:38:08

10.566

37

1:45:13

10.595

13

1:38:25

10.565

38

1:45:30

10.576

14

1:38:42

10.597

39

1:45:47

10.567

15

1:38:59

10.570

40

1:46:04

10.535

16

1:39:16

10.527

41

1:46:21

10.579

17

1:39:33

10.576

42

1:46:38

10.625

18

1:39:50

10.579

43

1:46:55

10.527

19

1:40:07

10.572

44

1:47:12

10.604

20

1:40:24

10.548

45

1:47:29

10.594

21

1:40:41

10.543

46

1:47:46

10.540

22

1:40:58

10.598

47

1:48:03

10.560

23

1:41:15

10.544

48

1:48:20

10.569

24

1:41:32

10.580

49

1:48:37

10.553

25

1:41:49

10.626

50

1:48:54

10.581

平均

 -

10.568

(16)

16 [表 5-3. 2 回目の食 12 月 5 日による観測データ] [図 5-3. 2 回目の食 12 月 5 日による観測グラフ]

回目

時間

等級

回目

時間

等級

1

22:42:21

11.213

26

22:49:26

11.196

2

22:42:38

11.193

27

22:49:43

11.197

3

22:42:55

11.224

28

22:50:00

11.208

4

22:43:12

11.159

29

22:50:17

11.213

5

22:43:29

11.214

30

22:50:34

11.211

6

22:43:46

11.179

31

22:50:51

11.222

7

22:44:03

11.286

32

22:51:08

11.233

8

22:44:20

11.209

33

22:51:25

11.220

9

22:44:37

11.209

34

22:51:42

11.219

10

22:44:54

11.186

35

22:51:59

11.241

11

22:45:11

11.197

36

22:52:16

11.206

12

22:45:28

11.187

37

22:52:33

11.243

13

22:45:45

11.197

38

22:52:50

11.228

14

22:46:02

11.203

39

22:53:07

11.192

15

22:46:19

11.205

40

22:53:24

11.247

16

22:46:36

11.239

41

22:53:41

11.239

17

22:46:53

11.174

42

22:53:58

11.244

18

22:47:10

11.192

43

22:54:15

11.250

19

22:47:27

11.195

44

22:54:32

11.211

20

22:47:44

11.192

45

22:54:49

11.239

21

22:48:01

11.207

46

22:55:06

11.205

22

22:48:18

11.163

47

22:55:23

11.245

23

22:48:35

11.208

48

22:55:40

11.227

24

22:48:52

11.207

49

22:55:57

11.239

25

22:49:09

11.201

50

22:56:14

11.234

平均

-

11.212

(17)

17 [表 5-4. 2 回目の食の出の直後12 月 3 日による観測データ] [図 5-4. 2 回目の食の出の直後12 月 3 日による観測グラフ] 回目 時間 等級 回目 時間 等級 1 0:11:30 10.525 26 0:16:30 10.555 2 0:11:42 10.593 27 0:16:42 10.551 3 0:11:54 10.563 28 0:16:54 10.577 4 0:12:06 10.582 29 0:17:06 10.565 5 0:12:18 10.570 30 0:17:18 10.568 6 0:12:30 10.566 31 0:17:30 10.582 7 0:12:42 10.530 32 0:17:42 10.575 8 0:12:54 10.545 33 0:17:54 10.558 9 0:13:06 10.577 34 0:18:06 10.541 10 0:13:18 10.587 35 0:18:18 10.573 11 0:13:30 10.556 36 0:18:30 10.571 12 0:13:42 10.569 37 0:18:42 10.548 13 0:13:54 10.546 38 0:18:54 10.577 14 0:14:06 10.561 39 0:19:06 10.583 15 0:14:18 10.588 40 0:19:18 10.577 16 0:14:30 10.602 41 0:19:30 10.512 17 0:14:42 10.580 42 0:19:42 10.560 18 0:14:54 10.510 43 0:19:54 10.562 19 0:15:06 10.548 44 0:20:06 10.553 20 0:15:18 10.555 45 0:20:18 10.578 21 0:15:30 10.600 46 0:20:30 10.551 22 0:15:42 10.575 47 0:20:42 10.556 23 0:15:54 10.615 48 0:20:54 10.570 24 0:16:06 10.527 49 0:21:06 10.578 25 0:16:18 10.516 50 0:21:18 10.556 平均 - 10.563

(18)

18 [表 5-5. 1 回目の食 12 月 26 よる観測データ] [図 5-5. 1 回目の食 12 月 26 よる観測グラフ]

回目

時間

等級

回目

時間

等級

1

20:26:46

10.849

26

20:26:46

10.835

2

20:27:02

10.840

27

20:27:02

10.836

3

20:27:19

10.826

28

20:27:19

10.827

4

20:26:46

10.851

29

20:26:46

10.815

5

20:27:02

10.769

30

20:27:02

10.772

6

20:27:19

10.887

31

20:27:19

10.806

7

20:26:46

10.825

32

20:26:46

10.804

8

20:27:02

10.848

33

20:27:02

10.789

9

20:27:19

10.828

34

20:27:19

10.789

10

20:26:46

10.826

35

20:26:46

10.789

11

20:27:02

10.846

36

20:27:02

10.819

12

20:27:19

10.836

37

20:27:19

10.792

13

20:26:46

10.818

38

20:26:46

10.754

14

20:27:02

10.816

39

20:27:02

10.760

15

20:27:19

10.879

40

20:27:19

10.788

16

20:26:46

10.817

41

20:26:46

10.851

17

20:27:02

10.820

42

20:27:02

10.793

18

20:27:19

10.836

43

20:27:19

10.780

19

20:26:46

10.871

44

20:26:46

10.777

20

20:27:02

10.839

45

20:27:02

10.850

21

20:27:19

10.820

46

20:27:19

10.784

22

20:26:46

10.772

47

20:26:46

10.776

23

20:27:02

10.817

48

20:27:02

10.802

24

20:27:19

10.770

49

20:27:19

10.773

25

20:26:46

10.813

50

20:26:46

10.782

平均

-

10.813

(19)

19 [図 5-6. 軌道周期(1.54 日)で折りたたんだ等級変化]

(20)

20

6. 質量推定

質量𝑀!と𝑀!の星が距離𝑎離れて互いの回りを角速度Ωで回転しているとする。 [図 6-1.天体と値] 2 つの星は重心の回りを回ることになるが重心から𝑀!の星の中心までの距離を𝑟!、𝑀!の 星の中心までの距離を𝑟!とすると次の式になる。 𝑟! = !! !!!!! 𝑎 (1) 𝑟!= !! !!!!! 𝑎 (2) この連星の回転運動は円であると仮定すると𝑀!の星の運動方程式は重心の回りの回転に よる遠心力と𝑀!に引かれる重力のつりあいの式から 𝑀!𝑟!Ω ! =!!!!! !! (3) 連星の回転周期を𝑃!とすると Ω=!!! ! (4) (1)~(4)式より 𝑎! =!(!!!!!) (!!)! 𝑃! ! (5) となる。

Ω

(21)

21 今回、連星の軌道面を真横から観測していると仮定する。 (これは、先行研究である Chaubey(1984)の論文によると軌道の法線と観測方向のなす角 が 87 度になっている。) 2 つの星の半径を𝑅!と𝑅!とし、𝑅! ≥ 𝑅!とする。𝑀!の星が𝑀!の星の後にかくれ時、 𝑀!の星を中心においた図で見ると𝑀!の星が食に入るときと食から出る時の置は [図 6-2.食] となる。 この食に入る時の𝑀!の星の位置をA、食を出る時の𝑀!の星の位置をBとすると AB(AとBの距離)= 2(𝑅!+ 𝑅!) (6) となり、 𝑀!の星の中心を 0 とおき、∠AOBの半分の角度を𝜑!とおくと 𝑅!+ 𝑅!= 𝑎 sin 𝜑! (7) となる。 よって 𝜑!=!!!!! ! (8) と近似する。

(22)

22 食の入りから食の出までの時間幅を∆𝑡!とおく。この時間幅∆𝑡!と連星周期𝑃!との比を𝛼! とすると 𝛼!=∆!!! ! (9) となる。 今回の観測では、食の入りと食の出を観測することはできなかった。そこで、食の入り の直前である 12 月 15 日の観測[表 5-2]の最後の時間を食の入りの時間とし、一方、食の出 の直後である 12 月 3 日の観測表[5-4]の最初の時間を食の出の時間として、(12 月 3 日から 12 月 15 日の間の連星の回転分は補正し)∆𝑡!を求めた。その結果は ∆𝑡!= 0.285 日 であった。 ちなみに軌道周期は、先行研究より 𝑃!= 1.54 日 である。 𝑀!の星が𝑀!の星の回りを2𝜋回るのにかかる時間が𝑃!で食の時間の間に回る角度 2𝜑!は 𝜑!=!!!!! ! (10) であるから、 𝛼!=!!! !! = !! ! = !!!!! !" (11) ともなる。 𝑀!の星が𝑀!の星の後に完全に隠れる(皆既食)時間幅∆𝑡!を考える。 上式では、部分食も含めた食全体の時間幅∆𝑡!を考えた。食の入りから、皆既食の始まり (部分食)、皆既食、皆既食の終わり(部分食)となる。 皆既食にいる間に𝑀!の星が動く距離𝑖 は以下の図のようになる。

(23)

23 [図 6-3. 皆既食中の移動距離] 図から 𝑖 = 2(𝑅!− 𝑅!) (12) となることがわかる。 食全体の幅を考えた時と同様に、皆既食の間に𝑀!の星が𝑀!の星の回りを回る角度を2𝜑! とすると 𝜑!=!!!!! ! (13) となり、 ∆𝑡!と𝑃!の比を𝛼!とおくと𝛼!の時と同様に 𝛼!=!!!!! ! (14) となる。 Chaubey(1984)の観測に見られるように、この連星の食では、2 つの食とも、皆既食の 時間幅はほぼ0である。この時間幅が完全に0だとすると(9)(10)式から 𝑅!− 𝑅! = 0 (15) すなわち 𝑅! = 𝑅! (16)

(24)

24 半径も同じで明るさも同じであれば、2 つの星は同じ型の星で質量も同じと考えられる。 よって、 𝑀! = 𝑀! (17) とおく。 今回の観測では、皆既食の時間幅も求めることは出来なかった。しかし、[表 5-3]、[図 5-3]に見られるように、この食中の連星の等級は 11.25 等近くまで上がっている。すなわ ち、この連星の通常の等級 10.55 等からほぼ 0.7 等ふえていることになる。この等級の増 加を連星光度の変化量に変換すると10!!.!!.!、すなわち約半分に変化したことがわかる。2 つ の星がどちらも主系列の星であるとすると、2 つの星の質量が等しい時、皆既食の光度変化 の割合がもっとも大きくなり、その変化の割合は半分になる事が言える。よって、今回の 観測からも、2 つの星の質量がほぼ等しいと言う事が出来る。 (5)、(9)、(11)の式を使い、どちらの星も質量𝑀、半径𝑅の星であるとすると 𝑎 = !!!!! (!!)! ! ! 𝑀!! (18) 𝛼!=!"!!, 𝛼!=∆!!! ! (19) となることから、(11)に代入すると 𝑅 = !!! ! !! ! !∆!! !! ! ! 𝑀 ! ! (20) となる。 Chaubey(1984)の先行研究により、この連星の星は太陽より少し重い主系列星と考えら れる。 すると、星の半径、質量を太陽の半径𝑅、太陽の質量𝑀で規格化して ! !⊙ = ! !⊙ !.! (21) と近似できる。 ここで 𝑀⊙= 2.0×10!"kg (22) 𝑅⊙= 7.0×10!m (23)

(25)

25 (21)式を(20)式に代入し整理すると ! ! = !"!∆!!! !!!!!! ! ! (24) になる。 上の式に∆𝑡!、𝑃!、𝑀⊙、𝑅⊙の数値を入れると最終的に M = 4.6𝑀 (25) の値を得る。

(26)

26

7. 考察

明星大学望遠鏡を用いて、食変光星 V364 Cas の観測を行った。 観測した撮像データから連星の等級を求め、先行研究で求められていた軌道周期 1.54 日 で折りたたむ事により、連星の連星周期による等級変化を求めた。しかしながら、先行研 究によると周期は同じ変更範囲となり、同じ大きさの曲線が出来る事になるになると考え られている。観測時間が不十分で、観測点が離散的にならんだものとなり、2 回ある食につ いては、一部ずつしか食中の等級変化を捉える事が出来なかった。望ましいデータは一周 期分のみではなく、なるべく多くの周期の重ね合わせをしたグラフを作成する事である。 次に、今回の観測データを用い、先行研究の結果も利用しながら 2 つの星の質量の推定 を行った。その結果、2つの星の質量がほぼ等しいとの推論の下で、全観測日の光度の平 均は 10.64 等級となり、食の見られない範囲の光度の平均は 10.55 等級となった。(標 準偏差では 0.02 という値になり)であった。以上の結果からこの連星を構成する星の質 量として、 M=4.64𝑀 という値が得られた。 これは、太陽質量2.0×10!"kg であるので質量は、 M =9.284×10!"kg という値である。 この値を得るに当たっては、今回の観測における食の入り直前の最後の時間と、食の出直 後の最初の時間から、食の入りから出までの時間を求めた。 この数値は、実際の食の入りから出までの時間幅の上限値を与える事になるので、求め た星の質量は、実際の星の質量の上限値を与えていることになる。この結果は、先行研究 の結果と矛盾するものでなかった。 以上の研究から、観測としては不十分な面もあったが、明星大学天文台を利用した初め ての食変光星観測として、貴重な第一歩を踏み出せたと考える。

(27)

27

謝辞

卒業論文作成にあたり、大変お世話になりました。井上一先生・小野寺先生・日比野様・ 先輩方・天文学研究室の 4 年生、作業を進めていくにわたり慌ただしくなる私に、何度も 手を差し伸べて頂き、また温かく見守ってくださり、本当に有難う御座いました。

(28)

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参考文献

・Chaubey, U. S. "Photometric elements of V364 Cassiopeiae” Astrophysics and Space Science, vol. 106, no. 2, p. 273-282. (1984) ・誠文堂新光社 天体観測の教科書変光星観測[編] 日本変光星研究会編 ・天文アマチュアのための 冷却 CCD 入門 福島英雄[著] ・昨年度卒業生作成による卒業論文 http://www.hino.meisei-u.ac.jp/phys/astrolab/stu/2013/variable.pdf ・基礎知識 - 9.変光星 - アストロアーツ http://www.astroarts.co.jp/alacarte/kiso/kiso12-j.shtml ・AAVSO(変光星カタログ) http://www.aavso.org/vsp

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