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三フッ化塩素/Chlorine trifluoride(7790-91-2)

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Academic year: 2021

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急性曝露ガイドライン濃度 (AEGL)

Chlorine trifluoride (7790-91-2) 三フッ化塩素

Table AEGL 設定値

Chlorine trifluoride 7790-91-2 (Final) ppm

10 min 30 min 60 min 4 hr 8 hr

AEGL 1 0.12 0.12 0.12 0.12 0.12 AEGL 2 8.1 3.5 2 0.7 0.41 AEGL 3 84 36 21 7.3 7.3 設定根拠(要約): 三フッ化塩素(ClF3)は、11.7°Cを境として、これより低い温度では緑色~黄色の液体、こ れより高い温度ではむせるような甘い臭いのある無色の気体である。引火性はないが、反 応性が極めて高く、腐食性の強い酸化剤である。原子炉燃料の処理に使われる他、フッ素 化剤、ロケットの発燃剤・点火剤・推進剤、フッ素樹脂の熱分解抑制剤として用いられて いる。空気中では不安定であり、急速に加水分解されて、フッ化水素(HF)と、二酸化塩 素(ClO2)などの様々な塩素含有化合物になる。ClF3の毒性作用の少なくとも一部は、HF やClO2の作用によるものである。 ClF3は、作用が発現するまでの時間が短い、強力な粘膜刺激物質である。ClF3は皮膚や眼に 接触すると熱傷を起こし、吸入すると急性の肺刺激症状と肺水腫が起こる。サル、イヌ、 ラット、マウスを用いて、様々な評価項目に関していくつかの曝露時間で吸入試験が行わ れ、刺激作用に関するデータがイヌとラットで、亜致死および致死の濃度に関するデータ がサル、ラット、マウスで得られている。非常に短い時間(1~2分間)で曝露されたヒト の事例が1件みつかったが、曝露濃度に関するデータは得られなかった。得られたデータは、 3つのレベルそれぞれ5つの曝露時間についてのAEGL値を導出するのに、十分であると判断 された。動物における致死に関する曝露濃度-曝露時間のデータを回帰分析し、曝露濃度と 曝露時間の関係式がC1.3 × t = kであることを確定させた。 AEGL-1値の導出は、平均濃度1.17 ppmで6時間曝露したイヌ2匹中2匹に、曝露開始から3時

(2)

2 間以内に認められた軽微な刺激症状、すなわち鼻漏(鼻汁)に基づいた(Horn and Weir 1956)。 イヌは鼻が敏感な動物であるため、イヌが刺激性ガスに反応して鼻汁を示した濃度を、 AEGL-1に関する無毒性量(NOAEL)とした。この濃度で6時間曝露したラット20匹に、臨 床症状はまったく認められていない。3時間より長く曝露したイヌには、明らかな流涙が認 められ、1.17 ppmで毎日反復曝露したラットとイヌには、重篤な刺激の徴候が認められてい る。3時間曝露したイヌにみられた鼻漏は、AEGL-1値を導出する上で適切な評価項目であ ると判断された。イヌはラットより感受性が高いため、種差に関し種間不確実係数3を適用 し、一方、軽度の刺激は同様のレベルで一般集団に起こると予想されるため、個体差に関 し種内不確実係数3を適用した。よって、総不確実係数は10となり、これを用いて1.17 ppm で3時間という曝露量を外挿した。軽度の感覚刺激に対する適応が起こるため、AEGL-1値 については、時間スケーリングを行わなかった。よって、算出された値(0.12 ppm)を、 AEGL-1のすべての曝露時間に採用した。この0.12 ppmという値は、ClO2のAEGL-1値(0.15 ppm)に近似しており、また、HFのAEGL-1値(1.0 ppm)の8分の1に相当する。種内不確実 係数を3より大きい値にすると、得られるAEGL-1値は、ClF3の主要な2つの分解産物である ClO2とHF(1個のClF3分子が分解して、3個のHF分子と1個のClO2分子が生成される可能性が ある)のAEGL-1値と整合しないと考えられるため、種内不確実係数は3で十分である。

AEGL-2 値の導出は、5.15 ppm の濃度で 6 時間曝露したイヌ 2 匹中 2 匹に認められた刺激の 徴候(流涎、流涙、鼻漏、瞬目)に基づいた(Horn and Weir 1955)。これらの刺激の徴候 は、曝露初日の終わりには可逆的に消失した(イヌは「重大な悪影響を受けていないよう であった」)ことから、危険回避する能力を損なうものではないと考えられた。この濃度 で 6 時間曝露したラット 20 匹は、悪影響を受けていないように見受けられた。ただし、こ の濃度で毎日反復曝露したラットとイヌでは、刺激の徴候の重症度が次第に上昇した。イ ヌはラットより感受性が高いため、種差に不確実係数 3 を適用し、一方、個体差には不確 実係数 3 を適用した。よって、総不確実係数 10 で、6 時間適用した濃度(5.15 ppm)を割 った。算出された値(0.52 ppm)について、式 Cn × t = k を用いて(ここでは、n = 1.3)、 時間スケーリングを行った。この濃度と曝露時間の関係式は、いくつかの致死実験のデー タから確定した(Appendix A)。AEGL 値を導出する際の基準とした試験の曝露時間が 4 時 間より長い場合、10 分間値には 30 分間値を採用することが通例になっているが、時間スケ ーリングのデータが 13.5~222 分間の曝露時間にわたって得られたため、本件の AEGL-2 の 10 分値には、30 分間値を採用しなかった。この 2 つの AEGL-2 値が、HF の各曝露時間の 値(10、30 分間、1、4、8 時間の値は、それぞれ 95、34、24、12、12 ppm)よりもかなり 低く、ClO2の、長い曝露時間の AEGL-2 値に近似しているため、種内不確実係数は 3 で十 分である。ClF3の 10 分間と 30 分間の AEGL-2 値(それぞれ 8.1 ppm、3.5 ppm)は、ClO2 の AEGL-2 値(10 分間、30 分間とも 1.4 ppm)より高い。これは、ClF3については値を時 間スケーリングするのに必要なデータが得られたのに対し、ClO2 については時間スケーリ

(3)

3 ングのデータが得られなかったため、短い時間へのスケーリングには、慎重を期した値(n = 3)を用いたことによる。 致死データ(1時間LC50値)が、サル、ラット、マウスで得られた。サルは、呼吸数や、気 道の肉眼解剖学的構造、呼吸上皮の種類ごとの量と分布、気流パターンがヒトと似ている ため、ヒトの気道におけるClF3の沈着と分解産物を調べるための動物モデルとして、最も適 切であると考えられる。AEGL-3値は、サルにおける1時間曝露で死亡がみられなかった最 高濃度(MacEwen and Vernot 1970)に基づいた。この濃度(127 ppm)を、総不確実係数6 (種間および種内の不確実係数は、それぞれ2と3)で割り、式Cn × t = kを用い、ここではn = 1.3として時間スケーリングを行った。この時間スケーリングの関係式は、いくつかの致死 実験のデータから確定した(Appendix A)。3つの動物種におけるLC50値が近似しているこ とと、サルはヒトのモデルとして適切であることから、種間不確実係数は2で適切であると 判断された。種間不確実係数を2より小さくすると、HFの値と整合しなくなると考えられる。 ClF3による刺激は直接作用性であることと、個体差はそれほど大きくないと予想されること から、種内不確実係数は3で適切であると判断された。死亡した動物の死因は、大量の肺出 血であった。マウスのデータから算出した1時間LC01値(135 ppm)を同じ手順で処理すると、 同様の値が得られた。時間スケーリングで得られた8時間値(4.3 ppm)が試験データと整合 していないため、8時間AEGL-3値は4時間値と同じ値に設定した。21 ppmで2日間曝露した イヌは、曝露終了後数ヵ月間の観察中に死亡せず、5.15 ppmで1日6時間反復曝露したイヌや ラットは、最初の死亡がみられるまでに数週間の曝露を要した(Horn and Weir 1955)。

(4)

APPENDIX A

TIME: CONCENTRATION RELATIONSHIP FOR LETHALITY

FIGURE A-1 Chlorine trifluoride: LC50 values for three species—monkey,

rat, and mouse (Horn and Weir 1955; MacEwen and Vernot 1970; Dost et al. 1974).

Time Conc. Log Time Log Conc. Regression Output:

13.5 800 1.1303 2.9031 Intercept 3.7684 28 400 1.4472 2.6021 Slope 0.7692 40 480 1.6021 2.6812 R Squared 0.9014 60 178 1.7782 2.2504 Correlation 0.9494 60 230 1.7782 2.3617 Degrees of Freedom 5 60 299 1.7782 2.4757 Observations 7 222 96 2.3464 1.9823 n = 1.3 k = 79325.99 1.8 2 2.2 2.4 2.6 2.8 3 Lo g C on ce nt ra tio n (p pm ) 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 2.2 2.4 Log Time (minutes)

Best Fit Concentration x Time Curve

(5)

国際化学物質安全性カード

三フッ化塩素

ICSC番号:0656

三フッ化塩素

CHLORINE TRIFLUORIDE

Chlorine fluoride

Chlorotrifluoride

(圧力容器)

ClF

3

分子量:92.5

CAS登録番号:7790-91-2

RTECS番号:FO2800000

ICSC番号:0656

国連番号:1749

災害/

暴露のタイプ

一次災害/

急性症状

予防

応急処置/

消火薬剤

火災

不燃性だが、他の物質の燃焼を 助長する。 火災時に非常に有毒なフュームを 生じる。 多くの反応により、火災や爆発を 生じることがある。 引火性物質との接触禁止水との 接触禁止 周辺の火災時:水系消火薬剤 は不可

爆発

水や有機物と接触すると火災お よび爆発の危険性がある。 火災時:水を噴霧して圧力容器 を冷却するが、この物質に水が直 接かからないようにする。 安全な場所から消火作業を行 う。

身体への暴露

あらゆる接触を避ける! 吸入 灼熱感、咳、咽頭痛、息苦しさ、 息切れ 換気、局所排気、または呼吸用 保護具。 新鮮な空気、安静。半座位。医 療機関に連絡する。 皮膚 発赤、重度の皮膚熱傷、痛み、 水疱 保護手袋、保護衣 多量の水で洗い流した後、汚染 された衣服を脱がせ、再度洗い 流す。医療機関に連絡する。 眼 発赤、痛み、重度の熱傷、永久 的な視力喪失 顔面シールド、または呼吸用保 護具と眼用保護具の併用 数分間多量の水で洗い流し(でき ればコンタクトレンズをはずして)、 医師に連れて行く。 経口摂取

漏洩物処理

貯蔵

包装・表示

・危険区域から立ち退く! ・専門家に相談する! ・換気。 ・ガスの流出を止める。その場で漏れが 止まらない場合、圧力容器を屋外へ移 動させ、空にする。 ・液体に向けて水を噴射してはならな い。 ・個人用保護具:自給式呼吸器付完 全保護衣でこの物質用にとくに有効と 推奨されているもの) ・耐火設備(条件)。 ・可燃性物質、還元性物質、食品や 飼料から離しておく。 ・涼しい場所。 ・乾燥。 ・食品や飼料、可燃性物質と一緒に輸 送してはならない。 ・国連危険物分類(UN Hazard Class):2.3 ・国連の副次的危険性による分類(UN Subsidiary Risks):5.1、8 重要データは次ページ参照

(6)

国立医薬品食品衛生研究所

国際化学物質安全性カード

三フッ化塩素

ICSC番号:0656

重 要 デ | タ 物理的状態; 外観: 特徴的な臭気のある、ほとんど無色の圧縮液化ガ ス 物理的危険性: この気体は空気より重い。 化学的危険性: 220℃以上で分解し、有毒なガス(塩素化合物、 フッ素化合物)を生じる。水、ガラスと激しく反応す る。高フッ素化重合体を除き、全てのプラスチック、 ゴム、樹脂と反応する。Mこの物質と接触すると、 ほとんどの可燃性物質は自然発火する。易酸化 性物質、金属、金属酸化物と激しく反応する。有 機物と接触すると爆発する。酸と接触すると非常 に有毒なフュームを放出する。 許容濃度: TLV:0.1 ppm (天井値); (ACGIH 2005) MAK:IIb(MAK値は設定されていないが、データは 公表されている。) (DFG 2005) (訳注:詳細は DFG の List of MAK and BAT values を参照)

暴露の経路: 体内への吸収経路:吸入 吸入の危険性: 容器を開放すると、この気体は空気中できわめて 急速に有害濃度に達する。 短期暴露の影響: 眼、皮膚、気道に対して腐食性を示す。吸入する と、肺水腫を引き起こすことがある(「注」参照)。こ れらの影響は遅れて現われることがある。医学的 な経過観察が必要である。「注」参照。 長期または反復暴露の影響: 物理的性質 ・沸点:12℃ ・融点:-76℃ ・水への溶解性:反応する ・相対蒸気密度(空気=1):3.18 環境に関する データ 注 ・この物質が入っていた器具を開ける際には、まず不活性ガスを十分流すこと。 ・水などの消火薬剤と激しく反応する。 ・作業時のどの時点でも、許容濃度(天井値)を超えてはならない。 ・肺水腫の症状は 2~3 時間経過するまで現われない場合が多く、安静を保たないと悪化する。したがって、安静と経過観 察が不可欠である。 ・医師または医師が認定した者による適切な吸入療法の迅速な施行を検討する。 ・この物質により中毒を起こした場合は、特別の処置が必要である;指示のもとに適切な手段をとれるようにしておく。 ・この物質の人の健康への影響に関するデータが不十分なので、最大の注意を払う必要がある。 ・(圧力容器の腐食を防ぐため)漏出している圧力容器に水を噴霧してはならない。 ・フッ化水素[ICSC0283]も参照のこと。

Transport Emergency Card(輸送時応急処理カード):TEC(R)-20G2TOC NFPA(米国防火協会)コード:H(健康危険性)4;F(燃焼危険性)0;R(反応危険性)3;W,OX 付加情報

ICSC番号:0656

更新日:1997.10

三フッ化塩素

© IPCS, CEC, 1993

Table  AEGL 設定値
FIGURE A-1   Chlorine trifluoride:  LC 50  values for three species—monkey,  rat, and mouse (Horn and Weir 1955; MacEwen and Vernot 1970; Dost et al

参照

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