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フィットネスクラブにおける顧客満足度に関する研究~顧客の入会前の期待と入会後の評価について~

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Academic year: 2021

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269

セントラルスポーツ株

CENTRAL SPORTS CO., LTD

順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科

Graduate School of Health and Sports Science, Juntendo University 269 順天堂スポーツ健康科学研究 第 1 巻第 2 号(通巻14号),269~270 (2009)

〈報

告〉

フィットネスクラブにおける顧客満足度に関する研究

~顧客の入会前の期待と入会後の評価について~

芦田

雄志

;



・青山

芳之

A study on customer satisfaction of the ˆtness club

~About customers expectation before the enrollment and evaluation after the enrollment~

Takeshi ASHIDA

;

and Yoshiyuki AOYAMA

.

は じ め に

平成19年におけるフィットネスクラブの市場規模 は4220億円,会員数は410万人である.これらは, 平成18年をピークに減少したが,それに反して,施 設数は3040件と対前年比20の増加を記録した.そ のことから,今日のフィットネスクラブ市場は,供 給過剰であると言える.その中で,フィットネスク ラブが企業体として生き残っていくためには,単価 アップすること,会員数を増やすことによって収益 をあげることが考えられるが,既存顧客と長期的か つ継続的な関係を結ぶ方が低コストであることか ら,既存顧客維持について考える方が現実的であ る.その時に,フィットネスクラブの会員は何を求 めて加入に至り,提供されるサービスについて何に 満足し,何に不満を覚えているのか,顧客満足度を 明らかにする必要があると言える. コトラーによれば,「顧客満足は知覚された成果 と期待の相関関係である」と定義されており,顧客 の期待を知覚された成果が上回れば満足を提供でき ていることとなる.そこで,本研究では,同一顧客 に対して,入会時と入会 2 ヶ月後の 2 回に分けて調 査を行うこととした. 質問項目については,フィットネスクラブは全体 として一つのサービス製品であると捉えられること から,サービス製品を説明する,中核的製品,促進 的製品,付加的製品,拡大された製品からなるコト ラーの拡大製品概念を援用し,操作定義を行った.

.

調 査 方 法

調査は,2008年 9 月22日から2008年11月16日まで の間,フィットネスクラブチェーン C の 4 店舗に おいて行った.調査対象は,該当期間に入会のため にフィットネスクラブを訪れた顧客とした.また, 質問紙調査を採用し,質問項目はコトラーの拡大製 品概念に基づいて作成した質問33問と付帯質問とし て年齢,性別,婚姻,会員区分などを付け加えた. 顧客のサービスの評価に対する調査については, 2008年12月17日から2008年12月25日までの間に行っ た.調査対象は,顧客のニーズに対する調査の質問 紙に添付した同意書に記入をした顧客96人とし,顧 客のニーズに対する調査と同一の質問紙を使用し, 2つの調査を比較した.

(2)

270 270 順天堂スポーツ健康科学研究 第 1 巻第 2 号(通巻14号) (2009)

.

調査結果と考察

中核的製品については,「身体を鍛えること」や 「ダイエット・メタボリック症候群対策」に対する 期待値が高いことから,顧客は第一義的にフィット ネスクラブにおいて運動をすることで理想的な身体 を手に入れたいと願っていることが確認できた.実 測値では,「友人や家族等と共に時間を過ごすこ と」,「競技技術の向上」に満足が示された.また, 「ダイエット・メタボリック症候群対策」について は不満が示されたが,調査の間隔である 2 ヶ月では ダイエットの結果が出なかったことが原因と推測さ れる. 促進的製品については,従業員に関連するすべて の項目において不満が示された.顧客が入会前に高 い期待を抱いているにも拘わらずその期待を上回る サービスを提供できていないことが改めて明らかと なった. 付加的製品については,「施設が清潔に保たれて いること」について,顧客の不満が示された.これ については,顧客に施設をきれいに利用してもらう などを教育することで施設をきれいに保ち,不満を 取り除くことができるものと推測される. 拡大製品については,「通いやすい場所にあるこ と」に不満が示されたが,その原因として距離は近 いが駐車場が利用しづらい,またはフィットネスク ラブまでの道が混雑するなど距離以外の要素にある と推測される.また,「他の顧客によって不快な思 いをしないこと」の項目について,他の顧客の振る 舞いによって顧客の不満が表れたことから,顧客の 教育を行うことで顧客の不満の表出を防ぐことがで きると考えられる. また,顧客属性における満足度の違いを t 検定で 分析をした結果,年齢属性において,「プールがあ ること」,「スタジオがあること」,「全国の同一フィ ットネスクラブを利用できること」に 5水準の有 意差が認められ,すべての項目において中高年層の 満足度が低いことが示された.また,年齢属性にお いて「風呂,サウナなどリラックスできる施設があ ること」については,1水準で有意差が認められ, 中高年層の満足度が低いことが明らかとなった.

.

以上の結果から,今後,フィットネスクラブの経 営戦略上,以下のことを考慮すべきであるという結 論に達した. 1) 中核的製品に,入会後に得られた目標や友人 等と過ごすことが追加される. 2) 運動効果を求めている顧客には,少なくとも 入会 2 か月まではフォローが必要である. 3) リラックスに必要な施設やサービスの充実を 図ることで,差別化を図る. 4) 従業員教育,特に顧客対応を充実させる. 5) 顧客教育・啓蒙の実施,充実を図る. 6) 試合や旅行などのイベントを充実させる. (当論文は,平成20年度順天堂大学大学院スポー ツ健康科学研究科の修士論文を基に作成されたもの である)

参 考 文 献

1) フィリップ・コトラー,ゲイリー・アームストロン グ,和田充夫(監訳)マーケティング原理.ダイヤモ ンド社 2) 後藤聖治民間フィットネスクラブにおけるカスタ マーサービスの現状と課題に対する研究.順天堂大学 修士論文修士論文(2008) 3) 柳沢和雄,八代 勉,中尾健一郎,仲澤 眞,浪越 一喜,木村和彦フィットネスクラブのプロダクト厚 生と顧客満足の規定因,筑波大学体育科学系紀要21 (1998)    平成21年 3 月31日 受付 平成21年 3 月31日 受理   

参照

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