日常生活の指導 学習指導案 授業者 広島県立広島北特別支援学校 教諭 吉原 恒平(T1) 養護教諭 寺村 路代(T2) 1 日時・場所 第一次 平成23年12月 2日(金)3年2組教室 第二次 平成23年12月 5日(月)3年2組教室 第三次 平成24年 1月12日(木)保健室 2 学年・対象生徒数 高等部第3学年 1名 3 題材名 歯みがき上手になろう 4 題材設定の理由 (1)生徒観 本生徒は,知的障害を伴う自閉症があり,療育手帳Bを所有している。また,アトピ ー性皮膚炎や食物アレルギーなどもあるが,健康状態は比較的良好である。吃音がある が,よく喋り,質問には概ね答えることができる。また,見て理解することが得意であ り,学習の流れを絵カード等で示すと理解しやすい。 係の仕事や作業学習では,課題に対して自ら進んで取り組み,よく気がついて活動す ることができ,全般的に真面目な学習態度である。また,手先が器用である。基本的な 読み書き計算ができ,漢字検定6級を取得している。さらに,車やバスなどの自動車関 係には深い興味と豊富な知識がある。 決められたことを几帳面に行うという特性があるため,学校では,毎日,ブラッシン グを行っている。しかし,隅々まで磨けていない場合が多く,ブラッシングの技術の習 得に課題がある。また,家庭ではブラッシングを行っていない場合が多い。 (2)題材観 児童生徒の口腔内の健康状態について,定期歯科健康診断結果と文部科学省が示す学 校保健統計調査を比較した結果,歯垢及び歯肉の状態は,特に高等部で高い罹患率を示 していることが分かっている。その要因として,学年進行に伴い,大人による仕上げ磨 きが減少すること,ブラッシングの習慣化が定着していないこと,さらに自分の口腔内 の健康状態への理解・関心が低いことなどが考えられる。こうした要因が改善されなけ れば,歯垢及び歯肉の状態は,慢性化し,将来的に口腔内の健康状態の悪化の一途をた どり,心身の健康全般への悪影響を及ぼすことも懸念される。 本題材では,知的障害のある生徒に対して,次の3点が期待できる。 ① 歯・口の健康状態とブラッシングについて興味・関心をもたせること ② 歯垢の付着や歯肉炎の予防をするためのブラッシングの技術を習得させること ③ 毎食後,自分でブラッシングするという習慣を身に付けさせること 【特別支援学校:知的障害】
本題材は,歯垢及び歯肉に着目させることにより,それが歯周病の原因となっている ことやその予防方法があることに気付かせることができ,ブラッシングの大切さを実感 させることができる。また,染出しを行うことで,視覚的に歯垢を意識させることがで き,取り除くための正しいブラッシングの方法を理解させることができる。さらには, 毎食後に行うことを通して習慣化させることにより,自己管理能力を高めることにつな がると考える。 (3)指導観 指導に当たっては,まず,染出し検査を行い,歯の色が赤くなったことを見せ,磨き 残しのあることに気付かせる。このことにより,自分の普段のブラッシングでは,不十 分なことを認識させる。続いて,歯周病について説明し,正しいブラッシングの方法に ついて,歯の模型,絵カード及び手順カード等を用いて理解させる。ブラッシングは, 実際の具体的な場面を想定させるために,毎日,行う教室において指導する。さらに, 正しい方法でブラッシングをすることによって,染出し液で赤く染まったところがきれ いになることに気付かせ,歯・口の健康状態とブラッシングに対する興味・関心を高め る。 次に,毎日,給食後に,絵カード等の視覚的な情報を活用してブラッシングの手順を 示し,活動の見通しをもたせながら,ブラッシングを一人でやりきらせるように支援を 行っていく。徐々に絵カード等や言葉掛けによる支援を少なくしていき,生徒が自分で できたことを実感させることで習慣化を図りたい。また,家庭と連携しながら,生徒が 学校で学習したブラッシングを家庭でも自分でできるようにさせたい。そのために,生 徒のブラッシングに対する興味・関心,技術の習得及び習慣化を観点とした「歯磨き行 動の記録カード」の記入を保護者にも依頼し,生徒に対して一貫した指導・支援を行う。 さらに,学校医と連携し,再度,染出し検査を行うことで,ブラッシングの成果を確 認させ,より興味・関心を高め,習慣化させたい。 生徒が自分の問題として歯周病予防を考え,自ら進んで歯・口の健康を保持増進する ための自己管理能力を育てたい。 5 題材の目標 ○ 歯・口の健康状態とブラッシングについて興味・関心をもつ。 ○ 歯垢の付着や歯肉炎の予防をするためのブラッシングの技術を習得することができ る。 ○ 毎食後,自分でブラッシングするという習慣を身に付ける。 6 指導計画 第一次 みがき残しはあるかな 1時間 第二次 自分で歯みがきをしよう 14回(各10分間) 第三次 きれいになったかな 1時間 7 本時の目標 (1)これまでの様子 ○ 歯・口の健康状態やブラッシングについての興味・関心はあまり見られない。
○ ブラッシングを行うことはできるが,歯の根元の磨き残しがあり,汚れが残りやす い。ブラッシングに技術的な課題があるため,歯肉炎を起こしている部位がある。 ○ 給食後,指導者の言葉掛けによってブラッシングを行っている。休業日には,家庭 でブラッシングをしていないことが多い。 (2)目標 第一次 ○ 染出し検査で赤くなった歯を見て磨き残しのあることに気付き,自分の 歯・口の健康状態とブラッシングについて,歯磨きの格好を行ったり,鏡 を見たり,歯周病について話したりするなど,興味・関心をもつ。 ○ 歯ブラシの毛先を歯の面に対して直角に当てること,歯ブラシを小刻み に動かすこと,歯を一本ずつ磨くように磨くことを知り,意識して行おう とすることができる。 ○ 歯垢が付きやすく,取り残しやすい三つの部分を知り,意識してブラッ シングを行うことができる。 第二次 ○ 歯ブラシの毛先を歯の面に対して直角に当てること,歯ブラシを小刻み に動かすこと,歯を一本ずつブラッシングすることができる。 ○ 歯垢が付きやすく,取り残しやすい三つの部分を意識して歯ブラシを動か し,歯を磨くことができる。 ○ 給食後に,絵カード等や言葉掛けによって,又は,自分で,ブラッシング を始めることができる。 第三次 ○ 染出し検査を通して,磨き残しが少なくなっていることに気付き,自分 の歯・口の健康状態とブラッシングについて興味・関心をもつ。 ○ 自分で磨き残しのないブラッシングを行うことができる。 8 準備物 (1)第一次 歯ブラシ 歯磨き粉 コップ タオル 手鏡 砂時計 歯の模型 歯ブラシの模型 エプロン 絵カード(10枚程度) 順番カード そめだしチェックシート (2)第二次 歯ブラシ 歯磨き粉 コップ タオル 手鏡 砂時計 歯の模型 歯ブラシの模型 絵カード(10枚程度) 順番カード そめだしチェックシート (3)第三次 歯ブラシ 歯磨き粉 コップ タオル 手鏡 砂時計 歯みがきカレンダー 歯の模型 歯ブラシの模型 エプロン 絵カード(10枚程度) 順番カード そめだしチェックシート 9 指導過程 (1)第一次 学習活動 指導上の留意点(☆支援 ※評価)
1 準備を行う。 ☆ 本時の授業の流れを示し,見通しをもた せる。(T2) 2 ブラッシングを行う。 ○ 歯磨き粉を付ける。 ○ ブラッシングを行う。 ○ うがいを行う。 ○ 歯ブラシを洗う。 ☆ ブラッシングを行うことが分かるように 流れを見させる。(T2) 3 染出し検査を行う。 ○ 染出し液を付ける。 ○ 鏡を見て確認する。 ○ 「そめだしチェックシート」に記 録する。 ☆ 赤く染まった歯を見させ,磨き残しがあ ることに気付かせる。(T2) ☆ 磨けていないところを意識させるために 「そめだし チェックシ ート」を配 付し,磨 けていない歯の絵に赤色を塗らせる。(T2) ※ 染出し検査で赤くなった歯を見て磨き残 しのあることに気付くことができたか。 4 歯周病について知る。 ○ 口腔内の状態を知る。 ○ 歯肉炎の症状を知る。 ○ 歯周病の原因や予防方法を知る。 ○ 口腔内の状態の振返りを行う。 ☆ ブラッシングを意識させるために,模型 等を活用し ,歯肉炎は ブラッシン グを続け る こ と に よ り 改 善 す る こ と を 知 ら せ る 。 (T2) ※ 自分の歯・口の健康状態とブラッシング について,歯磨きの格好を行ったり,鏡を 見たり,歯周病について話したりするなど, 興味・関心をもつことができたか。 5 正しいブラッシングを行う。 ○ 正しいブラッシングの方法を知 る。 ○ 正しいブラッシングを行う。 ○ うがいを行う。 ○ 歯ブラシを洗う。 ☆ ブラッシングのイメージをもたせるため に,絵カード,歯の模型,歯ブラシの模型 等を見せて次のことを具体的に説明する。 (T2) ○ 歯ブラシの毛先を歯の面に対して直角 に当てること ○ 歯ブラシを小刻みに動かすこと ○ 歯を一本ずつ磨くように磨くこと ○ 歯垢が付きやすく,取り残しやすい次 の三つの部分を磨くこと ・ 奥歯のかみ合わせの部分 ・ 歯と歯肉の境の部分 ・ 歯と歯の間の部分 ※ 歯ブラシの毛先を歯の面に対して直角に 当てること,歯ブラシを小刻みに動かすこ と,歯を一本ずつ磨くように磨くことを知 り,意識して行おうとすることができたか。 ※ 歯垢が付きやすく,取り残しやすい三つ の部分を知 り,意識し てブラッシ ングを行 うことができたか。
☆ 染出し液の赤色に注目させ,赤色が落ち るまで磨くように促す。(T2) ☆ 正 し い ブ ラ ッ シ ン グ を 意 識 さ せ る た め に,途中で 鏡を見せた り,鏡を見 るように 指差しで示したりする。(T2) 6 片付ける。 (2)第二次 学習活動 指導上の留意点(☆支援 ※評価) 1 準備を行う。 ☆ 給食後,すぐにブラッシングを行うとい う習慣が身に付くように,食後すぐに次の とおりブラッシングを促す。①で行動でき ないようであれば②を行う。②で行動でき ないようであれば③を行う。(T1) ① 言葉掛けをしないで待つ。 ② 言葉掛けをする。 ③ 絵カード等を提示する。 ※ 給食後に,絵カード等や言葉掛けによっ て,又は,自分で,ブラッシングを始めよ うとすることができたか。 2 ブラッシングを行う。 ○ 歯磨き粉を付ける。 ○ ブラッシングを行う。 ○ うがいを行う。 ○ 歯ブラシを洗う。 ☆ ブラッシングの手順が分かるように手順 を示した絵カード等を提示する。(T1) ☆ ブラッシングのポイントが分かるように ポイントを示した絵カード等を提示する。 (T1) ○ 歯ブラシの毛先を歯の面に対して直角 に当てている絵カード ○ 歯ブラシを小刻みに動かしている絵カ ード ○ 歯を一本ずつ磨いている絵カード ○ 歯垢が付きやすく,取り残しの多い次 の三つの部分を磨いている絵カード ・ 奥歯のかみ合わせの部分 ・ 歯と歯肉の境の部分 ・ 歯と歯の間の部分 ※ 歯ブラシの毛先を歯の面に対して直角に 当てること,歯ブラシを小刻みに動かすこ と,歯を一本ずつブラッシングすることが できたか。 ※ 歯垢が付きやすく,取り残しやすい三つ の部分を意 識して歯ブ ラシを動か し,ブラ
ッシングを行うことができたか。 ☆ 磨けていなかった部分に注目させるため に,「そめ だしチェッ クシート」 を提示す る。(T1) ☆ 正 し い ブ ラ ッ シ ン グ を 意 識 さ せ る た め に,途中で 鏡を見せた り,鏡を見 るように 指差しで示したりする。(T1) ☆ できた行動は徹底して称賛する。(T1) 3 片付ける。 (3)第三次 学習活動 指導上の留意点(☆支援 ※評価) 1 準備を行う。 ☆ 本時の授業の流れを示し,見通しをもた せる。(T2) 2 ブラッシングを行う。 ○ 歯磨き粉を付ける。 ○ ブラッシングを行う。 ○ うがいを行う。 ○ 歯ブラシを洗う。 ☆ ブラッシングの手順が分からない場合 は,手順を示した絵カード等を提示する。 (T2) ☆ ブラッシングのポイントが分からない場 合は,ポイントを示した絵カード等を提示 する。(T2) ☆ 磨けていなかった部分を意識していない 場合は「そ めだしチェ ックシート 」を提示 する。(T2) ☆ 鏡をあまり見ないようであれば,正しい ブラッシン グを意識さ せるために ,途中で 鏡を見るように促す。(T2) ☆ できた行動は徹底して称賛する。(T2) ※ 自分でブラッシングを行うことができた か。 3 染出し検査を行う。 ○ 染出し液を付ける。 ○ 鏡を見て確認する。 ○ 「そめだしチェックシート」に記 録する。 ☆ 赤く染まった歯を見させ,磨き残しに気 付かせる。(T2) ☆ 磨けていないところを意識させるために 「そめだし チェックシ ート」を配 付し,磨 けていない歯の絵に赤色を塗らせる。(T2) ☆ 指導開始時に作成した「そめだしチェッ クシート」 と比較させ ,ブラッシ ングの効 果に気付かせる。 ※ 染出し検査を通して,磨き残しが少なく なっている ことに気付 き,自分の 歯・口の 健康状態と ブラッシン グについて 興味・関 心をもつ。
4 正しいブラッシングを行う。 ○ 正しいブラッシングの方法を確 認する。 ○ 正しいブラッシングを行う。 ○ うがいを行う。 ○ 歯ブラシを洗う。 ☆ 正しいブラッシングを確認させるため に,絵カード,歯の模型,歯ブラシの模型 等を見せて説明する。(T2) ☆ 磨けていなかった部分に注目させるため に,そめだ しチェック シートを提 示する。 (T2) ☆ 正 し い ブ ラ ッ シ ン グ を 意 識 さ せ る た め に,途中で 鏡を見せた り,鏡を見 るように 指差しで示したりする。(T2) ☆ できた行動は徹底して称賛する。(T2) ※ 自分で磨き残しのないブラッシングを行 うことができたか。 6 片付ける。