「
」と著者の紹介
菌類は,自身の独特の細胞現象と生活環をもっている.しか し同時に,より広範な生物学的システムにおいて重要な役割を 果たしている.この教科書では,10 億年以上前の菌類と他の 真核生物の進化的起源から,菌類がわれわれの現在の日々の生 活に及ぼしている大きな影響にわたる範囲の,菌類生物学全般 について俯瞰する.菌類学についての教授をまさに最新のもの にするのと同時に,ここで用いた統合的アプローチは,学生た ちに,伝統的な教科書がなすよりも菌類生物学について広く理 解させ,さらに,より広い生物学の教授に菌類を取り込む手段 を提供する. ・独自のシステム生物学的なアプローチでは,菌類と他の生物 との間の相互作用に力点を置き,あらゆる生態系と食物網に おいて菌類が果たしている重要な役割について例証する. ・コンピュータを用いたモデル化実験(computational model-ling)についての例とともに,ゲノム学(genomics)や生命 情報科学(bioinformatics)を含めた,「新しい」生物学にお ける菌類の重要性に光を当てる. ・教科書の中の要所に提示した20個以上の資料ボックスは, さらなる情報を提供してくれる外部資料に読者を誘う. ・付録の CD(原著のみ,本翻訳書には付録されていない)に は,この教科書のハイパーリンク版,完全に統合化されたサ イバー菌類世界についてのウェブサイト,および近隣物体検 知相互作用に基づき菌類成長をシミュレーションするプログ ラムなどが登載され,特色となっている. 本教科書は,次の 3 名により執筆された. David Moore:Manchester 大学生命科学部名誉准教授.英国 菌学会の元会長であり,国際的科学誌 の編集主幹を10年間務めた.近年,英国菌学会の後援を 受け,英国の学校の教育資料としてウェブサイト www. fungi4schools.org を制作した. Geoffrey D. Robson:Manchester 大学生命科学部上級講師. 学部教育課程の「微生物,人間および環境」,「菌類の生態学 と生物工学」および「微生物工学」を担当し,「Enterprise Biotechnology Course」のプログラム・ディレクターでもあ る.英国菌学会の元会長であり,総務幹事も務めた. Anthony P. J. Trinci:Manchester 大学,School of BiologicalSciences,元隠花植物担当 Barker 冠教授,元同 School 長, 現在同大学名誉教授.Manchester 大学では,学部教育課程 の微生物学,菌類学および生物工学,博士課程の微生物工学 を担当した.英国菌学会と Society for General Microbiology の元会長である.