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強震記録に基づくサイト増幅特性の評価と地盤構造との対応に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)強震記録に 強震記録に基づくサイト づくサイト増幅特性 サイト増幅特性の 増幅特性の評価と 評価と地盤構造との 地盤構造との対応 との対応に 対応に関する研究 する研究. 松尾. 秀典. でS 波速度約3400m/s となり地震基盤とみなせる値が得られ. 1.序論 地殻岩盤で生じた破壊に伴って発生した地震波動は、地殻. た。また得られた減衰定数の振動数依存性は小さかった。(図. 内を地表へと伝播して構造物などに影響を与える。このとき、. 3). 震源断層においてどのような破壊が起こったか(震源特性)、. 3.強震記録を 強震記録を用いた統計的地震動特性 いた統計的地震動特性. 生じた波動がどのように伝播したか(伝播経路特性)、地盤構. 1996 年 8 月から 2002 年 6 月までの間の Mj>=4.5、震源深. 造によって地震波動がどのような影響を受けたか(サイト増. さ<=60km、震源距離<=200km、最大加速度<=200gal、3地点. 幅特性)が、強震動に大きく影響する。特に地盤構造が地震. 以上でトリガーの条件にあう K-NET 観測点 (913 点) 、 KiK-net. 動の特性に大きな影響を及ぼすことは従来より広く認識さ. 観測点(468 点)、 JMA 観測点(319 点)のいずれかの地点で観測. れており、強震動特性の評価にはサイト増幅特性の適切な分. された地震波(約 15800 波)のフーリエスペクトル、最大加速. 離が不可欠である。また震源特性の分析や理論的強震動予測. 度(以下 PGA)、最大速度(以下 PGV)、計測震度を求めるため. にはサイト増幅特性情報に対応した地下構造情報、特に深部. のA0を用いて統計的地震動特性を抽出した。 データはまず、. 地盤構造が必要となる。 そこで日本全国で観測された K-NET、. 日本付近の平均的なS 波の走時(1997 年10 月以前は83A 走時. Kik-net、JMA 強震観測データに基づき、まずそのサイト増幅. 表,それ以降は JMA2001 走時表)を用いて、S 波初動以降を気. 特性を抽出し、さらにそのサイト増幅特性に適合する地下構. 象庁マグニチュードに応じた時間区間で切り出し、前後に 2. 造を同定する。次に加速度、速度、計測震度にもっとも影響. 秒のコサインテーパをつけた。S 波初動以降がうまく切り出. を与えると思われる振動数帯域を見出し地盤構造との対応. されていない場合は、データセットから取り除いた。フーリ. 関係を示す。これによりどのような地盤構造が被害と結びつ. エスペクトル、PGA、PGV、A0 を次のようにモデル化した。. くか客観的に想定することができる。. log Fij = log S i − nl ( i ) log X ij + ! bl (i )k X ijk + log G j. 2.地中地表記録を 中地表記録を用いた地盤構造 いた地盤構造の 地盤構造の推定. k. 統計的地震動特性を抽出するときに震源もしくはサイト (観測点)のどちらかについて拘束条件が必要となる。そこで 本節では基準観測点における地震波の増幅の影響を極力減 らすため、GL_200m のボアホール観測データを利用して地盤 の影響を剥ぎ取る。基準観測点は KiK-net 観測点の YMGH01(防府)とした。この観測点は PS 検層により表層の S. X ij = ! X ijk k. i : 地震. j : 観測点. k : 地域 l (i ) : 地震のタイプ. 波速度が 1000m/s で、すぐ下に 2100m/s の層、さらにその下. Fij はフーリエスペクトル、PGA、PGV、A0 のいずれかで、Si. には 3100m/s の層があることが分かっており、地盤としては. は震源特性、Gj はサイト増幅特性、Xij は震源距離、 n は幾. 硬質である。ただし PS 検層により得られた値と実際の値は. 何減衰を表しており、(理論的には実体波の場合は1、表面. 必ずしも一致しないことが多いので、地中地表記録のスペク. 波の場合は 0.5)、 そしてbは内部減衰と散乱減衰を合わせた. トル比より理論から正確な地盤構造を同定してみる。振幅が. ものを表している。地震のタイプにより伝播してくる経路が. ほとんど同レベルかつ線形を仮定できるほど小さい加速度. 異なっているため、図 5∼7のように海溝性(プレート間) 、. の地震波から、S 波の初動以降を 5 秒、前後に 2 秒のコサイ. 海溝性(プレート内) 、内陸地震の 3 タイプに分類した。そ. ンテーパを付けエネルギースペクトルを計算し平均を取り、. のときの分類の基準として内陸地震では震源深さが 25km 以. 地表・地中のスペクトル比を求めた、位相はクロススペクト. 浅で震源が内陸部であること、プレート内地震は震源深さが. ルの位相を用いた。目的関数としての振幅と位相の両方の残. 25km 以深であることとフィリピン海プレートや太平洋プレ. 差の和が最小となるようにした。図 1、2 に示した理論と観. ートのもぐりこみ位置から、またプレート間地震は 1997 年. 測はよく一致しており、図 4 の同定した地盤構造は、最下層. 以前については Harvard、それ以降は Freesia の発震機構解. 17-1.

(2) などから低角逆断層であることを確認したこととプレート. ト増幅特性の相関について検討してみる。フーリエスペクト. のもぐりこみ位置で判断した。またデータセットが全国に及. ルのサイト増幅特性はそのままではギザギザしているので. んでいるので図8のように地震波の減衰が大きいと言われて. 1/3 オクターブバンドで平均化しその振動数帯域の平均的な. いる火山地帯や、地域を細分化するため糸魚川・静岡構造線. サイト増幅特性を求め、PGA・PGV・A0 のサイト増幅特性と比. などで 6 地域に分割した。統計的地震動特性の抽出にはフー. 較してみる。 その結果を図 10 に示す。 PGA は 5Hz 付近、 PGV は. リエスペクトルの場合はノイズレベルを考慮して 0.3 から. 2∼2.5Hz 付近、 そして A0 は 3.15Hz 付近で相関がもっとも高. 20Hz の範囲で行い、 地震波動の放射特性の影響を小さくする. くなることがわかった。つまりそれぞれ影響があると思われ. ため NS,EW 成分の rms 値を用いた。なおフーリエスペクトル. る振動数帯域が異なることがわかる。次に PGV のサイト増幅. は 0.1Hz の Parzen window により平滑化している。また. 特性を表すのに既往の研究で用いられている表層 Nm の平均. PGA,PGV については NS,EW 成分のベクトル和の時刻歴最大値. S 波速度(以下 VS_Nm)と、各振動数帯域以下に基本振動数があ. を用いた。A0 については気象庁告示に基づいて計算した。統. り最もインピーダンスコントラストが大きい層までの平均 S. 計的地震動特性の抽出には何らかの拘束条件が必要になる. 波速度(以下 VS_NHz)と PGA・PGV・A0 のサイト増幅特性とを比. ため、YMGH01(防府)を基準観測点とし、前節で求めた地盤構. 較してみる。図 11 にそれぞれの指標の概念を示した。図 12. 造より1 次元重複反射理論で求めた入波射の2 倍に対する地. に平均S波速度の各種指標とフーリエスペクトルのサイト増. 表面の増幅特性を拘束条件として与えた。よって他地点のサ. 幅特性との相関を示す。平均を取る深さが深くなればなるほ. イト増幅特性は基準観測点の露頭基盤波に対する比として. ど、振動数が小さくなればなるほど、フーリエスペクトルの. 求まるが、 YMGH01 の基盤は S 波速度が 3400m/s であり地震基. サイト増幅特性と相関がよくなる振動数が小さくなる。また. 盤と考えてもよい。よって、得られた個々のサイト増幅特性. ある振動数の値以下となる基本振動数の平均とフーリエス. は絶対的な値と考えられる。. ペクトルのサイト増幅特性と相関がよくなる振動数がほぼ. 4.抽出された 抽出されたサイト されたサイト増幅特性 サイト増幅特性と 増幅特性と地盤構造との 地盤構造との対応 との対応について 対応について. 一致する。図 13 に各種指標と PGA,PGV,A0 のサイト増幅特性. K-NET 観測点では約 20m 以下、KiK-net 観測点では約 100. との相関を示す。VS_10m や VS_20m との比較的浅い層を反映. ∼200m 以下の PS 検層が実施されている地盤構造より深い構. した指標と相関が良い事がわかる。PGA の場合は VS_8Hz(平. 造を層厚と S 波速度を未知数に、フーリエスペクトルのサイ. 均振動数5.13Hz)、 A0 の場合はVS_6.3Hz(平均振動数4.03Hz)、. ト増幅特性と1次元重複反射理論よりもとまる増幅特性が適. PGV の場合は VS_3.15Hz(平均振動数 1.95Hz)と言うように、. 合するように遺伝的アルゴリズムで同定した。JMA 観測点で. 先に示したフーリエスペクトルのサイト増幅特性と相関が. は PS 検層のデータがないため同定の対象からはずした。得. 良い振動数帯域とここで得られた最も相関の良い場合の平. られた構造は多くの観測点でよく説明できた。その適合度を. 均振動数はおおむね一致している。. 評価するために観測に対する理論の log(残差)であるσと周. 5.結論. 波数軸上での相関係数を求め全 1300 点を図 9 にプロットし. 各種のサイト増幅特性と地盤構造との関係を調べた結果、. た。この図からσ<=0.4、ρ>=0.5 のサイトをよく説明できた. PGA のサイト増幅特性は今回用いた指標とはあまり相関がよ. サイトとして抽出した。. くなかった。このことは PGA のサイト増幅特性は地盤構造の 平均的な特性では表せないことを示唆しているのかもしれ. ρ = cov(log(Go ), log(GT )) (σ log(G ) ⋅ σ log(G ) ) o. σ =. 1 N. f 2. ! (log( G. f = f 1. O. ) − log( G T ) ). ない。 PGV や A0 のサイト増幅特性は VS_10m や VS_20m がよい. T. ことが分かった。物理的な考察からは基本振動数がある値と. 2. なる層までのS波速度を平均したもののほうが良いと思われ. ここで f1、 f2 はそれぞれ 0.3Hz、 20Hz とし、 N はデータ数、 GO はフーリエスペクトルのサイト増幅特性、GT は理論による 1). るのに現実には浅い層の平均値でほぼ同等の相関が得られ るということは今回の研究の新しい知見である。. サイト増幅特性を表す。Hartzel ら はフーリエスペクトル. 参考文献. のサイト特性の高い増幅率と浅い層の低いせん断波速度と. 1)Stephen Hartzell,David Carver,and Robert A.. 2). の間に高い相関があることを見出しており、翠川ら は PGV. Williams,2001,Site Response,Shallow Shear-Wave. に対するサイト増幅特性と地表から深さ30mまでの地盤の平. Velocity,and Damage in Los Gatos,California,from the. 均 S 波速度との関係を示している。そこでフーリエスペクト. 1998 Loma Prieta Earthquake,Bulletin of the. ル・PGA・PGV・A0 から抽出されたサイト増幅特性をまず比較. Seismological Society of America,91,3,468-478. することによりそれぞれ相関があると思われる振動数帯域. 2) 翠川三郎、松岡昌志、1995、国土数値情報を利用した地. を見つけ、その振動数に増幅のピークがある地盤構造とサイ. 震ハザードの総合的評価、物理探査、Vol48、No9、519-52. 17-2.

(3) 180. 10. AMP. PHASE(DEGREE).   1. 0 -90. -180. 0.1. 0.1 1FREQ(HZ)10 100 図 2 理論と観測による位相の最適化. 0.1 1 FREQ(HZ)10 100 図 1 理論と観測による増幅率の最適化. 0.146 0.145 0.144 0.143 0.142 0.141 0.14 0.139 0.138. 0. S Velocity(k/m) 1 2 3. 4. 0. depth(m). .  . 90. 50. 100  PS. 150. 0.1. 1FREQ(HZ)10. 200. 100. 図 4 同定された S 波速度構造. 図 3 同定された減衰定数. 図 6 プレート内地震の位置. 図 5 プレート間地震の位置. 6 3 5 1 2 4. 図 8 観測点位置と地域区分. 図 7 内陸地震の位置. 17-3.

(4) 1.2 1. Nm. . 0.8. 1. 0.6. 2. 0.4. 3 0.2. 4. 0 -1. -0.5. 0 0.5 . 1 AMPLIFICATION. 図 9 推定した地盤によるサイト増幅特性とフーリエスペク トルのサイト増幅特性の適合度による選別. 0.1. 1 PGA 0.8. 1 2 3 4. 10. 1 1. 10. N Hz. . 0.1 FREQ(Hz). 0.6. 図 11 VS_Nm と VS_NHz の概念図. 0.4 0.2 10. 0 0.1. 1. FREQ(Hz). 10. FREQ(Hz). 1 A0 0.8. . 1. 0.6. 0 VS m _2 0m VS _3 0m VS _5 VS 0m _1 00 m VS _8 VS Hz _6 .3H VS z _5 H VS z _4 VS Hz _3 .15 VS Hz _2 .5H z. 0.1. 0.4. VS. _1. . . 100. 0.2. 図 12 各種指標とフーリエスペクトルのサイト増幅特性と. 0 0.1. 1. FREQ(Hz). 10. の相関. 100. 1. 1. PGA. PGV. . 0.6. 0.6 0.4. 0.4. 0.2. 0.2. 0. 0 1. FREQ(Hz). 10. PGV. 100. VS 10 m VS 20 m VS 30 m VS 50 VS m 10 0 VS m _8 VS Hz _6 .3H VS z _5 H VS z _ VS 4H _3 z .1 VS 5Hz _2 .5H z. . 0.8. 0.1. A0. 0.8. 図 10 PGA(上段)A0(中段)PGV(下段)のサイト増幅特性とフ. 図 13 各種指標と PGA,PGV,A0 のサイト増幅特性との相関. ーリエスペクトルのサイト増幅特性との相関. 17-4.

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