偶
然
と
自
発
田
申
み
ど
り
一 偶 然 を 表 す 語 に 、 タ マ ・ タ マ タ マ ・ タ マ サ カ が あ り 、 こ れ ら は 同 根 ( タ マ ) で あ る と 見 ら れ る 。 上 代 で は 専 ら タ マ タ マ ・ タ マ サ カ が 使 用 さ れ て ゐ る が 、 タ マ タ マ は 訓 読 に 用 ゐ ら れ た も の ら し く 、 例 へ ば 中 古 の ﹃ 源 氏 物 語 ﹄ で も タ マ サ カ 32 例 に 対 し タ マ タ マ ー 例 ( 源 氏 物 語 大 成 ) を 見 る に 過 ぎ な い 、 な ど 和 文 に は あ ま り 見 ら れ な い 。 偶 然 を 表 す タ マ 系 の 語 は 元 来 は タ マ サ カ で あ つ て 、 そ の 語 源 が 忘 れ 去 ら れ タ マ サ カ 全 体 で 偶 然 を 表 す 語 と 受 け と め ら れ る や う に な つ た 段 階 で 、 サ カ が ヤ カ ・ ラ カ と 同 類 の 語 尾 と 考 へ ら れ て タ マ が 偶 然 を 表 す 語 根 と 見 ら れ る や う に な り 、 副 詞 形 の 造 語 法 の 一 で あ る 畳 語 の 語 構 成 に よ つ て タ マ タ マ が 派 生 し 、 更 に タ マ が 用 ゐ ら れ る や う に な つ た も の で は な い か と 考 へ る 。 ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ タ マ サ カ は イ サ サ カ と 同 様 、 語 根 タ マ ・ イ サ に 形 状 言 接 尾 語 サ カ ( ︿ サ + カ ) が つ い た も の で あ る と の 説 が あ る 。 形 の 上 か ら 見 れ ぽ 、 こ れ ら は 語 末 に サ カ を 有 ち 、 ヒ ソ ヤ カ の ヤ カ な い し は ア キ ラ カ の ラ カ な ど と 同 類 で あ る 如 く に 見 え る 。 ( た だ し 、 ヤ カ は そ れ だ け で 一 語 尾 性 が 強 い の に 対 し 、 ラ カ の ラ は カ と 結 び つ く よ り な ほ 状 態 性 を 表 偶 然 と 自 発 五 九仏 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 三 号 六 〇 す 語 尾 と し て ア キ よ り 分 出 し た も の と 見 ら れ る 。 ) が し か し 、 果 た し て さ う か 。 と 言 ふ の も 、 上 代 語 の 状 態 性 の 語 尾 に サ カ が あ つ た と す る 確 証 が 得 ら れ な い か ら で あ る 。 語 末 に サ カ を 有 つ 副 詞 語 幹 ( 一 音 一 字 ) に は イ サ サ カ ( ﹁ 伊 佐 左 可 尓 念 而 來 之 乎 ﹂ 萬 葉 19 ・ 四 二 〇 一 塙 書 房 、 以 下 乃 同 ) ア ラ サ カ ( ﹁ 安 良 佐 賀 乃 賀 味 能 彌 佐 氣 ﹂ 常 陸 國 風 土 記 香 島 郡 i 岩 波 日 本 古 典 文 學 大 系 ) ム ク サ カ ( ﹁ 又 四 方 食 國 年 實 豐 牟 倶 佐 加 得 在 ﹂ 續 日 本 紀 巻 九 ・ 神 龜 元 年 二 月 ー 國 史 大 系 ) な ど が あ る 。 イ サ サ カ は 、 も し こ の 語 根 を イ サ と す る な ら ば 、 同 根 と 見 ら れ る も の は 感 動 詞 の イ サ し か な く 、 そ こ か ら ﹁ 聊 ﹂ の 義 に 至 る も の は 認 め に く い 。 こ れ は ﹁ 伊 佐 左 村 竹 ( 萬 葉 19 ・ 四 二 九 一 ) ﹂ ﹁ 伊 左 佐 目 丹 ( 萬 葉 7 ・ 二 二 五 五 ) ﹂ な ど の イ サ サ に 同 じ く 語 根 は サ サ で 、 サ サ ラ ・ サ サ メ ク ・ サ サ ヤ ク ・ サ サ ヤ カ も そ れ よ り の 派 生 で あ つ た ら う 。 サ サ は 微 か な 物 音 の 擬 声 語 で あ り 微 か な ヘ へ 様 態 の 擬 態 語 で あ つ た と 思 は れ 、 小 さ な も の ・ 若 い も の ・ 新 鮮 な も の を 表 す 美 称 接 頭 語 サ ( サ ワ ラ ビ ・ サ ヲ ト メ ) エ サ サ と も 関 連 が あ る と 見 ら れ る 。 イ サ サ の イ は ﹁ 湯 小 竹 ( 萬 葉 10 ・ 二 三 三 六 ) ﹂ の 例 も あ る 所 か ら ﹁ 斎 ﹂ で あ る と 考 へ ら イ サ サ れ て ゐ 、 そ れ は 風 に 音 立 て る 身 近 な 植 物 ( 笹 ) の 名 が サ サ と 固 定 し た 上 で ﹁ 斎 笹 ﹂ の 概 念 が 生 じ た も の で あ つ た ら イ う 。 そ し て ﹁ 斎 笹 ﹂ の イ が 本 来 の 意 味 を 忘 れ ら れ 接 頭 語 化 し た 上 で 、 副 詞 語 幹 イ サ サ ・ イ サ サ メ ・ イ サ サ カ を 生 じ た も の で あ つ た ら う 。 即 ち イ サ サ カ は イ サ サ か ら 語 尾 力 の 分 出 し た も の で あ つ た と 考 へ ら れ る 。 イ サ サ カ ・ タ マ サ カ の ヘ ヘ ヘ サ カ は ヤ カ ・ ラ カ な ど と 同 じ く 接 尾 語 サ カ を 有 つ も の と す る 説 が あ る が 、 そ こ に 掲 げ ら れ た 一 方 の イ サ サ カ は サ サ を 語 根 と し て を り 、 語 末 の サ カ を 分 離 す る こ と は 不 可 能 の 如 く 思 は れ る 。 ま た 上 代 文 献 一 音 一 字 の も の で 語 末 に サ サ ヵ カ を 有 つ 副 詞 に は 他 に ア ラ サ カ ・ ム ク サ カ が あ る 。 ア ラ サ カ ( 新 栄 ) ・ ム ク サ カ ( 茂 栄 ) と も に サ カ は ﹁ 栄 ﹂ の 原 義 を 保 つ も の と 考 へ ら れ 、 同 列 に は 扱 へ な い で あ ら う 。 以 上 述 べ た 所 か ら 、 私 は 上 代 語 の 状 態 性 の 語 尾 と し て サ カ
( ︿ サ + カ ) が あ つ た と す る こ と に 疑 問 を 有 つ の で あ る 。 タ マ サ カ は タ と マ サ カ ・ タ と マ サ な い し タ と マ と を 分 離 し て 語 源 を 考 へ て も 、 そ の 場 合 タ は 接 頭 語 と い ふ こ と に な る で あ ら う が 、 そ こ か ら 偶 然 の 意 を 有 つ に 至 る べ き も の が 考 へ に く い 。 少 く と も タ マ は 一 つ づ き の 語 で あ る こ と は 認 め て よ い で あ ら う 。 問 題 は サ 及 び カ が 如 何 な る も の で あ る か 、 即 ち タ マ ー サ カ で あ る の か タ マ ・ サ ー カ で あ る の か タ マ ー サ ー カ で あ る の か タ マ ー サ ・ カ で あ る の か 、 で あ る で あ ら う 。 タ マ ー サ カ で あ る と す れ ば サ カ は 例 へ ば ア ラ サ カ ・ ム ク サ カ の 如 く サ カ が 一 の 概 念 を 表 す も の で あ る 。 タ マ ・ サ ー カ で あ る と す れ ば サ は タ マ の 語 尾 、 カ は 状 態 性 の 語 尾 で あ る 。 タ マ ー サ ー カ で あ る と す れ ば サ は タ マ の 副 詞 語 尾 、 カ は 状 態 性 の 語 尾 、 即 ち ラ カ 型 で あ る 。 タ マ ー サ ・ カ で あ れ ば O サ は 状 態 性 の 語 尾 、 カ は サ の 語 尾 、 な い し ⇔ カ は 状 態 性 の 語 尾 、 サ は カ に よ る 副 詞 構 成 に 当 た つ て 分 出 し た 語 、 即 ち ヤ カ 型 で あ る 。 こ の う ち タ マ ・ サ ー カ は 、 例 へ ぽ ア キ ラ カ が ア キ ラ ム の 如 き 出 自 を 同 じ く す る 語 を 有 ち 、 ラ は ア キ の 語 尾 で あ る や う に 、 お そ ら く は タ ム よ り の 派 生 と 考 へ ら れ る タ マ ス ・ タ マ サ ク ・ タ マ サ ス ・ タ マ サ ツ ・ タ マ サ ヌ ・ タ マ サ フ ・ タ マ サ ム ・ タ マ サ ユ ・ タ マ サ ル な る 一 語 動 詞 、 な い し タ マ シ ・ タ マ サ シ な る 形 容 詞 、 な い し タ マ サ な る 名 詞 そ の 他 の 用 例 や 類 似 表 現 も な く 考 へ 難 い も の で あ り 、 ま た タ マ ー サ ・ カ の 第 一 類 は そ の や う な 副 詞 が 考 へ 難 い も の で あ る の で 、 こ の 二 者 は 考 察 の 対 象 か ら 外 し て よ い も の と 思 は れ る 。 よ つ て 考 察 の 対 象 は 、 サ カ が 実 質 的 意 味 ( 例 へ ば ア ラ サ カ ・ ム ク サ カ の ﹁ 栄 ﹂ の 如 き ) を 有 つ て ゐ た か 、 あ る い は ヤ カ . ラ カ に 同 じ く 状 態 性 の 語 尾 サ カ ( ︿ サ + カ ) で あ つ た か 、 の 二 点 に し ぼ ら れ る 。 こ こ で タ マ サ カ が 、 語 尾 サ カ ( ︿ サ + カ ) に よ る も の で あ る な ら ば 、 こ れ は そ れ と し て 他 の 諸 々 の 語 尾 力 を 有 つ 副 詞 語 幹 と 相 似 た 性 格 を 有 す る こ と が 期 待 さ れ る 。 そ こ で 次 に 語 尾 力 を 有 つ 副 詞 語 幹 と タ マ サ カ と の 関 係 に つ い て 偶 然 と 自 発 六 一
仏 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 三 号 六 二 考 察 す る 。 状 態 性 の 語 尾 力 を 有 つ 副 詞 は 、 ヤ カ ・ ラ カ を 有 つ も の も 含 め て 、 そ の 語 根 が 名 詞 ・ 用 言 の 語 幹 な い し 語 根 と し て 、 出 自 を 同 じ く す る 語 群 と 共 に あ る こ と を 常 と す る 。 ツ ヤ ヤ カ ・ ツ ヤ 、 ま た ア キ ラ カ ・ ア キ ラ ケ シ ・ ア キ ラ ム ・ ア キ ラ ナ リ 、 ま た ア タ タ カ . ア タ タ ケ シ ・ ア タ タ ム ・ ア タ タ マ ル ( 名 義 抄 ) な ど の や う で あ る ( ア キ ラ ケ シ ・ ア タ タ ケ シ は ア キ ラ カ ・ ア タ タ カ よ り の 派 生 ) 。 一 方 タ マ サ カ は 、 ア キ ラ カ ・ ア タ タ カ と 同 じ 様 に 、 タ マ サ ケ シ ・ タ マ サ ム ・ タ マ サ ナ リ の や う な 出 自 を 同 じ く す る 語 が 考 へ に く い 。 サ カ を 語 尾 と 見 る 場 合 、 一 つ の 可 能 性 と し て は ツ ヤ ヤ カ . ツ ヤ の 如 き 対 応 の も の と し て 名 詞 タ マ が 考 へ ら れ よ う 。 し か し 、 考 へ 得 る 名 詞 タ マ ー 玉 ・ 魂 ・ 霊 ー い つ れ も 、 ツ ヤ ヤ カ ・ ツ ヤ の や う な 対 応 に 於 い て は 、 偶 然 性 を 表 す こ と に は な り 難 い 。 次 に ア ク セ ン ト に つ い て 見 る な ら ば 、 ﹃ 類 聚 名 義 抄 ﹄ で は ﹁ 偶 タ マ サ カ ( 上 上 口 口 ) ﹂ ( 観 智 院 本 、 佛 上 一 一 ) ﹁ 偶 タ マ サ カ ( 口 平 口 口 ) ﹂ ( 同 、 佛 上 二 八 ) の 2 例 を 見 る 。 こ れ ら は 同 一 文 字 で あ り 、 し か も 採 択 さ れ た 和 語 も ほ と ん ど 相 被 ふ 。 偶 ( 佛 上 一 一 ) タ マ サ カ タ マ く タ グ ヒ ト モ ヒ ト コ ロ ヘ リ ト モ カ ラ 偶 ( 佛 上 二 八 ) フ タ マ サ カ タ マ く タ グ ヒ ヒ ト コ ロ ヘ リ ト モ ト モ カ ラ ア フ に も 関 は ら ず ア ク セ ン ト 表 記 に 異 同 が あ る 。 ﹃ 類 聚 名 義 抄 ﹄ 観 智 院 本 は 図 書 寮 本 に 較 べ 異 同 が 多 い の で あ る が 、 表 -に 示 し た 如 く 語 髣 を 有 つ 副 詞 語 幹 は 、 ヤ カ ・ ラ カ を 有 つ も の 巻 め ・ 概 ね 鼻 轟 L ﹁ 拜 舞 潛 の 型 ・ 即
ち カ の 前 の 音 の み 上 声 で あ と は 平 声 絶 あ る と 見 て よ い で あ ら う 。 従 つ て 、 タ マ サ カ の サ カ が 状 態 性 の 語 尾 で あ る と す る な ら ば 、 そ の ア ク セ ン ト は ﹁ 平 平 上 平 ﹂ で あ る こ と が 期 待 さ れ る こ と に な る 。 観 智 院 本 佛 上 二 八 ﹁ 偶 ( 口 平 口 口 ) ﹂ に そ の 可 能 性 が 見 ら れ る が 、 完 全 な 形 の 例 は 皆 無 で あ る 。 一 方 タ マ タ マ の ア ク セ ン ト は ﹁ 會 タ マ く ( 上 上 口 口 ) ﹂ ( 観 智 院 本 、 僧 中 二 ) ﹁ 希 タ マ く ( 上 上 口 口 ) ﹂ ( 同 上 、 僧 中 五 二 ) の 2 例 を 見 、 と も に ﹁ 上 上 口 口 ﹂ の 型 上 上 平 平 平 乎 平 で あ る 。 表 豆 に 示 し た 如 く 、 こ れ も 例 外 は あ る の で あ る が 、 畳 語 よ り 成 る 副 詞 は ﹁ マ ス く ﹂ 、 形 容 詞 は ﹁ ヤ ヰ ヤ 牌 沖 ﹂ を 一 般 形 と す る も の の や う で あ る 。 ﹁ 偶 タ マ サ カ ( 上 上 口 口 ) ﹂ ( 観 智 院 本 、 僧 上 一 一 ) は こ の タ マ タ マ ( 上 上 口 口 ) に 牽 か れ た も の で あ つ た か も し れ な い 。 い つ れ に せ よ 、 数 少 い 用 例 数 な が ら 、 タ マ サ カ が 状 態 性 の 語 尾 サ カ な い し カ を 有 つ 副 詞 語 幹 で あ る か 否 か を 、 ア ク セ ン ト の 上 か ら 判 定 す る 根 拠 は 認 め ら れ な い 。 そ れ よ り も 表 1 ・ 表 豆 よ り も と め 得 る 、 語 尾 力 ( ヤ カ ・ ラ カ ) を 有 つ 副 詞 語 幹 は ﹁ 平 上 平 ﹂ ﹁ 平 平 上 平 ﹂ の 型 で あ り 、 畳 語 よ り 成 る 副 詞 は ﹁ 上 上 平 平 ﹂ ・ 形 容 詞 は ﹁ 平 平 平 平 平 ﹂ を 一 般 形 と す る 、 と い ふ こ と の 方 が よ り 重 要 で あ ら う 。 こ れ に 限 ら ず ア ク セ ン ト は 語 根 に 左 右 さ れ な い 。 そ の 品 詞 に よ つ て ア ク セ ン ト の 型 が 決 定 さ れ る こ と が 多 い 。 そ し て ま た そ れ は 文 の 中 で 用 ゐ ら れ る 時 様 々 に 変 化 す る 可 能 性 を 有 つ が 、 こ の 際 は 古 辞 書 に 表 さ れ た 語 彙 と し て の 一 般 の ア ク セ ン ト 型 で あ る 。 そ れ な ら ぽ 、 タ マ サ カ な り タ マ タ マ な り の 語 源 を 考 へ る 際 に そ の 帰 さ れ た 所 の 語 と そ れ ら と の ア ク セ ン ト が も し 異 つ て ゐ て も 、 そ れ は 問 題 に は な ら な い で あ ら う こ と が 、 こ こ に 明 ら か で あ る で あ ら う 。 二 偶 然 の ﹁ 偶 ﹂ の 字 は ﹁ 遇 ﹂ に も 通 じ 、 ﹁ 陰 陽 ・ 獨 合 ・ 伴 合 ・ 適 然 ﹂ の 意 を 表 す ( 康 熙 字 典 ) 。 ﹁ 偶 数 ﹂ の 偶 で あ り 偶 然 と 自 発 六 三
仏 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 三 号 六 四 ﹁ 配 偶 ﹂ の 偶 で も あ る 。 ﹃ 新 撰 字 鏡 ﹄ は こ れ を ﹁ 遇 也 合 也 類 也 會 也 値 也 ﹂ と 記 し 、 ﹃ 類 聚 名 義 抄 ( 観 智 院 本 ) ﹄ は ﹁ タ マ サ カ タ マ く タ グ ヒ ト モ ヒ ト コ ロ ヘ リ ト モ カ ラ ( 佛 上 一 一 ) ﹂ ﹁ タ マ サ カ タ マ く タ グ ヒ ヒ フ ト コ ロ ヘ リ ト モ ト モ カ ラ ア フ ( 佛 上 二 八 ) ﹂ ﹁ ア フ タ マ く タ マ サ カ ニ メ ク ル ワ ツ カ ニ カ ヘ リ ミ ル オ モ フ ク マ イ ル ( 佛 上 五 七 ) ﹂ と 記 し て ゐ る 。 偶 然 ・ 稀 有 ・ 伴 侶 ・ 希 求 ・ 出 会 の 義 で あ る 。 ﹃ 類 聚 名 義 抄 ( 観 智 院 本 ) ﹄ に タ マ サ カ と 訓 む 字 は ﹁ 偶 ﹂ の 他 に ﹁ 儻 ・ 邂 ・ 邂 逅 ・ 挑 ﹂ が あ り 、 タ マ タ マ と 訓 む 字 は 他 に ﹁ 惆 ・ 儻 ・ 適 ・ 港 . 阿 . 祇 ・ 寓 ・ 會 ・ 希 ﹂ が あ る ( 図 書 寮 本 は い つ れ も 無 し 。 ) 。 こ の う ち ﹁ 儻 ﹂ は ﹁ ト モ カ ラ ・ ト モ ・ ワ ツ カ ニ ﹂ と も 訓 み 、 ﹁ 邂 逅 ﹂ は ﹁ ア フ ﹂ 、 ﹁ 挑 ﹂ は ﹁ メ グ ル ア フ ﹂ 、 ﹁ 適 ﹂ は ﹁ ワ ツ カ ニ ﹂ 、 ﹁ 會 ﹂ は ﹁ ア ブ ﹂ と も 訓 ん で を り 、 漢 語 の 意 義 の 巾 と 和 語 の 意 義 の 巾 と が 様 女 に 交 錯 す る 中 で 、 あ る 一 致 す る 点 を 思 は せ る も の で あ る 。 源 氏 物 語 に あ ら は れ た タ マ サ カ は 、 タ マ サ カ ナ リ を 原 形 と し 語 幹 用 法 4 例 ・ 連 用 形 ナ リ ー 例 、 二 22 例 ・ 終 止 形 1 例 ・ 連 体 形 4 例 で 、 ・ た ま さ か の 御 せ う そ こ の か よ ひ ( 橋 姫 ) ・ た ま さ か に 立 ち 出 つ る だ に か く 思 ひ の 外 な る こ と を 見 る よ 。 ( 若 紫 ) ・ か く た ま さ か に あ へ る お や の け う せ む の 心 あ ら ば .. .. .. ( 常 夏 ) . こ な た の 道 に は か よ ふ 人 も い と た ま さ か な り 。 ( 手 習 ) . 久 し き と だ え も か う た ま さ か な る 人 と も 思 ひ た ら ず 。 ( 帚 木 ) な ど か か る 言 葉 も 様 々 で 、 い つ れ も ﹁ マ レ 一こ に 通 じ る 稀 有 の 意 に 用 ゐ ら れ て ゐ 、 現 代 語 に も 通 ふ で あ ら う 。 こ れ
は タ マ タ マ の 源 氏 物 語 唯 一 例 、 ・ お ぼ え ぬ つ み に あ た り は べ り て し ら ぬ よ に ま ど ひ は べ り し を た ま く お ほ や け に か ず ま へ ら れ た て ま つ り て は ⋮ ⋮ 。 ( 朝 顔 ) が 偶 然 の 意 に 用 ゐ ら れ て ゐ る の と は 、 使 ひ 分 け ら れ て ゐ た も の で あ る か も し れ な い 。 こ こ で は タ マ サ カ は 一 義 的 に 用 ゐ ら れ て を り 、 ﹃ 類 聚 名 義 抄 ﹄ に タ マ サ カ と 訓 ま れ て ゐ る 文 字 々 々 が タ マ サ カ と 訓 ま れ る に 至 つ た 経 緯 を 説 明 す る も の は 見 ら れ な い 。 上 代 の タ マ サ カ の 用 例 に は タ マ サ カ ニ : ⋮ : 海 神 の 神 の 娘 子 に 邂 尓 い 漕 ぎ 向 か ひ ⋮ ⋮ ( 萬 葉 9 ・ 一 七 四 〇 ) タ マ サ カ ニ ・ 玉 坂 吾 が 見 し 人 を い か に あ ら む 依 を も ち て か 亦 一 目 見 む ( 萬 葉 11 ・ 二 三 九 六 ) タ マ サ カ ニ ・ 情 に は 忘 れ ぬ も の を 儻 見 ぬ 日 さ ま ね く 月 そ 経 に け る ( 萬 葉 4 ・ 六 五 三 ) ・ 噫 乎 彼 の 父 、 邂 逅 (太 万 左 加 爾 ) 兒 有 る 家 に 次 り 、 遂 に 是 の 子 を 得 た り 。 ( 日 本 霊 異 記 上 巻 第 九 -岩 波 日 本 古 典 文 學 大 系 、 以 下 同 ) ・ 比 頃 瞬 不 る が 故 に 、 吾 戀 ひ 思 ふ 。 何 ぞ 偶 (多 真 佐 可 爾 ) 今 逢 ふ 。 ( 日 本 霊 異 記 中 巻 第 一 九 ) ・ 僧 呼 び 求 む る に 、 邂 逅 (タ マ サ ヵ 二 ) 聞 く こ と 得 た り 。 ( 日 本 霊 異 記 中 巻 第 三 十 九 ) が あ る 。 ( 萬 葉 集 は 一 音 一 字 の 例 は な い が 、 冒 頭 に 述 べ た 如 く タ マ タ マ は 訓 読 に 用 ゐ ら れ た も の ら し く 和 文 で は タ マ サ カ が 用 ゐ ら れ た と 見 ら れ る こ と 、 及 び 日 本 霊 異 記 の 和 訓 よ り の 推 測 に よ り 、 こ れ ら を タ マ サ カ と 訓 む 説 に 従 ふ 。 ) こ こ に 見 ら れ る 如 く 、 上 代 で は タ マ サ カ は タ マ サ カ ニ の 形 の み を 見 る 。 そ し て そ れ は 、 時 間 と し て は ﹁ 今 ﹂ ・ 偶 然 と 自 発 六 五
仏 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 三 号 六 六 場 所 と し て は ﹁ こ こ ﹂ に 限 定 さ れ て を り 、 直 接 体 験 、 就 中 ﹁ 会 フ 、 見 ル 、 向 カ ブ ﹂ な ど に か か る こ と を 本 来 と す る も の の や う で あ る 。 他 の 語 に か か る も の も 、 そ の 場 面 に 直 面 す る と い ふ こ と を 基 に 有 つ て を り 、 な ほ こ れ ら の 語 を 基 抵 と す る 上 に 成 り 立 つ て ゐ る と 見 て よ い で あ ら う 。 さ ら に 日 本 霊 異 記 に ﹁ 儻 ﹂ は ﹁ 加 多 知 波 比 ( 上 巻 第 五 ) ﹂ ﹁ 多 牟 良 止 之 天 ( 上 巻 第 十 七 ) ﹂ ﹁ 戸 牟 良 ( 下 巻 第 二 十 四 ) ﹂ と も 訓 ま れ て ゐ る 。 ﹃ 類 聚 名 義 抄 ( 観 智 院 本 ) ﹄ に ﹁ タ マ サ カ ﹂ ﹁ タ マ く ﹂ と 訓 む ﹁ 偶 ﹂ ﹁ 儻 ﹂ を ﹁ ト モ ﹂ ﹁ ト モ ガ ラ ﹂ と も 訓 み 、 ま た ﹁ 儻 ﹂ を ﹁ カ タ チ ハ ヒ ﹂ と 訓 む こ と も 考 へ 合 は さ れ よ う 。 元 来 漢 語 の ﹁ 偶 ﹂ ﹁ 儻 ﹂ が 偶 然 の 意 と 配 偶 ・ 伴 侶 の 意 と を 有 つ て ゐ た こ と が 、 和 語 の そ の 意 を 表 す タ マ サ カ ・ タ マ タ マ と ト モ ・ ト モ ガ ラ と に 結 び つ け ら れ る こ と に な つ た も の と 見 ら れ る 。 タ マ サ カ は 直 接 体 験 、 就 中 ﹁ 会 フ 、 見 ル 、 向 カ ブ ﹂ 即 ち ﹁ 情 二 忘 レ ヌ ﹂ の み な ら ず 直 接 ﹁ ア ブ ﹂ こ と を も と に し て ゐ る 。 そ れ は 経 験 界 に 於 け る 偶 然 性 が ﹁ 二 つ 或 は 二 つ 以 上 の 因 果 系 列 の 交 叉 點 に 存 す る も の で ﹃ こ こ と い ま ﹄ に 成 立 す る も の で あ る ﹂ ( 九 鬼 周 造 ﹃ 偶 然 性 の 問 題 ﹄ P 醜 ) こ と に 拠 る 。 ﹃ 類 聚 名 義 抄 ( 観 智 院 本 ) ﹄ に ﹁ 會 ﹂ を ﹁ ア フ ミ ル ム カ フ ﹂ と 訓 む 一 方 ﹁ タ マ く ﹂ と も 訓 む こ と も 参 考 に な ら う 。 而 し て 漢 語 の ﹁ 偶 ﹂ ﹁ 儻 ﹂ が 偶 然 の 意 と 配 偶 ・ 伴 侶 の 意 と を 合 は せ 有 つ て ゐ る や う に 、 和 語 の タ マ サ カ ・ タ マ タ マ と ト モ ・ ト モ ガ ラ と も そ の 出 自 を 同 じ く す る も の と 考 へ ら れ る 。 偶 然 と は ﹁ 独 立 な る 二 元 の 邂 逅 ﹂ ( 九 鬼 周 造 、 上 掲 書 P 幽 ) で あ り 、 配 偶 ・ 伴 侶 と は ﹁ 邂 逅 し た 相 手 ﹂ で あ る か ら 、 元 来 二 者 は 乖 離 し た 概 念 で は な い 。 ﹁ 相 手 ﹂ の ﹁ 相 ﹂ ア ヒ 自 体 、 ア ブ 出 自 と 見 ら れ 、 こ れ も 出 会 ・ 邂 逅 を も と と す る 語 で あ ら う 。 と こ ろ で 、 萬 葉 集 に ﹁ 魂 ア ブ ( 相 ・ 会 ・ 合 ) ﹂ と い ふ こ と が あ る 。
魂 そ 会 ひ に け る ・ 筑 波 嶺 の を て も こ の も に 守 部 す ゑ 母 い 守 れ ど も 多 麻 曽 阿 比 尓 家 留 ( 14 二 三 ご 九 三 ) 魂 合 へ ば ・ 霊 合 者 相 寝 る も の を 小 山 田 の 鹿 猪 田 守 る ご と 母 し 守 ら す も ( 12 ・ 三 0 0 0 魂 相 は ば : ⋮ : も の の ふ の 八 十 の 心 を 天 地 に 思 ひ 足 ら は し 玉 相 者 君 来 ま す や と 我 が 嘆 く 八 尺 の 嘆 き ⋮ ⋮ ( 13 ・ 三 二 七 六 ) 全 三 例 、 伴 を 求 む 心 を タ マ と 呼 び 、 タ マ の 合 ふ こ と 即 ち 感 応 が 伴 と の 出 会 の 契 機 と な つ て ゐ る 、 と よ み と れ る 。 ト ム ( 尋 ・ 求 ) 心 を タ マ ( 魂 ) と 呼 び 、 ト メ て 合 ひ 得 た 相 手 を ト モ ・ ツ マ と 呼 ん だ 、 即 ち タ マ ( 魂 ) は ト ム ( 尋 ・ 求 ) と 同 語 源 で 、 ト モ ( 伴 ・ 友 ) ・ ツ マ ( 伴 ) に 意 義 の 分 化 を み る も の で あ つ た ら う 。 人 は 袖 振 り 合 ひ 鼻 つ き 合 は せ て も 相 手 の 存 在 に 気 つ か ぬ こ と が あ る 。 真 の 出 会 と は 、 両 者 の 求 め る 心 が 一 致 す る 所 に 成 就 を 見 る 。 ﹁ 魂 ア ヒ ﹂ と は 即 ち 感 応 で あ る 。 そ れ は 求 め て 必 ず 得 ら れ る も の で は な く 、 偶 々 ・ 唐 突 に 直 感 さ れ る も の で あ る 。 感 応 と は し か し な が ら 恣 意 的 な も の で は な い 。 生 来 の 性 質 ・ 生 活 環 境 な ど の 様 々 の 要 因 が 個 人 を ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ つ く り 、 個 々 人 は 潜 在 的 に 求 め る も の を 有 ち 、 個 々 人 に み あ つ た 出 会 が 期 の 熟 し た 時 齎 さ れ る 。 ま た そ れ は 他 者 と 出 会 ふ 以 上 は 一 方 的 な も の で は な い 。 出 会 は 両 々 相 待 つ 所 、 相 待 に 於 い て 勝 義 の も の と な る 。 そ し て そ れ ( 相 待 ) を 意 識 す る に せ よ せ ざ る に せ よ 、 時 間 の 流 れ の 中 の あ る 瞬 間 ・ 空 間 の 広 が り の 中 の あ る 地 点 に 於 い て 両 者 が 交 は る ヘ ヘ ヘ ヘ へ こ と が あ る 、 そ れ を は 出 会 ・ 邂 逅 と 名 付 け る の で あ る 。 そ れ は か く す れ ば か く な る と い ふ 如 き 必 然 的 な も の で な は い 。 ま た 出 会 つ て ゐ な が ら 気 づ か ず 後 に な つ て す れ 違 ひ に 気 づ く こ と す ら あ る 。 無 明 な る 人 間 に と つ て 魂 と 魂 と の 出 会 ・ 即 ち 伴 の 発 見 は 偶 然 の こ と と し て 、 ま た 出 会 つ た こ と は 稀 な る で き ご と と し て 、 驚 き を も つ て 感 じ ら れ る 。 タ マ サ カ と い ひ タ マ タ マ と い ふ は 、 タ マ ア フ を 経 過 し 、 か か る タ マ と タ マ と の 出 会 の 偶 然 性 ・ 稀 有 性 を 表 し た 言 葉 で あ つ た で あ ら う 。 偶 然 と 自 発 六 七
仏 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 三 号 六 八 三 と こ ろ で タ マ サ カ は 偶 然 性 を 言 ふ と い ふ 時 、 先 に も 述 べ た 如 く そ こ に ﹁ い ま ﹂ ﹁ こ こ に ﹂ と い ふ 時 間 ・ 空 間 の 概 念 が 入 つ て く る で あ ら う 。 そ れ な ら ば サ カ は 時 間 ・ 空 間 に 関 は る 語 で あ つ た の で は な か つ た か 。 空 間 的 な 場 所 を 表 オ ク カ ヲ カ す 語 に ﹁ 於 久 可 ( 萬 葉 17 ・ 三 八 九 七 ) ﹂ ﹁ 乎 可 ( 萬 葉 20 ・ 四 四 〇 八 ) ﹂ な ど の カ ( 処 ) が あ り 、 時 間 を 表 す 語 の 中 に マ サ ヵ ﹁ 麻 左 可 ( 萬 葉 18 ・ 四 〇 八 八 ) ﹂ が あ る 。 マ サ カ 現 在 は 時 間 ・ 空 間 的 に は ﹁ い ま 、 こ こ に ﹂ で あ る 。 も の の 存 在 ( こ れ ) は ﹁ 見 る ﹂ と い ふ 行 為 を 通 し て ﹁ 在 り ﹂ と 確 め ら れ る 。 上 代 の 人 の も の の 見 方 は 語 彙 ﹁ 見 る ﹂ に 要 約 さ れ も す る や う な 外 面 的 な も の の 存 在 と 密 接 に つ な が ・ 今 現 つ て ゐ た 故 に 、 現 在 の 時 を 表 す 場 合 に も ﹁ 見 る ﹂ こ と が 主 軸 を 為 す こ と が あ つ た 。 イ マ の マ ・ マ サ カ の マ 、 い つ れ マ も ﹁ 目 ﹂ に か か は る 語 で あ る 。 ﹃ 類 聚 名 義 抄 ﹄ ( 観 智 院 本 ) に ﹁ 見 ﹂ を ﹁ ミ ル ミ ユ イ マ イ チ シ ル シ ア ラ ハ ル ア ラ ハ ス ﹂ 、 ﹁ 今 ﹂ を ﹁ イ マ コ レ ﹂ 、 ﹁ 現 ﹂ を ﹁ ア ラ ハ ス ア ラ ハ ル ミ ル イ チ シ ル シ ﹂ 、 ﹁ 時 ﹂ を ﹁ ト キ コ レ コ ノ コ コ ニ イ マ ミ ル ツ フ サ ニ ア キ ラ ヵ ﹂ と 訓 む の も 、 そ の あ ら は れ で あ る 。 目 に 見 る ・ 目 の あ た り 見 る そ の 時 、 も の は 視 界 の 内 に 在 る 。 そ れ は ﹁ こ れ ﹂ と 指 し 示 す こ と が で き 、 空 間 的 に は ﹁ こ こ ﹂ 、 時 間 的 に は ﹁ い ま ﹂ と 限 定 さ れ よ う 。 マ サ カ は そ の 間 の 事 情 を 語 る 語 で あ る と 見 ら れ る 。 岩 波 古 典 文 學 大 系 ﹃ 萬 葉 集 三 ﹄ 12 ・ 二 九 九 六 頭 注 は マ サ カ を ﹁ 目 前 の 意 ﹂ と す る 。 ﹁ 前 ﹂ は 場 所 を 表 す 形 式 副 詞 で あ り 、 こ れ は 右 に 述 べ た ﹁ 視 界 の 内 ﹂ と い ふ こ と と 同 旨 で あ る 。 た だ し 、 マ サ カ が ﹁ 目 前 の 意 ﹂ で あ る と す る 時 重 要 な の は 、 か か る ﹁ 前 ﹂ が ﹁ 空 間 的 な 場 所 ﹂ サ キ マ サ キ の 意 で あ る と い ふ こ と で あ つ て 、 サ カ の 語 源 を ﹁ 前 ﹂ に も と め て ﹁ 目 前 ノ 轉 ﹂ と す る ( ﹃ 大 言 海 ﹄ ) と い ふ こ と で は
サ キ サ カ な い 。 サ カ の 語 源 は ﹁ 前 ﹂ と 語 源 を 同 じ く す る ﹁ 界 ﹂ で あ つ た で あ ら う 。 ﹁ 藤 ﹂ ﹁ 驪 ﹂ は と も に サ ク ﹁ 裂 ゜ 割 ・ 切 ・ 拆 ・ 闢 ﹂ ( ﹃ 名 義 抄 ﹄ ) の 名 詞 形 で あ る 。 開 闢 と は 天 地 が 裂 け 開 く こ と で あ り 、 花 が 咲 く こ と を 花 が 開 く と も 言 ふ や う に 、 サ ク は ヒ ラ ク と 相 被 ふ 概 念 を 有 つ 。 そ し て サ ク ・ ヒ ラ ク そ の 先 端 を サ キ と い ふ 。 ま た 、 サ ク ・ ヒ ラ ク の も の の 開 い た 状 態 と い ふ 点 に 価 値 が 置 か れ れ ば 、 サ カ ユ ( 栄 ) ・ サ カ ル 、 サ カ リ ( 盛 ) ・ サ キ ( 幸 ) な ど の 概 念 と な ら う 。 一 方 、 サ ク こ と は も の の 分 離 ( サ ク ) を き た す こ と に な り 、 分 離 さ れ た 二 者 の 間 に は 断 絶 な い し 間 隙 が で き る 。 そ れ が サ カ な い し サ カ ビ ﹁ 界 ・ 邊 ・ 區 ・ 境 ・ 場 ﹂ ︿ サ カ フ ﹁ 間 ﹂ ( ﹃ 名 義 抄 ﹄ ) で あ つ て 、 空 間 と 空 間 と を 区 切 る 線 ・ そ の 周 辺 ・ 区 切 ら れ た 空 間 全 体 を さ す 語 で あ る 。 サ カ 奄 美 方 言 に ﹁ 坂 ﹂ の こ と を ビ ラ と い ふ 由 ( 山 田 実 ﹃ 南 島 方 言 与 論 語 彙 ﹄ P 4 ) 。 奄 美 で ﹁ 開 く ﹂ は ヒ ラ ク で ピ ラ ク と は 言 つ て ゐ な い ( 藤 山 ヒ ロ 子 氏 御 教 示 ) や う で あ る が 、 ハ 行 を バ 行 に 発 音 す る こ と の 多 い 現 存 奄 美 方 言 の 音 韻 現 象 に か ん が み れ ば 、 ビ ラ ︿ ピ ラ ク ( 開 ) は 十 分 考 へ 得 よ う 。 な ほ 奄 美 方 言 で ﹁ 急 で な い 平 ら に な つ た 坂 ﹂ を ピ ラ タ ヒ ラ サ カ と 言 ふ と い ふ ( 山 田 実 ・ 上 掲 書 P 4 ) が 、 こ の 場 合 ビ ラ は ﹁ 平 ﹂ の 意 義 を 合 は せ 持 つ て ゐ よ う 。 ヘ へ 記 紀 に 言 ふ ﹁ 黄 泉 平 坂 ﹂ と は 現 実 界 と 黄 泉 界 と を 隔 て る 境 で あ つ た 。 ﹁ 黄 泉 比 良 坂 之 坂 本 ﹂ ( 記 上 ) の 表 現 も あ る ヘ バ 如 く 、 そ れ は 斜 面 を 想 定 し た も の で あ つ た と 見 ら れ る 。 が 、 本 来 坂 は ﹁ あ し ひ き の 山 坂 越 え て 天 離 る 鄙 に 下 り 来 ﹂ の ( 萬 葉 17 ・ 三 九 六 二 ) ﹁ あ し ひ き の 山 坂 越 え て 行 き 変 は る 年 の 緒 長 く し な ざ か る 越 に し 住 め ば ﹂ ( 萬 葉 19 ・ 四 一 五 ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ 四 ) か ら 類 推 さ れ る で あ ら う や う に 、 山 の 頂 点 な い し 分 水 嶺 を 指 し た は つ で あ る 。 ﹁ 越 ゆ ﹂ と は 、 そ れ が 山 で あ る 場 合 、 頂 点 ・ 分 水 嶺 を 通 過 し て 向 か う 側 に 行 く こ と で あ る か ら で あ る 。 ﹃ 類 聚 名 義 抄 ( 観 智 院 本 ) ﹄ に ﹁ 除 ﹂ を ﹁ ミ ネ サ カ ﹂ 、 ﹃ 倭 玉 篇 篇 目 次 第 ﹄ に ﹁ 嶺 ﹂ を ﹁ ミ ネ サ カ イ タ ・ キ ﹂ ﹁ 除 ﹂ を ﹁ ミ ネ サ カ ﹂ 、 ﹃ 倭 玉 篇 夢 梅 本 ﹄ に 偶 然 と 自 発 六 九
仏 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 三 号 七 〇 サ カ ミ ネ サ カ こ ミ ネ サ カ ピ コ サ カ ﹁ 嶺 ﹂ を ﹁ 阪 也 或 作 除 ﹂ ﹁ 除 ﹂ を ﹁ 阪 也 与 嶺 同 ﹂ と 訓 む こ と も 参 考 に な ら う 。 頂 点 ・ 分 水 嶺 が 境 で あ り 得 る の は そ こ で 視 界 ・ 世 界 が 区 切 ら れ る か ら で あ る 。 そ し て そ の サ カ が 山 を 越 え る に あ た つ て 道 と な る べ き 所 、 な い し タ カ ム ナ サ カ 上 界 と 下 界 と を 区 切 る も の ( 斜 面 ) を 表 す こ と に な つ て い つ た も の で あ ら う 。 ﹁ 高 胸 坂 ﹂ ( 記 上 ) の サ カ も 同 様 胸 サ カ サ カ の 頂 点 な い し 盛 り 上 が つ た 斜 面 で あ る と 見 ら れ る 。 し て み れ ば 、 ﹁ 坂 ﹂ は ﹁ 界 ﹂ に よ る も の で あ つ て 、 ま た 、 上 述 の " サ ク . ヒ ラ ク は 相 被 ふ " と い ふ 所 か ら サ カ を 考 へ た こ と は 無 理 で は な か つ た こ と が 証 さ れ よ う 。 イ ハ サ カ サ カ は 自 然 界 に と ど ま る の み な ら ず 、 磐 境 の 如 く 神 境 を 区 切 る も の な い し 区 境 と し て 人 間 が 起 こ し 樹 て る こ と の ウ ナ サ カ ヨ モ ノ ヒ ラ サ カ ヨ ミ ノ サ カ ビ で き る も の で も あ る 。 ま た 海 界 ・ 泉 津 平 坂 は 現 実 界 と 常 世 界 ・ 黄 泉 界 と を 区 切 る も の 、 ( 黄 泉 乃 界 -萬 葉 9 ・ 一 八 〇 四 ー は 区 境 ) で あ り 、 意 識 界 の も の に も 想 定 さ れ る 。 上 代 語 に は か や う な 意 義 ( 境 ・ 界 ) を 有 つ サ カ が 存 在 す る 。 そ し て こ れ ( 界 ) が 、 目 の 前 ・ 視 界 の 内 を 意 味 す る マ サ カ の サ カ で あ る と 考 へ ら れ る 。 以 上 の 如 く マ サ カ は 視 界 の 内 と い ふ 空 間 的 な 場 所 の 義 を 有 つ べ き 語 構 成 よ り 成 つ た 語 で あ る が 、 そ れ が 前 に も 述 べ た 如 き ﹁ 見 る ﹂ と い ふ 行 為 の 時 間 性 -現 在 を 表 す 語 に 転 換 し た も の で あ る 。 而 し て 、 偶 然 性 を 表 し た 語 タ マ サ カ も ま た 同 様 の 語 構 成 に よ り 成 つ た 語 で あ る と 考 へ ら れ る 。 即 ち 、 現 の 物 理 的 な 場 所 で も な く 情 の 場 所 で も な く 、 人 と 人 と が 出 会 す る 場 所 が 、 魂 の 場 所 タ マ サ カ で あ る 、 と 見 る こ と が で き る で あ ら う 。 タ マ サ カ は 上 代 に 於 い て は タ マ サ カ ニ の 形 の み 有 り 、 ﹁ 見 ル 会 フ 向 カ ブ ﹂ な ど に か か つ た 。 ﹁ タ マ サ ヘ カ ニ 見 ル ﹂ と い ふ 時 、 コ こ は コ 一 於 イ テ L の 意 の 位 格 の 格 助 詞 で あ る 。 マ サ カ も 現 在 、 タ マ サ カ も 現 在 で あ る が 、 サ カ 自 体 に そ の 意 味 が あ る の で は な い 、 マ サ カ の 場 合 に は マ に そ れ
が あ り 、 タ マ サ カ の 場 合 に は そ の 全 体 の 有 つ 意 味 内 容 ( 邂 逅 i 偶 然 ) の 時 間 性 か ら で て く る も の で あ る 、 と い ふ こ と は 述 べ る ま で も な い こ と な が ら 付 言 し て お く 。 前 の 用 例 に 見 る 如 く 、 ﹁ タ マ サ カ ニ 見 ル ﹂ は 偶 然 の 出 会 の 僥 倖 に 際 し て 用 ゐ ら れ る 表 現 で あ つ た ( 康 熙 字 典 ﹁ 黨 ( 五 被 傳 ) 黨 可 以 徼 幸 ﹂ と も 通 ふ で あ ら う ) 。 タ マ と タ マ と の 出 会 は 、 唯 に 会 ふ の み な ら ず 情 に 念 ふ の み な ら ず 、 相 手 を 求 め る 心 の 出 会 で あ る が 、 直 接 に 会 つ た 上 に て 魂 の 場 所 で 出 会 ふ こ と の 偶 然 ・ 稀 有 な る が 故 に 、 ﹁ タ マ サ カ ヘ ヘ ヘ ヘ ニ 見 ル ﹂ は ﹁ 稀 に 邂 逅 す る ﹂ ﹁ 偶 然 出 会 フ ﹂ の 意 と な り 、 タ マ サ カ ニ は 偶 然 を 表 す 副 詞 と な つ て い つ た も の で あ る 、 と 考 へ る 。 ( ﹁ タ マ サ カ ニ 見 ル 、 会 フ 、 向 カ ブ ﹂ な ど が ﹁ タ マ サ カ ニ 聞 ク ﹂ な ど の 基 柢 と も な る こ と は 、 前 に 述 べ た 。 ) タ マ サ カ が 一 面 や は り 出 会 そ の こ と に 関 は る も の で あ る に 対 し 、 同 じ く タ マ ア フ を 経 過 し た と 考 へ ら れ る タ マ タ マ は 、 そ の 語 形 の 成 立 す る 時 既 に 副 詞 で あ る 所 か ら 、 出 会 の 偶 然 性 ・ 稀 有 性 を の み 意 味 す る 言 葉 で あ つ た で あ ら う 。 ﹃ 大 般 若 経 字 抄 ﹄ ( 汲 古 書 院 碗 古 辭 書 音 義 集 成 ﹄ ) に
遇
中
毒
箭
髞
鑼
窰
轍
霰
齲
馳
礬
難
搬
翻
糶
髏
懸
蘚
辮
鑼
醵
ヘ へ ( 但 、 タ マ サ カ ス は 、 タ マ タ マ と 比 す ζ と の で き る も の で あ る な ら ぽ 副 詞 で あ る か ら 、 こ れ は タ マ サ カ ニ で あ ら う 。 ー 筆 者 ) と 記 し 、 ま た ﹃ 類 聚 名 義 抄 ﹄ に 於 い て ﹁ 邂 ﹂ は ﹁ タ マ サ カ ﹂ ﹁ 邂 逅 ﹂ は ﹁ タ マ サ カ ア フ ﹂ の 訓 に 限 ら れ て ゐ る こ と は 、 タ マ サ カ が タ マ タ マ や マ レ と 同 義 を 有 ち つ つ 、 な ほ 出 会 と い ふ こ と の 方 に 重 き を 置 く 語 で あ つ た こ と を 示 し 偶 然 と 自 発 七 一仏 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 三 号 七 二 て ゐ る も の で あ ら う 。 四 以 上 、 タ マ サ カ は 魂 の 界 に 於 い て 二 者 が 邂 逅 す る こ と で あ り 、 ま た そ れ が 偶 然 ・ 稀 有 な も の で あ る 所 か ら 偶 然 性 ・ 稀 有 性 を 表 す 語 と な つ た こ と を 述 べ た 。 偶 然 性 は 相 待 的 な 観 点 に 於 い て は じ め て 説 明 し 得 る も の で あ る が 、 そ れ は ま た 、 國 語 の 態 、 と く に は 認 識 の 根 源 に 関 は る 自 発 の 助 動 詞 を 説 明 す る こ と の で き る 地 平 で も あ る 。 國 語 の 自 発 を 表 す 助 動 詞 と 可 能 を 表 す 助 動 詞 ・ 受 身 を 表 す 助 動 詞 と は そ の 語 形 ( ゆ ・ ら ゆ 、 る ・ ら る 、 れ る ・ ら れ る ) を 同 じ く し 、 文 法 的 に も 相 似 た 構 造 を 有 つ て ゐ る 。 と こ ろ で 、 ﹁ 見 る ﹂ と い ふ 行 為 は 目 で も つ て 存 在 を ﹁ 在 り ﹂ と 確 か め る こ と で あ る が 、 そ れ は 外 的 な も の ご と を 対 象 と す る 一 方 、 内 的 な 判 断 を 対 象 と す る こ と で も あ り 、 人 間 の 認 識 を 表 す 基 柢 的 な 語 と 見 る こ と が で き る で あ ら う 。 故 に 、 以 下 ﹁ 見 る ﹂ を 中 心 に し て 、 自 発 ・ 可 能 ・ 受 身 の 助 動 詞 を 考 察 す る 。 現 代 語 で は 、 ﹁ 見 る ﹂ の 受 身 形 ・ 可 能 形 は ﹁ 見 ら れ る ﹂ 自 発 形 は ﹁ 見 え る ﹂ で 、 自 発 は 既 に 一 語 化 し て ゐ る が 、 古 い 時 代 に は 自 発 ・ 可 能 ・ 受 身 は 全 て 同 形 で 、 こ れ も 全 て ﹁ 見 ゆ ﹂ で あ つ た ら う こ と が 推 測 さ れ る 。 以 下 、 現 代 語 に よ つ て 論 を 進 め る が 、 こ の こ と を も 念 頭 に 置 い て 考 へ る の で あ る 。 ヘ へ ﹁ 見 る i 見 ら れ る ﹂ は 文 法 的 に は 能 動 ・ 受 動 と 称 さ れ る 。 私 が 花 を 見 、 花 が 私 に 見 ら れ て ゐ る と い ふ こ の 現 実 ヘ ヘ ヘ ヘ へ は 、 い ま ・ こ こ に 成 立 し て ゐ る 。 花 は ﹁ 見 ら れ る ﹂ 現 実 と は 反 対 に ﹁ 見 ら れ ず ﹂ と い う 非 現 実 に も 置 か れ 得 る 、 私 は ﹁ 見 る ﹂ 現 実 の 反 対 に ﹁ 見 ず ﹂ と い ふ 非 現 実 を と る こ と も あ り 得 た は つ で あ る 。 ま た 、 そ れ が 犬 で も あ り 得 山 で も あ り 得 た に も 関 は ら ず 、 私 が 今 見 て ゐ る も の は 花 で あ る 。 そ れ な ら ば ﹁ 見 る ﹂ と い ふ 動 作 は 、 一 の 可 能 態 の 現 実
化 と い ふ こ と で あ る 。 可 能 は 不 可 能 と 対 を 為 す が 、 國 語 に 於 い て は 、 可 能 ﹁ 見 ら れ る ﹂ の 矛 盾 概 念 の 不 可 能 は ﹁ 見 え ず ﹂ の 如 く 、 自 発 態 ﹁ 見 え る ﹂ の 否 定 で も つ て 表 さ れ る 。 可 能 の 否 定 ﹁ 見 ら れ ず ﹂ が な ほ あ れ か こ れ か の 選 択 に へ と ど ま る 現 実 性 を も 有 す る の に 対 し 、 自 発 の 否 定 ﹁ 見 え ず ﹂ は 徹 底 し て 非 現 実 を 表 す 。 自 発 ﹁ 見 え る ﹂ の ﹁ 見 る ﹂ 主 体 は ほ と ん ど 常 に 一 人 称 ﹁ 私 ﹂ で あ つ て 、 そ の 故 に 、 そ れ と 表 現 さ れ な い こ と が 多 い 。 こ の こ と は 自 発 が 人 間 の 認 識 の 原 初 に 関 は つ て ゐ る こ と を 思 は し む る で あ ら う 。 上 代 語 に 於 い て 自 発 の 助 動 詞 ﹁ ゆ ﹂ が 承 接 す る 語 は 、 ﹁ 見 る ﹂ ﹁ 聞 く ﹂ ﹁ 思 ふ ﹂ ﹁ 偲 ふ ﹂ ﹁ 忘 る ﹂ に 限 ら れ て ゐ る 。 こ れ ら は 全 て 人 間 の 認 識 に 関 は る 語 で あ る 。 見 れ ば 見 ゆ ・ ・ 潮 瀬 の 波 折 を 彌 黎 麼 遊 び 來 る 鮪 が 鮨 手 に 妻 立 て り 彌 喩 ( 日 本 書 紀 八 七 歌 謡 岩 波 日 本 古 典 文 學 大 系 ) は 見 よ う と し た の は ﹁ 潮 瀬 の 波 折 ﹂ で あ つ て 、 見 よ う と 意 図 し て ゐ た わ け で は な か つ た ﹁ 遊 び 來 る 鮪 が 鰭 手 に 妻 立 つ ﹂ 様 が 、 そ の 時 偶 然 ・ 唐 突 に 目 に 入 つ て 来 た 、 そ し て 私 の 目 に そ の 様 が 鮮 か に 映 じ 私 は そ の 様 に 心 を 奪 は れ た 、 と 言 ふ 。 ﹁ 見 え る ﹂ と い ふ の は 何 か を ﹁ 見 る ﹂ こ と を 意 識 せ ず し て 見 た 時 、 偶 然 ・ 唐 突 に 目 に 入 つ て 来 て そ の も の の 存 在 に 気 づ く こ と で あ る 。 見 れ ば ・ 田 子 の 浦 ゆ う ち 出 で て 見 者 ま 白 に そ 富 士 の 高 嶺 に 雪 は 降 り け る ( 萬 葉 3 ・ 三 一 八 ) は ﹁ 見 ゆ ﹂ を 表 出 し て ゐ な い 。 が 、 富 士 に 今 雪 が 降 つ て ゐ る こ と は 予 期 し て ゐ な か つ た 、 に も 関 は ら ず 雪 が 降 つ て ゐ る 光 景 に ぶ つ か り 、 驚 き 心 打 た れ て 立 ち 尽 く し て い る 人 の 様 が 、 あ り あ り と 描 き 出 さ れ て ゐ る 。 ﹁ 見 ゆ ﹂ は 表 出 さ れ て ゐ な い が 、 こ れ も 前 の ﹁ S -P が 見 え る ﹂ の 延 長 上 に あ る も の と 解 さ れ よ う 。 ( 萬 葉 集 自 然 詠 の 特 質 は こ こ に ヘ へ 在 る 。 ま た 、 萬 葉 の ﹁ 見 る ﹂ は 、 外 的 な も の の 存 在 を 通 し て 、 そ の も の の 内 的 な 生 命 力 ( 霊 ) を も 見 透 す こ と で あ 偶 然 と 自 発 七 三
仏 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 三 号 七 四 る 。 そ れ に 出 会 ふ こ と が 萬 葉 の ﹁ 見 ゆ ﹂ で あ る で あ ら う 。 ) 発 見 は 驚 愕 を 伴 つ て そ の も の の 存 在 を 吾 々 に 刻 み つ け る 。 無 か ら 有 が 突 出 す る こ と が 自 発 ー 偶 然 の 意 味 で あ る 。 存 在 は そ の 時 不 可 能 か ら 可 能 へ 、 非 現 実 か ら 現 実 へ と 向 か ふ 。 自 発 態 が 可 能 態 と 語 形 を 同 じ く し 、 常 に 可 能 の 意 を 含 む の も 、 そ れ が 現 実 -非 現 実 ・ 可 能 ー 不 可 能 ・ 偶 然 -必 然 を そ の 意 味 の 内 実 と し て ゐ る こ と に 拠 る 。 吾 々 が ﹁ 花 ﹂ を ﹁ 見 る ﹂ と 言 ふ 時 、 か か る 自 発 ( 見 え る ) を 経 過 し た 可 能 態 の 現 実 化 ( 見 ら れ る ) 、 換 言 す れ ば 、 不 可 能 ( 見 え ず ) の 無 か ら 偶 然 的 に 可 能 ( 見 ら れ る ) の 有 に 現 成 し た 存 在 と し て の ﹁ 花 ﹂ と ﹁ 私 ﹂ と の 二 者 が 今 こ こ に 出 会 つ て ゐ る ( 見 え る ) と い ふ こ と が 表 は さ れ て ゐ る の で あ る こ と が 認 め ら れ る で あ ら う 。 そ の 時 ﹁ 私 ﹂ は ﹁ 花 ﹂ を ﹁ 見 ﹂ 、 ﹁ 花 ﹂ は ﹁ 私 ﹂ に ﹁ 見 ら れ る ﹂ の で あ る 。 こ こ に 至 つ て 漸 く 認 識 は 反 省 的 ・ 自 覚 的 な も の と な る 。 國 語 の 認 識 の 基 盤 に は 、 か か る 自 発 ・ 可 能 を 経 過 し た ﹁ 我 ﹂ と ﹁ 汝 ﹂ と の 出 会 ー 相 待 と い ふ こ と が 、 言 語 の 形 に ま で な つ て 存 在 す る 。 概 念 の 措 定 ・ 主 語 に 述 語 づ け る こ と ・ 言 語 す る こ と ・ 思 考 す る こ と 自 体 、 そ の 原 初 に 他 者 と の 出 会 を 語 る も の で あ り 、 こ の 境 位 に 於 い て は じ め て 吾 女 は 他 者 を 見 、 他 者 の 在 り 様 を 判 断 し 、 他 者 と 関 は り を 有 つ こ と が で き る も の で あ ら う 。 な ほ 、 中 古 以 後 の 尊 敬 の 助 動 詞 が 受 身 の 助 動 詞 ・ 使 役 の 助 動 詞 と 形 を 同 じ く す る こ と は 、 そ れ ら が 二 者 の 関 は り を 前 提 と し 、 そ れ を 表 面 に う ち 立 て る も の で あ る 所 か ら 、 語 形 を 同 じ く し ( お そ ら く は 受 身 ・ 使 役 か ら 尊 敬 に 転 化 し た ) 、 文 法 構 造 に 共 通 性 を 有 つ も の で あ る が 、 こ れ は 、 相 待 的 な 人 間 関 係 と い ふ 現 実 の 言 語 場 に 積 極 的 に 関 は り 、 相 手 を 重 ん じ る 行 為 に 出 で る と い ふ こ と を 、 言 表 す る も の で あ る 。 他 者 と 相 対 立 す る の み の 所 に 愛 は な い 、 対 立 す る 他 者 と 相 待 つ 所 に し て は じ め て 敬 語 は 存 す る 。
五 存 在 と は 何 か 、 何 故 に も の は 存 在 す る の か 、 人 は 何 故 生 き な け れ ぽ な ら な い の か ー 罪 を も 犯 し な が ら 、 そ し て 存 在 に は 何 故 限 り が あ る の か 。 答 は わ か ら な い 。 し か し 吾 々 は 現 に 生 ま れ 、 限 ら れ た 生 を 生 き 、 死 ぬ 。 厳 然 た る 事 実 の 前 に 吾 々 は 茫 然 と 立 ち 尽 く す 。 存 在 は 非 存 と 背 中 合 は せ に 在 る 。 か や う な 虚 無 思 想 に も 陥 り さ う な 危 い 中 で 、 人 は 存 在 に 意 味 を 見 出 だ さ う と す る 。 非 在 は 存 在 の 矛 盾 概 念 で あ る 限 り 、 そ れ も 存 在 と 同 じ く 有 の 範 囲 の 事 柄 で あ る 。 そ れ な ら ば 、 存 在 と 非 在 と の 有 を 成 り 立 た せ る も の は 、 有 の 否 定 、 非 有 と の 関 連 に 於 い て 考 へ ら れ る 。 こ こ で も し も 非 有 が 有 と 対 立 す る も の と し て 考 へ ら れ る な ら ば 、 そ れ は 有 の 諺 耳 一夢 Φ 。・Φ と し て 問 題 を 逆 戻 り さ せ る だ け の も の と な る 。 存 在 の 範 囲 の も の で あ る 言 語 を も つ て し て 存 在 の 根 拠 を 語 る と す れ ぽ 、 そ れ は 唯 ﹁ 非 ず ﹂ と い ふ 否 定 形 の み 漸 く 言 詮 し 得 る だ け の 、 場 所 的 な る も の で な け れ ば な ら な い 、 と 謂 は れ る 。 非 有 と は 有 を 成 り 立 た し め る べ く 有 を 包 ん で あ る も の 、 そ こ か ら 有 が 照 り 返 さ れ て く る べ き も の 、 そ し て 真 偽 善 悪 美 醜 が 照 り 返 さ れ て く る べ き ヘ へ も の で な け れ ば な ら な い で あ ら う 。 こ こ に 、 真 偽 善 悪 美 醜 は 人 間 的 な 価 値 基 準 で あ る 。 人 間 が 存 在 せ ず と も も の は 存 在 す る 、 と い ふ 立 場 も あ る 。 だ が 、 ﹁ あ り 、 あ ら ず ﹂ と い ふ 判 断 ・ 思 考 は 言 語 に よ つ て 行 は れ る 。 も の ご と を 判 断 す る と い ふ こ と は 、 概 念 と し て 措 定 さ れ た ﹁ が あ る ﹂ 存 在 を ﹁ で あ る ﹂ と 述 語 づ け て 判 断 し 、 判 断 す る こ と に よ つ て 存 在 ﹁ が あ る ﹂ の 根 源 に 至 ら う と す る も の で あ る 。 そ れ は 論 理 上 、 究 極 的 に は ﹁ 花 は 花 で あ る ﹂ な る 同 一 律 に 還 元 さ れ る 。 そ れ は 、 論 理 的 に は 花 自 身 の 自 己 同 一 を 述 べ 、 認 識 的 に は 私 に 見 ら れ た 花 自 身 の 存 在 と 存 在 の 有 り 様 ヘ へ を 述 べ る 。 だ が 、 ひ と が か か る 判 断 を 為 す 時 既 に 、 主 語 の ﹁ 花 ﹂ は 、 言 語 者 ﹁ 私 ﹂ に 出 会 は れ た 他 者 と し て 、 ﹁ 私 ﹂ と 偶 然 と 自 発 七 五
仏 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 三 号 七 六 ヘ ヘ ヘ ヘ へ 関 は り を 有 つ て ゐ る 。 し か る に ﹁ 花 ﹂ が 唯 客 観 的 対 象 乏 し て 在 る も の で あ る な ら ば 、 か か る 判 断 は 判 断 す る 主 体 ヘ ヘ へ ﹁ 私 ﹂ を 根 拠 と す る 処 に 成 立 す る も の と な り 、 よ り 究 極 的 な る 同 一 律 ﹁私 は 私 で あ る ﹂ を 要 請 せ ざ る を 得 な い も の と な る 。 ﹁ 私 は 私 で あ る 。 ﹂ か ら 出 て 来 る も の は 唯 ﹁ 私 ﹂ し か な い 。 そ こ で は 他 者 も 私 あ つ て の 他 者 で し か な く 、 他 も の ノ ノ 者 は 私 に と つ て 対 象 で あ る の 外 な く な る 。 他 者 も ま た ﹁ 私 は 私 で あ る ﹂ と し て ﹁ 私 ﹂ を 対 象 化 す る 。 作 用 は 唯 に 私 か ら 他 者 へ と い ふ 一 方 向 に の み 、 対 立 す る 両 者 か ら 発 さ れ る の み で あ る 。 さ う で は な く 、 ﹁ 花 ﹂ は ﹁ 私 ﹂ を も 含 ん ヘ ヘ ヘ へ だ 抽 象 的 一 般 形 で あ る と い ふ の で あ る な ら ば 、 ﹁ 私 ﹂ は 特 殊 な も の と 化 し 、 従 つ て 判 断 す る 主 体 は も の で あ る と い ふ こ と に な り 、 即 ち ﹁ 吾 思 ふ 、 故 に 吾 在 り ﹂ と い ふ 観 念 論 の 根 本 原 理 は 覆 さ れ る も の と な る 。 も の が 根 拠 で あ る と ヘ へ 言 ふ な ら ば 、 判 断 す る と い ふ こ と 即 ち 言 語 す る と い ふ こ と は 如 何 な る こ と で あ る の か 。 ﹁ も の を 根 拠 と す る 。 ﹂ と い ヘ へ う 判 断 自 体 、 ど こ か ら も と め ら れ 思 索 し 得 る の か 。 思 索 し 判 断 す る こ と も な く な つ て は じ め て 吾 々 は も の で あ り 得 る 。 喜 び も 悲 し み も 精 神 的 な る も の は 全 て 余 計 な 付 加 物 と し て 捨 象 し な け れ ぽ な ら な い 。 そ れ を 根 柢 に 置 い て は じ め て 唯 物 論 は 全 き も の と な り 、 吾 々 は 唯 物 的 に 存 在 す る こ と が で き る で あ ら う 。 吾 々 は こ の い つ れ を も 肯 ふ こ と は で き な い で あ ら う 。 i ー こ こ で 同 一 律 を 検 討 し 直 し て み よ う 。 ﹁ 花 は 花 で あ る 。 ﹂ は ﹁ 花 ﹂ の 自 己 同 一 的 存 在 を 述 べ る 。 そ れ は 唯 に ﹁ 花 ﹂ の 分 析 に と ど ま る の み で は な い 。 そ の 時 判 断 す る ﹁ 私 ﹂ が 存 し て は じ め て 、 か か る 言 説 は 為 し 得 る 。 と こ ろ で 言 説 と は 何 か 。 花 に ﹁ 花 ﹂ と 命 名 し ﹁ 花 は 花 で あ る 。 ﹂ と 判 断 す る と い ふ こ と は 、 同 時 に ﹁ 私 は 私 で あ る 。 ﹂ よ り 成 る ﹁ 私 ﹂ の 存 在 を 言 ふ も の で あ り 、 ま た こ の 時 ﹁ 私 ﹂ は 他 の も の で は な い 、 ﹁ 花 ﹂ に 就 い て 言 説 し て ゐ る 。 判 断 す る 主 体 は あ く ま で も ﹁ 私 ﹂ で あ る 。 そ の ﹁ 私 ﹂ が ﹁ 花 ﹂ に 就 い て 判 断 を 為 さ う と す る 時 、 ﹁ 私 ﹂ は そ の ﹁ 花 ﹂ を 見 、 ﹁ 花 ﹂ は ﹁ 私 ﹂ に 見 ら れ て ゐ る ( こ こ に 、 ﹁ 見
る L と は ﹁ 内 面 的 に ﹂ の 意 で あ る 。 念 の 為 、 付 言 す る ) 。 そ の 時 ﹁ 花 ﹂ も ﹁ 私 ﹂ を 見 、 ﹁ 私 ﹂ も ﹁ 花 ﹂ に 見 ら れ て ゐ る 、 と 言 ふ の は 詩 的 表 現 に 過 ぎ よ う が 、 少 く と も 、 今 ﹁ 私 ﹂ が 見 て ゐ の は ﹁ 花 ﹂ で あ つ て 其 他 の も の で は な い 、 と ヘ へ 言 ふ こ と は で き る 。 ﹁ 私 ﹂ は 今 ﹁ 花 ﹂ に 関 は つ て ゐ る 。 こ の ﹁ 花 ﹂ は 唯 に ﹁ 私 ﹂ の 意 識 の 対 象 で あ る の み な ら ず 、 お お お そ れ 自 身 自 ら の 在 り 様 を 有 つ た 所 の 他 者 で あ る 。 自 ら の 在 り 様 を 有 つ て 存 在 す る 花 と 自 ら の 在 り 様 を 有 つ て 存 在 す る 私 と は 、 ﹁ 私 ﹂ が 花 を ﹁ 花 ﹂ と 命 名 し ﹁ 花 は 花 で あ る 。 ﹂ と 判 断 す る 時 ﹁ 関 は り ﹂ を 有 つ 。 こ の 時 作 用 は ﹁ 見 る ﹂ と い ふ 私 か ら 他 者 へ の 一 方 向 ( 交 互 的 で あ る に せ よ ) に の み 存 す る の で は な く 、 ﹁ 見 る ﹂ と い ふ 私 か ら 他 者 へ の 作 用 が 存 す る と 同 時 に ﹁ 見 ら れ る ﹂ と い ふ 他 者 か ら 私 へ の 反 作 用 が 存 す る 。 他 者 を 見 る と い ふ こ と は 、 他 者 の 存 在 に 気 づ く こ と 、 他 者 と の 間 に ﹁ 関 は り ﹂ を 有 つ と い ふ こ と に 外 な ら な い 。 他 者 を ﹁ 対 象 ﹂ と い ふ 言 葉 で 把 へ る 時 に ヘ へ も 、 こ の 意 味 で の 他 者 と し て 見 る と い ふ こ と で な け れ ば な ら な い で あ ら う 。 言 説 は 唯 に 論 理 の 為 に 在 る の で も な く ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ 認 識 の 為 に 在 る の で も な く 、 人 間 の も の と ひ と ・ ひ と と ひ と と の 間 に 於 い て 行 は れ る も の で も あ る 。 そ し て そ れ は 言 語 に と つ て 重 要 な 要 件 で あ る 。 文 法 が 言 語 を 考 察 す る も の で あ る 上 は 、 こ の 要 件 を 是 非 と も 根 柢 に 据 ゑ ね ば な ら な い で あ ら う 。 も し 他 者 と の ﹁ 関 は り ﹂ を 捨 象 す る の で あ る な ら ば 、 吾 々 は 表 現 を な く す る の 外 な い で あ ら う 。 そ し て そ れ は 自 ら 死 を 選 ぶ こ と に よ つ て 得 ら れ る の か ど う か も 定 か で は な い 。 自 ら 死 を 選 ぶ と い ふ こ と 自 体 、 一 の 表 現 と も 見 得 る か ら で あ る 。 偶 然 と 自 発 七 七
仏 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 三 号 七 八 六 ヘ ヘ へ 時 間 の 流 れ ・ 空 間 の 広 が り の 中 の あ る 瞬 間 ・ あ る 地 点 に 於 い て 、 独 立 し た 存 在 を 営 む 二 者 の 軌 跡 が 交 は る こ と が ヘ へ あ る 、 そ れ を は 出 会 と 名 付 け る 。 気 象 ・ 人 事 、 会 ふ こ と も 会 は な い こ と も 全 て 偶 然 で あ る 。 そ れ を 必 然 と 呼 ぶ こ と が で き る の は ひ と り 絶 対 者 -神 の み で あ ら う 。 存 在 が 偶 然 で あ る が 上 に 更 に 出 会 は 偶 然 . 稀 有 な も の で あ る 。 そ し て そ の 出 会 が 人 に ﹁ 存 在 ﹂ の 意 味 を 問 ひ か け 、 偶 然 の 裏 に あ る 必 然 に 思 ひ を 致 さ し め る ま で の も の で あ る 時 、 そ れ を 真 の 出 会 、 即 ち 根 源 的 な 地 平 に 於 い て の 出 会 、 と 呼 ぶ こ と が で き る で あ ら う 。 人 は 生 涯 の う ち に 多 く の 他 者 と ゆ き 過 ぎ す れ 違 ふ で あ ら う 。 し か し な が ら 袖 振 り 合 ひ 鼻 つ き 合 は せ な が ら 相 手 の 存 在 に 気 づ か ず 看 過 す る こ と は 多 い 。 恰 も 紛 失 物 を 捜 す 人 が そ の 他 の も の に は 目 も く れ ぬ 如 く 。 人 は 目 に よ つ て も の を 見 な い 、 心 に よ つ て も の を 見 る 。 そ の 相 手 が 紛 失 物 の 如 く 明 確 で あ る 場 合 に も 、 ま た 尋 ね 求 め て ゐ る と い ふ 意 識 す ら も 定 か で な い 場 合 に も 。 ﹁ 人 は 邂 逅 す る 時 己 れ 自 身 に 出 会 ふ ﹂ と い ふ 逆 説 は か か る 事 情 を 説 明 す る で あ ら う 。 そ し て 発 見 は 常 に 驚 愕 の 感 を 吾 々 に 齎 し 、 僥 倖 の 念 を 想 ひ 起 こ さ し む る 。 ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ た ま さ か ー こ の 語 が 用 ゐ ら れ る の は 全 て 偶 然 性 の 僥 倖 に 際 し て で あ る 。 た ま た ま が 偶 然 性 一 般 に 用 ゐ ら れ る の と そ れ は 領 す る 所 が 異 る 。 人 間 の 生 そ の も の が 偶 然 的 な も の で あ り 、 人 間 の 行 為 ・ 思 惟 も 偶 然 的 な も の で あ る 。 存 在 と は 偶 然 的 な る も の の 名 で あ る 。 そ の 中 に 於 い て 、 人 が 久 遠 の 彼 方 よ り の 光 を 見 る 時 、 そ れ は 人 の 心 に 喜 び と し て 立 ち 現 れ る 。 ひ ら め き は 、 久 遠 の 、 瞬 間 へ の 現 成 で あ る 。 人 間 が 唯 に 己 れ の 理 想 に 向 か つ て 、 そ れ を 求 め て つ き ヘ へ 進 む の み で あ る な ら ば 、 理 想 と は 自 我 意 識 の 別 名 で し か な い 。 人 が 真 実 の 理 想 を 求 め る な ら ば 、 そ こ に も の な ら ぬ
か ど 、 他 者 を 待 た ね ば な ら ず 、 他 者 と の 出 会 を 齎 し 得 る の は ひ と り 空 性 即 縁 起 の 如 性 に 外 な ら ぬ 。 世 俗 と は 勝 義 に 無 意 識 な る こ と で あ る が 、 そ の 世 俗 に 於 い て 相 待 を 知 る こ と が 、 裏 に 勝 義 を 感 知 さ せ る も の と な る 。 人 が 相 待 を 知 る と い ふ こ と こ そ 、 邂 逅 の 意 味 で あ る 。 驚 愕 ・ 僥 倖 の 感 情 を そ れ が 齎 す の も 、 そ こ に 存 在 の 交 叉 が あ り 、 存 在 が 意 ・ 識 さ れ る こ と に 由 る か ら で あ る 。 存 在 が 意 識 さ れ る こ と 、 即 ち 他 者 を 見 出 だ す こ と 、 自 己 を 見 出 だ す こ と 、 関 は り を 見 出 だ す こ と ー そ れ が 相 待 に 外 な ら な い で あ ら う 。 , ゆ き 過 ぎ す れ 違 ふ こ と の で き る も の ご と ・ ひ と は 限 ら れ て ゐ る 。 限 ら れ て ゐ る 内 に も 、 人 は そ こ に 深 甚 な る も の を 見 出 だ す こ と も あ る の で あ る 。 が 、 遭 う て も そ こ に 意 味 を 認 め 得 な い も の ご と ・ ひ と 、 袖 振 り 合 う て 空 し く 過 ぎ て ゆ く こ と の 方 が む し ろ 多 い で あ ら う 。 ﹁ 私 は こ れ を 求 め て ゐ た の だ つ た 。 ﹂ そ の 直 観 が 外 れ る こ と も あ る 。 後 に 色 あ せ 、 そ の 直 観 を も 無 み し て し ま ふ こ と も あ ら う 。 と こ ろ で 、 こ の 直 観 と い ふ も の は 、 初 め に 在 る も の で は な い 。 そ の も の を 現 在 に 把 持 し 、 こ れ だ と 思 ふ 、 と い ふ も の で し か あ り 得 な い 。 神 秘 的 と そ れ を 呼 ぶ こ と も 可 能 で あ る 。 し か し そ れ を 単 に ﹁ 神 秘 的 ﹂ と 拉 し 去 る 所 に 、 人 聞 の 生 の 根 柢 は 窺 ひ 得 な い で あ ら う 。 人 間 は 明 な る も の で 、 存 在 は 絶 対 肯 定 さ れ る 必 然 的 な も の で あ る ( あ る い は 否 定 と 言 ふ の も そ の 裏 返 し で あ る 。 ) 、 と 思 ふ 所 に 人 間 は あ り 得 な ヘ へ い 。 そ こ で は 他 者 は 、 ま た 自 己 も 、 も の で し か な く 、 自 己 の 目 的 の 対 象 で し か な い 。 か や う な 生 に と つ て 死 は 終 焉 で し か な く 、 生 き た こ と の 意 味 も 死 に よ つ て 風 化 す る も の と な る 。 そ こ に は 個 々 単 一 の 存 在 の 期 間 し か な く 、 個 人 の 存 在 期 間 が 区 々 に 積 み 重 ね ら れ た 所 で 、 そ れ は 変 遷 し か 生 み 出 し は し ま い 。 文 化 が 歴 史 が 考 へ ら れ る な ら ば 、 そ ヘ ヘ へ こ に は 必 ず ひ と が 存 在 し な け れ ぽ な ら な い 。 ひ と が 存 在 す る と は 、 人 と 人 と が 相 共 に 生 き る と い ふ こ と で な け れ ば な ら な い 。 人 と 人 と の 関 は り の つ み 重 ね は 、 も の の 集 積 が 量 に す ぎ ぬ も の で あ つ た に 対 し 、 質 に 転 換 す る 可 能 性 を 偶 然 と 自 発 七 九
仏 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 三 号 八 〇 秘 め る 。 た 父 そ れ も 、 可 能 性 を 秘 め る と し か 言 ひ 得 な い 仕 方 で は あ る が 、 そ こ に 向 上 を 目 指 す 契 機 だ け は あ る 。 何 が 向 上 と な る か 、 何 が 真 で あ り 、 善 で あ り 、 美 で あ る の か は わ か ら ぬ 。 し か し 、 過 去 ・ 現 在 の あ る 人 ・ あ る も の ご と に 出 会 ふ 時 、 人 が そ れ に 思 ひ を 致 す 結 果 と な る ひ ら め き は 、 ﹁ 神 秘 ﹂ の 名 で 拉 し 去 ら れ る べ き も の で は な い 。 そ し て そ れ を 未 だ 来 た ら ざ る 時 に 向 か つ て 語 り か け る こ と だ け が 、 人 間 の 向 上 へ の 志 向 で あ る 。 出 会 は た 父 に そ の 時 点 で の 僥 倖 に 了 は る な ら ば 空 し い と 言 は ね ば な ら ぬ 。 そ こ に 相 待 が 顧 ら れ 、 称 名 が 再 び 人 と 人 と の 問 に 還 つ て 来 て 人 と 人 と の 応 答 と な り 、 人 と 人 と が 彼 岸 に つ つ ま れ て 存 在 し 合 ひ 、 人 々 が 互 ひ を 慈 し み の 心 で み つ め 、 思 ひ や り の 心 で 接 す る こ と の で き る こ と が 、 人 間 関 係 を ひ ら く も の と な り 、 そ の 時 僥 倖 は 未 来 を 拓 く も の と し て 、 は じ め て 歴 史 的 と な り 得 る で あ ら う 。 ( 参 考 ) ﹃ 類 聚 名 義 抄 ﹄ (図 書 寮 本 ・ 観 智 院 本 ) に 於 け る 語 末 に カ を 有 つ 副 詞 ( 表 1 ) ・ 畳 語 (表 豆 ) の ア ク セ ン ト は 左 の 如 く で あ る 。 但 、 副 詞 ・ 畳 語 の 下 の 数 字 は 名 義 抄 記 載 総 数 、 ア ク セ ン ト の 下 の 数 字 は 用 例 数 、 口 は ア ク セ ン ト 無 表 記 、 ※ は 表 記 さ れ て ゐ る が 不 明 、 を 示 す も の と す る 。 ︿ 表 1 > A 、 圖 書 寮 本 ア キ ラ カ 6 夲 李 上 李 5 不 明 ー ア タ タ カ 2 李 李 上 李 2 オ ロ ソ カ ー 夲 夲 上 夲 1
カ ス カ ー 夲 上 李 ー コ マ ヤ カ 3 夲 李 上 夲 2 夲 夲 上 ロ ー サ サ ヤ カ ー シ ダ ラ カ ー 夲 夲 上 ー シ ヅ カ 4 夲 上 夲 4 シ ノ ビ ヤ カ ー 夲 夲 夲 上 ロ ー ス ミ ヤ カ ー 李 夲 口 ロ ー タ シ カ 4 夲 上 夲 4 タ ヲ ヤ カ ー 李 李 上 李 ー ツ ヅ マ ヤ カ ー 夲 李 李 上 夲 ー ツ バ ヒ ラ カ ー 夲 李 夲 上 李 ー ナ ダ ラ カ 2 李 季 上 夲 1 夲 夲 上 ロ ー 貳 ナ ダ ラ カ ス 2 李 夲 上 夲 上 1 李 夲 上 李 ロ ー ナ メ ラ カ ー 李 夲 口 ロ ー ニ バ カ ー ハ ル カ 2 夲 上 夲 2 ヒ ソ カ 3 李 上 李 2 夲 上 上 ー ホ ソ ヤ カ ー マ ダ ラ カ 2 夲 夲 上 夲 1 李 夲 上 去 ー ミ ヤ ピ カ ー 夲 丞 -上 夲 ー メ ヅ ラ カ ー 夲 李 上 夲 1 '㎝ メ ヅ ラ シ ー 丕 -丕 -丞 素 牛 1 紘 メ ヅ ラ ー 上 上 夲 1 偶 然 と 自 発 益
仏 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 三 号 八 ニ ユ タ カ 3 夲 上 夲 2 夲 上 ロ ー B 、 觀 智 院 本 ア ヲ ヤ カ 2 夲 夲 李 [ ︼1 李 李 上 ロ ー ア カ ラ カ ー 夲 夲 口 ロ ー ア キ ラ カ 嚼 李 夲 上 夲 12 李 李 上 ロ ー3 夲 夲 口 口 21 夲 口 上 李 1 夲 上 上 ロ ー 夲 上 口 ロ ー 口 夲 上 ロ ー 口 口 上 ロ ー 夲 李 ※ ※ -d ア キ ラ ケ シ 2 夲 夲 夲 口 ロ ー ㎡ ア キ ラ ム ー 夲 夲 上 ロ ー ア サ ハ ヤ カ 4 丕 -夲 口 ロ ー ア サ ヤ カ ー5 丕 -丕 -上 夲 2 李 李 口 口 4 口 夲 口 ロ ー X ア タ タ カ ー5 李 夲 上 丞 -3 夲 上 口 口 2 季 李 口 口 3 夲 丕 -丕 -ロ ー ㎡ ア タ タ マ ル ー 夲 夲 上 李 ロ ー ° ※ d ア タ タ ム ー 夲 夲 夲 夲 ー ア テ ヤ カ ー ア ナ フ カ ー イ サ サ カ 7 丞 -丕 -口 口 2 イ ヨ ヨ カ 3 ウ ク ヤ カ ー ウ ヤ ヒ ヤ カ ー オ ゴ ソ カ 2 李 李 上 李 ー オ ソ ヨ カ ー ナ ダ ヒ カ 2 李 夲 上 夲 2
卅 ロ ソ カ ー2 李 季 上 李 4 夲 李 上 ロ ー 李 夲 口 口 3 カ カ マ ヤ カ ー 丕 -李 夲 口 ロ ー カ ス カ ー5 夲 上 夲 4 李 口 ロ ー キ バ ヤ カ ー 丕 -季 口 ロ ー ク ホ カ 2 夲 上 夲 1 夲 上 ロ ー 吐 ク ホ 瑠 9 上 上 夲 3 上 上 口 4 コ マ カ 9 平 上 口 2 コ マ ヤ カ ー0 李 李 上 ロ ー 卒 夲 李 ロ ー 李 李 口 囗 ー サ サ ヤ カ ー 丕 -李 口 ロ ー サ ハ ヤ カ 7 李 上 口 ロ ー シ ジ ヤ カ ー シ タ ラ カ 2 シ ツ カ 96 夲 上 李 11 李 上 ロ ー5 口 上 李 1 李 口 ロ ー 上 上 ロ ー 口 上 口 5 口 李 ロ ー シ ノ ヒ ヤ カ ー 李 夲 李 上 ロ ー シ メ ヤ カ 2 ス ク カ ー ス ク ヨ カ ー 季 夲 上 上 ー ス ス カ ー ス ミ ヤ カ 66 夲 夲 上 夲 3 李 李 上 口 6 李 夲 口 口 4 夲 口 上 ロ ー 口 李 口 ロ ー ソ ヒ ヤ カ 5 囗 口 口 李 ー タ ヲ ヤ カ 23 李 丞 -上 丞 -2 タ シ カ ー4 李 上 夲 4 夲 上 口 3 ツ ツ マ ヤ カ ー 李 夲 李 口 ロ ー ツ ノ カ ー 偶 然 と 自 発 八 三
仏 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 三 号 八 四 ッ ハ ヒ ラ カ 21 李 李 李 上 李 3 夲 夲 口 口 口 4 上 李 李 口 口 2 口 上 口 口 ロ ー ッ ハ ラ カ ー ッ マ ヒ ラ ヵ 10 李 夲 夲 上 2 上 上 夲 上 1 夲 李 口 ロ ー ツ ヤ ヤ カ 3 テ リ ア キ ラ カ ー ナ コ ヤ カ ー ナ タ ラ カ 6 夲 李 上 李 1 李 李 口 ロ ー ナ ハ ヤ カ ー ナ ヒ ヤ カ ー 夲 上 口 ロ ー ナ メ ラ カ ー 夲 丕 -口 ロ ー ナ ヨ ヨ カ 2 ナ ラ ラ カ ー ニ ギ ラ カ 2 李 夲 上 夲 1 夲 夲 夲 ロ ー ニ バ カ 43 夲 上 夲 6 李 上 口 4 卒 上 上 1 卒 準 夲 ー ハ タ タ カ ー ハ ツ カ ー ハ ナ ヤ カ 2 ハ ル カ 66 夲 上 李 4 李 上 口 4 夲 夲 口 2 上 上 李 3 上 上 上 1 上 上 口 2 ヒ ス カ ー ヒ ス カ ワ ザ ー ヒ ソ カ 28 李 上 丕 -3 牟 上 口 5 ヒ ソ カ コ ト 2 ヒ ヤ カ ー 夲 上 ロ ー
フ ク ヤ カ ー 夲 李 口 ロ ー ヘ ヘ ヤ カ 3 夲 丕 -口 ロ ー ホ カ ラ カ 23 李 李 上 李 1 夲 李 口 口 2 李 上 上 ロ ー 夲 上 口 ロ ー ホ ソ ヤ カ ー 丕 -夲 口 ロ ー ホ ノ カ 33 夲 上 夲 1 夲 上 ロ ー ㎡ ホ ノ メ ク 3 夲 丞 -口 ロ ー 口 口 上 丕 -ー マ サ カ ー マ タ ラ カ 20 夲 李 上 李 4 李 李 上 ロ ー 平 平 口 口 5 平 上 上 平 1 d マ タ ラ ー7 上 上 口 2 口 李 ロ ー マ ト カ 9 夲 上 口 4 マ ト ヤ カ ー 李 李 上 李 ー マ メ ヤ カ 2 李 夲 上 李 2 マ リ リ カ 3 丞 -李 口 臼 2 マ レ カ ー ミ ソ カ ー ミ ヤ ビ カ ー2 李 夲 上 夲 1 李 李 上 ロ ー 夲 李 口 口 4 李 上 口 ロ ー 上 李 上 李 2 ミ ヤ ヒ ソ カ ー 丞 -夲 上 口 ロ ー メ ツ ラ カ 3 李 夲 上 李 ー ヤ ス ラ カ 2 夲 夲 上 ロ ー ヤ ハ ラ カ 57 夲 夲 上 夲 1 季 夲 上 口 2 季 夲 口 ロ ー 卒 上 上 季 1 李 上 口 ロ ー 上 上 上 口 4 上 上 口 ロ ー d ヤ ハ ラ グ 李 夲 上 夲 1 上 上 上 李 3 上 上 口 ロ ー ユ タ カ 49 李 上 夲 5 夲 上 口 8 夲 夲 ロ ー ユ ル カ ー / 偶 然 と 自 発 八 五
仏 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 三 号 八 六 ユ ル ル カ ー ヨ ヨ カ ー ワ ツ カ 21 丕 -上 李 2 李 上 口 2 李 口 ロ ー ︿ 表 H > A 、 圖 書 寮 本 イ メ く ー イ ヨ ー 1 上 上 李 李 ー ツ ラ ー 1 李 上 李 夲 ー マ ス ー 4 上 上 李 夲 2 上 上 口 口 2 ヤ ウ く 1 李 上 口 ロ ー ク ダ く シ ー 夲 丕 宀 凵 口 ロ ー コ ト み 丶 ク 2 上 上 李 李 夲 2 セ ハ く シ ー 丕 -爪 7 爪 7 丕 -ロ ー ヤ ヰ く シ ー 丕 -夲 夲 丕 -丕 -1 B 、 觀 智 院 本 ア ラ ー 3 夲 上 口 ロ ー 李 上 口 夲 ー イ ヤ く 1 上 上 口 ロ ー ヲ チ ー ー オ ノ ー 1
ヲ ノ く ー カ ツ く 6 カ ハ ル く 8 上 上 上 口 口 口 4 上 上 口 口 口 ロ ー カ ヘ ス く -丕 -夲 口 口 口 ロ ー カ マ ー ナ リ ー コ ト く 2 コ ト く 2 コ ト く 二 3 丕 -上 口 ロ ー 上 口 口 ロ ー コ モ ー 4 上 李 口 口 2 シ ナ く ニ ス ー ・ ・ シ ハ ー 13 上 上 口 口 5 口 上 口 ロ ー ソ バ く 3 口 上 上 夲 1 李 丕 -口 ロ ー タ ガ く 1 李 上 口 ロ ー タ マ ー 14 上 上 口 口 2 ツ タ ノ ∼ も 2 李 ム ー 口 ロ ー ッ ラ ー 4 夲 上 口 ロ ー ツ レ く 2 ト キ く ー ト コ ロ ー 2 夲 上 上 口 口 ロ ー 上 上 上 口 口 ロ ー ト ヒ ラ く 1 上 上 口 口 口 ロ ー ナ カ ー ー ホ ト ー 7 李 夲 上 李 1 李 夲 口 李 ー マ ス ー 11 上 上 口 口 3 偶 然 と 自 発 八 七
仏 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 三 号 八 八 モ ロ ー 19 上 上 口 ロ ーー ヤ ウ く ト ー ユ メ く ー ヨ ク く ー ヨ ソ く 2 ヨ ナ く ー ヨ リ く 2 ア ラ く シ 5 イ ヤ く シ 5 夲 李 歪 牛 夲 2 李 夲 口 口 上 2 季 夲 口 口 ロ ー ウ ヤ く シ 3 丕 -丕 丞 -李 丕 -1 丕 -李 口 口 ロ ー 丕 ⊥牛 囗 口 夲 ー ヲ サ く シ 2 カ マ く シ ー カ ロ く シ 4 夲 夲 口 口 ロ ー 口 丕 -口 口 ロ ー キ ラ ー シ 4 李 丕 -口 口 口 2 口 口 上 口 ロ ー ク タ く シ ー コ ト ー ク 26 上 上 李 口 ロ ー 上 上 口 口 ロ ー0 李 上 口 口 口 2 上 上 口 口 夲 1 上 口 夲 口 季 2 コ ト く シ 3 サ ク く シ ー シ ラ く シ ー 丕 -丕 -口 口 ロ ー セ ハ み ー丶 シ 2 夲 夲 口 口 口 2 ツ キ く シ 3 ヒ ト く シ ー
フ ク く シ 3 夲 季 口 口 夲 ー ヤ ウ く シ ー ヤ ツ く シ ー 丞 -丞 -口 口 ロ ー ユ ヒ く シ ー 註 ① 築 島 裕 氏 ﹃ 平 安 時 代 の 漢 文 訓 読 語 に つ い て の 研 究 ﹄ P 盛 ∼ P 燭 に も こ の 記 述 が あ る 。 ② 阪 倉 篤 義 氏 ﹃ 語 構 成 の 研 究 ﹄ P 説 。 ③ ④ 森 重 敏 先 生 ﹃ 日 本 文 法 通 論 ﹄ P 雌 ∼ P 衂 。 ( 一 九 七 八 ・ 一 一 ・ 三 〇 ) 偶 然 と 自 発 八 九