1332 May1989
両 側 下 顎 臼歯 部 歯 牙 腫 な らび に1側
に は 濾 胞 性 歯 嚢 胞 を合 併 した症 例
平 本 隆 介 ・石 橋 克 禮 ・浅 田 洸 一 ・沢 井 清 治
浜 田 清 俊 ・山 中 一 成 ・水 上 良 二 ・菅 原 信 一*
A case of Bilateral odontomas in the lower jaw associated with
follicular cyst in one side
Ryusuke HIRAMOTO •E Katsunori ISHIBASHI •E Kouichi ASADA •E Selji SAWAI
Kiyotoshi HAMADA •E Kazushige YAMANAKA•E Ryouji MIZUKAMI
Nobukazu SUGAWARA*
Abstract: We recently encountered d 14-year-old male with bilateral odontomas in the lower
jaw associated with unilateral mandible cyst. Odontomas and the cyst were removed under
general anesthesia, the postoperative course was uneventful.
Bilateral odontomas and cystic odontoma are rarely seen, particularly together.
The bilateral odontomas appeared related to the change of general and regional conditions associated with the development of the mandibular second molars.
Key words: multiple odontomas(多 発 性 歯 牙 腫),bilateral odentomas(両 側 性 歯 牙 腫),cystic odontoma(嚢 胞 性 歯 牙 腫) 緒 言 歯 牙 腫 は ま れ に両 側 性 また は 多 発 性 に 発 現 す る こ とが あ るが,左 右 対称 にみ られ る もの は ご くまれ で あ る。 ま た,本 邦 で は歯 牙腫 と濾 胞 性 歯 嚢 胞 が 合 併 して 認 め られ た とす る報 告 も少 ない. 今 回,下 顎 両 側 に対 称 性 に歯 牙 腫 を 認 め,さ らに 左 側 の 歯 牙 腫 に 濾胞 性 歯 嚢 胞 を 合 併 した 症 例 を 経 験 した の で 報 告 す る. 症 例 患 者:14歳 男 子. 初 診:昭 和56年11月 日. 主 訴:左 下 顎 大 臼歯 部 の疼 痛. 既 往 歴 お よび 家 族 歴:特 記 事 項 な し. 現 病 歴:昭 和56年9月,左 下 顎 大 臼歯 部 に咬合痛が発 現,次 第 に 自発 痛 が 加 わ り,同 時 に 同部 歯 肉の腫脹,排 膿 を 認 め る よ うに な った.同 年10月 下 旬,近 医を受診 し 抗 生 物 質 の 投 与 を受 け,疼 痛,腫 脹共 に消退 した が,精 査 の た め 鶴 見 大 学歯 学 部第2口 腔 外科 を受診 した. 現 症:体 格,栄 養 共 に 良好 で 顔 貌 に著変 は ない.口 腔 内 所 見 で は17が 半 埋 伏 で 打 診 痛 を軽 度 に認 める.同 部 歯 肉 の 腫 脹,圧 痛,発 赤 は 認 め な い.7は 未萌 出で 同 部歯 肉 に 異 常 は な い(写 真1). 臨 床 検 査 所 見:特 記 事 項 な し. X線 写 真 所 見:訴 え の あ った7部 は,半 埋伏 状態 の 根 尖 に 接 して 雀 卵大,境 界 明瞭 の不 透 過 像 がみ られ,7 お よび そ の不 透 過 像 に接 して境 界 明 瞭 な鳩 卵大 の透過像 を 下 顎 切 痕 まで 認 め る.形 成 中の8の 歯 冠を 下 顎枝前 縁 の 透 過像 内に 認 め る.同 部 の骨 の膨 隆 は ない.一 九 反 対 側 の76間 に は 境界 明瞭,拇 指 頭 大 の不透 過像が 鶴 見 大 学 歯 学部 第2口 腔 外 科 学 教 室 (主 任:石 橋 克禮 教 授) 累 鶴 見 大学 歯 学 部 口腔 病 理 学 教 室 (主 任:菅 原 信 一 教 授)
The Second Department
of Oral and
Maxilio-facial Surgery, Tsurumi University
School of
Dental Medicine (Chief: Prof. Katsunori
Ishi-bashi)
* Department
of oral Pathology
, Tsurumi
Univer-sity School of Dental Medicine
(Chief: Prof .
Nobukazu Sugawara)
写 真1 初 診 時 口腔 内写 真 7は 半埋 伏 で打 診 痛 を軽 度 に認 め る.こ の部 位 の 歯 肉の腫 脹,圧 痛,発 赤 は 認 め な い.7は 未 萌 出 で同部 歯肉 に 異 常は ない. 写真2 初 診 時 パ ノ ラ マX線 像 7根 尖 に接 して雀 卵 大,境 界 明瞭 な不 透 過 像 が み られ,こ れ と7と に 接 して 境 界 明瞭 な 鳩 卵 大 の 透 過 像(矢 印)が 認 め られ る。 この 透 過 像 内,下 顎 枝 前縁 に形 成 中 の 「言 の 歯 冠 を 認 め る.76間 に は 境 界 明瞭,拇 指頭 大 の 不 透 過 像 が み られ,7は 水 平 に埋 伏 し,そ の遠 心 に 形 成 中 の8の 歯 冠 を 認 め る. み られ,7は 水 平 に埋 伏 し,そ の 遠 心 に 形 成 中 の8の 歯冠を 認 め る(写 真2∼4). 臨床 診断:両 側 下 顎 臼 歯 部 歯 牙 腫 お よび 左 下 顎 嚢 胞. 処置 お よび経 過:昭 和56年11月,全 身 麻酔 下 に 両 側下顎 臼歯 部歯 牙 腫 お よび 左 側 嚢 胞 摘 出術 を 行 った.左 下顎大 臼歯 部 の歯 槽 粘 膜 を剥 離 し7を 抜 去 す る と,そ の直下 に歯 牙腫 と思 わ れ る歯 牙 様物 を 認 め た.そ の際7 の根尖 と,こ の歯 牙 様 物 との 間 に 癒着 を認 め た.そ れ ら の周囲 の骨 を 削除 し歯 牙 様物 を 一塊 と して摘 出 した.そ れ らの遠 心 に歯 牙 様物 に 癒着 す る嚢 胞 を認 め,淡 黄 色漿 液性 の 内容液 の貯 留 を認 め た.嚢 胞 壁摘 出 の 際,上 壁 内 側 に嚢 胞 壁結 合 組 織 との連 続 性 を もた な い歯 小嚢 に 包 ま れた8の 歯 冠 を 認 め,同 時 に 抜 去 した.嚢 胞 摘 出 後, 骨腔下 底 に下 顎 管 内容 を認 め た.同 部 に ア ク ロマ イ シ ン 写 真3 67部X線 像 7に 接 した 不透 過 像 の 中心 に 不 透 過 性 の 低 い 部 分 が み られ る. 写 真4 76部X線 像 7歯 冠 に 接 して 塊 状 の境 界 明瞭 な 均 一 の 不 透 過 像 を認 め る. オ リー ブ ワセ リン ガー ゼ を填 塞 し,二 期 治 癒 を 計 った. 右 側 は,臼 歯 部歯 槽 粘膜 を剥 離 し87を 抜 去 した 後, 同 部 の骨 削 除 を 行 い歯 牙様 物 を一 塊 と して 摘 出後,同 部 の粘 膜 を 縫 合 した.摘 出 の際,歯 牙 様 物 と6と は 容 易 に 剥 離 す る こ とが で きた.術 後 経 過 は 順 調 で,両 側 とも 下 顎 神 経 の 知 覚 異 常 も認 め な か った.左 側 創 部 の ガ ーゼ 交 換 を1.5か 月 間 行 い,開 放 部 も徐 々 に縮 小 し,良 好 に 経 過 した.手 術1年6か 月 後,創 部 陥 凹 な く,X線 所 見 に て 左 右 摘 出部 の 正 常骨 梁像 を認 めた. 摘 出 物 所 見:左 下顎 の 石灰 化 物 は骨 様 硬 で菲 薄 な被 膜 に 包 まれ て お り,上 方 で7歯 根 と 癒 着 し,遠 心 下 方 に 嚢 胞 壁 が 一 部 付着 して い る(写 真5).嚢 胞 壁 の 内壁 は 肉 芽 様 を 呈 し比 較 的厚 い.右 下 顎 の石 灰 化 物 は左 と同様
1334 日 本 口 腔 外 科 学 会 雑 誌 May 1989 写 真567部 の 摘 出 物 骨 様 硬 の石 灰 化 物 で,非 薄 な 被膜 に 包 まれ て お り,上 方 で7歯 根 と 癒 着 し,遠 心 下方 で嚢 胞 壁 との 連絡 が あ っ た, 写 真67召1部 の摘 出物 左 側 石 灰 化 物 と同 様 に,骨 様 硬 で菲 薄 な 被膜 に 包 まれ て いた.71お よび百1と は そ れ ぞれ 被膜 を介 し て接 し てい た. に 菲 薄 な 被 膜 に 覆 わ れ て お り,骨 様 硬 で あ っ た(写 真 6). 病 理 組 織 所 見:脱 灰H-E染 色 組 織 標 本 に お い て,左 写 真71弼 部 歯 牙腫 の弱 拡 大 病理 組織 像 )象牙 質様 部 とセ メン ト質 様 部 とが混 在 し,線 維組織 を 取 り囲 む よ うに し てみ られ,こ の線維 組織 中にセ メ ン ト質 様 の塊 状 物 が み られ る. 写 真8写 真7の 強拡 大像 線維 組 織 中に セ メ ン ト質 様 の塊 状 物 がみ られ る. 側 石 灰 化 物 は 細 管 構 造 の 比 較 的 明瞭 な象 牙 質様 部 とセメ ン ト質 様 部 とが 混 在 し,こ れ らが線 維組 織 を取 り囲むよ うに してみ られ,こ の 線維 組織 中 にセ メ ン ト質様 の塊状 物 が認 め られ た.象 牙 質 様 部 の一 部 で は象 芽牙細 胞がみ られ た(写 真7,8). 左 嚢 胞 の嚢 胞 壁 は 上 皮 層 と結 合 組 織 層か らな り,上 皮 層 は 重 層 扁 平 上 皮 で あ った.結 合 組 織 層は 肥厚 し炎症性 細 胞 の 浸潤 が著 し く,内 腔 に接 して コ レス テ リソ結晶の 痕 跡 が み られ た(写 真9). 右 側 石 灰 化 物 は,不 規 則 な構 造 を も った象牙 質,セ メ ン ト質,お よび エ ナ メル 質 の痕跡 と思 わ れ る部 分が不規 則 に配 列 して お り,象 牙 質 様 部 の一 部 に は象 牙芽細胞が み られ た(写 真10∼12). 以 上 の所 見 か ら,左 右 複 雑 歯 牙腫 な らび に左歯牙腫に 伴 う濾 胞 性歯 嚢胞 と診 断 した.
写 真9嚢 胞 壁 の 病 理 組 織 像 壁 は肥厚 し,炎 症 性 細 胞 浸 潤 が 著 しい.内 腔 に 接 して コ レス テ リン結 晶 の 痕 跡 が み られ,重 層 扁平上 皮 が わず かに み られ る. 写 真10 76部 歯 牙 腫 の弱 拡 大病 理 組 織 像 不 規則 な構 造 を もっ た象 牙質,セ メ ン ト質,お よ び エナ メル質 の 痕跡 と思 われ る部 分 が不 規 則 に 配列 し てい る. 考 察 歯 牙腫 は まれ に 両側 性 な い し多 発 性 に発 現す る こ とが あ り1),一 方 では 時 に 歯 原 性 嚢 胞 を 伴 う場 合 が あ る2). 左右 対称 性 に歯 牙 腫 が み られ た報 告 と して は,本 邦 で は朱雀 ら(1962)3)の59歳 男 性 に み られ た 下 顎 両 側 大 臼 歯 写 真11写 真10の 強 拡 大像 象 牙 質様 部 の一 部 に は象 牙 芽 細胞 が み られ る. 写 真12写 真10の 強 拡 大 像 セ メ ン ト質 様 部,エ ナ メ ル 質 様 部 の 痕 跡,象 牙 質 様 部 が み られ る. 部 の,複 雑型 と思わ れ る歯 牙 腫 のみ で,そ の他,bilateral odontomaの 名 称 を 用 い て,Weisengreen(1950)4), Straith(1950)5),Schreiber(1963)6)が そ れ ぞ れ27歳 男 性 の44部,21歳 男 性 の22部,9歳 男 子 の11部 に左 右 対 称 性 に 複 雑 歯 牙 腫 を 認 め た と して報 告 してい る だ けで,き わ め て まれ で あ る.こ れ らの症 例 はす べ て複 雑 歯 牙 腫 と して 報 告 され て い る が,半 数 は過 剰 歯 あ る い は 奇 形 歯 と の鑑 別 が 困 難 と思 わ れ る もの で あ り,明 らか に両 側 性,左 右 対 称 性 の歯 牙 腫 と考 え られ る もの は わ ず か1例 で あ っ た. 多 部位 に歯 牙 腫 が認 め られた と した 報 告 は,odontoma
1336 日 本 口 腔 外 科 学 会 雑 誌 May 1989 syndrome,odontomatosis,multiple odontomasな ど の 名 称 で,Bader(1967)7),Thompsonら(1968)8),Browne (1970)9),Malik(1974)10),Mani(1974)11),Melnick (1975)12),El-Gallyら(1977)13),Lambergら(1984)14)に よ っ てそ れ ぞ れ な され て い る.本 邦 で も多 発 性 の歯 牙腫 と して塚 野(1937)15),眞 木 ら(1950)16),長 尾 ら(1956)17), 中西 ら(1985)18)に よ り報 告 され て い る.こ れ ら多発 性 に み られ た歯 牙 腫 の報 告 の 多 くは 集 合 歯 牙 腫 で,こ の点 に つ い てLambergは,こ れ らを 多 発 性 の歯 牙 腫 と して位 置 づ け る場 合,過 剰 歯 と の鑑 別 が 問 題 とな る と述 べ て い る.こ れ らの報 告 では,発 生 部 位,性,年 齢 に つ い て特 徴 的 な所 見 は な く,ま た,全 身 的 な異 常 を 伴 う例 もみ ら れ な い.発 生 原 因 に 関 しては 同 一 家 族 に3例 の 多 発 性歯 牙 腫 を 認 め た とす る報 告 が あ り9),遺 伝 的 な 背 景 が 示 唆 され る症 例 もあ る. 以 上,両 側 性 な い し多 発 性 に歯 牙 腫 が 認 め られ た とす る報 告 は 多 くは み られず,ま た,過 剰 歯 や 奇 形歯 との鑑 別 の 困 難 な症 例 も少 な くない. 一 方,石 川(1982)1)は,時 に歯 原 性 嚢 胞 の 壁 に歯 牙腫 組 織 の 存 在 す る こ とが あ り,わ が 国 にお い て は 歯 牙 腫 を 伴 った 濾 胞 性 嚢 胞 と して報 告 され てい るが,こ れ は ア メ リカ学 派 に よ りcystic odontoma嚢 胞 性 歯 牙 腫 と呼 ぼ れ た も の に相 当 す る と して い る.本 邦 では 岡本(1951)19), 北 村 ら(1952)2G),島 田 ら(1957)21),安 藤(1961)22), 滝 ら(1965)23),常 葉 ら(1973)24),児 玉 ら(1978)25), 本 田 ら(1980)26),大 村 ら(1983)27),山 本 ら(1985)28) が そ れ ぞ れ 報 告 して い る.こ れ ら10例 の嚢 胞 性 歯 牙 腫 に 関 して,発 生 部 位,年 齢 に特 徴 は み られ ず,集 合 型,複 雑 型 共 に同 数 み られ て い る.そ の うち3例 は 抄 録 に よ る 報 告 のた め 詳 細 は不 明 で あ る が,残 る7例 の うち3例 で 嚢 胞 と歯 牙 腫 が そ れ ぞ れ独 立 して お り,別 個 の原 基 か ら 発 生 した と思 わ れ る.両 者 が 同一 原 基 か ら発 生 した,あ るい は 発 生 した と思 わ れ た症 例 は わ ず か4例 で あ る. 本 症 例 で は 下 顎 に,左 右 対 称 性 に 歯 牙 腫 が 存 在 した が,両 側 と も著 し くそ の歯 牙様 構 造 がそ こ な わ れ て お り,複 雑 歯 牙 腫 の 範曙 に入 る と思 わ れ る.ま た,両 側 と も に先 天 欠 損 歯 が な く,第 二 大 臼歯 の歯 牙 形 態 に異 常 が み られ る こ と,歯 牙 腫 が この歯 牙 の歯 冠 を な か ば取 り囲 む よ うに 存 在 して い た こ とか ら,発 生 原 基 は そ れ ぞれ 左 右 第 二 大 臼 歯 の歯 胚 に 関連 す る と思 わ れ る. 歯 牙 腫 の 発 生 原 因 と して石 川 は,外 因 的 には 外 傷,場 所 の 不 足 に よ る歯 胚 の圧 迫,炎 症 な どが考 え られ,ま た 内 因 的 に は 素 質 あ るい は遺 伝 的 因子 の関 与 す る こ と も想 定 され る と述 べ て い る.し か し本 症 例 の歯 牙 腫 が左 右 対 称 性 に 大 臼歯 部 に み られ た こ とか ら,歯 胚 に働 く圧 迫, 外 傷,乳 歯 牙 の 障害 な どは 原 因 と して考 え に く く,77 の歯 堤 形成 期 に何 らか の全 身 的変 化 に影 響 され,あ るい は 本症 例 の家 族 歴 に歯 牙 腫 を認 め る こ とは ない が何 らか の先 天 的要 因 に よ り7T7の 歯 胚 よ り歯 牙 腫 を 形 成 す る 芽 組 織 が増 殖 した もの と考 え られ る. しか しな が ら同 時期 に歯 牙 腫 を形 成 す る芽組 織が発生 した と して も,左 右 で そ の硬 組 織 構 造,第2大 臼歯 との 関連 に差 が み られ,ま た左 では 嚢 胞 と合併 した ことより 左右 の局 所 的 因子 に よる修 飾 も病 態 形 成 に関連 す ると思 わ れ る. 本 症 例 に お い て左 側 大 臼歯 部 の歯 牙 腫 に濾胞 性歯嚢胞 が連 接 して い た が,嚢 胞 の壁 を構 成 してい る結 合組織が 歯 牙 腫 の 中 心 部 へ 侵入 して い る こ とか ら両 者 が同一の原 基 よ り発生 した こ とが考 え られ,1百 の歯 冠 完成 期を迎え た 直 後 で あ る 患 者 の年 齢,手 術 所 見 で嚢 胞 壁 と関連 しな い歯 小嚢 で 包 まれ た歯 冠 を認 め た こ とか ら,こ の嚢胞が 1百を 原 因 とす る含 歯 性 嚢 胞 で あ る こ とは 考 え難い. 手 術 に 際 して は,右 側 は歯 牙 腫 摘 出 後閉 鎖 し,左 側は 歯 牙 腫 お よび嚢 胞 の摘 出腔 が大 きい こ と と患者 が発育期 に あ り骨 創 の 治 癒 が 良好 で あ る と予 測 され るこ とか ら開 放 と した.術 後経 過 は 良好 で,1年 半 で正 常 な骨 梁構造 を 認 め て い る. 以 上,左 右 対称 性 に み られ た点,濾 胞 性歯 嚢胞 と連接 して い た 点 で 興 味 あ る歯 牙腫 症 例 と思 われ報 告 した. 結 語 両 側 下 顎 大 臼 歯 部 歯 牙 腫 な らび に,左 側 には 濾胞性歯 嚢 胞 を 合 併 した 症 例 を 経 験 した の で,若 干 の考 察を加え 報 告 した. 本 論 文 の 要 旨 は第124回 日本 口腔 外 科 学会 関東地方会 に お い て報 告 した. 引 用 文 献 1) 石 川 梧 朗 監 修: 口腔 病 理 学II. 改 訂版, 永末露 店, 京 都, 1982, 507-512頁.
2) Gorlin, R. J. and Goldman, H. M.: Thomas
Oral Pathology, ed, 6, St. Louis, 1970, The
C.V. Mosby Company, p. 497-501.
3) 朱 雀 直 道, 翁 玉 香: 下 顎 両 側 臼 歯 部 に 発 生 し た 歯 牙 腫 の 一 例 (抄). 口外 誌8: 219-220 1962.