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1 2017 年度 上智大学 経済学部経営学科 網倉ゼミナール 卒業論文

テレビ朝日のこれから

テレビ離れの要因から考察する未来

A1342383 木村カレン 2018 年 1 月 15 日

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はじめに

「テレビ離れ」という言葉がとりただされるようになってから数年がたつ。インターネットの急 速な普及によって、テレビ以外の動画コンテンツの娯楽が増えた。また、スマートフォンやタブ レットの登場により、デバイスが多様化し、動画コンテンツはいつでもどこでも楽しめるものへ と変化している。しかし、私は今後もテレビがその勢いを失って欲しくないと願っている。幼い 頃からテレビを好み、いわゆる「テレビっ子」として育ってきた。全く興味のない分野などの、 知りもしなかった情報を、テレビをつけているだけで知ることができる点に私は魅力を感じてい る。気になることがあると「ググる」ことによってすぐに解決できてしまう便利な世の中である が、視聴者が受動的に情報を知り得るテレビには大きな価値があると思う。 個人的な話になるが、仕事でもテレビに携わりたいという願望がかねてからあり、就職活動にお いても、私はテレビ業界に絞って受験した。晴れて希望の職種に就くことができたが、実際に就 業する前に、企業について知り、今後の展望を予測することで、自分の働き方に生かしたいと考 え、このテーマにした。

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目次

はじめに

1 テレビ業界の現状

2 テレビ朝日について

2-1 企業概要

2-2 企業の特徴

3 仮説掲示

4 検証

5 結論

6 おわりに

参考文献

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1 放送業界の現状

【図 1】放送産業の市場規模(売上高集計)の推移と内訳 (出所:平成 29 年 総務省情報通信白書 より) 図1は、2003 年から 2015 年までの、テレビ業界の市場規模の推移と内訳である。ここでは当論 文が対象とする地上波放送を指す青色に注目してほしい。ほぼ横ばいと言えるが、2007 年にピ ークを迎えた後、少しずつ落ち込んでいることがわかる。2011 年から 2012 年にかけては、東日 本大震災の影響で広告収入が減少してしまったことが予想され、テレビ業界の市場規模も下がっ たと考えられる。2012 年から 2013 年にかけてわずかな回復が見られるが、放送業界の現状をこ のグラフから読み取る限り、雲行きが怪しい状態といえる。その要因を各データとともに以下の ように予測を立てた。

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5 【図 2】広告費 推移 (出所:Garbagenews より) 一つ目は、テレビ業界の広告収入が足踏み状態ということである。図2はマスコミ 4 媒体とイン ターネットの広告費の推移である。新聞、雑誌、ラジオの広告費は 2000 年代以降から減少し続 けている。インターネットが一般に普及してきた時期と合っていることを考慮すると、広告媒体 がインターネットへと移行していったと考えられる。現に、インターネット広告費は 2006 年か ら急速に増加しており、2012 年には新聞を抜き、テレビに次ぐ媒体となった。テレビの広告費 は、他 3 媒体と大きく差歯あるものの、2008 年以降停滞しており、テレビは広告収入が伸び悩 んでいることが分かる。テレビ業界は、長年、広告収入を最大の収入源としてそのビジネスモデ ルを構築してきた。しかし、現状が続けば、インターネット広告費に逆転されてしまう未来もそ う遠くないであろう。

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6 【図 3】テレビとインターネットの平均利用時間 (平成 29 年 総務省情報通信白書 より作成) 二つ目は、インターネットの普及により、人々がメディアに触れる手段が多様化したことによる 「テレビ離れ」である。そして三つ目は放送と通信の融合によって、既存のテレビコンテンツだ けでは不十分になってきていること、と予想した。図 3 は 2012 年から 2016 年までの、テレビと インターネットの平日 1 日平均利用時間をグラフにしたものである。対象は 10 代から 60 代だ。 青色が示すテレビのリアルタイム視聴時間は、近年ほぼ横ばいか、若干の右肩下がりな状態が続 いている。一方で灰色のグラフに注目していただきたい。こちらはインターネットの平日 1 日平 均利用時間を示すものであるが、2012 年は 70 分強であったのに対して、2016 年には 100 分に到 達している。加えて、図 3 から、図 2 において、インターネット広告費が急速に伸びている要因 が分かる。 以上、テレビ業界の現状をまとめた。そして、テレビ業界の市場が伸び悩んでいる要因につい て、3 つの事柄が予測できた。 1 つ目は、テレビの広告収入がこれ以上増加することはほぼ見込まれないことである。広告収入 以外の収入源を構築していくべきである。 2 つ目はテレビ離れ。これはテレビの広告収入に直結する問題である。「テレビ離れ」が起きる ことによって、企業はテレビ CM に広告費をかけなくなり、インターネット広告などの他のメデ ィアへの広告費の投入をする傾向になってきている。つまり、テレビ業界の収入の柱であるテレ ビ広告収入が期待できなくなっているのだ。 そして 3 つ目は放送と通信の融合による制作費の増加である。インターネットとの共存は今後避 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 120.0 140.0 160.0 180.0 200.0 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 全年代 平均利用時間(単位:分) テレビ(リアルタイム)視聴 平均利用時間(単位:分) テレビ(録画) 平均利用時間(単位:分) ネット利用 単位: 分

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7 けて通れない道であることは間違いない。また、今までは、許認可規制という、ある意味保護を 受けていたテレビ業界にとって、外部からの刺激に慣れていないという弱みがあることは確かで ある。今後は、様々な業界、企業とタッグを組み、新たなビジネスを作り出していくべきだろう。 次項からは、以上の事柄を踏まえ、株式会社テレビ朝日ホールディングス(以下、テレビ朝日) に注目し、今後の展望を予測する。

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2 テレビ朝日について

2-1 企業概要

(2014 年 4 月 1 日現在) 企業ロゴ (テレビ朝日 HP より 画像引用) 会社名 テレビ朝日 通称 テレ朝 所在地 東京都港区六本木 6-9-1 創立 1957 年 11 月 1 日 開局 1959 年 2 月 1 日 資本金 366 億円 売上高 2,268 億 4,100 万円 社員数 4021 人 事業内容 放送法に基づくテレビジョン放送事業 沿革 1957 年 11 月 (株)日本教育テレビを設立 1960 年 12 月 社名の略称を NET に統一。 1977 年 4 月 社名を全国朝日放送(株)に変更。 略称もテレビ朝日に変更。 2012 年 4 月 (株)テレビ朝日ホールディングスに変更。

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9 日本テレビ、TBS に続いて開局 3 局目となったテレビ朝日は教育用に開局するという政策の下で、 1959 年に、「日本教育テレビ」として設立された。そのために、放送内容は、教育・教養番組 を全体の 80%以上、かつ報道番組と広告については若干に限るという厳しい条件下で始まった。 この CM 放送枠が限定されてしまう苦況は、1973 年の総合番組局になるまで続いた。上の沿革に も記した通り、総合番組局へと移行した際に、社名から教育の文字を外し「全国朝日放送」、略 称をテレビ朝日として再出発をした。 映画会社の東映が経営に携わったこともあり、その技術を生かしてスタートさせた「日曜洋画 劇場」(1966 年~2017 年)は 50 年続いた長寿番組となり、民放の映画番組の原型となった。 ま た、ニュース番組を朝の時間帯に編成したのは、テレビ朝日が先駆けである。主婦層の視聴者を 獲得したことで他の放送局を刺激した。そのため、現在の朝は他の民放局もニュース番組を編成 している。 夕方の「スーパーJ チャンネル」や夜の「報道ステーション」に代表されるニュース番組や「朝 まで生テレビ!」などの討論番組の制作を得意としており、報道に強い局としてのイメージ作り を図っている。

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2-2 企業の現状

【図 4】 (単位:100 万) (出所:テレビ朝日 2018 年第二四半期 決算資料より)

図 4 から明らかに見て取れることは、テレビ放送事業の業績が芳しくないことである。もはやテ レビ局は、番組づくりだけをしていれば良いわけではないことがうかがえる。 しかし、平日 12:30 から、シニア層に向けて新たに帯番組「やすらぎの郷」を設置したり、土曜 日曜の夜の映画番組を解体して、テレビ朝日得意の新たな報道番組を始めたり、と、タイムテー ブルの改変に着手した。また、図 5 の通り、朝昼の帯番組も、全番組で視聴率は前年比で上がっ た。 【表 1】テレビ朝日 朝・昼帯番組 視聴率 (2017 年上半期) 番組名 上期視聴率 前年度比 グッド!モーニング 6 時代 グッド!モーニング 7 時代 7.3% 9.0% +0.8% +1.3% 羽鳥慎一のモーニングショー 7.7% +0.9% じゅん散歩 5,7% +0.7% 徹子の部屋 5.8% +1.7% (テレビ朝日 2018 年第二四半期 決算資料より作成) タイムテーブルの改変も好評で、朝昼の視聴率も好調であるにも関わらず、テレビ放送事業の営 業利益がマイナスなのは、番組制作費がかさんだことが要因の一つと考えられる。

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11 【図 5】テレビ朝日 地上波番組制作費 (単位:100 万) (出所:テレビ朝日 2018 年第二四半期 決算資料より) 2Q での増減原因は、前年同期に会ったリオ五輪などによる大型スポーツ番の組影響で減少して いるが、2017 年度上期トータルでは、前年比で 2.2%増に着地した。この要因に考えられるのは、 新しい番組を始めたことに加えて、本格的なネット映像配信時代を迎えて、放送と通信の融合が 現実となってきたことが原因だと考えられる。通信事業者は,番組を配信するその路は持ってい るものの、番組、いわゆるコンテンツをつくる能力は持ち合わせていない。そこで、テレビ局は、 番組制作力を向上させることで、より多くの、より質の良い番組を制作し提供していくことが重 要となってきているのであろう。そのため番組制作費が増加してきているのだ。 【図 6】テレビ朝日 地上波視聴率 (出所:テレビ朝日 2018 年第二四半期 決算資料より)

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12 図 6 からわかる通り、ゴールデンタイム(19 時〜22 時)、プライムタイム(19 時〜23 時)全日 (6 時〜24 時)、全ての時間帯で視聴率は右肩下がりである。 テレビ朝日の番組自体は好評であるにもかかわらず、全体として視聴率が下がっている。やはり テレビ離れは現実のものである。テレビ業界全体の現状と、テレビ朝日の現状が合致しているこ とがわかった。 インターネットと連携した新たな番組作りなど、番組制作に力を入れているようだが、以下、テ レビ離れの要因に関するデータから、今後テレビ朝日がどのように展開していけば現状から打破 できるのかを検討していく。

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3 仮説掲示

【図 3】テレビとインターネットの平均利用時間

(平成 29 年 総務省情報通信白書 より作成) 図 3 をもう一度ここで確認したい。青が示すテレビ利用時間と、灰色が示すインターネット利用 時間が負の相関関係にあることは明らかである。そして、インターネット利用時間と正の相関関 係にあるのがスマートフォン所持率である。 【図 7】スマートフォン所持率

(平成 29 年 総務省情報通信白書 より作成) 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 120.0 140.0 160.0 180.0 200.0 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 全年代 平均利用時間(単位:分) テレビ(リアルタイム)視聴 平均利用時間(単位:分) テレビ(録画) 平均利用時間(単位:分) ネット利用 単位: 分 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0

スマートフォン所持率

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2010 年は所持率 9.7%であったにも関わらず、わずか 6 年後の 2016 年には 71.8%まで到達してい る。スマートフォンはもはや私たちの生活の一部となっている。 【図 8】パソコン所持率 (平成 29 年 総務省情報通信白書 より作成) 図 8 は、スマートフォンと同じく、2006 年から 2016 年までのパソコン所持率を調べたものであ る。緩やかに減少していることがわかる。よって、人々は、テレビの視聴時間が減り、その時間 を、スマートフォンを使用してインターネットに時間を使うようになってきているということで ある。そこで、コンテンツ力のあるテレビ局が、スマートフォンで見られる動画コンテンツを作 っていけば、大きな収入増につながるのではないかと仮説を立てる。 65.0 70.0 75.0 80.0 85.0 90.0

パソコン所持率

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4 検証

(AbemaTV ホームページより画像引用) サイバーエージェントとテレビ朝日が出資して設立した株式会社 AbemaTV が運営している、 AbemaTV は、PC・スマートフォン向けのライブストリーミング形式であるインターネットテレ ビです。2016 年 4 月から始まったサービスである。 その特徴は、 ・20 チャンネル以上の多彩なコンテンツ ・ スマートフォンでの操作性を重視したデザイン ・ 24 時間放送 ・ 複数デバイス対応 などがあげられる。 テレビ朝日は、AbemaTV 専用のスタジオも開設するなど、多くの費用をここにかけた。 その成長は著しく、開局半年でスマーチフォン専用アプリダウンロード数は 1000 万ダウンロー ドを超え、現在(2017 年 11 月)は 2300 万ダウンロードまで増えた。その背景に、コンテンツ の質の評判の良さや、テレビ局が関わるネットメディアという信頼感もあり、ナショナルクライ アントのニーズも高いことが考えられる。また、2017 年 11 月 2 日に放送された、「72 時間ホン ネテレビ」は、過去最高視聴数となる 7400 万回超を記録した。 【図 4】テレビ朝日 2018 年第二四半期 決算資料 (単位:100 万) (出所:テレビ朝日 2018 年第二四半期 決算資料より)

図 4 を再掲する。売上高で、その他の事業を示すグラフが、前年同期比で大きく伸びている。こ こにインターネット事業が含まれていることを考慮すると、AbemaTV は現在好調だと言える。そ して、今後もテレビ朝日の中で大きな事業になっていくことは間違いない。

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5 結論

テレビ業界のテレビ広告収入が頭打ち状態なのは事実である。そこで、今後はインターネット事 業に力を注いでいくべきであろう。現在既に、AbemaTV というサービスがスタートしているが、 地上波のテレビ番組との連携はまだなされていない。テレビ朝日には、テレビドラマなどで、前 半を AbemaTV で放送し、後半を地上波で放送するなど、リアルタイム視聴への移行を促す戦略を 立てて欲しい。圧倒的コンテンツ力と、圧倒的なマスへの影響力があるテレビ局の強みを、「テ レビ離れ」という一言で片付けられないよう、今後も新しい事業に注力しつつ、その強みを伸ば していって欲しい。

6 おわりに

卒業論文を書くにあたり、絶対に「テレビ」に関するテーマにする、と決めたものの、そこから 何を軸に進めたら良いのかわからず、書き始めるまでに時間がかかってしまった。「好き」なも のに対して、論文という堅いものを通してアプローチするのは、私にとって困難であった。論理 の飛躍も大きく、統計の知識も乏しいゆえに、内容の薄い論文になってしまったことを反省して いる。また、準備不足が原因で、網蔵先生のところに相談に行けなかったことが後悔している点 である。4 月から、テレビの現場で働くが、今持っている「好き」な気持ちだけは無くさずにい きたいと思う。そして、インターネットに流れる人々が、一人でも多くテレビを見るよう、テレ ビをつける動機になるようなアナウンサーになりたい。 最後に、網蔵先生は、留学から帰国後もゼミの活動に受け入れてくださり、計 3 年間、ゼミ生と してお世話になりました。先生の知識の幅の広さには、毎回驚かされていました。3 年間、ご指 導ありがとうございました。網蔵ゼミでお世話になった、先輩方、同期、後輩の皆さんにも大変 感謝しています。ありがとうございました。

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参考文献

総務省 平成 29 年情報通信白書 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc261710.html Garbage news 30 年近くにわたる広告費をグラフ化してみる http://www.garbagenews.net/archives/2031422.html 業界動向 SEARCH.COM テレビ業界 https://gyokai-search.com/3-tv.htm NIPPON の数字 http://www.nippon-num.com/corporation/media/tv-asahi.ht テレビ朝日ホールディングス HP IR 情報 http://www.tv-asahihd.co.jp/contents/IR/index.html テレビ朝日 2017 年第二四半期決算 決算説明会資料 http://www.tv-asahihd.co.jp/contents/ir_setex/data/2016/20161109.pdf テレビ朝日 2018 年第二四半期決算 決算説明会資料 http://www.tv-asahihd.co.jp/contents/ir_setex/data/2018/20171113.pdf テレビ朝日 HP http://www.tv-asahi.co.jp/ AbemaTV HP https://abema.tv/

参照

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