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Pictet Market Monthly

先進国

2016年6月発行の欧州・米国市場ニュース

6月の欧米市場ニュース

米国の主要経済指標

ユーロ圏の主要経済指標

※前回および次回には改定も含みます ※2016年7月4日時点(日本時間)の発表データと予想 ※予想はブルームバーグ集計市場予想 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 タイトル 頁 英国の国民投票:欧州連合(EU)離脱を選択 2 米国国債利回りの動向を左右するふたつの鍵 5 米国:個人消費支出は2ヵ月連続で好調な伸びを記録 8 欧 州 米 国 指標名 時点 前回値 市場 予想 公表値 次回発表 予定日 次回 予想 小売売上高 (前月比,%) 16年4月 -0.6 0.4 0.0 7月5日 0.4 サービス業購買担当 者景気指数(PMI) 16年6月 53.3 53.2 52.4 7月5日 52.4 鉱工業生産 (前月比,%) 16年4月 -0.7 0.8 1.1 7月13日 --消費者物価指数(前年 同月比,%) 16年5月 -0.2 -0.1 -0.1 7月15日 --製造業購買担当者景 気指数(PMI) 16年6月 52.6 52.6 52.8 7月22日 --実質GDP (前期比,%) 16年 1-3月期 0.5 0.5 0.6 7月29日 --失業率(%) 16年5月 10.2 10.1 10.1 7月29日 --指標名 時点 前回値 市場 予想 公表値 次回発表 予定日 次回 予想 ISM非製造業景況指数 16年5月 55.7 55.3 52.9 7月6日 53.3 失業率(%) 16年5月 5.0 4.9 4.7 7月8日 4.8 非農業部門雇用者数 (前月比,千人) 16年5月 123.0 160.0 38.0 7月8日 175.0 消費者物価指数 (前月比,%) 16年5月 0.4 0.3 0.2 7月15日 0.3 小売売上高 (前月比,%) 16年5月 1.3 0.3 0.5 7月15日 0.2 実質GDP (前期比,%,年率) 16年 1-3月期 0.8 1.0 1.1 7月29日 --ISM製造業景況指数 16年6月 51.3 51.3 53.2 8月1日

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--2016年6月27日発行ニュース

英国の国民投票:欧州連合(EU)離脱を選択

英国の国民投票が欧州連合(EU)からの離脱という衝撃的な結果となったことから、欧州は勿論のこと、広く世界の 経済、政治、金融市場に大きな影響が及ぶことが予想されます。 英国の欧州連合(EU)残留を織り込んでいた金融市場 は、想定外の投票結果を受け、2008年9-10月のリーマ ン危機直後の下げに匹敵する暴落の展開となりました。 欧州域内の株式市場が3-12%の下げに見舞われた一 方、ポンドは-12%と急落し、(結果発表前の)対ドルで1 ポンド=1.50ドルに対して一時1ポンド=1.33ドルを付け 1985年以来の最安値を更新しました。これに対し、リス ク・オフ局面の典型的な展開として、金は7%強上昇、一 方、独・米の10年国債利回りは、それぞれ、一時-0.17% ならびに1.4%に低下(価格は上昇)し、6月24日には終 値ベースで前日比でそれぞれ-14bp、-19bp低下しまし た。また、円は3年ぶりに一時1ドル=100円を割り込みま した。この間、ユーロが予想以上の底堅さを見せ、およ そ1年ぶりの1ユーロ=1.09ドルと4%程度の下げに留 まったことが注目されます。

金融市場の当初の反応

図表1:今後の主な政治イベント

時点:2016年6月24日

政治面への影響

欧州の複数の国は高い政治リスクにさらされています。 経済の低迷を背景に反体制政党が台頭しており、英国 のEU離脱(ブレグジット)が、主流派政党に対する国民 の不満を強めた可能性があります。 欧州ならびにユーロ圏は、分断の脅威にさらされてい ます。スペインでは26日、(やり直しの)総選挙が行わ れたばかりですが、イタリアでは、10月に憲法改正案 の是非を問う国民投票が予定されており、レンツィ首相 の去就を決めることとなりそうです(図表1参照)。首相 は、上院の権限を大幅に縮小する改正案が否決され た場合には辞任することを明らかにしているからです。 イタリアの状況も懸念されます。イタリアはユーロ圏3 位の経済規模を有する一方、銀行セクターは2,000億 ユーロ強の不良債権を抱えており、政府債務が膨らん だ現状では財政支出を大幅に拡大する余地は見込ま れないからです。 政治面にも甚大な影響が及ぶことが予想されます。キャ メロン首相は既に辞任を余儀なくされましたが、後任の 新首相は国内の議会で強い支援が期待できないことに 加え、EU離脱の交渉に際しては、一部EU加盟国政府 からの厳しい抵抗に対応せざるを得ないことが予想され ます。 英国がEU離脱の手続きを「正式に」始めるには、(欧州 理事会に)「リスボン条約50条」の発動を通知しなけれ ばなりません。 通知から2年以内に離脱の条件が交渉されることとなり ますが、英国がどのような条件を確保しようと考えている かは、現時点では明らかではありません。また、いかな る条件にもEU加盟27ヵ国の承認が必要となることが先 行きの不透明感を強めています。英国との貿易量が少 ない加盟国の幾つかは交渉に殆ど関心を示さないもの と思われるためです。 出所:ピクテグループ 6月26日 スペイン総選挙 6月28-29日 欧州連合(EU)首脳会議 10月(予定) キャメロン首相辞任、保守党党首選挙 10月 憲法改正を問うイタリア国民投票 11月 米国大統領選挙 5月 フランス大統領選挙 10月(予定) ドイツ総選挙 2 01 6年 2 01 7年

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2017年にはフランスの大統領選挙が予定されています が、反EUの国民戦線が国民の支持を増やしています。 また、ドイツでは総選挙が行われます。 フランス、ドイツ、オランダ等、複数の国が、EUあるいは ユーロ圏加盟の是非を問う国民投票を行わざるを得な い状況に陥る可能性も否めません。 上述のさまざまな状況を勘案すると、「ブレグジット」は、 EUあるいはユーロ圏分断のリスクを高める結果となっ たように思われます。 EUあるいはユーロ圏分断が避けられないという意味で はありません。「ブレグジット」が欧州の政治家に対して、 銀行業界、規制、財政等に関する規制改革を促進する よう、警鐘を鳴らしたということなのです。諸改革を実行 し、機能が改善されたEUが実現することとなれば、英国 はEUとの関係を見直したいと考えるかもしれません。こ のような展開は現状では望めそうにありませんが、実は 前例があるのです。1992年、デンマークは国民投票で マーストリヒト条約の批准を否決し、欧州株式市場は 15%の下げに見舞われたのですが、2000年には再度 国民投票を実施し、条件付きで加盟を決めているのです。

経済面への影響

英国経済には、短期間のうちに「ブレグジット」の影響が 現れることとなりそうです。イングランド銀行(中央銀行) は国内外の投資家心理や経済界への影響を和らげるた めの手段を講じており、ポンド安が輸出型企業に恩恵を もたらすことが予想されますが、国内経済は、今後数四 半期を通じ、減速を免れないと考えます。EUが英国の 最大の輸出先(EU向け輸出は輸出全体の半分近く、 GDP(国内総生産)比約1割)であることを勘案すると、 「ブレグジット」は、2016年の英国のGDPを1%以上押し 下げることが予想されます。 リーマン・ショックが短期間のうちに世界経済に影響を及 ぼしたのとは異なって、「ブレグジット」の海外への影響 は長期にわたることが予想されます。とはいえ、EUの政 局を巡る不透明感は強まっており、投資家心理や貿易 に甚大な影響を及ぼしかねません。 EUが欧州債務危機からの回復途上にある状況下、低 成長は、EU周縁国の脆弱な財政状況を急速に悪化さ せる脅威となります。イタリアの場合、現在130%のGDP 比政府債務残高を安定させる(悪化させない)ためには 前年比+1.4%のGDP成長が必要ですが、銀行セクター の抱える問題を考えただけでも相当ハードルが高いと見 ています。

金融当局の対応

世界の主要中央銀行は、金融システム安定に必要な体 制を整えた旨を明らかにしており、協調的政策対応が実 現する公算もあると思われます。一方、政治家はあらゆ る選択肢を残しておきたいと考えているはずですから、 投資に際しては、極めて短期間のうちに抜本的な対策 が講じられることを期待すべきではないと考えます。現 時点で極めて積極的な姿勢に転じても望ましい結果が 得られない可能性は否めません。 カーニー・イングランド銀行総裁は、金融市場安定のた め、2,500億ポンドを市場に供給すること、また、今後数 週間のうちにも追加の施策を検討し得ることを明らかに しています。欧州中央銀行(ECB)も、必要とあらば行動 する用意があることを明言しています。 英国の国民投票の結果は、米国の金融政策にも影響を 及ぼすことが予想されます。投票結果が世界経済の不 透明感を強めていることから、米連邦準備制度理事会 (FRB)の利上げは、早くとも10-12月期にずれ込むこと となりそうです。 スイス国立銀行(中央銀行)は、スイスフランの上昇を抑 えるため、為替市場に介入したことを明らかにしていま す。1ユーロ=1.05スイスフランを下回ることとなれば、マ イナス金利幅の拡大が検討される可能性もあります。 日本銀行もスイス国立銀行と同様の状況に置かれてお り、一時、1ドル=100円割れとなった状況を勘案すると、 円安誘導の追加金融緩和策が導入される公算が高いと 考えます。日本銀行は、新たに発行した紙幣を直接消 費者に配る「ヘリコプター・マネー」を世界で初めて実行 することになるかもしれません。「ブレグジット」は上述の 施策を現実のものとし得るのです。 ※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。

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英国のEU残留を織り込んでいた金融市場は、投票結果 に衝撃を受け、大混乱の展開となりました。 投資家のリスク選好に最も大きな影響を及ぼしたのは、 おそらく、ユーロ圏の資産クラスに要求されるリスク・プ レミアムが上昇するメカニズムを通じて、「ブレグジット」 の影響が金融市場全般に広がったことだと考えます。 ピクテでは、市場の動向を示す主要な指標として、欧州 金融債ならびにイタリア国債のクレジット・デフォルト・ス ワップを注視していますが、これまでのところ、目立った 動きは見られません。 市場の混乱が長引くこととなれば、リスク資産がどのよう な水準で投資妙味を増すかの判断はこれまで以上に難 しいものとなりそうです。 市場が下落幅を広げ、政治家の言動から十分な確信が 得られた場合には、下げの最も大きかったセクターの買 いの検討余地があると見られます。 ユーロは1.05ドル近辺で、一方、ポンドは1.30ドル近辺 で投資妙味が増すと考えます。一方、ポンド安の恩恵で 増益が予想される英国株には、既に割安感が見られま す。したがって、FTSE100種株価指数が5,700を割り込 んだ時点が分岐点と考えます。 ドイツ10年国債利回りは一時-0.1%を割り込み過去最 低水準を更新しており、一段の低下余地は限定的だと 考えます。また、社債スプレッドが広がれば買いの機会 が提供されるかもしれませんが、流動性が低いため、注 意が必要と見ています。 新興国資産については、目先、ドル高の進行が予想さ れることから、株式、債券ともに注意が必要と見ていま す。 ※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。

「ブレグジット」を踏まえた注目資産

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2016年6月14日発行ニュース

米国国債利回りの動向を左右するふたつの鍵

投資家にとって米国国債はポートフォリオを守る重要な資産ですが、年初来で利回りが大きく低下しています。そ の背景と今後の見通しを探る鍵となる、物価連動国債(TIPS)とブレークイーブン・インフレ率について解説します。 米連邦準備制度理事会(FRB)が9年ぶりの利上げを 決定した2015年12月16日、米国10年国債利回りは 2.3%でした。しかしその後は大きく低下し、2016年6月 6日時点で1.72%となっています。 その背景の1点目は、1月から2月にかけての金融市場 の混乱です。中国経済のハードランディングや世界経 済の景気後退(リセッション)入り、米ハイイールド社債 (高利回り社債、低格付け社債)市場の急落などを巡 る懸念を受けて、米国10年国債利回りは1.66%まで低 下しました。 2点目は、2016年1-3月期の米国の実質GDP(国内総 生産)が、前期比年率+0.8%と期待外れの低成長に終 わったことです。 3点目は、FRBの利上げペースについての市場の見方 です。2015年末時点では、2016年中の利上げ回数を 2回とする見方が大勢でしたが、足元では1回のみに修 正されています。

米国国債利回り、低下の背景

図表1:米国の10年国債利回り、TIPS利回り、ブ

レークイーブン・インフレ率、 FF金利

日次、期間:2015年1月1日~2016年6月6日

米国国債利回りと、TIPS利回り、ブレーク

イーブン・インフレ率の関係

ミアム(TIPSは、普通国債とは異なりインフレ防衛証券 であるため、利回りが押し下げられている)等、複数の ファクターがインフレ期待を歪めているからです。つま り、流動性プレミアムはインフレ期待を過小評価する一 方、インフレ・プレミアムはインフレ期待を過大評価して いるのです。 米国国債利回りは、複雑極まりない世界の動向を反映 しているため、その推移を完全に捉えることは不可能と もいえますが、本稿では、10年国債利回りと関係の深 い10年物物価連動国債(米国財務省インフレ防衛国 債、以下TIPS)の利回りと、ブレークイーブン・インフレ 率の動きを足がかりに、考察を試みます。 ブレークイーブン・インフレ率とは、普通国債の名目利 回りとTIPSの利回りの格差のことで、市場の期待イン フレ率を表すとされます(図表1参照)。ただし、この定 義は100%正しいわけではありません。流動性リスクプ レミアム(TIPSは普通国債ほど流動性が高くないため、 利回りが押し上げられている)や、インフレ・リスクプレ 1.72 0.19 1.52 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 15年1月 15年4月 15年7月 15年10月 16年1月 16年4月 10年国債利回り FF金利 TIPS(10年)利回り ブレークイーブン・インフレ率(10年) % 出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信 投資顧問作成 TIPS利回り(0.19%) ブレークイーブン・インフレ率(1.52%) 10年国債利回り(1.72%) + = <次ページに続きます>

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図表2:米TIPS利回りとGDPナウ

日次、期間:2016年2月1日~2016年4月28日 2015年末以降のTIPS利回り低下の背景には3つの要 因があると考えられます。 第一に、年初から2月にかけての金融市場の混乱への 対応として、米国国債、TIPSともに買われたことです。 さらに3月以降は、投資家のインフレ懸念が強まり TIPS市場への資金流入に拍車がかかりました。 第二に、年初から原油価格が1バレル=30ドルを下 回って大幅に下落し、ドル・インデックスが急騰したこと で、ブレークイーブン・インフレ率が低下したことです。 第三に、2016年1-3月期の米国の実質GDPが期待外 れだったことに加え、事前予想を下回る経済指標の発 表が相次いだことから、投資家の世界経済の回復に対 する懸念が強まったことです。 実のところ、米国の低成長はアトランタ連銀が公表す る速報性の高いGDP予測モデル「GDPナウ」に示唆さ れていました。GDPナウは、GDPとの関連性が強い経 済指標が発表されるたびに更新されます。2016年1-3 月期のGDPナウが下方修正された時点で、10年物 TIPS利回りも低下しました(図表2参照)。 GDP成長率の伸びの鈍化と金融市場の混乱を受け、 FRBはハト派的なスタンスを強めざるを得ず、3月の連 邦公開市場委員会(FOMC)では年内の利上げのペー スについての予想を4回から2回に下方修正しました。 緩やかな利上げを標ぼうする米国の金融政策が市場 を殆ど驚かせなかったのは、利上げ回数の下方修正 を既に織り込んでいたためです。とはいえ、FRBが慎 重に行動するであろうことが確認された点は重要です。 市場のフェデラルファンド(FF)金利予想は、FF金利先 物市場に反映されますが、当先物金利は年初以降、 低下基調です。FRBのハト派的なスタンスが10年物 TIPS利回りを下押ししたことが図表3からも確認できま す。 足元では、FOMCメンバーはタカ派的なスタンスに転じ ており、夏場の追加利上げの準備を整えているように も思われます。2016年5月半ばに公表された4月の FOMC議事録要旨は、次回会合での利上げの意向を 確認するものだったため市場を驚かせました。 ただし、FRBが利上げを継続し、10年物TIPS利回りを 上昇させるには、GDP成長率の回復が必要です。現 状では、FRBの利上げペースは極めて緩やかになるこ とが予想されるため、10年物TIPS利回りは2015年12 月時点を下回る水準に留まっています。 0.19 0.45 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 15年11月 16年1月 16年3月 16年5月 TIPS(10年)利回り(左軸) FF金利先物(右軸) % % FOMC4月会合の 議事録 公表 0.12 0.62 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 16年2月 16年3月 16年4月 TIPS(10年)利回り(左軸) GDPナウ(16年1-3月期予測、右軸) % %

図表3:米TIPS利回りとFF金利先物

日次、期間:2015年11月1日~2016年6月6日 出所:トムソン・ロイター・データストリーム、ブルームバーグのデータを 使用しピクテ投信投資顧問作成 ※GDPナウは経済指標発表の都度更新される 出所:トムソン・ロイター・データストリーム、アトランタ連銀のデータを使 用しピクテ投信投資顧問作成

TIPS利回り低下の要因

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回りの変動率(ボラティリティ)が上昇するリスクは残り ます。また、インフレ率と経済成長率が上振れるならば、 国債利回りの大幅上昇も考えられ、足元の市場予想を 上回って利上げが進む可能性も否めません。 ただし、過度の引締めは米国経済を損なうという見方 が優勢になり、政策エラーが指摘されるような状況とな れば、利回りの上昇は当面、限定されると考えます。ま た、年初の金融市場の混乱が再燃し、安全資産として の国債が見直される状況が展開される場合にも、国債 利回りの低下が考えられます。 2015年12月1日から2016年2月11日にかけての株式 市場の下落局面では、S&P500種株価指数の騰落率 は-12.6%、米国10年国債は+4.9%でした。金融市場 の先行きを巡る懸念が払拭されないことからも、米国 国債が市場のショックやシステミック・リスクからポート フォリオを守る重要な資産であることは明らかです。米 国国債利回りの先行きを見る上では、TIPS利回りやブ レークイーブン・インフレ率の動向を見極めることが重 要だと考えます。 米国のブレークイーブン・インフレ率は、原油価格が直 近の安値を付けた2月半ばに底値をつけた後、大きく 上昇し、6月6日現在1.52%に達しています。2015年12 月から2016年2月にかけてのブレークイーブン・インフ レ率の大幅な低下は、主に原油安に起因するものであ り、インフレ低下が見込まれていたためですが、ドル高 の進行や安全資産を求める投資家の米国国債需要を 受けた資金流入等の原因も考えられます。実効為替 レートで見たドルの増価が進むにつれ、輸入財価格が 下落しインフレ率は低下することになりますが、原油安 も同様の効果をもたらします。 原油価格は2月11日から4月28日にかけてほぼ40% 上昇し、ドルが6%程度減価した結果、10年物ブレーク イーブン・インフレ率は1.72%に上昇しました(図表4参 照)。ところが、5月には原油価格が1バレル=50ドルに 迫る局面があったにもかかわらず、ブレークイーブン・ インフレ率は再び低下しています。利上げ予想が強ま り、米ドル高に転じたためです。FOMCのタカ派メン バーは、金融政策が後手に回る状況を避けるために、 近いうちに利上げが行われるだろうとの警告を市場に 発しています。(後手に回るとは、インフレ率がFRBの 見通しを上回る水準で上昇し、物価抑制のため速い ペースでの利上げを余儀なくされる状況を指していま す。) 原油価格が1バレル=50ドルを大幅に上回る公算は低 いと思われます。米国のシェールオイル生産は原油価 格の変動と原油在庫の積み上がりに敏感に反応する ため、世界経済の改善と需要の伸びに伴って、原油生 産が急拡大すると予想されるためです。米国の個人消 費支出(コアPCE)の上昇は緩やかで、FRBが目標と する2%を下回る水準に留まると予想されます。この間、 賃金上昇率が堅調に推移する一方で、ドル高の進行 が物価を下押すこととなれば、10年物ブレークイーブ ン・インフレ率は、長期平均の2%を下回る水準に留ま ることが予想されます。 ※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。 ※原油価格:WTI先物 出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信 投資顧問作成

図表4:米ブレークイーブン・インフレ率と原油価格

日次、期間:2015年7月1日~2016年6月6日 49.71 1.52 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 20 25 30 35 40 45 50 55 60 15年7月 15年10月 16年1月 16年4月 原油価格(左軸) ブレークイーブン・インフレ率(10年)(右軸) ドル/バレル % 16年4月28日 1.72%

今後の見通し

原油価格の影響を受けて変動した

ブレークイーブン・インフレ率

仮に、10年物TIPS利回りが0.5%程度まで上昇し、10 年物ブレークイーブン・インフレ率が1.7%程度に留ま るとすれば、2016年末の名目国債利回りは2.2%程度 まで上昇すると考えられます。 しかし、脆弱な景況とインフレ上昇のはざまで、国債利

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2016年6月30日発行ニュース

米国:個人消費支出は2ヵ月連続で好調な伸びを記録

米国の2016年5月の個人消費支出が2ヵ月連続で増加したことから、GDP(国内総生産)成長率の予想を上方修正 する可能性もあると見ています。一方、世界経済の現状を勘案すると、インフレは当面低位で推移することが予想 されます。 2016年6月29日、米国商務省経済分析局が発表した5 月の実質個人消費支出は前月比+0.3%と市場予想を 上回りました。また、4月改定値が上方修正されたこと から、4-5月平均の伸び率は1-3月期比で年率+4.8%と 伸びが際立ちました(図表1参照)。 上記の数値は、米国消費の先行きは明るいと見るピク テの予想と相容れると考えます。雇用や家計所得の持 続的な伸びが見込まれる中、消費者心理は比較的好 調に推移しており、高位に留まる貯蓄率の一段の低下 もあり得ます。いずれも、個人消費を支える要因となる はずです。今後の見通しについては、4-6月期、下期と もに良好な水準を維持するものと考えます。 GDP(国内総生産)成長率についても、4-6月期および 2016年、2017年の通年予想いずれも明るい見通しを 持っており、2016年予想は今年初めての上方修正を 検討することになりそうです。

個人消費支出:先行きは良好

図表1:米国の実質個人消費支出の伸び率

月次、期間:2007年1月~2016年5月

物価上昇圧力:低位に留まる

5月のコアPCE価格指数(PCEデフレーター、食品・エ ネルギーを除く)は、前年同月比+1.6%と市場予想通り でした(図表2参照)。 労働市場の需給の緩みが明確な縮小基調を示してい ることから、賃金上昇は加速度を増すことが予想され る一方、足元の上昇は緩やかな水準に留まっており、 コア・インフレに及ぼす影響も、年内は小幅に留まるこ とが予想されます。 世界経済の現状は、米国の物価上昇をもたらすどころ か下押し圧力となることも予想されます。実際のところ、 米国の長期のインフレ期待は低下基調を辿っています。 コアPCE価格指数は、年内、2%を下回って推移する 可能性があると見ています。 出所:ピクテグループ

図表2:米国のコアPCE

月次、期間:2011年1月~2016年5月 1.6% 前年同月比 前月比 FRBの目標2.0% 11年 12年 13年 14年 15年 16年 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 % 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 4 3 2 1 0 -1 -2 -3 -4 -5 リセッション後 の平均 2.3% 実質個人消費支出の伸び率(3ヵ月移動平均、年率) ※直近は4~5月2ヵ月平均の年率 %

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