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Discussion Paper Series No.131

子ども数に関する選好は将来の出生率の指標となりうるか

―パネルデータを用いた検証―

中央大学経済学部 助教 松浦 司

*

2009 年 10 月

* t-matsu@tamacc.chuo-u.ac.jp

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1.はじめに 本稿の目的は以下の2つである。第1に、個人が表明した欲しい子ども数は、実際に将 来の出産行動にどの程度つながっているのかということを検証する。さらに、欲しい子ど も数によって条件付けたうえで、どのような属性の変化が子ども数の変化に影響するのか ということをみていきたい。第2に、個人が表明した欲しい子ども数はどのような属性に 影響を受けているのかを分析を行う。 第1の目的について具体的な説明を行いたい。個人が表明した欲しい子ども数に関して は、理想子ども数、希望子ども数、予定子ども数といった概念を用いた先行研究が数多く 存在する。そこで、本稿ではアンケート調査などで表明された出産に対する選好を「出生 意図」と定義し、先行研究では理想子ども数、希望子ども数、予定子ども数などと定義さ れた子ども数に対する選好を包括する概念を「意図出生数」と定義して本稿では分析を行 いたい。このような出生意図や意図出生数に関する代表的な先行研究として Westoff and Ryder(1977)がある。この論文は予定子ども数がその後の出生率の予測に有用であるかを検 証した先駆的業績であり、その後も多くの研究者が予定子ども数の分析を行っている。詳 しいサーベイは次節にて行いたい。また、直接的に個人の欲しい子ども数を分析していな いが、「ハテライト指数」は子ども数を意識的に調整している証拠と解釈できる。ハテライ トというアメリカ北部中央のノースダコタ州からカナダ南部の中央にかけて住む白人プロ テスタント・再洗礼派の家族は、宗教上の理由から避妊・中絶といった人為的な出生抑制 を一切行わない。このため、ハテライト指数と現在の子ども数の差は出産の選択に対する 意思が働いているためであると解釈できる。人口学では、ハテライト指数を人為的な産児 調整をまったく行わないときの出生率である「自然出生力」を実現したものとして研究が 進んでいる。このように出生意図に関する研究には蓄積がある。しかしながら、先行研究 のほとんどは予定子ども数と将来の子ども数の関係だけに着目し、その他の変数をコント ロールしていない。また、観察されない個人特有の要因についても考慮していない。 さらに、個人の出産に対する意思をコントロールしたうえで、個人属性の変化が子ども 数に与える要因を分析する理由は、以下のとおりである。(財)家計経済研究所の「消費生 活に関するパネル調査」では、「今後、子どもは(もっと)欲しいですか」という質問1に対 して、「1.是非欲しい」、「2.条件によっては欲しい」、「3.欲しくない」という選択肢がある。 図1と図2は「2.条件によっては欲しい」、「3.欲しくない」という選択肢を選んだ理由が 示されている。 また表1は、国立社会保障・人口問題研究所が「出生動向基本調査」として 2005 年に行 った、理想子ども数と予定子ども数が乖離している理由を示したものである。「出生動向基 本調査」は全国の 50 歳未満の有配偶女性に対して行われたもので、「消費生活に関するパ ネル調査」と同様に 20 代から 40 代の既婚女性に対する質問である。 1 質問は子どもの有無にかかわらず、有配偶女性全員に対して質問を行っている。

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両方の調査から、生活費や教育費・養育費といった経済的理由をあげる人も多いことが 分かるが、その一方で、年齢や体力的な要因などを挙げる人も多い。つまり、必ずしも経 済的要因によってのみで決定されているわけではなく、経済的要因以外の理由で子どもを 欲しいと思わない層が一定の割合で存在する。このため、経済的要因や非経済的要因に条 件づけられる子どもを産みたいかどうかという意思(=出生意図)でコントロールしたう えで、子どもが欲しいと考えている人にとって収入や労働、家事時間が変化すると子ども 数がどの程度上昇するのか(または抑制されるのか)について考察する必要がある。そこ で、本稿では出生関数を計測するに際して、子どもが欲しいかどうかという本人の出生意 図に焦点を当てて分析したい。 つまり、本稿の第1の目的は、アンケートを通じて表明されたあと何人子どもを産みた いという意思(=追加的意図出生数)が将来の子ども数を予想する代理変数となっている のかどうかを検証し、子どもを産みたいと考えている人のどのような属性の変化が子ども 数の変化に影響するかということを検証することにある。人口の将来推計は人口学の大き なテーマであるが、出生意図が将来の出生数と密接に関連するならば、出生意図は出生予 測の手がかりとして有用である。そのため、各コーホートの出生意図とその実現値の関係 の分析を先行研究で行っている。また、出生意図をコントロールしたうえで収入や労働時 間等の変化を説明変数に加えることで、同じ出生意図を持った個人の収入や労働時間とい った属性の変化が子ども数の変化にどのような影響を与えるかということを分析すること が可能となる。つまり、出生意図で条件付けたうえでの収入や労働時間などの属性の変化 が子ども数の変化に与える影響を分析することを通じて、子どもを欲しいと考えている人 にとって、どのような制約条件の緩和が子ども数を増やす要因になっているのかというこ とを考察することができる。 第2の目的は出生意図がどのような要因によって形成されるかについて分析を行うこと である。出生意図に関しては、人口学や家族社会学の分野において、「予定子ども数」や「理 想子ども数」といった概念を使用して分析を行っており、先行研究の蓄積がある。そこで、 出生意図がどのように形成され、心理的変数、地理的変数、人口動態的変数といかなる関 係にあるかということを検証したい。つまり、性別、民族、年齢、家族構成、収入、居住 地といった変数と出生意図はどのように関係があるのかを検証することである。先行研究 の例として、Westoff and Ryder(1977)、Freedman et al.(1980) 、Trent and Crowder(1997)、 Thomson(1997)、Schoen et al.(1999)、Miranda(2008)等が存在する。出生意図に関する包 括的なサーベイとして、Morgan(2003)がある。 本稿の構成は以下の通りである。2節では先行研究のサーベイを行い、3節で出生意図 と出生行動について、他のデータも参考にして考察する。4節で出生意図に注目して出生 関数を計測する。5節では意図出生数がどのような要因で形成されるかということを分析 して、6節で結論を述べる。

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2.先行研究

出生意図を理想子ども数、予定子ども数といった概念を用いて分析した研究は数多く存 在している。Westoff and Ryder(1977)は、出生意図が将来の出生率の代理変数として有用 であるかということを検証した。1970 年の出生意図を将来の出生率の予想として使用した 場合、1971 年-1975 年の出生率の予想としては実際よりも高く予想したことになると主張 する。つまり、1970 年時点の出生意図に比べて現実子ども数は少なかったことを示した。 つまり、調査時点で家計が想定していた経済的な制約条件下での将来の最適子ども数は、 予定していない制約条件の変化によりその後の実際の子ども数と一致してないと解釈でき る。 Freedman et al.(1980)は、出生意図が出生行動と長期的に一致するかどうかを検証して いる。その結果、当初の意図出生数とその後の子ども数が一致した人は4割程度であるこ とが示された。一方で、出生意図と出生行動が一致しているかどうかということに対して、 所得や教育といった要因が影響しているわけではないことが示された。

Westoff and Ryder(1977)や Freedman et al.(1980)は出生意図とその後の出生行動の関 連は低いとしたが、O'Cnnel and Rogers(1983)は、これらの研究を批判して、出生意図と 出生数の実現値には密接な関連性を指摘する。

Trent and Crowder(1997)は、黒人やヒスパニック、不遇な環境出身者は低年齢での出産 や、結婚せずに子どもを出産している割合が多い事実があると指摘する。この理由として、 これらの層では低年齢での出産や婚外子に対して肯定的であるからこのような状況が生じ るのか、それとも環境要因が重要であるかを検証した。その結果、婚外子の子どもを産む ことに肯定的であったり、若年期での出産に肯定的であったりする人は、その後、そのよ うな行動を取る傾向にあることと、さらに、低年齢での出産や婚外子に対する意識変数で コントロールしても、環境要因が若年期の出産や婚外子の出産を左右する要因であること が示された。 また、Thomson(1997)では、夫の出生意図と妻の出生意図が、その後の出生に与える効 果の大きさが異なるのかということを検証している。その結果、夫の出生意図と妻の出生 意図が将来の出生数に与える影響は大体同じぐらいであることが示された。 Schoen et al.(1999)では、出生意図は他の社会経済的な要因でコントロールしても、出生 率に対して強く持続的な効果を有し、将来の出生率を予測することに対して有用であるこ とが示された。出生意図の内容についてみると、いつぐらいに子どもを産む予定であるか という出生のタイミングは将来の出生率の予想に強い影響を与えず、子どもを産みたいと いう意思の強さが将来の出生数に強く影響することが示された。また、将来の出生率の予 想に対して、出生意図と同じぐらいの説明力を有する変数としては婚姻状態が存在するの みである。 Miranda(2008)は、予定子ども数の決定要因として、学歴や家族構造に着目する。つまり、 学歴は予定子ども数に影響するのか、母子・父子家庭はそうでない家庭に育った子どもと

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比べて予定子ども数に差があるのかということを検証している。Quantile 回帰分析を使っ た実証分析の結果、教育水準が高いと予定子ども数が少なくなることを示した。 日本における理想子ども数や予定子ども数など、子どもの出生意図を分析した研究とし ては、以下のものがあげられる。守泉(2004)は、「人口動向基本調査:第7回~第 12 回」 を使用し、擬似コーホート観察を行うことを通じて、理想子ども数や予定子ども数の年齢 別平均値の推移を見ている。この結果、早婚・平均婚グループでは 35~39 歳以降、晩婚グ ループでは 40~44 歳以降で予定子ども達成率がほぼ9割に達成しているとする。本稿の研 究と異なる点は、守泉の分析は擬似コーホートにて分析を行っており、本稿のように個人 の追跡データではないことである2 森田(2004)は、養育費や通塾費が予定子ども数に与える影響を分析している。この論 文では、子育て費用と出生行動の間に内生性が存在している可能性を考慮したモデルにて 実証分析を行っている。その結果、養育費と予定子ども数の間に負に有意な関係が観察さ れた。このことは、家計が子どもの質と量の選択を行っていることを意味する。森田(2006) は、理想子ども数と予定子ども数の格差を夫の年収、子ども一人あたりの養育費、年齢、 学歴等によって説明を試みている。その結果、夫の月収が高い世帯ほど、理想と予定の子 どもの数との格差が小さく、子ども一人あたりの養育費が高い世帯ほど理想と予定子ども 数の格差が大きいという結果となった。さらに児童手当が子どもを増やすという効果は限 定的であるとする。 山口(2005)は、本稿と同様のデータを用いて、出生意図に関する分析を行っている。ま た、この論文においては出生意図と出生行動の関係についても分析しており、本稿の問題 意識と非常に似ている。ただし、以下の2点が異なる。第1に、個人特有の観察できない 要因をコントロールしていない、第2に出生意図の形成に対する収入の効果は分析してい るが、出生意図が出生行動との関係においては収入要因を考慮していない。 横山(2007)は、本稿が使用するデータと同じ「消費生活に関するパネル調査」を用い ている。そして、希望子ども数=現在の子ども数+欲しい子ども数(条件つき含む)と定義 し、予定子ども数=現在の子ども数+欲しい子ども数(条件つき含まず)と定義して、これ らの子ども数が変化する要因を分析している。質問形式が、「将来、子どもを(もっと)欲 しいですか」という問いに対し、「①是非、欲しい」「②条件によっては欲しい」「③欲しく ない」の3選択肢を設けている。さらに、「①是非、欲しい」「②条件によっては欲しい」 を回答した場合には「(あと)何人ぐらい子どもは欲しいですか」という設問で追加的に欲 しい子ども数を尋ねており、この質問を用いている。後で述べるように、本稿でも同じ質 問項目を使用する。その結果、第1子の出産時期を早めることが、今後の出産数を増加さ せる要因であるとする。 松浦(2009)は、本稿と同じデータで出生意図と出生行動の関係を調査している。ただし、 2 さらに「人口動向基本調査」では予定子ども数を質問しているのに対して、「消費生活に関するパネル調 査」では子どもを欲しいかという質問を行っており、両者の意味は若干異なると考えられる。

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この論文では子どもを欲しいかどうかという変数と実際の行動の関係を分析しているが、 欲しい子どもの数に関するデータを用いていない。またこの論文では、1期前の出生意図 と1期前の個人属性を同時に説明変数として用いているが、本稿では1期前から現在にか けての個人属性の変化を説明変数に用いるため、個人属性という制約条件の緩和が子ども 数の増加にどのように影響しているかについての考察が可能である。 少子化の要因として、就業形態のような客観的なものだけでなく、個人の結婚観などに 注目した研究に永瀬(1999)がある。この論文では結婚から出産までの期間をハザード関 数にて推定すると、正社員継続での期待賃金の高さは出産時期を遅らせるが、親と同居し ている、伝統的結婚観を持っている場合は結婚から出産までの期間を短くすることを実証 している。 また、樋口・阿部(1999)は、本稿と同じデータである「消費生活に関するパネル調査」 のデータを使用して、結婚・出産・就業のタイミングをサバイバル分析やプロビット分析 を用いて検証している。その結果、本人の賃金率の上昇は出産のタイミングを遅らせるわ けではないとしている。 3.出生意図と出生行動の図表を用いた説明 本節では出生意図と出生行動の関係を年齢別にみることで、その推移を考察したい。「消 費生活に関するパネル調査」のデータを使用した。本調査は 1993 年に 24 歳から 34 歳の女 性 1500 人を対象に始まったパネル調査である。図3は 1994 年の「(追加的)意図出生数」 の年齢別の平均値であり、図4は 2000 年の平均値である。はじめに「追加的意図出生数」 について説明したい。本稿で使用するデータでは、子どもが欲しいかという質問に対して、 「①是非、欲しい」「②条件によっては欲しい」を回答した場合には「(あと)何人ぐらい 子どもは欲しいですか」という設問で追加的に欲しい子ども数を尋ねている。そこで本稿 では、追加的に欲しいとする子ども数を「追加的意図出生数」と定義する。 図3や図4をみると、現在子ども数と追加的意図出生数の合計である意図出生数は、各 年齢によって大きな違いなく、1994 年と 2000 年の間でも大きな差異は確認されない。1994 年の 35 歳の平均値は他と比べてやや高いものの、いずれの値も2人から 2.4 人の間となっ ている。また、「人口動向基本調査」では、結婚持続期間と現存子ども数と追加予定子ども 数の関係を調査している。その結果が図5である。結婚持続期間が長くなると現存子ども 数と追加予定子ども数の合計は上昇する傾向にあるが、現存子ども数と追加予定子ども数 の合計は2から 2.3 の間となっている。両者は年齢と結婚持続期間の違いや、質問形式の 違いが存在するものの、年齢や結婚持続期間によって意図出生数は年齢や年代によって大 きな変化は存在せず、およそ2人強で安定的であると解釈することができる。 さらに、現存子ども数と追加的意図出生数をそれぞれ見ていきたい。図3からわかるよ うに、年齢が上がるにつれて現存子ども数が増えて追加的意図出生数は減る傾向にある。 その結果、40 歳の場合は平均的な追加的意図出生数は 0.2 程度となる。一方、社会保障人

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口問題研究所が行った「人口動向基本調査」では、結婚持続期間が 15 年-19 年の場合は追 加予定子ども数が 0.01 であり、予定子ども数と現存子ども数がほぼ一致する。これら2つ のデータから出生意図は出生行動に結びついており、欲しい子ども数に実際の子ども数が 収束していく傾向にある。しかしながら、これらの結果は年齢や結婚持続期間のみに注目 した分析であり、その他の個人の属性をコントロールしていない。このため、本稿では他 の属性をコントロールしたうえでも出生意図が出生行動の影響するのか、また収入等のそ の他の属性の変化が子ども数の変化に影響するのかということを分析したい。 4. 出生意図と出生行動に関する実証分析 4.1 モデルとデータの説明 前節では集計値を用いて、年齢ごとの意図出生数の推移を論じた。そこで本節では、個 人属性をコントロールしたうえで、出生意図と出生行動にはどのような関係があるかとい うことと、出生意図を条件付けてその他の制約条件の変化が子ども数の変化に与える効果 を、以下のような推定モデルにて検証したい。被説明変数は、t-1 期からt期にかけての3 年間のうちに子どもが増加した数である。例えば、1994 年の子ども数が2人であり 1997 年 には4人となっていたら、被説明変数の値は2となる。説明変数は、年齢、配偶者対数収 入3の t-1 期から t 期にかけての変化、個人対数収入の変化、都市ダミー、本人・配偶者の 労働時間の変化、本人・配偶者の家事時間の変化、同居ダミー、出生意図に関する変数を 用いる。収入は本人も配偶者も同様に税引き前収入4を用いて、労働時間は平日の仕事時間 とする。時間は分単位で、推定には 100 で割った数字を使用する。同居ダミーは本人の親 と夫の親を区別せず親と同居している場合を1として、それ以外を0としたダミー変数を 用いた。都市居住ダミーは、13 大都市を1として、それ以外を 0 としたダミー変数を用い た5 本稿で最も注目する出生意図に関する変数について説明したい。質問項目として、「将来、 子どもを(もっと)欲しいですか」というものが存在しており、選択肢は「1.是非、欲し い、2.条件によっては欲しい、3.欲しくない」となっている。そこで、「1.是非、欲しい」 を「子ども欲しい(無条件)」ダミーとし、「2.条件によっては欲しい」を「子ども欲しい (条件付)」ダミーとする。また、「1.ぜひ欲しい」や「2.条件によっては欲しい」を選択 した回答者には、「(あと)何人ぐらい子どもは欲しいですか」ということを質問している。 そこで「1.ぜひ欲しい」を1として、それ以外を 0 とする「無条件出生意図」と「意図出 生数」の交差項、「2.条件によっては欲しい」を1として、それ以外を 0 とする「条件付出 生意図」と「意図出生数」の交差項を説明変数として用いる。推定手法は、パネル分析を 3 「消費生活に関するパネル調査」では収入に関しては、本人や夫の昨年1年間に得た収入を質問してお り、この項目を使用した。 4 森田(2006)、横山(2007)なども税込収入の値を用いている。 5 その他の変数として、学歴などが考えられる。しかし、学歴の係数が有意でなく、この結果は森田(2006) と同様であったので推定モデルから除外した。説明変数に入れたモデルでも、結果は変わらない。

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用いた。ランダム効果と固定効果モデルを推定し、Hausman 検定を行ったうえで、実証分析 を行いたい。 このような推定モデルを経済学的に解釈すると以下のようになる。「追加的意図出生数 (無条件)」とは、現在の制約を考慮したうえで、今後個人がどのぐらい子どもが欲しいか ということを意味している。また、「追加的意図出生数(条件付)」とは、現在の制約状態 ならばさらに子どもを欲しいと考えないが、条件が緩和されたときに欲しい子ども数と解 釈することができる。 2節でサーベイしたように「理想子ども数」を分析した先行研究が存在するが、「理想子 ども数」は制約条件が理想的な状態であると想定した場合の欲しい子ども数と解釈しうる。 制約付の最適化という観点から見ると、「理想子ども数」と本稿の「追加的意図出生数(条 件付)」は類似した概念であると解釈できる。 そして、「追加的意図出生数」を説明変数として用いたうえで、対数収入、本人・配偶者 労働時間、本人・配偶者家事時間の変化を説明変数とすることで、t-1期から t 期にかけ ての制約の変化が出生数に与える効果をみることが可能となる。 本稿の計量分析で用いるデータは、「消費生活に関するパネル調査」の個票データである。 本調査はパネル調査であり、同一の個人に対して繰り返し追跡調査がなされているため、 個人の異質な属性をコントロールしたうえで、関心の高い説明変数と被説明変数の関係を 抽出することが可能になる。本稿では、このデータのうち、1994 年(第2年度)、1997 年 (第5年度)、2000 年(第8年度)、2003 年(第 11 年度)までの 4 年分のデータの有配偶 者サンプルを使用している。その理由は、本稿が最も注目する変数である「将来、子ども を(もっと欲しいですか)」という項目が3年おきに存在するためである6 4.2 推定結果 そこで実際に、出生意図と出生行動の関係について実証分析を行いたい。被説明変数を 3年間の間に増えた子ども数とするパネル分析を行った。はじめに全サンプルを用いたモ デルについて論じたい。記述統計量は表2-1で、推定結果は表3に示される。Hausman 検 定の結果、すべて固定効果モデルが採用される。全ての変数を推定モデルに入れた結果は 以下のようになる。追加的意図出生数と無条件出生意図の交差項は 0.367 であり統計的に 有意となっている。つまり、無条件で欲しい子ども数が1人増えると、3年間で子どもが 約 0.37 人増えることを意味する。また、追加的意図出生数と条件付出生意図の交差項は 0.211 であり、条件付で欲しい子ども数が1人増えると、3年間の間に子ども数が約 0.211 人増えることを意味する。これらの結果から、子どもを欲しいという人は、子どもを産む という行動を取っており、欲しい子ども数が多い人はより積極的に子どもを産むという行 動を取っていることがわかる。 6 ただし、11 年度は出生意図に関する質問項目は存在しない。

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先行研究では、年齢が上昇すると予定子ども数に現実子ども数が近づいていき、結婚持 続期間が 15 年-19 年である夫婦の子ども数7と予定子ども数が一致する方向であることが示 された。この結果は、集計データによる分析であったが、本稿の実証分析によっても、個 人の出生意図が出生行動につながっていることが確認された。このことは、子どもが欲し いと考えている人は 2 期間の子どもの増分が大きく、したがって、意図出生数と現実子ど も数は最終的に近づく傾向にあるということも言える。先行研究において、出生意図を分 析する目的の1つとして、出生意図が将来の子ども数を予測する変数として有用であるか ということが論じられてきた。本稿の結果から、出生意図と現実子ども数が近づく傾向が 得られたことから、出生意図が将来の子ども数を予想することに有用であることが分かる。 その他の変数については以下のとおりである。配偶者(夫)収入の変化、個人(妻)収入 の変化はともに負に有意である。このため、配偶者収入の増加や個人収入の増加は子ども 数を減少させる要因である。これらの理由としては、機会費用による説明や Becker and Lewis(1973)が理論的に示したように、収入が高くなると子どもの数ではなく質に対する選 好が高まるためであるという説明が可能である。労働時間に関しては本人の労働時間の変 化は負に有意であり、配偶者の労働時間は正に有意である。このため、本人の労働時間が 長くなると子ども数が増加しない傾向にあり、逆に配偶者の労働時間が増加すると子ども 数が増える傾向にある。さらに、家事時間の変化は本人、配偶者ともに正に有意であった。 このため、家事時間が高いと子ども数が増える要因となる。言い換えると、同じ出生意図 を持った個人という条件のもとで、個人収入、配偶者収入、労働時間、家事時間の変化は 子ども数の変化に影響を与えることが示された。 次に無条件で子どもを欲しいと考えている人の意図出生数と条件付きで子どもを欲しい と考えている人を区別するために、サンプルを分割して推定を行った。無条件で子どもを 欲しいと考えている人の欲しい子ども数に注目したモデルをみてみたい。推定結果は、表 3の無条件モデルにて示される。Hausman 検定の結果、固定効果モデルが採用される。追加 的出生意図数は 0.382 で統計的に有意である。その他の変数については以下のとおりであ る。収入の変化は本人、配偶者ともに負に有意であり、収入の増加は子ども数を減少させ る。この結果は全サンプルのときと同様である。さらに、労働時間や家事時間に関しても 全サンプルのときと同様である。 さらに、条件付きで子どもを欲しいと考えている人の追加的意図出生数を加えたモデル をみてみたい。追加的意図出生数については、係数は 0.232 で統計的にも有意であるため、 条件付きで欲しいと思っている人であっても欲しい子ども数が多いと今後子どもを産む傾 向にある。その他の変数については以下のとおりである。女性の個人収入、配偶者収入、 本人労働時間は負に有意であることから、条件付きでほしいと考えている子ども数が同じ 人であっても、個人収入や配偶者収入が高いことや本人労働時間が長いことは子ども数の 7 完結出生数と言われている。

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増加に抑制的な影響を与えることが分かる。逆に配偶者労働時間は正に有意であり、配偶 者の労働時間が長くなると子ども数は増える傾向にある。無条件の場合は、配偶者労働時 間の変化は有意にならないが、条件付きの場合は配偶者労働時間が正に有意になる。 これらの結果から、以下のことが示される。無条件で子どもを欲しいと考えている人の 場合、欲しい子ども数が1人増えると3年間で 0.35-0.4 人程度子どもが増えることがわか る。また、条件付で子どもが欲しいと考えている人の場合、欲しい子ども数が1人増える と3年間で 0.21-0.22 人程度子ども数が増える。さらに、同じ欲しい子ども数という条件 で、その後の収入、労働時間、家事時間の変化が子ども数の変化に影響する。 5.意図出生数の決定要因 5.1 モデルとデータの説明 4節では「あと何人子どもが欲しいか」という追加的意図出生数とその後の出生行動に どのような影響を与えるのかについて分析した。次に問題になるのが、意図出生数がどの ような社会的、経済的変数によって影響を受けるかである。そこで、被説明変数に意図出 生数を用いた分析を行った。 この目的を検証するために、被説明変数は、意図出生数(全サンプル)、無条件意図出生 数、条件付意図出生数として推定を行う。先ほど述べたように、追加的意図出生数(無条 件)とは「ぜひ欲しい」と回答した人の欲しい子ども数であり、追加的意図出生数(条件 付)とは「条件によっては欲しい」と回答した人の欲しい子ども数である。これらを用い て、以下ように変数を定義して被説明変数として用いる。 意図出生数=現在の子ども数+追加的意図出生数(無条件、条件付含む)8 無条件意図出生数=現在の子ども数+追加的意図出生数(無条件)9 条件付意図出生数=現在の子ども数+追加的意図出生数(条件付) 説明変数は、年齢、本人・配偶者の平均収入の対数値、現在の子ども数、都市居住ダミー、 本人・配偶者の平均労働時間、本人・配偶者の平均家事時間、同居ダミーである。平均収 入とは過去2年間の平均収入を意味する。この推定は個人の欲しい子ども数はどのような 要因に条件づけられているかということを検証することを目的としている。 使用するデータは先ほどと同様に「消費生活に関するパネル調査」である。このデータ のうち、1994 年(第2年度)、1997 年(第5年度)、2000 年(第8年度)、2004 年(第 12 年度)のサンプルを使用して分析する。 8 横山(2007)の「希望子ども数」と同じ概念である。 9 横山(2007)の「予定子ども数」と同じ概念である。

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5.2 実証分析 はじめに無条件で欲しいと回答した人と条件付で欲しいと回答した人の欲しい子ども数 を区別せずに全サンプルを用いて、意図出生数に与える要因を分析した。 その結果が表4の2、3列目に示される。Hausman 検定の結果、固定効果モデルを使用す る。年齢は負に有意で、子ども数は正に有意である。子ども数が増えると意図出生数も増 加する。ただし、子ども数の係数は 1 未満であり、子ども数が増えると追加的に欲しいと 考える子ども数は減少することが推察される。年齢は負に有意であり、年齢が上昇すると 意図出生数は減少する。配偶者の平均収入は負に有意で、配偶者の平均労働時間は正に有 意であることから、配偶者の平均年収が増えると欲しい子ども数が減少する。この理由と して、子どもの質に対する選好が高まるためである可能性が推測される。 先ほどは無条件で子どもを欲しい場合と条件付で子どもを欲しい場合を区別せずに欲し い子ども数と現在の子ども数の合計を意図出生数として分析を行った。次に無条件で欲し い子ども数がどのような要因によって決定されるのかを分析する。そこで条件付で欲しい と回答したサンプルを除外した。その結果が、表4の4、5列目に示される。Hausman 検定 の結果、固定効果モデルを使用する。年齢や現在の子ども数に関しては先ほどと同様であ る。また、配偶者の収入の高さが追加的に無条件で欲しい子ども数を減らす要因となる。 同居ダミーや都市居住ダミーは有意水準 10%で負に有意であり、同居していることや都市 に居住していることは無条件に欲しい子ども数を減少させる要因となる。 さらに、条件付意図出生数に与える要因について分析した。そこで、無条件で欲しいと 回答したサンプルを除外した。つまり、以下のような変数を用いる。その結果が表4の6、 7列目である。Hausman 検定の結果、固定効果モデルを採用する。収入については本人、配 偶者ともに有意でない。無条件で欲しい子ども数のほうが条件付で欲しい子ども数よりも 個人属性に強く影響を受けることが分かる。また、配偶者の平均労働時間は正に有意であ り、配偶者の平均労働時間が長くなると条件付で欲しい子ども数が多くなる。 6. 結論と今後の課題 4節では、個人の出生意図が個人の出生行動に結びついていることを実証した。その結 果、無条件で欲しい子ども数が1人増えるごとに、その後3年間で平均すると 0.3-0.4 人 の子どもを産んでおり、出生意図がその後の出産につながっていることが示された。また、 条件付で欲しい子ども数が1人増えるごとに、その後3年間で平均すると 0.2 人程度子ど も数が増えることも示された。従来、集計データによる分析は存在したが、本稿により個 人の出生意図が出生行動につながっていることが確認された。また、同じ出生意図を持っ た個人であっても、本人収入、配偶者収入の増加は子どもを産まないことの要因であり、 本人の労働時間の増加も子ども数の増加を抑制する。配偶者の要因に関しては、家事時間 や労働時間は子ども数の増加の要因となる。 5節では欲しい子ども数がどのように形成されているかということに注目した。その結

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果、あと何人子どもが欲しいかということに対しては、配偶者の平均収入や配偶者の平均 労働時間が影響することが示された。さらに、無条件意図出生数は配偶者の収入に影響を 受けるが、条件付意図出生数は配偶者の平均収入の影響を受けない。 今後の課題は以下のとおりである。本稿で使用したデータでは、長期的な欲しい子ども 数と現実の子ども数の差を分析するのには不十分である。今後、パネルデータの年次を拡 充し、長期的な分析が必要である。また、分析期間を長く取ることで、年代効果、個人効 果、コーホート効果についてさらに詳細な分析が可能になる。この問題に関しては、筆者 の残された課題としたい。 参考文献 阿部正浩「少子化社会における労働市場-女性の結婚と労働力供給の視点から-」『季刊 社会保障研究』,1999,Vol.34.No.4. 小椋正立・ロバート,ディークル「1970 年以降の出生率の低下とその原因:県別、年齢階 層別データからのアプローチ」『日本経済研究』,1992,第 22 号,pp.46-75. 加藤久和『人口経済学入門』,2001,日本評論社.

清水誠「収入が出生に及ぼす影響-JGSS2000 への Butz and Ward Model の適用」『JGSS 研 究論文集[1]』,2002.

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永瀬伸子「少子化の要因:就業環境か価値観の変化か-既婚者の就業形態選択と出産時期 の選択-」『人口問題研究』第 55 巻第2号,1999,pp.1-18. 樋口美雄・阿部正浩「経済変動と女性の結婚・出産・就業のタイミング」『パネルデータ からみた現代女性』東洋経済新報社,1999. 松浦司「何が理想子ども数と現実子ども数の差をうみだすのか」『季刊家計経済研 究』,2008,pp.52-60. 松浦司「出生意図と出生行動」『経済分析』,2009,pp.1-22. 守泉理恵「「予定子ども数」は出生力予測に有用か?」『人口問題研究』,2004,pp.32-52. 森田陽子「子育て費用と出生行動に関する分析」『日本経済研究』第 48 号,2004,pp.23-57. 森田陽子「子育てに伴うディスインセンティブの緩和策」樋口美雄編『少子化と日本の 経済社会』日本評論社,2006,49-80. 八 代 尚 宏 「 少 子 化 問 題 へ の 経 済 学 的 ア プ ロ ー チ 」『 季 刊 家 計 経 済 研 究 』 第 47 号,2000,pp.20-27. 山 口 一 男 「 少 子 化 の 決 定 要 因 と 対 策 に つ い て 」『 季 刊 家 計 経 済 研 究 』 第 66 号,2005,pp.57-67. 横山由紀子「出産意図と生活環境-夫婦が出産計画を変更する要因」橘木俊詔編

(13)

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図1 条件付で子どもが欲しいと回答した人の制約条件について 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1 2 3 4 5 6 注)1.生活費に余裕ができたら、2.住居が広くなったら、3.仕事を続けられるなら、4.夫や家族が協力して くれるなら、5.保育所や保育ママなどの社会制度が利用できれば、6.その他である。 注)下からyes、no、no-answer である。 出所:「消費生活に関するパネル調査」 図2 子どもを欲しくない理由について 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 注)1.教育費・養育費の負担が大きいから、2.広い家が必要だから、3.仕事を続けたいから、4.自分の生活 を大切にしたいから、5.夫との2人の生活を大切にしたいから、6.子どもを一人前に育てるのは容易で ないから、7.夫の育児協力が期待できないから、8.体力的に大変だから、9.丈夫な子どもが生まれるか どうか不安だから、10.子どもは嫌いだから、11.女の子さえ生まれればいいから、12.男の子さえ生ま れればいいから、13.その他である。 注)下からyes、no、no-answer である。 出所:「消費生活に関するパネル調査」

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表1 妻の年齢別にみた、予定子ども数が理想子ども数を下回る理由 妻 の 年 齢 標 本 数 子 育 て や 教 育 に お 金 が か か り す ぎ る か ら 高 年 齢 で 生 む の は い や だ か ら こ れ 以 上 、 育 児 の 心 理 的 、 肉 体 的 負 担 に 耐 え ら れ な い か ら 自 分 の 仕 事 ( 勤 め や 家 業 ) に 差 し 支 え る か ら 健 康 上 の 理 由 か ら 欲 し い け れ ど も で き な い か ら 家 が 狭 い か ら 夫 の 家 事 ・ 育 児 へ の 協 力 が 得 ら れ な い か ら 子 ど も が の び の び 育 つ 社 会 環 境 で な い か ら 一 番 末 の 子 が 夫 の 定 年 退 職 ま で に 成 人 し て ほ し い か ら 夫 が 望 ま な い か ら 自 分 や 夫 婦 の 生 活 を 大 切 に し た い か ら 25~29歳 115 83.5 6.1 20.0 27.8 4.3 7.8 20.0 20.0 16.5 5.2 13.0 13.0 30~34歳 329 78.7 18.2 24.6 21.9 12.5 10.6 19.8 19.8 18.2 7.0 12.5 11.9 35~39歳 464 75.0 40.1 26.5 17.9 16.4 16.8 17.9 17.0 16.2 8.0 9.7 8.6 40~49歳 516 54.0 49.2 18.2 14.3 20.8 19.5 11.1 9.1 10.5 9.9 5.5 5.7 総数 1825 65.9 38.0 21.6 17.5 16.9 16.3 15.0 13.8 13.6 8.5 8.3 8.1 第12回総数 2134 62.9 33.2 21.8 17.1 19.7 15.7 14.6 12.1 20.4 9.6 7.2 11.5 注)複数回答のため合計は100%を超える 出所:国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査(2005 年)」 図3 (追加的)意図出生数と現実子ども数(年齢別) 出所:「消費生活に関するパネル調査:第2年度」 注)縦軸の単位は人で、横軸の単位は歳である。

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図4 (追加的)意図出生数と現実子ども数(年齢別) 出所:「消費生活に関するパネル調査:第8年度」 注)縦軸の単位は人で、横軸の単位は歳である。 図5 結婚持続期間と予定子ども数 0 0.5 1 1.5 2 2.5 0-4年 5-9年 10-14年 15-19年 結婚持続期間 予 定 子 ど も 数 追加予定子ども数 現存子ども数 出所:国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査(2002 年)」

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表2-1 記述統計量1 平均 標準偏差 最小値 最大値 子ども数の増加 0.227 0.465 0 3 年齢 36.137 3.950 28 44 ⊿対数個人所得 0.101 2.104 -6 6.18 ⊿対数配偶者所得 0.327 1.520 -7 6.91 無条件出生意図×追加的意図出生数 0.382 0.752 0 4 条件付出生意図×追加的意図出生数 0.277 0.537 0 3 都市居住ダミー 0.230 0.421 0 1 ⊿本人労働時間 0.137 1.935 -10 7.50 ⊿配偶者労働時間 0.315 1.931 -9 10.50 ⊿本人家事時間 -0.051 3.462 -11 10.80 ⊿配偶者家事時間 0.034 0.647 -7 6.60 同居ダミー 0.321 0.467 0 1 サンプルサイズ 1991 注)労働時間、家事時間は分単位である。 表2-2 記述統計量2 平均 標準偏差 最小値 最大値 意図出生数 2.322 0.831 0 7 年齢 34.940 4.612 25 45 対数個人平均所得 2.824 2.367 0 6.98 対数配偶者平均所得 6.221 0.449 0 7.92 子ども数 1.849 0.910 0 7.00 同居ダミー 0.325 0.468 0 1.00 都市居住ダミー 0.226 0.418 0 1 本人労働時間 2.018 2.079 0 9.30 配偶者労働時間 6.012 1.221 0 13.80 本人家事時間 3.950 2.153 0 10.50 配偶者家事時間 0.331 0.482 0 4.00 サンプルサイズ 2884 注)労働時間、家事時間は分単位である。

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表3 推定結果1 基本モデル(被説明変数:子どもの増加数) 全サンプル 無条件モデル 条件付モデル 固定効果 ランダム効果 固定効果 ランダム効果 固定効果 ランダム効果 年齢 -0.021 -0.024 -0.019 -0.02 -0.019 -0.017 [0.005]** [0.003]** [0.006]** [0.003]** [0.004]** [0.002]** ⊿対数個人収入 -0.025 -0.034 -0.018 -0.028 -0.014 -0.02 [0.006]** [0.005]** [0.007]** [0.006]** [0.006]* [0.005]** ⊿対数配偶者収入 -0.068 -0.046 -0.079 -0.049 -0.04 -0.023 [0.012]** [0.009]** [0.015]** [0.010]** [0.014]** [0.009]** 無条件出生意図 0.365 0.21 ×追加的出生意図数 [0.026]** [0.015]** 条件付出生意図 0.221 0.127 ×追加的出生意図数 [0.028]** [0.018]** 都市居住ダミー -0.08 -0.018 0.034 0.011 -0.012 -0.038 [0.082] [0.022] [0.106] [0.024] [0.089] [0.020]+ ⊿本人労働時間 -0.024 -0.02 -0.024 -0.023 -0.024 -0.015 [0.007]** [0.006]** [0.008]** [0.006]** [0.007]** [0.005]** ⊿配偶者労働時間 0.021 0.018 0.015 0.015 0.022 0.021 [0.008]** [0.006]** [0.010] [0.007]+ [0.007]** [0.006]** ⊿本人家事時間 0.007 0.011 0.007 0.009 0.002 0.005 [0.003]* [0.003]** [0.004]* [0.003]** [0.003] [0.002]* ⊿配偶者家事時間 0.056 0.076 0.045 0.075 0.04 0.044 [0.016]** [0.014]** [0.020]* [0.016]** [0.015]** [0.013]** 同居ダミー 0.023 0 -0.1 -0.008 0.115 0.013 [0.064] [0.020] [0.081] [0.021] [0.061]+ [0.018] 追加的意図出生数 0.388 0.223 0.232 0.161 [0.029]** [0.015]** [0.026]** [0.015]** Hausman 検定 89.74** 63.45** 34.37** F 検定 1.19** 1.13+ 1.19** Observations 1991 1991 1520 1520 1509 1509 注) 有意水準:1%**,5%*,10%+ 収入は対数値を使用している。 ⊿個人収入は t-1 期から t 期にかけての個人収入の変化を意味する。

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表4 推定結果2 (被説明変数:意図出生数) 意図出生数 無条件意図出生数 条件付意図出生数 固定効果 ランダム効果 固定効果 ランダム効果 固定効果 ランダム効果 年齢 -0.042 -0.047 -0.023 -0.035 -0.031 -0.035 [0.003]** [0.003]** [0.003]** [0.003]** [0.003]** [0.002]** 対数個人平均収入 -0.006 0.008 -0.002 0.015 0.003 0.012 [0.009] [0.007] [0.009] [0.007]* [0.009] [0.007]+ 対数配偶者平均収入 -0.086 -0.08 -0.177 -0.111 0.008 -0.051 [0.038]* [0.028]** [0.040]** [0.028]** [0.039] [0.026]+ 子ども数 0.46 0.616 0.315 0.569 0.547 0.776 [0.029]** [0.016]** [0.030]** [0.016]** [0.033]** [0.015]** 同居ダミー -0.053 -0.019 -0.092 -0.022 -0.031 -0.027 [0.050] [0.029] [0.051]+ [0.030] [0.049] [0.026] 都市居住ダミー -0.114 -0.034 -0.122 -0.1 -0.089 0.047 [0.069]+ [0.033] [0.071]+ [0.036]** [0.073] [0.030] 本人平均労働時間 0.018 0.015 0.016 0.006 -0.002 0.006 [0.012] [0.010] [0.012] [0.010] [0.012] [0.009] 配偶者平均労働時間 0.026 0.006 0.004 0.002 0.028 0.004 [0.013]+ [0.010] [0.013] [0.010] [0.013]* [0.009] 本人平均家事時間 0.001 0.01 -0.007 0.001 0.005 0.017 [0.007] [0.007] [0.007] [0.007] [0.007] [0.006]** 配偶者平均家事時間 -0.015 0.008 -0.042 -0.029 0.024 0.044 [0.030] [0.024] [0.030] [0.026] [0.029] [0.022]* Hausman 検定 80.86** 160.73** 91.95** F 検定 2.95** 3.88** 2.47** Observations 2884 2884 2291 2291 2413 2413 注) 有意水準:1%**,5%*,10%+ 収入は対数値を使用している。

参照

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