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博士学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博士学位論文内容の要旨

氏 名 山岸

ヤマギシ

直子

ナ オ コ

所 属 人間健康科学研究科 人間健康科学専攻 学 位 の 種 類 博士(看護学)

学 位 記 番 号 健博 第

156

号 学位授与の日付 平成

30

9

30

日 課程・論文の別 学位規則第4条第1項該当

学 位 論 文 題 名 独居の高齢

2

型糖尿病患者の自己管理の実際と支援ニーズ

-同居者のいる高齢

2

型糖尿病患者との比較-

論 文 審 査 委 員 主査 教 授 織井 優貴子 委員 教 授 西村 ユミ 委員 教 授 斉藤 恵美子

委員 教 授 勝野 とわ子(岩手保健医療大学)

【論文の内容の要旨】

【目的】

本研究の目的は、1)独居の高齢2型糖尿病患者の自己管理の実際および自己管理と関連 する要因、支援ニーズを明らかにする、2)高齢2型糖尿病患者の独居者と家族と同居者で の自己管理の取り組みの実際、自己管理と関連する要因、および支援ニーズの共通点・相 違点を明らかにする、3)独居の高齢2型糖尿病患者の合併症の発症・進展の予防、QOLの 維持・向上を目指した自己管理のための看護支援について示唆を得ることであった。

【方法】

本研究は質的記述的デザインを用いた。研究対象者は、70歳以上で外来通院中の独居の2 型糖尿病患者16名と、家族と同居する2型糖尿病患者22名の計38名とした。データ収集は半 構造的面接法を用いてインタビューを実施した。データ分析は、質的記述的研究方法に基 づく分析と、Miles, Huberman, and Saldana(2014)の質的データ分析方法を用いた。本 研究は首都大学東京研究安全倫理委員会の承認を得た(承認番号:14089)。

【結果】

研究対象者の概要は、独居者は16名(男性8名、女性8名)、平均年齢は76.1歳(SD 5.3)、

家族と同居者は22名(男性14名、女性8名)、平均年齢は75.9歳(SD 3.5)であった。本研

究では、独居または家族と同居の高齢2型糖尿病患者の食事療法、運動療法、薬物療法、低

(2)

博士学位論文内容の要旨

血糖の自己管理における自己管理の実際、および自己管理に関連する要因を明らかにした。

「独居者」は「家族と同居者」に比べ全ての自己管理において取り組みの程度が悪い者 が多く、糖尿病合併症リスクが高かった。自己管理では、その取り組みの程度を『悪い』、

『中程度』、『良い』の3段階に分類し、どのような要因が自己管理と関連しているのかを 詳細に記述した。自己管理と関連する主な要因は11個抽出された。すなわち、①経済状況、

②孤独感、③身体・認知機能低下、④知識、⑤自己管理の必要性の認識、⑥ソーシャルサ ポート、⑦負担感、⑧生活の楽しみ、⑨工夫や生活への組み込み、⑩取り組みの成果、⑪ 食事作りであった。これらの要因は複雑に関連しあっていた。

また、自己管理と関連する要因間の関係を表す特徴的なパターンを独居者、家族と同居 者ごとに見出した。その結果、 「独居者」では、自己管理と関連する要因間の関係を表す特 徴的なパターンは

4

つ見出された。すなわち、1)家族や友人・地域の人との交流がほと んどなく、孤独感が大きく、自己管理が悪い「独居男性」の取り組み、2)孤独感を紛ら わす取り組みや家族や友人・地域の人との交流があり、自己管理が中程度の「独居男性」

の取り組み、3)家族や友人・地域の人との交流が多く、生活を楽しんでいるが、自己管 理が中程度から悪い「独居女性」の取り組み、4)家族や友人・地域の人との交流が多く、

生活を楽しみ、自己管理が良い「独居女性」の取り組みであった。

「家族と同居者」におけるパターンは5つ抽出された。すなわち、1)家族や友人・地域 の人との交流が少なく、孤独感が大きく、自己管理が中程度の「子どもと同居する男性」

の取り組み、2)孤独感を紛らわす取り組み、家族や友人・地域の人との交流があり、自 己管理が中程度から良い「子どもと同居する男性」の取り組み、3)知識がなく、妻任せ で非効果的な家族サポートがあり、自己管理が悪い「妻と同居する男性」の取り組み、4)

妻から頼りになるサポートを得て、一部妻任せであるが自分でも取り組み、自己管理が中 程度から良い「妻と同居する男性」の取り組み、5)家族や友人・地域の人との交流が多 く、生活を楽しみ、自己管理が良い「夫と同居あるいは、子どもと同居する女性」の取り 組みであった。その結果、これらのパターンにおける、「独居者」と「家族と同居者」と の共通点と相違点を明らかにできた。共通点は、身体・認知機能低下が自己管理を阻害す ること、工夫や生活への組み込み、成果への気づきが自己管理を促進することであった。

相違点は、ソーシャルサポートの差から生じており、孤独感、経済状況、負担感、生活の 楽しみ、自己管理の必要性の認識、知識、食事作りとの関係であった。

支援ニーズにおける「独居者」と「家族と同居者」との比較では、患者が『必要と思う

支援』は、両者に共通し、専門家からの栄養指導、「独居者」のみでは困った時に相談で

きる場、「子どもと同居する男性」のみでは食事準備の支援が抽出された。『助けとなっ

ていると思う支援』では、両者に共通し、何でも相談できること、療養指導やアドバイス

が見出された。「独居男性」と「子どもと同居する男性」では、冗談や雑談を交えた医療

者との楽しい交流が抽出された。「独居者」は緊急時への不安、将来の生活への不安を強

く抱いていたが、「家族と同居者」では不安を強く抱いている者はいなかった。

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博士学位論文内容の要旨

【考察】

「独居者」は「家族と同居者」と比べ自己管理が悪い者が多く、中でも、人との交流が ほとんどない「独居男性」が最も自己管理が悪かった。このことから、「独居者」は「家 族と同居者」に比べて支援の必要な者が多いことが示唆された。加えて、「独居者」の高 齢2型糖尿病患者に対し、『ソーシャルサポートと関連する孤独感、経済状況、負担感を考 慮した、生活の楽しみの維持・向上を目指した看護支援』、『ソーシャルサポートと関連 する知識、自己管理の必要性の認識、食事作り、身体・認知機能低下を考慮した看護支援』

の重要性が示唆された。また、「独居者」に対し、低血糖も含めた緊急時への対策の検討、

将来の生活も踏まえた情報収集や話し合う機会を設け、不安を軽減する看護支援も重要で あることが示唆された。

【結論】

「独居者」の高齢

2

型糖尿病患者では、 「家族と同居者」よりも自己管理の取り組みが悪 く支援の必要な者が多かった。 「独居者」における自己管理に関連する主な要因では、ソー シャルサポートによる孤独感、経済状況、負担感、生活の楽しみ、自己管理の必要性の認 識、知識、食事作りとの関連がみられた。さらに、今後低下することが予測される身体・

認知機能低下、工夫や生活への組み込み、成果への気づきに注目し、自己管理の取り組み

を捉えることが重要であることが示唆された。加えて、自己管理を促進し血糖コントロー

ルをはかり、合併症発症・進展予防のための看護支援、さらに生活の楽しみを維持・向上

するための看護支援の重要性が確認された。

参照

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