小規模宅地等の課税の特例と隠れたる課税要件
著者 渡辺 充
雑誌名 明治学院大学法学研究 = Meiji Gakuin law journal
巻 87
ページ 1‑22
発行年 2009‑08‑31
その他のタイトル Hidden taxation requirements
URL http://hdl.handle.net/10723/1810
小規模宅地等の課税の特例と隠れたる課税要件
渡 辺 充
Ⅰ 序 論 一 問題意識 二 研究方法 三 仮 説
Ⅱ 本 論 一 佐賀事件 1 事実関係 2 当事者の主張 3 判決の要旨 二 研 究
1 「小規模宅地等の課税等の特例」の概要 2 課税要件明確主義と趣旨解釈
3 事実認定と「隠れたる課税要件」
Ⅲ 結 論
Ⅰ 序 論
一 問題意識
憲法 84 条は,「あらたに租税を課し,又は現行の租税を変更するには,法律 又は法律の定める条件によることを必要とする。」と規定している。これが租
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税法律主義である。この租税法律主義は,一般に「課税要件法定主義」と「課 税要件明確主義」をその骨子とするが,課税要件の充足により租税債権債務関 係が成立し,われわれ市民には租税債務が,課税庁には租税債権が発生するこ とになる。したがって,どのような場合に,誰に,どの程度の納税義務が成立 するかは,当然,法律に明定されることが必要である。
ところで,課税要件は法定され,その意義も明確で一義的であることが租税 法律主義によって要請されるが,租税法規は一般市民にとって難解で,さらに 条文に対する法解釈には,文理解釈と論理解釈が可能であり,論理解釈の中で も立法趣旨は一つの重要な法解釈の手法とされており,いっそう租税法規の理 解を困難ならしめている。
本論文で取り上げる問題は,現行租税特別措置法 69 条の 4 の「小規模宅地 等についての相続税の課税価格の計算の特例」に係る課税要件で,当該規定の もとになった個別通達において存在していた文言が,立法の際に削除された場 合,その削除された文言が,条文の解釈上,いわば「隠れたる課税要件」とし て趣旨解釈上復活することが,租税法律主義に反するかどうかといった問題で ある。
二 研究方法
条文の文理解釈と趣旨解釈については,過去において様々な税務訴訟事件で 争われてきたが,本論文の研究手法としては,具体的に「佐賀事件」(1)をもとに,
本件問題の検証を行う。
なお,この「佐賀事件」は,租税法律主義の観点から,条文解釈は文理解釈 を原則とすることを判決上明らかとしたもので,条文上明定されていない「隠 れたる課税要件」は,法解釈上の存在を否定されたものであるが,控訴審判決 で逆転納税者敗訴となっている。筆者は,逆転納税者敗訴の陰に,事実認定と いう名に隠れて,立法趣旨を重視した「隠れたる課税要件」の存在を復活させ
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たのではないかと懸念しており,「佐賀事件」を取り上げることの研究上の意 義は,その点にある。
三 仮 説
本論文における仮説は,租税特別措置法 69 条の 4 の課税要件の充足をめぐ り,事実認定において要件事実を証明する場合,立法趣旨に重きをおき,たと えそれが「隠れたる課税要件」の存在を認めることであっても,条文解釈上は 許される範囲内の解釈である,というものである。以下,この仮説の検証を行う。
Ⅱ 本 論
一 佐賀事件
「佐賀事件」は,租税特別措置法(以下,「措置法」という。)に規定する「小規 模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(以下,「本件特例」という。)
につき,居住の用に供する宅地を2か所選定し,本件特例の適用を申告した事 件である。
第1審は課税要件の法的存在が争点となり,2か所の宅地につき本件特例の 適用を認め,納税者勝訴となったが,控訴審では,事実認定の問題となり,「居 住の用に供されていた」事実はないものとして,2か所の宅地のうち1か所に ついては本件特例の適用がないと,逆転納税者敗訴となった。
1 事実関係
Aは平成 14 年 11 月 16 日にガンにより死亡したが,その相続人は
X・Y・Z
(以下,「原告ら」という。)の3名である。
ところで,Xは,Aが所有していた(1)小城市小城町所在の家屋の敷地であ
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る宅地(地積 122.00m2,以下,「小城市宅地」という。)と,(2)
A
が平成 13 年6月 に佐賀市に購入したマンション(Aは呉服販売をしており佐賀市に生活の拠点をも とめて本件佐賀市マンションを購入)の敷地である宅地の持分 269,984 分の 10,078(地積 26.958007956m2,以下,「本件宅地」という。)を本件相続により取得した。
そこで,本件相続税の申告にあたり,原告らは,Xが相続により取得した2 つの宅地については,いずれも措置法(平成 15 年法律第 8 号による改正前のもの)
69 条の4第1項の適用があるとして,相続税の申告をしたところ,佐賀税務 署長は,佐賀市マンションの本件宅地については上記条項は適用されないもの とし,相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をなした。
これを不服とした原告らは,所定の手続きに従って本訴に及んだ。
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2 当事者の主張〈争点1〉
本件特例の適用の対象となる「居住の用に供されていた宅地等」は,「主として居 用の用に供していた宅地等」に限られるか否か
税務当局の主張 納税者の主張
本件特例は,宅地が相続人等の生活基 盤維持のために欠くことのできないもの で,処分に相当の制約を伴うことが通常 であることに対する配慮から,その評価 上,斟酌を加えるとの趣旨に基づき,昭 和 50 年6月 20 日付個別通達の趣旨をそ のまま受け継ぎ法制化されたものである。
したがって,本件特例の沿革からすれば,
「居住の用に供していた宅地」を主とし て居住の用に供していた宅地に限定して いた本件個別通達の解釈は,本件特例に おいても引き続き妥当するものと解すべ きである。
なお,本件特例の法制化において上記 個別通達における「主として」の文言は 削除されたが,これは被相続人と生計を 一にする当該被相続人の親族が居住の用 に供していた宅地についても,本件特例 の対象とすることとされたことに伴うも のにすぎず,限度面積の範囲内である限 り被相続人が居住の用に供していた宅地 すべてを本件特例の対象とする趣旨であ るとは到底考え難いものである。
租税の全体を支配する基本原則の一つ に租税法律主義があるが,本件特例につ いては,租税特別措置法施行令(以下,「措 置令」という。)に適用範囲の制限規定は置 かれていない。
したがって,本件特例の「居住の用に 供する」の意味は,単に「生活の拠点と して利用する」ことを意味するものであ り,ことさら税務当局が主張するような 生活基盤維持のために欠くことのできな い宅地等を1個に限定させるとの解釈を 要するものではなく,複数認められ得る ものである。
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〈争点2〉
本件宅地は「居住の用に供されていた宅地」に当たるか
税務当局の主張 納税者の主張
税務当局は,次の事実に基づき,本件 宅地は「居住の用に供されていた宅地」
に該当しないものと主張する。
Aは本件相続時もしくはこれに近い時 期において,小城市家屋には明らかに継 続的に居住する意思をもってこれに起居 し,生活の拠点として利用していたが,
本件佐賀市マンションについては,ごく わずかの日数しか利用していない。Aの 周囲の者からは,その生活の拠点が佐賀 市マンションであるとは全く理解されて いない。本件マンションの水道光熱費,
ガスの使用状況は,単身居住者すら生活 しているとはおよそ認められないほどに ごく少量であり,Aの生活の拠点とは到 底いえない。
また,本件佐賀市マンションについて は,Aの福岡への足掛かりという入居目 的 に 即 し た 利 用 は ほ と ん ど さ れ て お ら ず,本件マンションの面積及び間取りが,
93.91m2の4LDKであること,本件マン ションの購入に際しAが購入した電化製 品の中には,明らかに世帯使用のものが 含まれていること等からすると,Aが購 入当初は,本件マンションを福岡等への 足掛かりとし単身で居住する意思を持っ ていたとしても,そのような目的どおり に本件マンションを利用ないし居住する 意思は失われていったことが合理的に推 測することができる。
本件佐賀市マンションは,その構造及 び設備(電気,水道,ガスが供給されていた のみならず,新たに家具や電化製品一式も揃え ていた。)において居住に適しており,建 物の入居目的も仕事上・生活上の便宜と いう日常生活のための利用を目的として いたのであり,一時的な目的で入居した ものでも別荘でもない。
Aの病気のため利用が短期間に終わっ たとはいえ,現に利用していたのである から,本件宅地は「居住の用に供されて いた」といえる。
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3 判決の要旨(1)第1審佐賀地裁の判断(納税者勝訴)
① 争点1について
第1審の佐賀地裁は,はじめに争点1の課税要件明確主義の問題につき,次 のとおり判示した。
「相続税と所得税の特例という違いはあるものの,所得税の場合には,措置 法 31 条の3第2項に『居住の用に供している(家屋)』という文言があり,こ れについて規定する措置令 20 条の3第2項において,『その者がその居住の用 に供している家屋を二以上有する場合には,これらの家屋のうち,その者が主 としてその居住の用に供していると認められる一の家屋に限るものとする。』
と規定しているにもかかわらず,本件特例においてはそのような制限はされて いないことからすると,本件特例の解釈として,主として居住の用に供されて いた宅地等に限るとすることは困難であって,面積要件さえ満たせば,複数存 在することも許容されていると解するのが相当である。」
すなわち,納税者の主張するように,法令解釈においては,「主として」といっ たような文言が法令にない限り,これを制限的に縮小解釈することは租税法律 主義に反するものであると判断した。
なお,税務当局が主張するように,法解釈上,本件個別通達の趣旨解釈を読 み込む点については,次のとおり判示した。
「本件特例は,本件個別通達がそのまま法律化されたものではなく,税制調 査会の『昭和 58 年度の税制改正に関する答申』において『株式評価について 改善合理化を図ることとの関連で,個人が事業の用又は居住の用に供する小規 模宅地についても所要の措置を講ずることが適当である。』とされたことから,
立法時における地価の動向にも鑑み,個人事業者等の事業の用又は居住の用に 供する小規模宅地の処分についての制約面に一層配意し,特に事業用土地につ いては,事業が雇用の場であるとともに取引先等と密接に関連している等事業
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主以外の多くの者の社会的基盤として居住用土地にはない制約を受ける面があ ること等に鑑み,従来の通達(本件個別通達)による取扱いを発展的に吸収し て相続税の課税上特別の配慮を加えることとして,法律化されたものであり,
本件個別通達と比較すると,種々の変更が加えられているのであり,例えば,
貸付地については,事業に至らない場合にまで拡大されたりしているのである から,本件個別通達に存在した『主として』という文言が本件特例では削除さ れているということは,文字どおり,本件個別通達の『主として』の制限を本 件特例で解除したものにほかならないものというべきである。」
すなわち,税務当局の本件個別通達の趣旨の強調は,それが法律の趣旨の一 部にすぎないものであって,その趣旨のみから本件特例には規定されていない
「主として」という文言を読み込むこと自体,法律の解釈としては違法でると 判断したのでる。
② 争点2について
争点2は事実認定の問題であるが,佐賀地裁は,Aはガンの手術後の平成 13 年 11 月ころ以降,再手術のために入院した平成 14 年3月ころまでの間,
少なくとも週に1回程度は本件マンションに立ち寄り,時折は宿泊もしていた こと,本件マンションには水道設備の他,日常生活に必要な電化製品も備えら れており,Aは本件マンションにおいて,これらを利用していたことが認めら れるものと判断した上で,次のとおり判示した。
「Aによる本件マンションの利用は,単に娯楽や一時的な目的に出たもので はなく,生活の改善を目的に,小城市家屋及び本件マンション双方において生 活することを選択した一つの生活スタイルに基づくものと認めることができ る。以上によれば,本件マンションは,Aにとって,生活の拠点として使用さ れている実態にあったというべきである。」
なお,税務当局は,小城市家屋との比較において,本件マンションは「主と して居住の用」に供されてはいなかったことを主張するが,「本件においては,
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前記のとおり,生活の拠点が複数存在することも妨げられないのであるから,
このような比較検討は不要であるし,前記認定事実からして,Aが本件マンショ ンの利用状況を仮装していたとは到底認められない以上,病気等の事情から,
結果的に利用が極端に少なかったとしても,上記の事情のみをもって,本件マ ンションが生活の拠点ではないということはできない。」と判示し,結論として,
「本件宅地の面積と小城市宅地の面積を合算しても,200 平方メートル以下と いう本件特例の面積要件を充足するから,小城市宅地のみならず,本件宅地に も本件特例の適用があるというべきである。」とした。
(2)控訴審福岡高裁の判断(納税者逆転敗訴)
第1審判決を不服とした税務当局は控訴したが,争点1の条文の解釈につい ては,「当裁判所も,本件特例の適用の対象となる『居住の用に供されていた 宅地等』は,『主として居住の用に供していた宅地等』に限られないものと判 断する。」と判示し,この部分については税務当局の主張は認められなかった。
ところが,事実認定にかかる争点2について,福岡高裁は次のとおり判示し,
本件宅地は居住の用に供されていたものではないと,逆転納税者敗訴の判決を 下した。
すなわち,まず,本件特例の「居住の用に供されていた」宅地に当たるかど うかについては,「被相続人が生活の拠点を置いていたかどうかにより判断す べきであり,具体的にはその者の日常生活の状況,その建物への入居の目的,
その建物の構造及び設備の状況,生活の拠点となるべき他の建物の有無その他 の事実を総合勘案して判断されるべきである。」と判示し,居住用の判定に関 する一般論を述べ,次に,「本件マンションの面積や間取りは,Aが一人で居 住するには不必要なほど広く,電気もその使用量に比べて契約容量が極めて大 きい。家具や電化製品も世帯用の製品が購入されており,Aは運転免許を持た ないにもかかわらず,駐車場契約を締結している。したがって,本件マンショ
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ンの入居目的が,専らA一人が仕入れ等の便宜のために居住するためのもので あったかどうかについては疑問がある。更に,Aの本件マンションの実際の利 用状況(乙 24)は,ガスの使用を開始した平成 13 年 11 月に1日宿泊した後,
同年 12 月は一度立ち寄ったのみであり,平成 14 年1月は3日宿泊し,2日立 ち寄ったが,同年2月は1日宿泊し,3日立ち寄ったのみである。その後,入 退院を繰り返したため,同年6月に至って3日,同年7月に2日立ち寄ったも のの宿泊することはなかった。本件マンションへの立ち寄りも定期的なもので はなく散発的で,Aが福岡へ出かけた日と一致するものでもなく,福岡への仕 入れや社会保険センターの講座受講のための拠点として実際に使用されていた ものではない。実際に使用された電気,ガス,水道も,極めて少量である。」
と判断した。
以上の点から,「本件マンションの利用状況等からすれば,Aが病気等の事 情から利用できなかったことを考慮しても,Aは本件マンションにおいてほと んど生活していなかったのであり,その利用も散発的であって,被控訴人らが 主張する小城市家屋と本件マンションの両方に居住する生活スタイルというも のも確立するに至っておらず,本件マンションが生活の拠点として使用されて いたとは認められない。」と判断したのである。
二 研 究
1 「小規模宅地等の課税等の特例」の概要
小規模宅地等の課税の特例は,昭和 58 年度税制改正において措置法 70 条と して創設されたが,その後,減額割合の改正等,幾度かの改正を経て現在に至っ ている。現在は措置法 69 条の4に規定されている。
本件佐賀事件の係争年は平成 14 年であるが,当時の制度内容は基本的に現 行制度と同じで,本件で争点となっている「居住用」の特例部分だけを取り出 すと,大略,次のとおり規定されていた。
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まず第1項は,個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに,当該相続 の開始の直前において,当該相続若しくは遺贈に係る被相続人若しくは当該被 相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族の事業の用若しくは居住の用 に供されていた宅地等で財務省令で定める建物若しくは構築物の敷地の用に供 されているもので政令で定めるもの(特例対象宅地等)がある場合には,当該相 続又は遺贈により財産を取得した者に係るすべての特例対象宅地等のうち,当 該個人が取得をした特例対象宅地等又はその一部でこの項の規定の適用を受け るものとして政令で定めるところにより選択をしたもの(選択特例対象宅地等)
については,限度面積要件を満たす場合の当該選択特例対象宅地等(小規模宅 地等)に限り,相続税法第 11 条の2に規定する相続税の課税価格に算入すべ き価額は,当該小規模宅地等の価額に次の各号に掲げる小規模宅地等の区分に 応じ当該各号に定める割合を乗じて計算した金額とする,と規定していた。こ の第1項からは,本件特例対象宅地等につき,第1として,相続開始直前にお いて,被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の「事業の 用」若しくは「居住の用」に供されていた宅地等であること,第2に特例対象 宅地等については,納税者の選択が認められる選択特例対象宅地方式をとって いること,第3に面積要件が付されていることが分かる。
なお,具体的な小規模宅地等の評価については,同項第1号に,「特定事業 用宅地等である小規模宅地等,特定居住用宅地等である小規模宅地等,国営事 業用宅地等である小規模宅地等及び特定同族会社事業用宅地等である小規模宅 地等 100 分の 20」とし,同項第2号は,「前号に掲げる小規模宅地等以外の 小規模宅地等 100 分の 50」とそれぞれ規定している。したがって,これを減 額割合になおすと,第1号が 80%,第2号が 50%の減額割合となる。
次に,第2項は,小規模宅地等の限度面積要件について定め,同項第3号は,
「当該相続又は遺贈により財産を取得した者に係る選択特例対象宅地等のすべ てが特定事業用等宅地等及び特定居住用宅地等以外の特例対象宅地等(以下こ
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の項において「特定特例対象宅地等」という。)である場合 当該選択特例対象宅 地等の面積の合計が 200 平方メートル以下であること」と規定する。本件佐賀 事件は,次に示す「特定居住用宅地等」以外の特例対象宅地等に当たるので,
面積制限は 200m2となる。
第3項第2号は,上記の「特定居住用宅地等」の意義について規定してい る。すなわち,特定居住用宅地等とは,「被相続人等の居住の用に供されてい た宅地等で,当該相続又は遺贈により当該宅地等を取得した個人のうちに,当 該被相続人の配偶者又は次に掲げる要件のいずれかを満たす当該被相続人の親 族(当該被相続人の配偶者を除く。以下この号において同じ。)がいる場合の当該宅 地等(政令で定めるものに限る。)をいう」とし,「次に掲げる要件」としては,「イ 当該親族が相続開始の直前において当該宅地等の上に存する当該被相続人の 居住の用に供されていた家屋に居住していた者であって,相続開始時から申告 期限まで引き続き当該宅地等を有し,かつ,当該家屋に居住していること」,
「ロ 当該親族(当該被相続人の居住の用に供されていた宅地等を取得した者に限る。)
が相続開始前3年以内に相続税法の施行地内にあるその者又はその者の配偶者 の所有する家屋(当該相続開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されてい た家屋を除く。)に居住したことがない者(財務省令で定める者を除く。)であり,
かつ,相続開始時から申告期限まで引き続き当該宅地等を有していること(当 該被相続人の配偶者又は相続開始の直前においてイに規定する家屋に居住していた親族 で政令で定める者がいない場合に限る。)」,「ハ 当該親族が当該被相続人と生計を 一にしていた者であって,相続開始時から申告期限まで引き続き当該宅地等を 有し,かつ,相続開始前から申告期限まで引き続き当該宅地等を自己の居住の 用に供していること」と規定している。
本件佐賀事件では,Aの相続人である
X・Y・Z
と,Aの同居関係等が事実 関係から読み取れないが,判決において面積制限を 200m2としているところ からすると,本件宅地は,「特定居住用宅地等以外の特例対象宅地等」である13
ことが分かる。ところで,本件特例が法律として制定される前にその前身として,昭和 50 年6月 20 日付直資 5‑17「事業又は居住の用に供されていた宅地の評価につい て」通達が存在していた。この個別通達では,相続又は遺贈により取得した宅 地で,その相続又は遺贈に係る被相続人の事業又は居住の用に供されていたも のの価額は,昭和 39 年 4 月 25 日付直資 56 直審(資)17「相続税財産評価に 関する基本通達」第2章第2節の定めにかかわらず,同節の定めにより評価し たその宅地の価額の 100 分の 80 に相当する金額によって評価すると規定する とともに,本件争点1の原点となった部分につき,「居住の用に供されていた 宅地とは,相続開始時において被相続人が居住の用に供していた宅地をいい,
これに該当する宅地が2以上ある場合には,相続開始時において被相続人が主 として居住の用に供していた宅地をいうものとする。」(傍線筆者)と定めていた。
本件個別通達は本件特例の創設に伴い昭和 58 年に廃止されたが,もともと 本件個別通達の趣旨は,「被相続人の事業の用又は居住の用に供されていた宅 地のうち面積 200m2までの部分のいわゆる小規模宅地については,それが相 続人等の生活の基盤の維持のために必要不可欠のものであって,その処分につ いて相当の制約を受けるのが通常であるところから」(2),「主として」居住の用 に供されていたものは,最小限度相続税の財産評価の上で保護されるべきもの であるとされていたのである。この点に措置法 69 条の4の本来の立法趣旨が あり,「主として」居住の用に供されていないものは,評価の対象上斟酌され る必要もなく,税務当局は,本件特例の対象外となることはいうまでもないと 主張することになるのである。
2 課税要件明確主義と趣旨解釈
(1)課税要件明確主義
租税法律主義は,「課税要件法定主義」と「課税要件明確主義」をその骨子
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とするが,前者は何を法律で規定するかという問題であり,後者はどの程度法 律で明らかにするかという問題である。
課税要件明確主義に対しては,しばしば「不確定概念」の法令上の存在が問 題となるが,この点につき最判昭和 53 年 4 月 21 日税務訴訟資料 101 号 156 頁(3)
は,「法人税の負担を不当に減少させる」という法人税法 132 条の不確定概念 につき,原審が次のように判示した点を支持している。「もっぱら経済的,実 質的見地において当該行為計算が純粋経済人の行為として不合理,不自然なも のと認められるか否かを基準として判定すべきものと解される。一般に,かか る場合の判定基準は,法律上できる限り具体的,個別的,一義的に規定してお くことが望ましいのではあるが,複雑多岐にして激しく変遷する経済事象に対 処しうるような規定を設けることは極めて困難であるから,法人税法が前記程 度の規定をおいたにとどまることもやむをえないところであって,これをもっ て,いわゆる租税法律主義を宣明し,租税を創設し改廃するのはもとより,納 税義務者,課税標準,納税の手続は,すべて法律に基づいて定められなければ ならない旨規定する憲法第 84 条に違反するものということはできない。」
要するに,「課税要件明確主義」とは,課税要件が “ 明確 ” であること,“ 一 義的 ” であること,“ 不確定概念 ” を認めないとすることは確かであるが,課 税庁における条文解釈に自由裁量は認めないという点にその本質的存在意義が あり,“ 明確 ”,“ 一義的 ”,“ 不確定概念 ” といった要素は,最終的には裁判所 によって明らかにされるものである。
以上のような考え方に基づけば,本件争点1が,「居住の用に供されていた」
という点につき,「主として」という文言を読み込むことは,条文の文理解釈上,
存在しない文言を課税庁が自由に付加して解釈することであり,是認されない ことは当然である。この点,本件では,措置法 31 条の 3(居住用財産を譲渡し た場合の長期譲渡所得の課税の特例)を引用し,措置令 20 条の 3 第 2 項が,居住 用財産につき,「上記家屋は,個人がその居住の用に供している家屋(居住の用
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に供していない部分を除く。)とし,その者がその居住の用に供している家屋を 2 以上有する場合には,これらの家屋のうち,その者が主としてその居住の用に 供していると認められる一の家屋に限るものとする。」(傍線筆者)と明定して いる点と比較し,規定の相違を争っているが,条文の真の文理解釈という意義 からすると,このような規定の比較をまつまでもないことは,いうまでもない。
(2)文理解釈と立法趣旨
上記のとおり,課税要件明確主義からすると,そもそも条文上存在しない文 言を,法令解釈上読み込むことは,本件において基本的には的外れな議論であ る。しかし,一般に法令の学理解釈については,文理解釈のほかに論理解釈も 存するところで,当該法令の文言から離れて,立法趣旨や条理などを踏まえた 目的論的解釈がなされることも認められている。
この論理解釈の第一は立法趣旨であり,文理解釈をした場合にその結論が立 法趣旨に沿わない場合は,立法趣旨に遡ることも可能となろう。すると,本件 特例の前身として存在した個別通達による課税の特例の趣旨が,相続人等の生 活の基盤の維持のために必要不可欠のものを対象とし,「主として」居住の用 に供されていたものに限定するという立法以前の税務行政上の取扱いを本件に おいても生かすことが,法令解釈における一つの妥当な考え方として認められ る可能性がある。
しかし,本件特例が昭和 58 年に租税特別措置法に創設された理由は,従来 の個別通達を単に法律化して昇格させたという点になく,第1審判決が述べて いるとおり,当時の税制調査会の答申により,株式評価について改善合理化を 図ることとの関係で,個人の事業用又は居住用の小規模宅地についても所要の 措置が図られる必要性があり,本件個別通達が発展的に本件特例に吸収された ものであって,「本件個別通達の『主として』の制限を本件特例で解除した」(第 1審判決)のであるから,その立法趣旨は,まさに「主として」という課税要
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件の排除に他ならず,趣旨解釈から措置法 69 条の4を縮小解釈することもま た認められないことになる。
3 事実認定と「隠れたる課税要件」
本件では上記のとおり,文理解釈,趣旨解釈からも,「主として」という要 件を読み込むことができないはずであるが,控訴審判決は,争点2である本件 宅地が「居住の用に供されていた」か否かという事実認定において,逆転納税 者敗訴の判決を下した。
事実認定に傾斜しすぎるあまり,ある事実を通謀虚偽とみなすような解釈は,
従来より危険であると指摘されているところであるが,たとえば,この点を要 件事実論からいえば,措置法 69 条の4に規定する要件に該当する具体的事実 が「要件事実」であり,その事実の証明がなされないときは,それに基づく法 律効果が発生したものとは取り扱われない。すなわち,「居住の用に供されて いた」事実の証明がないときは,それに基づく法律効果(本件特例適用の減額評価)
が発生しないということである。そこで,「居住の用に供されていた」要件事 実(主要事実)の存在を争うことになるが,主要事実以外の事実もまた重要な 鍵をにぎる要素となる。すなわち間接事実であり,「居住の用に供されていた」
事実の存在を経験則上,推認させる事実でこれを証明することも一つの方法と なる。
ところで,本件特例について「居住の用」の意義に関しては,法令上特に規 定されておらず,また措置法通達においても被相続人等の居住の用に供されて いた宅地等の範囲の定めは存するが,「居住の用」自体についての定義はない。
一方,同じく居住用に関する所得税の特例に,たとえば措置法 31 条の 3 の「居 住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」があるが,この特例に 関しては,上記のとおり,措置令 20 条の 3 第 2 項に「主として」要件があり,
また,通達においては,居住用家屋の概念として,「その者が生活の拠点とし
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て利用している家屋(一時的な利用を目的とする家屋を除く。)をいい,これに該 当するかどうかは,その者及び配偶者等(社会通念に照らしその者と同居すること が通常であると認められる配偶者その他の者をいう。以下この項において同じ。)の日 常生活の状況,その家屋への入居目的,その家屋の構造及び設備の状況その他 の事情を総合勘案して判定する」(租税特別措置法(所得税関係)通達 31 の3―2) と定めている。
この通達の文言は,上記のとおり,福岡高裁が示した理由と同じであり,福 岡高裁はむしろこの通達に則った判断を下したものといえる。実はこの時点で 筆者は,控訴審裁判官がすでに「主として」といった「隠れたる課税要件」に ミスリードされていたものと考える。
さて,検討を始めの要件事実を間接事実で証明する場合に戻すが,税務訴訟 では,経験則として,居住用の間接事実を次のような判断要素で証明するもの としてきた。これは特に本条に関するものというよりも,措置法 31 条の 3 に 係る過去の判決例の分析による(4)。
(a)生活の痕跡事実
ⅰ 客観的な測定事実……電気・ガス・水道の使用量 ⅱ 客観的な支払事実……新聞購読料,NHK受信料等 (b)公的機関等への届出事実
住民票,運転免許証,確定申告書の住所,銀行等への届出住所等 (c)生活環境の設定
家具等の有無,台所・トイレ・浴室等の有無等
本件でも福岡高裁は,佐賀市マンションでの被相続人Aの生活痕跡事実とし て,電気・ガス・水道の使用量が少ないこと,また,反対的間接事実として,
公的機関等への届出事実として銀行等への届出がない点や知人への周知がない ことを証拠として取り上げた。公表資料からは,控訴審における納税者のこの 点の主張が,どの程度のものかは知り得ないが,裁判官は納税者による証明度
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が足りないものとして,その心証形成においいて要件事実の証明がなされてい ないものと判断したのであろう。
しかし,上記の判断要素による間接事実の証明は,本条の適用において本来 意味をなさないものと考える。すなわち,上記(a)〜(c)の判断要素は,「生 活の拠点」として利用していることの間接事実であり,本条が規定する相続財 産の評価減の対象となる「居住の用に供されていた」という要件事実をことさ ら間接的に証明することは,付加的要素が多すぎるのであり,そこに本来の要 件事実以上の条件を加味する結果となり,課税要件の縮小になるものと考える。
なお,本件事件の内容とは異なるが,本件特例の適用につき,興味深い事件 がある。すなわち,相続財産中の土地が,従前は現実に被相続人の居住の用に 供されていたが,土地区画整理事業における仮換地の指定に伴い,相続開始時 においては更地となっていた場合につき,本件特例が適用されるか否かといっ た事件である(5)。最高裁は,この点につき,次のとおり判示し,相続開始の時 において実際に居住用建物が存在しない宅地であっても,本件特例を認めるも のと判断した。「相続開始の直前においては本件土地は更地となり,本件仮換 地もいまだ居住の用に供されてはいなかったものであるが,それは公共事業で ある本件事業における仮換地指定により両土地の使用収益が共に禁止された結 果,やむを得ずそのような状況に立たされたためであるから,相続開始ないし 相続税申告の時点において,B又は上告人らが本件仮換地を居住の用に供する 予定がなかったと認めるに足りる特段の事情のない限り,甲土地は,措置法 69 条の 3(筆者注:係争年度当時の条文番号)にいう『相続の開始の直前におい て……居住の用に供されていた宅地』に当たると解するのが相当である。そし て,本件においては,B及び上告人らは,仮換地指定通知に伴って仮設住宅に 転居しており,また,上告人らは,相続開始後とはいえ,本件仮換地の使用収 益が可能となると,本件仮換地上に本件ビルを建築してこれに入居したもので あって,上記の特段の事情は認めることができない。したがって,甲土地につ
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いて本件特例が適用されるものというべきである。」
本件特例は数度の改正を経て今日に至っているが,上記判決例は本件特例の 柔軟性を示す一つの好例といえる。そこで,筆者は,本条の「居住の用」とい う場合の要件事実は,間接事実の助けを借りるまでもなく,当該マンションが 人の居住の用としてふさわしい設備を具備しているか否か(生活環境の設定要素:
家具等の有無,台所・トイレ・浴室等の有無等)に求められ,また,「供されていた」
という要件事実は,具体的に当該マンションの使用の事実があれば充足される もので,その使用の程度を斟酌する間接事実の付加的判断要素を付け加えるべ きではないと考える。これは第1審佐賀地裁と同様の思考である。
事実認定において重要な点は,「経験則」と「動かし難い事実」(公知の事実 又は客観的に信用力が確定している証拠によって確認し得る事実)であるといわれて いるが(6),税務当局も控訴審裁判官も,過去の判決例に基づく,しかも別条項 の「経験則」を重視し過ぎたあまり,本件特例が予定している単なる “ 居住用 ”,
“ 供されていた ” という「動かし難い事実」を,「主として」という隠れたる課 税要件で偏曲し,その心理状態を正しいものと誤解して形成してしまったもの であると考える。
繰り返すが,本件特例は相続税の宅地の評価に関する特例で,複数の土地を 適用範囲から除外するような制限規定は設けられておらず(事業の用に供されて いた場合を想定するとさらに明らかである。),面積制限の許す範囲内で特例土地等 の選択適用が認められる制度である。「居住の用」というのは,複数の土地を 認める段階で「生活の本拠」ということすら要件としていない文言の意味であ ると考えるべきである。「生活の本拠」という文言は,通達の文言にすぎない のである。
訴訟上の因果関係の立証について最高裁はいわゆるルンバール事件(7)におい て,「訴訟上の因果関係の立証は,一点の疑義も許されない自然科学的証明で はなく,経験則に照らして全証拠を総合検討し,特定の事実が特定の結果発生
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を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり,その判定は,
通常人が疑を差し挾まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必 要とし,かつ,それで足りるものである。」と判示した。すると,本件佐賀事 件において,佐賀市マンションは,われわれ市民である通常人が,「居住の用 に(適するものとして実際に)供されていたもの」を所有していたことが,疑を 挟まない程度に理解できるのであり,納税者の法的安定性,予測可能性からす ると,そのような善意の納税者は保護の対象となることはいうまでもない。
Ⅲ 結 論
本論文の仮説は,措置法 69 条の 4 の課税要件の充足をめぐり,事実認定に おいて要件事実を証明する場合,立法趣旨に重きをおき,たとえそれが「隠れ たる課税要件」の存在を認めることであっても,条文解釈上は許される範囲内 の解釈である,というものであった。
しかし,租税法上は租税法律主義に基づく課税要件明確主義により,あくま で課税要件の充足は,その条文における文理解釈上,明確に規定されている要 件に従うべきであり,条文に記載のない文言により,納税者は拘束されないこ とが第一の解釈である。
ところで,文理解釈に対する趣旨解釈は,課税庁の恣意的な自由裁量に基づ く条文解釈を認めないという点において課税要件明確主義のなかでも是認され るところである。特に,租税特別措置法に規定されている事項は,一定の租税 政策の実現がその目的であり,本来の立法趣旨の実現のために法令を解釈する ことは,一つの合理的な解釈論である。しかし同時に,一定の租税政策を実現 させるための法令において,要件事実の証明がなされないときは,それに基づ く法律効果が発生しないのであるから,そこに安易に立法趣旨を持ち込み,趣 旨解釈を重視することはできず,まして,立法趣旨を重んずるあまり「隠れた
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る課税要件」を容認することは,もはや法の解釈から逸脱した縮小解釈(又は 拡大解釈)にほかならない。
事実認定の問題は税務訴訟事件においても重要な問題であり,要件事実の見 極めは直接当該争訟の結果を左右する問題である。本件佐賀事件において,筆 者は「要件事実」を「居住の用に供されていた」という文言であるとし,通常 人がとらえるであろう認識に基づきこれを判断すると,控訴審判決が示した「生 活の拠点」としての間接事実を付加することではなく,あくまで文理解釈に基 づいた「居住の用に(適するものとして実際に)供されていた」ものという結論が,
要件事実の検討からしても正しいものであると考えた。本件に間接事実を付加 することは,まさに本論文にいう「主として」要件を読み込むことであり,要 件事実の縮小解釈以外の何物でもない。以上により,本論文が先に立てた仮説 は,棄却となるものと結論づける。
注
(1) 第1審:佐賀地裁平 18(行ウ)10 号,平成 20・5・1 判決(納税者勝訴)
TAINS- Z888-1343,控訴審:福岡高裁平 20
(行コ)27 号,平成 21・2・4 判決(逆転原判決 取消し)TAINS-Z888-1418,上告中
(2) 国税庁『昭和 58 年税制改正のすべて』177 頁
(3) 【光楽園旅館事件】第1審:釧路地裁昭 45(行ウ)12 号,昭和 49・4・23 判決(税 務訴訟資料 75 号 193 頁),控訴審:札幌高裁昭 49(行コ)2 号,昭和 51・1・13 判決(税 務訴訟資料 87 号1頁),
上告審:最高裁昭 51
(行ツ)34 号,昭和 53・4・21 二小法 廷判決(税務訴訟資料 101 号 156 頁)(4) 渡辺充「居住用財産の譲渡」北海道税務事例研究会編『判例戦略実務必携〈所 得税編〉』170〜188 頁参照(東林出版,1997)
(5) 第1審:福岡地裁平 14(行ウ)26 号,平成 16・1・20 判決(税務訴訟資料 254 号 順号 9513),控訴審:福岡高裁平 16(行コ)7 号,平成 16・11・26 判決(税務訴 訟資料 254 号順号 9837),上告審:最高裁平 17(行ヒ)91 号,平成 19・1・23 三小 法廷判決(判例時報 1961 号 42 頁),差戻控訴審:福岡高裁平 19(行コ)6 号,平成 19・7・19 判決(訟務月報 54 巻 8 号 1642 頁)
(6) 伊藤滋夫『要件事実・事実認定入門』120 頁参照(有斐閣,2003)
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(7) 第1審:東京地裁昭 33(ワ)6845 号,昭和 45・2・28 判決(判例時報 607 号 54 頁),控訴審:東京高裁昭 45(ネ)589 号,昭和 48・2・22 判決(訟務月報 21 巻 11 号 2203 頁),上告審:最高裁昭 48(オ)517 号,昭和 50・10・24 二小法廷判決(判 例時報 792 号 3 頁),差戻控訴審:東京高裁昭 50(ネ)2399 号,昭和 54・4・16 判 決(判例時報 924 号 27 頁)