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スペイン語の EN 否定文における出現条件の一考察

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Academic year: 2021

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(1)

イスパニ カ

5 1( 2 ( 氾7 )

スペイン語の EN 否定文 における出現条件の一考察

田林 洋一

1 . 序

本稿では Goi dbe r g( 1 9 95 ) の構文文法 ( Cons t r uc t i onGr a mma r ) によって、

スペ イン語の EN 否定の出現条件 を提示する . 従来の研究では 、EN 否定は主 老化や イデ ィオム といった観点か ら議論 されて きたが 1 、本稿では概念構造 を 用いて意味的な視野か ら分析する 0 本稿 における 「 EN 否定」 とは、以下の例 文における否定表現 を指す。

( 1 ) a ・ Ent odal at a r d ea ga N6unar a t a .

b. En t uvi daha st r a ba j a do, Pe dr o. Br uy ne( 1 9 9 9 ) ( 1 )では否定辞 ( Pa l a br a sNe ga t i va s ) が現れていないが、意味的に否定極性 ( Pol a r ida dNe ga t i va ) を持つ。本稿では特 に明記 しない限 り 、EN 否定 を 「 EN

を伴 う前置詞句の存在 による、否定辞 を伴わない否定 」 と定義する。

2 . 先行研究

本節では Bos que( 1 9 8 0 ) 、Sa n c he zL6pe z( 1 9 9 9) 及び Br uyn e( 1 9 9 9) を先行 研究 と位置づけ、諸 々の間貸点 を指摘 しなが ら EN 否定 を概観する 。

2. 1 .Bos que ( 1 980) による EN 否定の扱い

Bos que( 1 9 8 0:2 9 ‑ 6 4) は 、EN 否定 を主題化 ( Te ma t i z a c i 6n) 及び NEG 一 削除 ( El i s i 6ndeNEG) の操作 によって説明 している 2。

( 2) a . Novi nona di e.

b. Na di evi no. Bos que( 1 9 8 0: 2 9)

(2)

( 2a)と ( 2b) は、後者が強調の意味 を含意す るという点では異 なるが、 一真理 倍は等価である。

EN を含んだ否定表現に関 して以下の文 を参照。

( 3) a ・ Ta la c t i t udnos e押e d et oi e r a re nmod oa l g uno・

b. Noh ee s t a doa qul ' e nmi/i avi da・

c . No l oh evi s t oe nt od oe ldl ' a.

( 4) a ・ Enmodoa l gu n?s epu e det oi e r a rt a 且a c t i t ud・

b・ Enmi/l avi dah ee s t a doa qu f .

C. Ent odoe ldf a l oh evi s t o. Bos que( 1 9 8 0: 3 4)

( 3) と ( 4) の意味的真理値 は等価 であ り、それぞれパ ラレルな関係 になる。

Bos que は 、( 4) が否定極性 を持つのは EN 前置詞句の移動、即 ち主題化 に因 り 、( 4) において ( 3) のように否定辞が表層 に現れないのは、 NEG‑ 削除に因る と説明 している

これはチ ョムスキー付加 ( Choms ky‑ a d j u nc t i on) 及 び NEG一 削除によって以下のように定式化 される 。

( 5 )

Te mat i z a c i d nd eT PN ( T‑ TPN)

X‑ NEG l V‑Y‑TPN ‑ W]‑ Z

1 2 3 4 5 6 7 1 5+2 3 4 ≠ 6 7

Bos que( 1 9 8 0: 3 4) しか し、この定式で否定極性が必ず付加 されるとは限 らないo ( 6a ) と ( 6 b) は ともに唆味である

( 6) a . Enmivi dah es i dov e nde dordel i br os .

b・ Er iC odal at a r deha st e ni dot i e mpodei ral at i e nda ・

Bos que( 1 9 8 0: 3 4)

( 6 a ) と ( 6 b) は肯定 と否定の二通 りの解釈が与 えられる o Bos que はこの唆昧

(3)

性の根拠 についてイン トネーシ ョン以外の説明を していな い。

本稿では原則的に 、EN 前置詞句の主意化及び NEG 一 削除によって、否定辞 を含 まか † 否定表現、即 ち EN 否定が出現するとい う Bos qt i e の主張 を支持す る。 しか し Bos qu e の説明は、① EN 前置詞句 を主題化す ると何故否定極性が 加 わるのか といった理由付 けを説明 していない、② 統語論 的側面のみ を重視 し、意味論的側面における分析が欠如 している、③ NEG 一 削除が如何 なる理由 で成 されるのか といった動頼付 けが明確ではない、④ 否定語 の前置 と主題化 を混同 している、などが欠点 として挙げ られよう

2. 2. Sanche zL 軸e z ( 1999)による E N否定の扱い

S孟 nc he zL6pe z ( 1 999 ) は 、EN 否定 を主に慣用句や イデ ィオムの観点か ら説 明する。

( 7 ) Enl avi daa di vi na r A se la c e r t i j o. Si nc hezL6pe z ( 1 9 99:2 5 6 4) S i nc he zL6 pe z は 、( 7) において Eni avi da とい う前置詞句が単独で命題 に 否定極性 を与えると主張する . 即 ち、 Enl avi da とい う複合語 は完全 に語嚢化 し、否定辞 と同等の極性決定機能 を持つ としている

O

更 に、語養化 された EN を伴 う前 置 詞 句 は 否 定 辞 と同 等 に ふ る ま う と して 、 否 定 極 性 誘 因 子 ( h血c t or e sd ePoi a r i da dNe ga t i va ) と否定の呼応 をする と説明す る

o

( 8) A n ae sl ame j orpe r s on aqueh ec o noc i d oe nmivi da .

Sま nc he zL6pe z ( 1 999:25 65) S孟 n c he zL6 pe z によれば、否定極性誘因子である me j or が e nm i vi da と呼 応 し 、( 8 ) の従属節は否定極性 を持つ 3。

( 8 ) は 、Bos q ueの主題化 に よる否定極性付与の反例 と して示唆的であ り、

語嚢化 の説明 に安 当性 を与 え うる 。 だが、元来全 く否定 の要素 を持 ち得 ない EN 前置詞句 を語桑化 された否定表現 と位置づけ 、t a mpoc o、na di e、s i nとい った単独 で否定極性 を与 え うる否定辞 と同等 に扱 う主張 には無理がある 。EN 否定が全 て EN を伴 う前置詞句の語嚢化に困るならば 、e nl avi da、e nmivi da 、

en t uvi da、e nt odal at a r de といったほほ無数の EN を伴 う前置詞句 ごとに語

嚢化の説明 を与 えねばな らないO また 、EN 前置詞句 を持 ちなが ら、肯定的に

(4)

しか解釈 されえない ( 9 ) の ような現象 を説明で きない。

( 9 ) En t uvi daha st T a b a j a domu c ho・

( 9) は 、EN 前 置詞句 を主題化 しなが らも否定極性 を持 たない とい う点 で Bos que の反例 にな りうる し、 また 、EN 前置詞句が壊 れ なが らも肯定的 な読 み しかで きないとい う点で S血c h e zL6 pe z の語嚢化の反例 にな りうるO更 に、

何故 ( 1 0) の ような基本的 な EN 前置詞句が否定極性 を持 たないのか、即 ち、

どういった EN 前置詞句が EN 否定 を引 き起 こす要素 と して語桑化 されてい るかを説明で きない。

( 1 0 ) a . Come r el ac e nae nu naf i br i c a.

b. Vi v oe nunac a s i t a .

C. Ti e ne squepr e pa r a doe nc i nc omi nut os ・

( 1 0 a ) は動的な動詞 を伴 う空間表現、 ( ユ o b) は静的 な動詞 を伴 う空間表現 4 、 ( 1 0C) は空間表現 を時間表硯 にメタファー的に拡張 した表現 5 であるが、いず れ も肯定的解釈 しか持 たない 6 。 これに対する SA nchezL6pe z の反論 として、

EN 否定 は三つの特性 を持 っていると主張す る。第‑点 は 、EN 否定が生 じる のは前置詞 ha s t a の出現環境がそ うであるように、点的 な述語 に制限 されてい るとい うことである 。

( l l )* EnC odal at a r dee s t a bae s t udi a ndo. S孟 nc he zL6pe z ( 1 9 9 9: 2 6 0 4 )

( ll ) は継続的な述語が出硯 しているため 、EN 否定の出現 を許 さず、結果肯 定解釈 しかなされえない。=点 目は 、EN 否定が生 じるのは EN 前置詞句 のみ に限 られる とい うこと、そ して最後の特性 は、前置詞 EN に後続す る名詞句 が普遍的に量化 されなければならない とい うことである。

( 1 2)? ? Enve i nt i t r a smi nut osS u ec a pa zdede c i rna dac ohe r e nc e.

S孟 nc he zL6pe z ( 1 9 9 9: 2 6 0 4)

( 1 2) は EN に後続す る表現が量化 されていないため 、EN 否定ではない。 し

(5)

か し、 これ らの条件付 けは記述的なものであ り、かつ具体的な定義がない。

2. 3.Br u y n e ( 1 9 99) による EN 否定の扱 い

Br u yne( 1 9 9 9 ) は 、EN 否定現象 を以下の ように説明する 。

( 1 3 )Unac o mbi na c i 6 nd e Hi po < e n( + t od o) + s us t a nt i v oqu ei ndi c au n l a ps odet i e mpo ( 盛O ,di 且 ,ma 点 弧a ,n O C h e ,vi da …) > s i e mp r ei ndi c a n e ga c i 6 n.

B

r u y n e( 1 9 9 9: 6 71 ) Br uyne は続 けて、 これ ら EN 前置詞句 は動詞の前 に置かれる傾 向 にあ り、

前置 された時は他 C ) p 否定語が前置す ることな く否定極性が現れる と主張す る

しか し, この論 は ( 6 ) の ように常 に否定 を表現するわけではな く極性が暖味 な 例 、( 8 ) の ように EN 前置詞句が動詞の後 に来て も否定 を表す例 、 また 、( 9) の ように EN 前置詞句が動詞の前 に采 なが ら肯定的解釈 を得 られる例 とい う

ように諸 々の反証が可能である

更 に 、EN 否定 が起 こるのは常 に時 間の経過 を指 し示す ( s us t a nt i vo可ue i ndi c au ni a ps od e. t i e mpo) 表現だけではない

.

以下 を参照。

( 1 4 )Ent o doe ipa l ' ss eh avi s t oun ac r i a t uT am孟 sp e r v e r s a .

Br uy ne( 1 9 9 9: 6 7 2 ) 修正案 として 、Ta ba y a s hi( 2 0 0 3 ) は、前置詞 EN はプロ トタイプ命題の交替 により否定極性 を潜在的に持 ちうると主張する。

( 1 5 )Lapr e pos i ci 6nEN per ci bi dacomounaGes t al tpuedet ener pot e nc i a i me n t el ap r o pi e da dNEG Fo re 呈c a mbi od el apr opos i c i 6 n pr ot ot l ' pi c a ・ Ta ba y a s hi( 2 0 0 3:7 9 ) ゲ シュ タル ト知覚 された前置詞 EN が否定素性 を潜在的 に持 ち うる とい う

( 1 5 ) の意見 を支 える言語表現 として、田林 ( 2 0 03 ) は以下の例 を挙げる。

( 1 6 ) 乱 と Hoyma t a s t ee lt i e mpod ur a nt ee it r a ba j o?‑Ena bs ol ut o.

b. L Hoyma t a s t ee lt i e mpod u r a n t ee lt r a ba j o?‑Abs ol u t a me n t e。

(6)

田林 ( 2 0 0 3 :5 6 )

( l ら b) が肯定的に解釈 される ( 仕事 をさぼった)のに対 し、 ( 1 6a) で否定的 な解釈 ( 仕事 をさぼっていない)が されるのは EN が否定要素 を潜在 的 に持 ちうるか らと説明 される

( 1 7 )a . Emt uvi daha st r a ba j a domuc ho. ( ‑( 9 ) )

b. Ent uvi daha st r a ba j a do. 田林 ( 2 00 3:5 2) Ta ba ya s h ‖ま ( 1 4 b) が否定的 に解釈 されるのは、主題化や EN 前置詞句 の性 質ではな くコンテ クス 吊 二由来す る と説明する ‑ ?

しか し、 コンテ クス トの定 義 自体が言及 されてお らず ブ ラ ックボ ックス的な扱 い を受 けてい るため、文 脈 が どこまで極性 に影響 を与 え うるか、定式化 されてい ない。更 に、 プロ ト

タイプ命題 に否定極性がかけ られ るのは統語 レベルか語嚢 レベ ルか等 は議論 すべ き課題である 7。

更 なる先行研究 としては、出口 ( 1 9 9 5 a:21 8,1 99 5 b:5 51 ) が EN の特殊 な用 法ではな く 「否定語 な しに単独 で否定の意味 を表せ る 」 表現 と して以下 の文

を挙げている

( 1 8) Enmivi dahe ol ' d oa l got a na bs u r do. 出口 ( 1 99 5 a: 21 8) し続 けて 、e nm i vi da は nunca と同等 の価値 を持つ と説 明す るが、出口は単 なる事実の提示のみに留 まっているだけで 、EN 否定の発生条件や記述的な説 明 を行 っていない。

以上の ように 、EN 否定 についての先行研究 は非常 に末梢 的か全 く触れ られ ていないことが多かった 。EN 否定 を初めて体系化 して説明 した Bos que 以後 も、本質的には変わっていない 。EN 否定 に関 しては、社会的背景、地理的背 景、文化的背景 な ども含め、研究すべ き対象 は多岐 に渡 るが、次節以降では、

主 に EN 否定の形式的側面の分析 を試みたい。

3. 本論

前節 では EN 否定の先行研 究 には諸 々の問題点が あ る こ とを見 た。本節 で

は EN 否定が現れ うる条件 を提案す る 0

(7)

3. 1 .E N否定 にお ける統語的条件

本節では EN 否定が現れ うる統語的条件 を以下の ように提案する O

( 1 9 )EN 否定 における統語的条件 ( Condi c i one sSi nt 畠 c t i c a sdel aNe ga c i 6n c onEN)

i ) 動詞 の意味 を修飾す る選択的前置詞句 または副詞句があってはな らない 。

i i ) 原則 として EN は広範 な範囲 を指 し示す名詞句 ( 主 に時間表現)、

またはある特定の広範 ない しは全体 を指 し示す全称的な名詞句 と 結合 しなければな らない。

i i i )EN 前置詞句 は主題化 されなければな らないo

i ) は筆者の観察であ る o i i ) は EN の後 に続 く名詞句 は、先行研究では時 間 表現が基本 とされ ていた

しか し本稿 では EN の後 に続 く名詞句 は時 間表硯 が条件ではな く、広範 な範囲 を表現す ることが条件 である と主張す る 0i i i ) は Bos qu e に準拠す る。 ( 1 9 ) の妥当性 について、以下 を参照。

( 2 0)En t uvi daha st r a ba j a do. ( = ( 1 7 b) )

( 21 )a . EnmlVi daha st r a ba j a domu c ho. ( ≡( 9 ) ) b. Enunaf a br ic aha st r a ba j a do.

C ・ Ha st r a ba j a doe n t uvi da .

( 2 0) は否定解釈 、( 21 ) は肯定解釈がな される文である

まず 、( 2 0) は ( 1 9) を全 て満 たす ため,否定解釈が な され る O( 21 a) は選択 的 な

詞 muc ho が動 詞 ha st r a ba j a do を意味的 に修飾 しているため、 ( 1 9 i )に遠反 し、否定解釈 はな

されない。以下の文 も ( 1 9i ) に抵触するため、同様 に否定解釈はなされない

( 2 2 )Enmivi dapoc oapoc oh ec ompr e ndi do 且 oquemedi j omi pa dr e.

( 2 2 ) では、選択 的副詞 句 po c oapoc o が動詞 hec ompr e ndi do の意味 を修飾 していることに よ り、肯定解釈 しか許 さない。

( 21 b) は ( 1 9i ) 及び ( 1 9i i i ) は満たすが 、( 1 9i i ) の条件 に抵触す るため、否定

解釈 はな されない。同様 に ( 2l c ) は ( 1 9i ) 及び ( 1 9 i i ) は満 たすが、 ( 1 9i i i ) の条

(8)

件 に抵触 し、否定解釈は不可能である

更に 、( 1 9i i ) が時間表硯 を重視するのではな く、広範な範囲表現 を重視する のは ,EN 前置詞句が空間表硯である Ent o貞oe 且pa l J ss ehavi s t ounaC r i a t ur a m孟 spe r ve r s a. が否定解釈 しかなされず、逆 に EN 前置詞句が時間表現 になっ

ている Enuni ns t a nc es ehavi s t ounac r ia t ur am孟 spe r ve r s a ・は肯定解釈 しか許 さないか らである

/ ( 4b) に現れる a qui Jは近称の指示副詞だが、 この指示副詞は動詞 hees t a do が義務的に要求す る 従 って、動詞か ら与 えられる参加者役割 とみな され る ため ( 1 9i ) には抵触せず、否定解釈が可能である 8。

( 1 9 ) が正 しい とすれば 、( 6 ) の極性解釈が暖味な点は以下のように説明で き る

まず 、( 6 a ) において名詞句内の dei i br os は選択的であ り 、del i br os がな く とも適格である ( Enmivi dahes i dove nde dor . ) Oつま り、義務的に出現 した名 詞句や副詞句 ( 即 ち動詞が要求する項)の内部 に選択的な前置詞句が ある と 極性が唆味になる

これは 、( 1 9 i )を 「 概念構造内では」厳密 に守 っていない ために生 じている唆昧性 と思われる 。即 ち 、( 6 a) における del i br os は 「 競語 的には」義務的に出現 した名詞句 を修飾 している選択 的前置詞句 と判断 され るが、耗語構造 だけでな く言語の線状性及 び視覚的な語順 も言語認知 に影響 を与 えているため、結果 として極性の揺 らぎとい う概念構造での唆昧僅 を も た らしていると考 え られる

これは、選択 的前置詞句が動詞 を修飾す る よう な Enm i vi dahes i d ove n de do rdenu e vo. が ( ユ 9i ) に抵触 し否定解釈 を持 ちえ ないことか らも裏付け られる 。( 6 b) の暖昧性 も同様の理由による

( 8) の従属節 における極性の唆昧性 は、そ もそ も ( 1 9i i i ) に違反 しなが ら、

否定極性誘因子 ( m 亘i or ) が出現 していることが原因 と考 えられる

以上、統語的知見か ら EN 否定の条件 を提示 した 9。 次節では ( 1 9i ) に的 を 絞 り、概念構造の点か ら何故 ( 1 9i ) が EN 否定条件 となっているのかを考察す る

4 . EN 否定における項構造

本節では EN 否定における概念構造 を Goi dbe r g の主張す る構文文法で説明 す る 。4. 1 で構文文法 を概観 し 、4. 2 で構文文法 を概念意味論的に図式化す る。

新 しい試み として 、4. 3 で EN 否定 における概念構造 を分析 し 、4 . 4 で は構文

理論 によって更なる説明 を図る。

(9)

4. 1 .Gol dber g による構文文法

構文文法 とは、あ る特定の意味 と形式か らなる清文の存在 を容認す る考 え 方で ,Fi i i mor e( 1 9 8 2 ) や 瀕 LA kof f( 1 9 8 7 ) の フレーム意味論 ( Fr a meSe ma n t i c s ) で既 にその存在 は指摘 されている 。 構文理論の根底 を支 えるのは 、 「中心的構 文の 中の非 中心 的構文 」 の存在、 中心 的構文 と非 中心 的構文 の 「 動 機付 けの 関係」 や,「 特定の意味 と蔽式 か ら成 る構文」 の存在であ る 1 0 。 それ をよ り体 系化 したのが Gol d b e r g である。

構文理論 における主張 はおお まかに言 って、① 構文 は特定 の意味 と形式 か らな り言語 の基本 的単位 をなす、② 格文法 によって説 明 され る文法構造 だけ で な く、構文 は全 ての構造 を も包括 す る、③ 語嚢 と統語 も共 に形式 と意味が 対 になってお り、その点で両者 は厳密 な区別が出来 をい 1 1 、④ 語用論 的要因 を考 慮 に入 れる必要がある、 と説明 され よう o Goi dbe r g の大 きな功績 の一つ は、以上 の主張 に加 え心理学 的要 因 も積極 的 に取 り入れた こ とで、意味役割 と項 の不一敦 を解決 したこ とにあ る。意味役割 と項 の不一致 の現象 は二重 目 的語構文 な どが代表的であ るが,本稿 では使役移動構文 に的 を絞 って概観す る。使役移動構文 とは、以下の ような文である

( 2 3 )Pa ts ne e z e dt hef oa mof ft hec a ppuc c i no. 大堀 ( 2 0 0 2 ) ( 2 3)では動作主の意味役割 を持つ Pa t が主題の意味役割 を持つ f oa m に使役 的 に働 きか け、前 置詞句 で示 され た経路 を辿 る運動 を引 き起 こす。 しか し、

動詞 s ne e z e は一項 を与 える自動詞であ り 、f oa m 及び C a ppuc ci

n

oには動詞か ら項が与 え られ ない。構文理論 で は、 これ らは動詞か らではな く構 文 か ら項 を与 え られ、それぞれの 意味役割 を担 うとす る立場 を取 る 。 つ ま り 、( 2 3) の 項構造 は動詞 s ne e z e の語桑項 目に よって もた らされた もので はな く、使役移 動構文 の存在 に よって もた らされた ものである 。 使役 移動構文 もプロ トタイ プ的 な表現 とそ うでない ものが あ り、具体的移動か ら抽象的移動 に まで メタ フ ァー的 に拡張で きる ( e. g. J o h na l l owe d Ma r youtoft her oom. ) O

フ レーム意味論 では、動 詞 s ne e z e が表す行為が 「カプチー ノか ら抱 を飛 ば

す」 とい う運動 を使役 的 に引 き起 こ しうる とい う知識 を人が持 ってい る と説

明す る 。 生成語嚢論 では、語嚢項 目の段 階で既 に動詞 s ne e z e には使役的 な移

動 を引 き起 こ しうる とい う情報 があ る と仮定す る 。 しか し、生成語糞請 で は

動詞 に付 与 され る情報があ ま りに多 す ぎること、 フ レーム意味論 で は語 用論

(10)

的及 び心理的 な要素が過大評価 されてい ることか ら、構 文理論 における説 明 が最 も妥当である と思 われる 。

( 2 3) における格付与 は、統語 レベルでは ca ppuc ci no は前置詞 of f か ら斜格 を 、Pa t は動 詞 s n e e z e か ら主格 を付与 されるが 、f oa m は構文 か ら目的格 を付 与 されている としか説明で きない。生成語義論 で は動詞 s ne ez e の情報が一定

でないため格付与が限定で きない。

( 2 4)* Pa ts ne e z e dぬef oa m. 大堀 ( 20 0 2) ( 2 4) の非文法性 は、動 詞 s n e e z e は f oa m に格 を付与 しない と説明で きるが、

この説明 を推 し進め る と生成語義論では ( 2 3) の文法性 を説 明で きない。場合 ご とに理想的 な認 知 モデ ルを構 築す る フ レエム意味論 で は、全 て を語 周論 的 解釈 に推 し進めて しまうため に具体的 な格の供 出先 を特 定 で きない。従 って、

( 2 3) における f oa m の統語的抽象格 は、構文か ら与 え られた と考 え られ うる。

Gol dber g は 、 個 々 の 動 詞 が 項 に対 して 課 す 意 味 指 定 を参 加 者 役 割 ( Pa r t i c i pa n

Rol e ) 、構文文法が項 に対 して課す意味指定 を項役割 ( Ar gume nt Rol e ) と呼 んで区別 している

参加者役割 は個 々の動詞毎 の意味 の違いに対伝 す る細 かい意味情報 を持 つが、項役割 は構文知識 に根 ざ してい るため、 よ り

‑般的であ り細 かい意味情報 は指定 されていない 。( 2 3) において 、Pa t は動詞 s ne e z e か ら項 を得 てい るので参加者役割 、f oa m 及 び C a ppuc ci

n

oは構文知識 使役移動構文 か ら項 を得 てい るので項役割 と規定 で きる 。( 25) は 、( 2 3) の構 文 を図式化 した ものである

( 2 51Ca us e d‑ Mot i onCons t mc t i on

Se m CAUSE‑ MOVE < c a us e goa lt he me >

R: me a ns , PRED < >

Syn V SUBJ OBL OBJ

Go且 dbe r g( 1 9 9 5:5 2 ‑部改)

構文理論 で は、基底構 造 の上 に構 文知識が成 り立 ってい る こ とを前提 と し

た上で、項の不一致 を構文文法 によって解決 している 1 2 。

(11)

4. 2. 使役移動構文の語垂概念表示

前節では、一項動詞 とみなされる動詞 s ne e z e で も経路表現 においては三項 現れ うる ( 即 ち三項動詞 にな り、二項 しか与 え得 ない ( 2 4) は非文 になる)現 象 を観察 した.本稿では Gol dbe r g の構文文法 を影山 ( 1 9 9 6) の概念構造標識 に従 って説明する

以下の文 を参照。

( 2 6) T hege ne r a lma r c he dt h es ol di e r st ot het e n t .

Le vi n&Ra ppa po T t ( 1 9 9 5: 1 1 1 )

( 2 6) は本来一項動詞であるはずの ma r c h が二項 を伴 い使役的表現 と して具 現化す る例 1 3 であ る。 この ように経路表現 を伴 わず とも使役 の意味 を持 ち、

一項動詞が二項 を伴 う例が ( 2 7 ) である 1 4。

( 2 7 )Hewa kshi sdoge v e r ymom i ng. 影山 ( 1 9 9 6:1 7 5 )

これ ら一項動詞が二項 ない しは三項 を与 える動詞の意味構造は、以下の よ うに表 され うる 1 5 。

( 2 8)V: 【xi ACT】CONTROL 【X JMOVEr Pa t t l】 1 V

影山 ( 1 9 9 6:1 7 4 ‑部改)

( 23) 、( 26) 及び ( 27) で共通す るの は使役 の意味 の存在であ り、影 山 は COm OL とい う新たな基本的意味成分 を導入 して使役移動構文 を説明す る 。

従 って 、( 2 8) は ( 25 ) における Gol d be r g の構文文法表示 を語蓑概念標識で表 した もの といえ よう 。( 2 5 ) と ( 2 8 ) の違いは以下の とお りである

< 1 > 前者が一般的使役移動構文 を表 しているの に対 し後者 は 自動詞 にお ける他動詞的用法 に限定 した使役移動構文 を表 していること

< 2> 前者 は使役 の表示 に CAUSE を立 ててい るのに対 し、後者は使役 の 表示 に意図性のある CONTROL を立てていること.

<3> . 前者が項構造 における統語的 な表示 を しているのに対 し、後者 はあ

くまで概念構造のみ を表示 していること

(12)

以上、 Gol db e r g 及び影 山の主張 を簡単 に概説 したO以下 、EN 否定の概念 構造 に言及する0

4. 3.EN 否定における概念構造

EN 否定 における概念構造 を概観す る上で 、( 2 0 ) を例 に挙 げる .( 2 0 ) の概念 構造は ( 2 9 ) である 1 6。

( 2 9 日 +Ten:EN TU V i DA ji 囲 A S‡ DO EL CASO l POL l TU TRABAJ AR] ] ][ +NEGt r a e e i]

( 2 9 ) で主題化 された EN 前置詞句 は、主題化 される前の位置 に痕跡 ( t r a c e ) を残す。 この痕跡 は構文か ら与 え られた項構造の空の項 であ り 、J a c ke ndof f ( 1 9 9 0 ) が述べ る統語構造では表出 されない暗黙項 ( i mpl i c i t A r g ume nt ) にほぼ 相当する 1 70 本稿では 、( 1 9 i i ) の要件 を備 えている EN 前置詞句が主意化 され、

その痕跡が空である場合、 この痕跡 は否嘉極性 を与 え うる と仮定す る。 しか し、 この痕跡の位置 に何 らかの意味 的因子が入 り込んで きた場 合 、痕跡 は否 定極性 としての価値 を失い、入 り込 んで きた因子の意味的性質 に従 う 0( 9) の 概念構造である ( 30) はその典型である。

( 30 日 +Ten:EN TU VI DA 】【 HA SI DO EL CASO 【 POL 【 TU TRABAJ AR】 】 HMUCHO】

EN 前置詞句 の主題化 に よって生 じた痕跡 の否定極性 は、副詞 的意味 成分 MUCHO の参入によって消 される . 結果 と して否定極性 は消 え、肯定 的な解 釈 しか容認 されな くなる

前節 ( 3. 1 ) において ( 6 ) の唆昧性 を指摘 したが、それは ( 6 ) において動詞 に 後続す る名詞句 を修飾 している選択 的前置詞句が、概念構造 で は二通 りの解 釈 を与 えうるか らであろ う 。( 6 a ) における肯定解釈の概念構造 は ( 31 a ) 、否定 的解釈の概念構造 は ( 31 b) である

( 31 )a . i +Te n:EN M王VI DA 1 冒HA S王 DO ELCASO 【 POLl YO SE A

VENDEDORl DELI BROS] ] ] Ht r a c e i ]

b.[ +Te n:EN M王Vi DA ii l HA SI DO ELCASO 【 POLr YO SEA

(13)

VEN D EDORr DELⅢi ROS】 ] ] ][ +NEGt r a c eL . ]

聞 き手は ( 6a ) の線状的語順か ら ( 3 1 )の両方の概念構造 を想定 しうる O( 31 a ) の EN M IV証) A は単 に dur a nt ee ipe n ' ododemivi da の意味が強調 されてい るに過 ぎない。従 って 、( 6 a ) は否定解釈 も肯定解釈 も容認する

EN 否定は概念構造で与 え られた ものであるが、項構造では動詞が意味的に 要求す る意味役割 を入れるスロ ッ トを問題 にす るため、 この痕跡 は項構造で は扱 われえない。否定極性 にかかわる EN 前置詞句 はあ くまで選択的な前置 詞句であ り、義務的ではないか らである 1 8。

( 3 2)Ha st r a ba j a do.

( 32) は EN 前置詞句が ない に もかかわ らず容認 され る 。 この選択的前置詞 句 と義務的前置詞句 の区別 は きわめて重要である

前者 は動詞の項構造 に直 接影響 を与 えないが 、後者 は項構造 と密接 に関連す る 。 両者 の区別立ては、

特 にスペ イ ン語 で は同一 の動 詞 内で も しば しば必 要 となる。例 えば、動詞 t r a b a j a Tは ( 3 2) の ような自動詞的用法 と同様 に他動詞的用法 も容認する 1 9。

( 3 3)I l a st r a ba j a dol ar na de r a.

( 33) で現れる目的語 i ama der a は動詞L の項構造 か ら義務的 に要求 されるた め、概念構造 において選択 的 に現 れる EN 前置詞句 と本 質的 な項構造関係 は ない。

他動詞 による言語表現 に も EN 否定が現れ うるのは ( 1 a) で見 た とお りであ るが、 ( l a ) における a ga r r 6 は動詞の項構造において目的語が要求 されるため、

その義務的 目的語である unar at a が EN 前置詞句 の主題化 に よって残 された 痕跡 に入 り込 むことはない。即 ち ( l a ) の概念構造 は ( 3 4 ) になる

( 3 4) [ + Ten:EN TODA LA TARD E] i l FUE EL CASO l POL l AGARRARUNARATA] ] ][ +NEGt r a c e L l ]

基本的 に広範 な範囲 を指 し示す EN 前置詞句 は、動詞がその項 を要求す る

性 質の ものではない。即 ち 、EN 否定 に直接かかわるのは参加者役割ではない。

(14)

従 って、動詞の項構造が要求す る項 と選択 的 な項 を厳 密 に区別す る こ とが必 要 となる

O

以上の議論か ら、以下の仮説 を立 てることがで きる

o

( 35 )EN 否 定 にお け る意味 論 的条 件仮 説 ( Hi p6t esi sdeCondi ci ones Se m孟 nt i ca sdel aNe ga ci 6nc onEN)

i ) 広範 な範囲 ( 主 に時 間表現 ) を指 し示す選択 的 EN 前置詞句 が主 題化 された時、意味論的痕跡 は否定極性 を持 ちうる

i i ) 痕跡 は動詞の項構造 と関係 がな く、痕跡 には動詞が要求す る参加 者役割 を入れることはで きない。

i i i ) 痕跡 に選択 的前置詞句 または副詞句が入 る と、否定極性 は失 われ る

ここで重 要なのは 、EN 否定 は動詞の項構造 と直接 的 な関連 はな く、構文文 法 にお け る項構造 と密接 に開通す る点 であ る

次節 で は、参加 者役割 で はな

く項役割の観点か ら説明 を与 えうる可能性 を模索す る

4 . 4 .構文文法 にお ける EN否定

以上 を踏 まえた上で 、( 35 i ) 及 び ( 35 i i i ) を検討す る 2 0 。 なお 、( 35 i i ) は、動詞 か ら与 え られ る参加者役割 で はな く構 文文法 か ら与 え られ る項役割 に焦点 を 絞 っている とい う点で、以下の説明の前提 となっている

構 文文法 を扱 う上 で重要 なの は、( ∋複合表現 の意味 は、それ を表現 す る記 号 表 現 の 意 味 の 総 和 で あ る と す る 構 成 性 の 原 理 ( Pr i nci p. 且 e of Compos i t i ona l i t y) が当ては まらない場 合 に適用 され る、② 中心 的構文 か ら周 辺的構文が成 立 され なければな らない、 とい う点 で あ ろ う。① は 「 全体 は部 分の総和以上の ものである 」 とす るゲ シュ タル ト的な汎用性 2 1 、② は構文文法 を安易 に解決不可能 な構 文の説明材料 に しないための抑 制 をそれぞれ合 意 す る

EN 否定 の構文 は 【 SNVSP 】を基盤 と し、以下の ように表 される

( 36)Compos i t es t r uct ur e:Ne ga t i onofEN Se m l oe at i on コ l l

R : m e a n

s,

PRED

<a ge nt + NEG>

Sy n +

T

e n L o c i V SUBJ t r ae e z

(15)

下線 で示 した場所が EN 否定構文が もた らす構文的意味であ り、太字 は構 文 によってプロファイルされた要素である 。 否定極性 ( +対EG) は語の意味の 総和 に還元 されないので、構文か ら与 え られた意味 と考 え られ うる 。 もとも と選択的な EN 前置詞句 は 、EN 否定 を表す際は構文によって義務的に要求 さ れる . 従 って 、EN 否定 における EN 前置詞句 は動詞の項構造ではな く構文の 項構造で語 られる項役割であ り、構文 に よって EN 前置詞句 はプロファイル

される 。 以下、( 1 7 b)を ( 3 6 ) のプロ トタイプを使 って表す。

( 3 7 )Co mp o s i t es t r u c t u r e : Ne g a t i o no fEN

S e m l o c a t i o n < a g e n t ± 吐坦 >

R: me a n s , TRABAJ AR

S y n + Te nLOC孟 V S UBJ t r a c e s En t uv i d a h a st r a b a j a d o p r o

スペ イン語 は主語 を省略で きる p r o言語であるため、統語構造で t dは具現 化 されない ( Ch o ms k y( 1 9 8 1 ) に従い、便宜上 p r oと表記する) 0

( 3 6 ) の構文 はいわば中心的な構文であ り 、( 4 a ) の ように広範 な範囲の表現 を伴 わない言語表現、あるいは ( 8 ) の ように主老化 を伴 わない周辺的な言語表 現へ と、構文 内でのメ タファー的拡張が可能である。従 って EN 否定構文 は 構文内の ネッ トワー クを形成することがで きる。

以上 、EN 否定 を構文 とみなすために必要な要件① と②が共に成立す ること か ら 、( 3 6 ) は構文 として適格 と考 えられる

5 . 結語

本稿 では EN 否定が Go i d b e r g の構文文法 によってある程度解決 されること をみた O 本稿 の意義 と して、① EN 否定 にお ける統語的条件 を立 て た こ と、

② それに伴 い 、EN 否定 における概念構造 に制約 を立てる提案 を したこと、( 参 意味論的条件 の妥当性 を構文文法 によって説明付 けたこと、 と要約 される

6 . 今後の課題

検討 すべ き今後の課題 として、① EN 否定 における格のあ り方 を明確 にす る こと、② EN 否定 における構文 間の ネ ッ トワー クを詳細 に分析 す る こ と、

特 に否定語の動詞の前置、否定語の移動 ( Tr a n s p o r t ed el aNe g a c i 6m)等の構文

(16)

に拡張 しうる可能性 を模索す ること、③構文 の項構造 に よって与 え られ る意 味役割 を明 らかにす ること、等が挙 げ られ よう o 特 に意味役 割 と項構造 は密 接 な関係 を持つため、意味役割 を枠外 に置 きなが ら項構造 を議論 す るこ とは 非常 に危険 を畢 む。今後 は意味役割 を絡めた EN 否定 にお け る項構造 の研 究 が急務である

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1 ) Bos qu e( 1 9 8 0) 、SA nc h e z L d p eZ( 1 9 9 9 ) 他 を参照O

2) 出口 ( 1 9 9 5 a : 21 8,1 9 9 5 b: 5 51) も主題化の観点か ら EN 否定 を説明 している。

3) ( 8)の従属節の極性判断はインフォーマ ン トに よって異 なるので、唆味 とすべ きで ある。

4) 動詞の ダイナ ミクスに関 しては Ve ndl e r( 1 9 6 7 ) 、影山 ( 1 9 9 6 ) 他 を参照.

5 ) La ko f f&J oh ns on( 1 9 8 0) 及びLa kof f( 1 9 87 ) を参照。

6) ( 1 0) が示す ように、動詞の ダイナ ミクスや t el i c i t y によってのみ EN を伴 った表現 の極性 が変化す る可能性 は否定 されるが、動詞の成分分析では pe ga 一o j o の ように 常 に否定辞 を伴 って出現する動詞 を考慮す る必要がある。

7 ) プロ トタイプ命意 の詳 しい議論は Ta ba ya s hi( 2 0 0 3) を参照。

8) ( 1 9) の反例 と思 われる ものに以下の例文がある。

( i )a . Enpa J l ea lgu nas el epue dee n c ont r aJ ' ・

b. Ena l gt mapa r t es el epu e deen c ont r a r .

( i a ) は否定解釈 、( i b) は肯定解釈 を取 るが、 これは EN 否定 とい うより pa r t ea i guna の否定辞的振 る舞 いの影響の方が強い と思 われる。即 ち 、( i a ) の否定極性は EN 前置詞 句が主老化 したことで生 じた ものではな く 、N + a l guno/a の語嚢的特性 ない しは統語 的特性 と考 えられる。

9 ) プロソデ イない しは語用論的要素 を考慮 に入れると ( 1 9 ) の妥当性が崩れることがあ

(18)

る。

( i )Ent uvi daha st r a ba j a dot a nt o・

( i )紘 ( 1 9 ) に従えば肯定解釈 を持つが、音調 によって否定解釈 を取ることもある o( i i ) の大文字の部分は卓立 ( プロミネンス)が置かれたことを示す.

( i i ) a . Enl uVi daha sl r a ba j a doTANTO・

b. Ent uVI DAha st r a ba j a dot a nt o・

( i i a )紘 ( 1 9 ) に従い肯定解釈 を持つが、 ( 孟 i b) は EN 前置詞句内の Vi DA に卓立 を置 く ことによって否定解釈 を持ちうる。原因 として、否定極性 に直接 かかわる要素 を強調す ることにより 、t a nt o の意味的役割が減 じている可能性が考えられる 。J a c ke ndof f( 1 9 7 2 ) も参照。

語用論的な知見か らは 、( i i i ) 及 び ( i v) が選択的前置詞句が出現 しているに もかかわ ら ず否定解釈 を持 ちうる。

( i i i )Enl odal at a r deh ev e n di dou npu l o/ma ll i br oc omoa y e r . ( i v)Ent uvi daha st r a b a j a dot a nt oc omob oy.

( i i i ) では 、put o/ma l が否定極性 を誘発する誘因子の解釈が考えられるが、だか らと いって pu t o/m a 且を端的に否定の誘因子 と決定することはできない .( i v) は hoy との比 較によって否定の解釈が容認 され うる。対比的 な肯定命葛 を常 に背後に持つ ものが否定 文である とす るならば 、( i i i ) と ( i v) は否定文 における前提 の肯定命題が副詞句 como a ye r/hoy によって表現 されているために否定 と解釈 され うる。従 って、語用論的要因

も EN 否定の分析には無視で きない。加賀 ( 1 9 9 7:1 4 0) も参照。

1 0)La kof f( 1 9 8 7 ) は 、t he r e 構文によってこの重要性 を示 している0

ll)

影山 ( 1 9 9 6) はこの区別立てが重要である と論 じている。

1 2) 松本 ( 2 0 02) では,構文理論は動詞の意味 を軽視 しているとの主張か ら、構文知識 に 対 しで慎重な姿勢 を示 している。

1 3) こうした項の不一致は、事象構造の どの部分 を焦点化するかに よって も変化す るO 例えば、 The yvot e df orh e r と The yv ot e dhe ri nt oof f i c e において、前者は一項動 詞、後者は二項動詞 となる ( 西札 2 0 0 2: 2 9 3) 0

1 4) 影山 ( 2 0 0 2:1 2 2 ) は 、 ( 2 3) を 「 語嚢概念構造における項構造のす りかえ」 として 説明 し、統語構造 と語嚢概念構造の インターフェイスに項構造があ る と主張す るO 影山 ( 1 9 9 6:1 3 3) も参照。

1 5) 意味構造の表示は J a c ke n dof f( 1 9 9 0) に準拠 し、意味分解は BECOME や ACT とい った基本的な意味成分に還元 され うるの を前提 としている。

1 6) 概念構造における極性 ( P OL) の位置は中右 ( 1 9 9 4) を参照。

1 7) 本稿では同一指示標識 にローマ字 を用 いたが 、J a ckendof f( 1 990:62) の項束縛 ( Ar gume ntBi ndi ng) と同義である

1 8 )3 . 1節 ( 1 9 i ) 参照。

(19)

1 9 )Al a r c osuor a c h ( 1 9 8 0 ) は、多 くのスペ イン語の動詞は 自動詞的に も他動詞的にも 用い られる と指摘 している。

2 0 )Gol dbe T g は、構文文法 を 「 解明で きか 一 言語表現の ごみ箱 的存在」 に しないため に、ある言語表現 に対 して何 を構文 として扱い、 また、 どこまで を単語の特性 とす るかに関 して五つの意味論的制約 を立てている ( Gol dbe r g ,1 9 9 5 :1 7 4 ).EN 否定は 当面 この制約 をクリア している ものの、それぞれの制約 に関 しては課題が残 されて いるように思われる。

21 )L evi n & Ra po po r t( 1 9 8 8:2 8 2 ) は語桑的従属化 ( Lexi c a 呈Subor di na t i on) を使 って、

あるノ 動詞の基本的意味 に新たな述語 を従属化 させ ることで構成性の原理 を保 とうと しているO これは J e s pe r s e n ( 1 9 2 8: 2 3 2 ‑ 2 3 4) を基盤 とした伝統的な考 え方であるが、

生成語嚢論 と同様 、動詞 に付 加 され る情報 が多 す ぎる とい う欠点 を持 つ。太 田 ( 1 9 8 0 ) も有限規則の循環適用 とい う観点か らこの姿勢 を崩 していない。

2 2 ) 意味役割の定義 は大堀 ( 2 0 0 2 ) による。意味役割 l oc a t i on は時間的場所 とい うメタ

ファーに関連 して生 じた ものである。

(20)

<Re s u me n>

Co ns i de r a c i 6ns obr el a sc ondi c i one s del ane ga c i 6nc o nEN

Yoi c hi Ta ba ya s hi

Ene s t et r a b a j oi nt e nt a mosa na l i z a rl ae s t r uc t ur ac onc e pt ua ldel ane ga c i 6nc on EN s e gd ne lme t ododei a Gr amdl i c adeCo n s t r u c c i d nForGol dbe r g( 1 995) ・De f i

m

i m o sl a n e ga c i 6nc onENc omoe nl a se xpr e s i one ss l gul e nt e S ・

En C odai at a r dea ga r r 6unar a t a . En t uvi daha st r a ba j a do. Pe dr oI

Au nqu en oa pa r e c el apa l a br ane ga t i vae nH) , e s t a sf t a s e si ndi c a ni ane ga c i 6nFore 王 el e me nt odeEN.ET le S t ea r t l ' c ui opmme r a me nt ea c l a r a mosl a sc on di c L ' on e ss i n t dc t i c a sde l an e ga c i dnc onENs i na pa r e c e rpa l a br a sne ga t i va s .Ens e gundol ug a L r ,e nl ape r s pe c t i va s em畠 nt i c a ,c or m ider a ndoi a sc ondi ci ome ss i nt 畠 c t i ca ss uponemosユ a ss e mぬt i c a sdel a ne ga ei dnc onEN・Fi na l me nt ef or mul a mosl ae s t r uc t ur aa r gume nt a ldel an ega c i dnc on ENya na i i z a mose ipr ot ot l POdel an e ga c i 6nc or lENc omos l gu e.

( 2)Compos i t es t nl C t ur e: Ne ga t i onofEN

Se m l oe at i on <a ge nt 遡 >

R:me a ns , PRED

Syn + Te m LOCt ' V SUBJt r ae e i

Comoe ni a sf ut ur a si nv e s t l ga C i on e s , e s t udi a r e mosl ai de nt i f i c a c i 6ndel o§c a s °sye l

pap els e m孟 nt i c odel an e ga c i 6nc onEN.

参照

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