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柔道選手が膝損傷からの競技復帰後に不安感や痛みを呈する動作についての質問紙調査
Identifying Judo Movements that Cause Apprehension and Pain after the Recovery from Knee
Injuries:A Questionnaire Analysis
越田専太郎 了德寺大学健康科学部 整復医療・トレーナー学科
出口達也 広島大学大学院教育学研究科
谷村和也 広島大学教育学部
キーワード:柔道、膝損傷、不安感、質問紙調査、アスレティックリハビリテーション
Abstract
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序論 柔道競技は技術的には投技、固技から構成される格闘技であり、その競技特性からスポーツ損傷のリスク は高い。中でも膝損傷は最も受傷頻度の高い損傷の一つとされ1-6)、しかも比較的重症になりやすい。市川1) らの報告によれば、8 歳から 19 歳までの柔道選手において膝関節の損傷率は 182 名中 58 名(31.8%)と最も高 く、大学生および警察官では 331 名中 77 名(23.3%)と、肩関節、足関節および足趾の次に高い頻度で発生し ている。また西村ら6)は、2001 年 4 月から 2002 年 9 月までの間にスポーツクリニックを受診した男性柔道 選手における膝損傷の割合は約 30%、女性柔道選手においては約 40%であり、柔道選手では膝損傷の受傷が 最も多かったと述べている。島田4)は、柔道による膝関節の損傷 50 例を対象にした研究において、膝前十字靭帯(anterior cruciate ligament;
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重量級選手の場合、軽量級の選手と比較して膝関節にかかる負担も増加することから、膝損傷に柔道競技パ フォーマンスに与える影響が大きくなることは容易に推察できる。その他にも手術の有無や受傷後どれほど の時間が経過しているかにも不安感や痛みは影響を受けることが予想される。 以上より、本研究は膝損傷後に柔道選手が不安感・痛みを訴える動作を調査すること、さらに性別、体重 階級、膝関節損傷部位、手術の有無、受傷から調査までの期間が不安感や痛みを呈する動作の関連性を明ら かにすることを目的とした。 方法 対象 高校または大学柔道部に所属し、過去に柔道による膝損傷のため医療機関を受診し、かつ1週間以上の稽 古休止を経験した選手 65 名(男子 43 名、女子 22 名)に本研究の目的、内容を説明した後、参加への同意を 得た。対象全体の特性は表 1 に示す。本対象は競技力の比較的高い柔道選手群であり、全国大会入賞経験者 17 名、全国大会出場経験者 21 名、県大会入賞経験者 16 名を含んでいた。なお、調査時には全ての選手が通 常通りの柔道の稽古に参加していた。 全体(N=65) 男性(N=43) 女性(N=22)Mean±SD Mean±SD Mean±SD
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と報告されている動作や試合や練習で頻繁に使用される技術に関して自由記述調査を実施した後、内容妥当 性を考慮して 51 項目を選択した。その後、「自分から仕掛ける場面」15 項目、「相手から仕掛けられる場面」 27 項目、「返し技を受ける場面」9 項目の 3 場面に分類した。以上の質問項目の選択は、柔道経験 10 年以上 の有段者 2 名により行われた。 分析方法 膝損傷後に不安感や痛みを呈する柔道動作を尋ねる各質問の回答項目において、「ある」と「ない」、「わ からない」の比率の差をχ2検定により検討した。さらに、有意差が認められた項目に対しては多重比較検定 を行い、不安感が「ある」、「ない」、「わからない」と回答した対象数の差を比較した。 さらに、性別、体重階級、損傷部位、手術の有無、受傷から調査までの期間と不安感や痛みを呈する動作 との関連を分析した。その際、体重階級、損傷部位は 3 群に、受傷から調査までの期間に関しては 4 群に対 象を便宜的に区分して分析した。体重階級は男子 60kg、66kg 級、女子 48kg、52kg 級の柔道選手を軽量級群 (12 名)、男子 73kg 級、81kg 級、女子 57kg、63kg 級の柔道選手を中量級群(30 名)、それ以上の階級の選 手を重量級群(23 名)と区分した。また、柔道で生じる膝損傷は多岐に渡るため、対象を最も重症度が高い と考えられる ACL 損傷を含む群(ACL 損傷群)(17 名)、柔道の膝損傷において受傷頻度が最も高いと考えられる9)内側側副靭帯単独損傷群(Medial collateral ligament, MCL 単独損傷群)(22 名)、その他の損傷群(26
名)の 3 群に区分した。なお、その他の損傷群には、半月板単独損傷 8 名、外側側副靭帯損傷 5 名、PCL 単 独損傷 3 名、関節軟骨損傷 1 名、PCL+半月板複合損傷 1 名、不明 8 名が含まれた。最後に、受傷から調査 までの期間は、損傷後 6 ヶ月以内群(11 名)、損傷後 7 ヶ月以上 12 ヶ月以内群(8 名)、損傷後 13 ヶ月以上 24 ヶ月以内群(13 名)、損傷後 25 ヶ月以上群(33 名)に区分した。以上の各要因群と膝損傷後に不安感ま たは痛みが「ある」と回答した対象が「ない」および「わからない」と回答した対象と比較して有意に高い 割合を示した動作項目でクロス表を作成したのち、χ2検定によりカテゴリーの独立性を検討した。さらに有 意な関連が認められた質問項目には、多重比較検定を実施した。なお、k×l クロス表の独立性を χ2検定によ り検討する場合、期待度数が 5 以下のセルが 20%以下で、かつ最小期待度数が 2 以上である必要がある10)。
そのため、この条件を満たさない場合は Fisher の exact test を用いて分析した。また、本研究における統計学 的有意水準は 5%としたが、多重比較の際は Bonferroni 法により有意水準を管理した。これらの統計解析に は Microsoft Office® Excel 2003(Microsoft 社)を用いた。
結果
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* 表 4-3 怪我をした膝側に足払、小外刈をかけられた動作への不安感と
損傷部位との関連
Fisher’s Exact test P=0.638 表 4-1 怪我をした膝側に足払、小外刈をかけられた動作への不安感と
性別との関連
Fisher’s Exact test P=0.768
表 4-2 怪我をした膝側に足払、小外刈をかけられた動作への不安感と 体重階級との関連
Fisher’s Exact test P=0.674
表 4-4 怪我をした膝側に足払、小外刈をかけられた動作への不安感と 手術の有無との関連
Fisher’s Exact test P=0.603
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8)橋本実:性周期が膝前十字靭帯損傷に与える影響. 臨スポ医学 19:995-1000,2002.
9)宮崎誠司ほか:大学柔道選手の膝関節傷害の 11 年間の推移について. 東海大スポーツ医科学雑誌 14:58-62, 2002. 10)出村慎一:[例解]健康・スポーツ科学のための統計学. 大修館書店, 東京, 1996.
11)福山陽子ほか: 柔道選手の膝前十時靭帯損傷からの競技復帰. Arthritis-運動器疾患と炎症- 2:68-72,2004. 12)Levangie, P. et al:Joint structure and function A comprehensive analysis 3rd edition, F.A.Davis, Philadelphia, 2001.
13)野口昌彦ほか:柔道選手の膝関節外傷、障害の実態について. 整スポ医誌 5:67-70, 1986.
14)Koshida, S. et al: The common mechanisms of anterior cruciate ligament injuries in judo: A retrospective analysis. Br. J. Sports Med. In press.
15)米田實ほか:柔道における下肢の損傷と対策. 臨スポ医学. 19:255-261, 2002.
16)越田専太郎ほか:柔道選手における膝前十字靭帯(ACL)損傷の受傷機転. 柔道 72: 98-103,2006.
17)財団法人日本体育協会:公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト① アスレティックトレーナーの役割. 日本体育協会, 2007.
18)Najibi,S. et al.:The use of knee braces, part1: Prophylactic knee braces in sports. Am. J. Sports Med. 33:602-611, 2005. 19) France, E. et al::The biomechanics of lateral knee bracing, part II: impact response of the braced knee. Am J Spots Med.
15:430-438, 1987.
20)財団法人全日本柔道連盟:国際柔道連盟試合審判規定, 全日本柔道連盟, 2003.
21)Gerrard, DF, et al:External knee support in rugby union. Effectiveness of bracing and taping. Sports Med. 25:313-317, 1998. 22)大工谷新一:前十字靭帯損傷、内側側副靭帯損傷、内側半月損傷保存例に対する理学療法-スポーツ動作許可後にみ