福岡 講平 内容の要旨
論文内容の要旨
緒言 頭蓋内胚細胞腫(iGCT)は、小児期から若年成人で主に発症する悪性脳腫瘍の一つであり、日 本を含めたアジアでは、欧米に比べ頻度が高く、研究、治療の進捗がより強く求められている疾 患である。頭蓋内胚細胞腫は、胚腫(ジャーミノーマ)と、それ以外のnon-germinomatous germ cell tumor (NGGCT)に大きく大別され、元来、成熟奇形腫以外の NGGCT は、ヒト絨毛ゴナドト ロピン(HCG)やアルファフェトプロテイン(AFP)を産生するのが特徴とされる一方で、ジャ ーミノーマでも、ある程度の頻度でHCG が検出されるが、欧米では、iGCT の診断に腫瘍生検を 必須としていないことなどから、その頻度は報告により異なっていた。また、ジャーミノーマ症 例の予後とそのHCG 値との関連については、複数の報告がなされているが、結論が出ていない。 血液又は髄液中HCG 検出の有無によりジャーミノーマ症例の予後を比較したが、有意差を認め なかったとする報告が複数ある一方で、HCG 産生ジャーミノーマ(HCG-producing germinoma) 症例は、非産生症例に比べ、予後不良とする少数例の報告があることなどから、欧米では、ジャ ーミノーマを血清または髄液HCG 値 50mIU/L 以上を境に、治療を層別化しているが、その根 拠は明確になっていない。我々は、腫瘍生検を行い、病理学的に診断を確定したジャーミノーマ 症例の血清及び髄液中のHCG 値を、共著者の一人である片上らが開発した、超高感度 HCG 測定 法により測定し、ジャーミノーマ症例における正確なHCG 検出頻度を求め、また、髄液 HCG 値 と臨床情報を解析し、その予後との関連について、検討した。 症例、検体および方法 埼玉医科大学国際医療センターおよび埼玉医科大学病院にて診療を行った46 症例(ジャーミノ ーマ 35 例、NGGCT 7 例、術前診断で iGCT との鑑別が困難であったその他の頭蓋内疾患 4 例) について、髄液、血液中HCG 値を測定し、ジャーミノーマ症例においては、後方視的に診療録 氏 名 福岡 講平 学位の種類 博士(医学) 学位記番号 乙第1320 号 学位授与の日付 平成28 年 7 月 22 日 学位授与の要件 学位規則第3 条第 1 項第 4 号に該当 学位申請論文タイトル及び掲載誌Human chorionic gonadotropin detection in cerebrospinal fluid of patients with a germinoma and its prognostic significance: assessment by using a highly sensitive enzyme immunoassay
ジャーミノーマ患者の髄液中ヒト絨毛ゴナドトロピンの検出とその予後的意義:超高感度 測定法による評価
Journal name: Journal of Neurosurgery: Pediatrics 2016 年 4 月 15 日掲載受理 2016 年 7 月 8 日電子版掲載
学位審査委員(主査)教授 佐々木 惇