秋 田大学工学資源学部研究報告,第
2 5
号,2 0 0 4
年10月論 文
秋田南西地域における泥岩の力学特性
今井 忠男 *・鴨志 田直人 *・西村幸一 *・杉 本文 男 * 渡部専 一 **・渡辺幸 弘 **・佐藤允 ***
Me c ha ni c a lPr ope r t i e soft heMuds t onei nt heSout hwe s t Ar e aofAki t aPr ef e c t ur e.
Ta da oI ma i * , Na o t oKa mos hi d a * , Ko uc hi Ni s hi mu r a * , Fu m i oSugl mO t O*
Se nni c hiWa t a na be
**, Hi r o yukiWa t a na be
**,Ma ko t oSa t o** *
Abs t r ac t
l nt hi sr e s e a r c h,wepr opos eade s i gnofs a f ec u t t i ngs l opef ormuds t one( Ne oge ne )i nt hes out hwe s ta r e aofAki t a Pr e f e c t ur e .
Atl wa ki ‑ c ho( s ou t hwe s ta r e aofAki t aPr e f e c t u r e ) ,as l opef a i l u r eoc c u r r e da tar oc kc u ts i t ef orahi ghwa y .Wei nve s ‑ t i ga t e di t sge ol ogi c a ls t r uc t u r e ,phys i c a la ndme c ha ni c a lpr ope r t i e s ,a ndwe a t he r i ngc ha r a c t e r i s t i c.
Asr e s ul t ,i ti sf oundt ha ts l a ki nga ndwa s h‑ of fofc e me nt l ngma t e r i a lsb ys e e pa gef 一 ow c a us et het hemuds t onet o de t e r i or a t ea ndi t sc ompr e s s i ves t r e ng t hde c r e a s er e ma r ka bl y . The r e f or e . whe nc u t t i ngt hes l opei nt hi sa r e a , C a r es houl db e t a ke nt opr e ve ntf i l t r a t i onofr ai nwa t e r ・Mor e ove r .ane wl yc u t t i ngS l opef ort hemuds t ones houl dbede s i gne da t 20‑ 25 de gr e e sbe c a us et hes ui t a bl ea ngl eoft hes l opef わrna t ur a l l ywe a t he r e dmuds t onei sa bou t 20 de gr e e s 。
1 .
は じめに秋 田県 の南西部 に位 置 す る岩城 町 で は,1 998 年 か ら日本海沿岸道路 の開発 に伴 い,町道 ( 二古 一亀 田 線 )の整備 が お こなわれて い る. しか し, 2000 年 よ り,既 に開発 され た一 部 の法 面 で崩壊 等 が発生 し, これ以降の開発 は慎 重 に進 め られてい る。
斜 面崩壊 が発生 して い る地域 は,堆積性軟岩が広 く分布 す る地域 に属 し,今後 , 日本海沿 岸道路 の開 発 お よび周辺 の ア クセ ス道 の整備 を進 め るにあた っ て は, これ ら日本海沿岸 に広 く分布す る泥岩 の力学 的 な特徴 お よび風化特性 を,詳細 に解 明す る必要が あ る.
本研 究 で は,上述 の災害事例 を踏 まえ,今後,二 古 一亀 田線 の拡 幅工事が予定 されてい る露頭 につ い て,地質調査,採取 され たボー リングコアの物理 お よび力学 的試験 ,風化特性 な どにつ いて詳細 な検討 をお こない,安全 な斜面 の開発計画 につ いて考察 を お こな った。
2004
年7 月 24
日受理*
秋 田大学 工 学 資 源 学部地 球 資 源 学 科 .De pa r t me ntofEa r t h Sc i e nc ea ndTe c hn ol ogy , Fa c ul t yofEng ine e nnga ndRe s ou r c e Sc i e nc e, Aki t aUni ve r s i t y.
* * 岩城町役場・I
WA
KITownOf f i c e :
*** 創和技術 (秩 ).
sowAEngi ne e r l ngCo.
,Lt d.
1
2. 調査地域 2. 1 調査地域 の地質 ・地形 と災害
図 1に今 回の調査地域 の地質 図 を示す.図 よ り,冒 本 海 沿 岸 道 路 の開 発 お よび ア クセ ス道 の整 備 に あ た って は,海 岸線 に平行 して南北 に伸 び る天徳寺層 ( 新第三紀)の調査 ・研 究が重要 と考 え られ る.本論 で は,図 中の天徳寺層 内の研究地域 につ いて,調査 ・ 研 究 をお こな った.
図 2 に この地域 の航空写真 を示す.沿岸 の二古地 区 は二古川の扇状地で あ るが, その他 の大部分 は山 岳地形 で あ る. この地域 を東西 に貫 く二古 一亀 田線 は,沿 岸 の二古地 区か ら図 中の ( a)お よび ( 也) を 通 って 内陸の亀 田地域 に至 る道路 で ある.従来, こ の道路 は二古川支流 の水文 に沿 って建設 されていた。
図 3に図 2で示 した ( a),( b)地 点 の露頭 を示す.
図 3 ( a) は今 回の調査 ・研究地域 であ り,道路拡 幅 のた め,西側斜面 を開発 す る予定で あ る. この断崖 は,周 囲の岩盤 に比較 し硬 いシル ト岩 か らな り,顔 著 な崩壊 の跡 は見 あた らない.また,図 3( b) は,新 た に開発 され た二 古 一亀 田線 のバ イパ ス道 で あ り, 開発後 1年程度 ( 2000 年 )で斜面崩壊 した現場で あ る。この法面 で は,開発 に よって露 出 した泥岩層が, 雨水 の影響 に よって,短期 間 に風化 ( ス レー キング な ど) してい る.
本研 究で は,図 3 ( b)の崩壊事例 を参考 に,道路
琶蓮 fJ ̲̲̲̲̲̲題̲ぎ
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妄野 轡 妄野 轡
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凡例
銅
[
…≡≡約 諾 … 砂 お よ び襟闇 シル ト岩
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シル ト岩 砂岩 お よび舌変性 凝 灰 岩
砂 岩 し凝 灰 質砂 岩 お よ び幣 性 凝 灰 岩 )
泥 岩 i凝 扶 琵砂 岩 お よ び酸性 凝 灰 岩酸性 凝 灰 岩)
断 層
背斜 軸 (点線 は推 定 ,7
向 斜 軸 (点線 は推 定 )
図 1 調 査地 域 の地 質 図
至 秋田市
至 本荘市
図 2 調 査地 域 航 空写 真
至亀田
( a)調査露 頭
( b)斜面 崩壊
調査地
点( ●N ( ) . L ON( ) . 2 )
図
3
調 査地 域 の露 頭 図4
ボー リン グ位 置拡 幅工 事 に よって切 出 され る図 3 ( a)の露頭 で, ど の よ うな開発 の場合 に崩壊 が発生 す るのか,露頭 の 開発条件 な どにつ いて検討 をお こなった.
2. 2 ポ ー リング位 置 と露頭 断面
図 4に先 の図 3 ( a) の露頭 にお けるボー リング位 置 を示 す.露頭下 部 の● は
No.1孔,露頭 上部 の○ は
No.2孔 を示 してい る.次 に,図
5に
No.1孔 お よび
No.2孔 にお け るボ ー リン グ柱 状 図 お よび RQD を示 す .
No.1孔で は,数
cmの表土 の下 に深度
17mまで風化
シル ト岩 お よび シル ト岩層 で, それ以深 は泥岩 層 と な って い る. RQD は,シル ト岩層で は
70‑ 100%と 大 きいが,泥岩 層 で は
40‑70% と小 さ く,と くに
26m以深 で小 さい傾 向 にな る こ とが わか る. また,
No.2孔 で は,数十
cmの表 土 の下 に深度
9mまで強風化 シ ル ト岩 お よび風化 シル ト岩 層 で, それ以深 は泥岩層 となって い る. RQD は,風化 シル ト岩 層 お よび泥岩 層 で大 きな違 い はな く,ほぼ
60‑ 100%の間 に分布
して い る.
次 に,図 6は,図 4の ( A)お よび ( Aり 問 の地質 断面 を露 頭 の調 査 を も とに推定 した もので あ る.図 よ り,露頭 の勾配 は
No.1孔 の少 し上部 で変化 して お り,勾配 変化 点 の上部 で約
200,下部 で約
40°で あ る.
また,地 層 は約
800東 へ傾 斜 して お り,シル ト岩 と泥
秋 田南西地域 における泥岩 の力学特性
No
,1
孔 柱 状斑 土筆区分(色調)
R.Q.D
.
0
0
.51
No2
孔
柱状函 土饗区分(色調)
R . QD.
0
0. 5 1 No. 1 ‑ 1 No. ト4 No. 2‑ 2
3
(≡ )
憧蟹 00 0
7∠U 5
004つJ0 2 へノ At
図5 ボー リング柱 状 図
0AU
07
50 40
3 0 2 0 1 0 0
距
離 ( m)
図
6
露頭断面図( A)
岩 の互層 とな って い る.道路 か ら勾配変化 点 まで上 部 シル ト岩層 ,次 に上部 泥岩 層, その下 に下部 シル ト岩 層 を挟 ん で下 部 泥岩 層 が続 いて い る. た だ し, 上部泥岩層 と下 部 シル ト岩層 の境 界位 置 は推定 で あ
る.
ボー リン グ孔 内の水 位 は,図 中 に▼ で示 して お り, No. 1 孔 お よび No. 2 孔 とも表 層 よ り
3‑ 4m下 の あた
りにあ る.
こ こで,道路拡 幅 のた め露頭 を切 り取 る と,道路 側 の シル ト岩 層 はほ とん ど掘 削 され,一部 に下部 シ ル ト岩 を挟 んだ泥岩 層 が法面 とな るこ とが予想 され る. よって, 上 ・下 部 の泥岩層 に よる法面 の安定性 を検 討 す るた め,図 中 に示 した ボー リング孔 の位 置 か らそれ ぞれ の泥岩 を採 取 し, これ ら泥岩 の物理 的 お よび力学 的性 質 を検 討 した.
泥岩試 料 は,No. 1 孔か ら5 つ,No. 2 孔か ら4 つ の コア を採 取 し, ラ ップに包 ん で現 場 か ら輸 送 した.
l:(・ . t] N rJ
い.)'LW .. ‑
・l(図
7
試験 片 の破 壊状 態0 5 ll
0 5 0 0 0 1 0 0 00 軸 ひずみ ( ×10 6)
図
8
試験 片 の応 カ ー ひず み線 図泥岩試 料 は試験 片 に整形 した後 ,湿潤 の ままチ ャ ッ ク付 きビニール袋 で保 存 し,す ばや く試験 に供 した.
なお,試 料番号 は,上方か らNo. 1 ‑ 1 , ト 2 ,・・・と す る.
3.
実験結果3. 1 ポ ー リング深度 と講物性値
図 7に一軸圧縮試験 後 の泥岩 試験 片 を示 す.圧縮 試験 で は, ボー リン グ軸 方 向 に載荷 した.上 部泥岩 層 の試験 片 No. 1 ‑1 お よびNo. ト 4 は,表面 が暗灰色 か ら黄褐 色 に変 色 してお り,
70‑ 800に傾 斜 した層理 が み られ る.圧 縮 破 壊 に よ る き裂 は, この層 理 に 沿 って発達 しや す く,明確 な破 断面が形成 されて い る. これ に対 し,下 部泥岩層 の試験 片 No. 2‑ 2は,暗 灰色 の ままで 明瞭 な層理 も見 られず,圧縮過 程 にお いて, き裂 は発達 す るが明確 な破 断面 は形成 され な い
図8 に先 の試験 片 の応 力 と軸 ひず みの関係 を示す.
No. 日 は脆性 的 に破壊 し,強度 もヤ ング率 も
3者 の
中で最 も大 きい. No. I ‑ 4も脆 性 的 に破壊 して い る
が,強度,ヤ ング率 ともにNo. 1 ‑1 よ り40%程 度小 さ
い. また, No. 2‑ 2は強度 , ヤ ン グ率 ともに小 さ く
No. 日 の 1 / 3 程 度 で あ るだ けで な く, 明瞭 な強度点
圧縮強度
( MPa)
S波速度 (km/S) 空隙率 (%) pHo 5 1 0 1 5 2 0 0. 6 0. 8 1 . 0 1 . 2I.4 3 2 3 6
40 6. 0 7. 0 8. 0
圧縮強度
( MPa)
S波速度 (km/S) 空隙率( %)
pH0 5 1 0 1 5 20 0. 6 0. 8 1 . 0 1 . 2 1.4 32 3 6 40 6. 0 7, 0 8. 0
図
9
ボー リング深度 と各物性 値が見 られず に延性 的 に破壊 す る こ とが わか った.
図 9 は, No. 1 孔 お よび No. 2 孔 の各 泥岩試 料 につ い て,一軸圧縮 強度 ,s 波速 度,空 隙率 ,試料 の新鮮 な 表面 ( 切 断面)の pH を測 定 し,試 料 の深度 と各測 定 値 との関係 をボー リング孔 ご とに示 した もので あ る.
なお,岩 石 の pH 測定 にあた って は,試 料 を水 で飽 和 させ た の ち,乾 燥 が進 み難 い室 内で数 時 間放 置 し, 表面 を湿 らせ た試料 に直接 pH 試験 紙 を押 し当てて測 定 した.また ,No. 2 孔 の試 料 は軟 弱で き裂が多 く,円 柱 試験 片 が作製 しに くか ったた め,‑軸 圧縮 強度 と s波速 度 の デー タは 2 つ とな った.図 よ り, No. 1 孔 の上部泥岩層 で は ,1 m の 区間 において,深 くな るに したが い,‑軸圧縮 強 度が低 下 す る傾 向が見 られ る.
また,S波速 度 と空 隙率 はあ ま り変化 しないが,
pHは深 度 に したが って低 下 す るこ とが わか った. さ ら に, No. 1 孔 で は,図 5 の R( 〕D が示 す よ うに ,26m 以 下 の深 度 か らは, コアに多 くの き裂 が発達 し,棒 状 の コアは採取 しに くか った. この こ とか ら, No. 1 孔 の深 部 の泥岩 は,浅部 よ り軟 弱で あ る と推察 され る.
これ に対 し ,No. 2 孔 の下部泥岩層 で は, No. 1 孔試 料 と比較 し,強 度,空 隙率, s 波速 度 は小 さ く, pH は中性 付近 で あ る こ とが わか る.す なわ ち, この泥 岩 は,強度 お よび s波 速 度 が小 さい こ とか ら,固精 度 が低 く,土 や粘土 の よ うな塑性 体 に近 い,典 型 的
な軟岩 で あ る と考 え られ る.
3. 2 化 学 的変 化
図 1 0 に No. 1 孔 お よび No. 2 孔 それ ぞれの泥岩試料 の Ⅹ線 分析 ( 粉 末法)結 果 を示 す.図 よ り,両者 と も,主 にス メ クタイ ト,石英 ,斜長 石か らな る同様 な鉱 物組成 を示 して い る.と くに ,No. 2 孔試 料 に は, よ り多 くの ス メ クタイ トが含 まれてい る こ とが わか る. す なわ ち,両者 は,地質 年代 お よび鉱 物組成 と も極 め て似 か よった泥 岩 で あ り, 同層 上 部 の岩 石 ( No. 1 孔) に比較 し,下部岩 石 ( No. 2 孔) は, ス メ クタイ ト含 有量 が多 く固結度 が低 い こ とを考慮 す る ど,下 部岩 石 ( No. 2 孔) は風化 した と推測 され る.
図 11 は, No. 1 孔試験 片 の表 面 と内部 ( 破 断面 )を 示 した もので あ る.表面 は黄褐色で あ るが, 内部 は No. 2
孔試 料 と同様 の淡 灰色 で あ る.す なわ ち, No. 1 孔 の試 料 は,短 時 間 の うち に表面で化 学反応 が進 ん で い る と考 え られ る. これ に対 し ,No. 2 孔試 料 に色 の変化 はな い.
図 1 2 に No. 1 孔試 料 の表面 の顕微鏡写真 を示す.読 料表 面 に析 出 した結 晶 は,色 お よび形態 か ら,鉄 明 嬰石や石膏 な どの硫酸塩 お よび赤鉄鉱 と推察 され る.
す なわ ち, No. 1 孔 の泥岩 は,水 と空気 の触 れ る領域
で酸 化 反応 を生 じやす く,これ に よって pH が低 くな
秋田南西地域 における泥岩の力学特性
Qz:石英,Pl:斜良石
s w sW :スメ クタイ ト Pl
Pl
Qz Pl
目上
No.2
Qz
No.1Pl j l k
譲叫 棚
2 1
0 20
28
図
1 0
岩石試 料 のX線分析結果 30
図
11
試験 片( No
」) の破 断面る と考 え られ る. なお,本泥岩試料か らは黄鉄鉱 が 確 認 され なか ったが,泥岩 中の植物起源 の硫 黄 とバ クテ リアの反応 に よって,酸化反応 お よび硫酸塩 の 析 出 は可能 で あ るこ とが知 られて い る (1)
4. 考 察 4. 1 混岩 の風 化
調査対象 に した露頭で は,上部 の シル ト岩層 お よ び泥岩層 ( No. 1 孔)に比較 し,下部 の シル ト岩層 お よび泥岩層 ( No. 2 孔)が風化 し劣化 して いる こ とが, 柱状図 ( 図5) に示 した コアの観察 お よび力学試験 の 結果 わか った. また,露頭 の表層 において,上部 シ ル ト岩層 の斜面勾配 は 400 で あ り,上部泥岩層の斜面 勾配 は 20 0 で あ るこ とか ら,泥岩 は表層で風化 し,強 度 の低下 が大 きい と推察 され る.
これ ら泥岩 の風化 は,露頭 の観察や力学試験 結果 な どを考慮 す る と,表層 での酸化 反応 等の化 学的要 因 よ り, ス レーキ ングお よび浸透流 に よる固結成分 の流 出 に よる影響 ( 2 )が大 きい と推察 され る.泥岩 に
鉄明馨石 赤鉄鉱
図
1 2
試験 片表面 の酸化状態7 0 6 0 5 0 40 3 0 2 0 距 離 ( m)
図13 路頭断面 の風化 モデル
5
ス レー キ ングが生 じるためには,含水状態 とあ る程 度 の乾燥状態 とを繰返 す必要が あ る( 3 ) .したが って,
この露頭 の場合,表層か ら 30m の深部 で十分 な乾燥 状態 にな るこ とは困難で あ る.す なわち,泥岩層 は, 表層 で はス レー キ ング,深部 で は浸透流 に よる固結 成分 の流 出に よって,変質 ・劣化 す る と考 え られ る.
以上 の ことを考慮す る と,露頭上方か ら浸透 した 雨水 は, No. 2 孔深部 まで浸透 した後, No. 1 孔 の深部 へ と浸透 す る経路 を形成 し,浸透 した領域 の岩石 を 劣化 させ た と推察 され る.
また,No. 2 孔深部 の泥岩 は,地表 に取 り出 して も No. 1 孔 の泥岩 の よ うに酸 化 反応 が進 まない こ とか ら,浸透流 は, この泥岩 中の固結成分 とともに,酸 化物質 も流 出 させ て しまった と思 われ る. これ ら泥 岩 の酸化反応 について は,酸化物質 の特定 な ど,今 後 の調査が望 まれ る.
4. 2 露頭 の切取 り
本露頭 では,露頭下方の急傾 斜斜面 を形成 す る強
固なシル ト岩層が擁壁 となって,下部泥岩層 な ど風
化 した地層 を支 えてい る と推察 され る. よって,上
せ た場合, 自然状態 での風化過程 を考慮す る と,将 来 的 には安定 な斜面 の傾 斜角 は 200 以下 と予測 され
る
.図
3 ( b)に示 した泥岩 斜面 の崩壊 事例で は,法面 勾配 は45 0 程度 もあ るこ とか ら,施 工か ら1年程度 の 短期 間の風化 で法面 が崩壊 した こ とも理解で きる.
今 回の露頭 の切取 りにあたって,上部 シル ト岩層 をすべ て切取 り,泥岩層 のみで山頂 まで傾斜角 2 0‑
2 50 の法面 を施工 す るこ とは,多大 な コス トが必要 と な るため現実 的でない.
実際 には,上部 シル ト岩層 の勾配 を多少大 き くし て も,で きるだ け上方 まで この層 を残 す こ とがで き れ ば, これ までの よ うな擁壁効果が可能 とな る. ま た,法面 の勾配 を均一 とせ ず,地層 に よって変更 し, 上方 の泥岩層 で は斜面勾配 を 200 程度 に施 工す るこ
とが必要で あ る.
5 .
おわ りに本研究 では, この災害事例 を踏 まえ,今後 ,二 古
地質調査,岩石 の物理 お よび力学 的試験,風化特性 な どにつ いて詳細 な検討 をお こない,安全 な斜面の 開発計画 につ いて考察 した.
この結果,この地域 に広が る新第三紀 の泥岩層 は, ス レー キングお よび浸透流 に よる固結成分 の流 出に よって劣化 しやす く,圧縮 強度が著 し く小 さ くな る こ とが わか った. また, 自然状態で風化 した この泥 岩層 の斜面 の安定 角 は 2
00 以下 で あ るこ とが わか っ た. したが って, この泥岩層 を含 む地層で斜面の開 発 をお こな う場合,泥岩層‑ の雨水 の浸透 を防 ぐ方 策 を検討 す る とともに,開発 す る斜面 の勾配 は,出 来 るだ け小 さ くす る必要が あ る.
参考文献