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筋伸縮機構に関す

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Academic year: 2021

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(1)

札幌医誌 5(2),75〜76(1954)

筋伸縮機構に関す る 考察*

一A.Szent−Gy6rgyiの学説:に対する批制

永井寅男 宮崎英策 寺山良雄

 札幌医科大学生理学教室(主任 永井教授)

Studies on the Mechanism of Muscular Contraction  −Discussions about the Mechanism of Sze砒・Gybrgyi−

      By

ToRAo NAGAT, EisAKu MiyAzA一, and Yosio TERAyArfA

  エ)el)αTtment of Ph?ysiolDqe/, Smpporo Univers・吻of Medicivee       (Chwf: Prof. T. NAaAf)

 Szent−Gy6rgyii)ぽAM−ATP系に関する廣汎 な研究,特にVargaによるglycerol筋のATP 短縮に対する温度効果の熱力学的解析に基づき筋 牧縮機構に関し次の学詮を提唱した。

Rest :

      , Excitation :        Contraction ;

actin十myosin−ATP!

   1し

AM−ATP!R

   IL

AMmATPc

   IL

Relaxation ; AM−ATP#AM−ADP十PO,

       AM−ADP十CPsAM−ATP!十C

      IL

      actin十my(}sin−ATP!

 即ち静』L状態の筋においては,actinとmyosinは解離 状態にある。 刺戟興奮によりこれが結合してAM(acto−

myosin)を形成し,次いで牧縮に移るが,この反町は遊離 エネルギーの減少を俘なう吸熱過程である。次にATPが 分解さオし,その分解エネルギーを受取るとともに,吏にCP

(クレアチン燐酸〉によりATPが再生されて, A[Mは弛 緩し,これが解離して元の静止映態に戻るとのべている。

 氏の学説によれば,牧縦は化学的エネルギーを要さぬ spontaneousな過程であり,野胞緩はATP分解エネルギ

ーを用うる activeな過程である。 またこれはいわゆる post−energizationの立場に属するものである。

 これに対し,A. V. Hillは筋敗縦における熱測定のda七a

より筋隆隆継は発熱を伸なうことをあげて反対している。

Szent−Gy6rgyiはこれに対し, glycerol筋のATP短縮 は吸熱及び発熱のこ反慮の加算されたものであるとして,

A.V. Hillの異論に答えている。

 以上の学設の根拠をなすVargaの実験そのも のぽわれわれの追試によっても大体正しV・2)。しか

しその熱力学的解析にあたり多くの仮定を含み,

特に弛綾に関しては全:く実証を欠いている。從來 glycerol筋に対するATPの作用1ま牧縮のみが起

り,弛緩は認められなかったからである。

 最近Bozler3)はisometric leverを用い,高濃度ATP,

ピロ燐酸,尿素によりglycerol筋に弛緩をiLEし得・ること を報皆し,調室の丸山4)はisotonic leverを用いてこオしを 証明するとともに,夏に.adrenaline,モノ沃度酷酸等によ っても同様弛緩が起ること,また荷重なき場合ですら時問 は要するが弛綾伸展が起ること,及びこの伸展筋を再び ATPによって・短縮せしめ得ることを認めた。

 弛緩に関する以上のdataより, glycerol筋の弛緩1よ ATP以外の種々の物質により起り得るもので, ATP特異 的でないことは明かである・こオ・VF反しgly・e・・1筋の収 紺はATP特異的で, A[[[P以夕トは,他の物質を以って代 用し手与ない。

 これを要約すればATPは収紺及び弛綾の二作用を;有し,

敗紺作用はATP特異的であるが,弛緩作用はA[[1?非特 x本論交の要旨は第30回日本生理学.会総会(ll召和28年

 4月1〜3111,畑田)において発表した。

1,) Szent−Gy6rgyi, A. :  Chemistry of Museular Con−

 traetion  (1951>.

75

2) 和:行鰻: 未干[1

3)  Bozler, E.: A[rn. 」. Physiol. 167, 276 (1951).

4)丸山:札幌医誌,3213(昭28);口生誌15(4),75  (昭28);第30回日本生阻学会総会発表(昭28).

(2)

76 永井・宮崎・寺山一筋収縮機構に関する考禦 札幌回航1954

異的である。

 このように弛緩がATPに特異ll勺な現象でないというこ とは,ATPの高エネルギー燐酸結合の分解を特に必要と しないことを示すと考えることがLll來る。故にglycerol 筋の弛緩はpassive proeessであると考えねばならない。

これは明かにSzent−Gy6rgyiの学説に反するものでpre−

energiza七ion b立捌こ立つものである。

 われわれは以上の弛緩に関する実験成績を以て Szent−Gy6rgyiの学読に疑義を抱くとともに,次

のごときcycleを提唱するものである。

 Rest actin十myosin−ATP!

       IL

 Excitation AMB−ATP!

        N. IL        fAM−ADP+PO,1  Contraction

       噛一二DP尊血+ADP ADP+CP         −v  b IL

R・1・xa・b・

o食Ml器。,← 伽一 一一  ATP!

 すなわち静止歌態でばactin, myosinが解離欺 態にあり,これが興奮によりAMに:結含する点 ぽSzent−Gydrgyiの仮定に從うが,以後牧縮に ATP分解エネルギ㌘を用)o,弛緩はCPによる ATPの再合成とイオン環境の恢復:によりpassive に起る点で全く反対である。

 勿論以上の機構ぽ上記の弛緩のdataに基づき 骨組みだけを組立てたに過ぎす,その詳細ぽ仮定 の域を出ない。すなわち罐止状態に関してぽ從來 全くその構…成を知ることができす,他の状態から の知識をもつて推測を下すに過ぎなV・。これは筋

〒鞭1ヒ状態がわすかなイオンの移動を招來するに過

ぎないと思われる刺戟によって,・速かに興奮し牧 縮に移って行くごときsubtleなionic balanceの 上に成立してV・るためで,將來の研究に待たねば

ならないところである5)。

 またATPの分解とAMの短縮が如何va couple するかという分子構造論的機構ぼ未だ全く不明で あり,今後の最も本質的な問題である。

 さらにまた牧縮をactive processとするわれわ れの想定に対しATP−ase activityと牧縮の亭行 性の面で,一,二の疑義が淺されている。例えば ATP−aseを抑制する塩濃度下,ピロ燐酸存在でも

なお充分なATP短縮が起る事実等である。これ 等の間題を解決すべく,今後多面的な二二を要す るが,何れにしても牧縮及び弛緩に関する実証に 基づく上記のcycleの骨糸1正みだけはSzent−GyUr−

gyiの仮定に富む学論に比し勝るものと信ずる。

 附記:以上の槻構を発表して後H. H.Weberの工952 年の綜試6)に接した。それによると氏は殆どわれわれの.以 上の機構と一致する一機構を提1観して)・る。即ち牧縮はATP 分解を俘ない弛媛はATP分解の阻』F.とplasticizing aetion によるという。 しかして氏は, その見解の有力な根櫨を ATP−ase activityと牧縮の亭行性においている。但しこ

の黙には上述の如き未だ一二の問題が残されている。ま たSzent−Gy6rgyiは最近の著書7)において,吸熱,発熱 の二反慮を以ってする見解を発展させ,結局ATP分解を 牧縮にATP再合戌を弛綾1こ対雁させる立場をとるに至っ

たようである。

       (皿召禾028.12.22受付う

Summary

  Szent−Gy6rgyi s hypothesis on mechanism of the cycle of m uscular contraction was discussed.

  Fro皿the evidence that contracted glycerinated muscle−fibers were relaxed by various・

agents 1ユnsp巳cifically, we proposed the new contraction cycle, which supported.the idea of preenergization.

       (Received Dee± 22, 1953)

5)この点に関しては最近1われわれの脱Hysteresis gly−

 cerol筋が一つの手段たり得る希望がもたれている。

 永井・宮1崎:札幌医誌4,232(1953).

6) Weber, H. H.: Adv. in ?rotein Chem. 7, 161 Ci952).

7) Szent−Gy6rgyi, A.:  Contraetion in Body and Heart  Muscle  (1953).

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