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博士論文の内容と審査結果の要旨

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Academic year: 2021

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(中央大学論文審査報告書)

博士論文の内容と審査結果の要旨

本学位請求論文では,ユークリッド空間における開集合で定義されたシュレ ディンガー作用素に対するスペクトル掛け算作用素とその勾配微分のルベーグ 空間における有界性が証明されている。その応用として, 開集合上のこれまで にない超関数からなる空間を導入することにより開集合上のべゾフ空間の定義 が可能となること, 及びその基本的性質が議論されている。さらに, べゾフ空 間における双線形評価式の証明も遂行されている。これらの結果はノイマン問 題でも議論されている。

第2章では,本論文で頻繁に用いられる記号の説明とソボレフ空間などの関 数空間の定義が与えられ, またポテンシャルの負部分に加藤型の仮定を付与し 次章以降で用いられるシュレディンガー作用素の自己共役性とこの作用素で生 成される熱型半群の Lp-Lq 評価式の証明が与えられている。

第3章では,スペクトル掛け算作用素及びその勾配微分のルベーグ空間にお ける有界性が証明されている。ルベーグ空間での評価を直接与えることは一般 に難しい。本論文では数列空間とルベーグ空間を合成したアマルガム空間での レゾルベント評価式と重み関数と作用素の交換子積のルベーグ空間での評価式 を組み合わせることにより主定理の証明が与えられている。

第4章では,第3章で得られた結果を基に, シュレディンガー作用素で生成 されたべゾフ空間が開集合上で定義されている。すなわち, シュレディンガー 作用素を何回でも作用できるように関数の概念を拡張した新たな関数空間とそ の双対空間を導入し, 双対空間の部分空間としてべゾフ空間が開集合上で定義 されている。さらに, 完備性, 双対性, 埋め込み定理などの基本的な性質も証 明されている。このべゾフ空間はフーリエ掛け算作用素を用いてユークリッド 空間上で定義されるべゾフ空間の一般化にもなっている。また, 各パラメータ およびポテンシャルに関する然るべき仮定の下でシュレディンガー作用素によ って生成されたべゾフ空間とディリクレ・ラプラシアンによって生成されたべ ゾフ空間との同型性定理が証明されている。

第5章では, 領域上のディリクレ・ラプラシアンによって生成されたべゾフ空 間における双線形評価式が証明されている。その際, 熱方程式の解に対する勾 配微分評価式が仮定されている。これは領域に対する仮定であるが,このような

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(中央大学論文審査報告書)

領域の例として, ユークリッド空間, 半空間, 有界領域, 外部領域などが挙げ られる。さらに,第4章で得られた同型性定理より各パラメータおよびポテンシ ャルに関する然るべき仮定の下で, シュレディンガー作用素によって生成され たべゾフ空間における双線形評価式も証明されている。

第6章では, 外部領域における熱方程式のディリクレ問題の解に対する勾配 微分評価式が証明されている。領域がユークリッド空間および半空間の場合は 解の表現公式があり, 直接計算することによりこの種の評価式が得られている。

しかし, 外部領域の場合は解の表現公式がないところに問題の難しさがある。

本章では空間遠方での議論は全空間の場合の結果を巧みに利用し, 境界の近傍 では有界領域での議論を用いて解の減衰率とその最適性が示されている。

第7章では, リプシッツ領域上におけるノイマン・ラプラシアンに対してス ペクトル掛け算作用素のルベーグ空間における有界性が証明され, その結果を 基にノイマン・ラプラシアンによって生成されるべゾフ空間が定義されている。

さらに, べゾフ空間の基本的性質, 双線形評価式, 熱方程式のノイマン問題に 対する勾配微分評価式も証明されている。

本論文に書かれている多くの結果は, 開集合の境界の形状と可微分性及び関 数の境界での振る舞いに制限を課す必要がなく, 斬新的であり興味深い。偏微分 方程式の観点からは, これらの結果は領域上のべゾフ空間における非線形偏微 分方程式の研究に基本的な役割を果たすことが期待され, 今後の領域上の偏微 分方程式の解の存在・非存在や漸近挙動などの解明に有用なものであり, 調和 解析と偏微分方程式論に新たな知見がもたらされることが期待される。

以上のように本博士論文では,開集合上で定義された作用素とその勾配微分 のルベーグ空間における有界性, および作用素で生成されたべゾフ空間の基礎 理論が確立されており, 得られた結果は調和解析と偏微分方程式論において基 本的かつ汎用性があり, また解析手法は斬新的であり新規性がある。本論文で記 述されている諸定理は多くの研究者に引用されることが予想され, 価値ある業 績と認められる。

よって,本論文は博士 (理学) の学位を授与するに十分なものであると認める。

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