集団の自己調整システム
著者 太田 雅夫
雑誌名 金沢大学教育学部紀要.人文科学・社会科学・教育
科学編
巻 23
ページ 181‑195
発行年 1974‑12‑20
URL http://hdl.handle.net/2297/47689
集団の自己調整システム*
太 田 雅 夫
以前に筆者は集団討議やスイッチの断続作業 場面における集団の自己調整機構を検討した。
集団討議や集団作業での目標追求過程におい て,集団目標に関する情報とフィードバック情 報を用いることによって,集団がその活動をい かに調整するかを明らかにすること,および集 団が自己調整活動を行なうときの集団機能と個 人機能および両者の関連を明確にすることが主 眼であった。集団機能と個人機能の関連は,社 会心理学の立場から集団を取扱うとき,常に問 題とされるといってもよいが,集団の自己調整 機能を論ずるにあたって,一応規定しておかね ばならないように思われる。そこでここでは社 会的効果をもつ行動を集団機能,社会的効果を 欠くものを個人機能と大別しておくことにしよ
う。この観点からすれば,リーダーが集団目標 に関する情報やフィードバック情報を成員に伝 えるコミュニケーション行動は集団機能とな
り,個人目標を達成せんとして成員個人が自己 の作業を調整するとすれば,それは個人機能と なるであろう。しかしながら両機能をかように 区別することはできるとしても,集団機能はあ くまでも成員個人の行動によって遂行されるか ら,個人機能が基盤を成している。ただ,集団 は目標追求に当って,社会的効果をもつ幾種類 かの行動の或る量を必要とし,リーダーシップ 行動が現われ,集団の自己調整に不可欠と考え られる集団業績の評定,誤差の検出,それに基 づく調整行動等の集団機能が出現するとみるこ
とができる。
ここでは,集団の自己調整機構を集団機能と 個人機能が一体となって働らくシステムとし て,その諸特性を明らかにしよう。集団過程を システムとして把握することにより,集団の調 整機能と個人の調整機能との関係,集団の目標 追求活動に果す集団機能の役割等が明らかにな
るであろう。そこで,集団が目標追求に際し,
基本的とみられる集団機能を選び,リーダーに それを行なわせることにした。集団機能として のリーダーの行動は,集団目標,集団業績,集 団業績の集団目標からの逸脱度等の情報やその 逸脱度に基づくリーダーの指示を成員に与える ことであり,かかる集団機能が個人機能および 集団の目標追求活動にいかなる効果を及ぼす か,それがまたシステム全体の特性にどのよう に反映するか等を調べてみることにした。要す るに,特定の集団機能を実験条件として加える とき,集団の目標追求活動がどのように調整さ れるかという点を明らかにするのがねらいで
あった。
実 験 手 続 1) 被験者の選出
被験者は東京都港区立桜川小学校および小金 井市立本町小学校の5年2学級の男子から,
各々5人ずつよりなる7集団を編成した。した がって被験者は合計35名であった。
被験者の選出に当っては,個人的目標追求活 動における調整機能が著しく低い者,すなわち 個人目標水準に対し業績が著しく逸脱する者は 除外した。もし,個人機能の極端に低い者が成 員に加わるならば,集団の調整機能を低下させ,
他の成員が調整の悪さをカパーしようとして異 常な努力を払わねばならず,それらの努力にも かかわらずカパーが困難な場合には,モラール の低下等の現象が現われると予想されたからで ある。しかし多少の個人機能の優劣のある者が 集団の構成員となることはむしろ通常のことで あるから,調整機能を厳密に揃えることはしな かった。個人の調整機能を測定するため,予備 検査を行なった。予備検査では,後述する本実 験での集団作業と同様の0から9までの乱数系 昭和49年9月17日受理
列に各々1を加算する作業を個人作業として課
した。個人は目標設定一作業一目標設
定……という試行を反復したから,フィード バック情報の検出は不可能と思われた。この目 標追求は,個人が能力の限度以内の任意の目標 に対し,作業量の誤差を最少にすることであっ たから作業速度の調整が必要であった。
この試行過程はFig.1の如く表わすことが
できよう。
Fig.1
V1∠, V2どオペレーターの推定にさいし,簡単 に,V2 は1を乗ずるもの,鴎は平均作業量と
してVHを推定しよう。いまV1 を1および差 分4の和とし,各々の重みを重回帰係数で示す
と,Table 1のようになる。この結果,多少の例
Table l Multipule regression coefficients of x、
on gゴ,and 49、
Groups Members C β1 β2
1 一 1.37 1.24 一.82
2 4.92 、59 一 1.45
1 3
一.12 .75 一.65
4 一 4.98 .81 .53
5 1.28 1.09 一.27
1 一2.45 .85 一.26
2 一46 .20 一.67
2 3 2.95 .76 一.25
4 .38 .53 一.32
5 .46 .92 一60
1 8.95 .68 一 1.87
2 32.71 2.86 一10.07
3 3 一 14.80 1.42 1.54
4 一3.99 1.00 .33
5 一26.71 .37 一.11
1 一.32 一.30 44
2 1.82 .62 一.72
4 3 一 1.69 1.02 一.64
4 3.24 1.47 一 87
5 2.50 1.29 一.73
Note:These coefficients are for the data of memders of group 1〜4.
外はみられるが,比例変換に対する重みβ1は,差 分変換に対する重みβ2に比して大であった。
Table 1は,1から4まで集団の成員の結果 であるが被験者として選出された者についてみ
られる一般的傾向であった。
また,被験者の選出に際し日常の学級活動に おいて強力なリーダーシップをとっている 者,他の児童に強い影響力を持つ者等は学級担 任の判断によって除外した。さらに,ソシオメ
トリック・テストの結果,ソシオメトリック地 位の極端な者を除き,所属集団成員間の相互選 択や相互拒否を含まぬようにするとともに集団 内成員の選択数が大きく変動しないよう努め
た。
2)実験の実施
集団作業一作業は0から9までの乱数系列 を示し,各々に1を加算した数を記入(1桁の み)するもので,1試行20秒の試行を各事態で 11試行ずつ実施した。集団成員の作業量の合計 を集団業績とした。したがって,作業は成員の 個人作業であるが,総合して集団業績となると いう種類の協同作業であった。また,この作業 は演算を伴なうため,作業量を数えながら進め ていって目標水準に合わせるという方法は困難 と思われた。また一つの試行から次の試行へ作 業を移行する際,先行試行での作業終了場所に 継続して次試行の作業を開始させ,試行間では 用紙を見せないようにしたから,視覚的に目標 水準の場所の見当をつけ,作業量を調整するこ
とが困難となった。この結果,被験者は目標達 成のために,作業速度の調整をしなければなら なかったのである。
教示はおよそ次のようであった。
「これから5人で簡単な作業をしてもらいま す。プリントされている数字にそれぞれ1を加 えてその数を空欄に書く作業です。もし答えが 2桁の数になるときは,1の桁だけ書きます。
4人は同じ作業をしますが,4人が行なった仕 事の量の全体が集団目標量となるように協力し てやってください。1人はリーダーで,作業は しません。リーダーはストップウォッチを使.っ て作業の始めと終りの時間を皆に知らせたり,
用紙を配ったり,時々はリーダーの意見を皆に
知らせたりします。
仕事の量の全体が集団目標量に近くなるほど うまく出来たことにしますが,お互いに相談し たり,決められたこと以外の話をしてはいけま せん。相談してやるのではありませんから初め から目標の量に合うことはめったにありませ ん。1回20秒間で,11回繰り返しますから,そ のうちに合うようになるでしよう。」この他,成 員各自の個人目標の設定,業績に関する記録,
リーダーへの報告等に関する説明,作業にけし ごむを使用しないこと,作業の終りの時間ごと に,その場所の印をつけて用紙を裏返しておく こと等の注意事項を述べた。
実験事態一事態は集団目標に関する情報の 与えられる1事態と,集団目標情報と作業結果 に関するフィードバック情報の与えられるII事 態と,集団目標情報と,作業結果が目標より逸 脱することを示す逸脱量に関する情報の与えら れるIII事態と,集団目標情報とリーダーの指示 が与えられるIV事態とであった。集団目標情報 は35,45,55,65の4種類で,これらをカード で提示した。結果に関するフィードバック情報 は,集団としての作業量をカードで提示すると いうものであり,結果が目標より逸脱すること を示す逸脱量に関する情報を示すときには,集
団としての作業量は示さず,集団業績
(ΣE−19 (t))が集団目標(9(t))から逸脱する程
度を両者の差を以て示した。リーダーの指示を 与えるIV事態においても,集団としての作業量 は示さず,各成員に対してリーダーが個人作業 量を増減するようにという意見をカードに記載 して示した。このリーダーの意見は,集団業績 が集団目標から逸脱する程度に基づき,逸脱度
の成員1人当り平均(整数を以て示したから成 員ごとの逸脱量の総計が全体の逸脱量とは必ず しもならなかった。)が正であれば,逸脱度分だ け作業を速めるようにと促進させ,負であれば 減速するようにというものであった。リーダー の意見は拘束力はなく,各成員は必ずしもそれ に忠実に従う≒必要のないことを付加しておい た。集団成員は,個人目標を,毎試行ごとに設 定した。1V事態ではリーダーの指示を受ける前 後で2回個人目標を設定した。
4種類の実験事態および4つの集団目標の配 列は,事態と目標の組み合わせがほぼ等しい頻 度となり,各事態の置かれる順序が偏らないよ うにした。しかし編成した集団の数の都合から グレコ・ラテン方格そのものにはならなかっ
た。
実験期日一本実験実施の期間は,1970年9 月16日から11月27日までであった。各集団と も放課後実施したが,ほとんどの集団は4種類 の事態の実験を続けて行なった。実験を全部終 了するのに約2時間を要した。個人の調整機能 を測定するための予備検査およびソシオメト リック・テスト等は本実験の約1月前に行なっ
た。
実 験 結 果
1) 集団の自己調整システム
集団の自己調整機構を明らかにするため,集 団過程をシステムとして表わし,集団単位の自 己調整システムの特性を検討してみよう。集団 システムを集団単位のブロック・ダイアグラム で示すとFig.2のようになろう。
Fig.2
このシステムは,集団目標(g)が入力,集団 業績(y)が出力である。そして,集団業績に関す る情報のフィードバック・ループと,集団目標 に関する情報の加わるループ*が含まれてい る。1事態では集団目標情報のみ与えられる事 態であったから,フィードバック・ループは実 在しないと考えられる。II事態では,集団目標 と集団業績に関する情報がフィードバックされ るが,業績の目標からの逸脱度が集団機能とし ては与えられないから,集団成員によってεが適 確に検出されるとは必ずしもいえないであろ う。すなわち逸脱度の検出はもっぱら個人機能 によると考えられる。III事態では,逸脱度が集 団機能として検出され,成員に与えられる。IV 事態では,εに対応するリーダーの指示が成員に 伝えられる。したがってεは,リーダーの行なう
変換(L)によって1という形となり,それ がW1の入力となるものと考えられる。この場 合,各成員に伝達されるリ嫁一ダーの指示は,言 語を媒体としたものであり,成員ごとに伝えら れるから,理解しやすいであろうが,各成員と リーダーの間の勢力関係が作用して,受容のさ れ方に偏りが生ずるものと思われる。指示の内 容自体はεに近く,その意味では類似した効果を もっと考えてよいであろう。
このようなシステムに外からの入力が他に加 わらないものとすると,全体の伝達関数Wは,
いては個人目標量の平均からの偏差を全成員に つき総計した値を用い,IV事態においては,リー
ダーの指示を受ける前の個人目標と指示を受け た後の個人目標との偏差を全成員につき総計し た値を用いて,ε,4ε,Σεまたは1,41,Σ1に 対するΣgゴ の重回帰係数で各オペレーターの重 みとした。Wlに対する入出力から算出した重回 帰係数を示すと,Table 2のようになる。1事態 では,εは実際上与えられないから特定のΣg が つくり出されることはない。その結果として,
係数が一定しないのは当然である。II事態, III 事態でεの重みが負になる場合があるが,絶対値
として大ではない。IV事態ではどの集団におい
TabLe 2−(1)Multiple regression coefficients of
Σ9!・nε,4εandΣε 1 Groups C β
ーウ白3﹂侵COCU7・
1.256 −.007 .020 .002
−2.650 1.144 −.383 −.952 1.910 −.039 .013 .022
−3.555 .046 .305 .282 2.834 −.041 .025 .037
−.682 .656 −.330 −.434 .234 −.075 .084 −.020 I I
(W1十W2)W3 W= 1十WIW3
Groups C β
であらわされる。1事態ではこれがW2・
W3となり, IV事態では,
19白OO4567・ 一3.300 1.434 −.823
−.528 .052 .064
− 1.265 .005 −.096
− 1.147 .869 −.140
−.900 −.145 .068
− .700 −.006 −.057
−.498 −.271 .214
一.689 .016 一〇16
−.415 .096
.404
.126
(LW 1十W2)W3
W= 1十LIWIW3 m
Groups C β 虚
となる。
W1というオペレーターは,種々のものが可能 であり,成員によって異なると思われる。しか しもっとも一般的なものは,1,ち Σなどの線 型オペレーターであろう。
差分(4)としてE−2(E−1)を,和(Σ)として E−2(E+1)を用い,Σ9ゴ は,1,II, III事態にお
ーワ・34▲FOρ07・
一3.333 3.169
−1.304 1.813 1.888 .053
− 43.540
一.096 .383 .645
一231
− .106 一〇64
.165
− .028
− .388 .068 .055 .038 30.480 −20.130
.035 .182
−.413 .033 .127 .058 3.576
このループをフィードフォワード・ループと称することがある。・
一 (2)Multiple regression coefficients ofΣg膓on J,〃
andΣ1 1V
(2)Means of 1,41,.Σ/andΣg膓
Groups C β Groups Σ9! 1 〃 Σ1
−ふワ・345ρ07・ 8.212
−1.539 −.737 1.741
−2.099
− 1.877 −.989
.793
.123
.237
.093
.160
.218
.312
一.114 .027 .019 .162 .006
一〇59 一〇67
1.785 .034 .037 .040 一〇〇6
−.191
一113
−⊥2り045CU4 一 1.50
− 3.13
− 1.88 1.25
−3.38
− 1.25
− 1.13
一 4.25
−8.25
−3.63
− 1.88
−8.38
− 4.88
− 1.13
1.13 −3.63 .50 −17.25 1.38 −8.38 2.13 .63 .25 −11.00 1.63 −9.38 .38 −2.13
Table 3−(1)Means ofε,4ε,ΣεandΣg膓
1
TabLe 4−(1) Correlation coefficints betw㏄nε,4ε,Σε andΣ9!
1
Groups Σ9! ε 4ε Σε Groups γ1.2 71.3 γ2・3 γ1.4 γ2.4 γ3・4
19●34にUρ04 1.33
−.42 1.84
−.69 2.11
一58
1.13
一29.33
− 3.33
−19.00 4.66
−21.33 −.33
− 8.00
一 1.44 1.33
−2.44 .77
−2.66 .33
−.22
一57.22
−6.88
−35.55 8.55
− 41.11
− 1.00
−15.77
−▲り●345ρ07● .123
−.204 .041 .216
−.589
−.632
−.094 .385 .287 .057 .444 .266
−.008 .293
.417 .752 .819 .167
−.023 .652 .647
一.206
一677
−.026 .185
− .714
−.826
−.388
.634 −一.439
.720 .107
.331 −.270
.874 −.334
.887 −.440
.752 −.010
.724 −.058
II II
Groups Σ9! ε 4ε Σε Groups γ1.2 γ1.3 夕2.3 γ1.4 γ2・4 夕3・4
19●3﹂45ρ07・
一4.20
−.69
− 1.33
− 1.14
− 1.49
− 1.40 −.40
一6.89
,−2.78
− 2.44
−2.22
−11.77 −.56
−2.89
1.44 1.56 1.66 .33
−.44 .55 .55
一 14.77
−7.11
−6.55
−4.78
−23.55
− 1.67
−6.33
19臼34567・ 一.081
.344
−.115
− .457 .201 .181 .058
.121 .348
−.157
一809
−.157
−.092 .120
.438
.592
.581
.450
.834
.785
.597 一.135 .258
−.018
−.119 .656 .411
−.023
.795 −.190
.521 −.380
.771 −.070
.901 .019
.608 .083
.595 −.031
.777 −.041
m
III Groups 夕1.2 γ1.3 γ2.3 γ1.4 7ρ2.4 γ3・4
Groups Σ9ゴ ε ∠ε Σε
19nO45ρ07■
一3.44
− 1.17 −.79 1.40 1.33 −.07 −.17
一4.44
−5.55
− 2.63 2.22
−4.44
− 3.00 1.22
1.11 .88 1.75
− 1.33
−1.44
−1.77 .11
一 10.00
−12.00
− 7.00 5.78
−7.44
− 4.22 2.33
−▲9臼345ρ07・
一.039 .560 .420
− .280 .158 .246
− .353 .425 .166
− .209
− .086 .064 .112 .168
.143 .672
−.351 .548 .874 .750 .715
一.059 .556 .406
−.261 .211 .26
一.674
.822
.579
.898
.732
.703
.837
.709 一.049
−.214
−.727
−.169 .269 .265 .013 Note:Suffix 1,2,3, and
resp㏄tively.
4meanΣglε,4εandΣε
一 (2)Correlation coefficients between 1,〃,Σ1 and Σ9, w
Table 5 g一Σ宮
Groups夕1.2 γ1.3 γ2.3 γ1.4 γ2.4 γ3.4
−19●O◎4567 .017
.614
.897
.402
.679
.541
.744
.094
.452
.253
.331
.118
.214 一.358 −.245
一.012 −.800 .770 .326 .169 .063
−.152 .318 .089 −.097 .417 −.629 −.438
一.322 −.031 .199 −.114
−.136 −.069 .474 −.486
−.080 −.018
−.351 −.357
−.404 −.145 Note:Suffix 1,2,3, and 4meanΣ9、 ,1,〃, and Σ1respectively.
てもεの重みは正であり,4ε,Σεの重みは一般に 負の値をとる場合が多い。Table 3はこれらの 変数の平均を,Table 4は変数間の相関係数を 示している。
W2は集団目標(g)から各成員が個人目標量 の水準を決定する際のオペレーターとみること ができる。この実験におけるように,集団目標 量が1つの事態中変らない段階状のときには,
目標量が例えば35から45へとか,65から45 へと変化する際に,その変化に即して個人目標 を設定するものと考えられる。また,集団目標 量が与えられたとき,成員が個人ごとに分担す べき目標量の水準を設定しなければならない。
したがってW2では,集団目標量の水準と集団内 における自己の役割分担の意識水準といったも のの双方に関連する変換が行なわれるとみられ る。いま集団目標が示されたとき,個人ごとの 目標量の平均に相当する目標水準を設定するも のとする。.これは集団目標量が変化した頭初に おける個人目標水準とは異なり,フィードバッ ク情報等により水準の増減が行なわれた結果を 平均的に示すものであるけれども,個人目標は多 くの要因の影響を受けて確率変数とも考えら
Groups 1 II m IV
1 一 29.00 3.36 16.00 一1.00
2 一8.64 一 4.91 .27 一5.73
3 一 15.27 一 1.00 5.09 一3.36
4 6.64 3.64 1.18 4.91
5 一 9.55 9.73 11.00 一1.82
6 一 2.91 一 18 一 2.18 一.18
7 一8.09 2.27 .27 一4.36
F晶 (0.05)〈Fo(between situations)=4.88*
F4(0.05)>Fo(between groups)=.86
れ,初期値が必ずしも個人目標水準を適確に反 映しないといケ危険が感じられたからである。
各成員の個人目標量の平均値の集団としての値 が集団目標量から偏る程度を示したのがTable
5である。これによると平均個人目標は,集団 全体としてみると,集団目標からかなり偏って いるようである。4水準の集団目標は,各事態 にほぼ均等に配置されていたから,この偏りは 目標自体の高低に左右された結果とはいえない。
1事態では目標水準より相当低く,III事態では 逆に全般的に高くなる傾向が伺われる。この値 の事態間,集団間での変動をみると,事態間に 差が認められる。
個人目標が設定されそれが入力となって集団 作業が行なわれる。IV事態では,リーダーの指 示を受けた後に設定された個人目標が入力とな る。W3というオペレーターは,個人のフィード バック・ループおよび個人目標情報の加わる ループを含むシステムの一巡伝達関数として示 さるべきものであり,このことについては後程 個人単位の検討をする際,再び触れたいと思う が,ここでは簡単に個人目標量全体に対する業 績全体の回帰係数および両者の相関係数をもっ
Table 6 Correlation coefficients and regression coefficients ofΣyゴonΣg
1
II
III 】V
Groups β γ β γ β γ β γ
1 .63 .54 49 .83 .40 .67 .87 .27
2 一 18 −14 .73 .36 .91 .73 1.03 .61
3 1.04 .58 1.18 .83 1.40 .65 .28 .15 4 .77 .60 .96 .83 1 .63 .60 1.65 .74
56
.87 74.48 .31
.66 .80
i.53 .53
1 .62 .69 1
1.40 .6ポ
.57 .26 1.14 .78 7 .49 .55 51 .69 .29 .20 .24 .31
て示すことにしよう。結果はTable 6の通りで あるが,1事態の1集団を除き,個人目標に即応 した業績をあげているといえよう。II事態は他 の事態と比較して特に高い相関を示しているよ うである。目標に対する業績の回帰は理想的に
は絶えず1になるべきものであるが,かなり低 い場合もみられるようである。
2) 集団成員の自己調整システム
個人調整機能はすでに集団単位のシステムの 中で概観したが,個人単位でみることもできる。
9〆十
Fig.3 Table 7−(1)multiple regression coefficients of gゴ
onε,4εandΣε 1 II
Groups Members C β1 属 鳥 Groups Members C β1 β2 β 1
1234
2,537.628
− .035 .477
一 .009
− .009
−.003
−.004
.006 .040
.015 .014
.002 −.004
.006 .002 1
1234
一.277−1,004
−1,869
− .639
一.138 .044
−.096 .050
−.543 .329
−.285 .173
.077
.046
.273
.184
2
1234
一2.671−.172 .336
−.143 1,443
− .036
− .015
−.015
一.526−1.100 .023 .020 .066 .008 .007 −.013
2・
1234
1,807−.278
−.512
−.332
.975 一153 .027 .011
−.114 .026
−.046 .025
一.198 .030 .003 .009
3
1234
.745−.158 .787 389
一.052 一〇18
−.013
− .005
.000 .041
.007 −.001
.007 .004
.002 .002 3
1234
755− .520
−.467
−.278
.260 −.207 .117 −.037
−.356 −.075
−.014 .007
.046
一〇44
.055
− .014
4
1234
.059− .377 .075 412
一.070
−.003
−.015
− .020
一.237 −.039
−.055 .063
−.011 −.013
−.018 −.023 4
1234
一 .334 −一.051 } 2,207
1.186 .869
−.258 118
−−
4.027 −.981一
.659 131 −
1,312
5
1234
.111.019
.212 718
.003
−.057
−.004
− .018
.014 −.006
.030 .049
.003 −000
.013 .012 5
1234
一.542− 1,327
− .210
−.656
一.034 .018
−.081 .066
−.022 .011
−.020 .016
.013
−.013 .009 .014
6
1234
一.033
−.139
− 456 一 一.058 .149 .087
一一
一.030 .000
−.075 −.226 .002 −.151
6
1234
一 1.089.109 .451 .005
.041 −.005
.015 一120
.045 −.067 150 −.025
.010 .049
− .100 .345
7
1234
039−.256 .015
−.387 一.040
一〇53 一〇〇1
−.056
.001 .013
.060 .000
.035 −.007
.011 −.040 7
1234
一.461− 一 .391
一.318 154
−一 一一
184 .031
.163 一 一 一〇48
III
Groups Members C β1 β 属
1
1234
一〇24.006
−3,476 .656
一〇26
一104
.030
−.120
.009 .042 .136 一〇〇5
.017 .073
−.081 .130
2
1234
一836−.480
− 1,461 −.345
一.073 .005
− .287
≡111
.031
.014 115
.050
.003
−.011 .048 .029
3
1234
一.393−.203
−.064
一419
.255
.296
.200
.021
一.166
−.137
−、102 .009
一.158
− .152
−.124
−.017
4
1234
1,092−.088 − 一.945
一.083
− .038 − .385
.073
≡067
− 一.334
一.013
−.013 − 一.123
5
1234
.251.167
−
.344
一 .012
−.203 }
≡034
一.002 .149 − .031
.033
.077 −
.039
6
1234
.918− 一 一.039
一 .013 − } .092
一.017 − 一 .021
.022
− 一
.038
7
1234
一.090一 一 1,250
.000 − }
− 1,392
一.000 − 一 .988
一.000 − 一 一.427 Note:Signst¶一 show the cases in which variance−
covariance matices of normal equations to calculate these coefficients are not regular.
集団成員の個人システムを図示すれば,Fig.3 のようになろう。
Fig.2のW、, W2オペレーターは集団単位で表 わしたものであるが,ここでは成員個人個人の 単位で表わされている。W3というオペレーター は,VH, V2 , V3 ,Σなるオペレーターを含み,
フィードバック・ループと個人目標に関する情 報の加わるループより成るシステムに対応す る。そして,事態間に本質的相違がないものと 考えられる。
一(2)Multiple regression coefficients of gゴ on 1,〃and Σ1 w
Groups Members C β1 逓 虚
1
1234
一.812.346
− 1,781 3.898
.009
−.014
一295
.803
.011
.049
.164
.337
.003
−.076
−.182
− .005
2
1234
.029− 1,636 −.724 1.644
一.030 一〇10 一119
.380 .020 .042 .096
−」16
一.020 .012
− .004 .048
3
1234
一3.526−.314 .752 .043
一254
.120 .065 .176
.091 .003 .045
−.012
一.291
− .014 .009 .032
4
1234
1,097.013
.636
.016
.013
.037
.002
.040
、037
.036
.065
.034
.oo9
.014
.009
.010
5
1234
1.431− 1,621 −.571
− 1,403
.017
.044
.089
.037
.029
.005
.007
.008
一.019
−.010 .017
−.019
6
1234
.102−3,079
−3,079 1.502
一.087
∴058 −
一.058 −
.057
.064
.025
.025
.067
.000
−.143
− 143
.022
7
1234
.325,一.125
一961
−.345
.112
.150 −
.082
.081
.014 、005
−.215 .011
.037
−.022
−.240
−.027
個人業績を合計するナペレーターΣは,集団 業績のフィードバックに必要な過程であ る。WHを集団単位のW、と同様に1,4,Σのオ ペレーターの和とし,その重みとしてε,4ε,
Σε(または1,41,Σのに対するg の重回帰係 数を用いると,Table 7のようになる。1事 態ではβ2,β3はかない小さく,β1も負になる 場合が多い。 Table 8は各変数と9ゴ との相関 係数を示している。
W2ごは集団目標から個人目標量の水準を決定 するオペレーターで,個人単位のものである。
いま,4人の成員が均等に9を配分するとし,
その値(へ9)と各成員め個人目標量の試行平均
(9 )との偏差を求めるとTable 9のようにな る。各成員の値を総合すれば,先述の集団単位 の値になるが,集団成員が分担すべき作業量を かなり過大或いは過小水準に設定しており,そ れが互いに相殺されて集団単位では集団目標に 近づく結果となっている。
個人目標が設定された後における個人調整シ ステムにはV ,V2 ,V3菰るオペレーターが考え られる。前節で,集団全体のW3を簡単に回帰直 線で表わし1ヒが,個人目標(g9という入力に対 する個人業績(y )という出力の比で示される一 巡伝達関数(VJは,
Table 8−(1)Correlation coefficients betweenε,4ε,
Σεand g膓
1 Groups Members γ1.2 z1.3 γ1.4
1
1234
一453.333
−.419 .187
.269
.164
.360
.427
一676
.188
− .721
一179
2
1234
一.194.297
−.183
−.501
.285 .389
− .203 一〇82
一676
.096
− .025
−.675
3
1234
一.362.327 .083
−.075
一569
.030 .468 .013
.328 .500
− .630
− .147
4
1234
.335.582
−.204
−.614
、422
− .575
− .022
−.060
.112 .840
− .184
− .557
5
1234
.331−.586
−.214 .068
一 .750 .354 .139 .106
.623
− .760
− .248 .066
6
1234
.060− 。450
−.487
一448
一.124
− .416 .006 .332
.188
− .232
− .648
− .880
7
1234
一.328.000 .076
−.320
一.334 .397 .158
− .061
一 .127
− .359
− .043
− .363
(V1 十V2 )V3
V声 1十V1 V3i
となる。しかし,ここでこれらのオペレーター をそれぞれ推定するのは資料の都合から困難で ある。そこで,個人目標に対する個人業績の回 帰係数および相関係数を個人別に求めてみる
と,Table 10のようになる。βもγも個人的にか なり低い者が混在し,それらが集団全体の効率 を低下させていると思われる。
3) 自己調整の効果
集団機能および個人機能の作用した結果とし て集団め自己調整がどの程度効果をあげること II
Groups Members 71.2 γ1.3 γ1.4
1
1234
一 .066− .195 .148
− .518
一.648
−.121 .274
−.022
.381
− .095 .019
− .572
2
1234
.568.251
− .356
− .237
.385 .060
−.096 .284
.245 .224
− .306
− .573
3
1234
.200.459
− .538
− .298
一.144 .343
−.486 .035
.358 .294
− .280
− .393
4
1234
一 .694− .098 .435
− .859
一.7し.
一.638
−.442
一518
一 .396 .200 .702
− .710
5
1234
一 .204.110
−.251 .784
.093
−.350 一〇46
.630
一374
.690
− .229 .562
6
1234
.169− .304
− .227 .600
.096
−.554
−.137 .104
.148 .230
一189
.833
7
1234
.012−.241 :041 .330
一.084 .101
− .185 .341
.081
− .380 .197 .144