熊本大学学術リポジトリ
細胞傷害性T細胞からのHlV‑1の逃避機序に閏する 研究
著者 滝口, 雅文
発行年 2008‑04
URL http://hdl.handle.net/2298/9649
細胞傷害性T細胞からの
HlV-1の逃避機序に閏する研究
課題番号:18390141
平成1s~19年度科学研究費補助金 基盤研究(B)研究成果報告書
平成20年4月
研究代表者滝ロ雅文
熊本大学エイズ学研究センタ
■■■■■■■<研究の概要>
HIV1感染者のなかには、長期間にわたりほとんど免疫能が落ちず、HIVら1のウイルス量が 極めて低いままであるlongtermnonprogressor(I」TNP)や、AIDSへの進行が遅いslow progressor(S,Pro)、進行が早いprogressor⑰ro)がいることが知られている。一方、mNP やslowprogressorとHLA.B*57/B*58,.B*27、B*5101との正の相関が知られており、海外 ではHLA-B*57/B*58とHLA.B*27がどのようにして関与しているかを明らかにしようとす
る研究が進んでいるが、その機序はまだ解明されていない。日本では、HLA-B*57/B*58,.B*27 を持っている人は極めて少なく、唯一HLA-B*51を持った感染者を用いた研究のみが可能で ある。最近我々は、2つのHLAB*5101拘束`性Polエピトープ特異的CTLが、非常に強い HIVも1増殖抑制能を示すことを明らかにし、これらのOTLが体内でHIVも1増殖抑制に関与し ている可能性を示唆した。そこで、HLA.B*5101を持っているHIVも1感染者にITNPやslow progressorがなぜ多いのか、またどのような機序で多くの感染者がAIDSへと進行するのかを 明らかにする研究を行った。
2つのHLA-B*5101拘束`性Polエピトープ(Pol283及びPol743)のテトラマーを用いてこ れらのエピトープに対する特異的CD8T細胞数を測定した。これらのHIVL1特異的CTLとウ イルス量との相関を検討した結果、患者のウイルス量とPol288特異的OTLの数が逆相関して いることが明らかになった。一方、Pol743特異的OTLの数とは正の相関が見られた(図1)。
これらの結果から、Pol283特異的CILは、患者体内でウイルス増殖を抑制していると考えら れたが、Pol743のウイルス量抑制への関与が少ないと考えられた.一方、Pol283エピトープ は、I」INPではエスケープ変異が見られなかったが、ウイルス量が高くなっているS、Proや Proでは、8番目のアミノ酸が置換したエスケープ変異が見られた。Pol743特異的CTLは ほとんどの患者で検出され、OTLの認識が障害される変異は見られなかった。以上のことから Pol283エピトープ上に見られる逃避変異の出現により、これらのウイルスを排除できなくな
り、病態が進行することが明らかになった。
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図1HLAB*5101拘束性Pol特異的CD8T細胞とウイルス量との相関
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