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2 地域 リハ ビリテーシ ョンの実践-事例 を中心 に-

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2 地域 リハ ビリテーシ ョンの実践‑事例 を中心 に‑

( 1 ) 地域 リハ ビ リテ ーシ ョン とは

井 口 茂,松坂 誠鷹

近年,高齢社会 に対応すべ く,地域医療 ・地域福祉が叫ばれ, リ‑ ビ リテ‑ ション ( 以下, リ‑ と略す)において も 地域 リ‑,在宅 リ‑の活動が行 われている。

本項では地域 リ‑の実践について述べてい くが, まず地域 リ‑の考 えを リ‑ ビ リテ‑ ションの言葉の変遷か らみてみ たい。

リ‑ ビ リテ‑ ションを辞書 で引 くと,特権,財産 を回復す ること,名誉 を回復す ること,治療や訓練 によって健康 を 回復す ることな どとある。 リ‑ ビ リテ‑ シ ヲン とい う言葉 は,歴史的には, 中世 におけ る領主や教会か ら破 門された も のの復権 の意味で用い られたのがは じま りであ り, それが精神障害者の社会復帰,世界大戦後の負傷者の社会復帰に関 わる医療の中で使 われ るに至 った。

1 9 6 8 年,世界保健機構が リ‑ ビ リテ‑ シ ョン とは,「 障害の場合 に機能的能力 ( f unc t i onala bi l i t y) が可能なか ぎりの 最高の レベルに達す るように個体 を訓練 あるいは再訓練す るため医学的 ・社会的 ・教育的 ・職業的手段 を併せ,かつ調 整 して用いること」 と定義 し, リ‑ ビ リテ‑ シ ョンの領域 として,医学的 リ‑,社会的 リ‑,教育的 リ‑,職業的 リ‑

の概念 を示 した。そ して ,1 9 5 0 年代 にデンマー クで起 こったノーマ ライゼー ションの考 えや QOL の概念 とあいまって, リ‑ ビ リテ‑ ションの意味の中に 「 生活 」 とい う視点が生 まれた。

この ように, リ‑ ビ リテ‑ ションとい う言葉 は,特権,名誉 とい う 「 人権 の復権」の意味 を根底に,障害者 を社会的, 文化的な存在 として捉 え,社会生活の 自立のために,医学的,社会的,教育的,職業的な手段 を駆使 して行 う実践であ

るといえる。

そ して, その実践の主体的な場面は,障害者 を取 り巻 く生活環境 その ものであ り,必然的に地域 とい う概念が リ‑ ビ リテ‑ ションの中に生 まれて きた もの と思われ る。

日本 リ‑ ビ リテ‑ ション病院協会地域 リ‑ ビ リ検討委員会 は,地域 l レ 、の定義 を 「 地域 リ‑ ビ リテ‑ ション とは,障 害 をもつ人々が住み慣れた ところで, そこに住む人々 とともに,一生安全に生 き生 きとした生活が送れ るよう医療や保 健,福祉及び生活に係 わるあ らゆる人々が行 う活動の凡てをい う」 としてお り,地域 を基盤 とした リ‑の展開 を目指 し ている。

( 2) 地域 リハ におけ る障害 の捉 え方

次に 「 障害 」 の捉 え方 を考 えてみたい。

障害は,1 .機能障害,2.能力障害,3.社会的不利の三つの側面か ら捉 えられている1 ) 。機能障害 とは,器質的変化 に

伴 う機能低下であ り,能力障害は,歩行 困難などのように人の基本的動作,行為 の能力低下 である。 そ して,社会的不

利は上記二つの障害によ り偏見 を生み,人権 を傷つけ られた り,権利 を奪 われた りす る行為 である。近年では, この三

つの障害に加 え,心理的障害 を提起 している。 そ して, これ らの障害の関係 は密接に関連 してお り,障害に対す るアブ

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地域 リ‑ が対象 とす る障害は,前述 した障害は もとよ り,障害者 を取 り巻 く地域 もその対象 としてお り,家族,近隣 地域,行政機 関‑ の働 きかけ も重要 となる。

地域 リ‑ は,障害者の問題 を 「 生活障害」 として捉 え, アプ ロー チ しているのである。

( 3 ) 地 域 リハ の 具体 的展 開

浜村 2) は,現在 の地域 リ‑活動の課題 を三つ挙 げてい る。第‑ は,対象 となる障害者 とその家族 に対す る直接的援助活 動 である

この活動 には,様 々なサー ビスが行 われてお り,医療 では,往診,訪問 リ‑,老人デ イケア,保健分野では, 機能訓練事業,訪 問指導,福祉 においては, デ ィサー ビス事業, ホーム‑ ルプサー ビス,‑ルパーの派遣事業 などがあ

る。第二に組織化活動 であ る

地域 リ‑ の活動が,対象者の生活 その ものに関わる以上, 当然それ らが有機的に機能す る組織化が必要 となる。第三 は,地域住 民,サー ビスに係 わ る行政 の理解 である。地域 リ‑の活動 は, そこに関わ る人 の理解 と協力が不可欠であ り,組織化活動 と共 に,継続 した地道 な活動 を通 して行 ってい くしか ない。

長崎 での組織化活動 の例 を紹介す ると,昭和 4 8 年 に長崎市障害福祉 セ ンターが開設 され, そこで退院後の障害者が集 ま り,自主的 な訓練 を開始 したのが最初 の きっかけであ る。その 自主活動 に医師 と理学療法士 に よる適所指導が始 ま り, その後保健婦 の参加がみ られ, 月 1 回の定例会 が開催 され るようになった。 そ して,昭和53 年 に長崎市 リ‑ ビ リテ‑ シ

ョン連絡協議会 として地域 リ‑の組織化 の第一歩 となった。 この協議会 では,各専 門家の情報交換 の場 とともに, よ り 具体 的な援助活動 の検討や地域 リ‑ の進め方にいたる議論の場 として,長崎での地域 リ‑の発展 に大 きな影響 を及ぼ し

た。昭和5 8 年 の老人保健法 の施行 を契機 に,長崎県下 に地域 リ‑の概 念の基,活動が拡が っていった。

次に,現在行 われてい る地域 リ‑ の中で主 な具体 的活動 をみてい く。

地域 リ‑活動 におけ る障害老人‑の直接的援助活動 は,その形態か ら大 き く,適所サー ビス と訪問指導に分類 され る。

1 )適所サー ビス

適所サー ビスの 目的は,在宅障害老人に対す る退院後の リ‑ ビ リテ‑ シ ョンの場,社会的交流の場 の提供 とともに, 家族 に対す る介護負担の軽減 にある。

表 1 に示す ように適所サー ビスは,医療機 関が行 う精神科 デ イケア,老人ディケア,保健分野 では,老人保健施設が 行 ってい る老人デ ィケア, 市町村が行 う機能訓練事業,福祉 によるデ イサー ビス事業等がある。

老人デ ィケアは,診療報酬の加算が認め られてお り,近年急速 にその数が増加 して きた。 リ‑専 門職 の配置義務 もあ り,医療的 リ‑サ‑ ビスの担い手 として期待 が大 きい反面,対象者 の福祉 的ニー ズ も多 く, それ‑の対応に追 われてい るのが現状 であろ う

機能訓練事業 は,昭和58 年 に施行 された老人保健法 に基づ くものであ り,在宅障害老人に対す る支援事業 としては最 も実績のある事業 であろ う。特徴 として, その実施主体 が市町村 にあるこ とか ら,対象者の把握 な どが医療機 関 との連 携 によ り比較 的容易 であるが,集団的にな らざるを得 ず,個別的な指導がで きに くい状況にある。 また,近年 の他サー

ビスの充実 に伴 い, その役割が薄 くな りつつ あ る感がす る。

デ ィサー ビスは,対象者 の障害の程度及 び介護負担の程度に よ り A 型 〜E 型 ( E 型は主に痴呆性老人 を対象)に分類 され るO主なサー ビスは,食事 ・入浴 な どのいわゆ るホー ム‑ ルプに関す るものであ り,対象者の生活支援 の上 で重要 な位 置づ けにあ る。

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Ⅰ Ⅴ リ‑ ビ リテ‑ シ ョン

表 1 通所サービスの種類

サー ビス名 精 神 科 デ イ ケ ア 老 人 デ イ ケ ア 機 能 訓 練 事 業 ( デ イサービ ス事 業 A. 追 . C. D. E 型)

実 施 主 体 医 療 機 関 精 神 保 健 法 医 療 機 関 老 人 保 健 施 設 市町村 ( 委託可) 市町村 ( 社 会 福 祉 法 人 委託可) 法 律 老 人 保 健 法 (老 人 医 療 ) 老 人 保 健 法 老 人 保 健 法 老 人 福 祉 法

対 象 在 宅 精 神 障 害 者 痴 呆 、脳 血 管 障 害 等 在 宅 寝 た き り老 人 と 4 0 歳 以 上 の 心 身 に 障 概ね 6 5 歳 以 上 で 身 体

老 人 医 療 受 給 者 そ の 家 族 害 を 有 す る 者 障 害 が あ り寝 た き り な ど の た め に 日 常 生 活 に 支 障 が あ る者

スタ ッフ 医 師 、 専 従 者 3 名 医 師 、P T 又O T 、, 看 護 P T 又 O T 、 介 護 職 員 、 医 師 、保 健 婦 、看 護 婦 生 活 指 導 員 、 寮 母 、 婦 等 相 談 指 導 員 等 必 要 に 応 じて 等 O T 、P T 看 護 婦 、 介 助 員 等 費 用 負 担 保 険 給 付 の 自 己 負 担 老 人 医 療 費 の 自 己 負 給 食 等 の 利 用 料 無 料 入 浴 、 給 食 の 実 費 負

2 )訪問指導

訪問指導の対象は,各事業の規定にあるように,「 寝た きりまたはそれに準ず るもの」であ り,通所サー ビスを受け る ことので きない,よ り重度の障害者 と理解 で きる。表 2 に現在行 われている主な訪問指導の状況 をまとめた。訪問診療, 訪問看護,訪問 リ‑ ビ リテ‑ ションは,実施主体が医療機関であ り,診療報酬が認め られている。訪問看護 につ いては 近年,訪問看護 ステー ション として老人保健法の中に位 置づ け られ,訪問看護の中核 を成 しつつある。主な指導 として は,在宅での医学的 リスク管理や健康管理が主であ り, 医療機器の導入 とともに,筋萎縮性側索硬化症 ( ALS) など 重度進行性疾患で も在宅生活が送れ るようになって きている。

表 2 在宅訪問事葉の現状

寝たきり老人 寝たきり老人 寝たきり老人 寝たきり老人など ホームヘルプサービス

訪問診療 訪問看護 訪問リ ハ

ヾリ テ ‑シ ヨン 指導 訪問指導 介護中心 型 家事援助中心型

実施 二 に体 扶療機関 医療機関 訪問看護ステーション 医療機関 巾町村 市町村ただ し事業の一部を社協、特養ホームなどの 社会福祉法人および民間事業所

法 相 老 ‑ ‑ 人保健法 ( 老人医療) 老人保健法 老人福祉法

対 象 常時寝たきり叉はこれ 在宅で寝たきり又はそれに準ずる状態にある者 4 0 歳以上の寝たきり等 老衰、心身の障害および傷病な どにより臥抹 してい に準ずる者で通院困難 の者および健康管 耳

」:

̲ るなど、日常生i . 引ニ支障があるおおむね 6 5 歳以上で、

な者 訪問の必要のある者 老人またはその家族が老人の介護サービスを必要 と する場合

指導内容 恕 者の病状による訪問 医師の指示に基づき、 患者の病状、家鼠 介護 家庭での療養、看護、 食事、排継、衣類養脱、 調理、衣類の洗濯 .補修、

診察計画により診察を 看護計画にそって、患 力を考慮 し、体位変換、 機能訓練の拍導及び家 入浴の介護、清拭、洗濯 掃除、整理整頓、買物、

行 う週 2 回を限度 者の病態や状態に即 し 起座. た援肋 過2 r t T ]を限度 などの訓練、週に 1 回2 起立、食事、排継 0 分以上 2 回、 族指導、諸制度の活用 方法の指導 その他必要な身体の介護 ※生晴などの相談 .助言 関係機関 との連絡、その 他必要な家事 ※相毒 炎.助言

費用負担 診療に要 した交通資及 看護または指導に要 し 診療に受 した交通費及 無料 A階層 i L i 活保護世帯 0円

び老人【 矢癖の日己負担 た交通費および老人医 び老人医療の臼己負担 B 前年度所得税非課税世帯 0円

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る,保健婦 による訪 問は,対象者の生活指導が主であ り,福祉的要素 も含 まれている。老人福祉法に よるホー ム‑ルプ サー ビスは,直接的援助 とともに家族 な どの介助負担の軽減 としての効果 もあ る。

3 )適所 ・訪 問指導の内容

適所 ・訪 問指導の内容 は,対象者,提供す るサー ビスに よ り異な るが,医療的指導か ら福祉的指導 までの多岐にわた る( 表 3 ) 。昭和5 8 年度 よ り長崎県下 で実施 された機能訓練 システム研究事業及び地域 リ‑ ビ リテ‑ シ ョン推進事業 にお け る指導 内容 も,健康管理 ・指導,生活指導,要 医療 の指導,介護方法 な どであった。

表 3 適所 。訪問指導の目的及び内容

竹 内 ら 3) は,特 に訪問指導の効果 につ いて家庭 内に病院での機能訓練 を直接持 ち込んで も,その効果がないこ とを指摘 してお り,家族 を含め た視 点が必要 としてい る。

地域 リ‑ での指導 ・援助 は,直接対象者の生活の場 である家庭 の中に入 り込んで行 うものであ り, 当然家族 を視野に 入れた指導 ・援助が重要 となる. そ して, それ らの具体的展開であ るサー ビス形態が,対象者の生活 自立のため連携 し 組織的に対応 していか なければな らない こ とは当然 であ る。

( 4 ) 地域 リハ̲ 活 動 の 具体 的 事例

ここでは,重度障害 をもつ症例 を紹介 し,地域 リ‑活動 の視点及びその展開につ いて理学療法士 の立場か ら述べ る。

1 )症例紹介

6 3 歳,男性,平成 4 年 6 月に左下肢脱 力感 出現 し,筋萎縮性側索硬化症 と診断 され る。その後,筋萎縮徐々に進行 し, 平成 7 年 1 月入院 とな り, 同年 2 月,俵 の啄 出困難のため気管切開,人工呼吸器装着 となる。 1 年 3 カ月の加療 の後, 平成 8 年 5 月に本人の希望 に よ り退院 となった。主 な介護者は,妻及び娘 である。

2 )機能的評価

退院後の生活は, 日常生活動作 ( 以下, ADL) 仝介助 で,家族 に よる体位変換が行 われ るだけであった。理学療法 士 に よる訪問時評価 を表 4 に示す。訪問時の機能的評価 よ り本症例 の問題点 として,①全 身の筋力低下,②関節可動域 の低下,③起居動作 ・ADL 仝介助,④ 噴下機能の低下,⑤誤境に対す る不安 な どであった。 また,家族の不安 として は,① 緊急時の対応,②使用医療機器の管理,③介護 負担 な どの訴 えがあった。

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Ⅰ Ⅴ リ‑ ビ リテ‑ ション

表 4 理学療法評価 重症度分類

( 厚 生省特定疾 患調査研 究班 ) 意識 障害 ・知 的障害

呼吸障害

畷下障害 ( むせ、反復 畷下 )

脳神経 動眼神経

7 度 無 育 着

眼験下垂+

関節 可動 域 体幹 :頚部 ・胸腰部 制限 上肢 :肩 ・肘 関節 制限

下肢 :足 関節 制限

筋 力 四肢 ・体幹 低下

顔面 やや低下

A、 DL 食 事 摂食 のみ可能

他 全介助

3 )支援体 制

訪 問時 の機 能 的評価 , 問題 点, 家族 の不安 な どを考 慮 し, 図 1 に示 す よ うな支 援体 制 で対 応 した。 その視 点 は, 医学 的 リス ク管理 を在 宅 ケ アの 中心 とし, 医療 機 関 に よ る訪 問診療 , 訪 問看 護 ス テー シ ョンに よ る訪 問看 護 ・訪 問 l レ 、と保 健 婦 に よ る訪 問指 導 を活用 した。 関 わ った各 ス タ ッフ及 び その役 割 を整 理 す る と表 5 の通 りで あ り, 訪 問頻 度 は 医師, 理 学療 法士 は週 1 回,訪 問看 護 婦 週 2 回で あ った。

ボ ラ ン テ ィ ア 活 動

・趣 味 的 活 動

図 1 支援体制

表 5 スタッフの関わ り

スタ ッフ 内 容

医 師 病状 のチ エ ッグ、 緊急時 の対応

看 護 婦 リスク管理 、病状 のチ ェ ック、 身体 的 ケア

保 健 婦 身体 的 ケア、栄養指 導

理学療法 士 摂食機能 の維持 、運動療 法、介助 法指 導

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導が主 であった。

4 )経過

退院直後 の家庭生活 において,人工 呼吸器,吸引器 の使用 につ いて家族 の不安 が大 きか った。看護婦 に よる機器 の指 導,体位 変換 ・バ イブ レー ター を使用 した排疾 を行 った。 その後,摂 食に対す るニー ズが高 くな り, 食事動作 の再評価 を行 ったO食事動作 に関す る留意点 として,、 ① 襲部 の保持,②体幹 の保持 ( ギャ ッジベ ッ ドの角 度約 7 0 度, クッシ ョン な どに よる上肢 の支持) ,③ 配膳 の位 置,④介助方法 ( 噴下 の タイ ミング) ,⑤ スプー ンの工夫,⑥ 食事 前の排疾 な どを 挙 げ,理学療法士 に よる訓練 として舌圧 子 を用 いた抵抗訓練,発声訓練,表情筋訓練,呼吸訓練 を行 った。

その結果, 食事 時間の短縮, 食事 中のむせや吸引回数 が減少 し, 自力 での摂食が可能 とな り,本 人,家族 とも自信 と 意欲 が出て きた。また,全 身状 態の安定 に伴 い,本 人の趣味であ る囲碁 を通 してボランティアの訪 問 を行 った。その後, 全 身状 態が徐 々 に低下 し,発話が不 明瞭 とな り, コ ミュニケー シ ョン機器 の給付 のため身体 障害者手帳 の再 申請 な どを 行 い約半年 間の在宅生活 を送 った。現在, 医療 的管理 が必要 なため再 入院 となった。

5 )本症例 の ま とめ

本症例 の訪 問指導 を通 して,地域 リ‑ のあ り方 につ いて考 えてみ たい。

一般 的に重症 ALS な どの進行性疾 患患者が在宅生活 を送 る条件 は, リス ク管理 の確 立,家族 の疾病 '障害 に関す る 認識や介護 力 な どが挙 げ られ る。 そ して, これ らの条件 の もと,症例 の有す る残存機能 の維持, ADL 維持 の ためのホ ー ムプ ログラムが実施 され る。

本症例 にお いて も, リス ク管理 を在宅 ケアの中心 として, 医師,看護婦,理学療 法士,保健婦 な どの関わ りをもった ( 図 2 )。 これ らの援助 ・ 指 導 に よ り病状 の安定維持, 身体機能 の維持 に少 なか らず関与 し,本人 と家族 にボランティア を受 け入れ る余裕 が生 まれ,重度の障害 を持 ちなが らも在宅生活 を約半年 にわたって継続 で きた こ とは, これ らに関わ った体制 とス タ ッフの技術 が適切 であった もの と考 え られた。

図 2 患者支援の視 点

在宅生活の主役 は, あ くまで も患者本 人 とその家族 であ り, その生活の 中に地域 リ‑ のそれ ぞれの援助方法 を活用 し ていか なければ な らない。 その中で最 も留意すべ きこ とは,提供 され る指導 ・援助 の連携 は もとよ り, それ らが提供 さ れ る時期 とその後 の生活の変化 を敏感 に感ず るこ とであろ う。生活 を基盤 とした地域 リ‑活動 においては,対象者の生 活 を如何 に共感す るか,関 わ る人が どれだけ共感す るかにかか ってい る ともいえよ う。

これ まで述べ て きた,地域 リ‑ の概念や方法論 は, 画一的 な ものではな く,実践 の中で構築 していか なければな らな

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Ⅰ Ⅴ リハビリテーション

い。近年 の在宅 医療 ,在宅福 祉政 策 の充実 の 中で, 地域 リ‑ の活動 は, 内容 が 問 われ る時代 に入 り,今 後 の 多 くの実 践 活動 に期待 した い。

引用文献 1) 津山直‑監修 :標準 リ‑ ビ リテ‑ ション.医学書院,1 9 86 .

2) 穐山富太郎,伊藤新一郎監修 :地域医療 一離島医療学 ‑.神陵文庫,P4ト47

3) 竹 内孝仁,浜村明徳 :対談 「 地域 リ‑ ビ リテ‑ ションを語 る 」. 病院40( 7) ,P5 91 ‑ 598 ,1 9 8 1 .

参考文献 1) 砂原茂‑ :リ‑ ビ リテ‑ ション.岩波新書,1 98 0.

2) リ‑ ビ リテ‑ ション協議会 :リ‑ ビ リテ‑ ション協議会 1 0 周年記念誌.1 9 88 .

3) 脳卒 中に対す る地域 リ‑ ビ リテ‑ ション活動.理 ・作 ・療法1 5( 1 0) ,P867‑ 87 7 ,1 98 1 .

4) 岡持利亘 :施設ケア,訪問ケア,適所 ケアのけ経験か ら. PTジャーナル3 0( 7) ,P47 8‑ 48 4 ,1 9 96.

5) 長崎県地域 リ‑ ビ リテ‑ シ ョン推進班編 :昭和6 3 年度地域 リ‑ ビ リテ‑ シ ョン推進事業報告書‑ 3 年 間の ま とめ‑,

1 9 8 8.

参照

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