成人の友人関係と精神的検討, パーソナリティの関 連
著者 本田 周二
雑誌名 人間関係学研究 : 社会学社会心理学人間福祉学 : 大妻女子大学人間関係学部紀要
巻 22
ページ 83‑90
発行年 2021‑02‑12
URL http://id.nii.ac.jp/1114/00006961/
Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja
本田 周二 * Shuji HONDA
<キーワード>
友人関係,成人期,精神的健康,パーソナリティ
<要 約>
本研究では,成人の友人関係に焦点をあて,友人の数,対人的疎外感,心理的well-being,パー ソナリティの関連について検討を行った。調査対象者は30歳以上70歳未満の男女800名(男 性400名,女性400名)であった(M = 49.43,SD = 11.09)。30代~60代まで男女100名ず つの対象にWebにより調査を行った。調査内容は友人の数,友人の数に対する考え方,建前 友人割合,対人的疎外感,心理的well-beingなどであった。分析の結果,(1)友人がいると 回答した人は友人関係でしか得られないものがあると思うと回答した割合が高く,友人がい ないと回答した人は友人関係でしか得られないものがあると思わないと回答した割合が高 かったこと,(2)男性30代,40代は友人がおらず,女性30代は友人がいる割合が高かっ たこと,(3)建前友人なし群は友人関係の独自性があると思うと回答している割合が高く,
建前友人あり群は思わないと回答している割合が高かったこと,(4)友人の数に関して女性 のみ精神的健康と関連が見られること,(5)男女問わず友人がいる群の方がいない群よりも 精神的健康が高いことなどが明らかとなった。問題点と今後の展望として,(1)Webによる 調査のため結果の解釈については対象者の特徴に留意すること,(2)性差と年代との関連に ついて精神的健康以外の側面から友人関係について検証する必要のあること,(3)友人に求 めるものの違いや友人関係の独自性についてさらなるデータを蓄積する必要があることが挙 げられた。
*大妻女子大学 人間関係学科 社会・臨床心理学専攻 准教授
成人の友人関係と精神的検討,パーソナリティの関連
The relation between adult friendships, mental health and personality
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人間関係学部紀要 人間関係学研究 22 2020
1.問題と目的
(1)問題
本研究では,成人の友人関係に焦点をあて,友 人の数や精神的健康,パーソナリティの関連につ いて検討する。友人関係は,個人の身体的・精神 的健康や成長にとって重要な対人関係の一様式で ある。内閣府が実施している世界青年意識調査1)
によると,日本の青年は「悩みや心配事を相談す る相手」に近所や学校の友だちを挙げる割合が多 く,学校に通うことの意義として「友だちとの友 情を育むこと」を挙げる割合が多い。友人関係と いえば,同性友人関係を指すことが多く(和田,
1993)2),様々な研究から同性の友人関係が個人
にとって大きな支えになることが示されている
(本田, 2009)3)。論文検索サイトCiNiiで友人関
係に関する心理学的研究を検索すると2019年10 月の時点で281件の論文がヒットし,これらの研 究を概観すると,友人関係は悩みの種にもなりう るが,ソーシャルサポート源の一つであり,スト レスの緩衝効果として重要な役割を果たしている ことが明らかとなっている。しかし,研究対象者 を分類したところ,大学生が134件と最も多く,
次に中学生,高校生,小学生と続き,成人につい ては11件しか扱われていない。つまり,従来の 友人関係に関する研究は児童や青年を対象とした ものが多く,上の世代については一部,高齢者を 対象にした研究(例えば,丹野, 2010 4)など)や 世代による違いを検証した研究(例えば,Chan &
Cheng(2004)5),本田(2018,2019)6)7)など)を
除き,ほぼ見られない。
それでは,成人にとって友人関係の重要性は低 下するのであろうか。本研究では,ソーシャルサ ポート源としての重要性という観点で成人の方が 高まる可能性に着目する。平成30年労働安全衛 生調査(2019)8)によると,ストレスを相談でき る相手として「家族・友人」の割合が79.6%と最 も高いことが明らかとなっている。また,平成30 年の自殺の状況(厚生労働省,2019)9)を見ると,
10代の割合が5.3%であるのに対し,20代以降は 17%以上であり,特に50代では22.3%と最も高
くなっている。そして,その原因の多くは,勤務 問題や健康問題,家庭問題などのストレスによる ものである。このように,成人のストレスは深刻 なものであり,そのストレスを低減するサポート 源として友人関係は重要であると考えられる。従 来,成人は友人よりも恋愛相手や配偶者といった 別の関係性によるサポートが期待されてきた。し かし,総務省の国勢調査によると,日本人の未婚 率は上昇し続けており,2015年の段階で,30代 の2,3人に1名は未婚という状況であり,別の 関係性からのサポートを受けることのできない 人々が一定層いることが考えられる。その点から 考えると,現代の日本においては,成人の友人関 係の重要性が高まっている可能性がある。一方で,
本田(2018)6)は世代間比較による友人関係の特 徴について20代~60代を対象に検討しているが,
そこでは,友人の数が「0人」であると回答した 人が3割を超えていた。また,建前友人(そこま で仲良くないけれどもつき合っている友人のこ と)の割合が平均で3割であったことも明らかに している。このことはサポート源を有していない 人々の存在を示唆するものであり,さらなる検証 が必要であると考えられる。
そこで,本研究では,成人の友人関係に焦点を あて,友人の数,対人的疎外感,心理的well-being, パーソナリティの関連について検討する。
2.方法
調査対象者:調査対象者は30歳以上70歳未満の 男女800名(男性400名,女性400名)であった(M
= 49.43,SD = 11.09)。30代~60代まで男女100
名ずつの調査対象者であった。サンプルは,クロ スマーケティング社の有するパネルを利用し,
WEB上にて参加者を募った。
調査時期:2019年2月に,webにより依頼を行い,
回答を求めた。なお,データ品質の劣化を防ぐた め,調査項目にダミー項目を加え,矛盾していた アンケート回答者は排除できるようにした。
調査内容:
(1 )フェイスシート:デモグラフィック変数とし て性別,年齢,居住地域,結婚の有無,子ども
の有無,職業についてたずねた。
(2 )友人の数の有無,数:「あなたは現在,友人 はいますか?」という問いに対して「いる・い ない」で回答を求めた。そして,「いる」場合 はその人数について回答を求めた。さらに,自 身の友人の数について多いと思うかどうか(以 下,友人数の考え),5件法(1:少ないと思う
~5:多いと思う)で回答を求めた。
(3 )建前友人の割合:友人だと思う人の中で,そ こまで仲が良くないけれども,つき合っている 人の割合(以下,建前友人割合)について回答 を求めた。
(4 )友人関係の独自性:「友人には他の関係性(恋 愛関係や家族関係など)からは,得られない何 かがあると思いますか?」という問いに対して
「思う・思わない」で回答を求めた。
(5 )対人的疎外感:杉浦(2000)10)の対人的疎外 感尺度(21項目,5件法)を用いた。「それぞ れの項目についてあてはまる数字に1つ○をつ けてください」と教示を行い,「1. あてはまら ない」から「5. あてはまる」までの5件法で回 答を求めた。
(6 )TIPI-J: 小 塩 ら(2012)11)の 日 本 語 版Ten
Item Personality Inventory(10項 目,7件 法 ) を
用いた。「それぞれの項目についてあてはまる 数字に1つ○をつけてください」と教示を行い,
「1. まったく違うと思う」から「7. 強くそう思う」
までの7件法で回答を求めた。
(7 )心理的well-being:西田(2000)12)の心理的
well-beingの中から人生における目的,自己受
容(15項目,6件法)を用いた。「それぞれの 項目についてあてはまる数字に1つ○をつけて ください」と教示を行い,「1. 全くあてはまら ない」から「6. 非常にあてはまる」までの6件
法で回答を求めた。
3.結果と考察
(1)友人の有無,友人の独自性の有無,友人の数,
友人数の考え,建前友人割合
まずは,記述統計の結果を示す。「友人の有無」
「友人関係の独自性の有無」について,友人がい ると回答した人が654名,いないと回答した人が 146名であった。次に,友人関係の独自性について,
友人関係でしか得られないものがあると思うと回 答した人が641名,思わないと回答した人が159 名であった。「友人の有無」と「友人関係の独自性 の有無」についてクロス集計およびX2検定を行っ たところ,1%水準で有意な偏りが見られた(X(1)2
=189.29, p <.01)。残差分析を行ったところ,友人
がいると回答した人は友人関係でしか得られない ものがあると思うと回答した割合が高く,友人が いないと回答した人は友人関係でしか得られない ものがあると思わないと回答した割合が高かった。
「友人の数」「友人数の考え」「建前友人割合」
についてTable 1に示す。相関分析を行ったところ,
友人の数と友人数の考えには弱い正の相関が認め られた(r = .28, p <.01)。一方で,建前友人割合は 関連が認められなかった。建前友人の割合と友人 の数には関連が見られないことが明らかとなっ た。建前友人割合に関して,度数分布を確認した ところ,0割の人が317名(48.5%)であった。そ こで,建前友人がいない群といる群の2群(以下,
建前友人group)に分けて以下の分析で用いるこ
ととした。
(2)デモグラフィック変数との関連
次に,性別や年代,婚姻状況との関連について 見ていく。まず,性別と友人の有無についてX2
平均値 標準偏差 範囲
友人の数 7.35 12.50 1~180
友人数の考え 1.79 0.92 1~5 建前友人割合 1.84 2.65 0~10
Table1 各変数の平均値および標準偏差
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検定を行ったところ,有意な偏りが認められた(X2
(1) = 17.73, p < .01)。残差分析の結果,男性の方
が友人がおらず,女性の方が友人がいる割合が高 かった。次に,性別および年代と友人の有無につ いてX2検定を行ったところ,有意な偏りが認め
られた(X(7)2 = 24.10, p < .01)。残差分析の結果,
男性30代,40代は友人がおらず,女性30代は友 人がいる割合が高かった。次に,性別と友人関係 の独自性の有無についてX2検定を行ったところ,
有意な偏りが認められた(X(1)2 = 6.60, p < .05)。
残差分析の結果,男性は思わないと回答している 割合が高く,女性は思うと回答している割合が高 かった。性別および年代と友人関係の独自性の有 無についてX2検定を行ったところ,有意な偏り は認められなかった(X(2 7) = 10.48, n.s.)。次に婚 姻状況と友人の有無についてX2検定を行ったと ころ,有意な偏りが認められた(X(1)2 = 8.79, p <
.01)。残差分析の結果,未婚の方が友人がいない と回答している割合が高く,既婚の方がいると回 答している割合が高かった。性別と婚姻状況につ いてX2検定を行ったところ,有意な偏りが認め
られた(X(1)2 = 6.12, p < .05)。残差分析の結果,
男性の方が未婚の割合が高く,女性の方が既婚の 割合が高かった。性別および年代と婚姻状況につ いてX2検定を行ったところ,有意な偏りが認め
られた(X(7)2 = 54.95, p < .01)。残差分析の結果,
男性に関して,30代と40代で未婚の割合が高く,
60代で既婚の割合が高かった。女性に関して,50 代と60代で既婚の割合が高かった。最後に,建 前友人割合と婚姻状況,性別,年代,友人関係の 独自性の有無についてそれぞれX2検定を行った。
婚姻状況(X(2 1) = 0.19, n.s.),性別および年代(X2
(7) = 3.15, n.s.)に関して有意な偏りは認められな
かった。友人関係の独自性の有無に関しては有意 な偏りが認められた(X(2 1) = 9.12, p < .01)。建前 友人なし群は友人関係の独自性があると思うと回 答している割合が高く,建前友人あり群は思わな いと回答している割合が高かった。友人の有無な どに関して,デモグラフィック変数との関連が見 られることが明らかとなった。
(3)対人的疎外感,TIPI-J,心理的 well-being 対人的疎外感に関して,先行研究において1因 子構造であることが確認されているため,信頼性 分析を行ったところ,α=.93であった。21項目 の平均値を算出し,以下,対人的疎外感尺度とし て使用することとした。次に,TIPI-Jに関して,
こちらは,外向性,協調性,勤勉性,神経症傾向,
開放性についてそれぞれ2項目で測定しているも のであるため,それぞれ2項目の平均値を算出し,
使用することとした。心理的well-beingに関して,
探索的因子分析を行った(最尤法,プロマックス 回転)ところ,2因子が抽出された(Table 2)。な お,因子負荷量は0.4を基準とした。第1因子は,
「私は自分の生き方や性格をそのまま受け入れる ことができる」「良い面も悪い面も含め,自分自 身のありのままの姿を受け入れることができる」
などの項目から構成されており,「自己受容」と 命名した(8項目,α=.91)。第2因子は,「私の 人生にはほとんど目的がなく,進むべき道を見出 せない(逆転項目)」「私が現在,目的なしにさま よっているような気がする(逆転項目)」などの 項目から構成されており,「人生における目的」
と命名した(7項目,α=.91)。なお,第2因子に ついては逆転処理を行った上で分析に用いた。
(4)各変数間の関連(全体)
各変数間の関連を検討するために,相関分析を 行った。まずはTIPI-Jを中心に見ていく。外向性 に関して,友人の数(r = .13, p <.05),友人数の考 え(r = .31, p <.01),建前友人割合(r = .04, n.s.),
対人的疎外感得点(r = -.42, p <.01),自己受容得 点(r = .39, p <.01),人生における目的得点(r = .41, p <.01)の関連が認められた。協調性に関して,
友人の数(r = .07, n.s.),友人数の考え(r = .15, p
<.01),建前友人割合(r = -.05, n.s.),対人的疎外
感得点(r = -.42, p <.01),自己受容得点(r = .37, p
<.01),人生における目的得点(r = .24, p <.01)の
関連が認められた。勤勉性に関して,友人の数(r
= -.06, n.s.),友人数の考え(r = .18, p <.01),建前
友人割合(r = .01, n.s.),対人的疎外感得点(r = -.22, p <.01),自己受容得点(r = .31, p <.01),人生にお
ける目的得点(r = .26, p <.01)の関連が認められた。
神経症傾向に関して,友人の数(r = -.05, n.s.),友 人数の考え(r = -.18, p <.01),建前友人割合(r = -.02, n.s.),対人的疎外感得点(r = .40, p <.01),自己受 容得点(r = -.38, p <.01),人生における目的得点(r
= -.43, p <.01)の関連が認められた。開放性に関
して,友人の数(r = .10, p <.05),友人数の考え(r
= .20, p <.01),建前友人割合(r = -.02, n.s.),対人
的疎外感得点(r = -.19, p <.01),自己受容得点(r
= .33, p <.01),人生における目的得点(r = .30, p
<.01)の関連が認められた。友人の数に関して,
外向性と開放性との間に弱い正の相関が見られた が,それ以外とは関連が認められなかった。また,
建前友人割合に関してはどれとも関連が認められ なかった。対人的疎外感や自己受容,人生におけ る目的に関してはすべて関連が認められた。これ は,性格と精神的健康,友人数に対する考えに関
しては関連が見られるが,友人の数と性格にはあ まり関連が見られないことを示唆している。
次に,友人の数や友人数の考え,建前友人割合 と精神的健康との関連について見ていく。友人の 数に関して,対人的疎外感得点(r = -.10, p <.01),
自己受容得点(r = .05, n.s.),人生における目的得 点(r = .08, p <.05)の関連が認められた。友人数 の考えに関して,対人的疎外感得点(r = -.23, p
<.01),自己受容得点(r = .25, p <.01),人生にお
ける目的得点(r = .24, p <.01)の関連が認められた。
建前友人割合に関して,対人的疎外感得点(r =
.07, n.s.),自己受容得点(r = -.06, n.s.),人生にお
ける目的得点(r = -.02, n.s.)であり,どれとも関 連は認められなかった。本結果を見ると,友人の 実際の数や建前友人の割合は精神的健康と関連が 弱く,自身の友人の数が多いと思うか少ないと思 うかという意識が精神的健康に関連があることが
項目内容 1 2
第1因子 自己受容
私は自分の生き方や性格をそのまま受け入れることができる 0.86 -0.13 良い面も悪い面も含め,自分自身のありのままの姿を受け入れることができる 0.84 -0.07
私は,自分に対して肯定的である 0.80 -0.09
私は,自分自身が好きである 0.79 -0.01
私は,これまでの人生において成し遂げてきたことに,満足している 0.72 0.06 自分がどんな人生を送りたいのか,はっきりしている 0.62 0.11
私はいつも生きる目標を持ち続けている 0.62 0.13
私は,自分の将来に夢を持っている 0.60 0.16
第2因子 人生における目的※2
私の人生にはほとんど目的がなく,進むべき道を見出せない -0.04 0.95 私は現在,目的なしにさまよっているような気がする -0.03 0.90 本当に自分のやりたいことが何なのか,見出せない -0.02 0.88 私は,自分が生きていることの意味を見出せない 0.04 0.81
私の人生は退屈で,興味がわかない 0.09 0.76
私は,自分の性格についてよく悩むことがある -0.01 0.53 私は,今とは異なる自分になりたいとよく思う -0.01 0.50
※1心理的well-being尺度(西田, 2000)のうち,2下位尺度のみ使用
※2逆転処理を行った上で分析に使用
因子相関0.43 Table2 心理的well-being尺度(西田, 2000)の因子分析結果(最尤法,プロマックス回転)※1
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明らかとなった。友人が多いと思っているほど,
対人的疎外感が低く,自己受容と人生における目 的が高いことが示された。
(5)各変数間の関連(性別ごと)
各変数間の関連を検討するために,性別ごとに 相関分析を行った。男性の結果から述べる。まず
はTIPI-Jを中心に見ていく。外向性に関して,友
人の数(r = .13, p <.05),友人数の考え(r = .27, p
<.01),建前友人割合(r = -.04, n.s.),対人的疎外
感得点(r = -.42, p <.01),自己受容得点(r = .37, p
<.01),人生における目的得点(r = .44, p <.01)の
関連が認められた。協調性に関して,友人の数(r
= .05, n.s.),友人数の考え(r = .13, p <.05),建前
友人割合(r = -.05, n.s.),対人的疎外感得点(r = -.34, p <.01),自己受容得点(r = .34, p <.01),人生にお ける目的得点(r = .19, p <.01)の関連が認められた。
勤勉性に関して,友人の数(r = -.13, p <.05),友 人数の考え(r = .18, p <.01),建前友人割合(r = -.01, n.s.),対人的疎外感得点(r = -.26, p <.01),自己 受容得点(r = .40, p <.01),人生における目的得点
(r = .28, p <.01)の関連が認められた。神経症傾向 に関して,友人の数(r = -.01, n.s.),友人数の考 え(r = -.14, p <.05),建前友人割合(r = .06, n.s.),
対人的疎外感得点(r = .44, p <.01),自己受容得点
(r = -.45, p <.01),人生における目的得点(r = -.46,
p <.01)の関連が認められた。開放性に関して,
友人の数(r = .16, p <.01),友人数の考え(r = .18, p <.01),建前友人割合(r = -.08, n.s.),対人的疎 外 感 得 点(r = -.28, p <.01), 自 己 受 容 得 点(r =
.39, p <.01),人生における目的得点(r = .37, p <.01)
の関連が認められた。友人の数に関して,外向性 と開放性との間に弱い正の相関が見られたが,勤 勉性とは弱い負の関連が認められた。それ以外と は関連が認められなかった。また,建前友人割合 に関してはどれとも関連が認められなかった。対 人的疎外感や自己受容,人生における目的に関し てはすべて関連が認められた。これは,性格と精 神的健康,友人数に対する考えに関しては関連が 見られるが,友人の数と性格にはあまり関連が見 られないことを示唆している。
次に,友人の数や友人数の考え,建前友人割合 と精神的健康との関連について見ていく。友人の 数に関して,対人的疎外感得点(r = -.07, n.s.),自 己受容得点(r = .04, n.s.),人生における目的得点(r
= .04, n.s.)であり,どれとも関連が見られなかった。
友人数の考えに関して,対人的疎外感得点(r = -.24, p <.01),自己受容得点(r = .16, p <.01),人生にお ける目的得点(r = .24, p <.01)の関連が認められた。
建前友人割合に関して,対人的疎外感得点(r =
.11, n.s.),自己受容得点(r = -.15, p <.05),人生に
おける目的得点(r = -.05, n.s.)であり,自己受容 得点との間に弱い負の相関が認められた。本結果 を見ると,全体の結果と同様に友人の数は精神的 健康と関連は見られないが,自身の友人の数が多 いと思うか少ないと思うかという意識が精神的健 康に関連があることが明らかとなった。また,建 前友人割合が高いほど,自己受容が低いことも明 らかとなった。
次 に 女 性 の 結 果 に つ い て 見 て い く。 ま ず は
TIPI-Jを中心に見ていく。外向性に関して,友人
の数(r = .17, p <.01),友人数の考え(r = .35, p <.01),
建前友人割合(r = .11, p <.05),対人的疎外感得点
(r = -.40, p <.01),自己受容得点(r = .41, p <.01),
人生における目的得点(r = .38, p <.01)の関連が 認められた。協調性に関して,友人の数(r = .13, p <.05),友人数の考え(r = .17, p <.01),建前友人 割合(r = -.05, n.s.),対人的疎外感得点(r = -.48, p <.01),自己受容得点(r = .40, p <.01),人生にお ける目的得点(r = .30, p <.01)の関連が認められた。
勤勉性に関して,友人の数(r = .05, n.s.),友人数 の考え(r = .18, p <.01),建前友人割合(r = .03, n.s.),
対人的疎外感得点(r = -.17, p <.01),自己受容得 点(r = .24, p <.01),人生における目的得点(r =
.24, p <.01)の関連が認められた。神経症傾向に関
して,友人の数(r = -.11, p <.05),友人数の考え(r
= -.21, p <.01),建前友人割合(r = -.07, n.s.),対人 的疎外感得点(r = .38, p <.01),自己受容得点(r
= -.32, p <.01),人生における目的得点(r = -.40, p
<.01)の関連が認められた。開放性に関して,友
人の数(r = -.01, n.s.),友人数の考え(r = .21, p <.01),
建前友人割合(r = .03, n.s.),対人的疎外感得点(r
= -.13, p <.01),自己受容得点(r = .28, p <.01),人 生における目的得点(r = .24, p <.01)の関連が認 められた。友人の数に関して,外向性と開放性と の間に弱い正の相関が見られたが,神経症傾向と は弱い負の関連が認められた。それ以外とは関連 が認められなかった。また,建前友人割合に関し てはどれとも関連が認められなかった。対人的疎 外感や自己受容,人生における目的に関してはす べて関連が認められた。これは,性格と精神的健 康,友人数に対する考えに関しては関連が見られ るが,友人の数と性格にはあまり関連が見られな いことを示唆している。全体の結果,男性の結果 と大きな違いは認められなかった。
次に,友人の数や友人数の考え,建前友人割合 と精神的健康との関連について見ていく。友人の 数に関して,対人的疎外感得点(r = -.21, p <.01),
自己受容得点(r = .07, n.s.),人生における目的得 点(r = .16, p <.01)の関連が認められた。友人数 の考えに関して,対人的疎外感得点(r = -.23, p
<.01),自己受容得点(r = .32, p <.01),人生にお
ける目的得点(r = .24, p <.01)の関連が認められた。
建前友人割合に関して,対人的疎外感得点(r =
.03, n.s.),自己受容得点(r = .01, n.s.),人生にお
ける目的得点(r = .00, n.s.)であり,どれとも関 連が認められなかった。本結果を見ると,友人の 数に関して女性のみ精神的健康と関連が見られる ことが明らかとなった。
(6)性別と友人の有無,建前友人 group による 精神的健康の違い
性別と友人の有無,建前友人groupで対人的疎 外感得点,自己受容得点,人生における目的得点 に違いが見られるかどうかを検討するために2要 因分散分析を行った。まずは,性別(男性・女性)
と友人の有無(いない・いる)を独立変数,「対 人的疎外感得点」「自己受容得点」「人生における 目的得点」を従属変数とした2要因分散分析を行っ た。分析の結果,友人の有無による主効果のみ有 意 で あ っ た。「 対 人 的 疎 外 感 得 点(F(1,796) = 51.63, p < .01)」に関して,友人がいる群の方がい ない群よりも対人的疎外感得点が低かった。「自 己受容得点(F(1,796) = 11.76, p < .01)」「人生に おける目的得点(F(1,796) = 13.24, p < .01)」
に関して,どちらも友人がいる群の方がいない群 よりも得点が高かった。それ以外の主効果や交互 作用は有意ではなかった(Table 3)。
次に,性別(男性・女性)と建前友人group(建 前友人がいない群・建前友人がいる群)を独立変 数,「対人的疎外感得点」「自己受容得点」「人生 における目的得点」を従属変数とした2要因分散 分析を行った。分析の結果,性別の主効果のみ有 意 で あ っ た。「 対 人 的 疎 外 感 得 点(F(1,650) = 12.14, p < .01)」に関して,男性の方が女性よりも 対人的疎外感得点が高かった。それ以外の主効果 や交互作用は有意ではなかった(Table 4)。
性別 男性 女性 主効果 交互作用
友人の有無 いない群
(n = 96) いる群
(n = 304)いない群
(n = 50) いる群
(n = 350)
性別 友人の有無
F値 偏イータ
2乗 F値 偏イータ
2乗 F値 偏イータ
2乗 対人的疎外感
得点 2.97
(0.63) 2.60
(0.67) 2.97
(0.63) 2.42
(0.68) 1.94 0.00 51.63** 0.08 2.15 0.00 自己受容得点 3.22
(0.76) 3.46
(0.85) 3.11
(1.03) 3.45
(0.91) 0.59 0.00 11.76** 0.07 0.46 0.00 人生における
目的得点 3.57
(0.94) 3.93
(0.96) 3.60
(1.05) 3.94
(1.04) 0.06 0.00 13.24** 0.03 0.00 0.00 上段:平均値,下段:標準偏差
** p < .01
Table3 性別と友人の有無による各得点と分散分析結果
90 大 妻 女 子 大 学
人間関係学部紀要 人間関係学研究 22 2020
(7)研究の限界と今後の課題
最後に本研究の限界と今後の課題について述べ る。本研究はウェブによる調査のため,対象の偏 りが存在している可能性があるため,結果の解釈 についてはその点を考慮に入れる必要がある。ま た,友人関係における性差と年代との関連につい て精神的健康という視点以外からも検討をするこ とが必要であろう。他にも友人に求めるものの違 いや友人関係の独自性について,より詳細に検討 することで,成人期以降の友人関係の特徴が明ら かになってくるものと考えられる。
引用文献
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10 )杉浦健(2000). 2つの親和動機と対人的疎外 感との関係-その発達的変化-, 教育心理学 研究, 48, 352-360.
11 )小塩真司・阿部晋吾(2012). 日本語版Ten Item Personality Inventory(TIPI-J)作成の試み, パーソナリティ研究, 21, 40-52.
12 )西田裕紀子(2000). 成人女性の多様なライフ スタイルと心理的well-beingに関する研究, 教育心理学研究, 48, 433-443.
性別 男性 女性 主効果 交互作用
建前友人
group いない群
(n = 153) いる群
(n = 151) いない群
(n = 164) いる群
(n = 186)
性別 建前友人group
F値 偏イータ
2乗 F値 偏イータ
2乗 F値 偏イータ
2乗 対人的疎外感
得点 2.59
(0.72) 2.62
(0.62) 2.34
(0.68) 2.45
(0.68) 12.14** 0.02 1.03 0.00 0.20 0.00 自己受容得点 3.56
(0.88) 3.35
(0.81) 3.51
(0.96) 3.40
(0.87) 0.00 0.00 5.11 0.01 0.61 0.00 人生における
目的得点 3.95
(1.00) 3.90
(0.91) 3.97
(1.04) 3.92
(1.03) 0.07 0.00 0.39 0.00 0.01 0.00 上段:平均値,下段:標準偏差
** p < .01
Table4 性別と建前友人groupによる各得点と分散分析結果