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南アジア研究 第21号 001草野 拓司「新経済政策下における農協「地域営農センター」の効果」

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(1)

新経済政策下における農協

「地域営農センター」

の効果

─インド・マハラシュトラ州の製糖協同組合の実態調査から─

草野拓司

1 問題の所在

インドにおいて

1991

年に始まった新経済政策による経済の自由化は、 農村にも波及している。特に農村協同組合の中には、経済自由化の下で競 争原理にうまく対応できないものも多い。 インドの農協の中では数少ない優良事例として知られているマハラシュ トラ州の製糖協同組合も、自由化の中で経営の悪化に苦しんでいる。製糖 産業における自由化は、特に次の

3

つが挙げられる。

1

つ目は

1997

年のゾー ニング制の廃止で、甘蔗生産農民は出荷先を自由に選択できるようになっ た。

2

つ目が

1999

年の認可制の廃止で、民間製糖会社が操業する機会が 飛躍的に増加した1

3

つ目が供出砂糖の割合の引き下げで(

1995

/

96

年 の

40

%

から、

2001

/

02

年には

10

%

にまで減少)、製糖工場は、自由に販売 できる砂糖の割合が格段に多くなった。このように、同州の製糖産業にお ける自由化が進む中で、製糖工場間の原料(甘蔗)調達競争が激化してい る状況にある。 ところで、同州の多くの製糖協同組合では、アメリカの新世代農協に似 た経営方式を採っている。それは、持分の口数に応じて、組合員は甘蔗を 出荷する義務と権利を得、製糖協同組合は集荷する義務と権利を得るとい うものである2。これにより、製糖協同組合は、製糖プラントの甘蔗処理 能力を考慮して集荷見込を立て、持分を発行している。なお、組合員資格 執筆者紹介 くさの たくじ●明治大学研究・知財戦略機構客員研究員 農業経済学 ・2006、「サトウキビ栽培における協同組合の役割−インド・マハラシュトラ州の製糖 工場の事例−」、『2005 年度日本農業経済学会論文集』、602-607 頁。 ・2008、「インドの新経済政策下における製糖協同組合の発展方向についての実証的研 究−マハラシュトラ州の事例を通して−」、明治大学提出博士学位論文。

(2)

は「

18

歳以上で甘蔗を生産している者」とされており、組合員のほとん どは小規模農(

2

ha

未満)や限界農(

1

ha

未満)であると言われている3。 このようにして操業を行う製糖協同組合であるが、現在、その経営改善 対策には主に

2

つのタイプが観察される。それは、地域営農センター(以 下、センターと呼ぶ)4等を整理・合併することでコストを軽減しようとす るものと、逆に、センター等を増強することを通じて、組合員へのきめ細 かいサービスを目指そうとするものである。 組合員へのきめ細かいサービスを目指そうとするものについては、イン ドの農協において、これも数少ない成功事例として考えられている酪農協 の例がある。酪農協は、州連合会と県連合会の下に村レベルの単位酪農協 を置き、

1

組合が

1

ヶ村を活動範囲とすることで、農村貧困世帯も巻き込 みながら、発展をとげている。その背景には、各単位酪農協の活動範囲を 狭く限定し、組合員との密接な関係を築いたことが、

1

つの大きな要因と して考えられる5。 このような酪農協の事例は、利用者と組織を結ぶための媒介的役割に注 目したものであるが、製糖協同組合においては、大型化が進む中で、そう いった役割はあまり注目されていない。先行研究においても、組合員への サービスとして、営農指導員の配置や技術指導の重要性などを説いている ものがいくつかあるが6、実証的な分析は必ずしも十分には行われてこな かった。 製糖協同組合は組合員数が

1

万人を超え、数郡にまたがって大規模に操 業を行っているが、旱魃による甘蔗生産量の不足が常態化する中で組合が 組合員から安定的に甘蔗を集荷するためには、組合員との距離を近くとり、 ニーズを把握し、それに応えたサービスを提供することが不可欠である。 製糖協同組合は加工農協という特質上、原料となる甘蔗を十分に確保する ことが、組合の経営を安定させるためには不可欠なためである。組合が、 組合員との距離を近くするためには組合員と頻繁に接する機会を設けるこ とが必要であり、そのための職員の増員が求められる。また、増員された 職員が駐在するための建物や設備、社宅なども必要になる。このために一 時的にコストが上がり、経営を圧迫する要因になったとしても、組合員の 「定着化」(単に組合員名簿に名前が載っているだけではなく、組合員が甘 蔗を自らの組合へ安定的に出荷していること)が達成されれば、そのマイ ナスを十分にカバーするだけの効果を生む可能性があり、センターは、そ

(3)

の効果を目指して設置されていると考えられる。 そこで本稿では、マハラシュトラ州の一製糖協同組合を事例として、セ ンターを増設することにより、組合員の定着化を図っている組合の実態分 析を通じて、組合員の定着化にとってのセンター機能の効果を実証的に検 討する。  この分析を行うための事例対象となるマハラシュトラ州マルシュラス郡 のモヒテ・パティル製糖協同組合(以下、モヒテ組合と呼ぶ)は、ゾーニ ング制廃止に対応するため、

1997

年にマハラシュトラ州で初となる常設 のセンターを置いている7。また、その比較対象として、同郡で操業を行い、 長年甘蔗の集荷における競合関係にあるシャンカラ製糖協同組合(以下、 シャンカラ組合と呼ぶ)も取りあげる。この組合は、モヒテ組合とは異な り、センターを設置していない。自由化により民間製糖会社等からの影響 を強く受ける中で、両組合の取組みの違いがもたらす効果を比較分析する ことで、組合員定着のための方策を明らかにしていく。 なお、両組合を対象とした比較分析を行う際、主に組合レベルでのデー タを用いるが、それが入手できないものや、組合員レベルでのデータが有 効だと考えられる場合には、両組合が重複して管轄エリアとしているボル ガオン村における両組合の組合員のデータも適宜用いることとする8

2 パフォーマンスの比較

2-1 経営状況と製糖プラントの効率性

1962

年に操業を始めたモヒテ組合は、ソラプール県マルシュラス郡ア クルージ村(「村」はグラム・パンチャヤートのことを指す)に位置し、 州都ムンバイからは車で

6

7

時間の場所にある。

2005

/

06

年現在、同組 合の管轄エリアは

174

ヶ村におよぶ。経営スタッフである理事は

30

人で、 そのうち

1

人だけが専務理事として給与を得ながら常勤している。職員は

1604

人で、うち

1018

人が正規労働者、

586

人が非正規労働者(季節労働者) である。製糖プラントは、

1993

年に新たな機械に更新され、その甘蔗処 理能力は

2005

/

06

年現在で

4500

トン/日である。 一方、

1970

年から操業を始めたシャンカラ組合は、モヒテ組合から車 で約

30

分の場所に位置し、管轄エリアが

146

ヶ村(そのうちモヒテ組合 との重複は

52

ヶ村)の製糖協同組合である。理事は、モヒテ組合と同様

(4)

30

人で、

1

人の有給の専務理事を置いている。製糖プラントは、

1992

年に新たな機械に更新され、その甘蔗処理能力は

2005

/

06

年現在で

2500

トン/日である。職員数に関するデータは入手できなかった。なお、両組 合の製糖プラントは、モヒテ組合が

1993

年に、シャンカラ組合が

1992

年 に新たな機械に更新されたものであるため、両者ともに比較的新しい同様 の機械で製糖を行っている。 最初に、この

2

つの組合の経営状況を簡単に比較しておこう。表

1

は、 両組合の収支を示したものである9。モヒテ組合は単年・累積ともに黒字 基調で、

2005

/

06

年には累積黒字が

7399

万ルピーにまで増加している10。 それに対してシャンカラ組合は赤字基調が続いており、同年度には

881

万 ルピーの累積赤字を抱えている11。 このような両組合の経営状況の差を生んでいる

1

つの大きな要因として、 製糖プラントの稼動効率の差が考えられる。製糖協同組合の経営を議論す る際、しばしば、製糖プラントの稼動効率の重要性が指摘されていること からも12、以下ではそれについてみていこう。 表

2

は、両組合の製糖プラントの稼動を「稼動効率指数」として換算した ものである。この指数は、製糖協同組合の関係者の話しなどから、最も効 率的であると考えられる製糖プラントの稼動を、「甘蔗処理能力の

120

%

を 年間

160

日稼動させる場合」と仮定して、それを

100

としたものである13。 したがって、モヒテ組合の場合、稼動効率指数が

100

になるのは

86

4000

トンで、シャンカラ組合の場合は

48

万トンとなる。この指数は

100

表1 モヒテ組合とシャンカラ組合の収支 1,000ルピー モヒテ シャンカラ 年度 単年度 累積 単年度 累積 1994/95 1,842 45 ̶̶ ̶̶ 95/96 404 450 ̶̶ ̶̶ 96/97 358 807 ̶̶ -19,555 97/98 573 1,380 -956 -20,512 98/99 315 1,695 27,252 6,740 99/00 438 2,133 -22,573 -15,833 2000/01 267 2,400 2,092 -13,741 01/02 271 2,671 1,732 -12,009 02/03 -109,456 -106,784 -37,936 -49,945 03/04 107,152 368 10,166 -39,779 04/05 58,629 58,996 21,691 -18,088 05/06 14,996 73,992 9,278 -8,810 出所:各組合年報より筆者作成

(5)

が最も効率的で、それより上でも下 でも効率は悪くなることを指してい る。ただし、

100

を超える非効率は粗 収入の減少にはつながらないが、

100

を下回る非効率は、粗収入の減少の ために、製糖プラントの減価償却費 等の固定費用を賄えなくなるという、 経営上より深刻な影響を与える。し たがって、甘蔗不足期には指数が

100

を下回ることがあるため、製糖協同 組合にとっては厳しい時期となる。 同表で両組合の稼動効率指数をみ ると、センター設置前の

1996

/

97

年には、シャンカラ組合が

100

を上回っ ている一方でモヒテ組合が

100

を下回っていることさえあった。しかしセ ンター設置後の

1997

/

98

2002

/

03

年までをみると、モヒテ組合が

100

を下回っているのは

1

度もないが、シャンカラ組合は

3

度も下回っている。 極度の旱魃により甘蔗の集荷が特に困難であった

2003

/

04

年及び

2004

/

05

年においては、シャンカラ組合が

43

.

5

31

.

7

であったのに対して、 モヒテ組合は

60

.

2

52

.

1

であり、シャンカラ組合に比べてモヒテ組合が 製糖プラントの高い稼動効率を維持できていたことが分かる。 ではなぜモヒテ組合は、シャンカラ組合よりも高い稼動効率を維持する ことが可能であったのだろうか。それについて以下でみていこう。 2-2 製糖プラントの稼動効率維持の要因 マハラシュトラ州では製糖工場ごとに管轄エリア14が設定されており、 各組合は、自らの管轄エリア内で甘蔗を生産している農民しか組合員に登 録することはできない。そのため、各組合は、管轄エリア外の甘蔗生産農 民からは非組合員として集荷することになる。製糖協同組合が非組合員か ら甘蔗の集荷を行う場合は、栽培計画の情報がないこと、出荷の確約がと れないこと、出荷のための説得をしなければならないこと、遠隔地になる ケースが多いこと、毎年の手続きの費用がかさむことなどの理由により、 効率的な集荷ができないため、非組合員からの集荷に依存すると、稼動効 率が下がる要因となる。反対に、組合員から甘蔗を集荷する場合、名簿上 表2 モヒテ組合とシャンカラ組合 の製糖プラント稼働効率指数 稼働効率指数 年度 モヒテ シャンカラ 1994/95 116.1 88.8 95/96 122.5 113.8 96/97 89.7 120.9 97/98 109.9 89.3 98/99 106.0 92.9 99/00 114.0 115.4 2000/01 115.8 131.7 01/02 110.4 102.7 02/03 119.9 91.0 03/04 60.2 43.5 04/05 52.1 31.7 05/06 124.3 89.2 出所:表1と同じ

(6)

の管理が可能になるため、上記のような非組合員からの集荷における問題 点はほとんど解消される。 しかし、十分な人数の甘蔗生産農民を組合員として組織化することは容 易ではない。それは、多くの村が複数の製糖工場の管轄エリアとして重複 しているためで(モヒテ組合の場合、

174

ヶ村中

117

ヶ村が、シャンカラ 組合を含む他の製糖工場の管轄と重複)、他の製糖工場との競合関係の中 で組合員として組織しなければならないからである。 モヒテ組合とシャンカラ組合における組合員組織化の実態はどうなって いるのか、表

3

でみてみよう。組合員数では、

2005

/

06

年現在、モヒテ組 合が

1

9379

人、シャンカラ組合が

9154

人で、モヒテ組合が約

1

万人多 い。

1994

/

95

年から

2005

/

06

年への増加指数をみると、シャンカラ組合 が

100

.

8

と微増しているだけであるのに対し、モヒテ組合は

133

.

1

と大幅 に増加している。特にモヒテ組合の場合、組合員の増加が必要となったゾー ニング制廃止後の

1998

/

99

年以降に組合員が急増しており、同組合が組 合員の組織化に成功していることが分かる。 このような組合員の組織化の成功により、モヒテ組合が集荷可能となる 甘蔗作付面積の裾野が広がったことは、甘蔗の集荷状況に大きな影響を与 えている。再び表

3

で組合員からの甘蔗調達シェア(総集荷量に占める組 合員からの集荷割合)をみると、シャンカラ組合は、高いときでも

76

%

表3 モヒテ組合とシャンカラ組合の組合員数・増加指数と 組合員からの甘蔗調達シェア 組合員数 組合員からの甘蔗調達シェア(%) モヒテ シャンカラ モヒテ シャンカラ 年度 (人)実数 増加指数 (94/95=100) 実数 (人) 増加指数 (94/95=100) 1994/95 14,555 100.0 9,080 100.0 99.5 75.0 95/96 14,705 101.0 9,107 100.3 99.5 71.8 96/97 14,804 101.7 9,103 100.3 95.7 66.9 97/98 14,898 102.4 9,109 100.3 99.8 74.2 98/99 17,057 117.2 9,106 100.3 97.1 77.5 99/00 17,620 121.1 9,160 100.9 94.7 74.1 2000/01 17,861 122.7 9,146 100.7 98.9 65.3 01/02 18,457 126.8 9,129 100.5 75.2 39.5 02/03 18,950 130.2 9,209 101.4 83.9 67.2 03/04 19,036 130.8 9,204 101.4 80.9 50.1 04/05 19,169 131.7 9,158 100.9 64.6 39.2 05/06 19,379 133.1 9,154 100.8 84.7 53.6 出所:表1と同じ :組合員からの甘蔗調達シェア=組合員から集荷した甘蔗量/総甘蔗集荷量×100

(7)

低いときには

40

%

を切ることさえある。一方、モヒテ組合の場合、ゾー ニング制廃止後でもほとんどの年度で

80

%

を超え、甘蔗の不作で収量が 最も落ち込んだ

2004

/

05

年でさえ

65

%

である。ここに、モヒテ組合が効 率的な甘蔗集荷を実現していることがうかがえよう。 なお、モヒテ組合における組合員からの高い甘蔗調達シェアの背景には、 組合員の甘蔗出荷面積割合(組合員が生産した全甘蔗作付面積のうち同組 合に出荷された甘蔗作付面積の割合)そのものが非常に高いという可能性 がある。この甘蔗出荷面積割合を算出することは非常に難しいが、各組合 員が組合に登録している作付面積から推計すると、約

7

割となる。後ほど 詳細に説明するが、両組合が管轄エリアにしているボルガオン村において は、シャンカラ組合の組合員は同組合にはほとんど出荷していない(

1

割 にも満たない)ということからも、モヒテ組合員の約

7

割という甘蔗出荷 面積割合は、シャンカラ組合に比べて非常に高いと考えられるのである。

3 組合員定着のためのセンター機能

ここまでは、モヒテ組合において、組合員組織化の成功が、組合員から の安定的な甘蔗の集荷をもたらす要因になっていることを示した。ただし、 甘蔗生産農民は管轄エリア内の製糖協同組合であれば複数の組合の組合員 になって出荷先の組合を選択できることや、非組合員として管轄エリア外 の製糖協同組合に出荷すること、また民間製糖会社へ出荷することも可能 であるため、製糖協同組合は、甘蔗生産農民を組合員として組織化するだ けで安定的な甘蔗の集荷が約束されるわけではない。組織化した組合員か ら安定的に甘蔗を集荷する(定着させる)ためには、組合員の出荷インセ ンティブを高めるための働きかけが必要である。センターにその可能性が あると考えられるが、そのような機能があるのかどうかについて、本節で みていこう。 3-1 マハラングセンター モヒテ組合は管轄エリアを

12

に分け、それぞれの地区にセンターを置 いている。管轄する村は計

143

ヶ村で15

1

センター当たりでは、カバー する村約

12

ヶ村、組合員約

1600

人、甘蔗出荷者約

1250

人、甘蔗出荷量約

8

8000

トン、甘蔗栽培面積約

1100

ヘクタールである(

2006

/

07

年実績)。

(8)

センターの

1

つであるマハラン グセンターを事例として、その体 制を紹介しよう。同センターはマ ルシュラス郡東部のマハラング 村に位置し、対象組合員数などの 規模は他のセンターよりやや大 きいが、活動等で他のセンターと 変わりはない。 マハラングセンターは、図

1

に あるように、

18

人の職員で構成 されている。この中でも組合員と の密接な関係を維持するために 重要な役割を果たしているのが、 営農指導員である。この営農指導員は「甘蔗生育係」(

2

人)と「甘蔗収 穫係」(

6

人)に分かれている。「甘蔗生育係」は、年間を通じて組合員の 甘蔗生育に関する指導や手配を行う。具体的には、甘蔗の生産性を上げる ための肥培管理や助言、後述するクロップローンの利用による生産資材の 購入や融資サポート制度利用のための申請書類の作成指導などを行ってい る。甘蔗生育係の

2

人は、それぞれ

4

ヶ村と

5

ヶ村を担当村としているが、

1

日に

1

2

ヶ村を回り、年間のほとんどを自分が担当する村で組合員の 甘蔗生産の技術指導を行っている。担当する村のすべての組合員と顔なじ みで、甘蔗生産の詳細な状況や各農家の問題などを把握しているというこ とであった。 「甘蔗収穫係」は、主に甘蔗の収穫にかかる業務を担当している。具体的 には、収穫・輸送の日程調整、収穫・輸送労働者の手配や監督などを行う。 甘蔗収穫係の

6

人は、各々

2

ヶ村程度を担当している。また、農閑期の

5

10

月には甘蔗生育係を補助する。彼らも担当する村の組合員とは顔な じみで、各組合員の状況を把握している。なお農繁期には、季節労働者

4

人が甘蔗収穫係の仕事を補助している。 以上のような体制によって、センターは、組合員に対してのきめ細かい サービスの提供に努めているが、特に、営農指導員がすべて正職員として 配置されていることは、職員構成上でも営農指導員がいかに重視されてい るかを示している。またセンターは、営農指導員ごとに担当村を決めるこ 図1 マハラングセンターの職員構成 出所:2006・2007年調査より筆者作成 :(正)は正職員、(常非)は常勤非正職員、   (非非)は非常勤非正職員を示す センター長:1 (正) センター長補佐:1 (正) 営農指導員:8 甘蔗生育係:2(正) 甘蔗収穫係:6(正) 季節労働者 (甘蔗収穫係):4 (非非4) 事務員:3 (常非2+非非1) 用務員:1 (常非1)

(9)

とや、各村の担当者が複数の営農指導員(甘蔗生育係と甘蔗収穫係の両方 で)で担当していることにより、組合員との密接な関係を維持するだけで なく、様々な角度から客観的に組合員を把握できる体制にある。 3-2 生産性の向上  インドにおける甘蔗の生産性は他国と比べると低いが、甘蔗生産先進地 のマハラシュトラ州でも同様のことが言える。その理由について

Kharche

[

1988

]

Kulkarni [

1993

]

は、栽培における専門的な知識や技術不足を指 摘している。

1990

年前後のこれらの研究でそのような指摘がされている が、現段階においても依然としてインド(マハラシュトラ州を含む)にお ける甘蔗の生産性は低いままである。 モヒテ組合は、このような問題を解決するため、センターを中心とした 技術指導を積極的に行っている。その技術指導の仕組みは図

2

の通りであ る。はじめに、センターの営農指導員が植付け指導や生産資材投入の指導 を行う。それを受けた組合員は、後に説明するようなクロップローン等を 利用しながら生産資材を購入し、圃場に投入する。また営農指導員は、そ れ以降も状況にあった肥培管理などの指導を行っていく。なお、生産資材 購入にかかる支払いは甘蔗収穫後の出荷金額から控除されて行われるため、 現金は必要ない。また営農指導員は必要に応じて、土壌検査、甘蔗の成熟 度チェック、水質検査などを無料で行い、さらなる甘蔗生産の向上を図っ ている。 一方、センターを置かないシャンカラ組合は組合員への技術指導はほと んど行っていないため、多くの組合員が独自の方法で甘蔗を栽培している。 図2 モヒテ組合による技術指導の仕組み 組合員 センター 申請書の内容のチェック 借入状況や甘蔗栽培状況などの確認 本部 (市場で買い付ける。資金は運転資金から) ③クロップ・ローンの 申請書作成・提出 生産資材の配達 甘蔗収穫後の出荷 金額から控除して の支払い 申請書の配達 ①植付指導、②生産資材の投入指導、 ④生産資材の受け渡し、技術指導

(10)

このような両組合における技術指導 の差が、甘蔗の生産性に大きな影響を 与えている。表

4

は両組合へ組合員が 出荷した部分の甘蔗の平均単収を示し ているが、これをみると、センター設 置前の

1994

/

95

年や

1995

/

96

年はモ ヒテ組合がシャンカラ組合を上回って いるものの、

1996

/

97

年にはシャンカ ラ組合がモヒテ組合を上回っていた。 しかし、センターを設置した

1997

/

98

年以降、常にモヒテ組合員が大きく上 回っている。特に、旱魃のために生産 環 境 が 劣 悪 で あ っ た

2001

/

02

2004

/

05

年についてみると、モヒテ組合員がシャンカラ組合員を

19

48

%

上回っており、生産性の差は顕著である16(なおこの結果には、後述 するように、モヒテ組合員において灌漑投資がスムーズに行われたことも 影響している)。 以上のように、センターの営農指導員による技術指導は、モヒテ組合員 における甘蔗生産性の向上を助ける一要因になっているのである。 3-3 取引費用軽減効果 インドを含めた途上国の農村では、高い取引費用のために、農民の信用 取引が制限されることが多い。その取引費用は情報の非対称性のために発 生するが、例えば甘蔗生産農民の場合、金融機関との間で情報の非対称性 が発生するために信用取引が制限されることは、肥料等の生産資材購入や 灌漑設置等を困難にし、甘蔗生産に大きな影響を及ぼしてしまう。 このため、取引費用が何らかの形で軽減できれば、信用取引の拡大が起 こると考えられるが、それには、情報の非対称性を緩和するような、両者 を結ぶ存在が重要となり、その役割を担うものとして、借り手(組合員) の情報を十分に持っているセンターが考えられる。以下、モヒテ組合がセ ンターを媒介役として信用を供与する「クロップローン」と、組合員の金 融機関からの融資をセンターがサポートする「融資サポート制度」につい てみていこう。 表4 モヒテ組合員とシャンカラ組合員の それぞれの組合へ出荷した部分の 甘蔗の平均単収(トン/ヘクタール) 年度 モヒテ シャンカラ 1994/95 86.8 76.1 95/96 82.0 76.3 96/97 69.9 74.0 97/98 92.0 74.9 98/99 87.0 74.4 99/00 87.5 72.0 2000/01 105.0 70.0 01/02 83.0 62.1 02/03 91.0 76.8 03/04 68.0 46.1 04/05 81.0 59.6 05/06 77.8 73.1 出所:表1と同じ :データは、各組合の組合員からそれぞ れの組合に出荷された部分の甘蔗ついての 単収を示している

(11)

3-3-1 クロップローン クロップローンとは、肥料等の比較的小額な生産資材の購入資金を、モ ヒテ組合が、その運転資金を原資として、一時的に肩代わりする制度であ る。返済は組合員の甘蔗収穫後の出荷金額から控除されて行われるため、 組合員は現金がなくても購入可能である。返済は通常

1

2

年で行われる。 手数料を含めた利子は、年率

10

%

程度で、この地域のインフォーマル金 融の年率

24

60

%

程度17を考えると、クロップローンの利子は高くない。 このシステムは前掲図

2

で確認した通りで、組合員は、近くのセンター で、申請から受取りまでのすべての手続きを行える。センターが組合員の 経営状況などを細かく把握しているため、組合員による、通常の金融機関 では必要とされるような担保の証明や経営状況の説明などは不要で、組合 員は簡単な申請書類を作成し、提出するのみである。センターも、組合員 の経営状況などを細かく把握しているため、「農家が何を必要としている のか」、「返済できるのか」といった、インド農村における通常の金融機関 では入手困難な情報を容易に得ることができる。こうして、モヒテ組合は センターを媒介役とすることにより、信用取引の取引費用が低く抑えられ ていると考えられる。 一方で、シャンカラ組合にはこのようなクロップローンのシステムはあ まり浸透していない。シャンカラ組合の場合もクロップローンのシステム は存在するが、組合員はその手続きや生産資材受取りのために、遠く離れ た組合本部まで出向かなければならない。組合が組合員の経営状況を細か く把握していないため、組合員は必要に応じて農業経営や借入れ状況等の 説明を加える必要もある。また組合員は、組合からの技術指導がほとんど ないために、このクロップローンの利用方法を知らないだけでなく、存在 そのものさえ知らない場合が多い。組合も、組合員の経営状況を細かく把 握していないため、クロップローンの申請がある都度、返済の可能性につ いての審査を行わなければならない。このようにして、シャンカラ組合の クロップローンのシステムにおいては、高い取引費用が発生してしまうの である。 このような両組合における取引費用の差は、その利用度の差として表れ ている。例えば、ボルガオン村での実態調査では、クロップローンを利用 しているシャンカラ組合員は

29

%

に当たる

2

人(

7

人中)だったのに対し、 モヒテ組合員は

84

%

に当たる

31

人(

37

人中)がそれを利用していた。

(12)

また、モヒテ組合全体でみた場合、最も利用度が高い植付前混合肥料の 購入件数は、最大で

1

3125

人の利用があるが(

2006

/

07

年)、これは組 合員の約

67

%

にも当たり、その利用度の高さがわかる。シャンカラ組合 の場合、組合全体でのこのようなデータがまとめられていないことからも、 クロップローンのシステムそのものが未整備であることがうかがえる。 以上のように、モヒテ組合において、借り手側の組合員と貸し手側の組 合がセンターを媒介役として利用することにより取引費用が軽減され、信 用取引がスムーズに行われていることがうかがえよう。 3-3-2 融資サポート制度 上述したクロップローンは短期・低額な生産資材の提供に限定したロー ンであったが、モヒテ組合はこの他にも、一般の金融機関が貸し手となる 場合の融資(短期・中期・長期)をサポートする「融資サポート制度」を 導入している。この制度の意味は

2

つあり、

1

つは、「レター」と呼ばれる 各組合員の甘蔗生産や借入れ状況が記された証明書を組合が発行すること により、金融機関に生産者の情報を与え、審査を簡素化するというもので、 もう

1

つは、「レター」の発行により、組合員の甘蔗出荷額から借入額が 控除され、製糖協同組合が組合員に出荷金額を支払う前に、金融機関が製 糖協同組合から返済金を回収できるというものである。そうすることに よって、組合員が出荷金額などの収入を使い込んで返済しなくなるという リスクが減るのである。 この信用取引を行う場合、はじめに組合員は、金融機関に対して、担保 (主に土地)の証明書類と、レターを提出しなければならない。前者は自 身で手配することになるが、後者は、組合員がセンターでその発行を依頼 し、それを受けたセンターがレターを発行する18。発行されたレターを受 け取った組合員は、レターと担保証明書類を添付して(担保証明書類は初 回の借入時のみ必要で、

2

回目以降はレターの提出のみでよい)、金融機 関で借入れの申請手続きを行う。そして、金融機関の審査を経て、組合員 の借入が認められれば、金融機関は、直接組合員の口座にその金額を入金 することになっている。返済は、毎年その年のみの利子込みの返済金額を 組合員の甘蔗の出荷金額から控除されて組合経由で行われるが、甘蔗の不 作などのために返済できない場合、翌年以降の甘蔗出荷額から控除して返 済される。数年経っても返済できない場合は、金融機関が担保を没収する ことになる。なお、返済できていない間の新たな借入れは認められていな

(13)

19。このシステムは、組合員が金融機関で行う諸手続きを簡素にするだ けでなく、金融機関も借り手の情報を容易に入手できるため、両者にとっ ての取引費用を軽減する働きをしている。 なお、シャンカラ組合おいても、融資サポート制度はあるが、組合員に はあまり浸透していない。それは、センターがないため、組合員がレター 取得のために組合本部まで行って緒手続きを行う手間がかかるためである。 組合も組合員の経営状況を細かく把握していないため、レターの申請があ る都度、審査を行わなければならず、両者に大きな取引費用が発生するの である。 このような両組合における取引費用の差は、クロップローンのケースと 同様に、利用頻度の差として表れている。表

5

はモヒテ組合全体とシャン カラ組合全体における、融資サポート制度の利用状況を示したものである。 返済人数とは、金融機関が前述の方法で出荷金額から控除・回収した人数 (組合員数)であり、返済が数年にまたがる場合は、のべ人数となっている。 これによると、モヒテ組合において、返済した組合員数が最も多かったの が

2002

/

03

年の

1

3871

人で、これは同年度の総組合員数の約

73

%

に当 たり、シャンカラ組合のそれと比較しても、モヒテ組合員の多くが借入れ を行えていることが分かる。また、同年度の

1

人当たり平均返済金額は

1

9904

ルピーであるが、これは、ボルガオン村モヒテ組合員

37

戸の平均 農業売上げの約

11

7000

ルピーと比較しても、その金額の大きさが分か 表5 融資サポート制度の利用状況 当該年度の返済人数 当該年度の1人当返済金額 モヒテ シャンカラ モヒテ シャンカラ 年度 人数(人) 割合(%) 人数(人) 割合(%) (ルピー) 1994/95 12,163 83.6 5,720 63.0 10,855 11,558 95/96 13,100 89.1 5,935 65.2 11,774 11,720 96/97 13,325 90.0 5,228 57.4 13,396 9,901 97/98 13,049 87.6 5,940 65.2 14,330 12,754 98/99 13,155 77.1 6,145 67.5 17,709 12,431 99/00 13,161 74.7 6,290 68.7 18,832 14,079 2000/01 11,127 62.3 6,350 69.4 26,203 16,489 01/02 10,520 57.0 5,932 65.0 13,657 12,291 02/03 13,871 73.2 5,730 62.2 19,904 17,278 03/04 9,139 48.0 3,730 40.5 16,644 13,669 04/05 7,662 40.0 2,345 25.6 12,119 7,970 05/06 10,839 55.9 7,905 86.4 40,446 14,420 出所:表1と同じ :「割合」は、全組合員中、当該年度に返済を行った組合員数の割合のこと

(14)

る。またこのことは、組合員が資金を借りても返せていることや、取引費 用が低くて信用取引がスムーズであるということなども示していると言え るだろう。 なお、

2003

/

04

年と

2004

/

05

年に返済者の割合が両組合で激減してい るのは、水不足による甘蔗生産の極度の不作が影響しているためと考えら れる。甘蔗生産にとって水の確保はきわめて重要で、旱魃が常襲的に起こ るこの地域では、灌漑の整備が甘蔗生産を大きく左右する。というのは、 この地域で利用される灌漑は、主に政府系の用水路(

canal

)、井戸(

well

)、 管井戸(

tubewell

)で、政府系の水路の場合、

30

45

日に一度水門が 開き水を供給するが、

1

週間ほどでその水はなくなってしまう。次の開門 まで

20

35

日ほどあるため、放っておいては甘蔗が枯れてしまうので、 政府系の水路はあくまでも補水を行う役割でしかない。そのため、井戸か 管井戸を所有することが、この地域の甘蔗生産農民にとっては欠かせない が20、その中でも特に重要なのが、管井戸である。 それは、地下水位が低下しているこの地域において、農地の立地条件に よっては、

20

40

フィートほどの深さが一般的な井戸では水が得にくい ためである。なお、一般的に

100

400

フィートほどの深さである管井 戸は、それを

1

基建設するには、

3

6

馬力程度のモーターを含めて、

2

万∼

6

万ルピーほどの費用が必要である21。管井戸

1

基は、その立地条件 によって水量に差が出るが、概ね

1

5

エーカーの甘蔗畑をカバーするこ とができる。ボルガオン村での調査では、政府からの補助金で建設する場 合もあったが、指定カーストを対象にするなど、あまり一般的なものでは ないため、金融機関からの借入れが資金調達の中心となっている。なお、 金融機関から借入れて管井戸を建設する場合、中期(

3

年程度)の借入が 一般的で、金利(年利)は

13

18

%

程度である。返済は、借入者が直接 行う場合もあれば、前述した融資サポート制度を利用して、製糖協同組合 が代理で返済を行う場合(組合員の甘蔗の出荷金額から控除されて組合経 由で返済される)もあるが、代理返済による借入れの方が、借入が容易で あるため、それを利用するケースが多いようである。 実際に、両組合の管轄エリアに指定されているボルガオン村の事例をみ ていこう。そこでは、モヒテ組合員とシャンカラ組合員における、灌漑整 備のための資金源に大きな差がみられる。モヒテ組合員全

37

人について みると、モヒテ組合の融資サポート制度により借入れを行い、灌漑を整備

(15)

したのが、

73

基の灌漑中

16

基(うち管井戸は

9

基で、残り

7

基は井戸) であった(政府補助金による建設は

4

基のみ)。それに対して、シャンカ ラ組合員の場合、同組合を介した融資サポート制度による借入れは全くな かった22。 以上のように、モヒテ組合において、借り手側の組合員と貸し手側の金 融機関がセンターを媒介役とした手続きを行うことにより、従来両者に発 生する取引費用が軽減され、それが信用取引の利用を高めつつ、安定的な 生産体系をもたらしているのである。 3-4 労働者の管理と配置における効果 甘蔗の収穫と輸送には大量の労働力を必要とするため、マハラシュトラ州の ほとんどの製糖協同組合は、各農家に代わって収穫のための労働者を調達し、 管理している23。そのための経費は、組合員の甘蔗出荷額から出荷重量に応じ て控除されて支払われているが、多くの製糖協同組合が機械的に労働者を配 置するため、無駄な労働者の配置を引き起こし、組合員に対して無駄な経費 の負担をかけている。 このような問題を解決し、組合員の農業経営を助けるため、モヒテ組合は、 シャンカラ組合を含めた他の多くの製糖協同組合とは異なり、センター中心の 図3 モヒテ組合による甘蔗の収穫・輸送システムの仕組み 組合員 営農指導員(甘蔗収穫係) 本部(農業部長) 収穫・輸送代理ユニオン (農業部長もメンバー) センター (センター長・センター長補佐) 甘蔗出荷の契約 収穫・輸送チーム の手配 収穫・輸送チーム の配置 収穫後の出荷金額から 差し引いての支払い (出荷量1トン当りで) 収穫予定分の収穫・輸送 チームの手配の依頼 収穫予定分の収穫・輸送 チームの手配の依頼 収穫予定分の収穫・輸送 チームの手配の依頼と協議

(16)

収穫・輸送労働者管理システムを採っている。その仕組みは図

3

の通りで、は じめにセンターの営農指導員(甘蔗収穫係)は、各組合員の甘蔗植付け時に 提出される出荷契約書の内容(植付け日や栽培面積が記入されている)と、 各組合員の甘蔗の生育状況を考慮し、

2

週間分の必要な収穫・輸送チーム(一 般的には

24

人)をセンター長に相談・依頼する。 それを受けたセンター長は、必要なチーム数を本部の農業部長に依頼する。 農業部長は、自らもメンバーになっている収穫・輸送代理ユニオン24を通して、 収穫・輸送チームの手配の申請を行う。収穫・輸送代理ユニオンは、各収穫・ 輸送チームの各センターへの配置を決定する。甘蔗収穫係は、これによって配 置された収穫・輸送チームを、収穫期を迎えた組合員の圃場に効率的に配置 している。 一方、センターのないシャンカラ組合は、収穫・輸送労働者の調達と管 理は、原則として、組合員の甘蔗の生育状況をみずに、出荷契約書に記さ れている植付け日の順に機械的に労働者を配置するのみである。シャンカ ラ組合にはセンターがないために、組合員の甘蔗生育状況を詳細に把握で きず、まだ収穫できる状況でない圃場に労働者を配置するなど、非効率的 な労働者の配置を行う可能性が高い。 以上のような両組合における取組みの違いは、収穫・輸送労働者への経 費の差として表れる。表

6

でその経費を比較してみよう。センターを置く 前の

1994

/

95

1996

/

97

年までもモヒテ組合がシャンカラ組合よりも

10

22

%

低く抑えられていたが、センター設置後の

1997

/

98

年からは、

14

31

%

と、さらに両組合における経費 の差が拡大している。 このように、モヒテ組合において、セ ンターが収穫・輸送労働者を効率的に配 置できているため、センターを配置して いないシャンカラ組合と比較して、労働 者管理の費用が低く抑えられている。そ れが、組合員が負担しなければならない 収穫・輸送労働費を軽減する効果として 表れているのである。 またモヒテ組合において、センターが 収穫・輸送労働者を管理していること 表6 モヒテ組合とシャンカラ組合 における甘蔗の収穫・輸送労 働のための経費(ルピー/トン) 年度 モヒテ シャンカラ 1994/95 112.0 143.2 95/96 115.1 139.2 96/97 139.4 154.9 97/98 130.3 172.3 98/99 138.0 164.4 99/00 161.3 186.8 2000/01 163.2 201.4 01/02 184.1 250.0 02/03 166.3 189.4 03/04 166.3 231.5 04/05 200.4 292.4 05/06 228.9 288.3 出所:表1と同じ

(17)

は、労働者を勤勉に働かせるためのモニタリング効果という間接的な効 果ももたらしていることも、経費の軽減をもたらす要因となっているので ある。 なお、この収穫・輸送にかかる経費は、組合員から集荷した甘蔗の代金か ら控除する形で決済されているため、システム上はクロップローンと同様に、モ ヒテ組合が融資していることになる。そのため、その利子は控除金額に転嫁さ れるが、こうした収穫・輸送の効率性はその利子額を上回っており、実際の差 し引き金額は、組合員自らが手配する場合よりも低くなっている25

4 組合員定着の実態

以上のように、モヒテ組合はセンターを置くことで、組合員に対して「生 産性の向上」、「取引費用軽減効果」、「労働者の管理と配置における効果」 をもたらしているが、それが組合員の「定着」をどの程度進めているので あろうか。言い換えれば、単に組合の名簿に登録されているだけでなく、 組合の取組みの有効性を理解し、積極的に甘蔗を出荷している組合員はど の程度に達しているのだろうか。 両組合の出荷者割合に関するデータが入手できなかったため、ボルガオ ン村両組合員のデータで実態を比較してみる。両組合から入手した組合員 名簿によると、

2006

/

07

年現在、同村にはモヒテ組合員

154

人、シャンカラ 組合員

164

人で、そのうち両組合の組合員となっているのが

47

人であった。 その甘蔗出荷先をみると、モヒテ組合員の場合、

154

人中、

66

%

に当た る

102

人が自らの組合へ出荷しているのに対し、シャンカラ組合員

164

人 中、

10

%

にも満たない

16

人しか自らの組合へ出荷していないことが判明 した。 また、両組合の組合員となっている

47

人をみると、

32

人がモヒテ組合 に出荷しているのに対し、シャンカラ組合への出荷はわずかに

2

人である (そのうち両方に出荷しているのは

1

人)。しかも、シャンカラ組合へ出荷 している

2

人へ理由を尋ねると、

1

名は、「本当ならすべてをモヒテ組合に 出荷したいが、政治的な理由でシャンカラ組合との関係を保つためにシャ ンカラ組合に出荷している」と述べ、もう

1

名は、「シャンカラ組合に借 金があり、それを返済するために仕方なく出荷している」と説明しており、 両者ともシャンカラ組合への出荷は、同組合を評価しての積極的なもので

(18)

はなかった。 モヒテ組合におけるこのような組合員の高い定着度は、製糖プラントの 効率的な稼動と良好な組合経営をもたらすため、それが組合員への充実し たサービスの提供を可能にし、それを受けた組合員の出荷インセンティブ が高まることにより組合に安定的に出荷する、という好循環をもたらして いる。 一方、シャンカラ組合の場合、組合員の定着度が低いため、製糖プラン トを効率的に稼動させられない。そのため、組合経営は悪化するので、組 合員へは不十分なサービスしか提供できない。それが、同組合への組合員 の出荷インセンティブを低下させ、安定的な出荷が達成されない。このよ うな悪循環が起こっているのである。 また、モヒテ組合員の高い定着度は、製糖プラントの効率的な稼動に加 え、燃焼エタノールや酢酸などの副産物生産も可能にしている26。州内の 多くの製糖工場において、砂糖の生産コストが販売額を上回る状況が続く 中27、このような副産物の収益がモヒテ組合の経営を支える

1

つの要因に なっている。 そして、このような製糖プラントの効率的な稼動と副産物生産の成功は、 組合員への甘蔗支払価格へも影響している。両組合の甘蔗支払価格を示し た表

7

をみると、センター設置前の

1994

/

95

1996

/

97

年でもモヒテ組 合が

3

10

%

上回っていたが、センター設置後の

1997

/

98

年以降は、少 なくても

8

%

、大きければ

38

%

もモヒテ組合が上回っている(モヒテ組合 の支払価格は州内でもトップクラス)。このことが組合員の満足感をさら に高め、組合員がモヒテ組合へ出荷し ようとするインセンティブがさらに高 められていると言える28。 なお、このような価格差があるにも 関わらず、シャンカラ組合へ出荷する 農民がいる理由は、現地でのシャンカ ラ組合へ出荷している農民への聞き取 り調査から判断すると、

1

つには生産者 にとっての余剰生産物の処理先として、 もう

1

つには政治的な要因があるものと 考えられる。 表7 モヒテ組合とシャンカラ組合 の甘蔗支払価格(ルピー/トン) 年度 モヒテ シャンカラ 1994/95 748 725 95/96 591 535 96/97 681 659 97/98 810 748 98/99 785 592 99/00 1,001 725 2000/01 1,025 940 01/02 950 875 02/03 865 776 03/04 1,011 830 04/05 1,400 1,100 05/06 1,475 1,320 出所:表1と同じ

(19)

5 人件費の効率性

以上のように、モヒテ組合はセンターを設置することにより組合員の定 着に成功しているが、そのために人件費が膨大になり、非効率な経営になっ ているのでは意味がない。 そこで、モヒテ組合とシャンカラ組合の人件費の効率性をみていこう。 表

8

は、砂糖および副産物の販売額に対する人件費の割合を示している。 これをみると、センター設置前の

1994

/

95

年と

1995

/

96

年はシャンカラ 組合が

1

2

.

3

ポイント高いが、

1996

/

97

年はモヒテ組合が

0

.

8

ポイント高くなっ ている。センター設置後では、

9

年間の うち、モヒテ組合が高いのは

5

度、シャ ンカラ組合が高いのは

4

度で、モヒテ組 合のほうが高い場合でも、その差は最大 で

2

.

4

ポイントでしかない。以上から、 両組合における人件費の割合には、セン ター設置前後で目立った差がなく、セン ター設置が人件費の非効率性をもたらし ていないと言えるだろう。

6 結論

新経済政策の下、組合員の定着化を図るため、事例組合はマハラシュト ラ州で最も早い

1997

年に常設のセンターを置き、組合員との密接な関係 を築くことを目指した。特に、その役割を担ったのが営農指導員で、彼ら は担当村に居住する組合員と日常的に関わることで、組合員との密接な関 係を保つことに成功した。その結果、組合員に対して「生産性の向上」「取、 引費用軽減効果」、「労働者の管理と配置における効果」を与えている事例 組合では、組合員が安定的に甘蔗の出荷を行うことで、事例組合の製糖プ ラントの効率化がもたらされ、良好な経営が維持されていた。このような 好循環をもたらしている中心にはセンターがあることが明らかになった。 本稿と同様に、マハラシュトラ州の製糖協同組合と組合員の関係につい て議論した先行研究では、組合員へのきめ細かいサービスの重要性を説い 表8 モヒテ組合とシャンカラ組合の 販売額に対する人件費の割合(%) (人件費/販売額×100) 年度 モヒテ シャンカラ 1994/95 4.3 6.4 95/96 5.1 6.1 96/97 5.9 5.1 97/98 4.0 6.7 98/99 6.5 6.0 99/00 7.9 6.2 2000/01 5.0 6.9 01/02 5.4 6.0 02/03 8.0 7.3 03/04 7.3 4.9 04/05 4.8 4.0 05/06 4.5 4.9 出所:表1と同じ

(20)

た事例がいくつかあった。例えば、

Karche

1988

]や

Wadhwa

2000

]は、 製糖協同組合による営農指導員の適切な配置や、組合員への徹底した技術 指導の重要性を説いている。また、

Baviskar

1980

]は、組合員に対す る技術指導、生産資材の提供、金融システムの充実などの重要性を示した。 このような先行研究により、組合員へのきめ細かいサービスの提供とし て、技術指導や金融サポートなどの重要性が明らかにされてきたが、本稿 では、その研究成果を踏まえ、きめ細かいサービスを提供するためのシス テムについて、組合員へのサービスの提供による成果についての検討を加 えながら、実証的な分析を行った。その結果、先行研究で示されてきた、 製糖協同組合による技術指導や金融支援は、組合員にかなりの恩恵を与え ていることが実証された。また、このためには、組合員との近い距離を保 つためのセンターの働きがきわめて重要であることも明らかになった。こ のような、センターを通じた製糖協同組合の取組みは、今後のインド農協 において、組合員との密接な関係構築という新たな動きの必要性を示すも のであると考えられる。 最後に、インド農村における原料生産農民にとっての課題も明らかに なった。それは、生産性の向上、信用取引の拡大、生産コストの軽減が農 民にとって重要であり、そのために農民が実際に求めているのは、生産技 術指導、金融支援、労働者などへの生産コストの支援で、このための安定 的なシステムの構築が求められているのである。 1 それまでは、州政府は製糖協同組合にしか認可を与えてこなかったため、民間製糖会社が創 業する機会がほとんどなかった。なお、2004/05年現在、マハラシュトラ州で認可を受けてい る製糖工場数は186で、そのうち製糖協同組合が164、民間製糖会社が22である [Deshmukh] 。本稿において、「製糖工場」と表記する場合は、製糖協同組合と民間製糖会社の両者を含む ものとする。 2 例えば、持分1口について0.5エーカー分の甘蔗を出荷・集荷するというもの。 3 Kulkarni[1993]も、組合員のほとんどが小規模農や限界農であることを示している。 4 現地ではDivisional (Gat) Offi ceと呼ばれている。日本の農協だと「支所」に当たるが、モヒテ

組合の支所は日本農協の場合とは異なり、組合員との密接な関係を築こうとして積極的に働き かける存在として新たに設置されているため、「支所」とは区別し、「地域営農センター」と呼 ぶこととする。

(21)

5 酪農協について、詳しくは須田[1999]やクーリエン[1997]を参照のこと。 6 Wadhwa[2000]Karche[1988]Baviskar[1980]など。

7 製糖協同組合関係者によると、1997年に3つの製糖協同組合でセンターが置かれたのが最初 で、モヒテ組合はそのうちの1つであった。なお、2007年現在、同州で常設のセンターを設置す るのは10程度の組合のみでしかない。 8 両組合からボルガオン村における組合員のリストを入手し、その中から、モヒテ組合にのみ甘蔗 を出荷している37人とシャンカラ組合にのみ出荷している7人を選出し、2007年に聞き取りを行 った。なお、ボルガオン村は、以下で事例とするマハラングセンターの管轄村の1つである。 9 「収支」とは、損益計算書における「純利益」と「純損失」のことを示している。収入の主な項 目は、砂糖販売、副産物販売、純損失で、支出の主な項目は、甘蔗支払費、人件費、設備維持 費、利息、減価償却費、純利益で、両組合とも同様の方法で算出されているため、同様の概念 として比較可能である。データが利用できる1996/97∼2005/06年についてみると、収入項目の 中では、砂糖販売が82∼94%(モヒテ組合)と87∼96%(シャンカラ組合)で、両組合とも収入 のほとんどを砂糖販売で得ている。支出項目は、甘蔗支払費がそれぞれ49∼78%と43∼76%、 人件費が6∼7%と6∼10%、設備維持費が6∼7%と4∼10%、減価償却費が2∼4%と1∼9%とな っており、両組合とも、組合員が出荷した甘蔗への支払費が最も多くなっている。なお、以下の すべての表で、ゾーニング制廃止前の1996/97年と1997/98年の間に点線を引いた。 102002/03年は、マハラシュトラ州で砂糖在庫の一斉放出が認められたことにより販売単価が急 落したことなどがあり、この年度は大幅な赤字があった。 11同州で2003/04年に操業した125の製糖協同組合のうち、117組合が累積赤字を抱えているこ とや、全125組合の平均収支額が2億3566万ルピーの赤字であることからも、モヒテ組合の良 好な経営がうかがえる。 12 Karche[1988]も、製糖協同組合の経営における、製糖プラントの稼動効率の重要性を指摘し ている。 13 Kharche[1988]も同様の日数と稼働率を効率的な指標として示している。 14ゾーニング制は甘蔗生産農民の出荷先を固定する意味を持っていたが、ここで言うエリア制 は、製糖工場が管轄する地域を示すという意味のみである(エリア内の甘蔗生産農民しか組 合員にできないという意味がある)。 15甘蔗の出荷がない31ヶ村は、センターの管轄村から除かれている。 16生産性を検討する場合、労働生産性もみなければならないが、仮にモヒテ組合員の方が肥培 管理等に多くの労働投入を行っているとしても、甘蔗はそもそも労働粗放的な作物であり、他 の労働機会を奪うというよりも、余った時間を利用しているケースが多いことから、労働生産 性に大きな差はないと考えられる。また、砂糖歩留まり率でも、モヒテ組合員の出荷する甘蔗 が、シャンカラ組合員が出荷する甘蔗よりも高いということが分かっている。 172009年現地での聞き取り調査より。 18これには組合本部の農業部長のサインが入っており、発行されれば組合本部の承認を受けた ことになる。 19草野[2008]では、モヒテ組合が信用保証も行うと記述したが、再調査の結果、現在ではそこま では行っておらず、レターの発行と融資サポート制度のみが行われているとのことであった。 20実際、ボルガオン村の調査対象農家は、必ず井戸か管井戸を所有していた。

(22)

21モーターの馬力や、掘る深さによって費用は異なってくる。 22灌漑の整備状況は、ボルガオン村モヒテ組合員の単収119トン/ヘクタール、シャンカラ組合員の 単収87トン/ヘクタールとして、生産性の差を生む1つの要因になっている。 23この目的は、組合が迅速で効率的な甘蔗処理を行いたいこと、大量の労働者を組合員個人で 調達することが困難なこと、立地条件の違いにより輸送費用等に差が出ることへの組合員の 不満を解消すること(距離に関係なく重量に応じた支払いにしている)などがある。 24モヒテ組合とは別組織だが、メンバーは組合の組合長、専務理事、農業部長などで、オフィス は組合の農業部内にある。実務は組合職員が行っている。 25組合員は、委託販売する形態で、製糖協同組合に甘蔗を出荷している。そのため、支払いは34 回に分けて行われ、最終支払価格が決定して支払いが行われるのは、次の収穫期が始まる10 ∼11月頃である。なお、製糖協同組合は、入札制によって販売先を決定しており、その成果を 踏まえて、組合員への最終支払価格を決定している。 26安定的な集荷量が見込めることなどを条件に、州政府機関である砂糖コミッショナー(Sugar Commissioner)が副産物プラントの所有に認可を与えている。 27草野[2008]より。 28また、センターを介して共済や福利厚生などの促進も行い、組合員の生活を支える役割を果た していることも、組合員定着の1つの要因となっている。 参照文献

Baviskar, B.S., 1980, The Politics of Development -Sugar Co-operatives in Rural Maharashtra-, Delhi: Oxford University Press.

Kharche, R.M., 1988, Sugar Co-ops in Developing Economy, Aurangabad: Parimal Prakashan. Kulkarni, B.D., 1993, Role of The Co-operative Sugar Factories in Rural Development, Pune: Nehru

Institute of Social Sciences.

クーリエン・ヴェルガーゼ、久保田義喜(訳)、1997、『インドの酪農開発−果てしなき夢−』、筑波書房。 草野拓司、2008、『インドの新経済政策下における製糖協同組合の発展方向についての実証的

研究−マハラシュトラ州の事例を通して−』、博士学位論文、明治大学。

Marathe, M.S., 1999, Development of Cooperative Sector of The Sugar Industry , Cooperative Sugar, vol30, No5, pp.349-356.

Narde, A., 2009, SUGARINDIA Year Boob ‘08, Mumbai: Anekant Prakashan.

Sugar Commissioner HP(http://220.225.73.198:9080/msisRestWeb/). 2007年11月7日(参照)。 杉野実、2005、『インド製糖協同組合の発展と思想−マハラシュトラ州の事例−』、筑波書房。 須田敏彦、1999、「インドの農村協同組合−自由化のなかで自立を目指す農協組織−」、『農林金

融』、52-6、43-70頁。

Deshmukh, S., Performance of Sugar Factories in Maharashtra Seasons 2003-2004 and 2004-2005. Pune: Vasantdada Sugar Institute. 出版年が未記載のため不明。

Wadhwa, D.C., 2000, Zoning for Sugar Co-operatives , Economic and Political Weekly, vol35, No25, pp.2155-2170.

(23)

要旨 マハラシュトラ州の製糖協同組合は優良農協として知られているが、

1990

年代 以降の一連の自由化政策の影響を受け、経営の悪化に苦しむケースは少なくない。 これに対応すべく、支所(「地域営農センター」)を置き、組合員のニーズに応える ことで、組合員の定着化と経営の安定化に成功した事例がみられた。この事例と、 そのような対策を講じなかった事例を比較分析することで、前者の戦略の有効性を 立証しようとした。 その結果、製糖協同組合は支所を置くことによって、組合員に対して、「生産性 の向上」、「取引費用軽減効果」、「労働者の管理と配置における効果」の

3

つの効果 をもたらしており、それが組合員定着の主要因となっていることが明らかになった。 また、この分析を通じて、インド農村の原料生産農民にとって、技術指導、金融支 援、生産コスト削減のための支援が重要であり、そのためのシステムの構築が求め られていることも示された。 Summary

Eff ect of the Regional Agricultural Center for Agricultural Cooperative Society under the New Economic Policy: An Empirical Study of Sugar Cooperative

Societies in Maharashtra State, India Takuji Kusano

Although sugar cooperative societies in Maharashtra state are known for their excellence, the conditions have deteriorated due to non-availability of suffi cient sugarcane after the introduction of economic liberalization policies in the 1990s. At the same time, there are cases of success where stability of the society members and management is achieved by setting up a divisional offi ce (Regional Agricultural Center) and trying to fulfi ll the needs of society members. Th is article illustrates the validity of this strategy by analyzing a successful case and comparing it with another case where no such measures were adopted.

Adoption of such strategy has led to three outcomes: ‘improvement in productivity’, ‘reduced transaction cost’ and ‘eff ective control and arrangement of laborers’; and it is clear that these are the main factors in the stabilization of society members. Th is analysis also indicates that for Indian farmers producing raw material, technical guidance, fi nancial support, and support for reducing production cost are important. Constructing a system to provide such support is necessary.

参照

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