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32: (2008), F1 Bombyx mori 1968; 1988 F1 Bombyx mandarina OHMURA, OHMURA, Bombyx mori mori Bombyx mori mand

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(1)

カイコとクワコの進化的繋がり

=転移因子研究との関わりを含めて=

川西祐一

1)

・伴野 豊

2)

・藤本浩文

3)

・中島裕美子

1)

・前川秀彰

1) 1)琉球大学分子生命科学研究センター,2)九州大学大学院農学研究院,3)国立感染症研究所 はじめに われわれは,2000 年前に中国から移入され養蚕 に利用されてきたカイコ(Bombyx mori:吉武,1968; 吉武,1988)と,その祖先型である野外に生息す るクワコ(Bombyx mandarina:OHMURA, 1950)(図

1)との関係を,進化的解析を通して明らかにす ることを目的とし,研究を進めている。クワコの 由来は,カイコのようには知られていない。数百 万年前から広く東アジアに生息していたと考えら れているが,現在の分布とどこが異なるのかは不 明である。クワコとカイコに関する詳細な比較は 河原畑ら( 1998)の報告書が最初であり大いに参 考になる。カイコはクワコから家畜化されたもの で,亜種と考えられる(名前の上で別種に見える クワコとカイコの学名表記には問題があり,石原 (1943)によるカイコを Bombyx mori mori クワコ を Bombyx mori mandarina と表すのが妥当とする 提案は,一番誤解のない表現であると思うので, ここであえて述べておきたい)。    品種改良にともなう隔離と選抜によって,クワ コとカイコは急速に互いの遺伝的距離を離して いったと考えられる一方,逆にカイコのゲノムが ク ワ コ に 侵 入 し た 事 例 も 確 認 さ れ て い る (KAWAGUCHI, 1928;MAEKAWA et al., 1988)。クワコ

はカイコと交配可能であり,F1 は飛翔能力を持つ。 また,F4 においても生殖能力は失われないことが 知られている(石原, 1943)。したがって例えば, 飼育されているカイコの雌のフェロモンにより誘 引されたクワコの雄がこれと交尾し,F1 が飛翔し て野外に放たれるといったことも起こりうるであ ろう。F1 は目立つので鳥に捕食され易く生き延び る個体は少ないと思われるが,このようなことが 繰り返されれば外見はクワコでもゲノムレベルで はカイコ由来の配列が混在した雑種ができること になる。  カイコとして家畜化されたことで多くの品種 (系統)が手に入ること,家畜化に要したおよそ の年代(4600 年)がわかっていることから,大規 模な人為操作により作出された品種間でのゲノム の差と,中国だけでなく韓国,台湾,日本(OHMURA, 1950)に生息して独自の進化を遂げているクワコ のゲノムの地域差を比較することで,家畜化以降 のクワコとカイコ両種の成り立ちを解析できると 考えている。そもそも家畜化前のクワコは(数百 万年前を想定しているが)東アジアにどのように 分布していったのだろうか。その地理的移動につ いてはゲノムへ挿入された転移因子を指標にして 解析できると考えている。転移因子(CRAIG et al., 2002)のように外部から侵入した配列と宿主とな る生物ゲノムそのものの進化は,それぞれの進化 の時間軸が異なるために単純には比較できない。 そこで,われわれは双方の塩基配列の変化を区別 して解析し,クワコゲノムに挿入された転移因子 の配列を昆虫を含めた他の生物種のそれと比較す ることでクワコの由来を明らかにできるのではな いかと考えている。 rDNA を指標にした 日本産クワコとカイコの関係 以上の前提に立って,まず,カイコと日本産ク ワコのリボゾーマル RNA 遺伝子(rDNA)を取り 上げる。日本産クワコでは 5.8S rRNA 領域の下流 にカイコには無い制限酵素 EcoRI による切断部位 が存在する(図 2:MAEKAWA et al., 1988)。従って, この領域を PCR 増幅し,EcoRI で消化後電気泳動 を行い,切れたか切れなかったかをバンドパター ンで検出することにより,カイコ型の rDNA かク ワコ日本型の rDNA かを簡単に区別できる。中国・ 韓国のクワコではこの切断が起こらず,カイコ型 と考えられる(図 2A, 2B:KAWANISHI et al., 2008b)。

日本産クワコにはクワコ日本型のホモ個体以外に,

32: 79-86 (2008)

図 1.韓国水原のクワコ(上)と日本のカイコの実用品種(下)。以下,

クワコは中国(茶色),韓国(こげ茶色),日本(緑色),カイコは白色の 虫で表してある。

(2)

カイコ型のホモや両者のヘテロ型個体が見出され た(図 2C, 2D:KAWANISHI et al., 2008b)。この結果 は先に述べたように,日本産のクワコにカイコの 染色体が侵入した結果であることを示している (図 3:KAWANISHI et al., 2008b)。まだ部分的であ るが,5.8SrRNA 領域の PCR 産物のクローンの配 列を比較すると,日本産クワコはクワコ日本型配 列のグループとカイコ型配列の 2 つのグループに 明確に分けることができ,日本のカイコはカイコ 型のグループに分類された( FUJIMOTO, 未発表デー タ)。このことからも,カイコから日本産クワコ への染色体の侵入は明らかである。今後,中国・ 韓国・台湾・日本などの多くの異なる地域に生息 するクワコからクローンを単離し上記の rDNA の 塩基配列を比較することで,クワコの由来を明ら かにできると期待している。 ここで rDNA の基本単位に変異があった場合, 何故クラスター全体(約 240 コピーの縦列繰返し

(GAGE, 1974 ; TSUCHIDA et al., 1995))が変わってし

まっているのか,不思議である。この現象は BROWN et al.(1972)が初めてアフリカツメガエルで見出 した現象であり,後に ZIMMMAR et al.(1980)に    よって協調進化(concerted evolution)と名づけら れた。また最近, NEI et al.(2005)により rDNA の協調進化について総説が書かれている。変異が 一つの単位に生じた場合,これが不等交叉や遺伝 子変換により均一化( homogenization )( DOVER, 1982; POLANCO et al., 1998)され,クラスター全体 を置換える進化の現象として位置づけられている (図 4)。このようにクラスター全体が同様の変 異を起こしているが故にカイコ型とクワコ日本型 rDNA の区別ができることになる。 日本産クワコとカイコの染色体数の差 日本産クワコは染色体数が 27 本(SASAKI, 1898) であり,カイコの 28 本と区別できる(図 5 : KAWAGUCHI, 1928)。日本産クワコの染色体の数が 1 本少ないのは, 2 本の染色体が融合した( M 染色 図 4.協調進化により変異した rDNA がクラスターを占拠するモデル。協 調進化により, rDNA の基本単位に生じた変異を持った単位がクラスター 全域に広がり置き換わってしまうことを示している。日本産クワコは約 300 万年前にこの現象が起こったと計算された(MAEKAWA et al., 1988)。 図 5.クワコとカイコの染色体数。カイコ N4 系統の第 1 減数分裂中期の染 色体(左:28 本)。韓国産クワコの第 1 減数分裂中期後半の染色体(右:27 本)。 図 3.クワコとカイコの染色体が自然環境での交尾により混在することを 示す模式図。#11 染色体を橙色,M 染色体を赤で示してある。 図 2.日本産クワコとカイコの rDNA 配列の差。カイコ型とクワコ日本型 rDNA の 10.6 kb の基本単位が示されている(上)。5.8S と 18S の領域をプ ライマーとして PCR 増幅を行った。3.3 kb 産物を EcoRI で消化すると 2.5 kb と 0.8 kb に分かれる。カイコ型ホモ(白),クワコ日本型ホモ(緑),両者 のヘテロ型(紫)(右端図)が生じることになる。 A:中国クワコと日本で 飼育されているカイコ,B:韓国で採集されたクワコ,C および D:日本産 クワコ(バンドパターンは実験の結果を模式的に描いたもの。 rDNA の構 造は KAWANISHI et al.(2008b)を基にした模式図)。

(3)

体)結果と考えられている(図 6:KAWAGUCHI, 1928;

MURAKAMI and IMAI, 1974)。BANNO et al.(2004)によ

ればこの M 染色体は,カイコの#14 に相当するク ワコの染色体が, #27 か#28 に相当するクワコの 染色体のどちらかと融合したために生じたと考え られている。韓国にも 27 本染色体の個体が見つ かっている(図 5:KAWANISHI et al., 2008b;NAKAMURA

et al., 1999)が,この rDNA はカイコ型であった (図 2)。中国のクワコは 28 本であり(NAKAMURA et al., 1999),rDNA もカイコ型である。このことか ら考えると染色体の融合は韓国で起こり,その後 日本へ移動した個体群の rDNA が日本型に変異し たと考えられ,染色体の融合と rDNA クラスター の遷移は独立の事象であるといえる(図 7 : KAWANISHI et al., 2008b)。染色体が融合した個体群 は黄海の形成による朝鮮半島の成立により地理的 に中国と朝鮮半島が分断された結果(徳田,1969), 朝鮮半島より大陸側へは広がらず,その後中国の 大陸棚部分が隆起と陥没を繰り返した結果,再び 中国の大陸部と朝鮮半島が繋がり(木村, 2002; 神谷,2007),韓国で 28 本と 27 本の両個体群が 混在することになったと考えられる。 マリナー様転移因子 Cecropia-ITR-MLE による クワコの分布解析 転移因子の仲間であるマリナー様配列( MLE) (図 8)は種類が多く,植物からヒトまで多くの 種に侵入している配列である( ROBERTSON, 1993; LAMPE et al., 1999)。それらの間で共通に保存され ているアミノ酸配列(コンセンサス配列)を基に したプライマーを使って単離した MLE 断片(図 8A)を比較すると MLE 全体を 5 つのサブファミ リーとしてグループ分けすることはできるが, 個々の MLE の由来を知ろうとすると混沌として 何も見えてこない。我々は MLE を特定のカテゴ リーに絞り,MLE 全長を単離することで,同じ起 源の配列を比較する方法を提唱した(NAKAJIMA et al., 1998)。そのためまず,セクロピアサン MLE の両 端にある逆位繰返し配列(ITR)に着目し,その ITR をプライマーに用いて PCR 増幅されるタイプ (Cecropia-ITR-MLE)(図 8B)に絞り込むことで, 中国・韓国・日本のクワコから単離したクローン の配列を比較解析した( NA K A J I M A et al., 2002; NAKAJIMA et al., 2003)。その結果,本州を中心とす る日本型と中国・韓国・九州・北海道を含む大陸 型に分けることができた(図 9,10;KAWANISHI et al., 2007)。このことは絞り込んだ MLE の配列の差が 挿入時期の差とクワコの分布地域の差を知る指標 となることを示している。染色体 27 本を持つク ワコは韓国,九州,本州から北海道まで分布して おり染色体数の点では同じと考えられる。その中 で日本型 rDNA は九州から北海道まで存在する。 しかし,日本型 Cecropia-ITR-MLE は本州のみに 分布していることから,この MLE が挿入された 本州のグループと同じカテゴリーではあるが別の タイプが挿入された中国,韓国,九州,対馬,北 図 6.M 染色体の模式図。#14 と#27 あるいは#28 が癒合して染色体数が 1 本減少したと考えられている。 図 7.クワコの変遷とカイコの移入。染色体融合による 27 本個体は 4∼500 万年前には出現していた可能性があり,朝鮮半島以東のものがそうであっ たと推測される。その後日本産クワコの変異が約 300 万年前に起こり,約 200 万年前に黄海の形成による朝鮮半島の成立により地理的に分断され た。この後 27 本個体は大陸へ広がらず,また日本と朝鮮半島も対馬海峡で 分断された結果,交流は起こらなかったと考えられる。大陸棚部分が数万 年前まで隆起と陥没を繰り返した結果,朝鮮半島と大陸は再び交流が可能 となり,韓国に 28 本個体が生息することになったといえる。日本は 27 本 個体しか見出されないので,その間も大陸のクワコとは交流が無かったと 思われる。それぞれの地域でカイコからクワコへ染色体の侵入が起こった と考えられる。クワコ日本型 rDNA は日本産クワコ特有の型である。 図8. マリナー様配列(MLE)の構造と PCR 用プライマーの位置。ト ランスポゼースの中の共通アミノ酸配列に基づく塩基配列をプライマー として PCR 増幅することで,マリナー様配列を単離できる。ITR(逆位 繰返し配列)をプライマーに使うことで,同じグループ由来のマリナー 用配列を単離できる。

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海道では住み分けが起こっていることになる。今 後 rDNA や他の転移因子との結果とすり合わせる ことにより,より詳細に数百万年前からのクワコ の移動を追跡できると確信している。 日本産クワコの カイコ BmTNML 座位相当領域の構成比較 さらに,2 種類のレトロトランスポゾン,L1Bm (ICHIMURA et al., 1997)と BMC1(OGURA et al., 1994)

が挿入された三層構造をとる MLE (BmTNML) (図 11A :NAKAJIMA et al., 1999)を含む BAC ク  

ローンを標識して FISH 解析を行ったところ一箇 所にシグナルが検出された( SAHARA, 未発表)。塩 基配列の検索からもカイコゲノム中に 1 箇所と考 えられることから,この MLE が挿入された領域 を BmTNML 座位と呼ぶことにした(KAWANISHI et al., 2008a)。クワコからも,この領域に絞り込んで, カイコ BmTNML 座位に相当するクローンを単離 し,その中に含まれる MLE を比較した。カイコ では BMC1 が MLE に挿入されているが(NAKAJIMA et al., 1999),クワコでは BMC1 が挿入したものは 単離されなかった(KAWANISHI et al., 投稿準備中)。 しかし新しい因子である maT ファミリーに属する BmamaT1 が挿入されているクローンが単離されて

きた(図 11B:KAWANISHI et al., 2008a)。この BmTNML

相当座位に挿入された BmamaT1 配列は,別の部 位に単独で挿入されているものや,カイコゲノム 中から単独に単離されたクローンに比べ,個体間 ではるかに高い相同性を保持している(図 12)。 また BmamaT1 の挿入がないクローンの中に, BmamaT1 が切出されたときに残るフットプリント が存在するものがあることから,ごく最近挿入と 切出しが起こり,現在も動いている可能性が示唆 図9. セクロピア ITR を使用してクワコから単離された MLE の比較。日 本の対馬から北海道,韓国,中国のクワコからセクロピア ITR を使って 単離した配列の近隣接合法による系統関係の比較を行った。本州に特徴 的なグループが見出され,これらは近年本州産クワコに侵入した可能性 が高い。 図 10.セクロピア ITR を使用してクワコから単離された MLE の分布。図 9 に基づいて地図上にプロットしたもの。セクロピア ITR-MLE のあるグループ が大陸型とは異なり本州に特徴的なことが判る。 図 11.カイコ BmTNML 座位の構造と日本産クワコの相当する座位から単 離されたクローンの構造。MLE に L1Bm が挿入されそれに BMC1 が挿入 されたものは FISH 法による解析からも 1 コピーと考えられるので, BmTNML 座位と名づけられた。それに相当する領域を日本産クワコから 単離したところ BMC1 は見出せず,代わりに BmmaT1 という新しい maT ファミリーに属する転移因子が見出された。 図 12.BmmaT1 の近隣接合(NJ)法による系統解析.BmTNML 相当座位 に挿入されている BmmaT1 は,他の部位に挿入されているものやカイコで 存在するものに比べてはるかに相同性が高い。これは日本産のクワコのこ の領域にかなり近年挿入された可能性が高い。配列の解析から,一度挿入 されてから切出されたと思われるフットプリントが見えることは,この推 定を支持するものである(KAWANISHI et al.(2008a)を基にした模式図)。

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された。これらの近年動いた可能性のある MLE も比較の対象とすることで,ゲノムの進化と MLE の進化との時間軸の差異を明らかにできると考え ている。 南西諸島にクワコは生息していない  クワコは中国,朝鮮半島と日本のトカラ列島の 中之島までは生息しているが,中之島水道以南で は発見されていない(伴野ら,私信)。また,ベ トナム,カンボジア,ミャンマー,バングラデ   シュやインド等には生息が確認されていないこと からも,北方系の昆虫であることが示唆されてい る(河原畑ら, 1998)。卵殻には大きな気室があ り越冬形態を持った卵態越冬型であることもカイ コが北方系であることを支持している(河原畑ら, 1998)。しかし,亜熱帯気候である台湾での生存 は報告されている(台湾は 2000m を超える高地が あるので気温,湿度が低いところがありクワコの 生育が可能であると考えられる。南西諸島にも, 出土した植物の花粉の化石から 1500m を超える山 の有る島も古代にはあったとされているが,今は 全て 1,000 m 以下の高さしかない。このため,亜 熱帯に適していないクワコは生存できなかったと 思われる)。このクワコの分布と入れ替わるよう に生息している昆虫がオキナワクワゾウムシであ る(図 1)。成虫も幼虫も桑を食するもので,南西 諸島に生息している。南西諸島のクワは固有のも のでシマグワと呼ばれ,亜熱帯でも生育が可能で, 高地があったときに生息していたと考えられるク ワコがいなくなってからもシマグワは低地でも生 育し,現在でも随所に見られる。 Cecropia-ITR-MLE と BmamaT1 を含む個体群の 地理的分布を比較して見ると転移因子の種類に応 じて挿入の時期とそれぞれの転移因子を含む集団 の分布が異なることが見えてくる(図 13:地図部 分は太田・高橋( 2006),神谷(200)を基に描き 直した)。この現象はクワコの分布において見られ るが,他の昆虫や生物種においてもこれらの現象 が見られるかどうかが明らかになれば,生物種の 移動と進化の関係を明らかにできると考えている。 アフリカから貿易の積荷に混じって琉球へ移入さ れたと思われるツヤオオズアリの MLE の解析か らも,ある程度種によって特定の MLE が挿入さ れている可能性が示されており( KAWANISHI et al., 投稿準備中),今後の解析が待たれる。 南西諸島は転移因子研究材料の宝庫である 南西諸島は多くの島から構成されており,生物 の多様性の宝庫といわれている。また,それぞれ の島ごとに住み分けている近縁の生物種がいるこ とから,それぞれの種の個体群の移動も含めた進 化の道筋を研究するには最適な場所と考えている。 さらには,このような環境であるが故に MLE の 同時多発的に異なる種のゲノムへの侵入機構(水 平伝播)(図 14:地図部分は太田・高橋(2006), 神谷(2007)を基に描き直した)についても解析 できる素地があると期待している。 南から北へ起動するトンボ類(タイリクショウ ジョウトンボ,ハラボソトンボ(図 15C)),本土 と南西諸島で住み分けている同種のチョウ(アオ スジアゲハ,イシガケチョウ,ナガサキアゲハ) や昆虫(ショウリョウバッタ,クルマバッタ,ト ノサマバッタ,オキナワハンミョウ,クロイワツ クツク)やクモ(ジョロウグモ),逆に東南アジ アと分布を同じくするチョウ(ツマムラサキマダ ラ(図 16E))やガ(ヨナグニサン),南西諸島固 有種と考えられているもの(オオゴマダラ(図 15A),オオジョロウグモ(図 15B),リュウキュ ウウラナミジャノメ(図 16A ),リュウキュウア サギマダラ(図 16B),モリバッタ(図 16C,カバ マダラ(図 16D)),マダラコオロギ,オオシマゼ ミ(図 16F))など多くの有望な研究対象が南西諸 島には生息している(安間, 2001 )。特にセミ類 については島ごとに生息が限定されている種が居 ることから,そのゲノム中の転移因子を単離し塩

図 13.BmmaT1 とセクロピア ITR-MLE の分布の違い。この MLE の分布は

本州に局在する日本型と大陸型に分けられ,九州や北海道はこの型とは異 なり大陸型である(紫線)。一方,maT ファミリーは韓国,九州から本州, 北海道と同じグループで中国と異なる(赤線)。この例から,それぞれの転 移因子グループは異なった地域で挿入を起こしているといえる。 図 14.南西諸島を中心に広がる MLE ファミリーを指標にした多様な生物 種への侵入機構の解析。ヨナグニサン,サンゴやモリバッタから単離され た MLE は,現在も動いている可能性が高い。南西諸島に生息する多様な 生物種から MLE を単離し比較することで,またこれらの動きを解析し予 測することで,種の進化と移動を明らかにすることができると考えてい る。

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基配列を島嶼の陥没と隆起の地理学的な記載と比 較することで,転移因子の挿入の時期と動きを推 定できると考えている。ツヤオオズアリのように 原生息圏がアフリカというような場合はともかく, 日本本土での植栽の移動により,関西にしか居な かったクマゼミが関東に突然生息圏を広げたとか, オオシマゼミが突然千葉県に出現するなど,人為 的な分布域の撹乱が生じている例が明らかになっ ており,解析結果を判断する際に注意をすべきで ある。南西諸島からは種々のものを船で運ぶこと が多く,この積荷に隠れてキノボリトカゲのよう に鹿児島まで生息範囲を広げていくものが出てく る。温暖化に伴い,ますますこの傾向が強くなっ ていくと思われる。これに関して新たな転移因子 の利用法を提唱したい。日本本土と南西諸島で異 なる転移因子の分布が確認できれば,日本本土に もともと生息していたものかあるいは南西諸島か ら移動してきたものかが容易に判定できる指標に することができるというものである。 皆様のご指導,ご協力を今後とも宜しくお願い いたします。 文   献

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図 16. A:リュウキュウウラナミジャノメ, B:リュウキュウアサギマダ

ラ,C:モリバッタ, D:カバマダラ, E:ツマムラサキマダラ, F:オオ シマゼミ。

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