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学位論文題名 Characterization of modified solid surfacesby electrochemical method and grazing incidence Xーray techniqueslnalaboratorySCale

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 高 橋    真

     学位論文題名

    Characterization of modified solid surfaces by electrochemical method and grazing incidence     X ー ray techniqueslnalaboratorySCale

(電気化学法およぴ微小角入射X 線法による固体修飾表面の構造解析)

学位論文内容の要旨

  近年、ナノテクノロジーにおいて表面現象の理解や固体表面の表面修飾の重要性は非常 に高まってきており、それにともなって、厚さ数nmの超薄膜や界面の状態を精密に解析す る必要性が増えてきた。本研究では固体表面の原子・分子レベルでの修飾および構造解析と いう観点から異なる2つのテーマを選んだ。はじめに、@表面現象の理解と制御という立場 から電気化学的手法により金属表面を異種金属で修飾できるunderpotential deposition (UPD) について研究を行った。本テーマでは電位走査法を用い、平衡論的に電流電位曲線の解釈を 行った。っぎに、◎固体表面の機能性分子による修飾方法の確立を目指し、これまでほとん ど例の ない実験室レベルでの微小角入射X線法を適用し構造解析を行った。以下に◎、◎

に関す る研究成果をまとめる。尚、本論文では微小角入射X線法による研究を重点的に行 ったので、◎のテーマに関して詳しく報告する。

  @重 位走査 法によ墨 皿砥究 ;電極反応および固液界面の反応機構を理解することは、

選択的な化学反応の制御や高効率化にっながる。.本テーマでは電極触媒に広い可能性を秘め、

原子 レベルでの電極修飾が可能なUPDに注目した。UPDは、金属イオンM^゛が金属電極表 面M上に電 析する熱力学的平衡電位(NV+/M)より正電位側で異種金属電極表面M|上に析出 する現象(M +Mt冫である。これまでAu電極上にUPDするCu2゛に関するものが多くなされて いるが、本研究でAヰ111)上へのUPDの系としてZn2゛を取り上げた。背景には、Zn2゛のUPD

(ZnUPD) は幅広いpH領域で 起こるこ と、他の 金属イ オンと比 較してUPDシフ ト値が 非 常に 大きく興味深いからである。一般に金属イオンがUPDする際、アニオンを伴って下地 金属 上に析出することが知られている。本研究ではA.u上へのZnUPD上に吸着するアニオ ン( 各ハロ ゲン化物 イオン、 リン酸 イオン) がZnUPDに与える影響について調べた。Au 表面への吸着カの強さはハロゲン化物イオン(Iー冫Br冫Cr)冫リン酸イオンの順になるのに 対して、A.u(lll)上のZnUPD上への強さはりン酸イオン冫ハロゲン化物イオンの順になるこ と を 明ら か に した 。 こ れはAu上 のCuUPDの 系 と異 な る 結果で あり、ZnUPDの特 異性お よび アニオンがUPD反応に大きく関与していることを示すものである。この特異性につい てはZn2゛のりン酸種との錯形成が電極表面上で進行していることが原因であると結論した。

この他にりン酸イオンの濃度依存性から、反応に関与する電子移行数は1と見積もられた。

またこれと並行して、in‐si伍S1M像の解析を行いAu(111)表面上でZnUPDは(V3xV3)R30゜ 構造をとることがわかった。

  ◎ .微/≧負ム 射X纏 法によ盃固佳表面上Q蓮膿Q班究;固体面上に薄膜を作製する手法 として、自己集積法やLangmulr−B10dgett(LB)法が一般的であるが、これらの方法にはそれ

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(2)

ぞ れ目 的 分 子 に構 造 的 制 約が あ る。例 えば、 金属錯体 のよう な機能 性分子 を材料 に薄膜 を設 計 する 場 合 、 配位 子 に 架 橋基 や 疎水基 を導入 しなくて はなら ない。 そこで 本研究 ではま ず、

こ のよ う な 制 約を 受 け な い新 規 の薄膜 設計法 を検討し た。特 に不斉 識別や 不斉触 媒の機 能が 期 待さ れ る 固 体表 面 の 構 築を 目 指した 。機能 性分子に は不斉 識別能 を持つ ことで 知られ る金 属錯体△ー[Ru(phen)312十(phen=1,10‑phenanthroline)を使用した。錯体がカチオンであること に 注目 し 、 静 電的 な 作 用 で自 己 集積さ せるこ とを試み た。ま ず、カ チオン を固定 するた めの 場 を構 築 す る ため に 、 材 料と し て高い カチオ ン交換能 で知ら れるア ニオン 性無機 層状化 合物 モ ンモ リ ロ ナ イト を 選 択 した 。 モ ン モリ ロ ナ イ トは ア ルミ ナ層が2枚のシ リケー ト層に 挟ま れ た層 構 造 を 有し 、 層 全 体の 厚 み は0.95nmと 一 定 で ある 。 ま た 、ア ル ミ ナ 層中 のAl3+が 一 部Mg2゛に 交 換 さ れて お り 、 全体 と し て 負に 帯 電 し てい る。 ナトルウ ムモン モリロ ナイト と オ クタ デ シ ル アン モ ニ ウ ムハ イ ド ロ クロ ラ イ ド(ODAH℃r) か ら なる ハ イ プ リッ ドLB膜 をシ リ コン 基 板 上 に製 膜 し た 。得 ら れ た ハイ プ リ ッ ドLB膜 を メタ ノ ー ル に数 時 間 浸漬 しその 後 超 純水 で す す ぐこ と に よ り、OD」6げ 層 のみ を 脱 離 させ アニ オン性モ ンモリ ロナイ ト単一 層 膜 を構 築 し た 。ODAH十層 の 脱 離 はF1弧 で 確認 し た 。 錯体 水 溶 液 中に モ ン モ リロ ナイ ト単一 層膜を浸し、△−[Ru(phen)3]2゛を自己集積させた。

  次 に 、 上 述 の 手 順 で 作 製 し た 有 機 ・ 無 機 ハ イ プ リシ ドLB膜、 モ ン モ ルロ ナ イ ト 単一 層 膜 お よ び 錯 体 自 己 集 積 膜 を 微 小 角 入 射X線 法 に より 層 構 造 の評 価 を 行 った 。 本 手 法は 、X 線 全 反 射 条 件 の 近傍 で 測 定 を行 う た め 、極 め て 浅 い領 域 ( 表 面か ら の 深 さ数nm〜 数100nm 程 度) の 構 造 解析 に 適 し てい る 。本手 法は、 薄膜の構 造評価 に極め て有効 な手法 として 知ら れ て い る 、 測 定 には 強 度 が 強く 平 行 性 の高 いX線 が 不 可欠 で 放 射 光を 用 い て 行わ れ る の が 一 般 的 で あ る 。 本研 究 で 用 いた 装 置 は 、光 源 に 新 しいX線 光 学 素 子と し て 注 目さ れ る 放 物 状 多 層 膜 ミ ラ ー を装 備 し た 実験 室 系X線 回 折装 置 で あ る。 解 析 の ため の 試 料 は、 有 機 ・ 無 機 ハ イ ブ リ ッ ドLB膜 を 高 純 度 シ リ コ ン 基 板 上 に 積 層し て 作 製 した 。 そ の 結果 、ODAH十 層

/ モン モ ル ロ ナイ ト 層 / シリ コ ン基板 で構成 されたは っきり とした 層構造 が確認 され、 各層 の 膜厚 は1.67nm、1.56nmで それ ぞれ単 分子膜 で構成 されて いるこ とがわか った。 モンモ リ ロ ナイ ト 層 の 厚み が や や 大き く 見積も られた が、これ は吸着 水の付 着によ るもの である とし た 。 ま た 、 各 層 の二 次 元 構 造を 面 内X線 回 折に よ り 確 認し た と こ ろ、ODAH゛ は ラ ン ダム に 配向 し、モン モリロ ナイト は(001) 面を膜 表面に 対して平行に配向していることがわかった。

こ れら の 結 果 は、LB法 によ ル ナ ノ メー タ ー ス ケー ル で 細 分化 さ れ た へテ ロ な 層構 造を持 つ 超 薄 膜 の 作 製 が 出来 た こ と を示 し て い る。 さ ら に 、AFMな ど で は困 難 と さ れる 「 埋 も れた 界 面 」 に 関 す る 情報 も 含 ん でお り 、 微 小角 入 射X線 法 の優 位 性 を 示す も の で ある 。 同 様 に し て、 モ ン モ リロ ナ イ ト 単一 層 膜につ いて層 構造を調 べた結 果、モ ンモル 口ナイ トの膜 厚は お よそ1.55nmと 得 ら れ 、ハ イ ブ リ ッド 膜 中 の モン モ リ 口ナイ ト層の 厚みと ほぽ一致 した。

また、膜の均一性が維持されていることがわかった。アニオン性薄膜上に△ー[Ru(phen)3]2゛を 自己 集積させ 薄膜の 構造解 析を行 った結 果、1.5〜1.6nmの 均一な 錯体層 を形成することがわ か った 。 解 析 によ り 得 ら れた 膜 厚と分 子モデ ルの比較 から、 錯体層 はほぽ 単分子 層レベ ルで 構 成さ れ て い ると 結 論 し た。 以 上の結 果は自 己集積の ための 架橋基 や気液 界面で 単分子 膜形 成 する た め の 疎水 基 を 持 たな い 分子で あって も単分子 膜を簡 単に設 計でき ること が示す もの で ある 。 今 回 は金 属 錯 体 を材 料 として 用いた が、カチ オン性 分子で あれば 有機、 無機を 問わ ず 同様 の 手 順 で製 膜 が 可 能で あ る。本 研究の 他にも静 電的な 作用で 多層膜 を構築 する手 法は 過去 にも報告 されて いる。 この場 合、シ リル化 剤など を用い て基板表 面に初期電荷を与える。

モン モリロナ イトは 基本的 には規 則構造 を持っ た結晶 なので 、膜表面 に粗さが少なく、また、

機 械的 な 強 度 が期 待 さ れ る。 す なわち 新たな 表面修飾 の材料 として の可能 性を見 いだす こと が で き た 。 さ ら に本 研 究 で は光 源 に 放 物状 多 層 膜 ミラ ー を 装 備し たX線 回 折 装置 に よ り 微 小 角 入 射X線 法 を 試 み、 得 ら れ た成 果 は 実 験室 系 で も ナノ メ 一 夕 ース ケ ー ル の超 薄 膜 の 構 造解析が十分可能であることを証明する一例である。

以 上 、 固 体 表面 上 に 形 成さ れ た 原 子層 や 薄 膜 の構 造 を 電 気化 学 的 手 法と 微 小 角 入射X線

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(3)

法によって解析し、それらの構造を明らかにするとともに、新規の固体表面修飾法を創案す るこ と が でき た 。 これ ら の 結果 を 現 在 まで に3報の 原 著 論文 と し て発 表 し てい る。

‑ 251

(4)

学位論文審査の要旨

主査   教授   中田允夫

副 査    教 授   山 岸 晧 彦 ( 東 京 大学理 学系 研究 科)

副査   教授   西村紳一郎

副査   教授   中村貴義(北海道大学電子科学研究所)

     学位論文題名

    Characterization of modified solid surfaces by electrochemical method and grazing incidence     X‑ray techniqueslnalaboratory scale

(電気化学法および微小角入射X 線法による固体修飾表面の構造解析)

  近年、表面現象の解析や固体表 面の修飾の研究が多数行なわれ、厚さ数nmの超薄膜や界 面の状態を精密に解析することが要求されている。学位論文には、固体表面の原子・分子レ ベル での修飾とその構 造解析を異なるニつの観点から研究した成果が述べてあ る。一つ は、金属表面を異種金属で修飾するunderpotential̲ deposition (U PD)の現象を、電位走査 法により得られた電流電位曲線に 基づいて、平衡論的に解釈した。もうーっは、固体表面 を機能性分子で修飾する新しい方法を確立して、その構造を実験室レベルでの微小角入射X 線法により解析した。

  電位走査法によるUPD研究では、Auく111)上への盈12十のUPDに関する実験をした。一般 に金属イオンがUPDする際、アニオンを伴って下地金属上に析 出するので、アニオン(各 ハロ ゲン 化 物イ オン 、リ ン酸 イオン)がなUPDに与える影響を調べた。Au表面 への吸着 カの強さはハロゲン化物イオン(r冫Br一冫ClI)冫リン酸イオンの順であるのに対して、

Au(111)上のZdUPDへの吸着の強さはりン酸イオン冫ハロゲン化物イオンの順になることを 明ら かに し た。 これ はよ く知 られているAu上のChUPDとは異なる結果であり、 電極表面 上でZn2゛とりン酸種との錯形成が原因であると結論した。この他に、リン酸イオンの濃度 依存性から、反応に関与する電子移行数は1と見積もった。またこれと並行して、in一situ S1M像 の解 析を 行いAm111)表 面上でZnUpDは(伯x伽)R30゜構造をとることを 示した。

  微小角入射X線法による固体表面上の薄膜の研究では、固体 面上に薄膜を作製する手法 の確立から始めた。従来の、自己集積法やLan醫muirーBlodgett(LB)法は疎水基等を有す る特定の分子にしか適用できない。それ故、このような制約を受けずに固体表面に機能性分 子を配列するための新しい薄膜設計法を検討した。機能性分子としては、不斉識別能を有す     ―252―

(5)

る金属錯体△−【Ruくphen)3]2゛(phen=1,10‑phenanthroline)を使用した。この錯体はカチオ ン性であるので、静電的な作用でアニオン性の界面に自己集積する可能性がある。そこで、

カチオン交換能で 知られるアニオン性無機層状化合物モンモリロナイトに着目した。モン モリロナイトはア ルミナ層が2枚のシリケート 層に挾まれた層構造を有し、層全体の厚み は0.95nmである。 まず、ナトリウムモンモリロナイトとオクタデシルアンモニウムハイド ロクロライド(ODAH+Cl‑)からなるノヽイブリッドLB膜を高純度シリコン基板上に製膜した

(薄膜A)。得られたハイブリヅドLB膜をメタ ノールに数時間浸涜しその後超純水ですす ぐことにより、ODAH+層のみを脱離させアニオン性モンモリロナイト単一層膜を構築した

(薄膜B)。ODAH゛層の脱離はFTIRで確認した 。錯体水溶液中にモンモリロナイト単一層 膜を浸し、△―[Ru(phen)3]2+を自己集積させた(薄膜C)。

  層構造の解析に 用いた微小角入射X線法では 、X線全反射条件の近傍で測定を行うため、

表 面か らの 深さ が数nmか ら数100nm程度 の表 面の構造解 析に適している。測定には強度 が強く平行性の高 い放射光を用いるのが一般的であるが、本研究では放物状多層膜ミラー を 装 備 し た 実 験 室系X線回 折装 置を 用い た。 薄膜Aでは 、ODAH+層 /モ ンモ リロ ナイ ト 層/シリコン基板 で構成された明確な層構造が確認され、各層は膜厚がそれそれ1.67nm、 1.56nmの単分子膜 であることがわかった。モンモリロナイト層の厚さが大きく見積もられ たのは、吸着した 水和イオンに起因していた。また、各層の二次元構造に関しては、面内X 線回折によ.りODAH+はランダムに配向し、モンモリロナイトは(001)面を膜表面に対して 平行に配向してい ることがわかった。次に、モンモリロナイト単一層膜(薄膜B)にっいて 層構造を同様に測定した結果、モンモリロナイトの膜厚はおよそ1.55nmと得られた。また、

膜 の均 一性 が数mm2の 広い 範囲 で維 持さ れて いることが わかった。さらに、アニオン性 薄膜上に△‑[Ru(phen)3]2+を自己集積させた薄膜(薄膜C)の構造解析では、1.5〜1.6nmの 均一な錯体層が観 測されて、ほぼ単分子層レベルで構成されていると結諭された。これら の結果から、表面 修飾の新たな材料として、モンモリロナイトは多くの可能性を有するこ とが予測された。 放物状多層膜ミラーを装備したX線回折装置による微小角入射X線法は、

実験室系でのナ丿 メ一夕ースケールの超薄膜の構造解析に極めて有効であ り、AFMなどで は 困難 とさ れて いる 「埋もれた界面」に関する情報も得 られることが明らかになった。

  以上、固体表面 上に形成された原子層や薄膜の構造を電気化学的手法と 微小角入射X線 法によって解析し 、それらの構造を明らかにするとともに、新規の固体表面修飾法を創案 した。よって著者は、北海道大学博士(理学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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