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学位論文題名The synthetic analogue of mycoplasmallipoprotein FSL−1induces dendritic cell maturation through Ton−like receptor2.

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Academic year: 2021

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博 士 ( 歯 学 ) 木 浦 和 人

     学位論文題名

The synthetic analogue of mycoplasmallipoprotein     FSL − 1induces dendritic cell maturation     through Ton −like receptor2 .

( マ イ コプ ラ ズマ 由 来 ジア シ ル リポ ベプチドFSL―1は   TLR2を 介 し て 樹 状 細 胞 の 成 熟 を 誘 導 す る )

学位論文内容の要旨

[目的]Mycoplasma salivar iumはヒト正常歯肉線維芽細胞、マクロファージ等を活性化し、

interleukin‑6 (IL‑6)、IL‑8などの炎症性サイトカインの産生ならびに接着分子intercellular adhesion molecule‑lの発現を誘導することが報告されており、その活性物質は細胞膜に結合 している りポタン パク質(LP)で あること が明らか となってい る。細胞 膜から精 製した分子 量 44kDaの LPの 活 性 部 位 は N末 端 リ ポ ペ プ チ ド 部 分 で あ り 、 そ の 構 造 は S‑(2, 3‑bisp almitoyloxypropyDCGDPKHPKSFTEWVD ‑であ った。この 構造を元 に合成し たFSL‑1 [S‑(2,3‑bispalmitoyloxypropyD CGDPKHPKSF】は′I`oll‐hke‐receptor2(TLR2) で認識さ れ、LPと同 様に単球 、マクロ ファージ 、歯肉線維 芽細胞な どを活性 化し、種々の 炎症 性 サ イト カ イン の 産 生を 誘 導 する 。TLR2は微 生物の持 つ様々な 分子パター ンを認識 する受容 体であり 、また、 種々の免 疫反応を 増強するア ジュバン トレセプ ターとしても機 能するこ とが示唆 されてい る。そこ で、本研 究ではFSL・1が アジュバ ント活性 を有してい るか を 検 討す る ため に、自 然免疫と 獲得免疫 を橋渡し する重要 な抗原提示 細胞の1っ であ る樹状細胞(DC)のFSL‐1による活性化機構を検討した。

[方 法 ] 骨髄 由 来樹 状 細 胞(BMDC) はC57BL/6(TLR2゛ ′+ ) およ びTLR2ノ ックア ウト

(TLR2ナ)マ ウス由来 の骨髄細胞をgranulOCyte.maCrophageCOlony‐Stimulatingf.aCtor

(GM―CSF) で 分 化 さ せ た 。 こ のBMDCをFSL・1お よ びEmガLPSで 刺 激 し た 後 、 経 時 的 にCD80、CD86、MHCclassn(MHCn) お よ びCDncの 発 現 を フ ロ ー サ イ ト メ ー タ ー で 測定した 。また、 刺激後12時間ならびに12時間〜36時間刺激後の細胞培養上清中のIL.12、 IL.10およびTNF.a量をELISAにより定量した。

[ 結 果 ・ 考 察 ]DCは 様 々 サブ セ ッ トが 存 在し 、 特 徴的 細 胞 表面 マ ーカ ーCDnc、CDnb、 CD8Q、B220等 に よ っ て 分 類 さ れ て い る 。 例 え ば 、 ラ ン ゲ ル ハ ン ス 細 胞 の 表 現 型 は     ―773―

(2)

CDllc+/CDllb+/CD80c・/B220― で あ り 、plasmacytoid DCの 表 現 型 はCDllc± /CDllb―/CD8a+/B220+で あ る こ と が 知 ら れ て い る 。GM‑CSFで 誘 導 し たBMDCで は TLR2+/+お よ びTLR2・/lマ ウ ス の 骨 髄 細 胞 と 比 較 し てCD11cお よ ぴCDnbの 発 現 は 増 強 さ れ て い た が 、CD8aお よ ぴB220は 発 現 し て い な か っ た 。 こ の こ と か ら 、 骨 髄 細 胞 が GM.CSF刺 激 に よ っ てCDncソCDnb+ /CD8a― 毋220− のBMDCに 分 化 し た こ と が 確 認 で きた。

  DCは ナ イ ー ブCD4゛T細 胞 を 強 カ に 活 性 化 す る こ と が 知 ら れ て い る 。CD4゛T細 胞 は DCのMHCHを 介 し た 抗 原 提 示 の み で は 活 性 化 さ れ ず 、 そ の 活 性 化 に はCD80あ る い は CD86と い っ た 補 助 刺 激 シ グ ナ ル が 必 須 で あ る 。 そ こ で 、BMDCをFSL ̄1お よ びLPS で12、36時間刺激し、CD80、CD86ならびにMHCIIの細胞表面での発現を調べた。TLR2゛′+

由 来BMDCで は 、FSL 1お よ びLPS刺 激 に よ りCD80、 CD86な ら び にMHCIIの 細 胞 表 面 で の 発 現 は 濃 度 依存 的 お よ び 経 時 的に 上昇 して おり 、ま た、CD11cの発 現は12時 間 刺激 の時 点で は上 昇し てい たが 、36時間では低下していた。しかしながら、TLR2ナマウス 由 来 のBMDCの 、LPS刺 激 で は 同様 な 変 化 が 見 ら れ た が 、FSL―1刺 激 で は 見 ら れ な か っ た 。CDncはDCの 貪 食 能 に 関 っ て い る と い う 報 告 が あ り 、DCは 活 性 化 の 初 期 の 段 階 で は貪 食細 胞と して 機能 する が、 活性 化の後期では貪食能は失われ、抗原提示細胞として機 能 す る こ と が 知 ら れ て い る 。 し た が っ て 、FSL‐1お よ ぴLPS刺 激 に よ るBMDC表 面 で の CDncの 変化 は貪 食細 胞か ら抗 原提 示細 胞に 変化 して いる こと を示唆 して いる のか もし れ ない。

  CD4゛T細 胞の 活性 化様 式に は、 マク ロフ ァー ジな どを 活性 化する こと で細 胞性 免疫 応 答 を 引 き起 こすTh1応答 とB細 胞を 活性 化し 抗体 産生 を促 すこ とで体 液性 免疫 応答 を引 き 起 こ すTh2応 答 の2種 類 が 知 ら れ て い る 。DCがTh1な ら び にTh2応 答 を 誘 導 す る た め にはそれぞれIL.12ならびにIL・10の産生が必要である。そこで、TLR2+′+およびTLR2ナ 由 来BMDCをFSL‐1お よびLPSで 刺 激 し た と き のTNF. 伐 、IL‐12な らび にIL.10の産 生 量 を 測 定 し た 。 そ の 結果 、TLR2+ ′ + 由来BMDCでは 、FSL―1およ ぴLPS刺激 でIL―12及 びTNF.aの 産生 が誘 導さ れた 。一 方、TLR2ナマ ウス 由来BMDCのFSL・1刺 激で は、IL.12 およ びTNF‐aの産生も誘導されなかったが、LPS刺激では誘導された。これらのことから、

LPSお よ びFSL.1はBMDCを 活 性 化 し 、Th1応 答 を 誘 導 す る の で は な い か と い う こ と が 示 唆 さ れ た 。 さ ら に 、FSL.1はTLR2依 存 的 にBMDCを 活 性 化 す る こ と が わ か っ た 。     こ のよ うに 、FSL・1がDCを活 性化 する 能カ が有 して いる ことか ら、FSL.1が 血ガ 閉 においてもアジュバント活性を有しているのではないかと考えた。そこで、TLR2゛′十および TLRび マ ウ ス を 用 い て 、FSL.1な ら ぴ にLPSの 共 存 下 で 、 抗 原 と し て 卵 白 リ ゾ チ ー ム

(HEL冫 を腹 腔内あ るい は鼻 腔内 に投 与し、HELに対する抗体の産生が増強されるかどうか

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(3)

を調 べ た 。 TLR2+i + で は 、 抗HELIgG 抗 体 価 は FSL‑1 お よび LPS 共存 下で HEL 単独 投 与に比べて有意に増強した。TLR2 .′‑ ではFSL‑1 による増強効果は見られなかったが、LPS による増強効果は見られた。さらに、抗 HELIgG 抗体のサブタイプを調べたところ、Th2 型の IgGl 抗体がThl 型のIgG2a 抗体よりも強く産生されていた。このように、 FSL ー1 は TLR2 依存的なアジュバント活性を有しており、さらに、Th2 応答を優位に誘導している ことが示唆された。

   こ の よ う に 、 BMDC を 血 vitro でFSL‑1 およ ぴLPS で 刺激 する と Thl サ イトカ イン が 誘導されたが、血 vivo ではTh2 応答を引き起こすという正反対の結果が得られた。免疫 応答は細胞だけではなく抗原の質・量、抗原の進入部位、生体内環境など多くの因子が複 合的に作用することで引き起こされる。したがって、どのようなメカニズムでFSL‑1 刺激 に よ り Thl な ら び に Th2 応 答 が 誘 導 さ れ る か に つ い て 現 在 検 討 し て い る 。

775 ‑

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨

     学位論文題名

The synthetic analogue of mycoplasmal lipoprotein     FSL ― 1induces dendritic cell maturation     throughTOll −1ikereCeptor2 .

     (マイコプラズマ由来ジアシルリポペプチドFSL ―1 は     TLR2 を 介 し て 樹 状 細 胞 の 成 熟 を 誘 導 す る )

  審 査は、審 査担当者全 員の出席 の下に行 われた。 最初に申 請者より 提出論文の概要が説 明 され、そ の後、申請 者に対し 提出論文 とそれに 関連した 学科目に ついて口頭試問が行わ れ た。以下 に、論文の 要旨と審 査の内容 を述べる 。

  Mycoplasma   sal variumはヒト 正常歯肉 線維芽細 胞、マクロ ファージ 等を活性 化し、

interleukin (IL)−6、IL―8な ど の 炎 症 性 サ イ ト カ イ ン の 産 生 な ら び に 接 着 分 子 intercellular adhesion molecule―1の発現を 誘導する ことが報告 されてお り、その 活性 物 質は細胞 膜に結合 しているり ポタンパ ク質(LP)であ ることが 明らかと なってい る。細胞 膜 か ら 精製 し た分 子 量44kDaのLPの 活性 部 位 はN末端 リ ポペプチ ド部分で あり、そ の構造 はS―(2,3−bispalmitoyloxypropyl) CGDPKHPKSFTEWVD―であった。この構造を元に合成した FSL−1[S―(2,3―bispalmitoyloxypropyl) CGDPKHPKSF]にまToll―like―receptor2(TLR2)で 認 識され、LPと同様に 単球、マク ロファー ジ、歯肉 線維芽細 胞などを 活性化し 、種々の炎 症 性サイト カインの 産生を誘導 する。TLR2は 微生物の 持つ様々 な分子パ ターンを 認識する 受 容体であ り、また 、種々の免 疫反応を 増強する アジュバ ントレセ プターと しても機能す る ことが示 唆されて いる。そこ で、本研 究ではFSL−1がアジュ バント活 性を有し ているか を 検 討 する た めに 、 自 然免 疫と獲得 免疫を橋 渡しする 重要な抗 原提示細 胞の1つで ある樹 状細胞(DC)のFSL一1による活性化機構を検討した。

[材料と方法]

  骨 髄由来樹 状細胞(BMDC)はC57BL/6 (TLR2十/十)およ びTLR2ノックアウト(TLR2+)マウス 由 来の骨髄 細胞をgranulocyte−macrophage colony―stimulating factor (GM一CSF)で分化 さ せ た 。 こ のBMDCをFSL―1お よ びcoli由 来 の り ポ ポ リ サ ッ カ ラ イ ド(LPS)で 刺 激 し た 後、経時 的にCD80、CD86、MHC classlI(MHcu)およびCDllcの発現を フローサ イトメー タ ー で 測定 し た。 ま た 、刺 激後12時間 ならびに12時間〜 36時 間刺激後 の細胞培 養上清中

夫 一

農 健

上 田

井 柴

授 授

教 教

査 査

主 副

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のIL―12、IL−10およびTNF‑QをELISAにより定量した。

[結果と考察]

  DCには 種々 のサ ブセ ット が存 在し 、特 徴的細胞表面マーカーCDllc、CDllb、CD8Q、B220 等によって分類されている。GM―CSFで誘導したBMDCではTLR2゛/゛船よびTLR2v→マウスの骨 髄 細 胞 と 比 較 し てCDllcお よ びCDllbの 発 現 は 増 強 さ れ て い た が 、CD8aお よぴB220は発 現 し て い な かった 。こ のこ とか ら、 骨髄 細胞 がGM−CSF刺激 によ ってCDllc゛/CDllb゛/

CD8Q−/B220−のBMDCに分化したことが確認できた。

  DCは ナ イ ーブCD4゛T細胞 を強 カに 活性 化す るこ とが 知ら れて いる 。CD4゛T細 胞はDCの MHcuを 介 し た 抗 原 提 示 の みで は 活 性 化 さ れ ず 、 そ の 活 性 化 に はCD80ある いはCD86とい っ た 補 助 刺 激 シ グ ナ ル が 必須 で あ る 。 そ こで 、BMDCをFSL−1お よぴLPSで12、36時 間刺 激し、CD80、CD86ならぴにMHcHの細胞表面での発現を調べた。TLR2十/十由来BMDCでは、FSL―1 およ びLPS刺 激に よりCD80、CD86なら びにMHC IIの 細胞 表面 での 発現 は濃度依存的および 経時 的に 上昇 して おり 、ま た、CDllcの発 現は12時 間刺 激の 時点 では 上昇していたが、36 時間では低下していた。しかしながら、TLR2一/・マウス由来のBMDCの、LPS刺激では同様な 変化 が見 られ たが 、FSL−1刺激 では 見ら れな かっ た。CDllcはDCの貪 食能に関っていると いう 報告 があ り、DCは 活性 化の 初期 の段 階では貪食細胞として機能するが、活性化の後期 では貪食能は失われ、抗原提示細胞として機能することが知られている。したがって、FSL−1 お よ びLPS刺 激に よるBMDC表面 でのCDllcの変 化は 貪食 細胞 から 抗原 提示細 胞に 変化 して いる可能性を示唆している。

  CD4゛T細胞の活性化様式には、マクロファージなどを活性化することで細胞性免疫応答を 引 き 起 こ すThl応 答とB細胞 を活 性化 し抗 体産 生を 促す こと で体 液性 免疫応 答を 引き 起こ すTh2応 答 の2種 類 が 知 ら れて い る 。DCがThlな ら び にTh2応 答 を 誘 導 する ため には それ ぞれIL−12ならびにIL―10の産生が必要である。そこで、TLR2十/十およびTLR2−/―由来BMDCを FSL−1お よ びLPSで刺 激し たと きのTNF‑Q、IL−12なら びにILー10の 産生量 を測 定し た。

その 結果 、TLR2゛ /゛ 由来BMDCでは 、FSL‑1お よびLPS刺 激でIL−12お よぴTNF‑Qの産生が 誘導された。一方、TLR2―/―マウス由来BMDCのFSL−1刺激では、ILー12およぴTNF‑Qの産生 はともに誘導されなかったが、LPS刺激では誘導された。

  以 上 の こ とから 、FSL―1はTLR2依 存的 にBMDCを 活性 化す るこ とが 明らか にな った 。さ ら に 、FSL− 1は BMDCを 活 性 化 し 、Thl応 答 を 誘 導 す る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。

  論 文に っい て概 要が 説明 され た後 、各審査員より、本研究の背景、方法、結果、考察お よび 関連 の研 究に つい て質 問が なさ れた。論文提出者はいずれの質問に対しても明確で的 確 な 回 答 し 、 さ ら に 今 後 の 研 究 に つ い て も 発 展 的 な 将 来 展 望 を 示 し た 。   試 問 の 結 果 、 本 論 文 は 口腔 常 在 菌 で あ るMycoplasma salivarium由 来の りポ ペプ チド (FSL−1)が樹状細胞を活性化しいることをはじめて明らかにした点において新規性が高く、

今後 の歯 科医 学の 発展 にも 大き く貢 献するものと評価した。さらに、学位申請者は、本研 究を 中心 とし た専 門分 野は もと より 、関連分野にっいても十分な学識を有していることを 審査員一同が認めた。

  よ っ て 、学 位申 請者 は博 士( 歯学 )の 学位を 授与 され る資 格を 有す るも のと 認め た。

参照

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雑誌名 博士論文要旨Abstractおよび要約Outline 学位授与番号 13301甲第4306号.