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The Journal of the Japan Academy of Nursing Administration and Policies Vol. 24, No. 1, 52-62, 2020 資料 参加回数の比較による NICU における多施設共同痛みのケア質改善活動の効果 The effe

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The Journal of the Japan Academy of Nursing Administration and Policies Vol. 24, No. 1, 52-62, 2020

資料

参加回数の比較による NICU における

多施設共同痛みのケア質改善活動の効果

The effect of collaborative quality improvement for neonatal pain management in neonatal intensive care units by comparing between attending times

小澤未緒

1)*

 古田惠香

2)

 本村勅子

3)

 廣瀬孝子

4)

 清水聡美

5) Mio Ozawa1) * Keiko Furuta2) Tokiko Motomura3) Takako Hirose4) Satomi Shimizu5)

Key words : Clinical indicator, Collaborative quality improvement, Quality assurance of medicine and nursing,

Quality evaluation of nursing, Quality evaluation

キーワード : 医療・看護の質保証,看護の質評価,質の評価,臨床指標,多施設共同による質改善

Abstract

The purpose of this study was to verify the sustained effect of the collaborative quality improvement for neonatal pain management on neonatal intensive care units (NICUs) by comparing the rate of the implementa-tion rates of the quality indicators (QI) of neonatal pain in NICU between attending first time group (FG, n=5) and attending twice group (TG, n=3). We used the Jonckheere’s trend test or Cochran-Armitage test to exam-ine the changes in QI implementation among both groups over time (ie, at baselexam-ine, 3months, 6months, 9months, 12months), three QIs were significant in the FG and one QI was significant in the TG. At 12 months, the number of QIs which were over 85% of the implementation rate was 10 items in the TG, but same one was one item in the FG. The baseline pain management data from the TG revealed the all NICU in the group had introduced pain assessment tools, and developed electronic medical record forms to capture pain score, interventions, and reassessment infant pain. While only two NICUs among the FG had introduce pain assess-ment tool, no units had developed electronic medical records regarding pain manageassess-ment. This study showed the effect of the collaborative quality improvement for neonatal pain maintained among the NICUs attending second through non-participating period.

要  旨

 本研究は,多施設共同による NICU の痛みのケア改善プログラムに持続的な効果があるか, 1 年半の非参加期間を経て再度参加した NICU(以下 : 2回群 n=3)と初めて参加した NICU(以 下 : 初回群 n=5)の痛みの質指標(12項目)の実施率を比較して検証することを目的とした. 各群で 3 ヶ月毎にデータを収集し参加前から 1 年後に質実施率が増加しているか Jonckheere’s trend test もしくは Cochran-Armitage test for trend で検定した結果,初回群は 3 指標, 2 回 群は 1 指標が有意であった.12指標の内 1 年後の実施率の中央値もしくは割合が85%以上だっ た指標は,初回群は 1 指標, 2 回群は10指標あった.またプログラム参加時の状況として, 2 回群は全ての NICU が痛みの測定ツールを導入し質実施率の算出に必要な痛みの記録書式が電 子カルテに整備されていたが,初回群は未整備でツール導入も2NICU であった. 1 年間の質改 善活動において両群において 1 つ以上の指標で質改善の効果が見られたが, 2 回群は初回群と 比較するとプログラム 1 年後の質実施率が高かった.これは, 2 回群では過去の参加により記 受付日:2019年 9 月 3 日  受理日:2020年 2 月25日

1) 広島大学大学院医系科学研究科 Graduate School of Biomedical & Health Sciences, Hiroshima University 2) 名古屋大学医学部附属病院 Nagoya University Hospital

3) 旭川医科大学病院 Asahikawa Medical University Hospital 4) 日本赤十字社医療センター Japanese Red Cross Medical Center 5) 愛知医科大学病院 Aichi Medical University Hospital

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録書式の整備や痛みの測定ツールの導入などの痛みのケアの基盤となる組織的な取り組みが進 んでいたこと,医療者の知識や経験,改善に伴う変化への抵抗が少ないためと考えられた.

Ⅰ.緒言

 わが国には約380施設の医療機関(総合周産期母子 医療センター約100施設,地域周産期母子医療セン ター約280施設)に Neonatal Intensive Care Unit: NICU(Growing Care Unit: GCU を含む)がある. NICU に入院した新生児は出生直後から救命や治療 に必要な侵襲的な処置を受け,健康な新生児であれ ば経験することのない痛みを数多く体験することと なる.先行研究では,在胎23週の早産児は退院までに 488回の痛みを経験していたこと(Barker & Rutter, 1995)や NICU に入院している新生児は平均16回の足 底穿刺を受けていたこと(Courtois et al., 2016a),静 脈穿刺のやり直しの確率が40%であったこと (Courtois et al., 2016b)が報告されている.

 2000年代以降,脳科学的手法を用いた研究で, NICU で受けた痛みの経験が新生児のその後の脳機 能(Smith et al., 2011)や脳構造(Brummelte et al., 2012)の発達に悪影響を及ぼすことが示唆されるよ うになった.また新生児は侵襲的処置から逃れる力 がない,痛みに対してはっきり反応できるほど体力 がない場合があることなどから看護師は新生児の立 場や痛みの反応の特徴を十分理解し権利を擁護する ことが求められる.このような医療者の倫理的態度 の重要性や痛みの影響への懸念から,国内外で NICU に入院する新生児の痛みの予防と緩和の重要 性が認識されガイドラインが発行されている(Lago et al., 2009; Association of Paediatric Anaestists of Great Britain and Ireland, 2012; 新生児の痛みの軽減 を目指したケアガイドライン作成委員会,2014; Com-mittee on fetus and newborn and section on anes-thesiology and pain medicine, 2016).しかしなが ら,NICU での根拠に基づく痛みのケアの実践は, ガイドラインが発行されただけでは実現できない. 先行研究では,医療者の知識や技術の習得,ポジ ティブな態度や信念などの個人レベルの要因だけで なく,多職種による協働や家族の参加,ポリシーや 手順の有無,医療者が成長する機会の提供,病院全 体による支援体制といった組織レベルの要因がある

ことが明らかとなっている(Byed et al., 2009; Stevens et al., 2011; Latimer et al., 2009).わが国の NICU を対象に2017年に実施されたガイドライン普及に関 する全国調査(小澤ら,2018)においても,認可種 別により推奨の実施の程度が異なっていたことから, 入院患者の特性やその他の組織背景が影響している 可能性が考えられた.  近年,根拠に基づく実践を医療現場に浸透させる 取り組みとして,単施設だけでなく,複数施設から 医療職者チームが集まり,定めた期間においてある トピックについて改善するための方法やアイデア, データなどを共有することを通して学習し実践にい かす多施設共同による質改善の活動が行われている. 過去20年間に発行された64文献の多施設共同による 質改善の報告に関するシステマチックレビューでは, 83%の文献で, 1 つ以上の評価指標で改善が見られ たことが報告されていた(Wells et al., 2018).NICU での痛みのケアに関する報告は,国外では国際的新 生児医療ネットワークが 2 年間実施し12施設が参加 したプロジェクト(Dunbar et al., 2006; Sharek et al., 2006),国内では 7 つの総合周産期母子医療セン ターが約 1 年間(2014年10月~2016年 1 月)参加し た NICU における痛みのケア改善プログラム(Ozawa et al., 2017)がある.これらの報告では,生後48時 間以内に痛みのアセスメントと緩和法を実施する頻 度が実施前よりも実施後に上昇したことや,第 5 の バイタルサインとして痛みを測定する割合が上昇し たこと(Dunbar et al., 2006),痛みの測定ツールの 導入や電子カルテ上の痛みの記録書式の整備,痛み の教育を受けた医療者の増加,12指標の質実施率の 内 7 項目が上昇したことが示されている(Ozawa et al., 2017).  このように,多施設共同による質改善は NICU に おける痛みのケアを改善する有用な手法の 1 つと考 えられる一方で,時間や人手,運営費用がかかる手 法でもあり,参加した施設が担う改善活動の成果が どれくらい継続するのかを検証した先行研究は見当 たらない(Wells et al., 2018).そこで,本研究では 参加時だけでなく非参加の期間でも改善効果が持続

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しているかどうかに焦点を当て,先行研究(Ozawa et al., 2017)で参加した NICU が, 1 年 8 ヶ月の非 参加期間を経て2017年度募集の同プログラムに再度 参加した際,初回参加の効果が持続しているかどう か,初めて参加した NICU の痛みの質実施率と比較 し検討することとした.

Ⅱ.目的

 本研究の目的は,多施設共同による NICU におけ る痛みのケア改善プログラムの効果が継続するかど うか, 1 年半の非参加期間を経て再度参加した NICU (以下: 2 回群)と初めて参加した NICU(以下:初 回群)を比較して検証することである.

Ⅲ.方法

1.調査項目と収集方法  表1に調査項目 (40項目) を示す.先行研究 (Ozawa et al., 2017)ではこれらの調査項目は全て紙媒体で 収集されていたが,本研究では開発した I T システ ム(新生児の痛みのケア改善のためのデータベース, 広島大学,広島)で事前調査,ワークショップ 3 ヶ 月後, 6 ヶ月後, 9 ヶ月後, 1 年後の計 5 回調査行っ た.病院・病棟情報(23項目)は事前調査で入力し た内容が 2 回目以降も自動で反映されるため,変更 があった場合のみ適時修正入力をした.患者情報 ( 5 項目)は NICU および GCU の患者情報で,プロ グラム主催者が 3 ヶ月毎に指定した日を基準として 算出された情報であった.入院患者数および皮膚穿 刺を伴う処置の総数は質実施率の分母となるため, 算出対象とする入院患者数および処置の総数であっ た.入力は各施設の担当者が,施設固有の ID とパ スワードを用いてインターネット経由で IT システ ムにアクセスして行なった.なお,データは既存の 病院情報が集計された二次データであり患者および 医療者の個人情報は含まなかった.また,NICU・ GCU における痛みの質指標(Quality Indicator:以 下 QI)は痛みのケア改善のための取り組みの成果を 時系列で数値として可視化することにより改善の原 動力とすることを目的として開発された12指標(小 澤ら,2014)を用いた. 2.対象と調査方法 1)対象とリクルート  対象は,先行研究(Ozawa et al., 2017)では総合 周産期のみを対象としていたが,本研究では総合周 産期母子医療センターおよび地域周産期母子医療セ ンターに認可されている施設内の NICU・GCU で, 申し込み条件を看護師と医師による痛みのケアチー 表1 調査項目の一覧 病院・病棟情報 (23項目) ①設置主体,②種別,③算定している特定入院料,④ NICU 病床数,⑤ GCU 病床数, ⑥ NICU 看護師の勤務形態,⑦ GCU 看護師の勤務形態⑧ NICU 看護師数,⑨ GCU 看護師数,⑩ NICU の看護方式,⑪ GCU の看護方式,⑫認定看護師数,⑬専門看護 師数,⑭認定看護管理者数,⑮ NICU/GCU 常勤医師数,⑯痛みの記録の導入状況, ⑰痛みの測定ツールの導入状況,⑱疼痛管理の手順の作成状況,⑲痛みの教育の担当 者,⑳疼痛管理に関する組織監査,㉑看護師による採血,㉒足底採血時の穿刺器具, ㉓評価指標として選択する質指標 患者情報 ( 5 項目) ①現在の入院患者数,②過去 1 か月間の入院患者数,③過去 1 か月間の退院実患者数, ④手術件数の割合,⑤入院患者に実施された皮膚穿刺を伴う処置の総数 痛みの質指標 (12項目) ① 第 5 のバイタルサインとして痛みの定期的なモニタリングが実施されている割合 ② 疼痛反応への影響因子が疼痛アセスメントに含まれている割合 ③ 疼痛アセスメントを実施した割合 ④ 非薬理的鎮痛法を実施した割合 ⑤ 気管吸引の必要性に関するアセスメントが実施された割合 ⑥ 侵襲的処置と疼痛緩和法に関する説明を保護者に実施した割合 ⑦ 痛みのケアカンファレンスを実施した割合 ⑧ 医療スタッフが疼痛管理に関する教育を受けた割合 ⑨ 疼痛管理の教育を実施する担当者の有無 ⑩ 疼痛管理に関する計画が入院後48時間以内に作成された割合 ⑪ 疼痛管理の手順の有無 ⑫ 疼痛管理に関する組織監査の有無

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ムでの参加とした.参加回数に関係なく,日本新生 児看護学会のホームページに掲載された本プログラ ムの募集案内を閲覧し募集要項を取り寄せ,病棟看 護管理者と医師の管理者の双方が本研究の趣旨を理 解し共同研究施設となることを書面で同意したNICU・ GCU が参加した.各病棟で医師 1 ~ 2 名,看護師 2 ~ 3 名が自薦・他薦で選ばれ所属病棟での痛みの ケアのリーダーとして痛みのケア改善の取り組みを 担った.リーダーは,本プログラムを受講する前提 として,NICU における痛みのケアに必要な系統的 知識を修得し,他者への説明や実践に応用できるよ うになることを目的とした「NICU における痛みの ケア研修会」(横尾,小澤,2017)に参加することを 条件とした. 2)プログラムの構成およびスケジュール(図1 )  本プログラムは米国医療改善研究所の Collabora-tive Quality Improvement Model(Institute for Healthcare Improvement, 2003)を基に下記の 4 つ の内容で構成した 1 年半単位のプログラムである. (1) 自施設の現状および課題の把握(2017年10~12月)  リーダーは,ワークショップまでに自施設におけ る痛みのケアの課題,課題の要因,課題を改善する ための方法や計画の 3 点について痛みのケアチーム で自由に検討し,その結果を組織分析シート(参加 前)にまとめた. (2)ワークショップの開催(2018年 1 月: 1 日間)  ワークショップは新生児の痛みのケアの質改善に 必要な基礎的知識に関する講義や討議で構成した. 図 1  プログラムの構成およびスケジュール

図1 . プログラムの構成およびスケジュール

(1000 ⽂字)

Ⅰ. ⾃施設の現状および課題の把握(事前調査)2017年10-12⽉ ・組織分析シートの作成 ・⽣後48時間の痛みの回数 ・質実施率 Ⅱ. ワークショップ(1⽇間)2018年1⽉ ・看護師・医師のリーダー32名参加 ・病棟での教育⽅法 ・参加施設間での事前調査の共有および情報交換 ・⾃施設の改善計画の検討 Ⅲ. 改善活動(1年間)2018年2⽉〜2019年1⽉ ・3ヶ⽉毎の質実施率の算出(2018年4⽉・7⽉・10⽉・2019年1⽉) ・3ヶ⽉毎の改善計画の⾒直し ・中間報告会(2018年11⽉)

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ワークークショップの内容を表2に示す.「改善計画 の立案と改善プロセスの実際」の講義の中で,自施 設の現状把握を行う際に,施設背景,資源,病棟風 土,Q I 実施率を把握すること,自施設の痛みのケ アの課題や要因を計画として整理する際に,複数の 課題がある場合は課題間での要因の関連性や重複を 検討し,優先して改善すべき課題を把握すること, 改善目標を設定する場合は, 1 年後の長期目標(Q I 実施率の具体的目標値)を立て,四半期毎の短期 目標を設定していくこと,目標達成のための方法を どのようなスケジュールで実施していくかの年間計 画を立案することなど,具体例を示しながら解説し た.各施設のリーダーは「自施設の課題と改善計画 の検討」の討議の時間に事前に行った現状把握の見 直しを行い,課題の優先度について検討しワーク ショップ後に改善分析シート(表3)を作成した. (3)自施設の課題の抽出と改善(2018年 2 月~2019 年 1 月: 1 年間)  各施設のリーダーが自施設における痛みのケアの 課題を抽出しエビデンスに基づくケアに近づけるた 表2 ワークショップの内容 時間 方法 内容 8 :30~ 8 :40 10分 担当者挨拶・オリエンテーション 8 :40~ 9 :15 35分 講義 痛みのケアの改善と評価指標 9 :15~10:15 60分 講義 参加施設の現状調査結果 10:15~10:25 10分 休憩 10:25~11:15 50分 講義 課題を改善するための方法 11:15~12:00 45分 討論 院内スタッフへの教育方法 12:00~13:00 60分 昼休憩 13:00~14:00 60分 講義 改善計画の立案と改善プロセスの実際 14:00~14:30 30分 討論 リーダーの役割 14:30~14:40 10分 休憩 14:40~15:25 45分 討論 自施設の課題と改善計画の検討(施設単位) 15:25~15:40 15分 発表 各施設の発表 15:40~16:00 20分 今後のプログラムの進め方・挨拶 表3 ワークショップ後の改善分析シート 自施設における疼痛管理に関する課題と改善の優先順位は? 課題 1 課題 2 課題 3 課題 4 課題 5 課題 1 の要因 課題 2 の要因 課題 3 の要因 課題 4 の要因 課題 5 の要因 課題 1 を改善の改善目標と目標達成のための方法・時期 長期目標 短期目標

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めの取り組みを Plan-Do-Study-Act(PDSA)を回し ながら繰り返した.改善指標は自施設の課題に見 合った指標を痛みの QI(表1)の中から選択した. 改善計画は,四半期毎のデータ収集後に改善状況の 結果を確認し毎回見直しを行ない四半期毎の改善分 析シート(表4)に記入された.本研究でデータ収 集に利用した IT システム(新生児の痛みのケア改 善のためのデータベース)は,データ入力期間後に 各 QI の自施設の時系列グラフ,他の NICU と比較 したグラフや数値を見ることができる.参加者は所 属する NICU の改善状況の把握や,他の NICU と比 較して自施設の痛みのケアの質がどのレベルにある かを数値として客観視でき,その結果を踏まえて四 半期毎に改善分析シートを作成していた.四半期毎 に見直した計画はプログラム主催者に任意で提出し 希望があれば E メールでフィードバックを受けた. (4)改善を支援する外部リソース  新生児の痛みのケアに関する専門家による改善活 動のアドバイスや参加者での情報交換により自施設 の改善計画の参考になるような支援体制を整えた. 任意参加として,ワークショップ後 9 ヶ月間の質実 施率の変化と取り組みについて,第28回日本新生児 看護学会にて公開方式で中間報告会を実施し参加者 間および学術集会参加者との情報交換を行った. 3.解析方法  データベースから得られたデータを用いて各施設 の質実施率を確認し各回の中央値(最小値-最大値) を各群で確認した.各群で参加前から 1 年後に QI 実 施率が増加しているかについて Jonckheere’s trend test もしくは Cochran-Armitage test for trend で検

定を行った.また, 2 群のプログラム終了時の実施 率の比較のために,12項目の痛みの質指標について 各群の 1 年後の実施率の中央値または割合が85%以上 の項目数がいくつあるか算出した.解析ソフトはIBM SPSS Statistics 20.0 for Windows(IBM, Armonk, NY, USA)および JMP Pro14 for Mac(SAS Insti-tute Inc., Cary, NC, USA)を用いた.

4.倫理的配慮  本プログラムは患者を介入対象とした研究でない ため,患者(保護者)への直接的な研究説明や同意 取得は必要ないが,共同研究施設の病棟入り口にポ スターを掲示し,電子カルテ上のデータを利用する ことを拒否できることを保証した。また,研究代表 者が公表する際に参加施設におけるリーダーが識別 される方法で報告されることはないこと,施設名と 結果を紐付けて報告することはないことを保証した。 各施設での取り組みの具体的内容や改善の成果につ いては各共同研究施設が公表できることを保証した。  本研究は広島大学および共同研究施設の倫理審査委 員会の承認を得て実施した(許可番号:第 E-811-2).

Ⅳ.結果

1.参加施設  参加した 8 施設の設置主体の内訳は地方独立行政 法人 3 ,国立大学法人 2 ,学校法人 2 ,公的医療機 関 1 であり,本プログラムへの参加が初めての5NICU (初回群)と 2 回目の参加の3NICU( 2 回群)であっ た.全 NICU が新生児特定集中治療室管理料 1 を算 表4 四半期毎の改善分析シート 課題 1 課題 1 の改善計画の実行状況 課題 1 の改善計画の効果についての考察(QI データの解釈を含む) 課題 1 の改善計画修正の必要性(該当箇所に○をつける) ・なし(現行計画続行) ・あり(修正部分を下記に記載) 課題 1 の改善計画の修正 注)課題 2 以降は同じ内容

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定し, 1 施設当たりの病床数の中央値(範囲)は NICU15(9-51),GCU30(9-44),NICU看護師数の 中 央 値 は NICU37(24-110),GCU36(16-44)で あった.表5に施設背景の群間比較を示す.選出さ れた痛みのケアのリーダーは30名(看護師20名医師 10名)で,ワークショップには各施設の痛みのケア のリーダー27名(看護師20名医師 7 名)および看護 管理者 2 名が参加した.看護管理者のワークショッ プへの参加は任意であった.プログラム参加時にガ イドラインで推奨されている痛みの測定ツールを使 用していたのは,初回群が2NICU, 2 回群が全ての NICU であった.プログラム開始時に QI 実施率の算 出に必要な項目が含まれた痛みの記録の書式が電子 カルテに整備されているかについては,初回群は 0NICU, 2 回群は全ての NICU であった.初回群に おいては,終了時までに全 NICU で痛みの測定ツー ルの導入と痛みの記録書式が電子カルテ上に整備さ れた. 1)参加施設が選択した痛みの質指標  参加施設が PDSA サイクルを 1 年間実施する上で の改善指標として選択した QI を表6に示す.QI 実 施率の算出対象となった患者数は第 1 回調査184名 (初回群123名, 2 回群61名),第 2 回200名(初回群 120名, 2 回群80名),第 3 回252名(初回群139名, 2 回群113名),第 4 回238名(初回群108名, 2 回群 130名),第 5 回260名(初回群131名, 2 回群129名) だった.また,QI 実施率調査日における処置数は第 1 回調査150(初回群78, 2 回群72),第 2 回124(初 回群79, 2 回群45),第 3 回164(初回群80, 2 回群 84),第 4 回165(初回群63, 2 回群102),第 5 回144 表5 施設背景 初回群,N= 5 2 回群,N= 3 p 認可種別(総合),n(%)  3(60)  3(100) 0.464a NICU 病床数,中央値(範囲) 15(9-36) 12(9-36) 1.000b GCU 病床数,中央値(範囲) 30(9-44) 24(24-30) 0.762b NICU 勤務形態( 2 交替制),n(%)  4(80)  2(67) 1.000a GCU 勤務形態( 2 交替制),n(%)  4(80)  2(67) 1.000a NICU 看護師数,中央値(範囲) 33(22-74) 34(26-110) 0.765b GCU 看護師数,中央値(範囲) 27(16-44) 34(25-43) 0.880b NICU 看護方式(PNS),n(%)  1(20)  2(33) 0.464a GCU 看護方式(PNS),n(%)  1(20)  2(33) 0.464a 新生児集中ケア認定看護師数,中央値(範囲)  2(1-3)  2(0-4) 1.000b 専門看護師数,中央値(範囲)  0(0-1)  0(0) 0.605b 認定看護管理者数,中央値(範囲)  0(0-1)  0(0) 0.605b 常勤医師数,中央値(範囲)  8(4-15)  8(8-15) 0.644b 看護師による採血(有),n(%)  2(40)  2(67) 1.000a 穿刺器具(全自動型),n(%)  3(60)  2(67) 1.000a 測定ツールの使用,n(%)  2(40)  3(100) 0.196a 痛みの記録書式,n(%)  0(0)  3(100) 0.017a a Fisher の正確検定,b Wilcoxon 検定,PNS:パートナー・ナーシング・システム 表6 参加施設が選択した痛みの質指標 施設 QI A B C D E F G H 計 1 第 5 のバイタルサインとして痛みの定期的なモニタリングが実施されている割合 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 7 2 疼痛反応への影響因子が疼痛アセスメントに含まれている割合 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 7 3 疼痛アセスメントを実施した割合 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 8 4 非薬理的鎮痛法を実施した割合 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 8 5 気管吸引の必要性に関するアセスメントが実施された割合 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 5 6 侵襲的処置と疼痛緩和法に関する説明を保護者に実施した割合 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 6 7 痛みのケアカンファレンスを実施した割合 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 6 8 医療スタッフが疼痛管理に関する教育を受けた割合 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 8 9 疼痛管理の教育を実施する担当者の有無 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 8 10 疼痛管理に関する計画が入院後48時間以内に作成された割合 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 5 11 疼痛管理の手順の有無 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 8 12 疼痛管理に関する組織監査の有無 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 7 注)A ~ C は 2 回群,D ~ H は初回群

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(初回群64, 2 回群80)であった.手術件数の割合 (入院患者のうち手術後に直接病棟に患者の割合)の 平均は第 1 回調査(初回群 0 %, 2 回群34%),第 2 回124(初回群 2 %, 2 回群22%),第 3 回164(初回 群 3 %, 2 回群32%),第 4 回165(初回群 4 %, 2 回群29%),第 5 回144(初回群24%, 2 回群 8 %) であった. 2)参加回数と QI 実施率の関連  各群の QI 実施率の推移を表 7 に示す.参加前か ら 1 年後に QI 実施率が統計学的に有意に増加した のは,初回群は 3 指標(QI3, 8, 11), 2 回群は 1 指 標(QI8)であった.12指標の内, 1 年後の実施率 の中央値もしくは割合が85%以上だった数は,初回 群は 1 指標(QI9), 2 回群は10指標(QI2, 3, 5, 6, 7, 8, 9, 19, 11, 12)あった.

Ⅴ.考察

 本研究の結果より,両群において 1 つ以上の QI で 1 年間の実施率が統計学的に有意な上昇が見られた. また,初回群と比較すると 2 回群は,プログラム参 加時点で質実施率が高い傾向にあり, 1 年後の時点 で高い質実施率を達成する傾向にあることが示され た.これまで,多施設共同による質改善手法を用い たプログラムに関する長期的効果について検討した 先行研究はなく,本研究の結果は一定の示唆を得る ものとして意義あることと考える. 1.施設背景の違い  今回,参加時点の施設背景で初回群と 2 回群で異 なっていたのは,痛みの記録書式の導入状況であっ た(表5).本プログラムに参加した施設は,質実施 率の算出のために記録書式を電子カルテ上に整備す る必要性に迫られる. 2 回群は QI 実施率算出のた めの記録書式を前回参加した際に整備しその記録を 非参加期間においても継続して使用していたため, 本プログラムでの事前調査での QI 実施率を算出す るためのデータがすぐに得られる状況であった.一 方,初回群は参加時に全ての NICU が痛みの記録書 表7 参加回数別による QI 実施率および有無の推移a QI 群b 3 ヶ月後 6 か月後 9 ヶ月後 1 年後 pc 1 初回2 回 0(0-7.7)77.8(40-96.9) 80(76.9-88.2) 58.1(53.3-76.2)0(0) 0(0) 0(0)81.8(60.3-100) 81.8(81.1-100) 0.31029.4(0-46.7) 0.276 2 初回 8.3(0-16.7) 16.7(0-33.3) 16.3(0-12.5-20) 25(0-50) 67.6(35.3-100) 0.079 2 回 31.3(0-74.4) 50(0-90.9) 78.6(21.1-100) 100(69.2-100) 94.1(48.6-100) 0.052 3 初回2 回 0(0-100)46.2(12.5-74.4) 90.9(50-100)8.3(0-100) 20(0-66.7)42.9(21.1-92.3) 50(0-75)93.9(69.2-100) 94.1(40.5-100) 0.14050(22.2-100) 0.032 4 初回 9.1(0-87.5) 8.3(0-100) 26.4(0-66.7) 35.7(0-75) 50(0-100) 0.067 2 回 46.2(6.3-74.4) 90.9(55-100) 50(21.1-92.3) 81.8(69.2-100) 47.1(43.2-100) 0.509 5 初回2 回 33.3(0-100)100(66.7-100) 100(83.3-100) 100(0-100)50(0-100) 50(0-100) 60(20-100)100(25-100) 50(0-100)100(80-100) 0.8631.000 6 初回 0(0) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0) 1.000 2 回 0(0-96.9) 0(0-97.1) 0(0-96.7) 45.8(0-100) 100(77.3-100) 0.067 7 初回2 回 0(0)0(0-96.9) 0(0)0(0-94.1) 0(0)3.2(0-93.3) 0(0)20.8(5.5-100) 90.9(1.4-100)0(0) 1.0000.134 8 初回 6.1(0-54.9) 11.9(0-60.8) 61.9(6.6-100) 58.7(6.6-100) 64.1(6.6-100) 0.007 2 回 0(0) 0(0-12.1) 8.6(12.1-34.4) 12.1(0-89.7) 86.7(72.1-89.4) 0.004 9 初回2 回 80.0100.0 100.0100.0 100.0100.0 100.0100.0 100.0100.0 1.000 10 初回 0.0(0) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0) 1.000 2 回 0(0-100) 20(0-97.1) 23.8(14.5-100) 79.2(16.4-100) 90.9(12.2-100) 0.218 11 初回2 回 0100 0100 20100 40100 60100 0.008 12 初回 40 50 75 75 75 0.187 2 回 66.7 66.7 66.7 100 100 0.171

注)a 表中の値は QI1-8 および10は中央値(範囲)QI9, 11, 12は実施した施設の割合;b 初回群は QI5, 9(n=2),QI6, 7(n=3),QI1, 2, 12

(n=4); QI3, 4, 8, 9, 11(n=5), 2 回群は全ての QI(n=3); c p 値は QI1-8および10は Jonckheere’s trend test,QI9,11, 12は

(9)

式がなく QI 実施率を算出するための記録データ自 体がなかったため事前の QI 実施率が 0 %となって いた.新生児の痛みの反応や実施した緩和法や効果 を記録することは,わが国のガイドラインでも推奨 されているが,初回群と同様に実際に記録書式を電 子カルテに整備していない NICU は多い.全国調査 (小澤ら,2018)によると,この推奨を実施している と回答したのは,総合周産期母子医療センター34.6%, 地域周産期母子医療センター21.7%であった.本研 究において QI 実施率算出に必要な記録内容は,痛 みの強さの測定結果,緩和法の実施の有無,保護者 への説明内容,多職種での痛みのカンファレンスで 検討した結果などであり(小澤ら,2014),痛みの記 録として特殊なものでなく看護記録として必須の内 容と考えられる項目であった.  看護記録は情報共有,法的な保護,継続ケア,教 育や研究の資料,ケアの質の評価(日本看護協会, 2018)など看護職者,新生児・保護者双方にとって 意義あることである.特に,新生児の痛みのケアに おいては,対象者自らが言葉で痛みの経験を語るこ とができないことから,痛みの経験に立ち会う看護 職者が記録に残すことは個別的な痛みのケアを計画 していく上での情報源として重要である.国外の研 究(Carpentier et al., 2018)では,NICU 内で実施 した痛みのアセスメントトレーニングプログラムの 評価として,看護記録を監査したところ,痛みのア セスメント実施率がトレーニング前と比較して上昇 しており,実施12ヶ月後まで維持されていたことを 報告している.このように,痛みの記録は新生児の 痛みの経験を医療者間で共有し個別的なケア計画に 活用する手段だけでなく,医療者への教育効果を検 証できる重要なデータであることが理解できる. 2. 1 年後の QI 実施率の違い   1 年後の QI 実施率の中央値もしくは割合が85% 以上だった数は,初回群は 1 指標, 2 回群は10指標 で初回群と比較すると 2 回群は高い実施率を達成し ていた(表7).特に QI6(侵襲的処置と疼痛緩和法 に関する説明を保護者に実施した割合),QI7(痛み のケアカンファレンスを実施した割合),QI10(疼 痛管理に関する計画が入院後48時間以内に作成され た割合)については,初回群が 1 年後も 0 %であっ たにも関わらず, 2 回群ではいずれも90%を超えて おり大きな差があった.QI10の実施率が低い原因は 前述した記録書式の未整備と考えられる.QI6や QI7 に関連する家族との子どもの痛みのケアの協働や多 職種での痛みのケアの検討は,ガイドライン(新生 児の痛みの軽減を目指したケアガイドライン作成委 員会,2014)発行以降,その重要性が認識されわが 国の NICU においても普及しつつあるが,十分とは 言えない(Ozawa, 2019).わが国の NICU では「子 どもの処置に付き添う親の心理的身体的負担への配 慮」や「処置を行う医療者の緊張の緩和」を考慮し て多くの施設で「医療的処置には親は付き添わない」 方針が採られているため,親はわが子が NICU でど んな痛みの経験やケアを受けているか十分知らない ままでいることも珍しくない.NICU にわが子が入 院した日本の母親106名を対象とした質問紙調査(横 尾,小澤,2016)では,78%の母親が「痛みを伴う 処置が行われる場合わが子のそばに付き添っていた いか」という質問に対し「はい」と回答していたが, 「わが子が経験している痛みに対して看護師や医師は 何かしてくれたか」という質問に対し「はい」と回 答したのは56%にとどまった.  一方で,先行研究ではエビデンスに基づいた痛み のケアの阻害要因として,医療者の変化することへ の抵抗や十分な経験や訓練の不足(Cong et al., 2013; Byed et al., 2009; Stevens et al., 2011)が明らかに なっている.NICU における新生児の痛みのケアの 家族との協働には,多職種で家族や新生児の個別性 に沿った支援が求められる.医療者の知識や経験が 不足している状況であれば,取り組むべき優先課題 として医療者の教育が優先され,家族支援や多職種 カンファレンスの優先度は低くなる傾向になると考 えられる.初回群においては,参加時点の QI 実施 率が 0 %であった指標が多く,本研究で設定してい た改善期間 1 年間での優先課題として家族や多職種 との協働が低かったために, 1 年後の QI 実施率が 変化しなかったことが推察できる.また 2 回群にお いては非参加期間を経ても医療者の知識や経験,痛 みのケアに関する方針や手順などが蓄積され,改善 サイクルを回して変化することの抵抗が少なく 1 年 後に高い実施率を得ることができたのではないかと 考える.

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3.多施設共同によるケア改善  参加前から 1 年後の約 1 年半の時系列変化の結果 では,両群において 1 つ以上の QI 実施率の上昇が 統計学的に有意に認められ(表7),多施設共同によ る NICU における痛みのケア改善プログラムは,参 加回数によらず一定の効果があることが示唆された. 単施設で痛みのケア改善に取り組むことも可能であ るが,本プログラムに参加することで共通の指標を 用いて IT システム(新生児の痛みのケア改善のた めのデータベース)を通して時系列変化を可視化で き,他施設と比較して自施設の状況を定期的に把握 することができたことは,自施設の改善サイクルを 回していく上で有用であったのではないかと考える. わが国の NICU における痛みのケアに関して外部機 関が提供しているデータベースにより,看護ケアを 向上させていく機会は少ない.本研究では,痛みの ケアに特化したデータベースでデータを共有できた ことに加え,ワークショップや中間報告会で他施設 の痛みのケアのリーダーと直接的に情報共有や交流 ができたことが自施設の改善のモチベーション維持 につながったのではないかと考える.  また,本プログラムは看護師と医師の両職種の管 理職が参加することに同意した上で参加しており, 病棟管理者による理解や実際的な支援を受けながら 改善活動できたことも改善の推進力となったと考え る.さらに痛みのケアのリーダーが看護師と医師の 複数名で構成されていたことから,痛みのケアに関 わる職種で業務の効率化や改善を検討できたことも 大きい.多職種との協働や医療者が成長する機会の 提供,管理者からの支援はエビデンスに基づく痛み のケアの促進要因であることが報告されていること から(Byed et al., 2009; Stevens, 2011; Latimer et al., 2009),本研究の結果と矛盾していない.このよ うに,多施設共同によるケア改善は,多施設で統一 したデータを共有し看護の水準を全体として向上さ せていくことができる手法として有用であると考え られる. 4.本研究の限界と今後の課題  本研究の限界として,アウトカムである QI 実施 率は,各施設が改善目標として選択した QI 項目で あること,QI 実施率算出のためのデータ収集は各施 設の痛みのケアのリーダーが電子カルテ上から収集 しており,データの信頼性は参加施設の担当者に依 存していることが挙げられる.また QI 実施率の変 化が具体的にどのような課題や改善計画に基づいて 変化したかについての検討が不十分であった.本研 究では組織・改善分析シート,各 NICU と研究者の 相互交流,ワークショップや中間報告における参加 者同士の討議内容などの QI 実施率の変化を裏付け る質的なデータとなり得る項目については,改善し ていくためのヒントを得たり計画を実行していくた めのツールと位置付けていたため,参加施設全体の QI 実施率の変化との関連を検証する分析はできな かった.看護管理上の示唆をさらに得るためにも, 参加したそれぞれの施設において QI 実施率の変化 と改善のために行った具体的取り組みについて検証 していくこと,参加施設全体の結果に対して共通す る要因がないか,調査項目に質的データを加え検証 していくことが今後の課題である.

Ⅵ.結論

 多施設共同による NICU における痛みのケア改善 プログラムの効果として,両群において 1 つ以上の QI 実施率の上昇が統計学的に有意に認められ参加回 数によらず一定の効果があることが示唆された。ま た 1 年 8 ヶ月の非参加期間を経ても,以前に参加し た NICU は初めて参加した NICU よりも期間を通し て高い QI 実施率を達成しており,多施設共同によ る NICU における痛みのケア改善プログラムの効果 が長期的に継続していたことが示唆された. 謝辞:本研究にあたり,プログラムに参加ください ました施設の NICU 看護師・医師の皆様に心より感 謝申し上げます. 本研究は第29回日本新生児看護学 会にて発表した内容の一部を加筆・修正したもので, JSPS 科研費 JP25713066,JP17H05108の助成を受け たものです. ■引用文献

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