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大阪都構想住民投票における人口統計学的要因

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大 倉   健

大阪都構想住民投票における人口統計学的要因

Demographic Factors in Voting Behavior at Osaka Metropolis Plan Referendum

(2)

就実論叢 第49号(2019),pp.127-136

大阪都構想住民投票における人口統計学的要因

Demographic Factors in Voting Behavior at Osaka Metropolis Plan Referendum

OHKRA Ken

倉   健(経営学部経営学科)

大阪都構想住民投票における投票行動の原因について、選挙区レベルでの人口統計学的デー タを用いて分析した。高齢者の現状維持への固執という一部の俗説は、選挙区の平均年齢の 高さと改革案への反対票率の強い相関によって一見正しく見えるが、実際にはそれら2つの 要因ともに、新規移住者の流入という第3の要因によって引き起こされた結果であり、両者 の関係は見かけ上の疑似相関であることが示される。改革案に賛成票を投じた有権者の多く は、市政に関する既存の価値観や利害関係に縛られない新規の移住者であり、反対票を投じ たのは長くその土地に暮らす住民たちであった可能性が高い。それは年齢という心理的要因 ではなく、居住年数の長さという社会的な要因によるものである。

キーワード:大阪都構想、投票行動、シルバーデモクラシー、デモグラフィー、組織変革

2015年5月におこなわれた大阪市特別区設置住民投票(通称、大阪都構想住民投票)は、

有権者数約214万人、日本の政治史上最大の住民投票であった。大阪市を制度的に解体する という変革的な内容もさることながら、その推進者である日本維新の会代表・橋下徹の一連 の政治的行動とそれに対立する既存の団体・政党との摩擦がかねてから大きな注目を集めて きたこともあり、この住民投票は大阪という地域を超えた全国の関心事となった。結果とし ては賛成49.6%、反対50.4%の僅差により否決されたが、直後に発表された出口調査にもと づく報道

は、選挙後にさらにまたもうひとつの物議を醸すことになった。それは、20代か ら60代の投票者においては賛成票が反対票を上回っていたにもかかわらず、70代以上におい てのみ反対票が上回っていたということであり、この事実が報道されるや、この数字をもっ てあたかも高齢者による反対票が改革案の敗北を決定づけたかのようなミスリーディングな 解釈が一部のマスメディアにおいて紹介され

、そうした言説への肯定・否定の意見がイン ターネット上の幾多の著名人や評論家のブログ、SNS などにおいて盛んに議論される事態 となった。

実際に年齢の高い投票者ほど改革案に反対する傾向にあったのかという問題については、

1 朝日新聞,2015年5月17日.

2 ライブドアニュース,2015年5月17日.

(3)

上記の出口調査の結果のみについていえば、20代から60代の合計人口と70代以上の人口の比 を考えるとありそうにもない主張と思われるものの、その一方で、選挙区レベルでの人口統 計的学的データを用いた分析では、高齢者の比率と反対投票数の割合には正の相関があり、

部分的にでもそうした主張が支持されるような結果が得られている(瀬尾,2015;塩沢,

2016)

しかし、本論で説明するように、同じように選挙区レベルでの人口統計的学的データを用 いてより詳細に分析すると、1)選挙区の平均年齢の高さは確かにその地域での反対票率と 強く相関するものの、地域の平均年齢はその土地への人口流入という別の人口統計学的要因 を原因とする現象であり、2)さらに、この人口の流入は、住民の既存の利害関係への関係 の強さを規定することを通じて、改革的な政治プランに対する賛成/反対の態度に影響する 独立の要因となりえる。それゆえ、3)年齢と投票行動との相関は、ともにこの第三の要因

(新規移住者の転入)によって生じる疑似的な相関であることが示唆される。

本論ではまず、投票者たちが都構想案のメリット、デメリットを十分に理解して支持・不 支持の態度を決定したことを確認した上で、そうした変革的なプランを支持・不支持する理 由として有権者個々人のどのような属性が影響すると考えられるのか検討する(第1節)。

組織論研究からの知見によれば、変革的なプランへの態度は、個人の年齢とともに、その組 織への所属年数(テニュアー)によって影響される(第2節)。本論では、選挙区レベルで の人口統計学的データを用いて、選挙区における有権者の平均年齢の高さ、および、新規移 住者の割合という要因に着目し、それらが投票結果に対してもつ関係を検証した(第3節)。

最後に、この分析から得られる一般的な知見についても考察した(第4節)。

1 .有権者による都構想案の理解と、それを支持する要因

大阪市特別区設置住民投票とは、大阪市を廃止して5つの特別区へと解体し、これまで市 が担ってきた各種の権限や予算を府に移譲するという改革案の是非を、住民の直接投票に委 ねるものだった。この案を主導した橋下徹・日本維新の会代表は、2008年の当選以来、府の 予算1100億円の削減を掲げるなど、府政の効率化を進めるための各種のドラスティックな方 策を提唱し、それによって大阪という地域の活性化を図ることを主眼に掲げてきた。

本論はこの政治的主張そのものの妥当性や価値判断について議論するものではない。むし ろ重要な点は、住民がそうした都構想案の変革的な内容を十分に理解し、自分たち個々人の 生活に真実関連のある問題として考え、投票したのかという点である。というもの、投票率 67%という異例に高い水準の投票率は、都構想案の内容の変革性そのものだけでなく、橋本 らとその反対者とのし烈な対立が連日のようにメディアを通じて喧伝されたことに起因する 面もあると思われるからである。実際、「改革派 対 守旧派」という明確な対立構造そのも

3 2つの研究における分析は単純回帰による簡易的なものである。

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大阪都構想住民投票における人口統計学的要因

のが、市民の関心を得るために作り出された一種の戦略的な政治的行動の結果であるという 側面もあるのかもしれない。

そうした観点から、善教(2018)は、そうした戦略的な政治的行動によって関心を高めら れたともとれる有権者たちの反応が、理性的な判断を欠く一種のポピュリズムと呼ばれる現 象であるのか、それとも、一定の合理的な理解にもとづく行動であるのかという問題につい て詳細に研究した。それによれば、有権者らは改革案のメリット、デメリットについてかな りの程度の知識を有していたことが示唆されている。つまり、投票者たちは漠然とした熱狂 的雰囲気や人気、印象に煽られて投票したのではなく、改革が自分たちの生活に及ぼす影響 を理解した上で、その支持・不支持についての態度を決定したのである。

それでは、その意思決定が何らかの市民の個々の属性によって影響されたとするならば、

それはどのようなものだったのだろうか。ここで、ふたたび、「シルバーデモクラシー」に ついての論議を引き起こす元になった出口調査の結果を報じた記事を引用する。

今回の住民投票で、朝日新聞社と朝日放送(ABC)は17日、投票を済ませた有権者 を対象に出口調査を実施した。賛成は20~30代にとりわけ多く、反対は70歳以上に多かっ た。全体では男性の59%が賛成だった。賛否の理由として最も多かったのは、賛成が「行 政の無駄減らし」、反対が「住民サービス」だった。

年代別にみると、とくに賛成した人が多かったのは20代(61%)と30代(65%)。40 代(59%)、50代(54%)、60代(52%)も賛成が過半数を占めた。一方、70歳以上は反 対が61%で賛成を上回った。

大阪市内での居住年数別では、賛成は5年以内(67%)、5年以上10年未満(69%)、

10年以上15年未満(62%)、15年以上20年未満(61%)で6割を超えた。

支持政党別でみると、維新支持層は賛成が97%に達した。「都構想」に反対していた 各党のうち、自民支持層は反対が58%だったが、賛成が42%にのぼった。公明支持層は 反対79%、賛成21%、共産支持層は反対88%、賛成12%。無党派層は反対が52%、賛成 が48%と拮

きっ

こう

した。

賛成に投票した人が挙げた理由で最も多かったのは「行政の無駄減らしの面」で41%

を占めた。次に多かったのが「大阪の経済成長の面」で31%だった。

一方、反対に投票した人が挙げた理由で最多は「住民サービスの面」で36%。次に「橋 下市長の政策だから」が26%と続いた。橋下市長を「支持しない」と答えた人の94%が 反対票を入れたことと合わせると、都構想に対する評価とともに、橋下市長への評価が 投票行動を左右した様子が浮かんだ。

調査は大阪市内60カ所の投票所で実施した。有効回答は2625人

4 朝日新聞,同上、全文.

(5)

前述のとおり、 「シルバーデモクラシー」の論議を引き起こしたきっかけは、上記引用文の、

年代別の賛成者の比率が世代の年齢が高くなるにつれて下がるという結果の部分が報じられ たことだった。確かに、賛成率(%)は、20代と30代を頂点として、20代(61%)、30代(65%)、

40代(59%)、50代(54%)、60代(52%)70歳以上(49%)と低下する傾向にある。

一方、同じ出口調査の「居住年数別」についての部分は、全く話題にはならなかったもの の、ひとつの興味深いパターンを示している。賛成が5年以内(67%)、5年以上10年未満

(69%)、10年以上15年未満(62%)、15年以上20年未満(61%)というように、居住年が高 くなるにつれて賛成率が低下する傾向がみてとれる。ただし居住年数20年以上については言 及されていない。

出口調査の統計学的な信頼性という問題に加えて、この大まかな結果の報告では確かな議 論はできないが、年齢の高さと居住年数の長さは個人において自然に相関するが、独立にも なりえる点に注意したい。たとえば、壮年期の移住者のような場合である。それゆえ、居住 年数の支持率への影響もまた年齢と独立に作用する可能性がある。

上記の賛成に投票した人の理由には、「行政の無駄減らし」といった理由が挙げられてい るが、居住年数と賛成率との間に関係があったとすれば、それは、新規の移住者にとって、

市政において過去から行われてきた活動への資源投入が「無駄」に見えていたということを 意味する。彼らがそのように思うのは、その居住年数の短さにより、行政の既存の活動から 便益を得た経験がないからであろう。逆に、居住年数の長い人々からすれば、自分たちはこ れまで特定の政治家や政党への支持を通じてそれらの既存の活動を支持してきたのであり、

その便益を享受してきたという経験がある。実際、支持政党別の賛成率をみても、過去から 市政を支えてきた歴史をもつ既存政党の支持者は反対票を投じる率が高い。

このように考えると、住民の属性においては、年齢という心理学的な要因ともに、その土 地における居住年数という社会学的な要因が投票行動に与えた影響を検証する必要があると 思われるのである。

2 .仮説:年齢と所属年数が変革的な意志決定に及ぼす影響

こうした問題を考える上で、本論では、変革的なプランに対する組織成員の態度というテー マを扱った組織論研究の知見を、仮説に援用してみたい。

2 - 1 .組織論研究からの知見

組織論研究の分野では、市場競争という変化に富む環境下で活動する企業がひとつの主な 研究対象であることから、変化に適応するための組織変革を促す要因について多く研究され てきた。

なかでも本論との関連において参考となるのが、企業経営陣の人口統計学的特性(デモグ

ラフィー)が企業行動に与える影響について研究したトップマネジメントチーム研究と呼ば

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大阪都構想住民投票における人口統計学的要因

れる分野である(Finkelstein, 2009)。

企業成員の大多数は「従業員」であり、市民のような「主権者」ではないから、通常の組 織論研究から民主主義的な投票行動について直接的な示唆を得ることは難しい。この点にお いて、企業の役員らは、必ずしも民主的に意思決定をしているとは限らないものの、すくな くとも現場レベルでの「命令原理」と異なる「合議的」な意思決定プロセスの体裁をとって いる。とくに、新規事業や事業撤退など全社レベルでの大きな変革的意思決定には常に経営 陣の合議を必要とする。

また、経営陣には企業生え抜きの幹部たち(インサイダーズ)が存在する一方で、企業外 部から派遣、招聘されて加入する幹部たち(アウトサイダーズ)も存在する。経営幹部は一 般的にはある程度高い年齢層の中に偏る傾向にあるが、その組織への帰属年数(テニュアー)

は個々人において大きく異なっており、そうした特性におけるデモグラフィーの違いが意思 決定に及ぼす影響という点でも、本論の関心に即す。

こうした観点から、企業の経営陣のデモグラフィーが企業行動に与える影響は、住民のデ モグラフィーが投票行動に与える影響を考える上で、一定の参考にできると考えられる。

Wiersema and Bantel(1992)は、経営陣の平均年齢とその組織における平均在職年数と いう2つの要因が企業の変革的な行動に与える影響について、それぞれ仮説を立てて分析し た。ひとつめの仮説は、人は年齢が高くなるほどリスク回避的な意志決定をする傾向があり、

逆に年齢が若いと相対的に高いリスクをともなう意思決定を行いやすいという心理学的なメ カニズムにもとづくものである。2つめの仮説は、在職年数が長いほど既存の組織の価値観 や利害関係へのコミットメントが高いため、現状の大きな変革を迫るような意思決定を支持 しない傾向があるが、逆に、在職年数が短い新参者にはそうした過去からのコミットメント がないため、より変革的な意思決定を好むという社会学的なメカニズムにもとづくものであ る。

Wiersema らは、事業の多角化の程度という、経営陣が決定する全社的な意志決定を従属

変数として、経営陣の平均年齢と平均在職年数を独立変数として重回帰分析をおこなった。

その結果、平均年齢には弱い負の影響力しか観察されないのに対して、平均在職年数には一 貫して強い負の影響力が観察された。すなわち、年齢の在職年数のどちらが大きな要因かと いう点では、在職年数の方が組織の変革的な行動に大きな影響を及ぼしていたのである。

この知見は、本論で扱う投票行動の例にも一定の示唆を与える。有権者の年齢やその居住 年数の違いは、合議的な経営意思決定に加わる組織成員の年齢や在職年数の違いに相当する ものであり、市政の変革的な意思決定に対しても同様のメカニズムが働くと考えることがで きるからである。

仮説1.平均年齢の高い有権者を多く含む選挙区ほど、改革案への賛成票率が低い。

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仮説2.居住年数の短い有権者を多く含む選挙区ほど、改革案への賛成票率が高い。

さらに、地域の有権者の平均年齢は新しい居住者が増えるに従って下がるという関係があ る。したがって、仮説2の効果は、平均年齢を媒介とする間接的な効果と直接的な効果に分 けられ、もしも新規居住者の割合を統制した場合に平均年齢の影響力が消失するならば、平 均年齢と賛成票率の関係は疑似的なものとなる。このことは、シルバーデモクラシーをめぐ る論議の上でもとくに重要である。

仮説3.平均年齢と賛成票率の関係は、新規居住者の割合を統制した場合、消失する。

2 - 2 .その他の要因

住民投票の支持・不支持に影響を与える要因は他にも考えられる。ここでは選挙への参加 率と住民の所得水準についての仮説を加えておく。

選挙への参加率

地域における選挙への参加率(投票率)と、支持・不支持の結果に強い関係があった場合、

上記の要因とは異なる何か別の地域特有の要因が投票行動に影響を及ぼしている可能性があ るので、その関係を確認する必要がある。

住民の所得水準

一般的に、所得水準の低い有権者ほど、公共の福祉への依存度は相対的に高い。高所得の 人々が自らの所得を使って生活上の不便を自由に解決できるのに対して、低所得の人々はそ うしたことができにくく、行政のサポートに期待する部分が大きくなるからである。

改革案を主導する橋下徹は就任当初から府財政支出の約1,100億円の削減を提唱し、改革 案の目的もまた府と市の「二重行政の解消」による「効率化」であったのだから、より所得 の低い人々は改革によって市政から得られる便益が減少することを危惧することが考えられ る。

よって、平均所得水準の低い選挙区ほど改革案への反対率が高いことが予測される。

3 .選挙区レベルのデータによる検証

3 - 1 .データ

住民投票が実施された24の選挙区ごとの投票結果は大阪市選挙管理委員会により大阪市の

ホームページに公開されていて、選挙区ごとの有権者数、投票者数、賛成(反対)票数を知

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大阪都構想住民投票における人口統計学的要因

ることができる

。また、各選挙区の人口統計学的データは5年毎に行われる国勢調査、お よび人口動態調査から得ることができる。

各区住民の平均年齢は、選挙が行われた年の平成27年国勢調査(2015年)を参照した。新 規居住者の割合は、同じく平成27年度国勢調査による各区の「5年前の常住地による転入者 の数」を用いた。これは5年前には別の自治体に常住していた転入者の数である。新規居住 者の操作定義を5年とすることについては、何かの理論づけがあるわけではないが、1年や 3年といったあまりに短すぎる居住年数では短期居住予定の転勤者が多く含まれる可能性が あり、また7年や10年といった居住年数ではすでにその地域への価値観や利害関係に同化し ている程度が高いと思われる。したがって、5年という区切りは常識的にも許容される区分 であると思われる。

また、選挙区民の所得については区ごとのデータは入手できないが、各区の税収は判明す ることから、所得・財産と納税額の関係を鑑みて、区の税収から法人税分を除いた額を人口 で割った値(区の一人当たり税収)を、その平均所得の代理変数として用いることにした。

分析に用いる諸変数は以下の通りである。

a.賛成票率:賛成票数/投票数 b.投票率:投票数/有権者数

c.ln 一人当たり税収:ln[法人税を除く各区の税決算額/区人口]

d.平均年齢:各区の平均年齢

e.新規転入者割合:5年前常住地による転入者数/2015年人口

3 - 2 .結果

表 1 .相関表

n

=24

a b c d e

a.

賛成票率 1.00

b.

投票率 -.34 1.00

c. ln

一人当たり税収

.59**

-.10 1.00

d.

平均年齢 -.66**

.05

-.61** 1.00

e.

新規転入者割合

.75**

-.15

.85**

-.77** 1.00

** p < .01, * p < .05,

+

p < .10

賛成票率との相関は、投票率を除き、一人当たり税収、平均年齢、新規転入者割合のいず れもが、順に高い値を示した。

また、それらの説明変数間の相関も高いことは、地域の経済的な発達と人口の転入に関係 があることを示している。分析に用いるサンプルサイズが24と小さいこともあって、説明変 数間の高い相関は、重回帰分析をおこなう際に多重共線性が生じやすいことに注意したい。

5 大阪市ホームページ「平成27年5月17日執行 特別区設置住民投票の結果しらべ」

(https://www.city.osaka.lg.jp/senkyo/page/0000434623.html)

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表 2 .重回帰分析の結果

1 2 3 4 5

b.

投票率 -.28 -.29+ -.23 -.25+ -.25+

c. ln

一人当たり税収

.57** .28

-.14 -.10

d.

平均年齢 -.47* -.23 -.24

e.

新規転入者割合

.83** .62

+

.52*

R2 .43** .57** .61** .64** .63**

値は標準化係数

** p < .01, * p < .05,

+

p < .10

表2のように、一人当たり税収の影響力は、他の説明変数を投入することで消える。また、

平均年齢の効果(モデル2)も、新規転入者割合を投入することで消える(モデル4)。た だし、モデル4において新規転入者割合の係数の有意水準が10%水準と低いのは、上の相関 表で示した通り、一人当たり税収と転入率との非常に強い相関(r = .85)による影響の可 能性が考えられるため、モデル5では一人当たり税収を除外したところ、5%水準での有意 性が観察された。

以上のことから、有権者の年齢による支持率への影響についての仮説1は棄却され、有権 者の居住年数による影響についての仮説2が支持された。

図 1 .新規転入者の割合と平均年齢、賛成票率の関係

また、新規転入者の割合と平均年齢の間には因果的な関係が想定されるが、3変数間のパ ス図を描くと図1の通りになる。すでに重回帰分析によっても示されたように平均年齢の支 持率に対する効果は新規転入者の割合によって消え、平均年齢も賛成率もともに、新規居住 者の転入という共通の第3の要因の結果であること、すなわち、2つの変数間の関係は疑似 相関であることが示され、仮説3が支持された。

4 .議論と考察

組織論研究からの知見が予測した通り、都構想案のような変革的なプランへの支持・不支

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大阪都構想住民投票における人口統計学的要因

持の態度を決定するにあたっては、住民の年齢よりも居住年数の違いが大きな影響を及ぼす ことが確認された。さらに、地域の平均年齢は新規居住者の転入に大きく左右されるのであ り、一義的な要因は居住年数の違いであることも確認された。以上のことから、住民投票の 実施後に巻き起こったシルバーデモクラシーをめぐる議論については、高齢者による現状維 持への固執という一部の俗説が退けられるとともに、市民の投票行動を理解する上での新た な知見が得られた。

一人当たり税収によって代理した住民の所得水準は、他の変数を投入することでその効果 が失われるが、この変数は分析の前に想定したような「既存行政への依存度」の指標として よりも、むしろ転入者をその地域に引き付ける先行的な要因として解釈すべきかもしれない。

最後に、新規居住者の割合という要因が、改革案への賛成率に及ぼす影響力についてもう 少し具体的に確認し、その意味について考察しておきたい。

図 2 .平均年齢統制後の新規転入者割合と賛成票率の関係

図2は、平均年齢による残差を新規転入者の割合によって回帰して得た直線を示したもの である。これをみると、賛成票率が半数を上回るのは、5年以内の新規移住者の割合が15%

を超える水準に達してからだとわかる。一般的にいってこの水準はかなり高い値であり、人 口流動が相当に高い地域である。こうした地域が含まれるのは、西日本の経済的中心地であ る大阪市という大都市ならではのことである。

転入者割合と一人当たり税収との強い相関を鑑みれば、これらの地域は経済的に発達した、

成長性の高い地域であり、そうした地域ほど住民が改革的なプランを支持する確率が高いこ とになる。逆に言うと、経済的発達や成長性の低い地域では、改革的なプランが支持されに くいということになる。

都構想が「大阪の再活性化」を目的として掲げていたことを思い出すとき、これは一種の

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皮肉な問題ともいえる。繰り返し述べてきた通り、本論は大阪都構想の内容そのものの妥当 性を判断するものではない。しかし、すくなくともそうした改革的なプランの推進者の立場 から考えるとき、改革の必要性とそれが受け入れられる可能性は反比例することになるから である。

参考文献

「20・30代 は 6 割 賛 成  都 構 想  朝 日・ABC 出 口 調 査 」, 朝 日 新 聞 デ ジ タ ル,asahi.

com,2015年5月17日22時59分.

「辛坊治郎氏 大阪都構想に反対票投じた高齢者に皮肉」,ライブドアニュース,news.

livedoor.com,2015年5月18日 18時50分.

Finkelstein, Sydney, Donald C. Hambrick, Albert A. Cannella(2009), Strategic Leadership:

Theory and Research on Executives, Top Management Teams and Boards, Oxford University Press.

塩沢健一(2017)「大阪都構想をめぐる有権者の関心と賛否の拮抗をもたらした要因─24行 政区レベルのデータ等をもとにした基礎的分析─」,中央大学社会科学研究所年報

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瀬尾佳美(2015)「大阪"都構想"についての一考察:"シルバーデモクラシー"とリスクコ ミュニケーションの壁」,青山国際政経論集(95),61-80,2015.

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Wiersema, Margarethe F. and Karen A. Bantel(1992), “Top Management Team

Demography and Corporate Strategic Change”, The Academy of Management

Journal, Vol. 35, No. 1, pp. 91-121.

表 2 .重回帰分析の結果 1 2 3 4 5 b. 投票率 -.28 -.29 + -.23 -.25 + -.25 + c. ln 一人当たり税収 .57** .28 -.14 -.10 d

参照

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