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調査研究等特別推進経費 平成12年度調査報告書

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(1)

調査研究等特別推進経費 平成12年度調査報告書

理数調査報告書

−平成12年度 理数定点調査 集計結果−

平成13年(2001年)3月

研究代表者 三宅征夫

(国立教育政策研究所 教育課程研究センター 基礎研究部長)

(2)
(3)

は し が き

 本報告書は、国立教育政策研究所「調査研究等特別推進経費」による研究プロジェクト の一つである「理科及び算数・数学の到達度とそれに影響を与える諸因子との関連に関す る定点調査研究」(略称:理数定点調査研究プロジェクト)での平成12年度小学校5年生に 対する調査についての集計結果の報告である。なお、理数定点調査研究プロジェクトは、

旧国立教育研究所科学教育研究センターが中心になって行ってきたが、平成13年1月の改 組再編により、本プロジェクトを担当している研究官のほとんどが教育課程研究センター 基礎研究部に所属することになったので、今後、同センター基礎研究部が中心になって平 成17年度まで継続して調査研究を行うことになる。

 理数定点調査研究プロジェクトは、平成元年度以来実施してきた理数長期追跡研究の継 続・発展研究と言うべきものである。理数長期追跡研究では、東目本の5地域において小

5から高3にかけて学校での追跡研究を、さらに高校卒業後2年および6年たった卒業生 に対して郵送票による調査を実施し、理数に対する好き嫌いや科学に対する価値観などい ろいろな視点からのデータを収集・分析し、毎年報告してきた。

 理数定点調査研究プロジェクトでは、今後見込まれる教育課程の移行による影響や杜会 的な影響を把握するため、小5、中2、高2、高校卒業生を対象として、更に調査データを 収集・分析していくことになった。定点調査では4年ごとに同一学年でのデータを収集・

蓄積し、その調査結果を、これまでの調査データと比較することで、例えば理数の好き嫌 いの変化など新たな影響を把握することができるものと考えている。

 本報告書では、昨年の9月初めから11月末にかけて実施された平成12年度の小学校5 年生に対する調査の第1次集計について報告する。今年度は13小学校において調査を実施

した。分析に当たっては、主として、1989年度と1996年度の当該13校における過去の調 査データと比較することとした。

 予算面、運用面については多くの方のご協力やご支援をいただいた。特に、調査実施に あたっては、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、山梨県の各教育センターに、調査校との 折衝など、多大のご支援を戴いた。また、調査校の先生方、調査に回答してくれた児童諸 君、さらに関係の各位のご援助を頂戴した。それに加えて、小川友子さん、山田ちえこさ ん、西周鈴子さんらたくさんの人の手によって文書処理やデータの入力などがなされた。

これらの多くの方々に感謝申し上げる次第である。

平成13年3月 研究代表者

   三宅 征夫

−i−

(4)

平成12年度研究委員一覧

【国立教育政策研究所】

    教育課程研究センター基礎研究部長     次  長

    研究企画開発部企画調整官

    教育課程研究センター基礎研究部総括研究官     教育課程研究センター基礎研究部総括研究官     教育課程研究センター基礎研究部総括研究官     教育課程研究センター基礎研究部総括研究官     教育課程研究センター基礎研究部総括研究官     教育課程研究センター基礎研究部主任研究官     教育課程研究センター基礎研究部研究員     教育課程研究センター総合研究官

教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官根本 教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官 吉川 教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官 三輸 教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官 日 置

夫(代表)

静 郎(調査責任者)

  康

(5)

【教育センター】

    岩手県立総合教育センター研修主事     官城県教育研修センター 指導主事     福島県教育センター   指導主事     茨城県教育研修センター 指導主事     山梨県総合教育センター  主幹研修主事

【小・中・高等学校,大学】

    東京都杉並区立荻窪小学校     成城学園初等学校

    筑波大学附属中学校

    東京都新宿区立四谷第一中学校     東京学芸大学附属大泉中学校     東京都立大森東高等学校     東京都立大学附属高等学校     千葉県立市川工業高等学校     山梨大学教育人問科学部     横浜国立大学教育人間科学部

教諭 教諭 教諭 教諭 教諭 校長 教諭 教諭 教授

助教授

大 谷 島 田 大根田

(6)

もくじ

はしがき    i

(7)

4.基礎調査の結果と考察

  4.1読み調査

  4.2科学観調査

    4.2.1総合     4.2.2理科     4.2.3算数・数学

       56

        62

         64

        68

Ⅲ.調査用紙および反応率一覧

1.平成12年度調査用紙および各項目の反応率

        理科問題         算数問題         背景・学習         態度

        読み・科学観・

2.これまでの調査の小学校5年生の反応率

        理科問題         算数問題         背景・学習         態度

        読み・科学観

3.教師質問紙による履修状況調査の結果

72 78 82 87 90

98 100 102 106 110 114

−V−

(8)
(9)

第1部 中学校における

教育課程移行によるこの10年の変化

1.授業における指導方法は変わったか?

2

4

2.理科の学習時間や進学観・職業観はどう変わってきたか?

3.理科問題の正答率は下がったか?

6

4.理科好きは増えてきたか?

8

5.中学生の科学に対する意識はどう変化してきたか?

10

1

(10)

中学校における教育課程移行によるこの10年の変化

   1.授業における指導方法は変わったか?

       鳩貝 太郎       HATOGAI Taro       国立教育研究所

〔キーワード〕中学校,教育課程,理科,指導方法,生徒質問紙,理数定点調査研究

1 はじめに

 平成元年(1989)から行われてきた「理数長 期追跡研究」の一環として,中学校2年生を対 象にした調査を1989,1992,1995,1999年に 行ってきた。本報では,この10年間の生徒質 問紙の結果に基づき,理科教師の指導方法が 教育課程の改訂前後でどのように変化したか について報告する。なお,89,92年度の対象 者は旧教育課程で学習した生徒であり,95年 度は新教育課程2年目,99年度は同じく6年

目の生徒である。

2 調査項目

 理科の学習に関する生徒質問紙は,10項目 で構成されている。回答は質問項目それぞれ に5段階の評定尺度(ア:ほとんど毎時間、

イ:週に一度くらい、ウ:月に一度くらい、

工:学期に一度くらい、オ:ほとんどない)

で求めた。

表1 中学校における理科の指導方法に関する生徒質問紙の結果(%)

質問項目

年度 毎時間 週一度 月一度 学期一度 ほとんどない

34授業で生徒の考え 1989 27.5 30.1 13.1 5.1 18.9 や希望を入れてく 1992 19.8 25.3 15.4 8.7 29.5

れる 1995 32.9 28.7 14.9 6.9 15.3

1999 1814 27.1 19.0 7.8 26.5

35興味深い理科の授 1989 38.2 27.9 12.7 418 11.3

業をしてくれる 1992 26.6 26.0 18.0 7.5 20.7

1995 38.7 28.5 13.9 6.1 11.7 1999 31.4 26.5 16.3 8.1 16.5 36わたしたちに実験・ 1989 30.3 43.2 17.4 1.9 1.5

観察をやらせてく 1992 32.0 42.2 18.8 3.9 1.9

れる 1995 53.4 32.8 8.6 1.8 2.2

1999 41.6 36.0 17.0 2.0 2.0 37先生が実験みせて 1989 20.9 39.1 24.6 4.6 5.1

くれる 1992 14.2 44.0 30.8 5.6 4.1

1995 30.6 35.7 19.7 7.0 5.5 1999 28.8 35.6 26.3 5.2 3.2

38野外での観察活動 1989 0.8 1.8 5.2 18.9 67.1

をやる 1992 0.8 1.4 5.7 20.5 70.3

1995 1.8 3.1 9.9 24.0 59.6 1998 2.5 3.1 9.3 20.4 63.7 40科学と生活との関 1989 7.4 14.9 17.1 16.6 38.1

連の説明をしてく 1992 3.2 8.3 14.2 17.6 55.4

れる 1995 6.5 9.7 15.8 19.0 47.6

1999 6.5 11.1 19.9 18.6 43.1

(11)

3 調査結果

 調査項目のうち,「(34)生徒の考えや希望」

「(35)興味深い授業」「(36)生徒実験・観察」

「(37)演示実験」「(38)野外観察活動」「(40)

科学と生活との関連の説明」の6項目につい て調査年度ごとの結果を表1に示した。

1)興味関心の育成

 質問項目のうち,(34)(35)は自然に対する 興味関心の育成に関する内容としてまとめた。

 「(34)生徒の考えや希望」では,毎時間の 回答率は92,99年度とも約20%であるが,95 年度は33%であった。また,毎時間と週1回 の回答率を合わせると92,99年度とも約45

%であるのに対して95年度は62%となる。

新教育課程の実施直後は,生徒の考えや希望 を入れた授業が展開されていた。

 「(35)興味深い授業」では,毎時間の回答 率は92年度27%,99年度31%であるが,95 年度は39%であった。また,毎時間と週1回 の回答率を合わせると92年度53%,99年度 58%であるのに対して95年度は67%とな る。新教育課程の実施直後は生徒たちが興味 深いと感じる理科の授業改善が行われた。

2)観察実験

 調査項目の(36)(37)(38)は観察実験に関す る内容としてまとめた。

 「(36)生徒実験・観察」では,毎時間の回 答率は92年度32%,99年度42%であるが,

95年度は50%で過半数を超えた。毎時間と 週1回の回答率を合わせると92年度74%,99 年度78%であるのに対して95年度は86%と 高率である。新教育課程の実施直後は理科の 授業で観察実験が極めて高い頻度で行われて

いた。

 「(37)演示実験」では,毎時問の回答率は92

年度は14%であったが95年度は31%に倍増 し99年度は29%であった。新教育課程実施 以後は生徒の観察実験だけでなく教師の演示 実験も多く取り入れられるようになった。

 「(38)野外観察活動」は,ほとんどないの回

答率が92年度は70%であったものが95年度 には60%になった。新教育課程の実施後に野 外観察活動の実施率が上がった。

3)コンピュータの利用

 「(39)コンピュータの活用」は,ほとんど ないの回答が92年度96%,95年度92%,99 年度95%であり,いずれの調査でも90%以 上であった。新教育課程の実施後も理科の授 業でのコンピュータの利用はあまり進んでい ないことがわかる。

4)目常生活との関わり

 「(40)科学と生活との関連の説明」では,

ほとんどないと回答した割合は92年度55%,

95年度48%,99年度43%と次第に減少して いた。一方,毎時問と週1回を合わせた回答 率は92年度12%,95年度16%,99年度18

%と増加している。新教育課程の実施後,理 科の授業で科学がいかに生活と深く関わって いるかを説明することが増加している。

4 まとめ

 10項目の調査項目のうち,表1に示した6 項目は,92年度と95年度で理科教師の指導 方法に変化がみられた。すなわち,本調査に よって平成元年度の学習指導要領理科の改善 の基本方針である「観察実験などの重視」「自 然に対する興味関心の育成の重視」「目常生活

との関わりの重視」を考慮した指導を展開し た理科教師が増加したこと明らかになった。

新教育課程の実施直後には,理科の指導の改 善が一定程度図られたが,数年を経ると指導 方法が後戻りする傾向があることに注目する

必要がある。

[引用文献]

「理数調査報告書−平成11年度理数定点調査 集計結果−国立教育研究所調査研究等特別

推進経費調査報告書(代表者:下野洋),2000.

−3−

(12)

中学校における教育課程移行によるこの10年の変化

  2 理科の学習時間や進学観・職業観はどう変わってきたか        三宅征夫

       MIYAKE Masao        国立教育研究所

[キーワード】教育課程、学習時間、進学観、職業観

 現在の教育課程は、中学校では1993年の4月から実行に移された。従って、中学校2年生を 対象にした4回の調査のうち、1989年と1992年は旧教育課程で学習した生徒を対象にした調査 であり、1995年と1999年は現教育課程で学習した生徒を対象にした調査である。

 本文では、それぞれ今回調査(1999年調査)と95年調査、92年調査、89年調査と区別して 表現するが、特に断らない場合は今回調査のことを示している。

「学校外学習の週当たり時間数」

 図に示すように、0〜2時間程度の学校外学習の割合は前回調査より増加していた。また、そ の割合が4割程度に及んでいる。旧教育課程と現教育課程との比較では、現教育課程の生徒は旧 教育課程の生徒に比べ学校外で学習しなくなっている傾向にある。

口2時間以下

■2〜5時間 口5〜lO時間 口10〜20時間

■20時間以上 口無答

 「学校外での理科の学習」

 約4割の者が学校外で理科の学習機会を持っていなかった。この割合は前回より増加している。

また、理科の学習機会を持たない割合は、旧課程より現課程の方が高い。

 「自己評価による理科の成績」

 理科の成績を他教科と比べて良いと思っている者は、前回調査と比べて減少しているが、92年 調査および89年調査時とほぼ同じである。一方、悪いと思っている者は前3回の調査より増加

している。

 「理科に対する好き嫌い」

 理科を好きと思っている者の割合は、おおよそ4割強であった。一方、嫌いと答えた者は、2 割強であった。この割合は95年調査より前者は減少し、後者は増加している。

(13)

自己評価による理科の成績

 理科に対する好き嫌い

最も好き

他教科より好き どちらでもない 他教科よリいい

最も悪い 無答

[進学計画(希望)]

 短期大学以上の学校を希望している者の割合は約65%で、前回調査よりやや増加している。

しかし、この値は89年および92年調査とほとんど変わらない。

[進学動機]

 進学先と将来の職業との関連を考慮する者が47%と最も高く、成績や興味によって決める者 は43%で続いている。前回調査との比較では、成績や興味によって進学先を決める者が減少し、

将来の職業との関連を考慮する者が増加している。

[将来希望する職業の方向]

 工業技術者等の工学関係を希望している者が13%(前回12%)で、医学・薬学・理学関係を 含めた全理工学関係の職業を希望している者は、9%(前回10%)である。これに対して、理工 学関係以外の職業を希望している者は26%(前回27%)である。

[将来の希望職業の有無]

 「はっきり希望している職業がある」と答えた者は12%(前回12%)である。「漫然とでは あるが希望している職業がある」と答えた者は52%(前回53%)である。

[職業選択の意識]

 将来職業を選ぶときどのような考えで選ぶかをきいたものである。

 将来の昇進を重視するか家庭生活を童視するかをたずねた質問では、後者を求める割合がかな り高い。またこの傾向は経年的にますます顕著になってきている。能力の発揮できる職業を選ぶ か安定した職業を選ぶかをたずねた質問では、前者を求める者の割合が高い。

−5−

(14)

1.はじめに        5学年から,平成11年の生徒は小学校第1学年  本稿では, 「理数長期追跡研究」 (平成元〜   から現行の学習指導要領のもとで学習してい 8年)およびそれに引き続く「理数定点調査研   る。したがって,教育課程の移行が理科問題の 究」(平成11年〜)プロジェクトの一環として,  正答率にどのように影響したかを明らかにで 平成元年,4年,7年,11年の4回,6校の中   きるものと考えられる。

学校2年生に対して実施した調査結果にもと    中学校2年生に過去4回実施した理科問題 づき,理科間題の正答率が学習指導要領の改訂   は表1に掲げる20題である。そのうち調査の前 前後でどのように変化したかを明らかにする   年の中1までに学習した問題は,全4回の調査 ことを目的とする。        を通して7題である。問題番号6の「鉄の酸化  調査対象となった四つの中2集団と教育課   反応」のみ学習指導要領の改訂により中1から 程との関連については,平成元年と4年の調査   中2に移行した内容であるが,その他は調査学 時の生徒は小学校から一貫して旧学習指導要   年の中2以降で履修する内容である。ちなみに,

領にもとづく教育課程のもとで学習した集団   平成7年の生徒から高等学校での理科はすべ であるのに対して,平成7年の生徒は小学校第   て選択科目である。

注)表中,正答率の欄の>印は直前の調査年度よりも5%以上正答率が下がったことを示し,逆にく印は5%以上正答率が

国立教育研究所科学教育研究センター

[キーワード]中学校,教育課程,移行,理科問題,正答率,理数定点調査研究

表1 理科の問題別正答率の比較−中学校第2学年−

中学校における教育課程移行によるこの10年の変化

3.理科問題の正答率は下がったか?

猿田祐嗣 SARUTA Yuji

(15)

2.調査結果

 表1には,各理科問題の正答率と履修状況,

そして20題の平均正答率を調査年度別に掲 げている。また,履修状況による正答率がば らつく影響を取り除くために,中学校第2学 年で学習する内容を含む間題番号2,4,6,

10,11,19の6題を除く14題の平均正答率 を合わせて掲げた。これにより,調査対象生 徒全員が履修済みあるいは非履修の間題のみ で比較することが可能になると思われる。

 その結果,全20題の結果では,平成元年と 4年は平均正答率がまったく同じ値であった が,平成7年には平均正答率が4.2ポイント 低下し,平成11年に1.5ポイント再び上昇し ている。この傾向は,調査年度の中2で学習 する問題を除いた14題の結果においてもほ

とんど同様であった(図1参照)。

図1 平均正答率の調査年度による推移

 このことを統計的に吟味するために,平均 値の差をt検定により調べた結果が図2であ

る。全20題および14題のいずれも同様の結 果となり,平均正答率に差がないのは平成元 年と4年の間だけであった。これ以外の組み 合わせでは,平成7年の平均正答率は他のい ずれの調査年度よりも統計的に下回ることが 明らかとなった。しかしながら,平成11年の 平均正答率は平成元年および4年よりも低い ものの,平成7年よりも高いことが確認され た。

 以上のことから,平成7年に一旦下がった 理科問題の成績が,平成11年には若干回復し たことが分かる。平成元年と4年の調査対象 生徒は中2まで一貫して旧学習指導要領のも とで,また平成11年の生徒は小1から現行の 学習指導要領のもとで学習している。平成7 年調査の中学校2年生のみが小学校第5学年 時に教育課程の改訂に遭遇しており,このこ

とが理科問題の成績低下に影響を与えたので はないかと推測できるが,生徒の態度面や教 師の指導法等との関連を詳しく調べる必要が

あろう。

 また図3に,目標領域別に平均正答率を集 計し,平成元年との差を算出した結果を示し た。特に,知識および実験領域の問題の平均 正答率が平成11年においても低いことが指

摘できよう。

図3 目標領域別の平成元年の平均正答率との比較

調査年度

図2 平均正答率の調査年度間の比較    (平均値の差の検定結果:危険率5%)

調査年度

▲:比較する年度よりも平均正答率が高いことを示す。

●:比較する年度と平均正答率に差がないことを示す。

▼:比較する年度よりも平均正答率が低いことを示す。

引用文献

「理数調査報告書−平成11年度理数定点調査集計結果−」調 査研究等特別推進経費調査報告書(伏表者・下野洋),2000..

−7−

(16)

中学校における教育課程移行によるこの10年の変化

4.理科好きは増えてきたか?

      松原静郎    MATSUBARA,Shizuo

     国立教育研究所

[キーワード]理数定点調査研究,中学校,理科,好き嫌い,生徒質問紙

1はじめに

 平成元年度より8年度まで小・中・高等学校段階 において実施されてきた理数に関する追跡研究 の一環として,3年毎に中学校2年生が調査対象と なり,これまで平成元年度,4年度,7年度に調査が 行われてきた。

 昨年度は上記調査と同一地域の同一学年段階 におけるデータを蓄積するため,小規模ではあるが,

これまで調査を実施してきた5地域で6中学校にお いて調査を行った。調査対象の6中学校はいず れもこれまでの調査対象となっている学校である。

本報ではこの10年にわたる同一中学校でのデータ の比較から,旧教育課程より現行の教育課程に移 行したことで顕著な変化が見られるかどうかについ て報告する。

 なお,平成元年度は旧教育課程,4年度は移行 期,7年度の対象者は現行の教育課程による3年目 の中学校2年生であり,小学校5年時より現行の教 育課程となり,11年度の調査対象者は小学校1年 時より現行の教育課程による生徒である。

 回答はいずれも5肢選択によるが,選択肢は態 度質問群では項目内容に賛成から反対まで,学習 質問群ではほとんど毎時間,週一度,月一度,学期 に一度,ほとんどないの5段階に分かれている。

 なお,「面白い」は理科の好き嫌いを示す指標と して,「内容過剰」は理科の好き嫌いに大きな影響 を及ぼす因子として,「生徒希望」と「生徒実験」およ び「実験楽しい」は現行の指導要領において強調さ れている項目として取り上げた。

3調査結果

3.1得点化と回答の傾向

 年度毎の回答を比較するとき,数値が大きいほど 理科教育において好ましいとされる方向を示すよう,

選択肢を次の方法で得点化した。態度質問群の

「面白い」と「実験楽しい」では選択肢のうち賛成を1,

反対を0,「内容過剰」では賛成をO,反対を1,学習 質問群の「生徒希望」と「生徒実験」ではほとんど毎 時問を1,ほとんどないを0とし,その問を0.25刻み で得点化した。この得点化の結果を表2に示す。

2理科の好き嫌いに関連する調査項目  ここでは,理科の好き嫌いに関連する調査項目と して,表1にあげる5項目を取り出し,それぞれの回 答の変化について見ていく。

表1調査項目

質問群 略称 項目内容

態度 面白い 理科はおもしろい

内容過剰 理科は学ぶ内容が多すぎる 実験楽しい 理科で、実験があると楽しい

学習 生徒希望 先生は,理科の授業で,生徒の考えや希望を入れてくれる

生徒実験 理科の授業では、わたしたちに実験・観察をやらせてくれる

表2各調査項目の回答結果

平成11年度 n=1171 7年度n=1284 4年度n=1418 元年度n=1500

面白い(数学)

O.66︵0.50︶ O.70︵0.53︶ 0.67︵0.56︶ 0.68︵0.52︶

内容過剰(数学)

0.37︵O.34︶ O.40︵0.36︶ O.45︵0.42︶ O.44︵O.40︶

生徒希望 O.51 O.64 O.49 O.61 生徒実験 O.78 O.83 0.75 O.75 実験楽しい O.86 O.87 0.86 O.87 注)得点化では理科に好ましい回答を1,その反対をOと して,0.25刻みで数値化した。また,「面白い」と「内容過 剰」での(数学)の行には,数学での同一質問項目での結 果を( )内に示した。

(17)

 なお,どの調査年度も同一の5地域6中学校で のデータである。

面白いではどの調査年度の結果も似た数値を示 しているが,教育課程改訂後の7年度の数値が最も 大きく,今回の調査ではわずかながらその数値は小 さくなっている。一方,数学の面白いは教育課程移 行期間中の4年度の得点が最も大きく,その後は 徐々に小さくなっている。1999年3月実施のIEA国 際調査では,国内結果が速報として発表された段 階であるが,1995年3月に実施した調査と同一項

目の比較で,数学はやや好きが減り,理科では数 値がわずかに小さくなったものの,有意な差はない と見積られている。

 内容過剰については理数のいずれも教育課程改 訂前後の平成4年度と7年度の間で得点にして 0.05以上の差が見られ,現行の教育課程の方が内 容が多すぎるとする生徒の割合が理数ともにやや 多くなっている。現行の教育課程では旧教育課程よ り学習内容を精選したにもかかわらず,内容が多い と考える生徒が増えていることになる。ただし,内容 が多いと意識している一方で,理科好きはこの調査 年度が最も多くなっている。

 生徒希望と生徒実験は先生の授業方法によるた

め,かなり変化が大きく出てくるものと考えられる。な お,中学校での調査対象生徒を教えている理科教 師の数は各調査年度8名程度である。

 生徒希望では,調査年度ごとに0.1O以上の差が みられ,教師による教授/学習方法の違いが大きい と思われるが,その中でも他の多くの項目と同様に 平成7年度の数値が最も大きい。

 生徒実験についても,平成7年度の数値が大きく,

これは教育課程の改訂により,学習指導要領の目 標に「観察,実験を通して」という文言が入り,観察,

実験活動がより重視されたためと思われる。

 その一方,実験が楽しいとする割合はO.90に近 い大きな数値を示していることもあり,どの調査年度 も似た値を示し,生徒実験の頻度による影響は大き くないことが表れている。

 3.2高校における回答との比較

 中学校の調査対象である5地域のうち,3地域の 3高校での調査結果を表3に示す。

 旧教育課程から現行の教育課程に移行した平成 4年度から7年度の間では,理科の多くの調査項目 で0.05以上の差があり,その数値は大きくなってい

表3高2での各調査項目の回答結果

平成10年度 n=638 7年度n=749 4年度n=763 元年度n=917

面白い(数学)

0.55︵0.44︶ 0.60︵O.43︶ O.49︵0.45︶ O.51︵O.47︶

内容過剰(数学)

0.28︵0.21︶ 0.32︵O.23︶ O.25︵O.24︶ 0.26︵0.26︶

生徒希望 0.30 0.32 O.20 0.26 生徒実験 0.50 0.47 0.41 O.49 実験楽しい 0.77 O.83 O.80 O.80 注)表中の数値は高校3校での平均値を示す。得点化は 表2参照のこと。

る。その一方,上記以外の年度間では,変化のある 調査項目でいずれも数値が小さくなっている。

中2と高2での数値を表2と表3で比べてみると,

すべての項目で中2の方がO.1〜0.2程度大きな値 を示している。高学年になると学習もより高次な内容 になることもあり,平均的に見ると理数に対して望ま しくない方向へと移っている。しかし,全般的な変化 の傾向は中・高で似ている。

一方,中2と高2で数値を3年間ずらして読むと 同年齢生徒集団の結果を追跡的に見ることになる。

理数の面白いや内容過剰の項目で変化の少ない 平成4年度の中2に対応する7年度の高2では変 化が大きく,中2の7年度に対する高2の1O年度も 変化の様子は対応していないことが見られる。すな わち,集団としての回答傾向より教育課程や授業の 影響の方が大きいと考えられる。

1)例えば,理数長期追跡研究グループ(1998)『「数学  的・科学的能力や態度の小中高・杜会人における発  達・変容に関する研究」研究成果報告書Ⅱ』科学研究  費(代表;瀬沼花子).など

2)理数定点調査研究ブロジェクト(2000)『理数調査報告  書−平成11年度理数定点調査集計結果−』国立教育  研究所(代表:下野洋).

3)国立教育研究所(1999)『第3回国際数学・理科教育  調査−第2段階調査−(TlMSS−R)国内調査中間報

 告(速報)』

4)松原静郎、武井秀一(1999)『高等学校における旧教  育課程から現教育課程への移行による変化5・理科  好きは増えてきたか?」日本理科教育学会第49回全  国大会岐阜大会要項,pp.127−128.

−9−

(18)

中学校における教育課程移行によるこの10年の変化

 5.中学生の科学に対する意識はどう変化してきたか

      下野 洋

      SHIMONO Hiroshi        国立教育研究所

[キーワード] 中学校理科、科学への意識、学習指導要領、人間と自然のかかわり

1.研究の目的

平成元年(1989)から行われてきた「理数長期追跡研究」のうち中学校2年生を対象に行っ たのは1989年、1992年、1995年の3回と「理数定点調査」を開始した1999年の1回とを合わ せた4回である。ここでは、その中での生徒の科学に対する意識、すなわち「科学観」の調 査結果を基にして、これからの理科の学習指導で留意或いは求められることをいくつか述べ てみたい。

2.研究の概要

本調査で取り上げた科学観調査の問題は、理科、数学、総合の3分野にわたる15項目であ るが、本研究ではそのうちの3項目、すなわち理科に関するもの2題、総合に関するもの1題 を取り上げた。1989年と1992年調査時の生徒は旧課程で学習しており、1995年と1999年調 査時の生徒は現行の学習指導要領で学習している。ここでは、生徒の理科に対する意識が年 度によって変化していることを学習指導要領の目標や指導内容とのかかわりで考察し、今後

どのような観点で学習指導に臨むことが大切と思われるかについて述べた。

 (1)旧学習指導要領と現行学習指導要領における改善の基本方針

  昭和56年(1981)から実施の学習指導要領では、探究の過程や基本概念の形成、基礎的・

基本的事項に精選、人間と自然とのかかわりについての認識に重点がかけられ、平成5年 (1993)から実施のものでは、観察、実験の一層の重視、科学的な見方考え方や自然の事象  に対する関心態度の育成、日常生活とのかかわりの重視に力点がかけられている。

 (2)「科学観」調査の結果

  この調査では、「理科を学ぶ目的」、「新しい実験器具」、「天文学者と金星の植 物」、「原子力発電への考え方」の4項目を取り上げた。その理由は、学習指導要領改訂  の前後で生徒の反応率が他の項目に比べて変化があると思われるからである。下図はその

調査結果をグラフで示したものであり、図の下に選択肢の内容の概略を記した。

30.理科勉強の主要な目的 33.新しい実験器具

(19)

ア科学の考え方知るのが重要 イ科学は社会に役立っ ウ理科は考える力がつく 工理科の学習が試験に必要 オ理科の授業があるから

ア興味あり、自ら進んで使う イ友違が使うのをみて自分も使う ウ自分は使わず友だちのを見ている 工興味はないが自分でも使う

オ興味なく友だちが使うのを見ている

 ア 別の観察でもこのことが確認された    ア 原子力発電は一切禁止する

 イ 植物の種類や存在理由を示している    イ 他のエネルキー総動員して不足は原子力で  ウ 天文学会が観察の正しさを保証した    ウ 電力需要が増えても原子力発電は現状維持  エ 金星に酸素が存在することが分かった   工 需要が増えたら原子力発電も増やす  オ その天文学者が著名な生物学者でもある  オ 主カエネルキー源として原子力発電を開発

(3)「科学観」調査の結果

 ①「理科を学ぶ目的」では、現課程では科学的な見方、日常生活との関わりと   いう点でのとらえ方が減少している。

 ②「新しい実験器具」では、現課程で積極的に使用するというのが増えてはい   るが消極的なものも若干増える傾向にある。

 ③r天文学者と金星の植物」では、現課程で別の観察でも確認されたというの   が減少しているが、どの年度においても科学の発見に対して事実とその根拠   の両方を示すことの大切さを支持するものが多い。

 ④「原子力発電」では、時代とともに原子力導入を認める意見が微増している   が、導入を認めないか導入に消極的な意見は68%以上である。

(4)調査結果から考えられること

 ①旧課程から現課程への移行で観察や実験が一層重視されたことや日常生活、

  科学技術及び人問と自然とのかかわりなどの学習が重視されることとなった   が、 「理科を学ぶ目的」の結果からは今後の指導のあり方を工夫しなければ   ならないといえる。しかし、 r新しい実験器具」、 r天文学者と金星の植   物」では理科の学習への取り組みが意欲的になっていると思われる。 「原子   力発電」については社会的な背景の影響があまり考えられない。

 ②新学習指導要領(理科)の目標は現行のものと比較して、r旦的童謹至撞2二⊆。観   察、実験を行い」という点だけが新しく付加されているが、 「ゆとり」、

   r選択的な履修」、 r選択理科」等を通して生徒の興味・関心、日常生活と   の関わりの認識や自然の総合的な見方を育成することが求められている。

【参考文献】

下野 洋他(2000):理数調査報告書(平成11年度 理数定点調査 集計結果)

一11一

(20)
(21)

第2部 小学校5年生に対する調査の集計結果

執筆分担

I.研究の概要 松原静郎

n.調査の結果と考察

1.理科調査の結果と考察 猿目ヨ祐嗣

2.算数調査の結果と考察 瀬沼花子

3.児童質間紙調査の結果と考察   3.1背景に関する項目     3.1.1学習環境

    3.1.2進学観・就職観   3.2学習に関する項目     3.2.1理科の学習     3,2.2算数の学習   3.3態度に関する項目     3.3.1理数の学習     3.3.2科学と学校

川上 純 三宅征夫 鳩貝太郎 島田 功

松原静郎 小倉 康

4.基礎調査の結果と考察   4.1読み調査   4.2科学観調査     4.2.1総合     4.2.2理科     4.2.3算数

小林幸乃 松原静郎 新田正博 大根田裕

一13一

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I.研 究 の 概 要

1. 理数定点調査研究概要

1.1研究の目的

 第15期中央教育審議会答申においても科学教育の重要性がうたわれているが,現状を把 握し,問題点を探るためにはその基礎となる調査データが必要となる。我々は,主として 理科およぴ算数・数学の到達度とそれに影響を及ぽすと思われる諸因子に関して,10才か ら10数年間の経年調査を行うことにより,小・中・高・大学およぴ社会人に至るまでの,

到達度や科学的態度に対する諸因子の寄与およぴ変化についての分析を試みる目的で,平 成元年度からこれまで東日本の5地域において小5から高3にかけて学校での追跡調査を,

さらに高校卒業後2年およぴ6年を経過した卒業生に対して郵送票による調査を実施し,

理数に対する好き嫌いや科学に対する価値観などいろいろな視点からのデータを収集・分 析してきた。

 本調査研究の目的は,今後見込まれる教育課程の移行による影響や杜会的な影響を把握する ため,さらに調査データを収集・分析していくことにある。これまで蓄積してきたデータを利用して,ど のような変化が見られるかを把握するために,これまでと同様の地域で,多くの質問が同じとなるよう な調査を実施していくことにより,その変化を見出すことのできる基礎データを得ていくことが重要で ある。蓄積してきた調査データと,これから集めていく調査結果と比較することで,例えぱ理数の好き 嫌いの変化など新たな影響を把握することができると考えている。

なお,平成元年度よりこれまでの学校段階での調査の分析結果から以下のようなことなどが見出さ

れている。

・数年の間隔をおいての調査では,間題項目,質問項目のいずれにおいても,同一学年の多くの反 応率がほとんど同じであり,成績や態度の変化は少ない。このことから,変化の大きい場合は,なんら かの影響があったと考えられる。

・同一問題を学年を変えて複数回調査しても,以前に調査した影響は少なかった。

・同一問題を異なる学年で実施することで理科問題の定着率を調べた結果,より低学年で正答した 児童生徒であってもより高学年で正答する割合は,全体の正答率より10%高い程度であり,定着率 は高いとは言えないことがわかった。

・理数問題に関しては,ともに男女差は少ないが,女子の方が学年による変化が少ない。

・高校では成績ののぴが理数,読みともに小さかった。

・理科に対する好き嫌いでは,小学校理科は好きが多いが,学年が進むと学習内容が多いとする意 識が増え,それとともに嫌いが増える。一方,小学校算数ではわずかに好きが多い程度であるが,学

(23)

年が進むとともに理科と同様に学習内容が多いとする意識が増え,それとともに嫌いが増えている。

・好き嫌いなど男女差が見られる場合,男子の方が好ましいことが多いが,数学問題の解決過程を 評価する点などでは女子の方が男子よりも好ましかった。

・小学校から中学校や中学校から高等学校へと学校が変わる段階では,成績と好き嫌いとの相互 の影響が大きくなり,前の学校からの影響は同一学校段階の前学年より少ない。

・現行の教育課程になって,高校2〜3年で理科の好きが幾分増えている。

・学校外での学習時間は中学校で最大になっており,高校受験の影響が考えられた。

・教師主導の授業が学年進行とともに強まっていた。

・興味深い授業が科学の価値をよりよく評価するのに影響している。

・科学研究の目的としては,どの学年でも幸福な生活の手段の提供とする技術的な側面の回答が 多かった。

1.2 調査対象校および調査時期

 今年度の対象地域としては次の5県の各1地域であり,それら地域にある公立小学校が調査対 象校とされた。なお,対象学校はこれまで理数長期追跡研究において調査を実施していただいてき た学校である。

        調査県:岩手県,宮城県,福島県,茨城県,山梨県         調査時期:9月初めから11月末目までの約3か月間

1.3 調査内容

 調査内容としては,表1に示すとおり児童に対して3調査(7種目)がある。

 それぞれの調査内容毎に時間を区切り,全体で3校時を使って調査を実施する。調査の回答は,

いずれも5肢選択形式による。各調査の調査時間については「2.平成12年度調査の概要」の表2 を参照のこと。

表1本調査の内容

対象 調査 内容および項目数

児童

理科問題

理科問題20問

算数問題

算数問題20問

児童質問紙I 学習環境,進学観・就職観各10問程度理科の学習,算数の学習各10問

児童質問紙Ⅱ 態度(理数の学習,価値観,情報化,杜会環境など)  40問 児童質問紙Ⅲ 読み問題20問科学観,数学観15問

−15−

(24)

1.5対象児童・生徒および調査年次計画

 本年度は表2の集団Cの小学校第5学年を対象とした。なお,表には理数長期追跡研究の年次

計画も併せて示した。

表2調査年次計画

理数長期追跡研究 理数定点調査研究

年次 年度 調査 集団3 集団2 集団1

集団A 集団B 集団C 集団D

課程改訂

1 1989 高2◇ 中2◇ 小5◇

2 1990 学校で 高3◇ 中3◇ 小6◇

3 1991 の質間 高1◇ 中1◇

4 1992 卒後2 高2◇ 中2◇ 小学校

5 1993 調査  ■ 高3◇ 中3 中学校

6 1994 1 高1 高校1年

7 1995 u 卒後2 高2 中2 高校2年

8 1996 各個人 卒後6 高3 小5 高校3牢 9 1997 に対する 1 1 1 1

1O 1998 郵送票 卒後2 高2

1l 1999 調査 卒後6 中2

12 2000 卒後10

小5

13 2001 卒後2

14 2002 卒後6 高2 小・中学

15 2003 卒後10 中2○ 高校1年

16 2004

小5○ 高校2年

17 2005 卒後6 卒後2 高校3年

1)集団1−3は理数長期追跡研究での追跡対象集団。2)集団A−Dは理数定点調査研究での各対象 集団を示す。学年の後の◇は旧教育課程の対象者を,○は2002年度からの新教育課程の対象者を 示す。卒後とは高等学校卒業後を意味し,続く数値は卒業後の年数を表す。

理数定点調査研究の集団A〜集団Dでは,表2に示すとおり,4年毎に同一学年の児童生徒や 卒業生を対象とした定点調査となるとともに,小5から高2まで,同一地域の集団が調査対象であり,

追跡調査となる。

(25)

2.平成12年度調査の概要

2.1調査目的

 小学校第5学年における理科および算数の到達度と科学的態度に関する調査を通して,それら に影響を及ぼす教育諸因子等に関して調査研究を行う。また,「理数定点調査研究」の一環として,

以前の小5児童との比較ができる。比較のための小5データは前回と同じ13小学校でのデータを用 いたが,適宜平成元年度調査(35小学校,1校統合)と同じ34小学校でのデータも使った。

2.2 調査対象

今年度の調査対象である5地域の公立中学校第5学年について,その数を表1に示す。

表1.調査対象生徒数

調査の種類 13校対象34校対象 調査の種類 13校対象34校対象

質問紙I 質問紙Ⅱ 質問紙Ⅲ

1143名  2086名 算数調査 1142名  2085名 1143名  2086名  理科調査*  1136名  2080名 1143名  2082名  *)落丁8部あり,そのため対象者少ない。

2.3 調査時期

調査時期は,平成12年9月初めより11月末日の間の3校時である。

2.4 調査内容

 生徒に対する調査の種類については,表2に示すとおりである。なお,質問紙については「読み」

を除いて,時問不足による無回答を減らすため,適宜時間の伸縮を可能とした。

 また,調査実施の手引きを次ぺ一ジに,全調査項目と反応率を第Ⅲ章に示す。

表2.調査種目および調査時間 調査群

AB

調査の種類 質問紙Ⅰ(背景・学習)

質問紙Ⅱ(態度) 質問紙Ⅲ(読み)

調査時間

約15分 約15分 15分

調査の種類 算数調査 理科調査 質問紙Ⅲ(科学観)

調査時間 25分 25分 約25分

−17−

(26)

[平成12年度]理数定点調査実施の手引き

         児童調査

    [本年度の調査対象学年は小5です]

(1)調査の種類と調査に要する時間は次のとおりです。

ただし,各時間のはじめに数分の説明時間を見込んでください。

調査 調査用紙の色  項目数  調査時間    備考

調査A質問紙I   緑色

    算数調査    緑色 調査B質問紙Ⅱ  紫色

    理科調査    紫色

調査C 質問紙Ⅲ(1−20)  黄色

    質問紙Ⅲ(21〜35)

40題  約15分

20題  25分

40題  約15分

20題  25分

20題   15分

15題 約25分

表紙の「注意」を 読み上げる。

注)調査実施の順序はこのとおりでなくてもかまいません。

(2)調査実施時に調査用紙を配布してください。なお,調査A及びBでは調  査用紙が各2部ありますので,調査に合わせて順次配布してください。

(3)調査前に調査用紙の表紙にある注意を先生に読み上げていただき,続いて  組,番号,男女,生まれた月日,名まえとふりがなを記入させてください。

(4)回答はすべて五つの選択肢から一つを選択し,その記号を○で囲む形式で  す。はっきりと記入させてください。

(5)(1)の調査時間に従って調査を実施してください。ただし,調査時間に  のついている調査では,進み具合によって適宜時間を調節してください。

(6)各調査終了後は,表紙の氏名等がすべて記入されていることを確認させて  から,調査用紙を回収してください。

◎調査用紙の返送について

回収した調査用紙は,未使用の用紙も含めすべて同封の着払い用紙を使ってペリ カン便で11月末までにご返送くださいますようお願いいたします。その際,調査対象 の小5児童の名簿(名票)も指定の封筒に入れ,ペリカン便に同封してください。

◎調査に対する連絡は下記にお願いいたします。

連絡先:153‑8681東京都目黒区下目黒6‑5‑22

   国立教育研究所  松原静郎

      電話+Fax03‑5721‑5083

(27)

[平成12年度]理数定点調査研究調査実施の手引き

   学校質問紙・教師質問紙

【今年度の調査対象学年は小5です】

① 調査の種類とご回答戴く方は次のとおりです。

種 類 対  象

学校質問紙 学校長,または,それに代わる方(例え  ば,教頭,教務主任の方)

教師質問紙

(履修状況調査)

調査対象学年(小5)の算数または理科を  担当されている先生方全員。

T.T.の場合はお二人ともそれぞれ回答を  お願いします。

② 回答しにくい項目もあるとは思いますが,調査用紙おもて  の回答のしかたにしたがって,必ず答えてください。

 なお,お答え戴いた事項については,本調査の目的以外に

は使用致しませんし,個々の項目に対する回答者がわかるよ

うな発表のしかたは一切致しません。

③ 各項目に対する回答は直接調査用紙にご記入ください。

  なお,教師質問紙中の履修状況調査については,担当され

ている教科または科目についてご回答をお願い致します。

④ ご記入戴いた調査用紙(学校質問紙;1部,教師質問紙;

 担当者数分)は,児童対象の調査用紙等と共に,国立教育

研究所宛ご返送戴きますようお願い致します。

−19−

表 2  同類の単語の回答率 問題 年度 正答 誤答1 誤答2 誤答3 誤答4 無答 バス、電車 汽車 タンカー 遊らん船 ボート ヨット 2000 84.6 5.3 2.4 1.4 1.3 4.9 1996 87.1 6.1 3.5 1.6 0.8 0.9 1989 89.0 3.9 3.3 2.4 0.8 0.6 ダム、 運河 湖 ぬま 海 小川 トンネル 2000 51.6 19.0 12.9 5.4 5.3 5.8 1996 35.5 30.7 19.2 6.9 6.5 1.2 1989 41.3
図 2 同類の2語関係の正答率(%) せまい:広い かたい:やわらか こん虫:みつばち ■2000 11.9 27.7 10 ■1996 17.9 31.7 12.3 ■1989 23.1 39.5 18.4 (4)算数・数学および理科の用語の意味・概念理解  設問[4]は、算数・数学及び理科の用語の意味・概念理解を問う問題である。設問[1] の単なる読み問題の中から算数・数学用語3題、理科2題を選んでいる。その結果は 表4と図3に示した通りである。 表 4 算数・数学および理科の用語の意味・概念理解の回答
表 5 読みと意味、概念の正答率(%) 問題 年度 読みの正答率 意味・概念理解の正答率 偶数 2000 90.0 91.0 1996 84.6 81.0 1989 86.1 85.4 概数 2000 58.0 61.1 1996 42.2 60.7 1989 56.2 57.7 平均 2000 91.5 54.5 1996 90.7 49.4 1989 94.4 46.0 発芽 2000 78.9 74.5 1996 77.7 74.4 1989 81.3 74.2 酸素 2000 88.7 26.6 1

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