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2018年度 学位記授与式 説教

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Academic year: 2021

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2018年度 学位記授与式 説教

星野 正道

 たとえ、人々の異言、天使たちの異言を語ろうとも、愛がなければ、

わたしは騒がしいどら、やかましいシンバル。

 たとえ、預言する賜物を持ち、あらゆる神秘とあらゆる知識に通じ ていようとも、たとえ、山を動かすほどの完全な信仰を持っていよう とも、愛がなければ、無に等しい。

 全財産を貧しい人々のために使い尽くそうとも、誇ろうとしてわが 身を死に引き渡そうとも、愛がなければ、わたしに何の益もない。

 愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶら ない。

 礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。

 不義を喜ばず、真実を喜ぶ。

 すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。

(使徒聖パウロのコリントの信徒への第一の手紙 13章 1 - 7 節)

 本日、学位記を授与され白百合女子大学を巣立ってゆかれるみなさ ん、ご卒業おめでとうございます。このよき日を心待ちにしておられ ましたお父様、お母様、ご親族の皆様まことにおめでとうございます。

心よりお喜び申し上げます。さらに、今ここにはおいでにならない皆 さんの幼い時から温かく関わって下さったすべての先生方、恩人、友 人、そして皆さんに命のバトンタッチして下さったご先祖の皆様にも こころからのお喜びと感謝を申し上げたいと思います。

 さて、ただいま聖書の中からコリントの信徒への手紙が朗読されま

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した。みなさんが今日巣立って行かれるこの白百合女子大学の保護者、

聖パウロがギリシャのコリントの人々に書き送った手紙の一節です。

愛の賛歌とも言われる有名な箇所であります。みなさんはきっとキリ スト教学の授業でこれらの言葉に出会っていらっしゃることでしょう。

ある人がとても知的能力が高く、一般の人々が見透すことのできない 現象を理解できたとしても、難解な知識や論理を解釈しようとも、ま たある人にほかの人がまねることのできないほどの熱心な信仰がある としても愛がなければ意味がないと言っています。またある人が貧し い人のために莫大な財産を寄付したり、この世界の矛盾のために一大 キャンペーンを張ったとしても、それが自分の気前の良さをみんなに アピールするためだったり、自分が社会的に承認されるためだったり、

自分の正義による他者への攻撃でしかなかったとしたら、それは自分 には何の意味はないと言っています。パウロはそこに愛がなければ何 の意味もないと言いたいのです。

 では愛とは何なのでしょう。

 まずパウロは、愛は忍耐強いと言います。忍耐強さという裏付けが なければ愛は愛にならないと言いたいのです。愛が愛として実際に他 者と自分に働きかけるためには、この愛の賛歌があげている愛の中身 がどうしても必要です。忍耐に続いて情け深さ、すなわち人の気持ち がわかること、ほかの人の才能や能力に触れてもねたまないこと、自 分にたとえ優れたところがあったとしても自慢しないこと、傲慢にな らないこと、相手の出方がいかようであっても礼儀を尽くすこと、自 分の利益ばかりを求めないこと、自分の思い通りにならなかったとし てもいらいらしないこと、恨みを抱かないこと、たとえ自分を正当化 するためだからと言って不正なことを喜ばないこと、真理を真理とし て自分の考えや感情を越えて受け入れることを愛の中身としてパウロ はあげています。これらの中身に裏打ちされた愛をすでにみなさんは、

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みなさんを育ててくださったお父様やお母様の後ろ姿として今、思い 出していらっしゃることでしょう。しかし、卒業生のみなさんもまた 大学で学ぶと言うことを通してこれら愛の中身をすでに鍛えていらっ しゃいます。どうかみなさん、みなさんが受け、白百合女子大学が伝 えようとした愛の中身をこれからもさらに十全に生きていってくださ い。

 このことについて、本学の初代学長、スール・クララ三島初江先生 は次のように語っております。

 「愛に変わり得ない知識はむなしい。大学において修得した知識は愛 に変えなければなりません。それは将来、家庭や社会において周囲に 喜びを慰めを与えることによって愛となります。この大学で学ぶ女性 たちは修得した知識を愛に変えて社会に貢献してくれることと信じて おります。」

 みなさん、周囲に慰めを与えるためには愛の中身が必要です。この 愛の中身を獲得するためにも、みなさんはそれぞれ、ご専門とされた 深遠な学問領域に分け入り、それに取り組まれたのです。どうぞ愛の 中身を知っている人として、愛の中身をさらに研ぎ澄ませ完成を目指 す喜びの人として今日、この白百合を巣立っていってください。

 ある時その喜びが見つけられない時もあるでしょう。

 でもその時こそ、この白百合女子大学で諸先生方から受けた貴い教 えと、そこでみがかれた皆さんの知性と感性を縦横に使ってみてくだ さい。そうすることで生まれてきて良かったと思える人生へと歩みを 進めて行ってください。

 いつも皆さんのために祈ることを約束します。思い出したらいつで もこの緑あふれるキャンパスに帰っていらしてください。

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 ご卒業おめでとうございます。皆さんの幸せをすべての白百合女子 大学のメンバーはいつもお祈りしています。

 全能の神、父と子と聖霊の祝福が皆さん上にありますように。

*本稿は、2019年 3 月をもってご退職される星野正道神父による学位記授与式 の説教です。編集委員会の求めに応じてご寄稿くださいました。星野神父様 は本学カトリック教育センター(旧宗教科)教授職を15年にわたってお務め になられたかたわら、カトリックの司祭としてミサや宗教行事の司式、セン トポール・コイノニアルームでのご指導や教職員への講話、その他、学内外 からの様々な求めに応じてキャンパス・ミニストリーを献身的に担い、支え てくださいました。カトリック大学である本学の建学の精神を内実を伴った ものとして維持し、浸透させるために尽くしてくださった星野神父様のお働 きに心から感謝いたします。本学を卒業し社会に巣立ちゆく学生に向けられ た説教を、本学に関わる全ての人へのメッセージとして共有できれば幸いに 存じます。

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