• 検索結果がありません。

〈研究論文〉論説:高等教育機関におけるアファーマティヴ・アクションの合憲性に関する判例法理の現在--転換点としてのFisher v. University of Texas at Austin, 133 S. Ct. 2411(2013)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "〈研究論文〉論説:高等教育機関におけるアファーマティヴ・アクションの合憲性に関する判例法理の現在--転換点としてのFisher v. University of Texas at Austin, 133 S. Ct. 2411(2013)"

Copied!
130
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

近畿大学工学部 紀要43 平成25年12月発行抜刷

Article:Constitutional Requirements for Affirmative Action in Higher Education

Jun SAIJO

合憲性に関する判例法理の現在

― 転換点としての Fisher v. University of Texas at Austin, 133 S. Ct. 2411 (2013). ―

西 條   潤

(2)

論説:高等教育機関におけるアファーマティヴ・アクショ ンの合憲性に関する判例法理の現在 ―転換点としての Fisher v. University of Texas at Austin, 133 S. Ct. 2411

(2013).

西 條 潤

Article : Constitutional Requirements for Affirmative Action in Higher Education

Jun SAIJO

1.【はじめに】

アファーマティヴ・アクションほど、論争を呼び、軋轢を生む問題は他にない

1。そう言われてから久しい現在においても、アメリカ合衆国におけるこの論争 に終止符が打たれる気配は感じられない。2012年開廷期、アメリカ合衆国連邦 最高裁判所(以下、「連邦最高裁判所」と略記する。)の審理するある訴訟が注目 を集めていた。Fisher v. University of Texas at Austin2である。本件における 争 点は、 合否 判定に おいて 人種を 様々 な加点 要素の 1 つとし て考慮 に入れ る

Texas大学Austin校(以下、「Texas大学」と略記する。)の学部入学者選抜制度

がアメリカ合衆国憲法修正 14条の平等保護条項(以下、「平等保護条項」と略記 する。)に違反しないかという点である。

近畿大学工学部教育推進センター

Center for the Advancement of Higher Education, Faculty of Engineering, KinkiUniversity

(3)

実は、連邦最高裁判所は、10 年前にも、高等教育機関におけるアファーマテ ィヴ・アクションの合憲性について、2つの事案で判断を下している。1つは、

Michigan大学の学部入学者選抜制度の合憲性が争われたGratz v. Bollinger3

もう1つは、Michigan大学ロー・スクールの入学者選抜制度の合憲性が争われ

たGrutter v. Bollinger4である。連邦最高裁判所は、前者においては、「すべて の “ 不 十 分 な 数 の 入 学 者 し か 出 て い な い マ イ ノ リ テ ィ 集 団(underrepresented

minority)”に属する志願者に対し、人種のみを理由として、入学を認められる

ために必要な点数の5分の1である20点を自動的に与える入学者選抜制度は、

教 育 上 の 多 様 性 に 関 す る 利 益 を 得 る た め に 厳 密 に 設 え ら れ た(narrowly

tailored)ものではない」として違憲判断を下し5、対照的に、後者においては、「平

等保護条項は、Michigan大学ロー・スクールが学生集団の多様性によって生み 出 さ れ る 教 育 上 の 利 益 を 得 る こ と に 関 す る や む に や ま れ ざ る 利 益(compelling

interest)を促進するために合否判定において厳密に設えられたやり方で人種を

考慮すること(narrowly tailored use of race)を禁止していない」として、「各志 願者の個別の適性(particular qualifications)に鑑みて多様性と直接関連するす べての要素を考慮に入れ」、「“‘加点要素’”の1つとしてのみ人種または民族を 考慮に入れる」入学者選抜制度に合憲判断を下している6。これらの2つの判決 は、結論こそ異にしているが、その根底には、さらにそこから遡ること25年前 のRegents of the University of California v. Bakke7においてPowell裁判官の 示した考えが横たわっている。100名の合格枠のうち16名分を特定のマイノリ ティの人種集団に属する志願者にのみ割り当てるCalifornia大学Davis校メデ ィカル・スクールの入学者選抜制度を違憲とした同判決の意見において、Powell 裁判官は、以下のような考えを示している。「やむにやまれざる政府利益を促進 する多様性とは、人種または民族的出自(ethnic origin)がただの1つの、しかし ながら重要な要素として含まれている膨大な数の適性および特性(a far broader array of qualifications and characteristics of which racial or ethnic origin is but a single though important element)を含む」ものであり、「選ばれた人種集 団または民族集団に属する個人が実際に学生集団のなかにある特定の割合含ま れているようにすること」という「人種または民族の多様性にもっぱら焦点をあ てる」ことは、「真の多様性を獲得することを促進するどころかむしろ、これを 妨げることになる」8。入学者選抜制度がこの意味におけるやむにやまれざる利 益に資するものであるためには、入学者選抜において、「ある特定の志願者の人 種または民族を“加点要素(plus)”として考える」ことは許されるが、「合格枠

(available seats)をめぐる他のすべての志願者との競争から当該志願者を遮断す

る(insulate)」こと、または「他の志願者との比較を行う際に人種という要素を

(4)

決定的なものにする」ことは許されない9。つまるところ、入学者選抜制度は、「人 種とは無関係に個別の評価(individualized consideration)」10を行い、「各志願者 を個人として扱う」ものでなければならないのである11。このような考えが下敷 きになり、一方の Gratz 判決においては、十分な数の入学者の出ていないマイ ノリティ集団に属する志願者に20点を自動的に与えるMichigan大学学部入学 者選抜制度は、「人種という考慮要素を...決定的な”ものにする効果」12を有して おり、志願者の「個別評価(individualized consideration)を行っていない」13と されたが、他方のGrutter判決においては、Michigan大学ロー・スクールの入 学者選抜制度は、「一定の人種集団に属する個人のために割当制(quotas)を設け たり、当該個人に分離された入学者選抜制度を受けさせたり」せず、くわえて、

「一定の人種集団または民族集団に属する志願者を合格枠をめぐる競争から遮

断する(insulate)」こともせず、「人種または民族を“加点(plus)”要素として」、

「 柔 軟 で 、 機 械 的 で な い や り 方 で 考 慮 す る 」、「 真 の 個 別 評 価(truely individualized consideration)」を行っており、「目的を達成するために厳密に設 えられた制度の顕著な特徴(hallmarks)を備えている」とされたのである14

連邦最高裁判所の以上の判断をふまえれば、Michigan大学ロー・スクールの 入学者選抜制度と類似する Texas 大学の入学者選抜制度の合憲性は、比較的容 易に首肯されるように思われる。しかしながら、「今から25年後には、本日当裁 判所がやむにやまれざるものと認めた利益を促進するために人種優遇措置を利 用する必要性がもはやなくなっていることを期待する」とGrutter判決法廷意見 において述べたO’Connor裁判官の言葉も空しく15、連邦最高裁判所は早々と、

高等教育機関におけるアファーマティヴ・アクションの合憲性を審査することに なったのである。

2.【事実の概要】

Texas州に在住するAbigail Fisherおよび Rachel Michalewiczはともに、

2008年秋にTexas大学への入学を志願した。同年の志願者は、29501名にのぼ

り 、 こ の う ち 、12843 名 の 入 学 が 認 め ら れ(admitted)、6715 名 が 入 学 し た

(accepted and enrolled)が、彼女らの入学は認められなかった。そこで彼女らは、

Texas大学の入学者選抜制度は人種に基づき彼女らを差別するものであって、合

衆国憲法修正 14条の平等保護条項および連邦法16に違反するものであると主張 し、差止命令および宣言的判決による救済(injunctive and declaratory relief)に くわえ、損害賠償を求めて、Texas州西部地区管轄連邦地方裁判所(United States District Court for the Western District of Texas)(以下、「連邦地方裁判所」と略 記。)において、Texas大学および同大学の様々な大学職員(University officials)

(5)

に対する訴訟を提起した。

本件において問題になった Texas 大学の入学者選抜制度は、複雑な経緯をた どって構築されたものである。

同大学の入学者選抜制度に最初の転機をもたらしたのは、1996年のHopwood v. Texas17である。Hopwood判決が下されるまでの数年にわたり、Texas大学は、

次の2つの考慮要素をもとに入学者選抜を実施していた。その考慮要素とは、志 願 者 の 受 験 し た SAT(Scholastic Assessment Test)な い し ACT(American

College Test)の得点および高等学校における学業成績をもとに算出される評価

点である学業成績指標(Academic Index)(以下、「AI」と略記。)と、志願者の人 種である。しかしながら、Hopwood判決において、連邦第5巡回区控訴裁判所

が、「Texas 大学ロー・スクールが学生集団の多様性を実現するために人種また

は民族を考慮に入れることは、いかなる形であれ、合衆国憲法修正14条の求め るやむにやまれざる利益(compelling interest)ではない」18と判断したことに伴

い、Texas大学は、入学者選抜において志願者の人種を考慮することをとりやめ

た。そのかわりに、Texas大学は、AIとあわせて、新たに、個人業績指標(Personal Achievement Index)(以下、「PAI」と略記。)を用いて、志願者が同大学に貢献 しうる可能性を人物全体をみて評価することにした。PAIは、小論文2本の評価 点と、以下のことがらに対する評価点をもとにして算出される評価点である19。 そのことがらとは、志願者に統率力があるか(student’s leadership)、志願者に職 歴があるか、志願者が奨学金を受けたことがあるか(awards)、志願者が課外活動 を行っていたか(extracurricular activities)、志願者が地域奉仕活動を行ったこ とがあるか(community service)、この他、志願者の人となりを見抜かせてくれ る特別な事情(special circumstances)があるか、というものである。この特別な 事情には、志願者が一人親の家庭で成長したか否か、家庭で英語以外の言語が用 い ら れ て い る か 否 か 、 志 願 者 が 配 偶 者 等 の 家 族 に 対 す る 扶 養 義 務(significant family responsibilities)を負っているか否か、さらには、志願者の家族の置かれ た社会的・経済的地位(socioeconomic condition)、志願者の出身高等学校の社会 的・経済的地位、志願者のSATないしACTの得点が当該志願者の高等学校にお ける平均得点よりも高いか否かが含まれている。これらの事情の多くは、評価の 対象にした場合に、アフリカ系アメリカ人およびヒスパニック等のマイノリティ 集団に属する志願者に有利にはたらくものである。そのため、Texas 大学は、

Hopwood 判決の影響によって入学者数の減少した彼らの入学率を向上させるこ

とを意図して、上記の特別な事情を考慮する人種中立的な入学者選抜制度を運用 することにしたのである。この他にも、Texas大学は、マイノリティ集団に属す る志願者の入学率を向上させて多様性を増進することを意図して、奨学金制度を

(6)

創設したり、マイノリティ集団に属する生徒の通う高校にはたらきかけて入学を 支援・促進するための取り組み(outreach program)を活発に行ったりしてきた。

Texas州議会もまた、Hopwood判決に対応して、1997年、成績上位10%法(Top Ten Percent Law)として知られる法律を制定した20。同法は、一定の基準をみた

すTexas州の高等学校において成績が学級の上位10%に入る生徒すべてに対し、

Texas大学を含むすべての州立大学への入学を自動的に認めることにした。

こうして、Texas大学は、合格定員の90%を割り当てられているTexas州在 住の志願者を対象に以上の制度を併用して、まずは、成績上位 10%法を適用し て機械的に入学者選抜を実施し、その後、AIおよびPAIをもとにして入学者選 抜を実施することになった。この結果、Texas大学は、人種的に多様な環境を生 み出すことに成功し、Hopwood判決が下された直後には、アフリカ系アメリカ 人の学生は新入生全体の2.7%、ヒスパニックの学生は新入生全体の12.6%であ ったが、この数値はそれぞれ、上記入学者選抜制度がさらに改変されるまでの間 に、4.5%、16.9%にまで上昇した。

2004 年、Texas大学の入学者選抜制度は、次なる転機を迎えた。同大学は、

志願者の人種を考慮に入れる入学者選抜制度を再導入することにした。このこと は、2004年6月、合否判定において人種および民族を考慮することに関する提 案(Proposal to Consider Race and Ethnicity in Admissions)(以下、「2004年提 案」と略記。)と題する文書によって発表された。Texas 大学が入学者選抜にお いて再び志願者の人種を考慮することにしたのは、2004年提案に先立ってTexas 大学が実施した調査によって、以下のことが判明したからである。それは、① 2002年秋の時点で、5名から24名の参加者のいる小規模な講義科目の90%に おいては、アフリカ系アメリカ人の学生は1名もいないか、または1名しかおら ず、46%においては、アジア系アメリカ人の学生が 1 名もいないか、または 1 名しかおらず、43%においては、ヒスパニックの学生が 1 名もいないか、また は1名しかいないということ、②大学内の多様性および教室における多様性に関 する印象について、マイノリティ集団に属する学生は孤立感を覚えると答え、多 数の学生が、教室において、多様性によって十分に利益が生み出されているとい えるほど十分な数のマイノリティ集団に属する学生がいないと感じていること である。この調査結果を受けて、Texas大学は、マイノリティ集団に属する学生 の数がクリティカル・マス(critical mass)に達しておらず、これを改善するため には、入学者選抜において人種を考慮することが必要不可欠であると結論するに 至ったのである。この動向の背景には、連邦最高裁判所の下した Gratz 判決お

よびGrutter判決がある。連邦最高裁判所が、前者において、特定の人種的マイ

ノリティ集団に属する志願者に機械的に加点するMichigan大学の学部入学者選

(7)

抜制度を違憲としながらも、後者において、志願者が個性を発揮して大学に貢献 できるか否かを総合的に判断するにあたり数多くの加点要素の 1 つとして人種 を考慮するMichigan大学ロー・スクールの入学者選抜制度を合憲としたことを 受 け て 、Texas 大 学 は 、PAI を 算 出 す る 際 に 考 慮 さ れ る 特 別 な 事 情(special

circumstances)の1つに志願者の人種を含めることにしたのである。これが、本

件において争点になっている入学者選抜制度である。

3.連邦地方裁判所判決

連邦地方裁判所は、損害賠償責任(liability)と救済(remedy)を分離して訴訟手 続を進め、2009年8月17日、損害賠償責任の成立を認めず、以下のとおり、

正式事実審理を経ないでなされる判決(summary judgment)を下した21

「Grutter判決が現在においても妥当性を失っていない(remains good law)か ぎり、Texas大学における現行の入学者選抜制度(admissions program)は合憲で ある」22

Grutter v. Bollingerにおいて問題になったのは、「“志願者のもつ才能、経験 および周囲の者の学びに貢献しうる可能性に対する柔軟な評価とあいまった学 問的能力(academic ability)に重点をおく”ことを“顕著な特徴(hallmark)”」と

するMichigan大学ロー・スクールの入学者選抜制度である23。同ロー・スクー

ルは、「利用しうるありとあらゆる情報をもとに志願者個人を個別に評価する」

入学者選抜過程を通じて24、「きわめて適性のある有望な学生集団を選抜するこ とにくわえ、“互いに尊重し、互いに学び合うであろう、様々な背景と経験をも つ多種多様な学生”を入学させようとしていた」25。具体的にいえば、Michigan 大学ロー・スクールの入学者選抜方針は、「“人種および民族の多様性”、特に、

アフリカ系アメリカ人(African-Americans)、ヒスパニック(Hispanics)、アメリ

カ先住民(Native Americans)のように歴史的に差別を受けてきた集団から学生

を迎え入れることに同ロー・スクールが使命を燃やすこと(commitment)」を明 確にしていた26。もっとも、「同ロー・スクールがこのことに使命を燃やさなけ れば、これらの集団からは有意義な数(meaningful numbers)の学生が選抜され ないことにもなりかねない」27ため、「同ロー・スクールは、“これらのマイノリ ティ集団に属する入学者の数を‘クリティカル・マス’”に到達させることによ って、彼らが同ロー・スクールの品格(character)にとってまたとない貢献をでき るようにしようとし」28、「合否判定において人種を 1つの考慮要素として用い る」ことにしたのである29

Grutter v. Bollingerにおいては、この入学者選抜制度がアメリカ合衆国憲法 修正14条の平等保護条項等に違反しないかという点が、1996年にMichigan大

(8)

学ロー・スクールへの入学を認められなかった Michigan 州在住の白人である Barbara Grutterによって争われた30。Grutter判決において、アメリカ合衆国 連邦最高裁判所は、「政府が人種を基準に分類を行う(racial classifications)場合 は常に‘厳格審査基準(strict scrutiny)’を適用した司法審査が行われなければ ならない。厳格審査基準をみたすには、当該分類が“やむにやまれざる政府利益 を促進するために厳密に設えられて(narrowly tailored to further compelling governmental interests)”いなければならない」と述べ31、「平等保護条項は、

Michigan大学ロー・スクールが学生集団の多様性によって生み出される教育上

の利益を得ることに関するやむにやまれざる利益(compelling interest)を促進す る た め に 合 否 判 定 に お い て 厳 密 に 設 え ら れ た や り 方 で 人 種 を 考 慮 す る こ と (narrowly tailored use of race)を禁止していない」と判断した32

Grutter判決は、学生集団の多様性によって生み出される利益を以下のように

表現している。「Michigan大学ロー・スクールの入学者選抜制度は、“人種相互 の理解(cross-racial understanding)”を促進し、人種に関する偏見を打破するこ との一助となり、“学生が他の人種の個人をよりよく理解できるようにする”。“可 能なかぎり多種多様な背景をもつ”学生が集まれば、“教室における討議は、よ り活発な、より生気のみなぎる、より一層啓発的で興味深いものである”ため、

これらの利益は、“重要で、賞賛すべき”ものである」33。「さらに、学生集団に 多様性があれば、“ますます多様化しつつある職場と社会によりよく適応できる よう学生を訓練し、さらに彼らを専門家としてよりうまく訓練することができ る」34。「市民の目からみて正当性を有する一群の指導者を養成するには、指導 者へと続く途がありとあらゆる人種および民族の有能かつ適性を有する個人に 目に見える形で開かれていることが必要不可欠である」35。要するに、連邦最高 裁判所は次のように判断したのである。「大学は、教室での討議をうまく利用し て、次世代の指導者を生み出し、人種に関する偏見を解消するために、入学候補 者の情報(file)を評価する際に人種を“加点要素(plus)"として考慮することによ って、マイノリティ集団に属する入学者の数を、“不十分な数の入学者しか出て いないマイノリティ集団に属する学生(underrepresented minority students)が 教室に参加することを促し、彼らが孤立感を覚えたり自分たちの人種を代弁して

いる(spokespersons)かのように感じたりせずにすむ数”として説明される“ク

リティカル・マス”に到達させることができる」36

Grutter 判決を受けて、Texas 大学は、「入学者選抜制度の一部として入学候

補者の人種および民族を考慮するか否かを決定するために」調査を実施し37、「学 部への志願者の合否判定を行う過程において人種を1つの考慮要素とする」入学 者選抜制度を導入することにした38。Texas大学が、2004年提案において詳説し

(9)

た、当該制度導入の理由は、「Michigan大学ロー・スクールが合否判定過程にお いて人種を1つの考慮要素とすることにつき提示し、連邦最高裁判所が厳格審査 基準をみたすものと判断した(approved)正当化理由を厳密に模倣している。いず れの入学者選抜制度も、“人種相互の理解(cross-racial understanding)”を促進 し、“人種に関する偏見を打破し”ようとし、学生が他の人種の個人をよりよく 理解し異文化と共存して働くことのできる労働者として役割を果たせるようよ りよく準備できるようにし、国の次なる一群の指導者を養成し、さらには、マイ ノリティ集団に属する学生が“自分たちの人種の代弁者(spokespersons)”とし ての役割を果たさずにすむようにしているのである」39

Grutter 判決において、連邦最高裁判所は、「多様性のある学生集団を獲得す

る こ と は 、Michigan 大 学 ロ ー ・ ス ク ー ル と い う 組 織 に と っ て の 適 切 な 使 命 (proper institutional mission)の核心部分にあり、‘反証されること(showing to the contrary)’のないかぎり、大学として誠実に‘(good faith)’多様性のある 学生集団を獲得しようとしていたものと‘推定される(presumed)’」と述べてい

40。「Michigan大学ロー・スクールがやむにやまれざる利益を有していると連

邦最高裁判所が判断したことにとって決定的に重要であったのは、同ロー・スク ールは、ある特定の集団が単にその人種または民族的出自(ethnic origin)を理由 として学生集団のなかにある特定の割合を占められるようにしようとはせずに、

マイノリティ集団に属する学生の数が“クリティカル・マス”に到達するように しようとしていたという事実である」41。「マイノリティ集団に属する学生の数 がある特定の割合を占められるようにしようとしていたなら、それは、連邦最高 裁判所が人種割当制(racial quota)および“人種均衡状態を生み出そうとするあ からさまな行為(outright racial balancing)”を禁止していることと抵触するこ とになる」42

このことと関連して、原告らは次のように主張している。「Texas 大学は、目 標として設定した多様性に“限度を設けていない(open-ended)”ため、換言すれ ば 、 不 十 分 な 数 の 入 学 者 し か 出 て い な い マ イ ノ リ テ ィ 集 団(underrepresented

minorities)に属する学生の数がクリティカル・マスに到達するために彼らが学生

集団のなかに占めなければならない割合をまったく定義しようとしていないた

め、Texas大学が人種を考慮することは、学生集団の多様性によって生み出され

る 教 育 上 の 利 益 と は 結 び 付 い て い な い 」 の で あ っ て 、「 む し ろ 、 そ の こ と は 、

“Texas 大学が Texas州における人種に関する人口統計を反映した人種均衡状

態を生み出そうとしたこと(pursuit of racial balancing)を表している”」43。 この主張についてもっとも重要なことは、「Grutter 判決のなかには、大学が それを実現しなければクリティカル・マスに到達したことにはならないある特定

(10)

の割合、またはある幅の割合(a specific percentage, or range of percentages)が あるということを示唆する部分は存在しない」ということである44。「それどこ ろか、Grutter判決は、正反対の命題(proposition)を支持している。――つまり、

Grutter判決は、マイノリティ集団に属する学生が学生集団のなかに占めなけれ

ばならない特定の割合を大学(school)が明確に表現すれば、人種均衡状態を生み 出すことまたは人種割当制(racial balancing or racial quotas)を禁止している憲 法に違反することになる、という命題を支持しているのである」45。「マイノリ ティ集団に属する入学者の占める特定の割合を明確に設定すれば、人種を意識し た入学者選抜制度が合憲であるために“もっとも重要な(paramount)”特性、す なわち各志願者を柔軟かつ個別に評価するという特性が失われることになる」46

Grutter 判決によれば、「クリティカル・マスについて特定の割合が明確に設定

されていると、人種割当制が実施されている、または人種均衡状態が生み出され ており違憲であるということが強く示唆されるため、クリティカル・マスは、数 値で示される割合を達成したか否かではなく、個々の学生が入学することによっ て生じる教育上の利益に基づいて定義されなければならない」のである47。以上 の見地に立って、「連邦最高裁判所は、ロー・スクールが“クリティカル・マス”

を 、“ 有 意 義 な 数(meaningful numbers)”、“ 有 意 義 な 入 学 者 数(meaningful

representation)”、“不十分な数の入学者しか出ていないマイノリティ集団に属

する学生を後押しして教室に参加させたり孤立感を覚えさせないようにする数 (a number that encourages underrepresented minority students to participate in the classroom and not feel isolated)”または“不十分な数の入学 者しか出ていないマイノリティ集団に属する学生が教室に参加することを促し、

彼らが孤立感を覚えたり自分たちの人種を代弁している(spokespersons)かのよ う に 感 じ た り せ ず に す む 数(numbers such that underrepresented minority students do not feel isolated or like spokespersons for their race)”として漠然 と定義することを、これらの定義を判決において引用することによって、暗黙の うちに支持しているのである」48

原告らは、「マイノリティ集団に属する入学者に関するクリティカル・マスは、

入学者全体の20%を超えるものであってはならない」と述べ49、「Texas大学は、

人種中立的手段を通じて、特に顕著なところでいえば成績上位10%法を通じて、

既に“クリティカル・マス”を獲得しているか、または既にこれを超過している ため、やむにやまれざる利益を有していない」と主張している50

「Grutter判決のなかには、マイノリティ集団に属する入学者の割合が“クリ

ティカル・マス”に到達するある特定の割合が存在すること、さらには、その割 合を超過すると大学は入学者選抜において人種を考慮することに関するやむに

(11)

やまれざる利益を失うということを示唆する部分は、明らかに存在しない」51。 くわえて、「マイノリティ集団に属する入学者に関するクリティカル・マスは、

入学者全体の 20%を超えるものであってはならない」という主張を根拠づける ために原告らが引き合いに出した裁判例は、原告の意図とは裏腹に、次のような 結論を導くものである52。当該裁判例の引用する「20%という数値は、“それを 下回るとマイノリティの人種集団に属する者がある所与の環境において孤立感 を覚え、劣等の烙印をおされたという感覚になる数”である。そのため、この論 理によると、20%は、これを達成しなければ孤立感または劣等の烙印をおされた 感覚(isolation or stigmatization)を避けることができない最低限の割合であっ て、最大限の割合ではなく、当該割合は、マイノリティ集団に属する学生の総数 ではなく“個々のマイノリティ集団(a minority group)”に適用される」53

原告らは、「Texas 大学が人種を考慮することは、主としてアフリカ系アメリ カ人およびヒスパニックに利益を与えるものの、他のマイノリティ集団、具体的 に言えばアジア系アメリカ人(Asian-Americans)はその恩恵に浴していないため、

“クリティカル・マスを実現することによって獲得できる教育上の利益とは関連 性がない”」と主張している54

しかしながら、「原告らは、アフリカ系アメリカ人およびヒスパニック以外の 人種集団が人種を考慮要素とする Texas 大学の入学者選抜制度からまったく恩 恵を得ら れていない(excluded)ことを 明らかにする証拠を まったく示してい な い。被告らが指摘するように、“出願書類全体の完全な文脈のなかで人種を考慮 す る こ と(the consideration of race, within the full context of the entire application)は 、 白 人 お よ び ア ジ ア 系 ア メ リ カ 人(Asian-Americans)を 含 む 、

Texas 大学の志願者の誰にとっても有益であるといってよい”」55。くわえて、

「Grutter判決のなかには、すべてのマイノリティ集団を一様に優遇することを

大学に求める判示は存在しない。連邦最高裁判所が確認したとおり、Michigan 大学ロー・スクールの入学者選抜方針は、アジア人(Asians)にもユダヤ人(Jews) にも言及していない。なぜなら、“それらの集団からは既にかなりの数の個人が 同ロー・スクールに入学している”からである」56。「連邦最高裁判所は、“不十 分 な 数 の 入 学 者 し か 出 て い な い ” マ イ ノ リ テ ィ 集 団 に 属 す る 個 人 (“underrepresented”minority students)の入学を確保することについてロー・

ス ク ー ル が 利 益 を 有 す る こ と を 認 め て い る 」57。「Grutter 判 決 は 、 明 確 に

(explicitly)、どのマイノリティ集団が入学者選抜において人種を考慮することか

ら恩恵を受けるべきかを決定する際に大学が裁量を行使することを容認してお り、さらに、大学が“不十分な数の入学者しか出ていない”マイノリティ集団 (“underrepresented” minority groups)に属する個人の入学を認めることが重

(12)

要であることを強調しているのである」58

原告らは、「入学者選抜において人種を考慮することと関連して人口統計に関 する情報を参照することは、“Texas 大学における人種に関する人口統計を操作

して Texas 州における人種に関する人口統計に対応させようとする試み”に該

当し、憲法に違反して人種均衡状態を生み出そうとしているも同然である」と主 張している59

「“ 不 十 分 な 数 の 入 学 者 し か 出 て い な い ” マ イ ノ リ テ ィ 集 団 (“underrepresented” minority group)というただの概念は、必然的に、マイ ノリティ集団に属する個人の大学への入学者数と社会における彼らの数を比較 すること(the comparison of a minority group's representation at a university to its representation in society)を必要とする。;そうしなければ、どのマイノリ ティ集団が不十分な数の入学者しか出ていない集団といえ、どのマイノリティ集 団がそうでないといえるのかを判断する方法は、他に存在しない。人種均衡状態 を生み出すことまたは人種割当制(racial balancing or racial quotas)を禁止して いる憲法は、社会の人口統計を完全に無視することを大学に対して求めてはおら ず、むしろ、大学がマイノリティ集団に属する志願者を他のすべての志願者との 競争から隔離すること、またはマイノリティ集団に属する志願者のために一定数

の合格枠(positions)を留保しておくことを禁止している。Texas大学がマイノリ

ティ集団に属する学生を競走から隔離していたり、彼らのために一定数の合格枠 を留保していたりすることを示唆する証拠さえ存在しない」60

原告らは、「“個々の教室における多様性(individual classroom diversity)”が やむにやまれざる利益として認められたことなどない」と主張している61

「被告らは、個々の講義すべてにおいて多様性を実現することにつきやむにや まれざる利益を有していると主張してはいない。被告らが主張するように、個々 の学生の時間割を管理するという非現実的で前代未聞のことをしなければ、その ような試みは、たいてい実現不可能であろう。そうではなく、数千もの講義にお いてアフリカ系アメリカ人およびヒスパニックの学生の数が大幅に不足してい るということは、Texas大学は同大学の学生が多様性から利益を得られるほどに 十分なクリティカル・マスを獲得できていないということを示しているうえに、

同大学がそれらの利益を得るために入学選抜において人種を考慮要素とする必 要のあることを例証しているのである。Grutter判決がやむにやまれざるものと 認めた利益は、主として教室のなかで生み出されるものである。;そのため、マ イノリティ集団に属する学生が多数の講義において不足しているということは、

Texas 大学が継続してキャンパス全体で多様性を増進させる必要のあることを

示している」62

(13)

「連邦最高裁判所は同時に、Texas 州成績上位 10%法と類似する、“成績上位 学生の一定割合の者に自動的に入学許可を与える制度(percentage plan)”を含む 人種中立的手段が存在するにもかかわらず、ロー・スクールの入学者選抜制度は 目的を達成するために厳密に設えられている(be narrowly tailored)と判断して いる」63

「Texas 大学が学生集団の多様性を実現することについてやむにやまれざる

利益を有していると判断したなら、次に、Texas大学が入学者選抜において人種 を考慮することが当該利益を促進するために厳密に設えられているか否かを判 断しなければならない」64

「Texas大学の入学者選抜制度と連邦最高裁判所がGrutter判決において合憲

と判断した入学者選抜制度が明らかに類似していることをふまえると、同大学の 入学者選抜制度は、文面上(on its face)、目的を達成するために厳密に設えられ ている(be narrowly tailored)」65

「 目 的 を 達 成 す る た め に 厳 密 に 設 え ら れ て い る と い う に は(To be narrowly tailored)、人種を意識した入学者選抜制度(race-conscious admissions program) は、割当制を用いるものであってはならないし―“一定の望ましい特質を備えた 各志願者集団を他のすべての志願者との競争から分離する(insulate)”ものであ ってはならない。大学は、“合格枠に入ることを目指す他のすべての志願者との 比較から当該個人を遮蔽する(insulate)”ことなく、人種または民族を単なる 1 つの“加点要素(plus)”として考慮しなければならない」66

「手段の厳密性審査(narrow tailoring)は、考えうるありとあらゆる人種中立的 手段を使い尽くすことを求めてはいない。手段の厳密性審査(narrow tailoring) は、大学に対し、優秀であるという名声を守ることと、すべての人種集団に教育 を受ける機会を提供するという使命を果たすことのどちらかを選択するよう迫 るものでもない…しかしながら、手段の厳密性審査(narrow tailoring)は、大学 の求める多様性を実現することのできる実行可能な人種中立的手段を真摯に誠 実 に 考 慮 す る こ と(serious, good faith consideration workable race-neutral alternatives)を要求する」67

「Texas 大学は、入学者選抜過程において、考慮要素のなかの考慮要素のなか

の考慮要素のなかの考慮要素として人種を考慮している」68。人種は、成績上位 10%法の適用されなかった志願者の合否判定に用いられる2つの要素のうちの1 つである PAI を構成する 3 つの要素のうちの 1 つである個人業績点(Personal Achievement Score)を構成する6つの構成要素の1つである「7つの特別な事情

“(special circumstances)”のうちの1つである」69。「入学者選抜過程において、

人種が個別に考慮されたり数値換算された評価を与えられたりする局面は、どこ

(14)

にも存在しない。;志願者の情報(file)は、当該志願者を個人としてよりよく理解 できるようにし、当該志願者の業績を文脈のなかで見定める(place)ために、その 全体が評価される(in its entirety)」70。「志願者の人種は、入学者選抜過程の最 初から最後まで常に考慮しうる(available throughout the application process) が、ある志願者の合否を判定するために合格者集団内の人種構成または民族構成 を 監 視 す る 入 学 試 験 事 務 局 員(admissions office employee)そ の 他 の 要 員 は Texas大学にはいない」71

「Texas 大 学 の 入 学 者 選 抜 制 度 は 、Grutter 判 決 に お い て 問 題 と な っ た

Michigan大学ロー・スクールの入学者選抜制度と同じ特徴を有している」72

「連邦最高裁判所は、Michigan大学ロー・スクールの重要な特徴を以下のよ うに、表現している。:

Michigan大学ロー・スクールは、各志願者の情報(file)をきわめて個別化し

てその全体を審査し(engages in a highly individualized, holistic review)、教 育環境に多様性を生み出すことに志願者が貢献しうるありとあらゆる点を真 摯に考慮している。Michigan大学ロー・スクールは、ありとあらゆる人種の 志願者に関し、この個別審査(individualized consideration)を行っている。“柔 軟に評価の変動する”考慮要素(“soft”variable)の 1つをもとにして機械的 に合否判定を行う方針は、法的にも事実としても(either de jure or de facto) 存在しない。Gratz 事件において争点となっている入学者選抜制度とは異な

り・・・Michigan大学ロー・スクールは、人種または民族を根拠として、多様性

を生み出すことに貢献しうることに対し、予め定められた“特別な加点評価

(bonuses)”を機械的に与えてなどいない・・・Harvard大学の入学者選抜制度と

同じく、Michigan大学ロー・スクールの入学者選抜制度は、“各志願者の個別

の適性(particular qualifications)に鑑みて多様性と直接関連するすべての要 素を考慮に入れ、そのうえで、それらの要素に必ずしも同じ重みづけを与える わけではないが、それらの要素を同じ考慮の俎上に載せる(place them on the same footing for consideration)ほ ど 十 分 に 柔 軟 な も の で あ る ” ・ ・ ・ ・ ・ ・

Michigan大学ロー・スクールの現行の入学者選抜制度は、人種を含むより広

い意味において多様な学生からなる集団を集めるための活動のなかで、人種を、

数多くある考慮要素のうちの1つとして考慮するものである」73

「同様に、Texas大学の入学者選抜制度は、すべての志願者を、人種または民 族とは無関係に、“きわめて個別化してその全体を審査(highly individualized,

holistic review)”し、人種または民族を除き、“多様性”に貢献する多種多様な

要素を考慮に入れている。Texas大学は、志願者の人種または民族のみを根拠と して当該志願者を入学させてはいないし、予め定められた評価点または数値化さ

(15)

れた評価点が人種または民族という特徴を根拠としてある個人に与えられても

いない。Texas大学においては、人種は、多様な学生からなる集団を集めるため

に大学が考慮する“数多くの要素のなかの1つ”なのである」74

「これらの類似点があるにもかかわらず、原告らは、Texas大学が入学者選抜 において人種を考慮することは目的を達成するために厳密に設えられていない と主張している。その理由は以下のとおりである。:1)“当該入学者選抜制度は、

不 十 分 な 数 の 入 学 者 し か 出 て い な い マ イ ノ リ テ ィ 集 団(under-represented

minorities)の入学者数をごくわずかしか増加させていない;”2)Texas 大学は、

多様性という目的を達成することができるであろう人種中立的手段を考慮して いない。;3)Texas 大学が入学者選抜において人種を考慮することは、不十分な 数の入学者しか出ていないとはいえないヒスパニックの学生に利益を与えてい るため、過大包摂(over-inclusive)である;4)人種を考慮要素とする Texas 大学 の入学者選抜制度には、論理的に導かれる終了点(logical end point)がない」75

「原告らの第1の主張は、Texas大学を如何ともしがたい八方ふさがりの状況 (impossible catch-22)に追いやろうとしている」76。「一方では、手段が目的を達 成するために厳密に設えられているというためには、当該手段が、やむにやまれ ざ る 利 益 “ を 実 現 す る た め に 厳 密 に 形 づ く ら れ(specifically and narrowly

framed)”ていなければならないということが確立しているが、他方では、原告

らによれば、手段が“目的を達成するために厳密に設えられている”というため には、当該手段が、最小限にとどまらない十二分な効果(more than a minimal

effect)をもつものでなければならない」77。「その議論を根拠づけるために、原告

らは、Parents Involved 判決を引用している。人種を基準とする分類が児童・

生徒の割り振り(assignments of students)に及ぼす“効果がごくわずかであるこ と(minimal effect)”をParents Involved 判決が批判しているとする点において は、原告らは正しい。しかしながら、この批判は、文脈のなかで解釈すれば(read

in context)、厳格審査に新たな要素を定着させるということを意味するものでは

なく、学校区(school districts)が“その主張する目的を達成するために明示的に 人種を基準とする分類を行うこと(explicit racial classifications)以外の手法を 検討”できていないことの証拠として提示されているParents Involved 判決は、

Grutter 判決において示された、“手段の厳密性は‘実効的な人種中立的手段を

真 摯 に 誠 実 に 考 慮 す る こ と(serious, good faith consideration of workable race-neutral alternatives)’を要求している”とする基準を再確認し、そのうえ で、学校区(school districts)が“ほとんど、またはまったく顧慮せずに”人種中 立的手段を採用しなかったことを批判しているのである。そのため、連邦最高裁

判所がParents Involved 判決において述べたように、問題は、Texas大学の採

(16)

用した手段が非常に漠然とした“最低限の効果(minimal effect)”を上回る効果 を多様性に対してもたらしているか否かということではなく、Texas大学が“実 効 的 な 人 種 中 立 的 手 段 を 真 摯 に 誠 実 に 考 慮 し た こ と(serious, good faith consideration of workable race-neutral alternatives)”を証明しているか否かと いうことなのである」78

「 連 邦 最 高 裁 判 所 が 、Parents Involved 判 決 に お い て 認 め て い る よ う に 、

“Grutter 判 決 に お い て 連 邦 最 高 裁 判 所 が 行 っ た 手 段 の 厳 密 性 審 査(narrow

tailoring analysis)の主眼は、人種を基準とする分類が、実際に、より広く多様

性を評価することの一部として用いられているのであって、連邦最高裁判所が

“ 明 ら か な 憲 法 違 反(patently unconstitutional)” と 説 明 す る 、 人 種 均 衡 状 態

(racial balance)を実現するための試みとして単に用いられているのではないこ

とを確かめることにある”。Parents Involved事件における事実は、同判決にお いて示されているとおり、明らかに本件とは区別される。:

対照的に、目下の事案においては、人種は、“幅広い多様な人々、文化、思 想および見解との触れ合い(exposure)”を実現するためのより広い範囲にわた る 活動 の一部 として 考慮さ れて はいな い。;人種は 、い くらか の児童 ・生徒 (students)に と っ て は 、 他 の 要 素 と は 比 べ も の に な ら な い ほ ど 決 定 的 で (determinativestanding alone)ある…人種は、Grutter判決においてそうであ ったように、決定に達する際に他の要素と比較考量される単なる1つの要素で はない。;人種は、抜群の考慮要素なのである(it is the factor)。Gratz判決に おいて違憲と判断されたMichigan大学の学部入学者選抜制度のように、本件 における制度は、“志願者を個別に評価するという有意義な評価法を実施して お ら ず ”、 人 種 を 基 準 と す る 分 類 に 、“ 個 別 の 精 査 を 行 わ な い 、 機 械 的 な (nonindividualized, mechanical)”やり方で依拠している。

Texas大学の入学者選抜制度は、人種を“抜群の(the)”要素にしてはいないし、

人種を基準とする分類に、“個別の精査を行わない、機械的な(nonindividualized,

mechanical)”やり方で依拠してもいない。Texas 大学は、人種を考慮すること

にくわえ、人種中立的手段を検討するだけでなく、これを用い続けてもいる。こ のように、Texas 大学が人種を考慮に入れても、主として成績上位 10%法の圧 倒的な存在感がもとで、多様性に大きな効果がもたらされてはいないという事実 があるだけでは、当該入学者選抜制度は Texas 大学のやむにやまれざる利益を 促進できていないとか、何らかの点において(in some way)当該目的を達成する ために厳密に設えられていないということを意味することにはならない」79

「異論のない証拠(undisputed evidence)によって、Texas大学は人種中立的手 段 を 単 に 検 討 す る だ け に と ど ま っ て は い な い と い う こ と が 確 認 さ れ て い る 。

(17)

Texas 大学の学生の大多数は、成績上位 10%法の適用を受けて入学している。

原告らは、同法が人種中立的な方策であるという点においては意見が一致してい る。くわえて、異論のない証拠(undisputed evidence)によって次のことが確認 さ れ て い る 。 そ れ は 、Texas 大 学 が 、 受 け 入 れ か ら 入 学 ま で に 生 じ る 多 様 性 (diversity yield from acceptance to enrollment)を増進することを意図した複数 の奨学金制度(scholarship programs)を設けていること、Texas州内における不 十分な数の入学 者しか出ていない地域(underrepresented areas)に ある高等 学 校を訪問し入学を支援する(outreach efforts)の質を高め量を増やすこと、さらに、

学 業 成 績 の ふ る わ な い 教 育 機 関 か ら 入 学 者 を 出 す こ と(recruitment in low-performing schools)に関してさらに注意を振り向け、資源を集中させること

である。Texas大学は、多様性を増進するために人種中立的なこれらの活動を行

っているにもかかわらず、2004 年、数千もの講義においてアフリカ系アメリカ 人およびヒスパニックの学生の数が不足していることを証拠として、いまだ学生 集団の多様性が不足していると判断した。Texas大学は人種中立的手段を真摯に 誠実に考慮(serious, good faith consideration)していないと論じることは、本件 における事実、すなわち、Texas大学が入学者選抜過程の一部として人種を限定 的に考慮することにくわえ人種中立的手段を用い続けているという事実を無視 することである」80

「先述のとおり、Texas 大学は、人種中立的手段を検討しているだけでなく、

実際に、それらの手段を用いてもいる。しかしながら、これらの活動を行ってい るにもかかわらず、Texas大学は、少なくとも部分的には、不十分な数の入学者 し か 出 て い な い マ イ ノ リ テ ィ 集 団 に 属 す る 学 生(underrepresented minority

students)の数が数千もの講義において不足していることを根拠として、学生集

団の多様性が不十分であると結論した。このように、Texas大学は、それらの人 種中立的手段を用い続けることにくわえて、入学者選抜において人種を考慮する 必要があると判断したのである。Grutter判決が示すように、裁判所は、さらに 多様性が必要であるか否かを判断することについては、大学に対してある程度の 敬譲を払うべきである。さらに、連邦最高裁判所は、次のことを認めている。そ れは、多様性を増進させられるであろう、成績上位学生の一定割合の者に自動的 に入学許可を与える制度(percentage plan)のような人種中立的手段が存在する というだけでは、大学は、それらの手段を“真摯に誠実に考慮(serious, good faith

consideration)”しているかぎり、入学者選抜において人種を考慮できなくなり

はしないということである。“手段の厳密性(Narrow tailoring)は、考えうるあり とあらゆる人種中立的手段を使い尽くすことを求めてはいない”のである」81

「次に、原告らは、Texas大学が人種を考慮することは、アジア系アメリカ人

(18)

の学生と比べてみると不十分な数の入学者しか出ていない(underrepresented) とはいえないヒスパニックの学生に利益を与えているという点において過大包 摂(over-inclusive)であるため、目的を達成するために厳密に設えられ(narrowly

tailored)ていないと主張している。この主張は、Texas大学がやむにやまれざる

政府利益を提示している(stated)か否かということに関する原告らの主張と非常 に類似しており、同じ理由で失敗している。Texas大学に在籍するヒスパニック の学生の割合は、Texas州在住のヒスパニックの人口の割合の3分の2にみたな いということが、異論のない証拠(undisputed evidence)によって確認されてい る。そのため、その意味において、ヒスパニックは、明らかに、不十分な数の入 学者しか出ていないマイノリティ集団(underrepresented minority group)であ る 。 合 衆 国 憲 法 は 、 ど の 集 団 が 不 十 分 な 数 の 入 学 者 し か 出 て い な い

(underrepresented)マイノリティ集団なのかを判断するために政府が人口統計

に 関 す る 情 報(demographic information)を 考 慮 に 入 れ る こ と を 禁 止 し て い な い」82

「最後に、原告らは、次のように主張している。それは、Texas大学が入学者 選抜において人種を考慮することは、“論理的に導かれる終了点をもたない(no

logical end point)”ため、目的を達成するために厳密に設えられていないという

主張である。Grutter判決は、目的を達成するための手段が厳密に設えられてい るというためには(in order to be narrowly tailored)、“人種を意識した入学者選 抜 制 度 は 実 施 期 間 を 限 定 し た も の で な け れ ば な ら な い(race-conscious admissions policies must be limited in time)”ということを要求しているとす る点において、原告らは正しい。しかしながら、連邦最高裁判所は、同時に次の ことを認めてもいる。すなわち、“高等教育の文脈においては、実施期間を限定 することに対する要請(durational requirement)は、一定期間の満了に伴い人種 を意識した入学者選抜制度が実施されなくなる旨の規定(sunset provisions)を 設けること、さらには人種優遇措置(racial preferences)が学生集団の多様性を実 現 す る た め に 継 続 し て 必 要 不 可 欠 で あ る か 否 か を 判 断 す る た め の 定 期 的 審 査

(periodic reviews)を実施することによってみたすことができる”ということで

ある。異論のない証拠(undisputed evidence)によって次のことが確認されてい る。それは、多様な学生を入学させることにとって人種を考慮することが必要不 可欠か否か、換言すれば、同じ結果を得られるであろう人種中立的手段が存在し ないか否かを評価するという目的のために、Texas大学の入学者選抜過程が5年 ごとに評価されているということである。入学者選抜において人種を考慮するこ とに関する最初の正規審査(formal review)は、2009年秋に開始される予定であ る。このように、Grutter判決の要求するとおり、Texas大学の入学者選抜制度

(19)

には、学生集団の多様性を実現するために人種を考慮に入れることがまだ必要か 否かを判断するための定期的審査(periodic review)が明らかに含まれている」83

「それゆえ、当裁判所は、Texas大学が入学者選抜において人種を考慮するこ とは目的を達成するために厳密に設えられていると判断する。実際上、Texas大

学が Grutter 判決において合憲とされた入学者選抜制度により一層類似する入

学者選抜制度を構築することは、困難だろう。Grutter判決は、大学が人種中立 的手段を用いることと、人種そのものを考慮することの両方が、学生集団に十分 な多様性があれば生み出される教育上の利益を獲得するために必要不可欠であ るなら、大学がそれらの手段を両方とも用いることを禁止してなどいない。それ

どころか(in fact)、そのような努力は、個人の人種を考慮する必要が完全になく

なる日に向けての次なる論理必然の歩みとして、奨励されるべきである。しかし ながら、その日が来るまで、大学は、真摯に、かつ誠実に(seriously and in good

faith)人種中立的手段を考慮するかぎりにおいて、考えうるありとあらゆる人種

中立的手段を使い尽くすことを求められはしないのである」84

「Texas 州 訟 務 長 官(Texas Solicitor General)が “ 原 告 ら が 正 し い な ら 、

Grutter判決は誤りである”と述べたことを考えると、彼は本件をもっとも適切

に要約している。Texas州成績上位10%法が存在せず、同法がTexas大学の入 学者選抜に影響を及ぼしていなかったならば、連邦最高裁判所は、Grutter判決 において合憲としたMichigan大学ロー・スクールの入学者選抜制度により類似 する入学者選抜制度を想像することはできないだろう。しかしながら、原告が正 しいならば、さらには、Texas大学が入学者選抜において人種を考慮することを 違憲とすることに成績上位 10%法が何らかの形で影響を及ぼすならば、合衆国 におけるすべての公立大学は、入学者選抜過程において人種を考慮することがで き な くな るだ ろう 。 という の は、 どの 州立 大 学も、 成 績上 位 10%法(Top Ten

Percent law)が体現する、“成績上位学生の一定割合の者に自動的に入学許可を

与える制度(percentage plan)”と同じ種類のものを確立することができるため、

そのような制度を運用していないということは、人種中立的手段を考慮していな いということになるからである。Grutter判決は、成績上位学生の一定割合の者 に 自 動 的 に 入 学 許 可 を 与 え る 制 度(percentage plan)ま た は く じ 引 き 抽 選

(lotteries)のような人種中立的手段が存在し、利用しうる場合ですら、人種を考

慮に入れることを明示的に認めているため、同判決は、まさしく正反対の立場に 与している。したがって、Grutter判決が現在においても妥当性を失っていない (remains good law)か ぎ り 、Texas 大 学 に お け る 現 行 の 入 学 者 選 抜 制 度 (admissions program)は合憲である」85

(20)

4.連邦第5巡回区控訴裁判所判決

2011年1月 18日、連邦第5巡回区控訴裁判所は、連邦地方裁判所判決を支 持する判決を下した86。Patrick E. Higginbotham裁判官が法廷意見を執筆し、

Carolyn Dineen King裁判官とEmilio M. Garza裁判官が同意意見を述べてい る。

4.1【Patrick E. Higginbotham裁判官による法廷意見】

87「Texas大学の採用する人種を意識した入学者選抜手続は、Grutter 判決に おいて合憲とされた入学者選抜手続を手本にしたものであるため、当裁判所は、

Grutter v. Bollingerから始める。Michigan大学ロー・スクールの採用する入学 者選抜制度は違憲であるという主張をしりぞけるにあたり、Grutter判決法廷意 見は、次のように判示している。大学が、“多様性の備わった学生集団の生み出 す 教 育 上 の 諸 利 益 を 得 る こ と に 関 す る や む に や ま れ ざ る 利 益(compelling

interest)を促進するために、当該目的を達成するために厳密に設えられた態様で

合否判定において人種を用いること”は、平等保護条項によって禁止されていな

い。Grutter判決に即した形で位置づけると、Texas大学は、それぞれの志願者

を、多様な要素に着目し人物全体を審査する手法を用いて評価しており、当該審 査においては、人種は数多くの考慮要素の1つにすぎない。正式事実審理を経な いでなされる判決(summary judgment)を下すにあたり、連邦地方裁判所は、次 のように判断している。“Texas大学がGrutter判決において連邦最高裁判所に よって合憲と判断された入学者選抜制度により類似するものを構築することは、

困難であろう”し、“Grutter 判決が現在においても妥当性を失っていないかぎ

り、Texas大学における現行の入学者選抜制度は合憲である”。成績上位10%法

をさておくとすれば、当該判断が正しい事は明白である」。

Ⅰ-A88「Grutter判決は、25年前のRegents of the University of California v.

Bakkeにおいて多様性に関する利益を明確に説いたPowell裁判官の個別意見を

採用した。多様性のこのような捉え方(vision)には、幅広い多種多様な資質およ び特徴が含まれており、人種はそのうちの1つだが重要な要素である。Michigan 大学ロー・スクールは、この幅広い多様性を達成するために、―多様な人種的背 景を含め―多様な背景および経験をもち、互いに尊重し学び合うであろう学生を 選抜する入学者選抜制度を構築していた。連邦最高裁判所は、次のように説明し ている。:

ロー・スクールの基本方針は、多様な合格者を出すことを可能にする、合否 判定における評価の基礎(bases)が数多く存在することを明らかにしており、

外国で生活をしたり幅広く外国に旅行をしたりしたことがある者、複数の言語 が流暢な者、個人的な逆境および家族の苦難を克服した者、多数の地域奉仕活

(21)

動を行ったというまれな経歴のある者、ならびに他の分野において成功を収め た経歴のある者のような入学者の例を挙げている。

ロー・スクールの基本方針は、ロー・スクールが“ある特定の多様性”に“長 きにわたりコミットしてきたこと(longstanding commitment)”を再確認して もいる。すなわち、ロー・スクールは、このコミットメントがなければ学生集 団のなかに有意味な数が含まれることはないであろう、歴史的にみて差別を受 けてきたアフリカ系アメリカ人、ヒスパニックおよびアメリカ先住民のような 集団に属する学生人種および民族の多様性にコミットしてきたのである」。

「ロー・スクールは、マイノリティ集団が代表されるようにするために努力す るなかで、“クリティカル・マス”に達する数のマイノリティ集団に属する個人 を入学させようとした。そうなれば、結果的に、マイノリティ集団に属する個人 がますます教室に参加するようになり、ロー・スクールの名声へのマイノリティ 集団の貢献度が高まることになる。Grutter判決は、この目的を支持し、マイノ リティ集団に属する学生の数がクリティカル・マスに到達するよう努力すること を含め、多様性は、“大学の入学者選抜において人種を活用することを正当化し うる、やむにやまれざる利益”であると判示した」。

「クリティカル・マスという概念は単純であるが欺瞞的な(deceptive)名称であ るということが、その概念の意味をめぐって裁判官たちが意見を異にしているこ とによって、示されている。Rehnquist首席裁判官は、反対意見において、クリ ティカル・マスを、“マイノリティ集団に属する学生が孤立感または人種を代弁 しているかのような感覚を覚えずにすむようにするために;もしくは、多様性に よって教育上の諸利益が生み出されるかどうかを左右する種類の相互作用を生 じさせるために必要な適切な機会を提供するために;または、すべての学生に批 判的な思考をさせ、偏見を見直させるために”必要な最低限度の数として理解し ている。この見解によれば、クリティカル・マスは、もっぱら、学生集団のなか の割合として定義され、さらに、その割合が、あるマイノリティ集団にとって十 分なものであるなら、その割合は同時に、他のマイノリティ集団にとっても十分 なもののはずであるということになる」。

「対照的に、法廷意見を執筆したO’Connor裁判官は、クリティカル・マスは

“多様性によって生み出されるものと企図されている教育上の諸利益と関連づ けることによって定義され”なければならないと説明している。O’Connor裁判 官法廷意見は、大学の活動は単に学生に知識を伝えることに限られはしないとい うことを認めている。当裁判所は、これらを総合して、O’Connor裁判官の構想 する多様性が少なくとも3つの別個の教育目的に資するものと判断する。

1.見解の多様化 O’Connor裁判官は、多様な見地が含まれれば、“これ以上

(22)

ないほどに幅広い背景をもつ学生たちがいる場合、教室における討議は、より 活発で、より生き生きとした、ただただより啓発的でより興味深いものになる”

ため、教育課程の質が改善される。この点において、Grutter判決は、大学が

“多様性を備える学生集団によって促進され”る“思弁、興奮および創造から なる環境”を追求できることが“高等教育の質にとって必要不可欠”であると いうことをBakke判決において承認したPowell裁判官と同じことを述べてい る。実際、多様性はしばしば、興奮のみならず、価値ある知識をももたらす。

“ある特定の背景をもつ学生は―その背景が、民族であろうと、地域であろう と、文化的に優れているということであろうとそうでなかろうと―、学生集団 の訓練の質を高め、共感をもったうえで人類に対するきわめて重要な貢献をな す た め に 必 要 な も の を よ り 適 切 に 与 え る(better equip its graduates to render with understanding their vital service to humanity)経 験 、 見 地

(outlooks)さらには思想を、大学にもたらすかもしれない”。

2.専門性 Grutter 判決法廷意見は、“学生集団に多様性が備わっていれば

…学生を専門家としてよりうまく訓練することができる”ということを示す

“膨大な数の研究”を指摘している。連邦最高裁判所は、“学生を職業人およ び公民(work and citizenship)として訓練することの圧倒的な重要性を繰り返 し認めてきた”うえに、今日の学生は“ますます多様化しつつある職場”にお いて働くために訓練されなければならない。実際、わが国の主要産業は、ます ますグローバル化しつつある今日の市場において求められる技能はもっぱら

“幅広く多様な文化、思想、および見解にふれることを通じて発展させられる ということを明らかにしてきた”。多様性を備えた学生集団は、“人種相互の理 解を促進し、人種に関する偏見を打破し、学生が他の人種の個人をよりよく理 解できるようにすること”によって、この目的に資するのである。

3.市民参加(civic engagement) 連邦最高裁判所は、“分裂のない1つの国と いう夢を実現するべきであるなら、ありとあらゆる人種集団および民族集団が わが国における市民生活に実効的に参加することがもっとも重要である”とい うことを認めている。学生集団の多様性は、市民参加というこの理念を促進す ることにとって決定的に重要である。というのは、“市民の目からみて正当性 を有する一群の指導者を養成するには、指導者へと続く途がありとあらゆる人 種および民族の有能かつ適格性を有する個人に目に見える形で開かれている ことが必要不可欠である”からである。指導者へと続く途が目に見える形で開 かれているためには、“わが国において成功を収めるために必要な訓練および 教育を提供する教育機関に、我々の住む多種多様な社会の構成員すべてが参加 することができるように、高等教育機関への入学の可能性が…ありとあらゆる

参照

関連したドキュメント

について最高裁として初めての判断を示した。事案の特殊性から射程範囲は狭い、と考えられる。三「運行」に関する学説・判例

る、関与していることに伴う、または関与することとなる重大なリスクがある、と合理的に 判断される者を特定したリストを指します 51 。Entity

 

 親権者等の同意に関して COPPA 及び COPPA 規 則が定めるこうした仕組みに対しては、現実的に機

生活のしづらさを抱えている方に対し、 それ らを解決するために活用する各種の 制度・施 設・機関・設備・資金・物質・

新設される危険物の規制に関する規則第 39 条の 3 の 2 には「ガソリンを販売するために容器に詰め 替えること」が規定されています。しかし、令和元年

光を完全に吸収する理論上の黒が 明度0,光を完全に反射する理論上の 白を 10

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を