論文内容要旨
論 文 題 名 Ultrasound Elastographic Assessment of the Medial Collateral Ligament in the Elbow Joints of Baseball Players
掲載雑誌名 THE SHOWA UNIVERSITY JOURNAL OF MEDICAL SCIENCES (Vol.26 No.4 2014 年 12 月 掲載予定)
外科系整形外科学専攻 和田一佐 内容要旨
肘内側側副靭帯損傷(MCL)の評価はストレス X 線撮影や MRI で行われ る.診断におけるそれらの有用性が報告されている一方,競技復帰とは必 ずしも相関しないことも報告されており,その静的および動的な定量評価 は容易ではない.MCL の最適な評価を行うための新たな診断ツールが求め られている.近年、進歩の著しい超音波エラストグラフィーを用いて MCL の歪み比を算出し,MCL の評価に有用かを検討した.投球障害の無い中学 生 12 名,高校生 12 名,大学生 12 名の男性計 36 名 72 肘,平均年齢 17 歳
(年齢 12 歳から 22 歳)を対象とした.日立メディコ社製 HI VISION Avius,探触子は EUP‐L65,定量化用音響カプラ,Real‐time Tissue Elastography を使用した.姿位は仰臥位で肩関節外転 90 度,肘関節屈曲 30 度,前腕回外位で測定した.徒手的に同程度の圧迫力と周期で圧迫し 計測を行なった.評価はカプラの歪みを対照とし MCL の歪みとの比で算出 した Strain ratio(SR)を用いた.1 検者で各肘 1 回計測を行い,記録 画像より適切な条件を満たす 5 箇所を選択し中央 3 値の平均値を代表値と した.SR と年齢,肘障害既往歴,肘関節現症,肩関節現症との相関を調 査した.統計学的解析は一元配置分散分析,Mann-Whitney の U 検定と対 応のある t 検定を用いて行なった.MCL は EG で黄緑から青色の混在パタ ーンで表示された.SR 平均値は投球側で中学生 1.18(0.61-1.95),高校 生 2.33(0.38-5.90),大学生 2.72(1.31-5.66)であり,非投球側ではそ れぞれ 1.81(0.43-3.13),2.67(0.74-7.39),3.08(1.36-4.95)であっ た.両側とも年齢に従い SR 高値となる相関関係を認め(投球側 p=0.011,
非投球側 p=0.041),大学生群と他群間で SR 平均値に有意差を認め(両側 p<0.05).投球側 SR 平均値は 2.07(0.38-5.90),非投球側は 2.52(0.43-7.39)
であり投球側で SR 低値となった(p=0.034).他の要因に関して相関関係 は認めなかった.投球障害の無い肘の MCL では年齢と共に SR 高値となり,
投球側は非投球側と比較し SR 低値となった.つまり MCL の歪みは年齢と 共に減少し,投球側で歪みが増大した.超音波エラストグラフィーは肘内 惻々副靭帯の診断と評価を行う上で有用性が高い新たなリアルタイム定 量評価法であると考えられた.