医療における消費税
株式会社日医工医業経営研究所(日医工M P I)
資料作成:
長岡俊広
(
公社)
日本医業経営コ
ンサルタ
ント
協会認定
登録番号第4828
菊地祐男
(
公社)
日本医業経営コ
ンサルタ
ント
協会認定
登録番号第4217
日医工M P Iレポート
http://www.nichiiko.co.jp/stu-ge/
資料No. 240919- 284
nikky
参考資料:
「消費税とは、消費全般に広く課税する
間接税
です!」
負担する人
申告・
納付する人
消費者
事業者
売上
500円
売上
1,500円
売上
1,800円
売上
3,000円
消費税①
25円
消費税②
75円
消費税③
90円
消費税④
150円
仕入れ
500円
仕入れ
1,500円
仕入れ
1,800円
消費税①
25円
消費税②
75円
消費税③
90円
納付税額(
A)
25円
納付税額(
B)
50円
納付税額(
C )
15円
納付税額(
D)
60円
消費税①
消費税②−消費税①
消費税③−消費税②
消費税④−消費税③
原材料製造業者
製薬メ
ーカ
ー
卸売業者
小売店
消費税( 5 % )が納付される仕組み
各事業者が個別に納付し
た消費税
150円
納付税額(
A+B+C +D)
の合計
消費者
支払総額
3,150円
内消費税分
150円
消費税の課税対象となるものは?
①国内において行う
も
の(
国内取引)
であるこ
と
②事業者が事業と
し
て行う
も
の
③対価を得て行う
も
のであるこ
と
④資産の譲渡、
資産の貸付、
役務の提供であるこ
と
全てを満たし
場合に
課税対象と
なり
ます。
上記全ての条件を満たす事業者でも
課税対象から
除外さ
れる場合があり
ます。
●
1
事業年度(
1年)
の課税売上が1000万円以下の事業者
●
事業開始から
2
事業年度(
2年)
未満の事業者
課税対象除外事業者
課税対象除外事業者でも
課税事業者になるこ
と
ができます。
●
「
消費税課税事業者選択届出書」
を届け出た事業者
支払総額
126万円
内消費税分
6万円
課税対象事業者になる理由とは?
売上
120万円
消費税(
徴収)
6万円
仕入れ
100万円
消費税(
仕入元)
5万円
納付税額
1万円
6万円−5万円
売上
120万円
消費税(
徴収)
6万円
仕入れ
1,100万円
消費税(
仕入元)
55万円
納付税額
▲
49万円
6万円−55万円
商品A
100万円
消費税
5万円
商品A
100万円
消費税
5万円
機械設備
1000万円
消費税
50万円
消費者
設備投資をし
た場合
多額の設備投資を行った場合は、
徴収し
た消費税より
、
納
付 する消 費 税 の 方 が 高 額 になる場 合 が あり
、
その 場 合 課 税
対象事業者であれば還付を受けられるため、
課税対象除外
事業者であっ
ても
設備投資を行う
際にはあえて課税対象事業
者になるこ
と
があり
ます。
し
かし
保険診療に係る医療設備の
多く
は還付対象になら
ないため、
医療機関が最終消費者と
し
て負担するこ
と
が問題と
さ
れています。
設備投資をし
ない場合
仕入れ元が納付済
課税対象事業者であれば、
課税売上割合の分だ
け、
還付を受けるこ
と
ができる場合があり
ます。
(
詳細は、
顧問税理士等にご相談く
ださ
い)
非課税となる商品
①
土
地
②
有
価
証
券
③
利
子
・
保
険
料
④
切
手
・
印
紙
・
証
紙
⑤
国
等
の
手
数
料
⑨
埋
葬
料
・
火
葬
料
⑩
身
障
者
用
の
物
品
⑪
学
校
の
授
業
料
⑫
教
科
書
図
書
⑬
住
宅
賃
貸
料
商取引全体(
課税対象外=不課税)
例
給与など
課税対象
①国内において行う
も
の(
国内取引)
であるこ
と
②事業者が事業と
し
て行う
も
の
③対価を得て行う
も
のであるこ
と
④資産の譲渡、
資産の貸付、
役務の提供であるこ
と
免税
⑥
社会保険
・
保険診療
・
労災等
医療の給付等
⑧
助産に関する
サービスの提
供等
⑦
介護・
福祉
サービスの提
供等
非課税と
なる医療関連商品
保険外診療(
自費
診療)
は課税対象
売上
2,000万円
保険収入
2,800万円
消費税
100万円
患者の一部負担
1,200万円
消費税(
徴収)
0円
内消費税分
0円
収入計
4,000万円
支出
2,000万円
消費税
100万円
支出計
2,100万円
支払総額
1,200万円
卸売業者
医療機関
患者
医療機関の場合(保険診療分)
医療は非課税であり
、
医療機関が最終消費者になるため、
消費税も
医療機関が負担するこ
と
に
なり
ます。
し
かし
診療報酬には消費税分が加味さ
れているこ
と
になっ
ています。
診療報酬と消費税
+
0.76%
+
0.11%
+
0.65%
+
0.38%
+
0.77%
+
0.32%
+
0.45%
−
0.39%
+
0.93%
−
1.32%
診療報酬本体部分
薬価部分
改定(
消費税以外の評価分)
平成9
年4
月
消費税5
%(
2
%アッ
プ)
改定率(
総合計)
改定(
消費税2
%アッ
プ分)
診療報酬本体部分
薬価部分
平成元年4
月
消費税3
%(
導入時)
改定率(
消費税3
%相当分)
診療報酬本体部分
薬価部分
平成26年4月の8%
、
平成27年10月の10%
の消費税引き上げ時には
どのよう
な方法で医療に消費税が適用さ
れるかが注目さ
れます。
8%
と
10%
の改定
については『
診療報酬
調査専門組織・
医療機関等
における消費税負担に関する分
科会』
にて議論中
医療機関が負担する消費
税分は薬価と
診療報酬に加
味するために引き上げら
れて
います。
なぜ消費税3 % で+0 .7 6 % 対応なのか?
診療材料、
給食材料等
医療機関の費用構造
人件費
医薬品費
特 定 保 険 医 療 材 料
医 療 材 料
委 託 費
減 価 償 却 費
設 備 関 係 費
経費、
その他
(光熱費・賃借料等)
消費税は不課税
薬価及び材料価格の
改定にて個別対応
診療報酬にて対応
医療機関の費用には、
消費税の考慮を必要と
し
ない費用も
多いため、
消費税を考慮すべき項目の割
合から
改定率を計算する必要があり
ます。
項目
比率・指数改定当時の各項目の考え方
人件費 51.6% 国民医療費と医療経済実態調査に基づく医業費用に占める人件費の割合から算出。
薬剤費 20.4% 国民医療費と医療経済実態調査に基づく医業費用に占める薬剤費の割合から算出。
価格低下品目 3.7%
消費税による影響が明らかであると考えられる項目であっても、当該物品等の当時の近時の価格 の動向に鑑みれば、改定を行う必要はなく、むしろ診療報酬が公共料金としての性格を有している ことに照らし、引上げを行うことが適当でないとされた品目。(歯科材料、ダイアライザー、フィル ム、検体検査実施料(試薬以外)、コンピュータ画像診断)
非課税品目 10.3% 医業費用のうち、消費税が課税されないと考えられる品目。
主要でない項目 4.0% 医業費用のうち、人件費、医薬品費等を除いた残りの費用。
在庫一ヶ月分調整率
10/ 11 (0.9)
消費税導入時(平成元年4月時点)に医療機関が在庫として抱えている医薬品には、それを購入し た際に消費税が課税されておらず、その分についても消費税導入の影響を考慮することは不適切 であるため、消費税導入の影響を調整するための率。
消費者物価への影響
1.2/ 100 (0.012)
消費税が課税される項目と課税されない項目が混在していることに鑑み、消費税の導入又は引上 げが一般の消費者物価指数に与える影響と同等であると仮定して、乗じられた数値。
消費税導入時に用いられた計算方法①
診療報酬部分
51.6%
20.4%
3.710.3%
4.010.0%
人件費
薬剤費
価
格
低
下
品
目
非課税
品目
主
要
で
な
い
項
目
診療報
酬相当
分
100%
10.0%
×
(
1.2/ 100)
×
(
10/ 11)
=
0.11%
消費税不課税 薬価基準分